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明細書 :偏光特性測定装置及び偏光特性測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5308208号 (P5308208)
公開番号 特開2010-230565 (P2010-230565A)
登録日 平成25年7月5日(2013.7.5)
発行日 平成25年10月9日(2013.10.9)
公開日 平成22年10月14日(2010.10.14)
発明の名称または考案の名称 偏光特性測定装置及び偏光特性測定方法
国際特許分類 G01N  21/21        (2006.01)
FI G01N 21/21 Z
請求項の数または発明の数 14
全頁数 18
出願番号 特願2009-079895 (P2009-079895)
出願日 平成21年3月27日(2009.3.27)
審査請求日 平成24年3月23日(2012.3.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】若山 俊隆
【氏名】吉澤 徹
【氏名】大谷 幸利
個別代理人の代理人 【識別番号】100090398、【弁理士】、【氏名又は名称】大渕 美千栄
【識別番号】100090387、【弁理士】、【氏名又は名称】布施 行夫
【識別番号】100121278、【弁理士】、【氏名又は名称】都築 美奈
【識別番号】100090398、【弁理士】、【氏名又は名称】大渕 美千栄
【識別番号】100090387、【弁理士】、【氏名又は名称】布施 行夫
審査官 【審査官】比嘉 翔一
参考文献・文献 特開2004-020343(JP,A)
特開2009-058464(JP,A)
特開2006-058055(JP,A)
特開2002-116085(JP,A)
特開平08-005546(JP,A)
国際公開第2006/103953(WO,A1)
特開2007-093289(JP,A)
特開平06-186162(JP,A)
特開2005-121479(JP,A)
特開2008-232819(JP,A)
特開平10-267831(JP,A)
調査した分野 G01N 21/00-21/01

G01N 21/17-21/61

G01J 4/00- 4/04

JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定装置において、
第1及び第2の偏光変調器と、
前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調せることによって得られる測定光を受光する受光部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第2の波長板とを含み、
光源から出射された光を、前記第1の偏光子及び前記第1の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2の波長板及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成され、
前記第1及び第2の波長板が、位置によって異なる複数の主軸方位を有し、
前記第1の波長板の各位置における主軸方位と、前記第1の波長板の各位置に対応する前記第2の波長板の各位置における主軸方位の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1及び第2の波長板が、光軸回りに変化する主軸方位を有することを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1及び第2の波長板の複屈折位相差が90°であることを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項4】
測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定装置において、
第1及び第2の偏光変調器と、
前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調せることによって得られる測定光を受光する受光部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1及び第2の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第3及び第4の波長板とを含み、
光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の波長板及び前記第2の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の波長板、前記第4の波長板及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成され、
前記第1、第2、第3及び第4の波長板が、位置によって異なる複数の複屈折位相差を有し、
前記第1及び第2の波長板の各位置における複屈折位相差と、前記第1及び第2の波長板の各位置に対応する前記第3及び第4の波長板の各位置における複屈折位相差の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1、第2、第3及び第4の波長板が、光軸回りに変化する複屈折位相差を有することを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項6】
請求項4又は5において、
前記第1の波長板の主軸方位が、前記第1の偏光子の透過軸に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、
前記第2の波長板の主軸方位が、前記第1の波長板の主軸方位に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、
前記第4の波長板の主軸方位が、前記第2の偏光子の透過軸に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、
前記第3の波長板の主軸方位が、前記第4の波長板の主軸方位に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定されたことを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記受光部で検出される光の強度分布を解析することにより、前記測定対象の偏光特性を表す偏光特性要素を算出する演算処理部を更に含むことを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記第2の偏光変調器から出射された光を円錐ミラーに入射させるように構成され、
前記受光部が、
前記円錐ミラーによって放射状に反射された光を受光することを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記円錐ミラーが、微細な周期構造を有し、
前記受光部が、
前記円錐ミラーによって分光された光を受光することを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記第2の偏光変調器から出射された光を円錐レンズに入射させるように構成され、
前記受光部が、
前記円錐レンズを透過した光を受光することを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項11】
請求項10において、
前記円錐レンズが、微細な周期構造を有し、
前記受光部が、
前記円錐レンズによって分光された光を受光することを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、
前記第1の偏光変調器から出射された光を前記測定対象に集光させる第1のレンズと、前記測定対象によって変調された前記光を平行光とし前記第2の偏光変調器に入射させる第2のレンズとを更に含むことを特徴とする偏光特性測定装置。
【請求項13】
測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定方法において、
第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象によって変調された測定光を受光する手順と、
前記測定光の強度分布を解析することにより、前記測定対象の偏光特性を表す偏光特性要素を算出する手順とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第2の波長板とを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を、前記第1の偏光子及び前記第1の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2の波長板及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記第1及び第2の波長板が、位置によって異なる複数の主軸方位を有し、
前記第1の波長板の各位置における主軸方位と、前記第1の波長板の各位置に対応する前記第2の波長板の各位置における主軸方位の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする偏光特性測定方法。
【請求項14】
測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定方法において、
第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象によって変調された測定光を受光する手順と、
前記測定光の強度分布を解析することにより、前記測定対象の偏光特性を表す偏光特性要素を算出する手順とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1及び第2の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第3及び第4の波長板とを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の波長板及び前記第2の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の波長板、前記第4の波長板及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記第1、第2、第3及び第4の波長板が、位置によって異なる複数の複屈折位相差を有し、
前記第1及び第2の波長板の各位置における複屈折位相差と、前記第1及び第2の波長板の各位置に対応する前記第3及び第4の波長板の各位置における複屈折位相差の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする偏光特性測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定装置及び偏光特性測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測定対象の偏光特性を測定する手法として、2重回転位相子法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この手法では、位相子を回転させる機械駆動が必要であり、装置が大型化する。また、機械駆動を必要としない液晶リターダを用いた偏光特性の測定手法として電気光学変調法が知られている(例えば、特許文献2参照)。この手法では、4つの液晶リターダに異なる電圧を印加することで高速測定を行うことができる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】WO2007/111159号公報
【特許文献2】特開2004-271510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記2つの手法では、時系列な偏光変調を必要とするため、実時間での測定を行うことができず、測定対象が時系列に変化する場合に適さないといった問題点があった。
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実時間での測定を行うことが可能な偏光特性測定装置及び偏光特性測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定装置において、
第1及び第2の偏光変調器と、
前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調せることによって得られる測定光を受光する受光部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第2の波長板とを含み、
光源から出射された光を、前記第1の偏光子及び前記第1の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2の波長板及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成され、
前記第1及び第2の波長板が、位置によって異なる複数の主軸方位を有し、
前記第1の波長板の各位置における主軸方位と、前記第1の波長板の各位置に対応する前記第2の波長板の各位置における主軸方位の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第1及び第2の偏光変調器によりビーム断面内の位置に応じた偏光変調を行うことができ、1回の測定光の授受により偏光特性の測定を行うことができる。
【0008】
(2)また、本発明において、
前記第1及び第2の波長板が、光軸回りに変化する主軸方位を有するようにしてもよい。
【0009】
(3)また、本発明において、
前記第1及び第2の波長板の複屈折位相差を90°とするようにしてもよい。
【0010】
(4)本発明は、測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定装置において、
第1及び第2の偏光変調器と、
前記第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象で前記光を変調せることによって得られる測定光を受光する受光部とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1及び第2の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第3及び第4の波長板とを含み、
光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の波長板及び前記第2の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の波長板、前記第4の波長板及び前記第2の偏光子を介して前記受光部に入射させるように構成され、
前記第1、第2、第3及び第4の波長板が、位置によって異なる複数の複屈折位相差を有し、
前記第1及び第2の波長板の各位置における複屈折位相差と、前記第1及び第2の波長板の各位置に対応する前記第3及び第4の波長板の各位置における複屈折位相差の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、第1及び第2の偏光変調器によりビーム断面内の位置に応じた偏光変調を行うことができ、1回の測定光の授受により偏光特性の測定を行うことができる。
【0012】
(5)また、本発明において、
前記第1、第2、第3及び第4の波長板が、光軸回りに変化する複屈折位相差を有するようにしてもよい。
【0013】
(6)また、本発明において、
前記第1の波長板の主軸方位が、前記第1の偏光子の透過軸に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、
前記第2の波長板の主軸方位が、前記第1の波長板の主軸方位に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、
前記第4の波長板の主軸方位が、前記第2の偏光子の透過軸に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、
前記第3の波長板の主軸方位が、前記第4の波長板の主軸方位に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定されるようにしてもよい。
【0014】
(7)また、本発明において、
前記受光部で検出される光の強度分布を解析することにより、前記測定対象の偏光特性を表す偏光特性要素を算出する演算処理部を更に含むようにしてもよい。
【0015】
(8)また、本発明において、
前記第2の偏光変調器から出射された光を円錐ミラーに入射させるように構成され、
前記受光部が、
前記円錐ミラーによって放射状に反射された光を受光するようにしてもよい。
【0016】
本発明によれば、ビーム断面内の位置に応じて偏光変調された光の強度分布を容易に検出することができる。
【0017】
(9)また、本発明において、
前記円錐ミラーが、微細な周期構造を有し、
前記受光部が、
前記円錐ミラーによって分光された光を受光するようにしてもよい。
【0018】
本発明によれば、1回の測定光の授受により波長毎の偏光特性の測定を行うことができる。
【0019】
(10)また、本発明において、
前記第2の偏光変調器から出射された光を円錐レンズに入射させるように構成され、
前記受光部が、
前記円錐レンズを透過した光を受光するようにしてもよい。
【0020】
本発明によれば、ビーム断面内の位置に応じて偏光変調された光の強度分布を容易に検出することができる。
【0021】
(11)また、本発明において、
前記円錐レンズが、微細な周期構造を有し、
前記受光部が、
前記円錐レンズによって分光された光を受光するようにしてもよい。
【0022】
本発明によれば、1回の測定光の授受により波長毎の偏光特性の測定を行うことができる。
【0023】
(12)また、本発明において、
前記第1の偏光変調器から出射された光を前記測定対象に集光させる第1のレンズと、前記測定対象によって変調された前記光を平行光とし前記第2の偏光変調器に入射させる第2のレンズとを更に含むようにしてもよい。
【0024】
本発明によれば、1回の測定光の授受により測定対象の屈折率楕円体の測定を行うことができる。
【0025】
(13)本発明は、測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定方法において、
第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象によって変調された測定光を受光する手順と、
前記測定光の強度分布を解析することにより、前記測定対象の偏光特性を表す偏光特性要素を算出する手順とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第2の波長板とを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を、前記第1の偏光子及び前記第1の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第2の波長板及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記第1及び第2の波長板が、位置によって異なる複数の主軸方位を有し、
前記第1の波長板の各位置における主軸方位と、前記第1の波長板の各位置に対応する前記第2の波長板の各位置における主軸方位の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、第1及び第2の偏光変調器によりビーム断面内の位置に応じた偏光変調を行うことができ、1回の測定光の授受により偏光特性の測定を行うことができる。
【0027】
(14)本発明は、測定対象の偏光特性を測定する偏光特性測定方法において、
第1及び第2の偏光変調器と前記測定対象によって変調された測定光を受光する手順と、
前記測定光の強度分布を解析することにより、前記測定対象の偏光特性を表す偏光特性要素を算出する手順とを含み、
前記第1の偏光変調器は、第1の偏光子と第1及び第2の波長板とを含み、
前記第2の偏光変調器は、第2の偏光子と第3及び第4の波長板とを含み、
前記測定光は、光源から出射された光を、前記第1の偏光子、前記第1の波長板及び前記第2の波長板を介して前記測定対象に入射させ、前記測定対象によって変調された前記光を、前記第3の波長板、前記第4の波長板及び前記第2の偏光子を介して受光部に入射させることで得られる光であり、
前記第1、第2、第3及び第4の波長板が、位置によって異なる複数の複屈折位相差を有し、
前記第1及び第2の波長板の各位置における複屈折位相差と、前記第1及び第2の波長板の各位置に対応する前記第3及び第4の波長板の各位置における複屈折位相差の比が、それぞれ1:N(Nは2以上の整数)であることを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、第1及び第2の偏光変調器によりビーム断面内の位置に応じた偏光変調を行うことができ、1回の測定光の授受により偏光特性の測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の測定装置の構成の一例を示す図。
【図2】第1及び第2の1/4波長板の主軸方位の分布の一例を示す図。
【図3】第1及び第2の1/4波長板の主軸方位の分布の一例を示す図。
【図4】カメラによって撮像されたリングビームの画像を示す図。
【図5】本実施形態の測定装置の構成の一例を示す図。
【図6】本実施形態の測定装置の構成の一例を示す図。
【図7】カメラによって撮像されたリングビームの画像を示す図。。
【図8】変形例について説明するための図。
【図9】変形例について説明するための図。
【図10】変形例について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。

【0031】
1.装置の構成
図1は、本実施形態の測定装置(偏光特性測定装置)の構成の一例を示す図である。本実施形態の測定装置は、測定対象である試料30の偏光特性を光学的に計測する装置として構成されている。測定装置は、光学系10と、演算装置70とを含む。演算装置70は、演算処理部として機能し、光学系10に含まれる光学素子及び試料30を透過した光の強度分布に基づき試料30の偏光特性を表す偏光特性要素を算出する演算処理を行う。以下、測定装置の装置構成について説明する。

【0032】
光学系10は、光源12とカメラ50を含む。また光学系10は、光路L上に設けられた、偏光子22(第1の偏光子)、第1の1/4波長板24(第1の波長板)、第2の1/4波長板42(第2の波長板)、検光子44(第2の偏光子)、円錐ミラー62を含む。偏光子22と第1の1/4波長板24とは、偏光変調器20(第1の偏光変調器)を構成し、第2の1/4波長板42と検光子44とは、偏光解析器40(第2の偏光変調器)を構成する。これらの光学素子は、光源12から出射された光を、偏光子22、第1の1/4波長板24を介して試料30に入射させ、試料30を透過した光を、第2の1/4波長板42、検光子44を介して円錐ミラー62の頂点に入射させるように配列されている。以下、それぞれについて説明する。

【0033】
光源12は、所定の波長の光(単色光)を出射する。光源12として、レーザやSLDなどを利用してもよい。また光源12は、出射する光の波長を変更することが可能な構成をなしていてもよい。

【0034】
偏光変調器20は、光源12から出射された光を任意の偏光に変調する。偏光変調器20を透過した光は、ビーム断面内の位置に応じて偏光変調されたビームとなる。また、偏光解析器40は、試料30を透過した光をビーム断面内の位置に応じてさらに偏光変調する。

【0035】
偏光子22は、光源12からの光を直線偏光とする入射側の偏光子であり、検光子44は、第2の1/4波長板42を通過した光を直線偏光とする出射側の偏光子である。

【0036】
第1及び第2の1/4波長板24、42は、90°の複屈折位相差を有する波長板であり、位置によって異なる複数の主軸方位を有する。そして、第1の1/4波長板24の各位置における主軸方位と、第1の1/4波長板24の各位置に対応する第2の1/4波長板42の各位置における主軸方位の比が、それぞれ1:Nとなるように構成している。

【0037】
図2(A)、図2(B)は、第1及び第2の1/4波長板24、42の主軸方位の分布の一例を示す図である。図2(A)、図2(B)に示すように、第1及び第2の1/4波長板24、42は、それぞれ、主軸方位φが光軸に対して対称(軸対称)に配置されている。

【0038】
第1の1/4波長板24は、主軸方位φが光軸を中心として放射状に配置されている。すなわち、第1の1/4波長板24については、その方位角θ(0°≦θ<360°)の範囲で主軸方位φが360°変化している。

【0039】
また第2の1/4波長板42については、その方位角θ(0°≦θ<360°)の範囲で主軸方位φがN×360°変化している。すなわち、第1の1/4波長板24の方位角θにおける主軸方位をφ(θ)とし、第2の1/4波長板42の方位角θにおける主軸方位をφ(θ)とした場合に、φ(θ)=Nφ(θ)の関係を満たすように、第1及び第2の1/4波長板24、42の主軸方位を設定している。なお、図2(B)に示す例は、N=5とした場合の例である。

【0040】
ここで、第1及び第2の1/4波長板24、42の主軸方位φを、連続的に(滑らかに)変化させるように構成することが望ましいが、主軸方位φを段階的に変化させるようにしてもよい。例えば、図2(A)、図2(B)に示す例では、第1及び第2の1/4波長板24、42を、それぞれ30個の扇形のセグメント(領域)に分割し、第1の1/4波長板24については、各セグメントの主軸方位φを光軸回りに12°刻みで変化させており、第2の1/4波長板42については、各セグメントの主軸方位φを光軸回りに60°(5×12°)刻みで変化させている。

【0041】
なお、図3(A)、図3(B)に示すように、第1及び第2の1/4波長板24、42は、それぞれ、主軸方位φが光軸に対して非対称に配置されていてもよい。図3(A)、図3(B)に示す例では、第1の1/4波長板24については、その方位角θ(0°≦θ<360°)の範囲で主軸方位φが180°変化しており、第2の1/4波長板42については、その方位角θ(0°≦θ<360°)の範囲で主軸方位φがN×180°変化している。なお、図3(B)に示す例は、N=5とした場合の例である。すなわち、図3(A)、図3(B)に示す例では、第1及び第2の1/4波長板24、42を、それぞれ30個の扇形のセグメント(領域)に分割し、第1の1/4波長板24については、各セグメントの主軸方位φを光軸回りに6°刻みで変化させており、第2の1/4波長板42については、各セグメントの主軸方位φを光軸回りに30°(5×6°)刻みで変化させている。

【0042】
再び図1を参照すると、円錐ミラー62(コーンミラー)は、偏光解析器40から出射された光(検光子44を透過した光)を放射状に反射する。円錐ミラー62によって放射状に反射された光は、ディスク状の光となって、円筒形のスクリーン60に到達し、円筒形スクリーン60の内面には、リングビームRBが投射される。

【0043】
カメラ50は、受光部として機能するCCDイメージセンサと、撮像レンズなどにより構成され、円筒形スクリーン60の内面に投射されたリングビームRBを撮像し、画像データを演算装置70に対して出力する。

【0044】
図4(A)は、カメラ50によって撮像されたリングビームRBに係る画像を示し、図4(B)は、当該画像におけるリングビームRBの方位角θ方向の光強度分布を示す。図4(B)に示す光強度分布は、従来の手法(2重回転位相子法)において、2つの1/4波長板を1:Nの角度比で回転させながら取得していた光強度分布と同様のものである。

【0045】
すなわち、本実施形態によれば、従来、時系列的に偏光変調して取得していた光強度分布を、1回の画像の撮像(1回の測定光の授受)により取得することができ、実時間での偏光特性の測定を行うことができる。

【0046】
演算装置70は、カメラ50によって撮像された画像の光強度分布に基づき、試料30のミュラー行列の各要素(偏光特性を表す偏光特性要素の一例)を算出する。すなわち、カメラ50によって撮像された画像から、図4(B)に示すような、リングビームRBの方位角θ方向の光強度分布を求める。

【0047】
ここで、第1の1/4波長板24の主軸方位が、光軸回りに0°~360°まで変化しており、第2の1/4波長板42の主軸方位が、光軸回りに0°~N×360°まで変化している場合の、カメラ50によって撮像される画像における光強度I(r,θ)は、下式のように表すことができる。

【0048】
【数1】
JP0005308208B2_000002t.gif

【0049】
なお、Iinは、偏光子22に入射する単色光の光強度であり、θは、リングビームBMの方位角である。また、rはリングビームBMの半径であり、後述するように、波長情報を入れることもできる。また、m00~m33は、試料30のミュラー行列の各要素である。

【0050】
演算装置70は、撮像された画像から求めた方位角θ方向の光強度I(r,θ)をフーリエ解析して、振幅成分にある試料30のミュラー行列の要素m00~m33の少なくとも1つを算出する。なお、N=5とした場合には、ミュラー行列の要素m00~m33の全てを算出することができる。また、仮に第1及び第2の1/4波長板24、42が正確に90°の複屈折位相差を有していなかったり、主軸方位が光軸周りにずれて配置されていた場合でも、従来のキャリブレーションのアルゴリズムを導入することで、ミュラー行列の要素m00~m33を算出することができる.
なお、光学系10は、図1に示すように、偏光解析器40から出射された光を円錐ミラー62の頂点に入射されるように構成されていてもよいし、図5に示すように、偏光解析器40から出射された光を円錐レンズ64(コニカルレンズ)の頂点に入射させるように構成されていてもよい。図5に示す例では、円錐レンズ64を透過した光は、リング状の光となって平面状のスクリーン66に到達し、平面スクリーン66にはリングビームRBが投射される。そして、カメラ50は、平面スクリーンに投射されたリングビームRBを撮像し、図4(A)に示すようなリングビームRBに係る画像を取得する。

【0051】
また、光学系10は、図1に示すように、円錐ミラー62によって円筒形スクリーン60の内面に投射されたリングビームRBを、カメラ50により撮像するように構成されていてもよいし、図6に示すように、円錐ミラー62によって放射状に反射された光を、複数のフォトディテクタ52(受光部)を方位角θ方向に並べてなるフォトディテクタアレイによって検出するように構成されていてもよい。図6に示す例では、方位角θ方向に配置された各フォトディテクタ52が検出した光を、測定光の方位角θ方向の光強度分布として検出することができる。

【0052】
また、図1、図5に示す構成において、円錐ミラー62又は円錐レンズ64の側面に微細な周期構造を設けるようにしてもよい。微細な周期構造を有する円錐ミラー62は回折格子として機能し、また微細な周期構造を有する円錐レンズ64はプリズムとして機能するため、このような円錐ミラー62又は円錐レンズ64を用いることにより、偏光解析器40から出射された光を分光することができる。この場合には、光源12は、白色光又は所定の帯域成分を含む光を出射するように構成する。

【0053】
図7は、光源12から2つの波長成分λ、λを含む光を出射させ、偏光解析器40から出射された光を、微細な周期構造を有するコーンミラー62又はコーンレンズ64によって分光させた場合に、カメラ50によって撮像された画像である。コーンミラー62又はコーンレンズ64によって分光させると、図7に示すように、波長によって半径rの異なる複数のリングビームRBを含む画像を取得することができる。すなわち、予め入射光の波長λに対応する半径rを測定しておくことで、分光情報をも同時に測定することができる。つまり、半径rにおける方位角θ方向の光強度分布I(r,θ)を解析することにより、試料30の波長毎の偏光特性を測定することができる。

【0054】
2.変形例
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。

【0055】
例えば、本実施形態では、位置によって異なる複数の主軸方位を有する1/4波長板により第1及び第2の偏光変調器を構成する場合について説明したが、位置によって異なる複数の複屈折位相差を有する波長板により第1及び第2の偏光変調器を構成するようにしてもよい。

【0056】
例えば、図8に示す測定装置では、偏光変調器20(第1の偏光変調器)は、偏光子22と第1及び第2の波長板26、28とを含み、偏光解析器40(第2の偏光変調器)は、検光子44と第3及び第4の波長板46、48を含む。そして光学系10の光学素子は、光源12から出射された光を、偏光子22、第1の波長板26、第2の波長板28を介して試料30に入射させ、試料30を透過した光を、第3の波長板46、第4の波長板48、検光子44を介して円錐ミラー62の頂点に入射されるように配列されている。

【0057】
ここで、第1の波長板26は、その主軸方位が偏光子22の透過軸の方位に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、第2の波長板28は、その主軸方位が第1の波長板26の主軸方位に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定される。また、第4の波長板48は、その主軸方位が検光子44の透過軸に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定され、第3の波長板46は、その主軸方位が第4の波長板48の主軸方位に対して45°の奇数倍の角度差を有するように設定される。図8に示す例では、偏光子22と検光子44は、その透過軸の方位が0°となるように設定され、第1の波長板26と第4の波長板48は、その主軸方位が45°となるように設定され、第2の波長板28と第3の波長板46は、その主軸方位が0°となるように設定される。

【0058】
第1、第2、第3及び第4の波長板26、28、46、48は、それぞれ、位置によって異なる複屈折位相差を有する波長板であり、その機能は、スパイラル位相板や、格子状或いは六角形状に配置された複数の画素を有し、各画素が液晶リターダとして駆動する液晶空間位相変調器(液晶空間光変調器:Spatial Light Modulator)により実現することができる。そして、第1及び第2の波長板26、28の各位置における複屈折位相差と、第1及び第2の波長板26、28の各位置に対応する第3、及び第4の波長板46、48の各位置における複屈折位相差の比が、それぞれ1:Nとなるように構成している。

【0059】
図9(A)、図9(B)は、第1、第2、第3及び第4の波長板26、28、46、48の主軸方位の分布の一例を示す図である。

【0060】
図9(A)に示すように、第1及び第2の波長板26、28については、その方位角θ(0°≦θ<360°)の範囲で複屈折位相差δが360°変化している。

【0061】
また、図9(B)に示すように、第3及び第4の波長板46、48については、その方位角θ(0°≦θ<360°)の範囲で複屈折位相差δがN×360°変化している。すなわち、第1及び第2の波長板26、28の方位角θにおける複屈折位相差をδ(θ)とし、第3及び第4の波長板46、48の方位角θにおける複屈折位相差をδ(θ)とした場合に、δ(θ)=Nδ(θ)の関係を満たすように、第1、第2、第3及び第4の波長板26、28、46、48の複屈折位相差を設定している。なお、図9(B)に示す例は、N=5とした場合の例である。

【0062】
ここで、第1、第2、第3及び第4の波長板26、28、46、48の複屈折位相差δを、連続的に(滑らかに)変化させるように構成することが望ましいが、複屈折位相差δを段階的に変化させるようにしてもよい。例えば、図9(A)、図9(B)に示す例では、第1、第2、第3及び第4の波長板26、28、46、48を、それぞれ30個の扇形のセグメント(領域)に分割し、第1及び第2の波長板26、28については、各セグメントの複屈折位相差δを光軸回りに12°刻みで変化させており、第3及び第4の波長板46、48については、各セグメントの複屈折位相差δを光軸回りに60°(5×12°)刻みで変化させている。

【0063】
図1に示す測定装置と同様に、図8に示す測定装置においても、円錐ミラー62は、偏光解析器40から出射された光を放射状に反射し、カメラ50は、円筒形スクリーン60の内面に投射されたリングビームRBを撮像する。

【0064】
ここで、カメラ50によって撮像された画像におけるリングビームRBの方位角θ方向の光強度分布は、従来の手法(電気光学変調法)において、第1及び第2の液晶リターダの複屈折位相差δ、δを、δ=δ=δとし、第3及び第4の液晶リターダの複屈折位相差δ、δを、δ=δ=Nδとして、δを0°から360°まで時系列的に変調させながら取得していた光強度分布と同様のものである。すなわち、測定装置を図8に示すような構成とした場合でも、従来、時系列的に偏光変調して取得していた光強度分布を、1回の画像の撮像(1回の測定光の授受)により取得することができ、実時間での偏光特性の測定を行うことができる。

【0065】
ここで、第1、第2、第3及び第4の波長板26、28、46、48の方位角θにおける複屈折位相差を、それぞれδ(θ)、δ(θ)、δ(θ)、δ(θ)とすると、カメラ50によって撮像される画像における光強度I(r,δ(θ),δ(θ),δ(θ),δ(θ))は、下式のように表すことができる。

【0066】
【数2】
JP0005308208B2_000003t.gif

【0067】
この光強度I(r,δ(θ),δ(θ),δ(θ),δ(θ))をフーリエ解析することで、振幅成分にある試料30のミュラー行列の要素m00~m33の少なくとも1つを算出することができる。なお、仮に第1、第2、第3及び第4の波長板26、28、46、48のもつ複屈折位相差に誤差がある場合や、主軸方位が設定したものからずれてしまった場合でも、従来のキャリブレーションのアルゴリズムを導入することで、ミュラー行列の要素m00~m33を算出することができる。

【0068】
また、本実施形態では、偏光変調器20から出射された光をそのまま試料30に入射させる場合について説明したが、図10に示すように、光学系10を、偏光変調器20(第1の偏光変調器)から出射された光を、集光レンズ14(第1のレンズ)により試料30に集光させ、試料30を透過した光を、コリメートレンズ16(第2のレンズ)により平行光として偏光解析器40(第2の偏光変調器)に入射させるように構成してもよい。このようにすると、試料30に対して異なる複数の方向から光を入射させることができ、上述した手法により測定光(リングビームRB)の方位角θ方向の光強度を解析することにより、それぞれの方向の光に対する試料30の偏光特性を測定することができる。すなわち、試料30の屈折率楕円体(3方向の屈折率)の測定を1回の測定光の授受により行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
12 光源、20 偏光変調器、22 偏光子、24 第1の1/4波長板、26 第1の波長板、28 第2の波長板、30 試料、40 偏光解析器、42 第2の1/4波長板、44 検光子、46 第3の波長板、48 第4の波長板、50 カメラ、62 円錐ミラー、64 円錐レンズ、70 演算装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図8】
5
【図10】
6
【図4】
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【図7】
8
【図9】
9