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明細書 :赤かび病抵抗性植物の作製方法およびその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5794610号 (P5794610)
公開番号 特開2011-172562 (P2011-172562A)
登録日 平成27年8月21日(2015.8.21)
発行日 平成27年10月14日(2015.10.14)
公開日 平成23年9月8日(2011.9.8)
発明の名称または考案の名称 赤かび病抵抗性植物の作製方法およびその利用
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
A01H   1/00        (2006.01)
A01H   5/00        (2006.01)
C12N  15/113       (2010.01)
C07K  14/415       (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
A01H 1/00 A
A01H 5/00 A
C12N 15/00 G
C07K 14/415
請求項の数または発明の数 5
全頁数 28
出願番号 特願2011-015302 (P2011-015302)
出願日 平成23年1月27日(2011.1.27)
優先権出願番号 2010020567
優先日 平成22年2月1日(2010.2.1)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年11月11日(2013.11.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】西内 巧
【氏名】浅野 智哉
【氏名】加藤 智朗
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査官 【審査官】一宮 里枝
参考文献・文献 国際公開第2004/108900(WO,A1)
特開昭61-265022(JP,A)
特開2009-219402(JP,A)
特開2007-159479(JP,A)
特開2000-032985(JP,A)
調査した分野 C12N 15/00-15/90
A01H 1/00-17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/AGRICOLA/SCISEARCH/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
特許請求の範囲 【請求項1】
植物において、以下の(a)~(e)のいずれかの遺伝子の発現を抑制する工程を含むことを特徴とする赤かび病抵抗性植物の作製方法。
(a)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子。
(b)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(c)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(d)配列番号19~30,43~48に記載される塩基配列からなる遺伝子。
(e)上記(a)~(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
【請求項2】
上記遺伝子の発現を抑制する工程は、RNAi法、アンチセンス法、遺伝子破壊法および共抑制法から選択されるいずれかの手法により行なわれることを特徴とする請求項1に記載の赤かび病抵抗性植物の作製方法。
【請求項3】
上記(a)~(e)のいずれかの遺伝子の発現を抑制した植物細胞を作製する工程、
該植物細胞から植物体を再生させる工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の赤かび病抵抗性植物の作製方法。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の作製方法により得られたことを特徴とする赤かび病抵抗性植物。
【請求項5】
植物において、以下の(a)~(e)のいずれかの遺伝子の有無、あるいは該遺伝子の発現が抑制されているか否かを判定する工程を含むことを特徴とする赤かび病抵抗性植物の選抜方法。
(a)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子。
(b)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(c)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(d)配列番号19~30,43~48に記載される塩基配列からなる遺伝子。
(e)上記(a)~(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、赤かび病抵抗性植物の作製方法およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
糸状菌であるフザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)を原因菌とする麦類赤かび病は、コムギ、オオムギ、エン麦、トウモロコシ等の多くのイネ科主要穀物に感染する病害であり、最重要病害のひとつとして知られる。赤かび病菌は、ありふれた腐生菌で、世界中の麦作地帯に分布しており、特に開花期から登熟期に雨の多い地域で被害が大きい。この赤かび病菌が穂に感染することによって、粒の肥大の阻害や穂全体の枯れが引き起こされ、穀粒の商品価値が損なわれるのみならず、赤かび病菌が産生するトリコテセン系カビ毒が、食品の安全性の観点から問題とされている。
【0003】
トリコテセン系カビ毒は、pHの変化や熱に対して安定であるため無毒化することが困難であり、人畜が摂取すると吐き気、嘔吐、腹痛といった中毒症状を引き起こし、状況によっては死に至る極めて危険性の高い毒素である。トリコテセン系カビ毒は、非常に多様な分子種が存在し、その構造から大きく4つのグループに分けられる。赤かび病菌の中には数多くのstrainがあり、それぞれが産生するトリコテセン系カビ毒の分子種が決まっている。これらのうち、汚染の報告例が多いのはタイプAとタイプBの2つである。
【0004】
タイプAには、非常に毒性の強いT2トキシン等が含まれるが、汚染範囲が限られている。一方、タイプBのトリコテセン系カビ毒には、デオキシニバレノール(Deoxynivalenol;DON)やニバレノール(Nivalenol;NIV)等が含まれる。タイプBの毒性はタイプAほど強くないが、汚染範囲が広範であるため、被害はより深刻である。例えば、我が国においては、2002年5月、厚生労働省により小麦粒中に含まれるDONの濃度を1.1ppm以下とする暫定基準値が設けられている。
【0005】
このように、一定基準を超えてトリコテセン系カビ毒を含有する赤かび病罹病穀物は醸造、加工、飼料等いかなる形態でも利用することができず廃棄される。その一方で、食の安全性に対する意識が高まっているため、赤かび病発生を抑える農薬は極力使用しない栽培が求められている。
【0006】
このような環境のなか、赤かび病の抵抗性品種の開発が世界規模で解決すべき緊急の課題となっており、既にいくつかの技術が報告されている。例えば、特許文献1には、二条性を示すオオムギ品種と六条性を示すオオムギ品種との交配分離世代を用い、これらの各個体の条性を正確に判定し、条性に関与する遺伝子および該遺伝子と連鎖する分子マーカーを用いて、二条あるいは六条性遺伝子と連鎖する赤かび病抵抗性を識別する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2004-313062号公報(平成16年11月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、赤かび病の抵抗性品種の開発はいまだ十分とはいえない。特に、汚染の深刻なタイプBのトリコテセン系カビ毒を産生する赤かび病菌に対する抵抗性品種の開発は強く求められている。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、赤かび病に対して抵抗性を有する植物の作製方法およびその利用等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、赤かび病菌、特にDONまたはNIV等のタイプBのトリコテセン系カビ毒を産生する赤かび病原菌に対する感受性または抵抗性に関与する遺伝子を複数見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、以下の構成からなるものである。
(1)植物において、以下の(a)~(e)のいずれかの遺伝子の発現を抑制する工程を含む赤かび病抵抗性植物の作製方法。
(a)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子。
(b)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(c)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(d)配列番号19~30,43~48に記載される塩基配列からなる遺伝子。
(e)上記(a)~(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(2)上記遺伝子の発現を抑制する工程は、RNAi法、アンチセンス法、遺伝子破壊法および共抑制法から選択されるいずれかの手法により行なわれる(1)に記載の赤かび病抵抗性植物の作製方法。
(3)上記(a)~(e)のいずれかの遺伝子の発現を抑制した植物細胞を作製する工程、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む(1)または(2)に記載の赤かび病抵抗性植物の作製方法。
(4)植物において、以下の(f)~(j)のいずれかの遺伝子の発現を増大させる工程を含む赤かび病抵抗性植物の作製方法。
(f)配列番号13~18に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子。
(g)配列番号13~18に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(h)配列番号13~18に記載されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(i)配列番号31~36に記載される塩基配列からなる遺伝子。
(j)上記(f)~(i)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の作製方法により得られた赤かび病抵抗性植物。
(6)植物において、上記(a)~(e)のいずれかの遺伝子の有無、あるいは該遺伝子の発現が抑制されているか否かを判定する工程を含む赤かび病抵抗性植物の選抜方法。
(7)植物において、上記(f)~(j)のいずれかの遺伝子の有無、あるいは該遺伝子の発現が増大しているか否かを判定する工程を含む赤かび病抵抗性植物の選抜方法。
(8)赤かび病に罹病性の植物に対して、赤かび病菌が産生するタイプBのトリコテセン系カビ毒を作用させ、当該植物における応答遺伝子を同定する第1の工程、第1の工程にて同定した遺伝子の変異体を用いて、上記タイプBのトリコテセン系カビ毒に対する抵抗性を評価する第2の工程、第2の工程にて同定した遺伝子の変異体を用いて、上記タイプBのトリコテセン系カビ毒を産生する赤かび病菌に対する抵抗性を評価する第3の工程、を含む赤かび病に対する感受性に関与する遺伝子の同定方法。
(9)上記(f)~(j)および下記(k)~(o)のいずれかの遺伝子を含む組換えベクター。
(k)配列番号37~42に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子。
(l)配列番号37~42に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(m)配列番号37~42に記載されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(n)配列番号43~48に記載される塩基配列からなる遺伝子。
(o)上記(k)~(n)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、赤かび病菌、特にDONやNIV等のタイプBのトリコテセン系カビ毒を産生する赤かび病菌に対する抵抗性を有する植物を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】シロイヌナズナのRPS27a/UBQ15タンパク質と、イネおよびオオムギにおけるオルソログとについて、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。
【図2】シロイヌナズナのANAC074タンパク質と、イネおよびオオムギにおけるオルソログとについて、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。
【図3】シロイヌナズナのPRE1タンパク質と、イネおよびオオムギにおけるオルソログとについて、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。
【図4】シロイヌナズナのCaleosin-related proteinタンパク質と、イネおよびオオムギにおけるオルソログとについて、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。
【図5】シロイヌナズナのMATH domain-containing proteinタンパク質と、イネおよびオオムギにおけるオルソログとについて、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。
【図6】(a)はシロイヌナズナのRPS27a/UBQ15遺伝子の変異体と野生型とに対して、赤かび病菌を接種して4日間生育させた状態を示す図であり、(b)は赤かび病菌の接種8日後の変異体と野生型とにおける赤かび病の重症度を示すグラフである。
【図7】(a)はシロイヌナズナのRPS27a/UBQ15遺伝子の変異体と野生型とについて、DON含有培地にて生育させた状態を示す図であり、(b)はDON含有培地にて生育させた変異体と野生型とについて生重量を測定したグラフであり、(c)はDON含有培地にて生育させた変異体と野生型とについて根長を測定したグラフである。
【図8】DON含有培地にて生育させたシロイヌナズナのANAC074遺伝子の変異体と野生型とについて、生重量を測定したグラフである。
【図9】DON含有培地にて生育させたシロイヌナズナのPRE1遺伝子の変異体と野生型とについて、生重量を測定したグラフである。
【図10】(a)はシロイヌナズナのDUF295-1,DUF295-2,DUF295-3遺伝子の変異体と野生型とについて、DON含有培地にて生育させた状態を示す図であり、(b)および(c)はDON含有培地にて生育させた変異体と野生型とについて生重量を測定したグラフである。
【図11】NIV含有培地にて生育させたシロイヌナズナのCaleosin-related protein遺伝子の変異体と野生型とについて、生重量を測定したグラフである。
【図12】NIV含有培地にて生育させたシロイヌナズナのMATH domain-containing protein遺伝子の変異体と野生型とについて、生重量を測定したグラフである。
【図13】(a)はERF071遺伝子の変異体と野生型とについて、赤かび病菌接種後5日後の病徴を示した図であり、(b)はERF071遺伝子の変異体、ANAC079遺伝子の変異体および野生型について、赤かび病菌を接種した組織から抽出した全ゲノム中に対する赤かび病菌のゲノムDNA量をパーセントにより算出した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について、以下に詳細に説明する。

【0014】
<1.赤かび病抵抗性植物の作製方法>
<1-1.赤かび病に対する感受性に関与する遺伝子を利用する方法>
本発明に係る赤かび病抵抗性植物の作製方法は、植物において、以下に述べる(a)~(e)のいずれかの遺伝子の発現を抑制する工程を含むものであればよく、その他の工程、条件、材料等については特に限定されるものではない。
(a)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子。
(b)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(c)配列番号1~12,37~42に記載されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(d)配列番号19~30,43~48に記載される塩基配列からなる遺伝子。
(e)上記(a)~(d)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。

【0015】
上記(a)~(e)の遺伝子は赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードしているため、植物においてこれらの遺伝子の発現を抑制することにより、植物の赤かび病に対する抵抗性を付与ないしは高めることができる。

【0016】
まず、上記(a)の遺伝子について具体的に説明する。

【0017】
配列番号1は、シロイヌナズナ由来のRPS27a/UBQ15タンパク質のアミノ酸配列を示す(AT1G23410)。RPS27a/UBQ15タンパク質は、156アミノ酸からなるリボゾーマルタンパク質であり、ユビキチンドメインとリボゾーマルドメインを有する。RPS27a/UBQ15タンパク質の機能については十分にわかっていなかったが、今回本発明者らは、赤かび病に対する感受性に関与する機能を有することを見出した。なお、リボゾーマルドメインが、本機能に重要であると推測される。

【0018】
配列番号2は、イネにおけるRPS27a/UBQ15タンパク質のオルソログのアミノ酸配列を示す(Os05g0160200)。本タンパク質は、155アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にユビキチンドメインとリボゾーマルドメインを有する。配列番号3は、オオムギにおけるRPS27a/UBQ15タンパク質のオルソログのアミノ酸配列を示す(M60176、Barley ubiquitin (mub2) gene, complete cds. CDS 750..1217)。本タンパク質は、155アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にユビキチンドメインとリボゾーマルドメインを有する。図1のアライメントに示すように、これら3つのタンパク質は非常に相同性が高い。それゆえ、これらオルソログについても赤かび病に対する感受性に関与する機能を有するといえる。

【0019】
配列番号4は、シロイヌナズナ由来のタンパク質であって、ANAC074と呼ばれる全長352アミノ酸からなるタンパク質のアミノ酸配列を示す(AT4G28530)。NACドメインを有する。機能については十分にわかっていなかったが、今回本発明者らは、赤かび病に対する感受性に関与する機能を有することを見出した。なお、NACドメインが、本機能に重要であると推測される。

【0020】
配列番号5は、イネにおけるANAC074のオルソログのアミノ酸配列を示す(Os04t0515900(Similar to NAM / CUC2-like protein))。本タンパク質は、278アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にNACドメインを有する。配列番号6は、オオムギにおけるANAC074のオルソログのアミノ酸配列を示す(AM500855、Hordeum vulgare subsp. vulgare mRNA for NAC transcription factor (nac1 gene). CDS 361..1275)。本タンパク質は、304アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にNACドメインを有する。図2のアライメントに示すように、NACドメイン近辺において、これら3つのタンパク質は非常に相同性が高い。それゆえ、これらオルソログについても赤かび病に対する感受性に関与する機能を有するといえる。

【0021】
配列番号7は、シロイヌナズナ由来のタンパク質であって、PRE1と呼ばれる全長92アミノ酸からなるタンパク質のアミノ酸配列を示す(AT5G39860)。本タンパク質は、bHLH(basic Helix-Loop-Helix)ドメインを有する。機能については十分にわかっていなかったが、今回本発明者らは、赤かび病に対する感受性に関与する機能を有することを見出した。

【0022】
配列番号8は、イネにおけるPRE1のオルソログのアミノ酸配列を示す(Os03g0171300 (Similar to DNA-binding protein-like))。本タンパク質は、92アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にbHLHドメインを有する。配列番号9は、オオムギにおけるPRE1のオルソログのアミノ酸配列を示す(AK252900、Hordeum vulgare subsp. vulgare cDNA clone: FLbaf180m01, mRNA )。本タンパク質は、88アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にbHLHドメインを有する。図3のアライメントに示すように、これら3つのタンパク質は非常に相同性が高い。それゆえ、これらオルソログについても赤かび病に対する感受性に関与する機能を有するといえる。

【0023】
配列番号10は、シロイヌナズナ由来の、DUF295-1と呼ばれる全長359アミノ酸からなるタンパク質のアミノ酸配列を示す(AT5G54550)。また、配列番号11は、シロイヌナズナ由来の、DUF295-2と呼ばれる全長362アミノ酸からなるタンパク質のアミノ酸配列を示す(AT5G52940)。配列番号12は、シロイヌナズナ由来の、DUF295-3と呼ばれる全長358アミノ酸からなるタンパク質のアミノ酸配列を示す(AT5G53230)。これら3つのタンパク質は、いずれも機能未知のDUFドメインを有するが、その機能については十分にわかっていなかった。今回本発明者らは、これら3つのタンパク質について、赤かび病に対する感受性に関与する機能を有することを見出した。

【0024】
配列番号37は、シロイヌナズナ由来のERF071タンパク質のアミノ酸配列を示す(AT2G47520)。ERF071タンパク質は、171アミノ酸からなるタンパク質である。ERF071タンパク質の機能については十分にわかっていなかったが、今回本発明者らは、赤かび病に対する感受性に関与する機能を有することを見出した。

【0025】
配列番号38は、イネにおけるERF071タンパク質のオルソログのアミノ酸配列を示す(Os01g0313300-01)。本タンパク質は、207アミノ酸からなるタンパク質であり、シロイヌナズナ由来のERF071タンパク質の全長アミノ酸配列を用いてBlastPを行うと、本タンパク質がE-value 3e-21、Score 99でヒットする。配列番号39は、オオムギにおけるERF071タンパク質のオルソログのアミノ酸配列を示す(AK251681 Hordeum vulgare subsp. vulgare cDNA clone: FLbaf129h12, mRNA)。本タンパク質は、369アミノ酸からなるタンパク質であり、シロイヌナズナ由来のERF071タンパク質の全長アミノ酸配列を用いてBlastPを行うと、本タンパク質がE-value 1e-28、Score 122でヒットする。これら3つのタンパク質は相同性が高い。それゆえ、これらオルソログについても赤かび病に対する感受性に関与する機能を有するといえる。

【0026】
配列番号40は、シロイヌナズナ由来のANAC079タンパク質のアミノ酸配列を示す(AT2G47520)。ANAC079タンパク質は、329アミノ酸からなるタンパク質である。ANAC079タンパク質の機能については十分にわかっていなかったが、今回本発明者らは、赤かび病に対する感受性に関与する機能を有することを見出した。

【0027】
配列番号41は、イネにおけるANAC079タンパク質のオルソログのアミノ酸配列を示す(Os04g0460600)。本タンパク質は、186アミノ酸からなるタンパク質であり、シロイヌナズナ由来のANAC079タンパク質の全長アミノ酸配列を用いてBlastPを行うと、本タンパク質がE-value 6e-77、Score 284でヒットする。配列番号42は、オオムギにおけるANAC079タンパク質のオルソログのアミノ酸配列を示す(AK250475 Hordeum vulgare subsp. vulgare cDNA clone: FLbaf77e13, mRNA)。本タンパク質は、304アミノ酸からなるタンパク質であり、シロイヌナズナ由来のANAC079タンパク質の全長アミノ酸配列を用いてBlastPを行うと、本タンパク質がE-value 1e-51、Score 200でヒットする。これら3つのタンパク質は相同性が高い。それゆえ、これらオルソログについても赤かび病に対する感受性に関与する機能を有するといえる。

【0028】
上記(b)の遺伝子は、配列番号1~12,37~42に示すアミノ酸配列を有するタンパク質に関して、機能的に同等(同一および/または類似)の変異体、誘導体、バリアントまたはホモログ、オルソログ等を意図しており、赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。ここで、欠失、置換、若しくは付加されてもよいアミノ酸の数としては、上記機能を失わせない限り、その個数は制限されないが、部位特異的突然変異誘発法等の公知の変異導入法により欠失、置換、若しくは付加できる程度の数をいい、通常は、30アミノ酸以内であり、好ましくは20アミノ酸以内であり、さらに好ましくは10アミノ酸以内であり、最も好ましくは5アミノ酸以内である。変異を導入したタンパク質が植物に所望の形質を付与するかどうかは、そのタンパク質をコードする遺伝子の発現を抑制し、その植物が赤かび病に対して抵抗性を示すかどうか調べることにより判断できる。また、ここにいう「変異」は、主には部位特異的突然変異誘発法等により人為的に導入された変異を意味するが、天然に存在する同様の変異であってもよい。

【0029】
変異するアミノ酸残基においては、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に変異されることが好ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ酸(R、K、H)、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。あるアミノ酸配列に対する1または複数個のアミノ酸残基の欠失、付加および/または他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することはすでに知られている。

【0030】
上記(c)の遺伝子も、配列番号1~12,37~42に示すアミノ酸配列を有するタンパク質に関して、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアントまたはホモログ、オルソログ等を意図しており、赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。アミノ酸配列の相同性は、アミノ酸配列全体(若しくは機能発現に必要な領域)で、少なくとも70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%、96%、97%、98%、99%以上)の配列の同一性を有する。配列の相同性は、BLASTN(核酸レベル)やBLASTX(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol., 215: 403-410, 1990) を利用して決定することができる。該プログラムは、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST (Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:2264-2268, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877, 1993) に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore = 100、wordlength =12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore = 50、wordlength = 3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。比較対象の塩基配列またはアミノ酸配列を最適な状態にアラインメントするために、付加または欠失(例えば、ギャップ等)を許容してもよい。

【0031】
上記(d)の遺伝子について、配列番号19は、配列番号1に示すアミノ酸配列のRPS27a/UBQ15タンパク質をコードする遺伝子の塩基配列(ORF)を示す。以下、同様に、配列番号20~30のポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号2~12に示すアミノ酸配列のタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列(ORF)を示す。また、配列番号43~48のポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号37~42に示すアミノ酸配列のタンパク質をコードする塩基配列(ORF)を示す。

【0032】
上記(e)遺伝子は、上記(a)~(d)のいずれかのポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを意図している。

【0033】
ここで、ストリンジェントな条件とは、いわゆる塩基配列に特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成され、非特異的な2本鎖のポリヌクレオチドが形成されない条件をいう。換言すれば、相同性が高い核酸同士、例えば完全にマッチしたハイブリッドの融解温度(Tm値)から15℃、好ましくは10℃、更に好ましくは5℃低い温度までの範囲の温度でハイブリダイズする条件ともいえる。例えば、一般的なハイブリダイゼーション用緩衝液中で、68℃、20時間の条件でハイブリダイズする条件を挙げることができる。また、より具体的には、0.25M Na2HPO4, pH7.2, 7%SDS, 1mM EDTA, 1×デンハルト溶液からなる緩衝液中で温度が60~68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で16~24時間ハイブリダイズさせ、さらに20mM Na2HPO4, pH7.2, 1%SDS, 1mM EDTAからなる緩衝液中で温度が60~68℃、好ましくは65℃、さらに好ましくは68℃の条件下で15分間の洗浄を2回行う条件を挙げることができる。当業者であれば、Molecular Cloning(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning :a Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 10 Skyline Drive Plainview, NY (1989))等を参照することにより、こうした遺伝子を容易に取得することができ、また、配列番号1等に示す塩基配列との相同性は、FASTA検索やBLAST検索により決定することができる。なお、ポリヌクレオチドの塩基配列は、Science, 214: 1205 (1981)に記載されたジデオキシ法により決定され得る。

【0034】
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「核酸」または「核酸分子」と交換可能に使用され、ヌクレオチドの重合体が意図される。ここで、遺伝子は、DNAの形態(例えば、cDNAもしくはゲノムDNA)、またはRNA(例えば、mRNA)の形態で存在し得る。DNAまたはRNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。一本鎖DNAまたはRNAは、コード鎖(センス鎖)であっても、非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。また、遺伝子は化学的に合成してもよく、コードするタンパク質の発現が向上するように、コドンユーセージ(Codon usage)を変更してもよい。勿論、同じアミノ酸をコードするコドン同士であれば置換することも可能である。

【0035】
また、本発明に利用する遺伝子・タンパク質を得る方法としては、通常行われるポリヌクレオチド改変方法を用いてもよい。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドの特定の塩基を置換、欠失、挿入および/または付加することで、所望の組換えタンパク質の遺伝情報を有するポリヌクレオチドを作製することができる。ポリヌクレオチドの塩基を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(KOD-Plus Site-Directed Mutagenesis Kit;東洋紡績製,Transformer Site-Directed Mutagenesis Kit; Clontech製,QuickChange Site Directed Mutagenesis Kit; Stratagene製など)の使用、またはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)の利用が挙げられる。これらの方法は当業者に公知である。

【0036】
また、本発明に利用する遺伝子は、上記タンパク質をコードするポリヌクレオチドのみからなるものであってもよいが、その他の塩基配列が付加されていてもよい。付加される塩基配列としては、限定されないが、標識(例えば、ヒスチジンタグ、MycタグまたはFLAGタグなど)、融合タンパク質(例えば、ストレプトアビジン、シトクロム、GST、GFPまたはMBPなど)、プロモーター配列、およびシグナル配列(例えば、小胞体移行シグナル配列、および分泌配列など)をコードする塩基配列などが挙げられる。これらの塩基配列が付加される部位は特に限定されるものではなく、例えば、翻訳されるタンパク質のN末端であっても、C末端でもあってもよい。

【0037】
本発明の方法の対象となる植物としては、赤かび病に感染する植物であれば特に制限はなく、イネ科植物が好ましく、ムギ類植物がより好ましい。例えばイネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、エンバク、アワ、モロコシ、シロイヌナズナ等を挙げることができる。

【0038】
また、本発明において、形質転換の対象とする植物材料としては、例えば、根、茎、葉、種子、胚、胚珠、子房、茎頂、葯、花粉等の植物組織やその切片、細胞、カルス、それを酵素処理して細胞壁を除いたプロプラスト等の植物細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

【0039】
「赤かび病」とは、フザリウム・グラミネアラムを原因菌とする麦類赤かび病を意図しているが、本発明は、特にタイプBのトリコテセンカビ毒を産生する赤かび病菌が原因となる赤かび病に対する効果が高く、さらにはDONおよび/またはNIVを産生する赤かび病菌が原因となる赤かび病に対する効果がより高いため、好ましい。

【0040】
「遺伝子の発現を抑制する」とは、対象とする植物内において、上記遺伝子がコードするタンパク質が産生されず、あるいは産生量が減少すればよく、発現抑制以外にも遺伝子破壊等を含む。また上記遺伝子のDNAからmRNAへの転写工程を阻害するものであってもよいし、遺伝子のmRNAからタンパク質への翻訳工程を阻害するものであってもよい。また、その阻害の程度としても、特に制限はなく、結果として、上記遺伝子の発現抑制を受けた植物が、赤かび病に対する抵抗性を示すようになればよい。

【0041】
遺伝子の発現を抑制する手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、RNAi法、アンチセンス法、遺伝子破壊法、共抑制法およびリボザイム法から選択されるいずれかの手法により行なわれることが好ましい。

【0042】
RNAi法を利用する場合であれば、例えば、RNAiベクターを用いて、上記遺伝子の発現時に、RNAi効果により、上記遺伝子の発現を抑制するRNAをコードするDNAを導入する方法を挙げることができる。かかる手法は、上記遺伝子の発現を該遺伝子の塩基配列と同一若しくは類似した配列を有する二本鎖RNAによるRNA interference(RNAi)によって抑制するものである。

【0043】
RNAiベクターとしては、植物においてRNAiを引き起こすdsRNAをヘアピン型dsRNAとして発現するベクターが好適に利用できる。これは数塩基以上のリンカー(スペーサー)配列の両端にIR(inverted repeat:逆位反復)となるようにdsRNA形成部分に対応したDNA配列を配置し、植物体内で高発現するプロモーターによりヘアピン型dsRNAを転写し、細胞内でsiRNAを産生するシステムである。また、siRNA発現システムには上記のようなヘアピンタイプのほか、タンデムタイプも利用可能である。タンデムタイプでは、2つのプロモーターからセンスRNAとアンチセンスRNAが転写され、細胞内でハイブリダイズしてsiRNAを産生する。RNAiを引き起こす二本鎖RNAの配列は、例えば、配列番号19~30の塩基配列中の連続した15~49塩基、好ましくは15~35塩基、さらに好ましくは21~30塩基を含む塩基配列およびその相補配列が用いられる。

【0044】
例えば、本発明において用いるRNAiベクターとしては、配列番号19~30のいずれかに示す塩基配列中の連続した15~49塩基(好ましくは15~35塩基、さらに好ましくは21~30塩基)の塩基配列と該塩基配列の相補配列とを含むベクターや配列番号1~12のいずれかに示す塩基配列に相同なDNA配列を、スペーサーをはさんで15~49塩基(好ましくは15~35塩基、さらに好ましくは21~30塩基)のIRとなるように同一のベクター上に含むものが好ましい。このようなRNAiベクターとして、例えば、COMMONWEALTH SCIENTIFIC AND INDUSTRIAL RESEARCH ORGANIZATION 社のベクター等が知られている(WO 99/53050、特表2002-511258、特開2002-51602、特開2004-52642)。

【0045】
上述したRNAiベクターの植物細胞への導入は、アグロバクテリウム法、ポリエチレングリコール法、エレクトロポレーション法等の公知の手法を用いることができ、形質転換されたタバコ属植物は、ベクター内に連結されたレポーター遺伝子や選抜マーカー遺伝子により容易に選抜される。

【0046】
アンチセンス法を利用する場合であれば、上記遺伝子の転写産物の一部または全てと相補的なアンチセンスRNAをコードするDNAを導入する方法を挙げることができる。かかる手法は、植物における上記遺伝子(以下、標的遺伝子という場合がある)の発現を、該遺伝子の転写産物の一部または全てと相補的なアンチセンスRNAをコードするDNAを導入して抑制するものである。

【0047】
植物内で、上記遺伝子のmRNAの少なくとも一部に相補的なアンチセンスRNA鎖を発現させる方法としては、特に制限はなく、当業者に公知の手法を適宜利用することができる。例えば、上記遺伝子の少なくとも一部を、プロモーターの下流にアンチセンス方向に連結した発現カセットを構築し、上記発現カセットを植物細胞内に導入する方法などが挙げられる。上記発現カセットの構築方法としては、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、植物内で転写可能なプロモーター配列、上記アンチセンスRNA鎖をコードするDNA断片、および必要に応じて適宜ターミネーター配列等を連結することにより構築できる。また、上記発現カセットを植物細胞内に導入する方法としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、パーティクルガン法等、当業者に公知の手法を利用できる。また、上記発現カセットは、ベクターを介して植物細胞内に導入されてもよい。例えば、適切なベクターに上記発現カセットをクローニングし、上記ベクターをアグロバクテリウムに取り込ませ、それを植物細胞に感染させることにより、上記発現カセットを植物細胞内に導入できる。

【0048】
アンチセンスRNAが標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、三重鎖形成による転写開始阻害等、複数のものが知られており、転写、スプライシングまたは翻訳など様々な過程を阻害することで、標的遺伝子の発現を抑制する。本発明において利用するアンチセンスRNAは、上記いずれの作用により標的遺伝子の発現を抑制してもよい。

【0049】
アンチセンスRNAの塩基配列は、標的遺伝子の転写産物の一部または全てと相補的な配列であるのが好ましいが、標的遺伝子の発現を有効に抑制できる限り、完全に相補的でなくともよい。例えば、アンチセンスRNAをコードするDNAの相補的DNA鎖と標的遺伝子との配列同一性は好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。ここで配列同一性とは、比較対象の少なくとも2つの配列について適切に整列化させ、それぞれの配列に存在する同一の残基を決定して、適合部位の数を決定し、次いで、比較対象の配列領域内の残基の総数で、上記適合部位の数を割り、得られた数値に100をかけることにより算出されうる値をいう。かかる配列同一性は、具体的には、例えば、ホームページアドレスhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/において、一般に利用可能であるBLASTアルゴリズムにより算出されうる。アンチセンスRNAをコードするDNAの長さは、特に限定はなく、所望により適宜決定すればよいが、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNAの長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、さらには2.5kbよりも短いことが好ましい。例えば、配列番号19~30のいずれかに示す塩基配列中の連続した100塩基以上からなる塩基配列をアンチセンス方向に含む遺伝子発現抑制用ベクターを挙げることができる。

【0050】
遺伝子破壊法を利用する場合であれば、上記遺伝子の構造遺伝子領域、あるいは調節遺伝子領域に、塩基の置換、欠失、および/または挿入を生じさせることで、上記遺伝子の機能を破壊して発現を抑制させる方法を挙げることができる。

【0051】
上記遺伝子の構造遺伝子領域、或いは調節遺伝子領域(例えば、プロモーター等)に、塩基の挿入を生じさせる方法としては、特に制限はなく、当業者に公知の手法を適宜利用することができ、例えば、T-DNAタギング法(Koncz Cら、(1989)Proc Natl Acad Sci USA. 86(21):8467-71参照)等を利用することができる。上記T-DNAタギング法は、T-DNAを外部からゲノム遺伝子へ挿入し、その遺伝子の発現を抑える方法である。ここで、上記T-DNAは、少なくともその両端に、一定の境界領域(RB、LBと称される約25bpからなる同一方向の反復配列)を含んでなるものであればよく、内部の遺伝子は他の遺伝子に置き換えられていてもよい。また、上記T-DNAタギング法に用いるベクターは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、pGPTV-bar(Becker Dら,(1992)Plant Mol Biol.20:1195-1197参照)等を使用することができる。上記ベクターは、当業者に公知の手法により植物細胞内に導入することができ、例えば、上記ベクターをアグロバクテリウムに取り込ませ、それを植物細胞に感染させることにより、植物細胞内に導入することができる。

【0052】
上記T-DNAタギング法により、T-DNAを、対象とする植物のゲノムにランダムに挿入し、得られた複数種の変異体の中から、赤かび病に対する抵抗性を示す変異体を選抜することにより、赤かび病に対する抵抗性植物を得ることができる。赤かび病に対する抵抗性を示す変異体を選抜する方法としては、特に制限はなく、例えば、実施例に記載したような、赤かび病や赤かび病毒素に対する感受性/抵抗性試験等を利用して選抜を行うことができる。

【0053】
また、上記遺伝子の構造遺伝子領域、或いは調節遺伝子領域(例えば、プロモーター等)に、塩基の置換又は欠失を生じさせる方法としては、特に制限はなく、当業者に公知の手法を適宜利用することができる。例えば、放射線照射、中性子線照射等の手法を利用することができる。これらの手法により得られた複数種の変異体の中から、赤かび病に対する抵抗性を示す変異体を選抜することにより、赤かび病に対する抵抗性植物を得ることができる。

【0054】
共抑制法を利用する場合は、タンパク質の発現時に、共抑制効果により、上記タンパク質をコードする遺伝子の発現を抑制するRNAをコードするDNAを導入する方法を挙げることができる。この手法は、植物における上記遺伝子の発現を該遺伝子の塩基配列と同一もしくは類似した配列を有するDNAを植物に導入することによって生ずる共抑制によって抑制するものである。発現時に、共抑制効果により、上記遺伝子の発現を抑制するRNAをコードするDNAとしては、例えば、上記したような配列番号1~12のいずれかに記載のアミノ酸配列をコードするDNA、それらのDNAの変異体、誘導体、バリアントまたはホモログが挙げられる。共抑制に用いるDNAの塩基配列は、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列の同一性を有する。配列の同一性は上記方法により求められる。なお、共抑制法については、例えば、文献(Napoli, C. et al.(1990), Plant Cell 2, 279-289、Van Der Krol, A. R. et al (1990), Plant Cell 2, 291-299参照)を参考にできる。

【0055】
リボザイム法を利用する場合は、上記遺伝子の転写産物を切断するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNAを導入する方法を挙げることができる。リボザイムには種々の活性を有するものが存在する。例えば、グループIイントロン型や、RNasePに含まれるM1RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある。これらのリボザイムを用いて、公知の方法に従って、標的遺伝子のmRNAを部位特異的に切断するリボザイムをコードするDNAの設計が可能である。例えば、ハンマーヘッド型リボザイムであれば、文献(Koizumi et. al., FEBS Lett. 228: 225, 1988、小泉誠および大塚栄子, 蛋白質核酸酵素,35: 2191, 1990、Koizumi et. al., Nucleic. Acids. Res. 17: 7059, 1989)を参酌できる。また、ヘアピン型リボザイムであれば、文献(Buzayan, Nature 323: 349,1986、Kikuchi and Sasaki, Nucleic Acids Res. 19: 6751, 1992, および菊池洋,化学と生物 30: 112, 1992)が参考となる。

【0056】
標的遺伝子のmRNAを切断できるよう設計されたリボザイムは、植物細胞中で転写されるようにカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーターなどのプロモーターの下流に連結して用いればよい。その際、転写されたRNAの5’末端や3’末端に余分な配列が付加されていると、リボザイムの活性が失われてしまうことがある。このようなとき、転写されたリボザイムを含むRNAからリボザイム部分だけを正確に切り出すために、リボザイム部分の5’側や3’側に、トリミングを行うためのシスに働く別のトリミングリボザイムを配置させることも可能である(Taira et. al., Protein Eng. 3: 733, 1990、Dzianott and Bujarski, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86: 4823, 1989、Grosshans and Cech, Nucleic Acids Res. 19: 3875, 1991、Taira et. al., Nucleic Acids Res. 19: 5125, 1991)。

【0057】
さらに、本発明において遺伝子の発現の抑制は、標的遺伝子のドミナントネガティブの形質を有する遺伝子を植物へ形質転換することによっても達成することができる。ドミナントネガティブの形質を有する遺伝子とは、該遺伝子を発現させることによって、植物体が本来持つ内在性の野生型遺伝子の活性を消失もしくは低下させる機能を有する遺伝子のことをいう。

【0058】
本発明の方法では、上記のような態様で、上記(a)~(e)遺伝子に改変(破壊)をもたらし得るポリヌクレオチド、または上記(a)~(e)遺伝子の発現抑制をもたらし得るポリヌクレオチドを適当なベクターに挿入して、これを植物細胞に導入し、該細胞から形質転換植物を再生させることにより、赤かび病抵抗性植物を作製できる。すなわち、本発明の方法では、上記(a)~(e)のいずれかの遺伝子の発現を抑制した植物細胞を作製する工程、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含むことが好ましい。

【0059】
上述のように形質転換した植物細胞は、当業者に公知の手法により、植物個体に再生することができる。例えば、カルス状の形質転換細胞をホルモンの種類、濃度を変えた培地へ移して培養し、不定胚を形成させ、完全な植物体を得る方法などが挙げられる。

【0060】
他にも、形質転換の対象とする植物材料として植物組織、例えばリーフディスクを用いた場合、アグロバクテリウム感染後、これらを無機塩類、ビタミン類、炭素源(エネルギー源としての糖類など)、植物生長調節物質(オーキシン、サイトカイニン等の植物ホルモン)やカナマイシン等の選抜薬剤等を加えて滅菌した再分化固型培地上で適当な光および温度条件の下、培養することによって茎葉を形成させることができる。次に、上記固型培地より植物生長調節物質を除いた培地(発根培地)上で茎葉を培養することにより不定根を誘導し、完全な植物体へと再生することができる。なお、使用する培地としては、例えば、LS培地、MS培地などの一般的なものが挙げられる。

【0061】
<1-2.赤かび病に対する抵抗性に関与する遺伝子を利用する方法>
本発明に係る赤かび病抵抗性植物の作製方法の他の態様としては、植物において、以下の(f)~(j)のいずれかの遺伝子の発現を増大させる工程を含むものであればよく、その他の工程、条件、材料等については特に限定されるものではない。
(f)配列番号13~18に記載されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする遺伝子。
(g)配列番号13~18に記載されるアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基が置換、欠失、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(h)配列番号13~18に記載されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、かつ赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。
(i)配列番号31~36に記載される塩基配列からなる遺伝子。
(j)上記(f)~(i)のいずれかの遺伝子と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする遺伝子。

【0062】
上記(f)~(j)の遺伝子は赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードしているため、植物においてこれらの遺伝子の発現を増大させることにより、植物の赤かび病に対する抵抗性を高めることができる。

【0063】
まず、上記(f)の遺伝子について具体的に説明する。

【0064】
配列番号13は、シロイヌナズナ由来のCaleosin-related proteinと称される、全長192タンパク質のアミノ酸配列である(At1g70680)。このタンパク質は、Caleosin-relatedドメインを有する。このタンパク質の機能については十分にわかっていなかったが、今回本発明者らは、赤かび病に対する抵抗性に関与する機能を有することを見出した。

【0065】
配列番号14は、イネにおけるCaleosin-related proteinのオルソログのアミノ酸配列を示す(Os06t0254700 (Caleosin related family protein))。本タンパク質は、215アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にCaleosin-relatedドメインを有する。配列番号15は、オオムギにおけるCaleosin-related proteinのオルソログのアミノ酸配列を示す(AK252155、Hordeum vulgare subsp. vulgare cDNA clone: FLbaf146k04, mRNA)。本タンパク質は、214アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にCaleosin-relatedドメインを有する。図4のアライメントに示すように、これら3つのタンパク質は非常に相同性が高い。それゆえ、これらオルソログについても赤かび病に対する抵抗性に関与する機能を有するといえる。

【0066】
配列番号16は、シロイヌナズナのMATH domain-containing proteinと称される、全長370タンパク質のアミノ酸配列である(At3g28220)。このタンパク質は、MATHドメインを有する。このタンパク質の機能については十分にわかっていなかったが、今回本発明者らは、赤かび病に対する抵抗性に関与する機能を有することを見出した。MATHドメインが本機能に重要であると推測される。

【0067】
配列番号17は、イネにおけるMATH domain-containing proteinのオルソログのアミノ酸配列を示す(Os12t0489100(Similar to Ubiquitin-specific protease 12))。本タンパク質は、551アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にMATHドメインを有する。配列番号18は、オオムギにおけるMATH domain-containing proteinのオルソログのアミノ酸配列を示す(AK249855、Hordeum vulgare subsp. vulgare cDNA clone: FLbaf52l18, mRNA)。本タンパク質は、1119アミノ酸からなるタンパク質であって、同様にMATHドメインを有する。図5のアライメントに示すように、MATHドメイン近辺において、これら3つのタンパク質は非常に相同性が高い。それゆえ、これらオルソログについても赤かび病に対する抵抗性に関与する機能を有する蓋然性が高い。

【0068】
上記(g)の遺伝子は、配列番号13~18に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアントまたはホモログ、オルソログ等を意図しており、赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。欠失、置換、若しくは付加されてもよいアミノ酸の数等としては、上述の(b)遺伝子に関する記載と同様であるため、省略する。なお、変異を導入したタンパク質が植物に所望の形質を付与するかどうかは、そのタンパク質をコードする遺伝子を植物に導入発現させ、その植物が赤かび病に対する抵抗性を示すかどうか調べることにより判断できる。

【0069】
上記(h)の遺伝子も、配列番号13~18に示すアミノ酸配列を有するタンパク質の、機能的に同等の変異体、誘導体、バリアントまたはホモログ、オルソログ等を意図しており、赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードする限り、その具体的な配列については限定されない。ここで、アミノ酸配列の相同性等についての説明は、上述の(c)遺伝子と同じため、省略する。

【0070】
上記(i)の遺伝子について、配列番号31は、配列番号13に示すアミノ酸配列のタンパク質をコードする遺伝子であり、以下、同様に、配列番号32~36のポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号14~18に示すアミノ酸配列のタンパク質をコードする遺伝子である。

【0071】
上記(j)遺伝子は、上記(f)~(i)のいずれかのポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを意図している。ストリンジェントな条件等の説明は、上記<1-1>欄の説明と同様であるため、省略する。

【0072】
本発明の対象となる植物をはじめ、上記<1-1>欄の説明を援用できる場合は、ここでの説明は省略する。

【0073】
「遺伝子の発現を増大させる」とは、対象とする植物内において、上記遺伝子がコードするタンパク質の産生量が増大すればよく、外部から遺伝子を形質導入する場合以外にも、内因性遺伝子の発現量を増加させる場合を含む。その増大の程度としても、特に制限はなく、結果として、上記遺伝子の発現の増大を受けた植物が、赤かび病に対する抵抗性を示すようになればよい。

【0074】
外部から遺伝子を形質導入する場合であれば、公知の方法を利用でき、具体的な方法は限定されないが、例えば後述する組換えベクターを植物に導入し、本遺伝子を発現させることにより、赤かび病に対する抵抗性植物を作出することができる。また、内因性遺伝子の発現量を増大させる場合は、例えば、公知の変異源を用いて、内因性遺伝子の発現量が増加している変異体を取得することにより、赤かび病に対する抵抗性植物を作出することができる。

【0075】
なお、外部から遺伝子を形質導入する場合は、宿主植物と同類の植物あるいは近縁種の植物由来の遺伝子を用いることが好ましい。例えば、コムギであればコムギ由来かオオムギ由来の遺伝子を用いることが好ましいといえる。

【0076】
本発明において、赤かび病に対する抵抗性を付与できることが実験的に確認されたのは、シロイヌナズナだけであるが、本発明は、赤かび病に感染する植物一般、特にイネ科植物、さらにはムギ類植物に広く適用できると考えられる。これは以下の理由による。

【0077】
まず、赤かび病菌は、広くイネ科植物、特にムギ類植物に感染するが、シロイヌナズナにも感染する。そして、その感染形態・病徴は、ムギ類植物のコムギとシロイヌナズナとにおいてほぼ共通することが知られている(Urban et al., Plant J., 32: 961, 2002)。特に、赤かび菌が産生するタイプBのトリコテセン系カビ毒の作用として、タンパク質合成阻害や根の伸長阻害が知られているが、これらカビ毒の作用はシロイヌナズナとコムギにおいて同様に引き起こされる(Masuda et al., J. Exp. Bot. 58:1617, 2007)。また、シロイヌナズナのAtNFXL1遺伝子は、トリコテセンにより顕著な発現誘導を受けるが(Asano et al., Plant J., 53: 450, 2008)、オオムギ及びコムギのオルソログ遺伝子は、赤かび病菌の接種によって発現誘導を受ける(Boddu et al., Mol. Plant-Microbe Interact., 20:1364, 2007; Jia et al., Mol. Plant-Microbe Interact.,22: 1366, 2009)。さらに、トリコテセンは、シロイヌナズナとコムギにおいて、エリシター活性と細胞死誘導活性を有する(Nishiuchi et al., Mol. Plant-Microbe Interact. 19: 512, 2006; Desmond et al., Mol Plant Pathol.,9: 435, 2008)。

【0078】
次に、本発明の実施例において機能を確認したシロイヌナズナ由来の遺伝子と類似する遺伝子は、シロイヌナズナ以外にも、イネ科植物において広く存在する。特に着目に値するのが、シロイヌナズナとは分類学的に遠縁の植物であるイネやオオムギにおいても存在することである。それゆえ、上述したシロイヌナズナ由来の遺伝子と類似する遺伝子は、赤かび病に感染する植物一般に広く存在すると考えられる。

【0079】
以上の点を考慮した上で本明細書を読めば、当業者にとっては、シロイヌナズナ以外の植物における類似遺伝子も、シロイヌナズナにおける赤かび病に対する抵抗性/感受性の遺伝子と同様に、赤かび病に対する抵抗性/感受性に関与する機能を有するものと理解できる。それゆえ、上述した各種遺伝子を種々の植物に導入したり、または植物内で発現を抑制したりすることにより、当該植物に赤かび病に対する抵抗性を付与できるといえる。なお、実施例において実証したシロイヌナズナ由来の遺伝子の類似遺伝子は、イネとオオムギにおいてのみ存在が確認されているが、今後、各植物のゲノム解析が進むにつれ、イネやオオムギ以外の植物においても、類似遺伝子が見出される可能性は高い。

【0080】
<2.赤かび病抵抗性植物>
本発明にかかる赤かび病抵抗性植物は、上述の方法にて得られた植物であればよく、その他の構成は特に限定されない。換言すれば、上記(a)~(e)の遺伝子の発現が抑制されている植物、または上記(f)~(j)の遺伝子の発現が増大している植物ともいえる。本発明の赤かび病抵抗性植物は、植物体全体、植物器官(例えば根、茎、葉、花弁、種子、果実等)、植物組織(例えば表皮、篩部、柔組織、木部、維管束等)、植物細胞、カルス等のいずれをも包含する。また、プロトプラスト、苗条原基、多芽体、毛状根も含まれる。

【0081】
また、一旦、染色体内の上記(a)~(e)の遺伝子が破壊乃至発現抑制された形質転換植物、あるいは染色体内に上記(f)~(j)の遺伝子が組み込まれ発現が増大している形質転換植物が得られれば、上記植物体から有性生殖又は無性生殖により子孫を得ることが可能である。上記植物やその子孫、或いはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に上記植物を量産することもできる。また、本発明の赤かび病抵抗性植物は、形質転換処理を施した再分化当代である「T0世代」やT0世代の植物の自殖種子である「T1世代」などの後代植物や、それらを片親にして交配した雑種植物やその後代植物を含む。

【0082】
また本発明には、後述する組換えベクターが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫およびクローン、並びに該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料も含まれ得る。

【0083】
なお、本願出願時点において、既に知られている形質転換植物については、本願の特許請求の範囲から除かれることを念のため付言しておく。

【0084】
<3.赤かび病抵抗性植物の選抜方法>
本発明にかかる赤かび病抵抗性植物の選抜方法は、植物において、上記(a)~(e)のいずれかの遺伝子の有無、あるいは該遺伝子の発現が抑制されているか否かを判定する工程を含むものであればよい。

【0085】
上記(a)~(e)の遺伝子は赤かび病に対する感受性に関与するタンパク質をコードしているため、植物においてこれらの遺伝子の有無、あるいは該遺伝子の発現が抑制されているか否かを判定することにより、当該植物が赤かび病に対する抵抗性を有するか否かを簡易に判断できる。

【0086】
具体的な判定方法については従来公知の方法を用いることができるが、例えば、(i)対象となる植物体からDNA試料を得て、遺伝子の有無または遺伝子に変異が入っており発現が抑制されているか否かを調べる方法、(ii)上記遺伝子の転写産物であるmRNAの有無または量を調べる方法、(iii) 上記遺伝子の転写産物であるタンパク質の有無または量を調べる方法等を挙げることができる。

【0087】
上記DNA、RNAまたはタンパク質を調べる手法としては、従来公知の方法を利用でき、特に限定されないが、例えば、プローブを用いる手法、PCR法、RT-PCR法、抗体を用いた各種イムノアッセイ法、マイクロアレイを利用する方法等を挙げることができる。

【0088】
また、本発明にかかる赤かび病抵抗性植物の選抜方法の別の態様としては、植物において、上記(f)~(g)のいずれかの遺伝子の有無、あるいは該遺伝子の発現が増大しているか否かを判定する工程を含むものであってもよい。

【0089】
上記(f)~(g)の遺伝子は赤かび病に対する抵抗性に関与するタンパク質をコードしているため、植物においてこれらの遺伝子の有無、あるいは該遺伝子の発現が増大しているか否かを判定することにより、当該植物が赤かび病に対する抵抗性を有するか否かを簡易に判断できる。

【0090】
<4.赤かび病に対する感受性に関与する遺伝子の同定方法>
本発明にかかる赤かび病に対する感受性に関与する遺伝子の同定方法は、赤かび病に罹病性の植物に対して、赤かび病菌が産生するタイプBのトリコテセン系カビ毒を作用させ、当該植物における応答遺伝子を同定する第1の工程、第1の工程にて同定した遺伝子の変異体を用いて、上記タイプBのトリコテセン系カビ毒に対する抵抗性を評価する第2の工程、第2の工程にて同定した遺伝子の変異体(例えば、第2の工程においてタイプBのトリコテセン系カビ毒に対する抵抗性を示した遺伝子の変異体)を用いて、上記タイプBのトリコテセン系カビ毒を産生する赤かび病菌に対する抵抗性を評価する第3の工程、を含むものであればよく、その他の工程、条件、材料等については特に限定されるものではない。

【0091】
後述する実施例に示すように、本発明者らは、赤かび病に対する感受性に関与する遺伝子について、その欠損株が、赤かび病に対する抵抗性のみならず、赤かび病菌が産生するトリコテセン系カビ毒に対しても耐性を示すことを見出した。また、トリコテセン系カビ毒を作用させると、赤かび病に対する感受性または抵抗性に関与する遺伝子が応答することも確認した。これらの新規知見に基づけば、赤かび病に罹病性の植物に対して、トリコテセン系カビ毒を作用させ、その際に応答する遺伝子を解析・同定し、当該遺伝子の変異体についてトリコテセン系カビ毒に対する抵抗性を評価することで、トリコテセン系カビ毒に対する感受性に関与する遺伝子を同定し、その後、当該遺伝子の変異体に対して赤かび病菌を接種して、赤かび病に対する抵抗性を評価することにより、効率的に赤かび病に対する感受性に関与する遺伝子を見出すことができる。

【0092】
本方法において、使用するトリコテセン系カビ毒は、主要作物に対する汚染例が数多く報告されているタイプBのトリコテセン系カビ毒を産生する赤かび病を対象とすることが好ましい。タイプBのトリコテセン系カビ毒としては、例えば、DON,NIVを挙げることができる。

【0093】
また、使用する植物としては、赤かび病に罹病性の植物であれば何でもよく特に限定されるものではないが、全ゲノム解析が完了しており、かつ各種変異体が豊富に存在するモデル植物のシロイヌナズナが好ましい。

【0094】
応答遺伝子を同定する手法については、従来公知に手法を利用でき特に制限されるものではないが、DNAマイクロアレイを用いると応答遺伝子を網羅的に解析できる点で好ましい。特に、シロイヌナズナの遺伝子を固定化したDNAマイクロアレイは既に市販されており、容易に取得できる点でも優れる。

【0095】
遺伝子の変異体を用いてトリコテセン系カビ毒に対する抵抗性を評価する手法についても、当業者にとって公知の手法を利用できる。例えば、後述する実施例に示すように、トリコテセン系カビ毒を含む培地にて同定した遺伝子の変異植物体(例えば、欠損株)を生育させ、生重量や根の伸長状態を調べることで容易にカビ毒に対する抵抗性を評価できる。カビ毒に対して感受性のものは、生重量の低下および/または根の伸長の阻害が認められる。

【0096】
遺伝子の変異体を用いて赤かび病菌に対する抵抗性を評価する手法についても、当業者にとって公知の手法を利用でき、特に限定されるものではない。例えば、後述する実施例に示すように、同定した遺伝子の変異植物体(例えば、欠損株)の葉に対して赤かび病菌を接種して重症度を判定する方法を挙げることができる。

【0097】
<5.組換えベクター>
本発明にかかる組換えベクターは、上記(f)~(j)および上記(k)~(o)のいずれかの遺伝子を含むものであればよいが、適当なプロモーター等も含み、植物内で本遺伝子を発現できるものであることが好ましい。この際、使用するプロモーターとしては、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターを例示できるが、それ以外にもノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター(Pnos)、トウモロコシ由来のユビキチンプロモーター、イネ由来のアクチンプロモーター、タバコ由来のPRタンパク質プロモーターなども使用できる。

【0098】
本発明にかかる組換えベクターを植物に導入し、上記遺伝子を発現させることにより、赤かび病に対する抵抗性植物を作出することができる。本発明のベクターを植物に導入する方法としては、従来公知の方法を利用でき、例えば、アグロバクテリウムを用いた手法を例示できるが、それ以外にも、PEG-リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソーム法、パーティカルガン法、マイクロインジェクション法などによっても、導入することができる。

【0099】
本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、明細書に記載した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0100】
〔実施例1.RPS27a/UBQ15遺伝子について〕
RPS27a/UBQ15遺伝子について、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)エコタイプコロンビア(Columbia-0)の2つのホモ接合性単一変異体;rps27a-1、rps27a-2をABRC(The Arabidopsis Biological Research Center)から入手した。これらの変異体はいずれもT-DNA挿入変異体である。
【実施例】
【0101】
タイプBのトリコテセン系カビ毒であるDONを産生する赤かび病菌(Fusarium graminearum)を、1×10/mlにて、変異体rps27a-1およびコントロールとして野生型WTの葉に接種し、8日後の赤かび病の重症度を評価した。重症度は、接種痕のみ(1段階目)、50%未満の侵食(2段階目)、50%以上の侵食(3段階目)、完全な萎枯(4段階目)の4段階で評価した。
【実施例】
【0102】
結果を図6に示す。図6(a)は、赤かび病菌の接種後4日目における葉の様子を示した図である。図6(b)は、赤かび病菌の接種後8日目における葉の重症度を数値化したグラフである。同図に示すように、変異体rps27a-1は、野生型WTに比べて有意に重症度が低かった。特に、抵抗性の違いは、図6(a)に示すように、目視にても差異が明確にわかるレベルであった。
【実施例】
【0103】
次に、タイプBのトリコテセン系カビ毒であるDONに対する耐性を検討すべく、10μMの濃度にてDONを含むMS培地に、変異体rps27a-1およびrps27a-2、コントロールとして野生型WTについて、10粒ずつ播種し、播種後20日の生重量と根長を測定した。結果を図7に示す。同図に示すように、変異体rps27a-1およびrps27a-2ともに、野生型WTに比べて、生重量は顕著に増加し、根長は有意に伸長した。
【実施例】
【0104】
〔実施例2.ANAC074遺伝子〕
ANAC074遺伝子について、アラビドプシス・サリアナ エコタイプコロンビアのホモ接合性単一変異体;anac074をABRCから入手した。この変異体はT-DNA挿入変異体である。
【実施例】
【0105】
タイプBのトリコテセン系カビ毒であるDONに対する耐性を検討すべく、10μMの濃度にてDONを含むMS培地に、変異体anac074、コントロールとして野生型WTについて、10粒ずつ播種し、播種後20日の生重量を測定した。結果を図8に示す。同図に示すように、変異体anac074は野生型WTに比べて生重量が顕著に増加した。
【実施例】
【0106】
〔実施例3.PRE1遺伝子〕
PRE1遺伝子について、アラビドプシス・サリアナ エコタイプコロンビアのホモ接合性単一変異体;pre1をABRCから入手した。この変異体はT-DNA挿入変異体である。
【実施例】
【0107】
タイプBのトリコテセン系カビ毒であるDONに対する耐性を検討すべく、10μMの濃度にてDONを含むMS培地に、変異体pre1、コントロールとして野生型WTについて、10粒ずつ播種し、播種後20日の生重量を測定した。結果を図9に示す。同図に示すように、変異体pre1は野生型WTに比べて生重量が顕著に増加した。
【実施例】
【0108】
〔実施例4.DUF295-1,DUF295-2,DUF295-3遺伝子〕
DUF295-1,DUF295-2,DUF295-3遺伝子について、アラビドプシス・サリアナ エコタイプコロンビアのホモ接合性単一変異体;duf295-1a,duf295-1b,duf295-2,duf295-3をABRCから入手した。これらの変異体はいずれもT-DNA挿入変異体である。
【実施例】
【0109】
タイプBのトリコテセン系カビ毒であるDONに対する耐性を検討すべく、10μMの濃度にてDONを含むMS培地に、変異体duf295-1a,duf295-1b,duf295-2およびduf295-3、コントロールとして野生型WTについて、10粒ずつ播種し、播種後20日の生重量を測定した。結果を図10に示す。同図に示すように、変異体duf295-1a,duf295-1b,duf295-2,duf295-3はいずれも野生型WTに比べて生重量が顕著に増加した。
【実施例】
【0110】
〔実施例5.Caleosin-related protein遺伝子〕
Caleosin-related protein遺伝子について、アラビドプシス・サリアナ エコタイプコロンビアのホモ接合性単一変異体;caleosinをABRCから入手した。この変異体はT-DNA挿入変異体である。
【実施例】
【0111】
タイプBのトリコテセン系カビ毒であるNIVに対する耐性を検討すべく、10μMの濃度にてNIVを含むABRC培地に、変異体pre1、コントロールとして野生型WTについて、10粒ずつ播種し、播種後20日の生重量を測定した。結果を図11に示す。同図に示すように、変異体caleosinは野生型WTに比べて生重量が顕著に減少した。
【実施例】
【0112】
〔実施例6.MATH domain-containing protein遺伝子〕
MATH domain-containing protein遺伝子について、アラビドプシス・サリアナ エコタイプコロンビアのホモ接合性単一変異体;mathをABRCから入手した。この変異体はT-DNA挿入変異体である。
【実施例】
【0113】
タイプBのトリコテセン系カビ毒であるNIVに対する耐性を検討すべく、10μMの濃度にてNIVを含むMS培地に、変異体math、コントロールとして野生型WTについて、10粒ずつ播種し、播種後20日の生重量を測定した。結果を図12に示す。同図に示すように、変異体mathは野生型WTに比べて生重量が顕著に減少した。
【実施例】
【0114】
〔実施例7.ERF071遺伝子およびANANC079遺伝子〕
ERF071遺伝子およびANANC079遺伝子のそれぞれについて、アラビドプシス・サリアナ エコタイプコロンビアのホモ接合性単一変異体;erf071、およびanac079をABRCから入手した。これらの変異体はT-DNA挿入変異体である。
【実施例】
【0115】
タイプBのトリコテセン系カビ毒であるDONを産生する赤かび病菌(Fusarium graminearum)を、1×104/mlにて、変異体erf071あるいはanac079、およびコントロールとして野生型WTの花に接種した。
【実施例】
【0116】
接種後5日後の赤かび病の病徴を図13(a)に示す。同図に示すように、変異体erf071は、野生型WTに比べて有意に重症度が低かった。抵抗性の違いは、目視にても差異が明確にわかるレベルであった。
【実施例】
【0117】
また、赤かび病菌を接種した組織から抽出したゲノムDNAにおいて、シロイヌナズナのゲノムDNA量を、ACT2遺伝子を用いたリアルタイムPCR法により算出し、赤かび病菌のゲノムDNA量を、EF1α遺伝子を用いたリアルタイムPCR法により算出した。全ゲノム中(シロイヌナズナゲノムDNA量+赤かび病菌ゲノムDNA量)に対する赤かび病菌のゲノムDNA量をパーセントにより算出した。ゲノムDNA量比は接種組織における菌体量を反映しており、抵抗性を示す一般的な指標の一つである。このゲノムDNA量比を図13(b)に示した。同図に示すように、erf071及びanac079は、野生型WTに比べて赤かび病菌の菌体量が少なかった。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、赤かび病菌に抵抗性を示す植物を提供できるため、農業、食品産業等に利用可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図8】
5
【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図13】
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