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明細書 :光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5435508号 (P5435508)
公開番号 特開2011-258980 (P2011-258980A)
登録日 平成25年12月20日(2013.12.20)
発行日 平成26年3月5日(2014.3.5)
公開日 平成23年12月22日(2011.12.22)
発明の名称または考案の名称 光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池
国際特許分類 H01L  51/42        (2006.01)
FI H01L 31/04 D
請求項の数または発明の数 12
全頁数 21
出願番号 特願2011-183531 (P2011-183531)
分割の表示 特願2006-315474 (P2006-315474)の分割、【原出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
出願日 平成23年8月25日(2011.8.25)
審査請求日 平成23年9月22日(2011.9.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
発明者または考案者 【氏名】新実 高明
【氏名】佐藤 佳晴
【氏名】中村 栄一
【氏名】松尾 豊
【氏名】橋口 昌彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100095360、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 英二
【識別番号】100114409、【弁理士】、【氏名又は名称】古橋 伸茂
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
審査官 【審査官】佐藤 俊彦
参考文献・文献 特開2008-130889(JP,A)
国際公開第2006/036756(WO,A1)
国際公開第2005/002745(WO,A1)
国際公開第2005/010214(WO,A1)
特開2006-073201(JP,A)
特開2002-241323(JP,A)
調査した分野 H01L 51/42
特許請求の範囲 【請求項1】
1対の電極、および
1対の電極間に、少なくとも、下記式(1)または下記式(2)
【化1】
JP0005435508B2_000021t.gif

(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子置換基を有してもよいC~C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC~C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基置換基を有してもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、または、置換基を有してもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)であり、Rは水素原子または炭素数1~20の有機基であり、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数である。)
で表される電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とが設けられた、光電変換素子。
【請求項2】
1対の電極、および
1対の電極間に設けられた、下記式(1)または下記式(2)
【化2】
JP0005435508B2_000022t.gif

(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子置換基を有してもよいC~C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC~C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基置換基を有してもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、または、置換基を有してもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)であり、Rは水素原子または炭素数1~20の有機基であり、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数である。)
で表される電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを含む混合物からなる混合物層を含む、光電変換素子。
【請求項3】
式(2)中、Mが遷移金属である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
【請求項4】
式(2)中、Mが8~10族の遷移金属である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
【請求項5】
式(2)中、MがFeまたはRuであり、nが0~5の整数であり、Lが水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基、アルケン基、アリール基、アルキリデン基、ビニリデン基、アレニリデン基、チオラート基、アミド基、ホスフィン基、カルボニル基、ニトリル基、イソニトリル基、イミノ基、アミノ基、ケトン基またはシクロペンタジエニル基である、請求項1または2に記載の光電変換素子。
【請求項6】
電子供与体の化合物が高分子化合物である、請求項1~5のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項7】
電子供与体の化合物が複素環高分子化合物である、請求項1~5のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項8】
電子供与体の化合物がポルフィリン化合物またはフタロシアニン化合物である、請求項1~5のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項9】
電子供与体の化合物がポリチオフェンまたは銅フタロシアニン錯体である、請求項1~5のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項10】
電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを含む混合物が溶解した溶液を塗布することによって混合物層が形成される、請求項2~9のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項11】
電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを蒸着させることによって混合物層が形成される、請求項2~9のいずれかに記載の光電変換素子。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の光電変換素子を含む太陽電池
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池に関する。具体的には、電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを含む光電変換素子と、その素子を用いた太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用化されている太陽電池はシリコンをはじめとする無機材料を用いた光電変換素子を用いた太陽電池である。多結晶シリコンを用いた光電変換素子の製造において、高純度シリコンが不可欠であるが、そのコストは比較的高い。
【0003】
これに対して、有機材料を用いた光電変換素子は、無機材料を用いた光電変換素子と比べて製造方法が容易なため、製造コストの低減することができる。
有機材料を用いた光電変換素子を含む太陽電池としては、色素増感型太陽電池や有機薄膜型太陽電池と呼ばれている有機半導体材料を用いた太陽電池などがある。しかし、代表的な色素増感型太陽電池で用いられる電解質は主に液体(電解液)なので、その電解液が作用電極と対極のすき間等から漏れ出したり、揮発してしまうという問題が生じ得る。このように、有機材料を用いた光電変換素子は無機材料を用いた光電変換素子に比べて、耐久性に問題があった。
【0004】
また、有機材料を用い一定の耐久性を有する光電変換素子としては、電子供与体である銅フタロシアニンと電子受容体であるペリレン誘導体を組み合わせた光電変換素子[C.W.Tang著,「Two-Layer organic photovoltaic cell」,Applied Physics Letters,1986年,48巻(非特許文献1)]、電子供与体としてポリフェニレンビニレンとフラーレン誘導体を組み合わせた光電変換素子[G.Yuら著,「Polymer Photovoltaic Cells:Enhanced Efficiencies via a Network of Internal Donor-Acceptor Heterojunctions」,Science,1995年,270巻(非特許文献2),特表平8-500701号公報(特許文献1)]がある。
【0005】
しかしながら、これらの光電変換素子は、無機材料を用いた光電変換素子に比べて開放電圧等が余り高くないという問題があった。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表平8-500701号公報
【0007】

【非特許文献1】C.W.Tang著,「Two-Layer organic photovoltaic cell」,Applied Physics Letters,1986年,48巻
【非特許文献2】G.Yuら著,「Polymer Photovoltaic Cells:Enhanced Efficiencies via a Network of Internal Donor-Acceptor Heterojunctions」,Science,1995年,270巻
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の状況の下、例えば、有機材料を用いるが、開放電圧が高い光電変換素子が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、下記式(1)または下記式(2)で表されるフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを含む混合物からなる混合物層を含む光電変換素子と、その素子を用いた太陽電池を見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明は以下のような光電変換素子および太陽電池を提供する。
【0010】
[1] 1対の電極、および
1対の電極間に、少なくとも、下記式(1)または下記式(2)
【化3】
JP0005435508B2_000002t.gif
(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~50の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~20の有機基であり、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数である。)
で表される電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とが設けられた、光電変換素子。
[2] 1対の電極、および
1対の電極間に設けられた、下記式(1)または下記式(2)
【化4】
JP0005435508B2_000003t.gif
(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~50の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~20の有機基であり、Mは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数である。)
で表される電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを含む混合物からなる混合物層を含む、光電変換素子。
[3] 式(1)または式(2)中、Rはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC~C20炭化水素基、置換基を有してもよいC~C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC~C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)を示し;Rは水素原子またはC~C20炭化水素基を示す、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
[4] 式(1)または式(2)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基または炭素数1~20のアルキニル基または下記式(3)
【化5】
JP0005435508B2_000004t.gif
(式中、Rは炭素数1~15のアルキル、炭素数2~15のアルケニルまたは炭素数1~15のアルキニルである。)
で表される基である、[1]または[2]に記載の光電変換素子。
【0011】
[5] 式(2)中、Mが遷移金属である、[1]~[4]のいずれかに記載の光電変換素子。
[6] 式(2)中、Mが8~10族の遷移金属である、[1]~[4]のいずれかに記載の光電変換素子。
[7] 式(2)中、MがFeまたはRuであり、nが0~5の整数であり、Lが水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基、アルケン基、アリール基、アルキリデン基、ビニリデン基、アレニリデン基、チオラート基、アミド基、ホスフィン基、カルボニル基、ニトリル基、イソニトリル基、イミノ基、アミノ基、ケトン基またはシクロペンタジエニル基である、[1]~[4]のいずれかに記載の光電変換素子。
【0012】
[8] 電子供与体の化合物が高分子化合物である、[1]~[7]のいずれかに記載の光電変換素子。
[9] 電子供与体の化合物が複素環高分子化合物である、[1]~[7]のいずれかに記載の光電変換素子。
[10] 電子供与体の化合物がポルフィリン化合物またはフタロシアニン化合物である、[1]~[7]のいずれかに記載の光電変換素子。
[11] 電子供与体の化合物がポリチオフェンまたは銅フタロシアニン錯体である、[1]~[7]のいずれかに記載の光電変換素子。
【0013】
[12] 電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを含む混合物が溶解した溶液を塗布することによって混合物層が形成される、[2]~[11]のいずれかに記載の光電変換素子。
[13] 式(1)または式(2)中、Rはそれぞれ独立して下記式(3)
【化6】
JP0005435508B2_000005t.gif
(式中、Rは炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニルまたは炭素数2~10のアルキニルである。)
で表される基であり、
式(2)中、MがFeまたはRuであり、nが0~5の整数であり、Lが水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基、アルケン基、アリール基、アルキリデン基、ビニリデン基、アレニリデン基、チオラート基、アミド基、ホスフィン基、カルボニル基、ニトリル基、イソニトリル基、イミノ基、アミノ基、ケトン基またはシクロペンタジエニル基である、[12]に記載の光電変換素子。
[14] 電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを蒸着させることによって混合物層が形成される、[2]~[11]のいずれかに記載の光電変換素子。
[15] 式(1)または式(2)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数2~10のアルキニル基または下記式(3)
【化7】
JP0005435508B2_000006t.gif
(式中、Rは炭素数1~5のアルキル、炭素数2~5のアルケニルまたは炭素数1~5のアルキニルである。)
で表される基であり、
式(2)中、MがFeまたはRuであり、nが0~5の整数であり、Lが水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基、アルケン基、アリール基、アルキリデン基、ビニリデン基、アレニリデン基、チオラート基、アミド基、ホスフィン基、カルボニル基、ニトリル基、イソニトリル基、イミノ基、アミノ基、ケトン基またはシクロペンタジエニル基である、[14]に記載の光電変換素子。
[16] [1]~[15]のいずれかに記載の光電変換素子を含む太陽電池。
【発明の効果】
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、有機材料を用いながら、開放電圧が高い光電変換素子を提供できる。
本発明の好ましい態様によれば、簡単で安価に製造できる光電変換素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の太陽電池の模式図である。
【図2】実施例4の太陽電池の模式図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ガラス基板
2 ITO
3 正孔取り出し層
4 混合物層
5 電極
6 電子取り出し層
【発明を実施するための形態】
【0017】
1 本発明の光電変換素子に含まれる電子供与体と電子受容体
本発明の光電変換素子を構成する1対の電極の間には、電子供与体と電子受容体が設けられる。本発明の光電変換素子は、たとえば、電子供与体と電子受容体のそれぞれを層状にして重ね合わした積層構造を有してもよいし、両者を含む混合物からなる混合物層を有してもよい。
1.1 光電変換素子に用いられる電子受容体
本発明の光電変換素子に電子受容体として用いられる化合物は、上記式(1)または(2)で表されるフラーレン誘導体である。
なお、フラーレン誘導体は一種のフラーレン誘導体でも複数種のフラーレン誘導体の混合物でもよい。

【0018】
1.1.1 式(1)で表されるフラーレン誘導体
式(1)中、Rはそれぞれ独立して水素原子または炭素数1~50の有機基であり、Rは水素原子または炭素数1~20の有機基である。
また、式(1)中、Rはそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC~C20炭化水素基、置換基を有してもよいC~C20アルコキシ基、置換基を有してもよいC~C20アリールオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基、置換基を有してもよいシリル基、置換基を有してもよいアルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)、置換基を有してもよいアリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)を示すことが好ましく、Rは水素原子またはC~C20炭化水素基を示すことが好ましい。

【0019】
本明細書において、「C~C20炭化水素基」の炭化水素基は、飽和若しくは不飽和の非環式であってもよいし、飽和若しくは不飽和の環式であってもよい。C~C20炭化水素基が非環式の場合には、線状でもよいし、枝分かれでもよい。「C~C20炭化水素基」には、C~C20アルキル基、C~C20アルケニル基、C~C20アルキニル基、C~C20アルキルジエニル基、C~C18アリール基、C~C20アルキルアリール基、C~C20アリールアルキル基、C~C20シクロアルキル基、C~C20シクロアルケニル基、(C~C10シクロアルキル)C~C10アルキル基などが含まれる。

【0020】
本明細書において、「C~C20アルキル基」は、C~C10アルキル基であることが好ましく、C~Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。

【0021】
本明細書において、「C~C20アルケニル基」は、C~C10アルケニル基であることが好ましく、C~Cアルケニル基であることが更に好ましい。アルケニル基の例としては、制限するわけではないが、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル等を挙げることができる。

【0022】
本明細書において、「C2~C20アルキニル基」は、C~C10アルキニル基であることが好ましく、C~Cアルキニル基であることが更に好ましい。アルキニル基の例としては、制限するわけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル等を挙げることができる。

【0023】
本明細書において、「C~C20アルキルジエニル基」は、C~C10アルキルジエニル基であることが好ましく、C~Cアルキルジエニル基であることが更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、制限するわけではないが、1,3-ブタジエニル等を挙げることができる。

【0024】
本明細書において、「C~C18アリール基」は、C~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。

【0025】
本明細書において、「C~C20アルキルアリール基」は、C~C12アルキルアリール基であることが好ましい。アルキルアリール基の例としては、制限するわけではないが、o-トリル、m-トリル、p-トリル、2,3-キシリル、2,4-キシリル、2,5-キシリル、o-クメニル、m-クメニル、p-クメニル、メシチル等を挙げることができる。

【0026】
本明細書において、「C~C20アリールアルキル基」は、C~C12アリールアルキル基であることが好ましい。アリールアルキル基の例としては、制限するわけではないが、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル等を挙げることができる。

【0027】
本明細書において、「C~C20シクロアルキル基」は、C~C10シクロアルキル基であることが好ましい。シクロアルキル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を挙げることができる。

【0028】
本明細書において、「C~C20シクロアルケニル基」は、C~C10シクロアルケニル基であることが好ましい。シクロアルケニル基の例としては、制限するわけではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等を挙げることができる。

【0029】
本明細書において、「C~C20アルコキシ基」は、C~C10アルコキシ基であることが好ましく、C~Cアルコキシ基であることが更に好ましい。アルコキシ基の例としては、制限するわけではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ等がある。

【0030】
本明細書において、「C~C20アリールオキシ基」は、C~C10アリールオキシ基であることが好ましい。アリールオキシ基の例としては、制限するわけではないが、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等を挙げることができる。

【0031】
本明細書において、「アルキルチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)」及び「アルキルスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C20アルキル基を示す。)」において、Y及びYは、C~C10アルキル基であることが好ましく、C~Cアルキル基であることが更に好ましい。アルキル基の例としては、制限するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ドデカニル等を挙げることができる。

【0032】
本明細書において、「アリールチオ基(-SY、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)」及び「アリールスルホニル基(-SO、式中、Yは置換基を有してもよいC~C18アリール基を示す。)」において、Y及びYは、C~C10アリール基であることが好ましい。アリール基の例としては、制限するわけではないが、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、インデニル、ビフェニリル、アントリル、フェナントリル等を挙げることができる。

【0033】
「C~C20炭化水素基」、「C~C20アルコキシ基」、「C~C20アリールオキシ基」、「アミノ基」、「シリル基」、「アルキルチオ基」、「アリールチオ基」、「アルキルスルホニル基」、「アリールスルホニル基」には、置換基が導入されていてもよい。この置換基としては、例えば、エステル基、カルボキシル基、アミド基、アルキン基、トリメチルシリル基、アミノ基、ホスホニル基、チオ基、カルボニル基、ニトロ基、スルホ基、イミノ基、ハロゲノ基、アルコキシ基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上、置換可能な最大数まで導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。

【0034】
本明細書において、「置換基を有してもよいアミノ基」の例としては、制限するわけではないが、アミノ、ジメチルアミノ、メチルアミノ、メチルフェニルアミノ、フェニルアミノ等がある。

【0035】
本明細書において、「置換基を有していてもよいシリル基」の例としては、制限するわけではないが、ジメチルシリル、ジエチルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリメトキシシリル、トリエトキシシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、トリフェノキシシリル、ジメチルメトキシシリル、ジメチルフェノキシシリル、メチルメトキシフェニル等がある。

【0036】
本明細書において、「芳香族基」の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等がある。
本明細書において、「複素環基」の例としては、チエニル基、ピロリル基、ピリジル基、ビピリジル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ターチエニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環芳香族基」の例としては、フルオレニル基、ナフチル基、フルオランテニル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、トリフェニレニル基、ペリレニル基等がある。
本明細書において、「縮合多環複素環基」の例としては、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェナントロリル基等がある。

【0037】
また、これらの、「芳香族基」、「複素環基」、「縮合多環芳香族基」および「縮合多環複素環基」が有してもよい置換基の例としては、制限するわけではないが、C~C10炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ナフチル、インデニル、トリル、キシリル、ベンジル等)、C~C10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C~C10アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ等)、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)又はシリル基などを挙げることができる。この場合、置換基は、置換可能な位置に1個以上導入されていてもよく、好ましくは1個~4個導入されていてもよい。置換基数が2個以上である場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。

【0038】
1.1.2 式(2)で表されるフラーレン誘導体
式(2)中のRは、式(1)中のRと同様である。
また、式(2)中のMは金属原子であり、LはMの配位子であり、nはLの数である。MがFeまたはRuであり、nが0~5の整数であり、Lが、水素原子、アルコキシ基、アルキル基、アルキン基、アルケン基、アリール基、アルキリデン基、ビニリデン基、アレニリデン基、チオラート基、アミド基、ホスフィン基、カルボニル基、ニトリル基、イソニトリル基、イミノ基、アミノ基、ケトン基またはシクロペンタジエニル基(Cp)であることが好ましい。

【0039】
1.2 光電変換素子に用いられる電子供与体の化合物
本発明の光電変換素子に用いられる電子供与体の化合物は、電子供与体として機能すれば特に限定されない。
なお、光電変換素子に用いられる電子供与体の化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。

【0040】
本発明で用いられる好ましい電子供与体の化合物は、高分子化合物、ポルフィリン化合物またはフタロシアニン化合物である。
電子供与体として用いられる高分子化合物としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾールなどの複素環高分子を用いることができる。これらの中でも、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフランは、種々の置換基が結合しているものが存在し、種々の構造が存在するために、多種多様なポリマーを合成できることで好ましい。

【0041】
電子供与体として用いられるポルフィリン化合物としては、例えば、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(II)、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィンが挙げられる。

【0042】
また、電子供与体として用いられるフタロシアニン化合物としては、例えば、29H,31H-フタロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体、銅4,4’,4’’,4’’’-テトラアザ-29H,31H-フタロシアニン錯体が挙げられる。
これらの中でも、銅フタロシアニン錯体が好ましい。

【0043】
1.3 混合物層の製造方法
混合物層の製造方法は特に限定されないが、例えば、フラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを共に溶解した溶液を、基板や基板上に設けられた層にスピンコート等を用いて塗布することによって製造できる(塗布型の混合物層)。また、フラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを、基板や基板上に設けられた層に蒸着させることによっても製造できる(蒸着型の混合物層)。

【0044】
塗布型の混合物層で用いられる上記式(1)または式(2)で表されるフラーレン誘導体は上述のとおりであるが、式(1)または式(2)中、Rはそれぞれ独立して下記式(3)
【化8】
JP0005435508B2_000007t.gif
(式中、Rは炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニルまたは炭素数2~10のアルキニルである。)
で表される基であれば、塗布するときの溶媒に対する溶解性が向上し、さらに得られる光電変換素子の開放電圧も向上するため好ましい。

【0045】
塗布型の混合物層で用いられる電子供与体の化合物は上述のとおりであるが、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾールを用いると、塗布するときの溶媒に対する溶解性が向上し、さらに得られる光電変換素子の開放電圧も向上するため好ましい。

【0046】
蒸着型の混合物層で用いられる上記式(1)または式(2)で表されるフラーレン誘導体は上述のとおりであるが、式(1)または式(2)中、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルケニル、炭素数2~10のアルキニルまたは下記式(3)
【化9】
JP0005435508B2_000008t.gif
(式中、Rは炭素数1~5のアルキル、炭素数2~5のアルケニルまたは炭素数1~5のアルキニルである。)
で表される基であれば、フラーレン誘導体を蒸着させやすく、さらに得られる光電変換素子の開放電圧も向上するため好ましい。

【0047】
蒸着型の混合物層で用いられる電子供与体の化合物は上述のとおりであるが、ポルフィリン化合物およびフタロシアニン化合物を用いると、フラーレン誘導体との均一な層を設けることが容易にでき、さらに得られる光電変換素子の開放電圧も向上するため好ましい。

【0048】
なお、混合物層は、フラーレン誘導体と電子供与体の化合物とを含めば特に限定されず、他の化合物等を含んでもよい。

【0049】
2 本発明の光電変換素子および太陽電池
本発明の光電変換素子は、1対の電極と、1対の電極間に配設された電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物とを有する。

【0050】
本発明の光電変換素子において、電極に用いられる材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛、Au、Co、Ni、Ptなどの仕事関数が高い材料と、Al、Ag,Li、In、Ca、Mg、LiFなどを組み合わせて用いることが好ましい。なかでも、光が透過する位置にある電極は、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの透明電極を用いることが好ましい。これら電極の製造方法及び膜厚などは適宜選択することができる。

【0051】
本発明の光電変換素子において、電子受容体のフラーレン誘導体と、電子供与体の化合物との混合物層が設けられている場合、その混合物層の厚さは特に限定されないが、0.1nm未満では均一性が十分ではなく、短絡を起こしやすいという問題が生じる。他方、混合物層の厚さが5000nmを超えると内部抵抗が大きくなり、また素子1個当たりの固体層の占める体積割合が高くなるため、容量が低下し好ましくない。また、電極間の距離が離れるので、電荷の拡散が悪くなる問題が生じる。そこで、混合物層の厚さは0.1~5000nmが好ましく、1~1000nmがさらに好ましい。より好ましくは20~500nmがさらに好ましい。

【0052】
本発明の光電変換素子は、1対の電極、およびその間に配置された電子受容体のフラーレン誘導体と電子供与体の化合物の他に、さらに正孔取り出し層と電子取り出し層とからなる群から選ばれる1以上を有することができる。

【0053】
正孔取り出し層の材料は、電子受容体と電子供与体を含む層から電極へ正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンなどの導電性有機化合物などが挙げられる。また、Au、In、Ag、Pdなどの金属などの薄膜も使用することができる。さらに、金属などの薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
電子取り出し層の材料は、電子受容体と電子供与体を含む層から電極へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、バソキュプロイン(BCP)または、バソフェナントレン(Bphen)、及びこれらにアルカリ金属あるいはアルカリ金属土類をドープした層が挙げられる。また、電子取り出し層の材料にフラーレン類やシロール類などを用いることも可能であり、たとえば、上記のバソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、または、バソキュプロイン(BCP)とバソフェナントレン(Bphen)にアルカリ金属もしくはアルカリ金属土類をドープした層を組み合わせたものも用いることができる。

【0054】
正孔取り出し層と電子取り出し層は1対の電極間に、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層)を挟むように配置される。すなわち、本発明の光電変換素子が正孔取り出し層と電子取り出し層の両者を含む場合、電極、正孔取り出し層、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層)、電子取り出し層、電極の順に配置される構成を有する。また、本発明の光電変換素子が正孔取り出し層を含み電子取り出し層を含まない場合、電極、正孔取り出し層、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層)、電極の順に配置される構成を有する。本発明の光電変換素子が電子取り出し層を含み正孔取り出し層を含まない場合、電極、電子受容体と電子供与体(たとえば、混合物層)、電子取り出し層、電極の順に配置される構成を有する。

【0055】
フラーレン誘導体は電子受容体として、電子供与体の化合物は電子供与体として機能する。具体的には、電子供与体と電子受容体を含む層(たとえば、混合物層)に光が照射されると、照射による励起によって発生した電子は当該層中のフラーレン誘導体を通って対極に移動する。また、フラーレン誘導体に電子が移動すると電子供与体の化合物は酸化された状態になり、正孔が作用電極に移動する。このようにして、電流が流れることになる。

【0056】
本発明の光電変換素子は、太陽電池に限らず、光スイッチング装置、センサなどの各種の光電変換装置に好適に使用することができる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[合成例1]C60(nBuCHの合成
【化10】
JP0005435508B2_000009t.gif
窒素雰囲気下室温にてフラーレンC60(4.00 g, 5.55 mmol)を1,2-ジクロロベンゼン(180 mL)に溶かし、1時間脱気を行った。 窒素雰囲気下0℃にて、CuBr・SMe2(17.1 g, 83.3 mmol)をテトラヒドロフラン(94 mL)に懸濁させ、n-BuC6H4MgBrのテトラヒドロフラン溶液(80.8 mL, 1.03 M, 83.4 mmol)をゆっくりと滴下し、室温にてしばらく攪拌した後、C60の1,2-ジクロロベンゼン溶液を移送して反応を開始し、2時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液(10 mL)を加え反応を停止させた。なお、本明細書中、Meはメチルを表す。
【実施例】
【0058】
減圧下でテトラヒドロフランを留去し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を通して、副生する銅等を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素)によって精製した。C60(nBuCH(フラーレン誘導体1)のフラクションを集めて濃縮した後、エタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、乾燥によりフラーレン誘導体1を得た(単離収率 96%)。
【実施例】
【0059】
[合成例2]C60(nBuCMeの合成
【化11】
JP0005435508B2_000010t.gif
次に、スキーム2に示すように、窒素雰囲気下室温で製造されたフラーレン誘導体1(1.00 g, 0.718 mmol)をテトラヒドロフラン(150 mL)に溶解し、カリウムtert-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液(0.790 mL, 0.790 mmol)を滴下し、15分攪拌した。得られた黒色の溶液にヨウ化メチル(0.400 mL, 2.82 mmol)を加え、1時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去した後、 シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素/ヘキサン = 1/2)によって精製した。C60(nBuCMe(フラーレン誘導体2)のフラクションを集めて濃縮した後, エタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、 乾燥によりフラーレン誘導体2を得た(単離収率 77%)。
【実施例】
【0060】
[合成例3]Fe(C60(nBuC)Cpの合成
【化12】
JP0005435508B2_000011t.gif
次にスキーム3に示すように、 窒素雰囲気下室温にて製造されたフラーレン誘導体1(1.00 g, 0.718 mmol)をベンゾニトリル(150 mL)に溶かし、 [FeCp(CO)2]2(0.508 g, 1.44 mmol)を加え180℃に加熱し、8時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を通して、不溶分を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素/ヘキサン = 1/2)によって精製した。Fe(C60(nBuC)Cp(フラーレン誘導体3)のフラクションを集めて濃縮した後、エタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、 乾燥によりフラーレン誘導体3を得た(単離収率 59%)。
なお、本明細書中、Phはフェニルを表す。
【実施例】
【0061】
[合成例4]Ru(C60(nBuC)Cpの合成
【化13】
JP0005435508B2_000012t.gif
次にスキーム4に示すように、 窒素雰囲気下室温にて製造されたフラーレン誘導体1(500 mg, 0.359 mmol)をテトラヒドロフラン(75 mL)に溶かし、カリウムtert-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液(0.395 mL, 0.395 mmol)を滴下し、15分攪拌した。得られた黒色の溶液に、[RuCp(CH3CN)3]PF6(187 mg, 0.431 mmol)を加え、15分攪拌した。減圧下で溶媒を留去した後、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を濾通して、不溶分を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素/ヘキサン = 1/2)によって精製した。Ru(C60(nBuC)Cp(フラーレン誘導体4)のフラクションを集めて濃縮した後、エタノールを加えて目的物を析出させ、 濾過、乾燥によりフラーレン誘導体4を得た(単離収率 47%)。
【実施例】
【0062】
[合成例5]C60MeHの合成
【化14】
JP0005435508B2_000013t.gif
窒素雰囲気下室温にてC60(4.00 g, 5.55 mmol)を1,2-ジクロロベンゼン(180 mL)に溶かし、 1時間脱気を行った。 窒素雰囲気下0℃にてCuBr・SMe2(13.7 g, 66.6 mmol)をテトラヒドロフラン(94 mL)に懸濁させ、MeMgBrのテトラヒドロフラン溶液(66.6 mL, 1.00 M, 66.6 mmol)をゆっくりと滴下し、室温まで昇温して1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(7.60 mL, 66.6 mmol)を加えた。35℃に昇温した後、C60の1,2-ジクロロベンゼン溶液を移送して反応を開始し、1時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液(6 mL)を加え反応を停止させた。減圧下でテトラヒドロフランを留去し、窒素で復圧した後、展開溶媒を脱気したトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を通して、副生する銅等を除去した。トルエンを留去し、窒素で復圧した後、脱気したメタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、乾燥によりC60MeH(フラーレン誘導体5)を得た(単離収率 96%)。
【実施例】
【0063】
[合成例6]Fe(C60Me)Cpの合成
【化15】
JP0005435508B2_000014t.gif
次にスキーム6に示すように、窒素雰囲気下室温にて製造されたフラーレン誘導体5(1.00 g, 1.25 mmol)をベンゾニトリル(200 mL)に溶かし、[FeCp(CO)2]2(0.888 g, 2.51 mmol)を加え180℃に加熱し、8時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を通して、不溶分を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素)によって精製した。Fe(C60Me)Cp(フラーレン誘導体6)のフラクションを集めて濃縮した後、エタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、乾燥によりフラーレン誘導体6を得た(単離収率 35%)。
【実施例】
【0064】
[合成例7]Ru(C60Me)Cpの合成
【化16】
JP0005435508B2_000015t.gif
次にスキーム7に示すように、窒素雰囲気下室温にて製造されたフラーレン誘導体5(500 mg, 0.627 mmol)をテトラヒドロフラン(75 mL)に懸濁させ、カリウムtert-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液(0.690 mL, 0.690 mmol)を滴下し、15分攪拌した。得られた黒色の溶液に、[RuCp(CH3CN)3]PF6(327 mg, 0.753 mmol)を加え、15分攪拌した。減圧下で溶媒を留去した後、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を濾通して、不溶分を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素)によって精製した。Ru(C60Me)Cp(フラーレン誘導体7)のフラクションを集めて濃縮した後、エタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、乾燥によりフラーレン誘導体7を得た(単離収率 34%)。
【実施例】
【0065】
[合成例8]C60PhHの合成
【化17】
JP0005435508B2_000016t.gif
窒素雰囲気下室温にてC60(4.00 g, 5.55 mmol)を1,2-ジクロロベンゼン(180 mL)に溶かし、1時間脱気を行った。窒素雰囲気下0℃にてCuBr・SMe2(17.1 g, 83.3 mmol)をテトラヒドロフラン(94 mL)に懸濁させ、PhMgBrのテトラヒドロフラン溶液(83.3 mL, 1.00 M, 83.3 mmol)をゆっくりと滴下し、室温にてしばらく攪拌した後、C60の1,2-ジクロロベンゼン溶液を移送して反応を開始し、2時間後、飽和塩化アンモニウム水溶液(10 mL)を加え反応を停止させた。減圧下でテトラヒドロフランを留去し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を通して、副生する銅等を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素)によって精製した。C60PhH(フラーレン誘導体8)のフラクションを集めて濃縮した後、エタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、乾燥によりフラーレン誘導体8を得た(単離収率 89%)。
【実施例】
【0066】
[合成例9]Fe(C60Ph)Cpの合成
【化18】
JP0005435508B2_000017t.gif
次にスキーム9に示すように、窒素雰囲気下室温にて製造されたフラーレン誘導体8(1.00 g, 0.903 mmol)をベンゾニトリル(200 mL)に溶かし、[FeCp(CO)2]2(0.639 g, 1.81 mmol)を加え180℃に加熱し、20時間攪拌した。減圧下で溶媒を留去し、展開溶媒をトルエンとしたシリカゲルショートパスカラムに得られた混合物を通して、不溶分を除去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:二硫化炭素)によって精製した。Fe(C60Ph)Cp(フラーレン誘導体9)のフラクションを集めて濃縮した後、エタノールを加えて目的物を析出させ、濾過、乾燥によりフラーレン誘導体9を得た(単離収率 65%)。
【実施例】
【0067】
[実施例1] 塗布によって形成された混合物層を有する太陽電池
実施例1の太陽電池の模式図である図1に基づいて、実施例1の太陽電池の構成を示す。
ポリ(3-ヘキシルチオフェン-2,5-ジイル)(アルドリッチ社製 商品名「レジオレギュラー」)(以下、「P3HT」という)とフラーレン誘導体2とのモル比が1:0.15の比率となり、かつ、固形分濃度が1.6wt% になるようにモノクロロベンゼンに溶解させることにより、P3HTとフラーレン誘導体2とが溶解したモノクロロベンゼン溶液を調整した。
【実施例】
【0068】
ガラス基板1上にITO2が設けられたITOガラス基板上に、正孔取り出し層3としてポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名「Baytron AI 4083」)をスピンコートにより塗布した後、ホットプレート上でその基板に加熱処理を施した。その膜厚は28nmであった。加熱処理を施した基板上に、前記モノクロロベンゼン溶液をスピンコートにより塗布することにより、膜厚75nmの混合物層4を得た。この混合物層4上に真空蒸着により厚さが80nmのアルミニウム膜を電極5として設け、窒素雰囲気下でITOガラス基板に透明ガラス基板(非図示)を封止剤によって貼り付けてシールした。このシールされた素子をホットプレート上で150℃、10分間加熱処理を施すことにより、図1に示すようなバルクヘテロ接合の太陽電池を作成した。
【実施例】
【0069】
作成した太陽電池にITOガラス基板側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO2と電極5と間における電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【実施例】
【0070】
[実施例2] 塗布型の混合物層を有する太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりにフラーレン誘導体3を用いた以外は、実施例1と同様の条件で太陽電池を作成した。
作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【実施例】
【0071】
[実施例3] 塗布型の混合物層を有する太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりにフラーレン誘導体4を用いた以外は、実施例1と同様の条件で太陽電池を作成した。
作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【実施例】
【0072】
[比較例1] 塗布型の混合物層を有する太陽電池
フラーレン誘導体2の代わりに下記式(4)
【化19】
JP0005435508B2_000018t.gif
で表されるフラーレン誘導体 [6,6]-フェニル C61-ブチリックアシッドメチルエステルを用いた以外は、実施例1と同様の条件で太陽電池を作成した。
作成した電池について、実施例1と同様に電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表1のとおりであった。
【実施例】
【0073】
【表1】
JP0005435508B2_000019t.gif
【実施例】
【0074】
[実施例4] 蒸着型の混合物層を有する太陽電池
実施例4の太陽電池の模式図である図2に基づいて、実施例4の太陽電池の構成を示す。
ガラス基板1上にITO2が設けられたITOガラス基板上に、正孔取り出し層3としてポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液 (スタルクヴィテック社製 商品名「Baytron PH」)をスピンコートによって塗布した後、ホットプレート上でその基板に加熱処理を施した。その膜厚は40nmであった。次に真空蒸着機の中において、この基板上に電子受容体としてのフラーレン誘導体6と、電子供与体としての銅フタロシアニンとが同じ蒸着速度になるように調整し、両者の混合物層4である共蒸着膜を成膜した。当該膜の上に、フラーレンC60を、蒸着によって厚さが30nmとなるように成膜し(C60蒸着膜)、さらにバソキュプロインを蒸着によって厚さが6nmとなるように成膜し、電子取り出し層6を設けた。その後、厚さが80nmとなるように銀を蒸着させて成膜し、電極5を設けた。
【実施例】
【0075】
このようにして成膜された基板を真空蒸着機から取り出し、窒素雰囲気下でITOガラス基板に透明ガラス基板を封止剤によって貼り付けてシールすることにより、図2に示すようなバルクヘテロ接合の太陽電池を作成した。
【実施例】
【0076】
作成した太陽電池にITOガラス基板側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO2と電極5と間における電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表2のとおりであった。
【実施例】
【0077】
[実施例5] 蒸着によって形成された混合物層を有する太陽電池
フラーレン誘導体6の代わりにフラーレン誘導体7を用いた以外は、実施例4と同様の条件で太陽電池を作成した。
作成した電池について、実施例4と同様に電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表2のとおりであった。
【実施例】
【0078】
[実施例6] 蒸着型の混合物層を有する太陽電池
フラーレン誘導体6の代わりにフラーレン誘導体9を用いた以外は、実施例4と同様の条件で太陽電池を作成した。
作成した電池について、実施例4と同様に電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表2のとおりであった。
【実施例】
【0079】
[比較例2] 蒸着型の混合物層を有する太陽電池
フラーレン誘導体6の代わりにフラーレンC60を用いた以外は、実施例4と同様の条件で太陽電池を作成した。
作成した電池について、実施例4と同様に電流-電圧特性を測定し、開放電圧および光電変換効率を算出した。結果は、表2のとおりであった。
【表2】
JP0005435508B2_000020t.gif

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の活用法として、例えば、太陽電池、光スイッチング装置、センサなどの各種の光電変換装置を挙げることができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1