TOP > 国内特許検索 > 微細棘状構造の作製方法及びセンサー > 明細書

明細書 :微細棘状構造の作製方法及びセンサー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-233762 (P2013-233762A)
公開日 平成25年11月21日(2013.11.21)
発明の名称または考案の名称 微細棘状構造の作製方法及びセンサー
国際特許分類 B29C  61/02        (2006.01)
G01N  21/65        (2006.01)
B29C  55/04        (2006.01)
FI B29C 61/02
G01N 21/65
B29C 55/04
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2012-108781 (P2012-108781)
出願日 平成24年5月10日(2012.5.10)
発明者または考案者 【氏名】遠藤 洋史
【氏名】飯島 貴之
【氏名】河合 武司
出願人 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
審査請求 未請求
テーマコード 2G043
4F210
Fターム 2G043AA01
2G043CA07
2G043EA03
2G043FA06
2G043JA08
2G043KA01
4F210AG03
4F210AG05
4F210AR12
4F210AR20
4F210QC01
4F210QD25
4F210QG15
4F210QG18
4F210RA01
4F210RC02
4F210RG02
4F210RG09
4F210RG31
4F210RG43
要約 【課題】超高感度の分子検出に利用可能な微細棘状構造の作製方法及び該微細棘状構造を用いたセンサーを提供する。
【解決手段】微細凹凸構造を有する基板の凹部にポリマー粒子を配列させるポリマー配列工程と、上記ポリマー粒子を配列させた上記基板の表面に金属を蒸着させる蒸着工程と、上記ポリマー粒子を除去するポリマー除去工程と、を有する方法により、棘の先端と先端の間隔を一定に制御した微細棘状構造を作製する。上記のような微細棘状構造では、大きなラマン増幅効果が得られる。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
微細凹凸構造を有する基板の凹部にポリマー粒子を配列させるポリマー配列工程と、
前記ポリマー粒子を配列させた前記基板の表面に金属を蒸着させる蒸着工程と、
前記ポリマー粒子を除去するポリマー除去工程と、を有することを特徴とする微細棘状構造の作製方法。
【請求項2】
前記微細凹凸構造の凹部がストライプ状又はジグザグ状に形成されている請求項1記載の作製方法。
【請求項3】
基材を延伸する工程と、
前記基材の延伸状態を維持したまま前記基材上に前記基材よりも大きな弾性率を有する表層を形成する工程と、
前記基材の延伸状態を解除することにより、前記微細凹凸構造を有する基板を得る工程と、を更に有する請求項1又は2記載の作製方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかで作製された微細棘状構造を用いたセンサー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微細棘状構造の作製方法及びセンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周期的な微細凹凸構造は種々の光学素子に使用されている。感光性物質を塗布した材料表面に露光してパターン形成するリソグラフィーは、半導体や液晶パネルの基板作製に広く用いられているが、大規模な装置が必要であったり、コストがかかったりするという問題がある。より簡便な方法として、座屈現象に基づいて微細凹凸構造を形成する方法が知られている。例えば、一軸方向に延伸した基板の上に硬い表層を形成し、次いで基板の延伸状態を解除することでストライプ状の周期的な凹凸構造を形成する方法がある(特許文献1を参照)。この方法では、基板と表層の材料の弾性率の関係に加え、延伸時の延伸方向の長さと非延伸時の延伸方向の長さの比によって、凹凸構造の周期とアスペクト比を制御することができる。あるいは、同様に基板を三次元方向に延伸し、表面に硬い薄膜を形成させ、次いで基板の延伸状態を解除することによっても、ストライプ、ジグザグ模様、しわ模様等を形成することができる(非特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、近年このような微細凹凸構造を超高感度の分子検出に利用することが検討されている。ある種の金属微小構造体に光を照射すると、表面の特定の点で、表面プラズモン共鳴効果と呼ばれる光による電子の集団振動を起こし、このプラズモン効果が近くの表面分子のラマン散乱信号を増幅することが知られている。更にこのラマン増幅効果は、金属ナノ粒子凝集体の間隙等で特に大きいことも知られている。この現象は、表面増強ラマン分光法(SERS)に利用されている。
【0004】
微細凹凸構造をSERSへ利用した例としては、例えば、三次元方向への延伸を利用して作製したしわ模様の微細凹凸構造に銀蒸着した表面を用いることが提案されている(非特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2009-96081号公報
【0006】

【非特許文献1】遠藤他、日本化学会第91春季年会(2011年) 講演予稿集III 3D7-41
【非特許文献2】遠藤他、プラスチック成形加工学会第19回秋季大会(2011年) 講演予稿集 D-222
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の表面の場合、ラマン増強効果が得られたのは、しわ模様の狭い隙間(凹部)の存在によるものと考えられるが、その幅の大きさはランダムであるため、測定点によって感度にばらつきがあった。また、所望の幅の凹部をもつしわ模様を作製することは困難であった。
【0008】
そこで、ラマン増強効果をもたらす部位が特定の規則性を持って存在するような微細構造を用いれば、測定点による感度のばらつきを抑え、大きなラマン増幅効果を安定して得ることが期待されるが、そのような方法はなかった。
【0009】
本発明は、SERS等の超高感度の分子検出に利用可能な微細棘状構造を、棘の先端と先端の間隔を一定に制御して作製する方法を提供することを目的とする。また、該作製方法によって形成された微細棘状構造を用いたセンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ね、以下のような本発明を完成するに至った。
【0011】
(1)微細凹凸構造を有する基板の凹部にポリマー粒子を配列させるポリマー配列工程と、上記ポリマー粒子を配列させた上記基板の表面に金属を蒸着させる蒸着工程と、上記ポリマー粒子を除去するポリマー除去工程と、を有することを特徴とする微細棘状構造の作製方法。
【0012】
(2)上記微細凹凸構造の凹部がストライプ状又はジグザグ状に形成されている(1)記載の作製方法。
【0013】
(3)基材を延伸する工程と、上記基材の延伸状態を維持したまま上記基材上に上記基材よりも大きな弾性率を有する表層を形成する工程と、上記基材の延伸状態を解除することにより、上記微細凹凸構造を有する基板を得る工程と、を更に有する(1)又は(2)記載の作製方法。
【0014】
(4)(1)~(3)のいずれかで作製された微細棘状構造を用いたセンサー。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、SERS等の超高感度の分子検出に利用可能な微細棘状構造を、棘の先端と先端の間隔を一定に制御して作製することができ、この構造を利用した優れたセンサーを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の微細棘状構造の作製方法の一例を示す図である。
【図2】微細凹凸構造にポリスチレン粒子をスピンコーティングし、ストライプ状に配列した状態のSEM観察画像を示す図である。
【図3】作製した微細棘状構造のSEM観察画像を示す図である。
【図4】作製した微細棘状構造に4-メルカプトピリジンを吸収させて測定したラマン散乱分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。

【0018】
本発明の微細棘状構造の作製方法は、微細凹凸構造を有する基板の凹部にポリマー粒子を配列させるポリマー配列工程と、上記ポリマー粒子を配列させた上記基板の表面に金属を蒸着させる蒸着工程と、上記ポリマー粒子を除去するポリマー除去工程と、を有することを特徴とする。本発明の方法によれば、微細凹凸構造の凹部の幅にばらつきがあったとしても、凹部に配列させるポリマー粒子の大きさによって、微細棘状構造の棘の先端と先端の間隔を一定に制御することができる。微細棘状構造の棘の先端と先端の間の部位は、ラマン増幅効果をもたらす部位となりやすく、棘の先端と先端の間隔の大きさを制御することによって、感度を調整することができる。また、蒸着する金属種、金属蒸着条件等の組み合わせを変えることによっても、ラマン増幅効果を調整することができる。以下、本発明の微細棘状構造の作製方法の各工程について、図1を用いて詳細に説明する。

【0019】
[ポリマー配列工程]
微細凹凸構造を有する基板10(図1(a))の凹部に棘状構造の型となるポリマー粒子40を配列させる工程である(図1(b))。微細凹凸構造の凹部に沿って隙間なくポリマー粒子40を一列に配列させることで、棘状構造が向かい合って並んだ構造を作製することができる。

【0020】
ここで用いられる微細凹凸構造は、ポリマー粒子40を一定の周期を持って秩序良く配列できる構造を有するものであれば特に限定されないが、凹部がストライプ状又はジグザグ状に形成されているものが好ましい。より好ましくは、凹部がストライプ状に形成されているものがよい。

【0021】
凹部がストライプ状又はジグザグ状を形成している微細凹凸構造は、公知の方法によって得ることができる。例えば、延伸可能な基材20を延伸し、延伸状態を維持したまま表層30を形成させ、次いで基材の延伸状態を解除することにより得ることができる。以下、この方法について詳細に説明する。

【0022】
延伸可能な基材20の材料は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ジフェニルシロキサン等のポリシロキサン系ポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素化ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルハイドロゲンシロキサン、これらのコポリマー、ブレンド等が挙げられる。基材20に用いる材料の弾性率は0.5~10MPaが好ましい。

【0023】
基材20の膜厚は0.3~20mmが好ましい。0.3mmより薄いと延伸時に破れやすく、20mmより厚いと延伸状態を解除したときに微細凹凸構造を形成しにくい。

【0024】
基材20の延伸方法は、例えば特許文献1のように、基材20の面に平行な一軸方向に応力を加えればよい。基材20の延伸率(延伸時の延伸方向の長さ/非延伸時の延伸方向の長さ)は1.1~10が好ましく、より好ましくは、1.1~1.8、更に好ましくは、1.2~1.7である。あるいは、非特許文献1のように基材面に対して略垂直方向に応力を加えて延伸してもよい。

【0025】
次に、延伸状態を維持したまま、基材20の上に表層30を形成させる。表層30の材料としては、上記基材20に用いた材料よりも大きな弾性率を有し、延伸の解除とともに微細凹凸構造を形成できる材料であれば特に限定されず、セラミック、カーボン、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等が挙げられる。表層30に用いる材料の弾性率は0.5~100GPaが好ましい。

【0026】
表層30の厚みは1~50,000nmが好ましい。単層で形成しても、複数積層させてもよい。

【0027】
表層30の形成方法は、上記の厚みの表層を形成できれば特に限定されないが、酸素プラズマ、蒸着等が挙げられる。例えば、基材20にPDMS等のポリシロキサン系ポリマーを用いれば、そのまま酸素プラズマ処理することにより、基材20の表面に新しい硬シリカ層を形成することができる。あるいは、基材20上にシリカ、酸化チタニウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム等のセラミックを蒸着して表層30を形成してもよい。

【0028】
表層30を形成した後、延伸状態を解除すると、微細凹凸構造が形成される。延伸状態の解除は、基材に対してかけていた応力を排除し、基材を初期状態に戻せばよい。これにより、内部応力が開放され、表面座屈現象が起こり、凹凸構造が形成される。基材面に対して平行な一軸方向に延伸を行った場合は、延伸状態の解除後、全体にストライプ状又はジグザグ状の凹部が形成しやすく、基板10として利用することができる。基材面に対して略垂直方向に延伸を行った場合は、延伸状態の解除後、中心部より離れた部分にストライプ状又はジグザグ状の凹部が形成しやすく、その部分を基板10として利用すればよい。

【0029】
凹凸の周期としては、50nm~500μmの幅が好ましく、0.5~3μmの幅がより好ましい。凸部の高さとしては、20nm~200μmが好ましく、0.2~1μmがより好ましい。

【0030】
上記の他に、凹部がストライプ状又はジグザグ状に形成された微細凹凸構造を作製する方法として、高分子弾性体の基材の上に相対的に硬い表層を形成し、そこに側方応力を加える方法や、加熱収縮性の基材の上に樹脂表層を形成させた後、加熱して変形させる方法等も挙げることができる。

【0031】
上記のように形成させた微細凹凸構造を有する基板10の凹部に、ポリマー粒子40を配列させる方法は、ポリマー粒子分散液をスピンコート処理することによって行えばよい。ポリマー粒子分散液を、微細凹凸構造を有する基板10の上に滴下し、1000~3000rpm、20~60秒でスピンコートすることが好ましい。

【0032】
ポリマー粒子40は、微細凹凸構造の凹部に一列に配列するように、直径50~1000nmの粒子であることが好ましい。より好ましくは、直径200~800nmの粒子を用いるのがよい。直径の小さいポリマー粒子40を用いると、微細棘状構造の棘の先端と先端の間隔を狭くすることができる。

【0033】
ポリマー粒子40の材料は、後工程で容易に除去でき、上記の大きさの粒子を形成できるものであれば特に限定されないが、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、シリカ等を用いることができる。中でもポリスチレン粒子が好ましく、水分散液としてスピンコートに用いることができる。ポリスチレン粒子であれば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、グリコールエーテル、グリコールエステル、柑橘系植物油等に浸漬することで、溶解させ除去することができる。

【0034】
[蒸着工程]
微細凹凸構造を有する基板10の凹部にポリマー粒子40を配列させた後、ポリマー粒子を配列させた表面に金属を真空蒸着させる(図1(c))。蒸着させる金属としては、金、銀、アルミニウム、クロム、亜鉛、白金、ニッケル等が挙げられ、金、銀、白金が好ましく、金、銀が特に好ましい。金属蒸着膜50の膜厚は、10~150nmが好ましく、20~100nmがより好ましい。膜厚が厚い方が、ラマン効果の増強が大きい優れたセンサーを作製できる。

【0035】
[ポリマー除去工程]
金属蒸着後、ポリマー粒子40を除去すると、そこに空隙60ができ、空隙60の近傍に、蒸着金属部分が棘状になって向かい合った微細棘状構造70を作製することができる(図1(d))。ポリマー粒子40の除去方法は、除去残りが発生しないような方法であれば特に限定されないが、有機溶剤に浸漬してポリマー粒子を溶解させる方法が好ましい。用いる有機溶剤は、基板10を溶解させることなく、ポリマー粒子40を溶解する有機溶剤であれば特に指定されないが、例えばポリマー粒子40にポリスチレンを用いた場合は、クロロホルムに浸漬するとよい。浸漬時間は0.5~1分が好ましい。有機溶剤への浸漬は、通常室温で行えばよい。

【0036】
[微細棘状構造の利用]
上記の方法によって得られた微細棘状構造70は、SERS等で超高感度で検体を検出するために用いることができ、また、従来の周期的な凹凸構造と同様に、無反射基板を作製したり、溝部分に粒子を並べて転写することにより半導体回路作製に応用したり、あるいは、更に表面修飾を行って超撥水性基板やタンパク質検体界面の構築等にも利用することができる。

【0037】
[SERSにおいて検体の多様化への対応]
上記の方法によって得られた微細棘状構造70は、基材10に延伸可能な材料を用いている場合、伸張させて空隙60の大きさを変化させることができる。検体の種類によって、ラマン増幅効果が変化した場合、空隙60の大きさを変化させて調整することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
[試験例1]
厚さ5mmのPDMS基材の両端を固定し、基材に平行な方向に延伸率1.15となるように延伸した。この状態のまま酸素プラズマ処理時間5分で処理した。延伸状態を解除したところ、凹凸の周期が1.37μm、凸部の高さが0.27μmのストライプ状の凹凸構造が得られた。これにポリスチレン粒子分散水溶液(ポリスチレン粒子径500nm、4.7wt%)を滴下し、2000rpm、30秒のスピンコーティングで塗布し、SEMで観察したところ、図2に示すように、ポリスチレン粒子が凹凸構造の凹部に沿って配列する様子が見られた。この表面に銀を厚さ70nmとなるように真空蒸着した。その後、基板をクロロホルムに30秒浸漬し、ポリスチレン粒子を除去したところ、図3に示すように、ポリスチレン粒子が配列していたところが空隙となり、蒸着した銀による微細棘状構造が作製された。
【実施例】
【0040】
[試験例2]
真空蒸着工程で銀の厚さを50nmとした以外は、試験例1と同様に行い、微細棘状構造を作製した。
【実施例】
【0041】
[試験例3]
真空蒸着工程で銀の厚さを30nmとした以外は、試験例1と同様に行い、微細棘状構造を作製した。
【実施例】
【0042】
[試験例4]
試験例1で作製した微細棘状構造を有する基板を4-メルカプトピリジン水溶液(1mM)に1.5時間浸漬し、自己組織化単分子膜を形成させた。蒸留水に30分浸漬して洗浄し、ラマンスペクトルを測定した。励起波長532nm、1.5W、積算回数1回、測定時間30秒の条件で測定したところ、図4の(a)のようなラマンスペクトルが得られた。図4(b)は、試験例1でストライプ状の凹凸構造となった状態に、直接銀を厚さ70nmとなるように真空蒸着させた後、上記のように4-メルカプトピリジン水溶液に浸漬して、自己組織化単分子膜を形成させた場合のラマンスペクトルである。また、図4(c)は、試験例1で用いたPDMS基材そのものに、直接銀70nmを真空蒸着させ、同様に4-メルカプトピリジン水溶液で処理した後、測定したラマンスペクトルの結果である。図4からわかるように、(a)の微細棘状構造を利用したラマンスペクトルは、他の構造のラマンスペクトルに比べ、大きなラマン増強効果が見られた。1072cm-1のピーク強度を比較すると(a):(b):(c)=432:8:1であった。
【実施例】
【0043】
[試験例5]
試験例4で作製した試料について、ラマンスペクトル測定の条件を励起波長785nmとした以外は、試験例4と同様にラマンスペクトルを測定した。励起波長532nmのときに比べピーク強度は4倍になった。
試験例2及び3で作製した微細棘状構造を有する基板を、試験例4と同様に4-メルカプトピリジン水溶液で処理した後、励起波長785nmでラマンスペクトルを測定した。1093cm-1のピーク強度を比較すると、真空蒸着の銀の厚さが70nm、50nm、30nmとなるにしたがって、ピーク強度が小さくなっており、蒸着した金属の膜厚が厚い方が大きな強度を示していた。
【符号の説明】
【0044】
10:微細凹凸構造を有する基板
20:基材
30:表層
40:ポリマー粒子
50:金属蒸着膜
60:空隙
70:微細棘状構造
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図2】
2
【図3】
3