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明細書 :ゲル化剤、それを用いた金属ナノ粒子の製造方法及びグラフェンの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-237736 (P2013-237736A)
公開日 平成25年11月28日(2013.11.28)
発明の名称または考案の名称 ゲル化剤、それを用いた金属ナノ粒子の製造方法及びグラフェンの製造方法
国際特許分類 C09K   3/00        (2006.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
C01B  31/02        (2006.01)
B22F   9/24        (2006.01)
FI C09K 3/00 103M
B82Y 40/00
C01B 31/02 101Z
B22F 9/24 E
B22F 9/24 B
B22F 9/24 C
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2012-110082 (P2012-110082)
出願日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発明者または考案者 【氏名】遠藤 洋史
【氏名】フレデリック・デルベック
【氏名】河合 武司
出願人 【識別番号】803000115
【氏名又は名称】学校法人東京理科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
審査請求 未請求
テーマコード 4G146
4K017
Fターム 4G146AA01
4G146AB07
4G146BA50
4G146BC50
4K017AA03
4K017BA02
4K017BA03
4K017BA05
4K017BB02
4K017BB05
4K017BB06
4K017CA08
4K017DA01
4K017DA09
4K017EJ01
4K017EJ02
4K017FB07
4K017FB11
要約 【課題】水だけでゲル化するゲル化剤、それを用いた金属ナノ粒子の製造方法、及びグラフェンの製造方法を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるゲル化剤を提供する。式(I)中、Rは炭素数7~21の脂肪族炭化水素基を示し、Rは水素原子、アルキル基、スルファニルアルキル基、アルキルスルファニルアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又は-(CH-CONH(CHXを示し、Xはそれぞれ独立に-NH又は-OHを示し、l、m、nはそれぞれ独立に1~3の整数を示す。
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【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)で表されるゲル化剤。
【化1】
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(式中、Rは炭素数7~21の脂肪族炭化水素基を示し、Rは水素原子、アルキル基、スルファニルアルキル基、アルキルスルファニルアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又は-(CH-CONH(CHXを示し、Xはそれぞれ独立に-NH又は-OHを示し、l、m、nはそれぞれ独立に1~3の整数を示す。)
【請求項2】
請求項1記載のゲル化剤を用いて、金属前駆体を含有するゲルを調製するゲル調製工程と、
前記ゲル中で前記金属前駆体を還元して金属ナノ粒子を製造する還元工程と、を含む金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のゲル化剤を用いて、グラフェン酸化物と還元剤とを含有するゲルを調製するゲル調製工程と、
前記ゲル中で前記グラフェン酸化物を還元してグラフェンを製造する還元工程と、を含むグラフェンの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル化剤、それを用いた金属ナノ粒子の製造方法及びグラフェンの製造方法関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲルは食品、化粧品、工業用増粘剤等の広範な分野において使用され、その更なる応用が期待されている。ゲル材料としては、寒天やゼラチンのような天然高分子由来のものや、ポリアクリルアミド等の人工高分子のものが従来使用されているが、機能発現に制限があった。
【0003】
そこで、近年、より広い用途で使用できるゲル化剤として、低分子ゲル化剤が開発されている。低分子ゲル化剤は、金属ナノ粒子やグラフェンの凝集防止剤への利用が検討されている。
【0004】
金属ナノ粒子は、基板の配線材料、触媒、電極材料、医療用検査試薬等に広く利用されている。最近では使用量が増加し、品質の安定性の他、コストやエネルギー消費の削減も含めて、さまざまな製造方法が検討されている。水溶液あるいは非水溶液系で、溶解あるいは分散している金属化合物を、還元剤を用いて還元する液相法は、簡単に金属ナノ粒子を得る方法としてよく用いられる。この方法では、得られた金属ナノ粒子が凝集しないように、ナノ粒子の表面に吸着・配位する保護剤を添加する。たとえば、保護剤として、尿素誘導体(非特許文献1)やペプチド性デンドリマー(非特許文献2)等の低分子ゲル化剤を用いて金ナノ粒子を製造することが提案されている。これらの低分子ゲル化剤を用いると、十数nmの粒子を製造できたが、一部にクラスターが生成しており、金ナノ粒子の分散性は十分とはいえなかった。
【0005】
グラフェンは、単原子厚のシート状の炭素材料であり、さまざまな優れた電気的、機械的、熱的特性を有することで注目されている。特に、電子の移動度が非常に高いため、配線材料、半導体、太陽電池、二次電池等への利用が期待されている。グラフェンを製造する方法の一つとして、グラフェン酸化物をグラフェンに還元する方法があるが、グラフェンは凝集しやすいため、ポリマー、界面活性剤、生体分子等を添加して凝集を抑える方法が検討されている。たとえば、グラフェン酸化物の水溶液にL-アスコルビン酸を還元剤として添加し、還元して得られたグラフェン水溶液を、DMSOと水でゲル化した低分子ペプチドからなるハイドロゲルと混合すると、グラフェンが安定に分散された状態を維持することが報告されている(非特許文献3)。ここでは、低分子ペプチドからなるハイドロゲルが凝集を抑える役割をしている。しかし、この方法では、低分子ペプチドからハイドロゲルを調製するのに、少量のDMSOが必要であった。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】P.K.Vemula et al.,Chem.Commun.,2006,2218-2220.
【非特許文献2】C.S.Love et al.,Chem.Commun.,2005,1971-1973.
【非特許文献3】B.Adhikari et al.,Soft Matter,2011,7,9259-9266.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、低分子ゲル化剤は、金属ナノ粒子の製造やグラフェンの製造において、凝集防止剤として働くが、分散性能や取り扱いやすさの面でまだ十分とはいえない。原料の入手が容易な脂肪酸やアミノ酸を用いて、水だけでもゲル化し、凝集防止効果の高いゲル化剤が得られれば、利便性、コスト面で望ましい。
【0008】
本発明は、水だけでもゲル化するゲル化剤、それを用いた金属ナノ粒子の製造方法、及びグラフェンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ね、以下のような本発明を完成するに至った。
【0010】
(1)下記式(I)で表されるゲル化剤。
【化1】
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(式中、Rは炭素数7~21の脂肪族炭化水素基を示し、Rは水素原子、アルキル基、スルファニルアルキル基、アルキルスルファニルアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又は-(CH-CONH(CHXを示し、Xはそれぞれ独立に-NH又は-OHを示し、l、m、nはそれぞれ独立に1~3の整数を示す。)
【0011】
(2)(1)記載のゲル化剤を用いて、金属前駆体を含有するゲルを調製するゲル調製工程と、上記ゲル中で上記金属前駆体を還元して金属ナノ粒子を製造する還元工程と、を含む金属ナノ粒子の製造方法。
【0012】
(3)(1)記載のゲル化剤を用いて、グラフェン酸化物と還元剤とを含有するゲルを調製するゲル調製工程と、上記ゲル中で前記グラフェン酸化物を還元してグラフェンを製造する還元工程と、を含むグラフェンの製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水だけでもゲル化し、凝集防止効果の高いゲル化剤が得られる。また、本発明のゲル化剤を用いることによって、金属ナノ粒子の製造方法及びグラフェンの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のゲル化剤を用いて得たゲルの電子顕微鏡観察画像を示す図である。
【図2】試験例2で製造した金ナノ粒子分散液の可視紫外吸収スペクトルを示す図である。
【図3】試験例2で製造した金ナノ粒子分散液のTEM画像を示す図である。
【図4】試験例2で製造した金ナノ粒子の粒径分布を示す図である。
【図5】試験例3で製造した金ナノ粒子分散液のTEM画像を示す図である。
【図6】試験例4で製造したグラフェンキセロゲルのFE-SEM画像を示す図である。
【図7】試験例4で製造したグラフェン酸化物分散ヒドロゲル及びグラフェン分散ヒドロゲルの粘度を示す図である。
【図8】試験例4で製造したグラフェンシートのFT-IRスペクトルを示す図である。
【図9】試験例4で製造したグラフェンシートのラマンスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。

【0016】
<ゲル化剤>
本発明のゲル化剤は、下記式(I)で表される化合物である。
【化2】
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【0017】
式中、Rは炭素数7~21の脂肪族炭化水素基を示し、Rは水素原子、アルキル基、スルファニルアルキル基、アルキルスルファニルアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又は-(CH-CONH(CHXを示し、Xはそれぞれ独立に-NH又は-OHを示し、l、m、nはそれぞれ独立に1~3の整数を示す。

【0018】
の脂肪族炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、Rの脂肪族炭化水素基は、直鎖であっても分岐があってもよい。Rの脂肪族炭化水素基の炭素数は、9~21が好ましく、17~21が特に好ましい。具体的には、ヘプタデシル基、8-ヘプタデシニル基、10-ヘプタデシニル基、8,11-ヘプタデカジエノ基、ノナデシル基等が挙げられる。中でも、RはRCOOHで表される脂肪酸に由来するものが好適である。

【0019】
のアルキル基は、直鎖であっても分岐があってもよい。また、Rのアルキル基の炭素数は、1~6が好ましく、1~4がより好ましい。具体的には、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基等が挙げられる。

【0020】
のスルファニルアルキル基は、炭素数1~6のものが好ましく、炭素数1~3のものがより好ましい。具体的には、スルファニルメチル基、スルファニルエチル基等が挙げられる。

【0021】
のアルキルスルファニルアルキル基は、炭素数1~6のものが好ましく、炭素数1~3のものがより好ましい。具体的には、メチルスルファニルエチル基等が挙げられる。

【0022】
のアリール基は、炭素数6~20の単環式又は多環式芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6~12の単環式又は多環式芳香族炭化水素基がより好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。

【0023】
のヘテロアリール基は、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1~4個含む、環構成炭素数2~9の単環式又は多環式芳香族複素環基が好ましく、環構成炭素数3~5の単環式芳香族複素環基がより好ましい。具体的には、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基等が挙げられる。

【0024】
のアリールアルキル基は、上記アリール基で置換された炭素数1~6のアルキル基が好ましく、上記アリール基で置換された炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。具体的には、ベンジル基、フェネチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルプロパン-2-イル基等が挙げられる。

【0025】
のヘテロアリールアルキル基は、上記のヘテロアリール基で置換された炭素数1~6のアルキル基が好ましく、上記ヘテロアリール基で置換された炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。具体的には、ピリジルメチル基、ピリジルエチル基、ピラジルメチル基、ピリミジニルメチル基、ピリダジニルメチル基、イミダゾリルメチル基、ピラゾリルメチル基、インドリルメチル基等が挙げられる。

【0026】
該アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基が有してもよい置換基は、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素数1~4のアルコシキ基、炭素数1~4のヒドロキシアルキル基、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を有するアミノ基、ハロゲン基、炭素数1~4のアルコキシカルボニル基等が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、クロロ基、フルオロ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。

【0027】
はNHCHRCOOHで表されるアミノ酸に由来するものが好ましく、特には天然アミノ酸に由来するものが好ましい。具体的には、Rとして、水素原子、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、1-メチルプロピル基、フェニルメチル基、3-ヒドロキシフェニルメチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、スルファニルメチル基、メチルスルファニルエチル基、イミダゾリルメチル基、インドリルメチル基、-(CHCONH(CHNH、-CHCONH(CHNH等が挙げられる。

【0028】
本発明のゲル化剤において、アミド部位は水素結合し、ネットワークを形成してゲルを安定化する。X又はRの一級アミノ基、あるいはXのヒドロキシ基は、金属に配位して、金属粒子の分散性をよくする。

【0029】
<ゲル化剤の製造>
本発明のゲル化剤は、アミノ酸及び脂肪酸を原料に合成することができる。すなわち、NHCHRCOOHで表されるアミノ酸のアミノ基とRCOOHで表される脂肪酸のカルボキシル基との反応により、酸アミドを製造し、更にアミノ酸残基のカルボキシル基とジアミン又はヒドロキシアミンのアミノ基との反応により、目的とするゲル化剤を得ることができる。

【0030】
【化3】
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(式中、R、R、X、nは上記と同様である。Rは水素原子、アルキル基、スルファニルアルキル基、アルキルスルファニルアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいヘテロアリールアルキル基、又は-(CHCOOHを示し、lは上記と同様である。)

【0031】
脂肪酸はカルボキシル基のままでもエステル、ハロゲン化物、酸無水物等に活性化して用いてもよい。たとえば、脂肪酸に塩化チオニル、塩化スルフニル等を作用させて酸塩化物として用いてもよい。アミノ酸は入手が容易な形で用いればよく、フリーのアミノ酸でも、塩酸塩でも、モノエステルでもかまわない。脂肪酸ハロゲン化物とアミノ酸とからは容易に酸アミドを製造することができる。反応は溶媒中で行うことが好ましく、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等を用いることができる。ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン等を触媒として用いてもよい。

【0032】
次いで、生成した酸アミドのアミノ酸残基のカルボキシル基と、ジアミン又はヒドロキシアミンのアミン部位とから酸アミドを生成する反応により、末端Xにアミノ基又はヒドロキシ基を有するゲル化剤を製造できる。Rが-(CHCOOHの場合は、このカルボキシル基と、ジアミン又はヒドロキシアミンのアミン部位との反応により酸アミドが生成する。ジアミン又はヒドロキシアミンは、カルボキシル基の当量に対して過剰に用いることが好ましい。

【0033】
<金属ナノ粒子の製造方法>
本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、本発明のゲル化剤を用いて、金属前駆体を含有するゲルを調製するゲル調製工程と、上記ゲル中で上記金属前駆体を還元してナノ粒子を製造する還元工程と、を含む。

【0034】
[ゲル調製工程]
ゲル調製工程は、水又は有機溶剤に本発明のゲル化剤を混合した後、金属前駆体を混合することを含む。

【0035】
水又は有機溶剤に添加する上記のゲル化剤の濃度は、0.2~6質量%が好ましく、3~5質量%がより好ましい。

【0036】
上記有機溶剤としては、トルエン、クロロベンゼン、ヘキサン等の疎水性溶剤、アセトニトリル、メタノール、ピリジン等の親水性溶剤が挙げられる。上記のゲル化剤の種類によって、適宜選択するとよい。

【0037】
金属前駆体は、金属成分として、Au、Ag、Pd、Pt、Ru、Rh、Fe、Co、Ni、Cuから選択された1種又は2種以上の成分を含むものが好ましい。特には、Au、Ag、Pd、Pt、Ru、Rh等の貴金属を含むものが好ましい。金属前駆体としては、上記の金属成分を含む金属塩を用いることが好ましい。金属塩としては、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、金属錯化合物等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。具体的な金属前駆体としては、テトラクロロ金(III)酸(HAuCl)、ヘキサクロロ白金(IV)酸(HPtCl)、白金(II)硝酸(Pt(NO)、銀(I)硝酸塩(AgNO),銀(I)アンモニア錯体[Ag(NH)]、銀(I)ヒドロキシ錯体[Ag(OH)]、パラジウム(II)硝酸塩(Pd(NO)、ロジウム(III)硝酸塩(Rh(NO)、塩化ルテニウム(III)水和物(RuCl・xHO)等が挙げられる。

【0038】
金属前駆体の濃度は、水又は上記の有機溶剤に対して、0.005~0.05mmol/gが好ましく、0.009~0.03mmol/gがより好ましい。

【0039】
ゲルを調製するには、水又は有機溶剤に上記ゲル化剤を混合して溶解させた後、上記金属前駆体を混合する。溶解には、必要に応じて加熱をすればよい。加熱は55~70℃で行うのが好ましい。

【0040】
[還元工程]
還元工程は、上記ゲル中で上記金属前駆体を還元してナノ粒子を製造する工程である。
製造する金属ナノ粒子の平均粒径は、1~100nmが好ましく、1~20nmがより好ましい。

【0041】
還元は、還元剤を添加し加熱する方法によって行ってもよいし、紫外線を照射する方法によってもよい。

【0042】
還元剤としては、用いる金属前駆体中の金属成分の酸化還元電位を勘案して適切に用いればよく、無機還元剤でも有機還元剤でもよい。具体的には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、没食子酸、蟻酸、シュウ酸、コハク酸、アスコルビン酸、クエン酸、ハイドロキノン等が挙げられる。

【0043】
還元剤の濃度は、水又は上記の有機溶剤に対して、0.01~0.8mmol/mlが好ましく、0.01~0.2mmol/mlがより好ましい。

【0044】
還元剤を加えて加熱する温度は、40~130℃が好ましく、50~70℃がより好ましい。

【0045】
紫外線を照射する方法では、波長10nm~400nmの紫外線を、上記ゲルに30分~4時間照射することが好ましい。より好ましくは、300~370nmの紫外線を照射するのがよい。紫外線を照射するには、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、又はキセノンランプを用いればよい。照度4000~4500mW/cmの光を照射するのが好ましく、4200~4300mW/cmの光を照射するのがより好ましい。
紫外線を照射する場合、上記の還元剤を含んでいてもよい。

【0046】
上記の方法により上記金属前駆体を還元すると、ゲル中によく分散した状態で金属ナノ粒子を製造することができる。特に本発明のゲル化剤は、末端にアミノ基又はヒドロキシ基を有するため、金属に配位して金属ナノ粒子の分散性をよくすることができ、クラスターの発生を抑えることができる。

【0047】
[金属ナノ粒子分散液の回収]
上記の方法により製造された金属ナノ粒子はゲル中に分散した状態で得られるが、有機溶剤を添加し遠心分離することによって、上澄み液として金属ナノ粒子分散液を得ることができる。

【0048】
<グラフェンの製造方法>
本発明のグラフェンの製造方法は、本発明のゲル化剤を用いて、グラフェン酸化物と還元剤とを含有するゲルを調製するゲル調製工程と、上記ゲル中で上記グラフェン酸化物を還元してグラフェンを製造する還元工程と、を含む。

【0049】
[ゲル調製工程]
ゲル調製工程は、水に本発明のゲル化剤を混合した後、グラフェン酸化物と還元剤とを混合することを含む。

【0050】
水に添加する上記ゲル化剤の濃度は、0.1~5質量%が好ましく、0.2~2質量%がより好ましい。

【0051】
グラフェン酸化物は、公知の方法により製造することができる。たとえば、ハンマー法にしたがい、グラファイトを濃硫酸中に浸し、過マンガン酸カリウムを加えて反応させた後、反応物を硫酸中に浸し、過酸化水素を加えて反応させればよい。グラファイトを濃硫酸中で過マンガン酸カリウムを加えて反応させることで、炭素原子に酸素原子が結合し、層間に酸素原子が導入されてグラフェン酸化物が得られる。

【0052】
グラフェン酸化物の濃度は、水に対して0.001~0.5質量%が好ましく、0.004~0.01質量%がより好ましい。

【0053】
還元剤は、無機還元剤、有機還元剤どちらを用いてもよい。具体的には、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリエチルホウ素ナトリウム、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、没食子酸、蟻酸、シュウ酸、ハイドロキノン等が挙げられる。中でもヒドラジンが特に好ましい。

【0054】
還元剤の濃度は、水に対して1.0~8.0mmol/gが好ましく、2.0~3.0mmol/gがより好ましい。

【0055】
ゲルを調製するには、水に上記ゲル化剤を混合して溶解させた後、上記金属前駆体を混合する。溶解には、必要に応じて加熱をすればよい。加熱は55~70℃で行うのが好ましい。

【0056】
[還元工程]
還元工程は、上記ゲル中で上記グラフェン酸化物を還元してグラフェンを製造する工程である。

【0057】
還元反応の温度は、50~150℃が好ましく、70~100℃がより好ましい。
反応時間は1~72時間が好ましく、10~48時間がより好ましい。

【0058】
上記の方法により上記グラフェン酸化物を還元すると、ゲル中にグラフェンを製造することができる。特に本発明のゲル化剤は、水だけでゲル化するため、ハンマー法によって水分散液として得られたグラファイト酸化物とゲル化剤とを混合する際に、水以外の有機溶剤等の存在によって分離や凝集が起こることを防いだり、有機溶剤等を除去する工程を省いたりすることができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例では、式(I)で表される化合物として、下記の化合物2a~2gを製造した。
【実施例】
【0060】
【化4】
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【実施例】
【0061】
[合成例1]
<ゲル化剤2aの合成>
【実施例】
【0062】
【化5】
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【実施例】
【0063】
塩化グリシンメチルエステル2.00g(15.93mmol)、トリエチルアミン3.23g(32.0mmol)をクロロホルム50mLに溶解させ、塩化ステアロイル4.84g(16.0mmol)を加えて、室温で4時間撹拌した。有機溶剤を減圧下留去した後、残渣にエタノール30mLを加えて、再結晶を行った。析出した固体を濾過し、エタノールで洗浄し、真空乾燥して、N-オクタデカノイルメチルグリシナート(1a)1・05gを白色固体として得た(収率18%)。1aの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0064】
N-オクタデカノイルメチルグリシナート(1a)
H NMR(400MHz,CDCl):δ 0.72(t,3H,J=7.2Hz),1.25(s,28H),1.64(m,2H),2.26(t,2H,J=8.0Hz),3.76(s,3H),4.05(d,2H,J=5.2Hz),5.92(m,1H).
【実施例】
【0065】
1a0.71g(2.0mmol)をエチレンジアミン4.80g(40.0mmol)に溶解させ、脱水メタノール10mLを加えた。40℃で1週間撹拌した。有機溶剤と未反応のエチレンジアミンを減圧下留去後、真空乾燥し、N-(2-アミノエチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]アセタミド(2a)0.78gを白色固体として得た(収率100%)。2aの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0066】
N-(2-アミノエチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]アセタミド(2a)
H NMR(CDCl):δ 0.88(m,3H,J=7.2Hz,CH),1.15-1.48(m,32H,NH及び(CH15),2.21(m,2H,CHCO),2.87(m,2H,CH),3.31(m,2H,CH),3.92(m,2H,CH2),6.23 and 6.46(2m,2H,CONH);
+ESI-TOF-MS m/z=383+1[M+H].
【実施例】
【0067】
[合成例2]
<ゲル化剤2bの合成>
合成例1において、塩化グリシンメチルエステルの代わりに塩化-L-アラニンメチルエステルを2.00g(14.33mmol)用いる他は、合成例1と同様に合成した。中間体のN-オクタデカノイルメチル-L-アラニナート(1b)の収率は18%、中間体1bからL-N-(2-アミノメチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]プロパナミド(2b)の収率は90%であった。2bの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0068】
L-N-(2-アミノメチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]プロパナミド(2b)
H NMR(CDCl):δ 0.88(m,3H,J=6.8Hz,CH),1.25-1.53(m,35H,(CH15,NH及びCH),2.18(m,2H,J=7.6Hz,CHCO),2.82(t,2H,J=6.0Hz,CH),3.32(m,2H,CH),4.45(m,1H,CH),6.06及び6.55(2m,2H,CONH);
+ESI-TOF-MS m/z=497+1[M+H].
【実施例】
【0069】
[合成例3]
<ゲル化剤2cの合成>
合成例1において、塩化グリシンメチルエステルの代わりに塩化-L-フェニルアラニンメチルエステルを2.00g(9.28mmol)用いる他は、合成例1と同様に合成した。中間体のN-オクタデカノイルメチル-L-フェニルアラニナート(1c)の収率は70%、中間体1cからL-N-(2-アミノメチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]フェニルプロパナミド(2c)の収率は97%であった。2cの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0070】
L-N-(2-アミノメチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]フェニルプロパナミド(2c)
H NMR(CDCl):δ 0.88(m,3H,CH),1.25-1.58(m,30H,(CH15),2.17(t,2H,J=7.2Hz,CHCO),2.60-3.22(m,6H,CH and CHCH),4.61(m,1H,CHCH),6.00及び6.10(2m,2H,CONH),7.30(m,5H,ArH);
+ESI-TOF-MS m/z=473+1[M+H].
【実施例】
【0071】
[合成例4]
<ゲル化剤2dの合成>
合成例1において、塩化グリシンメチルエステルの代わりに塩化-L-グルタミン酸ジメチルエステルを2.00g(9.45mmol)用いる他は、合成例1と同様に合成した。中間体のN-オクタデカノイルジメチル-L-グルタメート(1d)の収率は78%、中間体1dからN,N-ビス(2-アミノエチル)-N-オクタデカノイル-L-グルタミナミド(2d)の収率は94%であった。1d及び2dの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0072】
N-オクタデカノイルジメチル-L-グルタメート(1d)
H NMR(CDCl):δ 0.88(t,3H,J=6.8Hz,CH),1.26(s,28H,(CH14),1.61(m,2H),1.95-2.48(m,6H),3.68及び3.75(2s,6H),4.63(m,1H),6.15(m,1H).
【実施例】
【0073】
,N-ビス(2-アミノエチル)-N-オクタデカノイル-L-グルタミナミド(2d)
H NMR(CDOD):δ 0.88(t,3H,J=6.8Hz,CH),1.25-1.57(m,34H,(CH15及び2×NH),2.00-2.35(m,6H,CHCO及びCHCH),2.86(m,4H,CH×2),3.35(m,4H,CH×2),4.45(m,1H,CH);
+ESI-TOF-MS m/z=497+1[M+H].
【実施例】
【0074】
[合成例5]
<ゲル化剤2eの合成>
合成例1において、塩化グリシンメチルエステルの代わりにL-アスパラギン酸ジメチル塩酸塩を2.00g(10.12mmol)用いる他は、合成例1と同様に合成した。中間体のN-オクタデカノイルジメチル-L-アスパルタート(1e)の収率は83%、中間体1eからN,N-ビス(2-アミノエチル)-N-オクタデカノイル-L-アスパラギナミド(2e)の収率は96%であった。1e、2eの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0075】
N-オクタデカノイルジメチル-L-アスパルタート(1e)
H NMR(CDCl):δ 0.88(t,3H,J=6.8Hz),1.26(s,28H),1.61(m,2H),2.20(m,2H),2.80-2.10(2m,2H),3.68及び3.75(2s,6H),4.85(m,1H),6.41(m,1H).
【実施例】
【0076】
,N-ビス(2-アミノエチル)-N-オクタデカノイル-L-アスパラギナミド(2e)
H NMR(CDCl):δ 0.88(t,3H,J=6.8Hz,CH),1.25-1.70(m,34H,(CH15及び2×NH),2.20-3.40(m,10H,CHCO及びCHCH×2),4.62(m,1H,CH),6.41(m,1H,CONH),6.23及び6.46(2m,2H,CONH);
+ESI-TOF-MS m/z=483+1[M+H].
【実施例】
【0077】
[合成例6]
<ゲル化剤2fの合成>
合成例3で製造したN-オクタデカノイルメチル-L-フェニルアラニナート(1c)0.43g(1.0mmol)をエタノールアミン4.88g(80.0mmol)に溶解させ、脱水メタノール10mLを加え、40℃で1週間撹拌した。30mLのヘキサンを加えた後、析出した固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し、真空乾燥して、L-N-(2-ヒドロキシエチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]フェニルプロパナミド(2f)を白色固体として得た(収率81%)。2fの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0078】
L-N-(2-ヒドロキシエチル)-α-[(1-オキソヘプタデシル)アミノ]フェニルプロパナミド(2f)
H NMR(CDCl):δ 0.88(m,3H,CH),1.25-1.58(m,30H,(CH15),2.17(t,2H,J=7.2Hz,CHCO),3.00-3.65(m,6H,CH及びCHCH),4.55(m,1H,CHCH),6.00及び6.10(2m,2H,CONH),7.30(m,5H,ArH);
+ESI-TOF-MS m/z=472+1[M+H].
【実施例】
【0079】
[合成例7]
<ゲル化剤2gの合成>
1cの代わりに、合成例5で製造したN-オクタデカノイルジメチル-L-グルタメート(1e)0.88g(2.0mmol)を用いる他は、合成例6と同様に行い、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデカノイル-L-アスパラギナミド(2g)を合成した(収率70%)。2gの物性値は以下の通りである。
【実施例】
【0080】
,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデカノイル-L-アスパラギナミド(2g)
H NMR(DMSO-d):δ 0.88(t,3H,J=6.8Hz,CH),1.25-1.95(m,32H,(CH15及び2×OH),2.00-3.10(m,10H,CHCO,CHCH×2及びCH),4.15(m,1H,CH),7.80(m,2H,CONH);
+ESI-TOF-MS m/z=495+1[M+H].
【実施例】
【0081】
[試験例1]
<ゲルの観察>
代表的なゲルについて、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した様子を図1に示す。(a)は合成例3で合成した2cをトルエンでゲル化したオルガノゲルのTEM像、(b)は2cをトルエンでゲル化した後乾燥して作製したキセロゲルのFE-SEM像、(c)は合成例4で合成した2dをトルエンでゲル化した後乾燥して作製したキセロゲルのFE-SEM像、(d)は2dのヒドロゲルを凍結乾燥したもののFE-SEM像である。いずれも繊維状の構造体が観察された。
【実施例】
【0082】
[試験例2]
<金属ナノ粒子の製造>
合成例3で合成したゲル化剤2c 200mg(0.42mmol)をトルエン4.8gに混合し、70℃に加熱して溶解させた。溶解後、冷却して室温に戻る前にテトラクロロ金(III)酸(HAuCl,4HO)20mg(0.05mmol)を添加した。室温に冷却した後、水素化トリエチルホウ素リチウム(LiEtBH)の1M-THF溶液0.1mlを加え、55℃で8時間加熱すると、Au(III)種が還元し、安定な金ナノ粒子ゲルが形成した。このゲルにゲルの3倍以上の体積のヘキサンを加え、8000rpm、5分の遠心分離にかけ、上澄み液を回収したところ、金ナノ粒子分散液が得られた。金ナノ粒子分散液の可視紫外吸収スペクトルを図2に示す。金ナノ粒子に特徴的な吸収が550~600nmに見られた。図3には、金ナノ粒子分散液のTEM像を示す。金ナノ粒子が良好に分散し、凝集は起きていなかった。このTEM像から金ナノ粒子の粒径を測定すると、6nmを中心に、4~9nmの粒径であった(図4)。
【実施例】
【0083】
[試験例3]
合成例4で合成したゲル化剤2d 200mg(0.40mmol)を水4.8mlと混合し、70℃で加熱して溶解させた。溶解後、冷却し、室温で15分静置してヒドロゲルを得た。別に、テトラクロロ金(III)酸0.01g、テトラオクチルアンモニウムブロマイド0.013gを混合し、室温で30分撹拌して、テトラクロロ金(III)錯体を形成させた。テトラクロロ金(III)錯体のある有機層を回収してヒドロゲルに添加して混合し、その後有機溶剤を減圧留去すると、白色のゲルとなった。これに波長365nmの紫外線を室温で2時間照射したところ、Au(III)種は還元し、安定な金ナノ粒子ヒドロゲルが形成した。このヒドロゲルにゲルの3倍以上の体積のアセトンを加え、8000rpm、5分の遠心分離にかけ、上澄み液を回収したところ、金ナノ粒子分散液が得られた。図5には金ナノ粒子分散液のTEM像を示す。金ナノ粒子が良好に分散し、凝集は起きていなかった。このTEM像から金ナノ粒子の粒径を測定すると、4~9nmであった。
【実施例】
【0084】
[試験例4]
<グラフェンの製造>
5gのグラファイト、3.75gの過塩素酸ナトリウム粉末、200mlの硫酸をフラスコに入れ、均一になるまで撹拌した。次にフラスコを冷却し、系内が10℃以下となるように、過マンガン酸カリウム25gを少しずつ加えた。その後、35℃で2時間撹拌し、一晩静置した。これに脱イオン水300mlを徐々に加え、その後80℃で10時間撹拌した。室温まで冷却し、30%の過酸化水素90mlと脱イオン水300mlを添加し、撹拌した。得られた混合物を濾過し、希塩酸1.6lで一回洗浄し、水2lで2回洗浄した。濾過残留物を凍結乾燥したところ、綿毛状象牙色の粉末として、グラフェン酸化物7gを得た。
【実施例】
【0085】
上記のグラフェン酸化物100mgを脱イオン水20mlに添加し、12時間撹拌し、更に1時間超音波浴にかけ、0.5質量%のグラフェン酸化物分散水溶液を得た。
更に、この0.5質量%のグラフェン酸化物分散水溶液を脱イオン水2480mlに添加し、12時間撹拌し、更に1時間超音波浴にかけ、0.004質量%のグラフェン酸化物分散水溶液を得た。
【実施例】
【0086】
合成例4で合成したゲル化剤2d 10mg(0.02mmol)と0.004質量%のグラフェン酸化物分散水溶液1mlを混合し、70℃に加熱し、溶解させた。その後室温まで冷却して静置すると、安定な茶色のグラフェン酸化物分散ヒドロゲルが得られた。
【実施例】
【0087】
このグラフェン酸化物分散ヒドロゲルに100μlのヒドラジン水和物を添加し、窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌したところ、黒色に変化した。室温まで冷却して静置すると、安定な黒色のグラフェン分散ヒドロゲルが得られた。このゲルは、6ヶ月以上経過しても結晶の析出等がなく、粘度の高い状態を維持した。
このゲルから水分を留去して得られたキセロゲルのFE-SEM像を図6に示す。シート状の構造体が観察された。
【実施例】
【0088】
図7には、ゲルの粘度を示す。グラフェン酸化物分散ヒドロゲルが(a)、グラフェン分散ヒドロゲルが(b)である。グラフェン酸化物からグラフェンへ還元されることによって、分散ヒドロゲルの粘度が上昇した。
【実施例】
【0089】
また、グラフェン分散ヒドロゲルに4mlのメタノールを添加し、15000rpm、5分の遠心分離にかけ、上澄み液を分離した。上澄み液から水及びメタノールを減圧下留去し、真空乾燥してグラフェンシートを得た。図8に単離したグラフェンシートのFT-IRスペクトルを示す。ゲル化剤の構造に由来する吸収が観察され、グラフェンシートの表面にゲル化剤が吸着していることがわかる。
【実施例】
【0090】
図9には、単離したグラフェンシートのラマンスペクトルを示す。1580cm-1、1380cm-1付近にグラフェンに特徴的な振動のGバンドとDバンドが観測された。
【実施例】
【0091】
単離したグラフェンシートに再度脱イオン水、ゲル化剤2d 100mgを加え、70℃に加熱して溶解させ、更に超音波処理して、室温で静置すると、灰色透明なグラフェン分散ヒドロゲルを得ることができた。
図面
【図2】
0
【図4】
1
【図7】
2
【図8】
3
【図9】
4
【図1】
5
【図3】
6
【図5】
7
【図6】
8