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明細書 :超電導回転子、超電導回転機および超電導回転機システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5397866号 (P5397866)
登録日 平成25年11月1日(2013.11.1)
発行日 平成26年1月22日(2014.1.22)
発明の名称または考案の名称 超電導回転子、超電導回転機および超電導回転機システム
国際特許分類 H02K  55/04        (2006.01)
FI H02K 55/04
請求項の数または発明の数 10
全頁数 16
出願番号 特願2010-503748 (P2010-503748)
出願日 平成20年12月26日(2008.12.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成20年2月6日 京都大学(工学研究科電気工学専攻)主催の「平成19年度 修士論文公聴会」において文書をもって発表
国際出願番号 PCT/JP2008/073733
国際公開番号 WO2009/116219
国際公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
優先権出願番号 2008069521
優先日 平成20年3月18日(2008.3.18)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年12月8日(2011.12.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】中村 武恒
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査官 【審査官】安食 泰秀
参考文献・文献 実開昭64-047565(JP,U)
実開平01-144346(JP,U)
特表平08-505515(JP,A)
調査した分野 H02K 55/04
特許請求の範囲 【請求項1】
回転磁界を発生させる固定子内に配置されて回転する超電導回転子であって、
複数の超電導フィラメントを高導電性金属で被覆した単数または複数本の超電導線材からなるロータバーおよびエンドリングによって形成された超電導かご形巻線と、
常電導材からなるロータバーおよびエンドリングによって形成された常電導かご形巻線と、
前記両かご形巻線の前記各ロータバーを収容する複数のスロットを備えた円柱状の回転子鉄心と、
前記回転子鉄心に同軸に設けられた回転子軸と、
を含んでいて、
前記超電導かご形巻線が非超電導状態であるとき、前記超電導線材の抵抗値と前記常電導材の抵抗値との差により、前記回転磁界に起因して前記超電導線材よりも前記常電導材に誘導電流が支配的に流れ、前記常電導かご形巻線に生じる誘導トルク主動で回転する一方、前記超電導かご形巻線が超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で回転するようになっていることを特徴とする超電導回転子。
【請求項2】
前記超電導線は、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、イットリウム系もしくはビスマス系に代表される酸化物系高温超電導体、あるいは二ホウ化マグネシウム超電導体からなっており、
前記高導電性金属は、銀、銅、金、アルミニウムもしくはそれらの合金であることを特徴とする請求項1に記載の超電導回転子。
【請求項3】
前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線における前記高導電性金属を所定厚さ以上にすることによって形成されていて、前記超電導かご形巻線と一体的になっていることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導回転子。
【請求項4】
前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記超電導かご形巻線は、前記常電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ロータバーが前記常電導かご形巻線の各ロータバーよりも外側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導回転子。
【請求項5】
前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ロータバーが前記超電導かご形巻線の各ロータバーよりも外側に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の超電導回転子。
【請求項6】
前記超電導かご形巻線の前記ロータバーの数と、前記常電導かご形巻線の前記ロータバーの数と、前記回転子鉄心の前記スロットの数とは同数であり、各スロット内に前記超電導かご形巻線の前記ロータバーと前記常電導かご形巻線の前記ロータバーとが1本ずつ収容されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の超電導回転子。
【請求項7】
回転磁界を発生させる固定子巻線を備えた固定子内に、請求項1~6のいずれか1項に記載の超電導回転子が配置されてなることを特徴とする超電導回転機。
【請求項8】
前記固定子巻線は超電導材からなっており、当該超電導材の臨界温度は、前記超電導かご形巻線を形成する前記超電導線材の臨界温度以上になっていることを特徴とする請求項7に記載の超電導回転機。
【請求項9】
請求項7に記載の超電導回転機と、
前記超電導回転機を超電導状態になるまで冷却し得る冷却装置と、
前記超電導回転機を制御する制御装置と、
を含んでいて、
前記制御装置は、前記超電導回転機が前記誘導トルク主動で回転している場合に使用すべき第1の制御パターンと、前記超電導回転機が前記同期トルク主動で回転している場合に使用すべき第2の制御パターンと、を有しており、前記固定子巻線内を流れる電流の値が、前記超電導かご形巻線が超電導状態になったことに起因して低下したとき、前記第2の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御し、そうでないとき、前記第1の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御するようになっていることを特徴とする超電導回転機システム。
【請求項10】
前記制御装置は、始動時において前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉してない状態で超電導状態になっている場合、前記超電導かご形巻線に流れる電流が臨界電流を越えるように、前記固定子巻線への印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を変化させ、前記超電導かご形巻線を磁束フロー状態にし、前記超電導かご形巻線に前記回転磁界の磁束を鎖交させるようになっていることを特徴とする請求項9に記載の超電導回転機システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導回転子、超電導回転機および超電導回転機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器である回転機は、直流機と交流機に分類される。このうち、交流機は、機械動力を受けて交流電力を生成する、または交流電力を受けて機械動力を生成するものであり、主として誘導機と同期機に分類される。
【0003】
誘導機、例えば誘導電動機は、固定子巻線に交流電圧を印加して発生させた回転磁界によって、回転子に誘導トルクを発生させて回転する。誘導電動機は、単純な構造であり、保守が容易で安価であること等から広く利用されているが、効率や速度制御面で難がある。
【0004】
同期機、例えば同期電動機は、固定子巻線に交流電圧を印加して発生させた回転磁界に、電磁石または永久磁石を備えた回転子が引かれることによって回転する。同期電動機は、効率がよいものの、始動や同期引入に付加的な装置が必要である。
【0005】
そこで、近年、誘導機の構成でありながら同期回転可能な超電導回転機が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1記載の回転機は、例えばその図6に示されるように、ステータ60と、ステータ60に回転可能に装着されたロータ61と、ロータ61に設けられた超電導材料62と、ステータ60に設けられ、回転磁場を形成する磁場発生装置と、超電導材料62内を貫く磁場を超電導材料62内に捕らえておくための機構と、磁場発生装置と超電導材料62の間に配置されたトルクシールド64であって、超電導材料62内の磁場の強度が第2臨界磁場Hc未満になるような表皮深さ及び厚さを有するとともに、ロータ61を同期速度に引き上げるために充分なトルクを生み出すに足る電気導電性を有するトルクシールド64と、を備えている。
【0007】
特許文献1記載の回転機は、始動時、トルクシールド64に発生する誘導トルクによって誘導回転する。そして、所定速度に達すると、回転磁場の磁束がトルクシールド64を通過して、超電導材料62中に延びる。その後、超電導材料62が臨界温度以下に冷却されて超電導状態になると、回転磁場の磁束が超電導材料62に捕捉され、特許文献1記載の回転機は同期回転する。
【0008】
一方、特許文献2記載の電動機は、例えばその図3および図4に示されるように、常電導材からなるかご形巻線におけるバーの中空部10とエンドリング5の溝11,12とに、超電導材13が充填されている。つまり、特許文献2記載の電動機は、常電導材にて構成されるかご形巻線に、超電導材にて構成される界磁巻線としての閉回路が併設された構造になっている。
【0009】
特許文献2記載の電動機によれば、室温雰囲気下で起動することにより起動特性が良好な通常のかご形誘導機としての起動が可能である。また、起動後の加速完了時には、かご形回転子を超電導材料の臨界温度以下に冷却して超電導材料の閉回路を形成すれば、同期引き入れが自動的に行なわれ、以後は永久電流による同期電動機として極めて高効率の運転が可能になる。

【特許文献1】特表平8-505515号公報
【特許文献2】特開平1-144346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[特許文献1記載の回転機について]
特許文献1記載の回転機は、超電導材料に磁束を捕捉させ、同期モードを実現する。この超電導材料としては、粒状、薄片状、塊状(バルク材)及び薄膜状のいずれでも良いと記載されているが、特許文献1記載の回転子の構造において超電導材料中に磁束を有効に捕捉させるためには、最終的に塊以外は考えにくい。そして、超電導材料が塊(非巻線)であれば、捕捉されている磁束が全てトルク発生に寄与するとは考えにくく、超電導材料の使用量に占めるトルク発生効率が悪いと考えられる。
【0011】
さらに、特許文献1記載の回転機において超電導材料に磁束を捕捉させるためには、2種類の方法が考えられると記載されているが、これらの方法にはそれぞれ下記の問題点がある。
【0012】
第1の方法では、1次巻線から供給される磁束を超電導材料に捕捉させるために、温度を当該超電導材料の臨界温度より高く設定しておき、回転子が誘導モードで所定の回転数に達した段階で温度を当該臨界温度未満に下げ、磁束を捕捉させる。しかし、この方法では、磁束を捕捉させるために毎回温度を上記臨界温度より高くする必要がある。温度を昇降するプロセスには比較的長い時間が必要であることから、機器全体の応答性が悪くなると危惧される。
【0013】
また、第2の方法では、超電導材料を予め臨界温度未満にしておき、その後、所定の回転数に達した段階で1次巻線あるいは補助巻線から当該超電導材料の超電導状態を壊す第2臨界磁場(Hc)以上の磁場をパルス的に印加して磁束を捕捉する。しかし、この方法はさらに問題で、第2臨界磁場は一般に液体窒素温度でも数テスラとなり、この様な磁場をパルス的に限られた空間に実現するコイルを製作することは容易でない。また、パルスの大きさによって、超電導材料内で発熱が起こり、それに伴って磁束が逃げてしまい、捕捉効率が悪くなる心配もある。現実に、超電導バルク材にパルス着磁する検討は世界的に行われているが、技術が完成していない。さらに、パルス的とはいえ、数テスラの磁場を限られた空間に発生させることから、他の要素に悪影響が及ぶおそれがある。磁場の影響を回避するためには、一般に磁気シールドが必要であり、機器全体の構造が大きくかつ複雑になる。
【0014】
[特許文献2記載の電動機について]
特許文献2記載の電動機では、超電導材によって巻線が構成されるが、この超電導材には超電導バルク材が想定されていると考えられる。超電導材がバルク材であれば、次のような問題点がある。
【0015】
(1)発熱が起こった場合の熱はけが悪い。
(2)特許文献1記載の回転機と同様に、一旦超電導状態になれば、電流容量が大きいことから、磁束フロー状態と呼ばれる損失状態にすることが難しい。つまり、超電導巻線が磁束を捕捉していない状態で超電導状態になっている場合に、一旦磁束フロー状態にして磁束を捕捉させる方法をとることができない。それゆえ、超電導巻線が磁束未捕捉のまま超電導状態になっている場合に、当該電動機を同期回転させるには、特許文献1記載の回転機と同様に、臨界温度以上に昇温するか臨界磁場以上の磁場を印加して、超電導状態を壊して磁束を捕捉した後、再度臨界温度以下にして超電導状態にする必要がある。
(3)超電導巻線を構成するためには、超電導粉末を常電導かご形巻線の中空部に充填し、その後焼成する必要がある。しかし、超電導粉末充填後に、回転子鉄心を含めて焼成するためには、大きな電気炉が必要である。また、回転子鉄心も焼成されてしまうので、特性が変化するおそれがある。さらに、仮に問題なく焼成できたとしても、電動機の製作コストが高くなってしまう。
【0016】
上記(1)~(3)のとおり、特許文献2記載の電動機には大きな問題があり、誘導機の構成でありながら同期回転可能な超電導回転機は未だ世の中に現れていない。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、誘導機の構成を有し、誘導回転および同期回転が可能な超電導回転子、超電導回転機および超電導回転機システムであって、熱はけがよく、同期回転のための磁束捕捉が容易であるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために本発明は、(1)回転磁界を発生させる固定子内に配置されて回転する超電導回転子であって、複数の超電導フィラメントを高導電性金属で被覆した単数または複数本の超電導線材からなるロータバーおよびエンドリングによって形成された超電導かご形巻線と、常電導材からなるロータバーおよびエンドリングによって形成された常電導かご形巻線と、前記両かご形巻線の前記各ロータバーを収容する複数のスロットを備えた円柱状の回転子鉄心と、前記回転子鉄心に同軸に設けられた回転子軸と、を含んでいて、前記超電導かご形巻線が非超電導状態であるとき、前記超電導線材の抵抗値と前記常電導材の抵抗値との差により、前記回転磁界に起因して前記超電導線材よりも前記常電導材に誘導電流が支配的に流れ、前記常電導かご形巻線に生じる誘導トルク主動で回転する一方、前記超電導かご形巻線が超電導状態であるとき、前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉することで生じる同期トルク主動で回転するようになっていることを特徴とする超電導回転子を提供するものである。
【0019】
また本発明は、上記構成において、(2)前記超電導線は、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導体、イットリウム系もしくはビスマス系に代表される酸化物系高温超電導体、あるいは二ホウ化マグネシウム超電導体からなっており、前記高導電性金属は、銀、銅、金、アルミニウムもしくはそれらの合金であることを特徴とする超電導回転子を提供するものである。
【0020】
また本発明は、上記構成において、(3)前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線における前記高導電性金属を所定厚さ以上にすることによって形成されていて、前記超電導かご形巻線と一体的になっていることを特徴とする超電導回転子を提供するものである。
【0021】
また本発明は、上記構成(1)または(2)において、(4)前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記超電導かご形巻線は、前記常電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ロータバーが前記常電導かご形巻線の各ロータバーよりも外側に位置していることを特徴とする超電導回転子を提供するものである。
【0022】
また本発明は、上記構成(1)または(2)において、(5)前記超電導かご形巻線と前記常電導かご形巻線とは別体になっており、さらに、前記常電導かご形巻線は、前記超電導かご形巻線よりもかごが大きく、前記各ロータバーが前記超電導かご形巻線の各ロータバーよりも外側に位置していることを特徴とする超電導回転子を提供するものである。
【0023】
また本発明は、上記構成において、(6)前記超電導かご形巻線の前記ロータバーの数と、前記常電導かご形巻線の前記ロータバーの数と、前記回転子鉄心の前記スロットの数とは同数であり、各スロット内に前記超電導かご形巻線の前記ロータバーと前記常電導かご形巻線の前記ロータバーとが1本ずつ収容されていることを特徴とする超電導回転子を提供するものである。
【0024】
また本発明は、(7)回転磁界を発生させる固定子巻線を備えた固定子内に、上記構成(1)~(6)のいずれかに記載の超電導回転子が配置されてなることを特徴とする超電導回転機を提供するものである。
【0025】
また本発明は、上記構成(7)において、(8)前記固定子巻線は超電導材からなっており、当該超電導材の臨界温度は、前記超電導かご形巻線を形成する前記超電導線材の臨界温度以上になっていることを特徴とする超電導回転機を提供するものである。
【0026】
また本発明は、(9)上記構成(7)に記載の超電導回転機と、前記超電導回転機を超電導状態になるまで冷却し得る冷却装置と、前記超電導回転機を制御する制御装置と、を含んでいて、前記制御装置は、前記超電導回転機が前記誘導トルク主動で回転している場合に使用すべき第1の制御パターンと、前記超電導回転機が前記同期トルク主動で回転している場合に使用すべき第2の制御パターンと、を有しており、前記固定子巻線内を流れる電流の値が、前記超電導かご形巻線が超電導状態になったことに起因して低下したとき、前記第2の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御し、そうでないとき、前記第1の制御パターンを用いて前記超電導回転機を制御するようになっていることを特徴とする超電導回転機システムを提供するものである。
【0027】
また本発明は、上記構成(9)において、(10)前記制御装置は、始動時において前記超電導かご形巻線が前記回転磁界の磁束を捕捉してない状態で超電導状態になっている場合、前記超電導かご形巻線に流れる電流が臨界電流を越えるように、前記固定子巻線への印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を変化させ、前記超電導かご形巻線を磁束フロー状態にし、前記超電導かご形巻線に前記回転磁界の磁束を鎖交させるようになっていることを特徴とする超電導回転機システムを提供するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明の超電導回転機によれば、超電導かご形巻線が超電導バルク材ではなく、超電導線材によって構成されているため、発熱が起こった場合の熱はけが良い。
【0029】
また、超電導バルク材は、電流容量が大きいことから、一旦超電導状態になれば磁束フロー状態にすることが難しい。これに対し、本発明の超電導回転機の超電導かご形巻線は電流容量の小さい超電導線材からなっているため、容易に磁束フロー状態にすることができる。それゆえ、本発明の超電導回転機によれば、超電導かご形巻線が磁束未捕捉のまま超電導状態になっている場合であっても、超電導かご形巻線を一旦磁束フロー状態にすることで、容易に鎖交磁束を捕捉して同期回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態にかかる超電導電動機の縦断面端面図である。
【図2】図1の超電導電動機における(A)超電導かご形巻線を示す図、(B)常電導かご形巻線を示す図、(C)回転子鉄心を示す図である。
【図3】図2の超電導かご形巻線を構成する超電導線材の横断面を示す模式図である。
【図4】図1の超電導電動機における回転子の横断面図である。
【図5】図1の超電導電動機を適用した超電導電動機システムの一例を示すブロック図である。
【図6】図1の超電導電動機における1次電流を示す図である。
【図7】図1の超電導電動機のトルク特性を示す図である。
【図8】図2の超電導かご形巻線における電磁現象を示す模式図である。
【図9】本発明の超電導回転機システムの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 超電導電動機(超電導回転機)
7 超電導回転子
71 回転子鉄心
72 スロット
73 超電導かご形巻線
74 常電導かご形巻線
75 回転子軸
73a,74a ロータバー
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の好ましい一実施形態につき説明する。
図1は本発明にかかる超電導電動機の縦断面端面図である。図2は図1の超電導電動機における(A)超電導かご形巻線を示す図、(B)常電導かご形巻線を示す図、(C)回転子鉄心を示す図である。図3は図2の超電導かご形巻線を構成する超電導線材の横断面を示す模式図である。図4は図1の超電導電動機における回転子の横断面図、図5は図1の超電導電動機を適用した超電導電動機システムを示すブロック図である。
【0033】
[超電導電動機]
図1に示すように、本発明の超電導電動機(超電導回転機)1は、円筒状のケーシング2と、ケーシング2の内周部に設けられた環状の固定子3と、ケーシング2の両開口部を閉じる円板状のブラケット4a,4bと、ブラケット4a,4bに軸受け5a,5bを介して回転可能に支持された超電導回転子7と、から構成されている。
【0034】
固定子3は、珪素鋼板等の電磁鋼板を軸方向に積層してなる環状の固定子鉄心3aと、固定子鉄心3aのスロット(不図示)内に設けられた固定子巻線3bとからなっている。また、固定子巻線3bは常電導材からなっている。
【0035】
超電導回転子7は、固定子3の内側に、所定間隔をあけて配置されている。超電導回転子7は、中空円柱状の回転子鉄心71と、回転子鉄心71のスロット72内にロータバー73aが収容された超電導かご形巻線73と、同様に回転子鉄心71のスロット72内にロータバー74aが収容された常電導かご形巻線74と、回転子鉄心71に同軸に取り付けられた回転軸75と、からなっている。
【0036】
回転子鉄心71は、図2Cに示す如く、珪素鋼板等の電磁鋼板を軸方向に積層して形成されている。回転子鉄心71の中心部には、回転軸75を受容するための回転軸受容孔71aが形成されている。また、回転子鉄心71の外周近傍には、軸方向に貫通する複数のスロット72が、周方向に所定間隔をあけて形成されている。
なお、スロット72は一般に、回転子鉄心71の軸方向に対して斜めに形成され、斜めスロット(スキュー)構成とされている。
【0037】
超電導かご形巻線73は、図2Aに示す如く、回転子鉄心71のスロット72に収容される複数のロータバー73aと、各ロータバー73aの両端をそれぞれ短絡させる環状のエンドリング73b,73bとから構成されている。
【0038】
ロータバー73aは、超電導線材(本実施形態ではビスマス系高温超電導線材)73eを複数本束ねてなり、矩形断面を有している(ただし、矩形断面に限定されない)。超電導線材73eは、図3に示す如く、複数本のビスマス系高温超電導フィラメント73cを、銅、アルミニウム、銀、金等の高導電性金属73dによって被覆して構成されている。ロータバー73aの数は、回転子鉄心71のスロット72と同数である。ロータバー73aは、円筒状かつスキュー構造のかごを形成すべく、周方向に所定間隔をあけて配置されていると共に、かごの軸方向に対して斜めに配置されている。ロータバー73aは、図1に示す如く、回転子鉄心71の軸方向長さよりも長く形成されており、スロット72に収容された際にスロット72から突出するようになっている。
【0039】
エンドリング73bは、ロータバー73aと同様に、ビスマス系高温超電導線材等の超電導線材73eからなっている。エンドリング73b,73bにはそれぞれ、スロット72から突出するロータバー73aの各端部が接合される。
【0040】
常電導かご形巻線74は、図2Bに示す如く、回転子鉄心71のスロット72に収容される複数のロータバー74aと、各ロータバー74aの両端をそれぞれ短絡させる環状のエンドリング74b,74bとから構成されている。
【0041】
ロータバー74aは、銅、アルミニウム、銀、金等の高導電性材からなり、矩形断面を有している(ただし、矩形断面に限定されない)。ロータバー74aの数は、回転子鉄心71のスロット72と同数である。ロータバー74aは、超電導かご形巻線73よりも大きな円筒状かつスキュー構造のかごを形成するように、周方向に所定間隔をあけて配置されていると共に、かごの軸方向に対して斜めに配置されている。ロータバー74aは、図1に示す如く、回転子鉄心71の軸方向長さよりも長く形成されており、スロット72に収容された際にスロット72から突出するようになっている。ロータバー74aは、図2および図4に示す如く、スロット72内であって、超電導かご形巻線73のロータバー73aよりも外側に挿入される。
【0042】
エンドリング74bは、ロータバー74aと同様に、銅、アルミニウム、銀、金等の高導電性材からなっている。エンドリング74b,74bにはそれぞれ、スロット72から突出するロータバー74aの各端部が接合される。
【0043】
回転軸75は、回転子鉄心71の回転軸受容孔71aに挿入されて取り付けられる。回転軸75は、ベアリング等の軸受け5a,5bを介して、ブラケット4a,4bに回転可能に支持される。
【0044】
上記のように構成された超電導電動機1によれば、超電導かご形巻線73が常電導状態(非超電導状態)にあるとき、固定子3による回転磁界に起因して常電導かご形巻線74に誘導電流が流れ、誘導トルクが生じる。このとき、超電導電動機1は当該誘導トルク主動で回転し、図7の「誘導回転(常電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
なお、超電導電動機1が誘導回転している状態において、超電導かご形巻線73にも若干の誘導電流が流れている。しかし、常電導かご形巻線74に流れる誘導電流の方がはるかに大きいため、超電導かご形巻線73に生じる誘導トルクよりも、常電導かご形巻線74に生じる誘導トルクの方が支配的である。
【0045】
一方、超電導電動機1によれば、超電導かご形巻線73が常電導状態から超電導状態になったとき、固定子3による回転磁界の磁束を超電導かご形巻線73が捕捉することで、同期トルクが生じる(図8C参照)。このとき、超電導電動機1は当該同期トルク主動で回転し、図7の「同期回転(超電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
なお、この同期回転時において、ロータバー73aとエンドリング73bの接続抵抗等の影響により、極めてわずかなすべりが生じることがあるが、この場合も機器特性としては同期回転と見なせる。
【0046】
そして、同期回転している状態において、仮に超電導電動機1に過大な負荷がかかっても、超電導かご形巻線73が磁束フロー状態(図8B参照)に移行して誘導トルク主動で運転を継続することが可能である。このときの誘導トルクは、磁束フロー状態にある超電導かご形巻線73および常電導かご形巻線74の両方から提供され、図7の「誘導回転(超電導状態)」に対応するトルク特性が発揮される。
【0047】
つまり、超電導電動機1は、図7に示すようなトルク特性を有し、常電導状態においては誘導トルク主動で回転し、超電導状態においては、通常負荷時に同期トルク主動、過負荷時に誘導トルク主動で回転する。
【0048】
[超電導電動機システム]
上記のように構成された超電導電動機1は、例えば図5に示す如く自動車に搭載され、超電導電動機システム21として使用され得る。超電導電動機システム21は、車軸22を介して車輪23に連結された超電導電動機1と、超電導電動機1を超電導状態になるまで冷却し得る冷却装置24と、冷却装置24を冷却信号SRに応じて制御すると共に、電動機駆動信号SMに応じインバータ26を介して超電導電動機1を制御する制御装置25と、超電導電動機1を駆動するためのバッテリー27と、から構成されている。
【0049】
冷却装置24は、超電導電動機1の回転軸75と回転子鉄心71とに設けられた冷媒供給路(不図示)を介して、超電導回転子7のスロット72内に冷媒を供給する。これにより、冷却装置24は、超電導電動機1における超電導かご形巻線73を臨界温度未満に冷却し得る。冷媒としては、ヘリウムガスや液体窒素等が用いられる。
【0050】
制御装置25は、電動機駆動信号SMに応じ、インバータ26を介して超電導電動機1を駆動制御する。このとき、制御装置25は、インバータ26を介して、超電導電動機1の固定子巻線3bに印加される交流電圧の電圧Vおよび周波数fを制御する。これにより、制御装置25は、超電導電動機1の回転数およびトルクをフィードバック制御する。
【0051】
制御装置25には、超電導電動機1が誘導トルク主動で回転する際に用いる誘導回転用制御パターン(第1の制御パターン)と、超電導電動機1が同期トルク主動で回転する際に用いる同期回転用制御パターン(第2の制御パターン)とが、予め格納されている。誘導回転用制御パターンは、従来の誘導電動機に対して用いられる公知の制御パターンである。同様に、同期回転用制御パターンは、従来の同期電動機に対して用いられる公知の制御パターンである。
【0052】
また、制御装置25には、超電導電動機1から、固定子巻線3b内を流れる1次電流の信号である1次電流信号SIが常時入力される。制御装置25にはさらに、1次電流信号SIに対するしきい値ITHであって、固定子巻線3bに印加される交流電圧の電圧Vと周波数fの比V/fごとに設定されたものが格納されている。
【0053】
上記しきい値ITHは、超電導かご形巻線73が超電導状態にあるか否か(超電導電動機1が同期トルク主動で回転しているか否か)を判定するためのものであり、次のように設定される。
まず、超電導電動機1を、常電導状態において任意のV/f値、例えばV/fで定常運転する。このとき、1次電流信号SIは、図6に示す如く、略一定の値IN1となる。次に、冷却装置24を運転開始し、超電導電動機1が超電導状態になるまで駆動する。所定時間T後、超電導かご形巻線73が超電導状態になると、1次電流信号SIの値が低下し、IS1となる。そして、しきい値ITH1は、IS1の値よりも少し小さな値(例えばIS1の90%値)とされる。この作業を各V/f値ごとに実行することで、各しきい値ITHが得られる。
【0054】
なお、超電導かご形巻線73が超電導状態になったとき1次電流の値が低下する現象は、そのとき超電導電動機1が誘導回転から同期回転に移行することに起因する。つまり、誘導回転時にはすべり状態を維持するための余分な電流が必要であるのに対し、同期回転時にはその余分な電流が必要なくなるため、1次電流の値が低下するのである。
【0055】
制御装置25は、常時入力される1次電流信号SIの値が、しきい値ITHよりも低いか高いかに基づいて、超電導電動機1が同期トルク主動で回転しているか否かを判定する。つまり、1次電流信号SIの値Iがしきい値ITHよりも低ければ、同期トルク主動で回転しているとして、超電導電動機1に対して同期回転用制御パターンを適用し、そうでなければ、誘導トルク主動で回転しているとして、誘導回転用制御パターンを適用する。
【0056】
なお、ITHをIよりも少し小さな値としているのは、反対にITHをIよりも高い値にしていると、1次電流信号SIのゆらぎによって、実際は誘導回転しているにも関わらず、同期回転用制御パターンが超電導電動機1に対して適用される場合があり、運転に支障が生じるためである。これに対し、ITHをIよりも少し小さな値としておけば、実際は同期回転している超電導電動機1に対して、誘導回転用制御パターンが適用され得るが、超電導電動機1は問題なく運転される。
【0057】
また、制御装置25は、超電導かご形巻線73が、固定子巻線3bによる回転磁界の磁束を捕捉してない状態で超電導状態になっている場合、超電導かご形巻線73を磁束フロー状態にするように、固定子巻線3bへの印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を増大させるようになっている。超電導かご形巻線73は、一旦磁束フロー状態になることで、臨界温度未満の状態であっても鎖交磁束を捕捉することができる。このことについては、図8を参照して次に詳述する。
【0058】
例えば、運転開始前から、超電導かご形巻線73が冷却装置24によって臨界温度未満に冷却されていたような場合、超電導かご形巻線73は、固定子巻線3bによる磁束を捕捉していない状態で超電導状態になっていることになる。この状態で、固定子巻線3bに交流電圧を印加すると、超電導かご形巻線73には遮蔽電流が流れ、超電導かご形巻線73および常電導かご形巻線74に鎖交する磁束はゼロとなる(図8A参照)。つまり、この場合、同期トルクは発生しないうえに、常電導かご形巻線74に誘導電流が流れないため、誘導トルクも発生しないことになる。それゆえ、この状態では超電導電動機1は動作し得ない。
そこで、制御装置25により、超電導かご形巻線73に流れる遮蔽電流が臨界電流を超えるまで、固定子巻線3bへの印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を増大させ、超電導かご形巻線73を磁束フロー状態にする。磁束フロー状態では、有限の抵抗が発生するため、臨界温度未満の状態のままであっても磁束は超電導かご形巻線に鎖交することができる(図8B参照)。
その後、超電導回転子7は加速され、それに伴って回転磁界と超電導回転子7との相対速度が小さくなれば、超電導かご形巻線73に流れている電流は自動的に小さくなる。最終的に、超電導かご形巻線73に流れている電流が臨界電流を下回ったところで、超電導かご形巻線73が鎖交磁束を捕捉する(図8C参照)。
【0059】
上記のように構成された超電導電動機システム21は、次のように使用される。
【0060】
(1)常温状態から運転開始される場合
まず、運転者によって運転操作がなされ、制御装置25に電動機駆動信号SMが入力される。制御装置25は、当該信号SMに応じて、超電導電動機1を駆動する。このとき、超電導電動機1は常電導状態であるから、誘導トルク主動で回転する。
【0061】
そのとき、制御装置25は、常時入力される1次電流信号SIがその運転条件V/fに対応するしきい値ITHよりも高いことを検出し、超電導電動機1が常電導状態であることを検知する。そして、制御装置25は、誘導トルク主動で回転する超電導電動機1に対して誘導回転用制御パターンを適用し、超電導電動機1を駆動制御する。つまり、常電導状態において、超電導電動機1は誘導電動機として動作し、図7の「誘導回転(常電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
【0062】
一方、運転開始後、運転者による冷却開始操作がなされると、制御装置25に冷却信号SRが入力される。制御装置25は、当該信号SRに応じて、冷却装置24を駆動する。冷却装置24は、ヘリウムガス等の冷媒を超電導電動機1の超電導かご形巻線73に対して供給し、超電導かご形巻線73をその臨界温度未満にまで冷却する。冷却装置24が駆動されても、超電導かご形巻線73が臨界温度未満になるまでは、依然として超電導電動機1は誘導電動機として動作する。
【0063】
所定時間経過後、超電導かご形巻線73が臨界温度未満となって超電導状態になると、超電導電動機1は前述したように同期トルク主動で回転する。
【0064】
そのとき、制御装置25は、常時入力される1次電流信号SIがその運転条件V/fに対応するしきい値ITHよりも低くなったことを検出し、超電導電動機1が超電導状態であることを検知する。そして、制御装置25は、同期トルク主動で回転する超電導電動機1に対して同期回転用制御パターンを適用し、超電導電動機1を駆動制御する。つまり、超電導状態において、超電導電動機1は、図7の「同期回転(超電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
【0065】
(2)臨界温度未満の状態から運転開始される場合
まず、運転者によって運転操作がなされ、制御装置25に電動機駆動信号SMが入力される。制御装置25は、当該信号SMに応じて、超電導電動機1を駆動しようとする。しかし、このとき超電導電動機1は超電導状態であるから、固定子巻線3bに交流電圧を印加しても、超電導かご形巻線73に遮蔽電流が流れることにより、超電導かご形巻線73および常電導かご形巻線74に鎖交する磁束はゼロとなって、超電導電動機1は動作しない。
【0066】
このとき、制御装置25は、超電導かご形巻線73に流れる遮蔽電流が臨界電流を超えるまで、固定子巻線3bへの印加電圧および/または当該印加電圧の周波数を増大させ、超電導かご形巻線73を磁束フロー状態にする。磁束フロー状態では前述のとおり、臨界温度未満の状態のままであっても磁束が超電導かご形巻線に鎖交することができる。
【0067】
その後、超電導回転子7は加速され、それに伴って回転磁界と超電導回転子7との相対速度が小さくなれば、超電導かご形巻線73に流れている電流は自動的に小さくなる。最終的に、超電導かご形巻線73に流れている電流が臨界電流を下回ったところで、超電導かご形巻線73が鎖交磁束を捕捉する。そして、超電導電動機1は同期トルク主動で回転する。
【0068】
そのとき、制御装置25は、常時入力される1次電流信号SIがその運転条件V/fに対応するしきい値ITHよりも低くなったことを検出し、超電導電動機1が超電導状態であることを検知する。そして、制御装置25は、同期トルク主動で回転する超電導電動機1に対して同期回転用制御パターンを適用し、超電導電動機1を駆動制御する。つまり、超電導状態において、超電導電動機1は同期回転し、図7の「同期回転(超電導状態)」に対応するトルク特性を発揮する。
【0069】
[効果]
以上のように構成された超電導電動機1によれば、従来の誘導電動機と同様の単純構造とすることができるため、保守が容易であり、安価である。
【0070】
また、誘導回転と同期回転が可能であるため、同期回転時には高効率で運転することができると共に、何らかの要因で同期外れが生じた際や超電導状態になるまでの間でも、誘導回転で運転することができる。
【0071】
また、超電導電動機1によれば、超電導かご形巻線73が超電導バルク材ではなく、超電導線材によって構成されているため、発熱が起こった場合の熱はけが良い。
【0072】
また、超電導バルク材は、電流容量が大きいことから、一旦超電導状態になれば磁束フロー状態にすることが難しい。これに対し、超電導電動機1の超電導かご形巻線73は電流容量の小さい超電導線材からなっているため、容易に磁束フロー状態にすることができる。それゆえ、超電導電動機1によれば、超電導かご形巻線73が磁束未捕捉のまま超電導状態になっている場合であっても、超電導かご形巻線73を一旦磁束フロー状態にすることで、容易に鎖交磁束を捕捉して同期回転することができる。
【0073】
また、超電導電動機システム21によれば、制御装置25に常時入力される1次電流信号SIの値がしきい値ITHよりも低いか高いかに基づいて、超電導電動機1が超電導状態になっているか否か(同期トルク主動で回転しているか否か)を容易に検知することができる。それゆえ、超電導電動機システム21によれば、超電導電動機1の回転状況に応じて適切に誘導回転用制御パターンおよび同期回転用制御パターンを適用することができ、複雑な制御をする必要がない。
【0074】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は次のように変形して実施することができる。
【0075】
例えば、超電導線材はビスマス系高温超電導線材に限定されるものではなく、NbTiもしくはNbSnに代表される金属系低温超電導線材や、イットリウム系高温超電導線材、二ホウ化マグネシウム超電導線材とすることができる。
【0076】
また、上記実施形態において、超電導かご形巻線73と常電導かご形巻線74とは別体であったが、これらを一体的に構成してもよい。つまり、超電導かご形巻線73の超電導線材における高導電性金属を所定厚さ以上にし、当該高導電性金属部分を常電導かご形巻線74としてもよい。
【0077】
また、上記実施形態において、常電導かご形巻線74を超電導回転子7における外側に、超電導かご形巻線73をその内側に配置したが、超電導かご形巻線73を外側に配置してもよい。常電導かご形巻線74を外側にした場合は、常電導状態における誘導トルクおよび超電導状態における誘導トルクを大きくすることができ、超電導かご形巻線73を外側にした場合は、超電導状態における同期トルクを大きくすることができる。
【0078】
また、上記実施形態においては、超電導かご形巻線73と常電導かご形巻線74とをスロット72内に1本ずつ収容したが、これに限定されない。例えば、超電導かご形巻線73を収容するスロットと、常電導かご形巻線74を収容するスロットとを別々に設けてもよい。また、その場合、超電導かご形巻線73のロータバー73aの数と常電導かご形巻線74のロータバー74aの数とは同数でなくてもよい。また、ロータバー73a,74aのいくつかを同じスロット内に収容し、その残りを別々のスロット内に収容する構成であってもよい。
【0079】
また、上記実施形態においては、常電導材からなる固定子巻線3bを用いたが、超電導材からなる固定子巻線3bを用いてもよい。ただし、この場合、固定子巻線3bの臨界温度は、超電導かご形巻線73の臨界温度以上になっている必要がある。そうしないと、固定子巻線3bが超電導状態になって駆動開始されるとき、超電導かご形巻線73は常に超電導状態となって、超電導状態における同期回転または誘導回転しかできなくなるからである。
【0080】
また、超電導回転機システム21では、超電導電動機1を車軸22に直接連結していたが、超電導電動機1をトランスミッションを介して車軸22に連結してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、本発明の超電導回転機を超電導電動機として使用したが、超電導発電機として使用することもできる。その場合、例えば図9Aに示す如く、ブレード32と、ブレード32がシャフト33を介して超電導回転子7に連結された超電導発電機1と、超電導発電機1の固定子巻線3bに発生した交流電力の電圧および周波数を変換する電力変換器34と、を含んでなる超電導発電機システム31とすることができる。
超電導発電機システム31は、ブレード32の回転によって超電導回転子7を回転させ、固定子巻線3bに交流電力を発生させる。超電導発電機システム31は、上記実施形態における超電導電動機システム21と同様に、超電導かご形巻線73が常電導状態であるとき誘導発電機として動作し、超電導状態であるとき同期発電機として動作する。
なお、超電導発電機システム31は、図9Bに示す如く、ブレード32と超電導発電機1との間に増速機36を接続して、ブレード32の回転速度を増加させるように構成することもできる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図9】
7
【図8】
8