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明細書 :クロスカップリング反応用触媒、及びこれを用いた芳香族化合物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5622573号 (P5622573)
登録日 平成26年10月3日(2014.10.3)
発行日 平成26年11月12日(2014.11.12)
発明の名称または考案の名称 クロスカップリング反応用触媒、及びこれを用いた芳香族化合物の製造方法
国際特許分類 C07F   9/50        (2006.01)
C07C   1/32        (2006.01)
C07C  13/28        (2006.01)
C07C  13/18        (2006.01)
C07C  13/615       (2006.01)
C07C  15/107       (2006.01)
C07C  41/30        (2006.01)
C07C  43/21        (2006.01)
C07C  17/32        (2006.01)
C07C  25/18        (2006.01)
C07C  29/32        (2006.01)
C07C  33/20        (2006.01)
C07C  67/343       (2006.01)
C07C  69/612       (2006.01)
B01J  31/24        (2006.01)
C07F  15/02        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07F 9/50 CSP
C07C 1/32
C07C 13/28
C07C 13/18
C07C 13/615
C07C 15/107
C07C 41/30
C07C 43/21
C07C 17/32
C07C 25/18
C07C 29/32
C07C 33/20
C07C 67/343
C07C 69/612
B01J 31/24
C07F 15/02
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 20
全頁数 50
出願番号 特願2010-518946 (P2010-518946)
出願日 平成21年3月10日(2009.3.10)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 日本化学会第88春季年会(2008)講演予稿集(平成20年3月12日,社団法人日本化学会発行)講演番号5H2-05に発表
国際出願番号 PCT/JP2009/054588
国際公開番号 WO2010/001640
国際公開日 平成22年1月7日(2010.1.7)
優先権出願番号 2008174021
優先日 平成20年7月2日(2008.7.2)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年3月7日(2012.3.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】中村 正治
【氏名】畠山 琢次
【氏名】藤原 優一
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査官 【審査官】小久保 敦規
参考文献・文献 特開平01-289805(JP,A)
特表平11-506445(JP,A)
Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,Vol.283, No.1-2,p.114-119 (2008).,Available online: 1 February 2008
Acta Crystallographica, Section E: Structuire Reports Online,Vol.E59, No.11,p.o1719-o1720 (2003).
Chemical Communications,No.18,p.1822-1824 (2007).
Organometallics,Vol.23, No.26,p.6077-6079 (2004).
Journal of the American Chemical Society,Vol.129, No.25,p.7734-7735 (2007).
Journal of Organometallic Chemistry,Vol.596, No.1-2,p.248-251 (2000).
近藤 貴之 他,フルオロアリール金属反応剤とハロゲン化アルキルとの鉄触媒によるクロスカップリング反応,日本化学会講演予稿集,2007年 3月12日,Vol.87th, No.2,p.1061
Masao Iwamoto, et al.,Reaction of Butadiene with Ethylene. II. NewCatalytic Systems in Synthesis of 1,4-Hexadiene,Journal of Organic Chemistry,1966年,Vol.31, No.12,p.4290-4291
ROSA,P. et al,Heat- and light-induced spin transition of an iron(II) polymer containing the 1,2,4,5-tetrakis(diphe,European Journal of Inorganic Chemistry,2004年,No.15,p.3017-3019
調査した分野 C07C 1/32
C07C 13/16
C07C 13/24
C07C 13/615
C07C 15/107
C07F 9/50
C07F 15/02
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(4b)
【化1】
JP0005622573B2_000052t.gif
[式中、Arは同一又は異なって式:
【化2】
JP0005622573B2_000053t.gif
(式中、R110及びR130は同一又は異なって、C3-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、又はトリ(C1-6アルキル)シリル基を示す。)
を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物。
【請求項2】
前記Arが同一又は異なって、式:
【化3】
JP0005622573B2_000054t.gif
である、請求項1に記載のビスホスフィン化合物。
【請求項3】
一般式(4b)
【化4】
JP0005622573B2_000055t.gif
[式中、Arは同一又は異なって式:
【化5】
JP0005622573B2_000056t.gif
(式中、R110及びR130は同一又は異なって、C3-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、又はトリ(C1-6アルキル)シリル基を示す。)
を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物の製造方法であって、一般式(6):
【化6】
JP0005622573B2_000057t.gif
[式中、Xはハロゲン原子を示し、Qはオルトフェニレン基を示す。]
で表される化合物に、一般式(7):
Ar -M (7)
[式中、MはLi又は式:MgYで示される基であり、Yはハロゲン原子を示す。Arは前記に同じ。]
で表される金属試薬を反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項4】
前記Arが同一又は異なって、式:
【化7】
JP0005622573B2_000058t.gif
である、請求項3に記載のビスホスフィン化合物の製造方法。
【請求項5】
鉄化合物及び一般式(4):
【化8】
JP0005622573B2_000059t.gif
[式中、Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基であり、Arは同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基からなる群より選ばれる置換基を有するアリール基、又はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基からなる群より選ばれる置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物からなるクロスカップリング反応用触媒。
【請求項6】
前記一般式(4)において、Arが式:
【化9】
JP0005622573B2_000060t.gif
[式中、Rは同一又は異なって、F、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリルを示し、n1は1~5の整数、n2は1~4の整数を示す。]
で表される基である請求項5に記載のクロスカップリング反応用触媒。
【請求項7】
前記一般式(4)において、Arが式:
【化10】
JP0005622573B2_000061t.gif
[式中、R11、R12及びR13は同一又は異なってH、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示す。但し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。]
で表される基である請求項5に記載のクロスカップリング反応用触媒。
【請求項8】
前記一般式(4)のArにおいて、R12がHであり、R11及びR13が同一又は異なってC~Cアルキル基、又はトリアルキルシリル基である請求項7に記載のクロスカップリング反応用触媒。
【請求項9】
前記一般式(4)において、Qが式:
【化11】
JP0005622573B2_000062t.gif
で表される2価の基である請求項5~8のいずれかに記載のクロスカップリング反応用触媒。
【請求項10】
一般式(5):
【化12】
JP0005622573B2_000063t.gif
[式中、Xはハロゲン原子を示す。qは1、2又は3を示す。rは1又は2を示す。Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基であり、Arは同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基からなる群より選ばれる置換基を有するアリール基、又はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基からなる群より選ばれる置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
で表される錯体。
【請求項11】
一般式(1):
R-Ar’ (1)
[式中、Rは置換基を有してもよい炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよく、Ar’は置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基である。]
で表される芳香族化合物の製造方法であって、鉄化合物及び一般式(4):
【化13】
JP0005622573B2_000064t.gif
[式中、Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基であり、Arは同一又は異なって、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基からなる群より選ばれる置換基を有するアリール基、又はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基からなる群より選ばれる置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物からなるクロスカップリング反応用触媒の存在下、一般式(2):
R-X (2)
[式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前記に同じ。]
で表される化合物と、一般式(3):
Ar’-MgY (3)
[式中、Yはハロゲン原子を示し、Ar’は前記に同じ。]
で表されるマグネシウム試薬を反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
前記鉄化合物が、二価若しくは三価の鉄塩、又はその溶媒和物である請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記一般式(4)において、Arが式:
【化14】
JP0005622573B2_000065t.gif
[式中、Rは同一又は異なって、F、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリル基を示し、n1は1~5の整数、n2は1~4の整数を示す。]
で表される基である請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記一般式(4)において、Arが式:
【化15】
JP0005622573B2_000066t.gif
[式中、R11、R12及びR13は同一又は異なって、H、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。]
で表される基である請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記一般式(4)のArにおいて、R12がHであり、R11及びR13が同一又は異なってC~Cアルキル基、又はトリアルキルシリル基である請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記一般式(4)において、Qが式:
【化16】
JP0005622573B2_000067t.gif
で表される2価の基である請求項11~15のいずれかに記載の製造方法。
【請求項17】
一般式(8):
R-Ar” (8)
[式中、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよく、Ar”は、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基である。]
で表される芳香族化合物の製造方法であって、鉄化合物及び一般式(4a):
【化17】
JP0005622573B2_000068t.gif
[式中、Arは同一又は異なって式:
【化18】
JP0005622573B2_000069t.gif
で表される基であり、R11、R12及びR13は同一又は異なってH、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示す。但し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。]
で表されるビスホスフィン化合物からなるクロスカップリング反応用触媒の存在下、一般式(2):
R-X (2)
[式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前記に同じ。]
で表される化合物と、一般式(9):
Ar”-Mtl (9)
[式中、Mtlは亜鉛(Zn)、ホウ素(B)又はアルミニウム(Al)を示し、Ar”は前記に同じ。]
で表される結合を有する有機金属試薬を反応させることを特徴とする製造方法。
【請求項18】
一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物が、一般式(4b):
【化19】
JP0005622573B2_000070t.gif
[式中、Arは式:
【化20】
JP0005622573B2_000071t.gif
で表される基であり、R110及びR130は同一又は異なって、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリ(C~C)アルキルシリル基を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物である請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記鉄化合物が、二価若しくは三価の鉄塩、又はその溶媒和物である請求項17又は18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記R110及びR130がtert-ブチル又はトリメチルシリルである請求項17、18又は19に記載の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄化合物及びビスホスフィン化合物からなる新規触媒の調製方法、及び該触媒を用いてハロゲン化炭化水素類と芳香族金属試薬とをカップリングさせて芳香族化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルキル化芳香族化合物、特に第二級アルキル基を芳香環上に有する一群の芳香族化合物は、医薬や農薬等の化成品中間体、液晶などの原料として有用であることが知られている。
【0003】
近年、ハロゲン化アルキルと芳香族金属試薬とをクロスカップリングさせる反応が精力的に研究されてきている。特に、安価であり入手が容易である鉄触媒を用いたクロスカップリング反応について報告がなされている(例えば、非特許文献1~8、特許文献1)。
【0004】
例えば、特許文献1及び非特許文献7には、塩化鉄(III)及びN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)の存在下に、ハロゲン化アルキルと芳香族マグネシウム試薬をクロスカップリング反応させる方法が記載されている。しかし、この方法では、基質であるハロゲン化アルキルに対し鉄触媒を5モル%程度と比較的多く必要であることから、コスト面及び反応の効率面で改善の余地があった。また、クロスカップリング化合物に多様な機能性を付与する観点から、芳香環上にフッ素原子を導入することが盛んに行われている。しかし、この方法では、芳香環上にフッ素原子を有する芳香族マグネシウム試薬では、クロスカップリング反応が全く進行しないため、多様な機能性化合物の製造方法としては制約がある。
【0005】
また、非特許文献8では、塩化鉄(III)及び1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(DPPBz)の存在下に、ハロゲン化アルキルと芳香族亜鉛試薬をクロスカップリング反応させる方法が記載されている。この方法でも、ハロゲン化アルキルに対し鉄触媒を3モル%程度と比較的多く必要であり、コスト面及び反応の効率面で改善の余地があった。
【0006】
これらの点から、基質の構造に制約がなく多様性のあるクロスカップリング化合物を効率よく製造することができる製造方法が望まれていた。

【特許文献1】国際公開第2005/075384号パンフレット
【非特許文献1】Org.Lett., 6, 1297 (2004)
【非特許文献2】Angew. Chem.., Int. Ed., 43, 3955 (2004)
【非特許文献3】J. Org. Chem., 71, 1104 (2006)
【非特許文献4】Angew. Chem.., Int. Ed., 46, 4346 (2007)
【非特許文献5】Angew. Chem.., Int. Ed., 47, 1 (2008)
【非特許文献6】Synlett, 1794 (2005)
【非特許文献7】J. Am. Chem. Soc., 126, 3686-3687 (2004)
【非特許文献8】日本化学会第87春季年会講演予稿集、1D8-12
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ハロゲン化アルキルと芳香族金属試薬とのクロスカップリング反応により、効率的に収率良くアルキル化された芳香族化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、塩化鉄(III)及び1,2-ビス(ジ(置換されたフェニル)ホスフィノ)ベンゼン等のビスホスフィン化合物の存在下に、ハロゲン化アルキルと芳香族マグネシウム試薬とをクロスカップリング反応に供することにより、上記の課題を解決できることを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。以下、「第1の実施態様」と表記する。
【0009】
即ち、本発明は、以下のアルキル化された芳香族化合物の製造方法等を提供する。
【0010】
項1 一般式(1):
R-Ar’ (1)
[式中、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよく、Ar’は、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基である。]
で表される芳香族化合物の製造方法であって、鉄化合物及び一般式(4):
【0011】
【化1】
JP0005622573B2_000002t.gif

【0012】
[式中、Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基であり、Arは同一又は異なって置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物からなるクロスカップリング反応用触媒の存在下、一般式(2):
R-X (2)
[式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前記に同じ。]
で表される化合物と、一般式(3):
Ar’-MgY (3)
[式中、Yはハロゲン原子を示し、Ar’は前記に同じ。]
で表されるマグネシウム試薬を反応させることを特徴とする製造方法。
【0013】
項2 前記鉄化合物が、二価若しくは三価の鉄塩、又はその溶媒和物である項1に記載の製造方法。
【0014】
項3 前記一般式(4)において、Arが式:
【0015】
【化2】
JP0005622573B2_000003t.gif

【0016】
[式中、Rは同一又は異なって、H、F、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリル基を示し、n1は1~5の整数、n2は1~4の整数を示す。]
で表される基である項1又は2に記載の製造方法。
【0017】
項4 前記一般式(4)において、Arが式:
【0018】
【化3】
JP0005622573B2_000004t.gif

【0019】
[式中、R11、R12及びR13は同一又は異なって、H、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。]
で表される基である項1又は2に記載の製造方法。
【0020】
項5 前記一般式(4)のArにおいて、R12がHであり、R11及びR13が同一又は異なってC~Cアルキル基、又はトリアルキルシリル基である項4に記載の製造方法。
【0021】
項6 前記一般式(4)において、Qが式:
【0022】
【化4】
JP0005622573B2_000005t.gif

【0023】
で表される2価の基である項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【0024】
項7 鉄化合物及び一般式(4):
【0025】
【化5】
JP0005622573B2_000006t.gif

【0026】
[式中、Qは置換基を有してもよいアリール環又はヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基であり、Arは同一又は異なって置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物からなる触媒。
【0027】
項8 前記一般式(4)において、Arが式:
【0028】
【化6】
JP0005622573B2_000007t.gif

【0029】
[式中、Rは同一又は異なって、H、F、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリル基を示し、n1は1~5の整数、n2は1~4の整数を示す。]
で表される基である項7に記載の触媒。
【0030】
項9 前記一般式(4)において、Arが式:
【0031】
【化7】
JP0005622573B2_000008t.gif

【0032】
[式中、R11、R12及びR13は同一又は異なって、H、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。]
で表される基である項7に記載の触媒。
【0033】
項10 前記一般式(4)のArにおいて、R12がHであり、R11及びR13が同一又は異なってC~Cアルキル基、又はトリアルキルシリル基である項9に記載の触媒。
【0034】
項11 前記一般式(4)において、Qが式:
【0035】
【化8】
JP0005622573B2_000009t.gif

【0036】
で表される2価の基である項7~10のいずれかに記載の触媒。
【0037】
項12 一般式(5):
【0038】
【化9】
JP0005622573B2_000010t.gif

【0039】
[式中、Xはハロゲン原子を示す。qは1、2又は3を示す。rは1又は2を示す。Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基であり、Arは同一又は異なって置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
で表される錯体。
【0040】
項13 一般式(4a):
【0041】
【化10】
JP0005622573B2_000011t.gif

【0042】
[式中、Arは同一又は異なって式:
【0043】
【化11】
JP0005622573B2_000012t.gif

【0044】
で表される基であり、R11、R12及びR13は同一又は異なってH、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示す。但し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。ベンゼン環上のR11、R12及びR13のうち2つがHであり、かつ残りの1つがメチル、エチル又はプロピル基の場合を除く。]
で表されるビスホスフィン化合物。
【0045】
項14 一般式(4):
【0046】
【化12】
JP0005622573B2_000013t.gif

【0047】
[式中、Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基であり、Arは同一又は異なって置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物の製造方法であって、一般式(6):
【0048】
【化13】
JP0005622573B2_000014t.gif

【0049】
[式中、Xはハロゲン原子を示し、Qは前記に同じ。]
で表される化合物に、一般式(7):
Ar-M (7)
[式中、MはLi又は式:MgYで示される基であり、Yはハロゲン原子を示す。Arは前記に同じ。]
で表される金属試薬を反応させることを特徴とする製造方法。
【0050】
項15 一般式(4)及び(6)において、Qが式:
【0051】
【化14】
JP0005622573B2_000015t.gif

【0052】
で示される基である項13に記載の製造方法。
【0053】
また、本発明は、上記の課題に鑑みて鋭意研究を行った結果、塩化鉄(III)及び1,2-ビス(3,5-ジtert-ブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン等の嵩高いビスホスフィン化合物の存在下に、ハロゲン化アルキルと、芳香族亜鉛試薬、芳香族ホウ素試薬又は芳香族アルミニウム試薬とをクロスカップリング反応に供することにより、上記の課題を解決できることを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。以下、「第2の実施態様」と表記する。
【0054】
即ち、本発明は、以下のアルキル化された芳香族化合物の製造方法等を提供する。
【0055】
項16 一般式(8):
R-Ar” (8)
[式中、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよく、Ar”は、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基である。]
で表される芳香族化合物の製造方法であって、鉄化合物及び一般式(4a):
【0056】
【化15】
JP0005622573B2_000016t.gif

【0057】
[式中、Arは同一又は異なって式:
【0058】
【化16】
JP0005622573B2_000017t.gif

【0059】
で表される基であり、R11、R12及びR13は同一又は異なってH、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示す。但し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。]
で表されるビスホスフィン化合物からなるクロスカップリング反応用触媒の存在下、一般式(2):
R-X (2)
[式中、Xはハロゲン原子を示し、Rは前記に同じ。]
で表される化合物と、一般式(9):
Ar”-Mtl (9)
[式中、Mtlは亜鉛(Zn)、ホウ素(B)又はアルミニウム(Al)を示し、Ar”は前記に同じ。]
で表される結合を有する有機金属試薬を反応させることを特徴とする製造方法。
【0060】
項17 一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物が、一般式(4b):
【0061】
【化17】
JP0005622573B2_000018t.gif

【0062】
[式中、Arは式:
【0063】
【化18】
JP0005622573B2_000019t.gif

【0064】
で表される基を示し、R110及びR130は同一又は異なって、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリ(C~C)アルキルシリル基を示す。]
で表されるビスホスフィン化合物である項16に記載の製造方法。
【0065】
項18 前記鉄化合物が、二価若しくは三価の鉄塩、又はその溶媒和物である項16又は17に記載の製造方法。
【0066】
項19 前記R110及びR130がtert-ブチル又はトリメチルシリルである項16、17又は18に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0067】
本発明の鉄化合物及びビスホスフィン化合物からなる触媒は、ハロゲン化アルキルと芳香族マグネシウム試薬とのクロスカップリング反応を効率的に進行させる。そのため、本発明の触媒はクロスカップリング反用触媒として有用である。この触媒を用いて多様性のあるアルキル化された芳香族化合物(クロスカップリング化合物)を高収率で得ることができる。有機液晶分子や、有機電子材料、医薬農薬中間体合成上極めて有用な反応である。
【0068】
本発明の触媒のうち、ホスフィン上の置換基が嵩高い基であるビスホスフィン化合物を含む触媒を用いた場合には、より効率的にクロスカップリング反応が進行する。この場合、芳香族マグネシウム試薬だけでなく、芳香族亜鉛試薬、芳香族ホウ素試薬又は芳香族アルミニウム試薬を用いたクロスカップリング反応も極めて効率的に進行する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
1.第1の実施態様(Mg試薬を用いたクロスカップリング反応
本発明は、下記式で示される、鉄化合物(又は鉄触媒)及び一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物からなるクロスカップリング反応用触媒の存在下、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬を反応させて、一般式(1)で表される芳香族化合物を製造する方法である。
【0070】
【化19】
JP0005622573B2_000020t.gif

【0071】
[式中、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよい。Xはハロゲン原子を示す。Ar’は、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。Yはハロゲン原子を示す。Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基を示す。Arは同一又は異なって置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。]
一般式(1)及び(2)で表される化合物において、Rは、置換基を有してもよい炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよい。
【0072】
該炭化水素基としては、例えばC~C30の炭化水素基が挙げられ、或いは、さらに多くの炭素数を含有する高分子炭化水素基であってもよい。また、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよく、非環式、環式、又はそのいずれも含む形態であってもよい。なお、不飽和の炭化水素基の場合、Xと結合する(即ち、クロスカップリング反応によりAr’と結合を形成する)炭素原子は、sp混成炭素原子であることが好ましい。
【0073】
該炭化水素基としては、例えば、C~C30アルキル基、C~C30アルケニル基、C~C30アルキニル基、C~C30アルキルジエニル基、C~C30アラルキル基、C~C30シクロアルキル基、C~C30シクロアルケニル基、(C~C15シクロアルキル)C~C15アルキル基などが含まれる。
【0074】
Rで示される「C~C30アルキル基」は、C~C15アルキル基が好ましく、C~C12アルキル基が更に好ましい。アルキル基の例としては、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル等を挙げることができる。
【0075】
Rで示される「C~C30アルケニル基」は、C~C15アルケニル基が好ましく、C~C10アルケニル基でが更に好ましい。アルケニル基の例としては、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、2-メチルアリル、2-ブテニル、3-ブテニル、4-ペンテニル等を挙げることができる。
【0076】
Rで示される「C~C30アルキニル基」は、C~C15アルキニル基が好ましく、C~C10アルキニル基が更に好ましい。アルキニル基の例としては、3-ブチニル、4-ペンチニル等を挙げることができる。
【0077】
Rで示される「C~C30アルキルジエニル基」は、C~C15アルキルジエニル基が好ましく、C~C10アルキルジエニル基が更に好ましい。アルキルジエニル基の例としては、3,5-ヘキサジエニル、シクロペンタジエニル等を挙げることができる。
【0078】
Rで示される「C~C30アラルキル基」は、C~C12アラルキル基が好ましい。アラルキル基の例としては、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル等を挙げることができるが、例えば、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチルであることが好ましい。
【0079】
Rで示される「C~C30シクロアルキル基」は、C~C10シクロアルキル基が好ましい。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ボルニル、ノルボルニル、アダマンチル、ノルアダマンチル、ノルピニル、デカヒドロナフチル等を挙げることができる。
【0080】
Rで示される「C~C30シクロアルケニル基」は、C~C10シクロアルケニル基が好ましい。シクロアルケニル基の例としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ノルボルネニル、ノルボルナジエニル等を挙げることができる。
【0081】
Rで示される「(C~C15シクロアルキル)C~C15アルキル基」は、(C~C10シクロアルキル)C~C10アルキル基が好ましい。その具体例としては、(シクロプロピル)C~Cアルキル、(シクロブチル)C~Cアルキル、(シクロペンチル)C~Cアルキル、(シクロヘキシル)C~Cアルキル、(シクロヘプチル)C~Cアルキル、(アダマンチル)C~Cアルキル等を挙げることができる。
【0082】
さらに、上記したRで示される炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよい。即ち、Rで示される炭化水素基は、1又は2以上のエーテル結合を含有していてもよい。
【0083】
Rで示される炭化水素基には置換基を有していてもよい。この置換基としては、クロスカップリング反応に悪影響を与えない基であれば特に限定はない。例えば、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等であり、特にFである)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC~Cアルコキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル、トルイル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル基等のC~C20の単環又は多環のアリール基等)、へテロアリール基(例えば、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基等のC~C20の単環又は多環のへテロアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、式:(上記のアリール基)-O-で示される基等)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、エステル基(例えば、式:-C(=O)ORで示される基であり、RはC~C10アルキル基等)、ジアルキルアミド基(例えば、式:-C(=O)N(Rで示される基が挙げられ、RはC~C10アルキル基等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、式:-ORで示される基であり、RはH、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アラルキル基、トリアルキルシリル基等)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチルtert-ブチルシリル、トリエチルシリル等)、アセタール基(例えば、式:-CR(OR)(OR)で示される基であり、Rは水素原子又は置換基を有していてもよいC~Cアルキル基、R及びRは同一または異なってアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル等)であり、互いに架橋して2価のアルキレン基を形成していてもよい。R及びRの例としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、互いに架橋している場合には、エチレン基、トリメチレン基等が挙げられる)等が挙げられる。
【0084】
上記の置換基は、該炭化水素基の置換可能な位置に1個以上有していてもよく、例えば、1個~4個、更に1~3個有していてもよい。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0085】
一般式(2)で表される化合物において、Xはハロゲン原子を示す。具体的には、Cl、Br、I等であり、好ましくはBrである。
【0086】
一般式(1)及び(3)で表される化合物において、Ar’は置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。
【0087】
Ar’で示される置換基を有してもよいアリール基におけるアリール基としては、例えば、1~5環性のアリール基が挙げられる。具体的には、フェニル基、トルイル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、フルオレニル基、テトラセニル、ペンタセニル等が例示される。
【0088】
Ar’で示される置換されていてもよいヘテロアリール基におけるヘテロアリール基としては、例えば、1~4環性の酸素、窒素及び硫黄から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を環に有するヘテロアリール基が挙げられ、具体的には、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基等が例示される。
【0089】
上記アリール基又はヘテロアリール基は置換されていてもよく、該置換基としては本発明のクロスカップリング反応に悪影響を与えないものであれば特に限定はない。
【0090】
この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等であり、特にFである)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC~Cアルコキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル、トルイル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル基等のC~C20の単環又は多環のアリール基等)、アリールオキシ基(例えば、式:(上記のアリール基)-O-で示される基等)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、エステル基(例えば、式:-C(=O)OR20で示される基であり、R20はC~C10アルキル基等)、ジアルキルアミド基(例えば、式:-C(=O)N(R30で示される基であり、R30がC~C10アルキル基等)、保護されていてもよい水酸基(例えば、式:-OR40で示される基であり、R40はH、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アラルキル基、トリアルキルシリル基等)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチルtert-ブチルシリル、トリエチルシリル等)、アセタール基(例えば、式:-CR50(OR60)(OR70)で示される基であり、R50は水素原子又は置換基を有していてもよいC~Cアルキル基、R60及びR70は同一または異なって、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル等)であり、互いに架橋して2価のアルキレン基を形成していてもよい。R60及びR70の例としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、互いに架橋している場合には、エチレン基、トリメチレン基等が挙げられる)等が挙げられる。
【0091】
上記の置換基は、該アリール基又はヘテロアリール基の置換可能な位置に1個以上有していてもよく、例えば、1個~4個、更に1~3個有していてもよい。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0092】
一般式(3)で表される化合物において、Yはハロゲン原子を示す。具体的には、F、Cl、Br、I等であり、好ましくはCl、Br又はIであり、特にBrである。
【0093】
鉄化合物としては、二価又は三価の鉄塩又は鉄錯体であり、好ましくは三価の鉄塩である。この鉄塩又は鉄錯体は溶媒和物(例えば水和物)であってもよい。具体的には、ハロゲン化鉄(II)(FeX:Xはハロゲン原子、特にCl)、ハロゲン化鉄(III)(FeX:Xはハロゲン原子、特にCl)、又はそれらの水和物が好ましく、特に、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化鉄(III)・6水和物(FeCl・6HO)、塩化鉄(II)(FeCl・4水和物(FeCl・4HO)等が好ましい。
【0094】
一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物は、鉄化合物の配位子として作用し、クロスカップリング反応を促進する。一般式(4)において、Qは置換基を有してもよいアリール環又は置換基を有してもよいヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基である。
【0095】
該アリール環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等のC~C20の単環又は多環のアリール環が挙げられる。該アリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基としては、例えば、式:
【0096】
【化20】
JP0005622573B2_000021t.gif

【0097】
で表される基等が挙げられる。
【0098】
該ヘテロアリール環としては、例えば、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン等のC~C20のN、O及びSから選ばれるヘテロ原子を有する単環又は多環のへテロアリール基が挙げられる。該ヘテロアリール環から隣接する炭素原子上の2個の水素原子(H)を除いた2価の基としては、例えば、式:
【0099】
【化21】
JP0005622573B2_000022t.gif

【0100】
で表される基等が挙げられる。
【0101】
該アリール環及びヘテロアリール環上には、置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のC~Cアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC~Cアルコキシ基等)等が挙げられる。これらの置換基は該アリール環及びヘテロアリール環上に1~3個有していてもよい。
【0102】
このうち、好ましくはオルトフェニレン基、即ち、式:
【0103】
【化22】
JP0005622573B2_000023t.gif

【0104】
で表される基である。
【0105】
一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物において、Arは同一又は異なって置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有してもよいヘテロアリール基を示す。
【0106】
Arで示される置換基を有してもよいアリール基における「アリール基」としては、例えば、フェニル基、トルイル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、フルオレニル基等の1~4環性のアリール基が例示される。好ましくはフェニル基である。
【0107】
Arで示される置換基を有してもよいヘテロアリール基における「ヘテロアリール基」としては、例えば、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン等のC~C20のN、O及びSから選ばれるヘテロ原子を有する単環又は多環(特に1又は2環性)のへテロアリール基が例示される。好ましくはピリジル基であり、特に4-ピリジル基である。
【0108】
上記アリール基又はヘテロアリール基は、置換可能な位置に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br等であり、特にFである)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル等のC~Cアルキル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC~Cアルコキシ基等)、アリール基(例えば、フェニル、トルイル、2,6-ジメチルフェニル、ナフチル等のC~C20の単環又は多環のアリール基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル等)、アリールオキシ基(例えば、式:(上記のアリール基)-O-で示される基等)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基等)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル、ジメチルtert-ブチルシリル、トリエチルシリル等)、ジアルキルアリールシリル基(例えば、ジメチルフェニルシリル基等)、アルキルジアリールシリル基(例えば、tert-ブチルジフェニルシリル基等)、トリアリールシリル基(例えば、トリフェニルシリル基等)等が挙げられる。
【0109】
好ましい置換基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル等のC~Cアルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC~Cアルコキシ基;フェニル、トルイル、2,6-ジメチルフェニル、ナフチル等のC~C20の単環又は多環のアリール基;トリメチルシリル、ジメチルtert-ブチルシリル、トリエチルシリル等のトリアルキル(特に、トリC~Cアルキル)シリル基等である。
【0110】
上記の置換基は、該アリール基又は又はヘテロアリール基の置換可能な位置に1個以上有していてもよく、例えば、1個~4個、更に1~3個有していてもよい。置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0111】
一般式(4)で表される化合物において、好ましいArとして、式:
【0112】
【化23】
JP0005622573B2_000024t.gif

【0113】
[式中、Rは同一又は異なって、H、F、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、又はトリアリールシリル基を示し、n1は1~5の整数、n2は1~4の整数を示す。]
で表される基が挙げられる。Rで示される各置換基の具体例は、上記列挙した中から選択することができる。好ましいRで示される置換基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル等のC~Cアルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC~Cアルコキシ基;フェニル、トルイル、2,6-ジメチルフェニル、ナフチル等のC~C20の単環又は多環のアリール基;トリメチルシリル、ジメチルtert-ブチルシリル、トリエチルシリル等のトリアルキル(特に、トリC~Cアルキルシリル基等である。n1が2~5の整数又はn2が2~4の整数の時、Rは同一又は異なっていてもよい。特に、n1=2又はn2=2であり、RがC~Cアルキル基(特に、tert-ブチル、イソプロピル)、トリC~Cアルキルシリル基(特に、トリメチルシリル)が好適である。また、n1=1であり、RがC~Cアルコキシ基が好適である。n1は1~3の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。n2は1~3の整数が好ましく、2がより好ましい。
【0114】
より好ましいArとしては、式:
【0115】
【化24】
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【0116】
[式中、R11、R12及びR13は同一又は異なって、H、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリアルキルシリル基を示す。但し、R11、R12及びR13の全てがHの場合を除く。]
で表される基が挙げられる。R11、R12及びR13で示される各置換基の具体例は、上記列挙した中から選択することができる。好ましいR11、R12及びR13で示される置換基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル等のC~Cアルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のC~Cアルコキシ基;トリメチルシリル、ジメチルtert-ブチルシリル、トリエチルシリル等のトリアルキル(特に、トリC~Cアルキル)シリル基等である。特に好ましくは、R12がHであり、R11及びR13がC~Cアルキル基(特に、tert-ブチル)又はトリC~Cアルキルシリル基(特に、トリメチルシリル)である。また、R12がC~Cアルコキシ基であり、R11及びR13がHである。
【0117】
他のより好ましいArとしては、式:
【0118】
【化25】
JP0005622573B2_000026t.gif

【0119】
[式中、R110及びR130は同一又は異なって、C~Cアルキル基、C~Cアルコキシ基、又はトリ(C~C)アルキルシリル基を示す。]
で表される基が挙げられる。
【0120】
~Cアルキル基としては、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル等が挙げられ、C~Cアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられ、トリ(C~C)アルキルシリル基としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル等が挙げられる。R110及びR130として好ましくは、tert-ブチル又はトリメチルシリルである。
【0121】
さらに好ましいArとしては、
【0122】
【化26】
JP0005622573B2_000027t.gif

【0123】
[式中、Zは-CH=又は-N=を示す。好適にはZは-CH=である。]
で表される基が挙げられる。特に好ましいArとしては、
【0124】
【化27】
JP0005622573B2_000028t.gif

【0125】
である。
【0126】
一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物のうち、好ましいものとして、一般式(4a):
【0127】
【化28】
JP0005622573B2_000029t.gif

【0128】
[式中、Arは同一又は異なって式:
【0129】
【化29】
JP0005622573B2_000030t.gif

【0130】
で表される基を示し、R11、R12及びR13は前記に同じ。]
で表されるビスホスフィン化合物が挙げられる。一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物は、リン原子上に嵩高い置換フェニル基を有するため、クロスカップリング反応の促進効果が高い。
【0131】
一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物のうち、より好ましいものとして、一般式(4b):
【0132】
【化30】
JP0005622573B2_000031t.gif

【0133】
[式中、Arは式:
【0134】
【化31】
JP0005622573B2_000032t.gif

【0135】
で表される基を示し、R110及びR130は前記に同じ。]
で表される化合物が挙げられる。上記の一般式(4b)で表されるビスホスフィン化合物は、リン原子上に、2つのメタ位に嵩高い基を有するフェニル基を有するため、クロスカップリング反応の促進効果が極めて高い。そのため、より少ない触媒量でもクロスカップリング反応が進行し、非常に高い収率でクロスカップリング化合物を得ることができる。
【0136】
本発明の製造方法では、鉄化合物及び一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物からなる触媒(クロスカップリング反応用触媒)の存在下、一般式(2)で表される化合物と、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬を反応させて、一般式(1)で表される芳香族化合物を製造する。
【0137】
反応溶媒は、本発明の反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、テトラヒドロフランである。
【0138】
本反応では、一般式(2)で表される化合物の濃度は、上記反応溶媒中において、通常0.1~2.0モル/L、好ましくは0.2~1.5モル/L、より好ましくは0.5~1.0モル/L程度に調整することができる。
【0139】
一般式(3)で表されるマグネシウム試薬の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常1~3モル、好ましくは1~2モル、より好ましくは1.1~1.5モルである。本発明の方法では、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬の使用量を、一般式(2)で表される化合物に対して量論量でよいため効率的である。これは、非特許文献8に示されるような亜鉛試薬を用いた場合のように、クロスカップリング反応に関与する芳香族基が1当量分だけ無駄になる方法と比べて有利である。
【0140】
鉄化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、0.1~5モル%、好ましくは0.1~3モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。
【0141】
一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常0.1~10モル%、好ましくは0.2~6モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。鉄化合物と一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物のモル比率は、通常、1:1~1:3、好ましくは1:1~1:2の範囲から選択することができる。かかる範囲であると、クロスカップリング反応が収率よく進行し、副生物を抑制することができる。
【0142】
特に、後述する一般式(4b)で表される嵩高いビスホスフィン化合物を配位子として使用する場合には、クロスカップリング反応が大きく促進される。そのため、鉄化合物及びビスホスフィン化合物の使用量をより少なくすることができる。例えば、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、鉄化合物を0.1~5.0モル%、好ましくは0.5~3モル%、ビスホスフィン化合物を0.1~10.0モル%、好ましくは0.5~6モル%で十分である。
【0143】
本発明の製造方法における典型的な反応操作としては、鉄化合物及び一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物からなる触媒(クロスカップリング反応用触媒)と一般式(2)で表される化合物を含む溶液に、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬を添加(特に、ゆっくり滴下)する方法が好ましい。
【0144】
上記のクロスカップリング反応用触媒は、反応系中で、鉄化合物と一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物を混合することにより調製され、特に単離する必要はない。
【0145】
或いは、鉄化合物と一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物を反応して、一旦錯体(クロスカップリング反応用触媒)を形成しさらに単離して、これをクロスカップリング反応に供してもよい。なお、該錯体(クロスカップリング反応用触媒)は、通常、溶媒(例えば、エタノール等のアルコール系溶媒等)中、30~80℃にて、鉄化合物と一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物を、例えば1:1~1:2のモル比で反応させて製造することができる。典型例として、ハロゲン化鉄と一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物から、一般式(5)で表されるクロスカップリング反応用触媒を製造するスキームを下記に示す。
【0146】
【化32】
JP0005622573B2_000033t.gif

【0147】
[式中、Xはハロゲン原子、特にClを示す。pは2又は3であり、特に2を示す。qは1、2又は3であり、特に2を示す。rは1又は2であり、特に1である。Q及びArは前記に同じ。]
【0148】
典型的な錯体(クロスカップリング反応用触媒)として、FeCl・L、FeCl・L、FeCl・L2、又はFeCl・L(式中、Lは一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物を示す。)等が挙げられ、好適には、FeCl・Lである。
【0149】
単離した錯体(クロスカップリング反応用触媒)を用いてクロスカップリング反応する場合、該錯体の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常0.1~5モル%、好ましくは0.1~3モル%、より好ましくは0.5~3モル%とすればよい。該錯体のみでも反応は好適に進行するが、さらに、必要に応じて、一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物を添加してもよい。これにより、オレフィン体等の副生物を抑制することができる場合がある。この場合も、上記したように、反応系中における、鉄化合物と一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物のモル比率が、通常、1:1~1:3、好ましくは1:1~1:2の範囲になるように、一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物の添加量を調整すればよい。
【0150】
一般式(3)で表されるマグネシウム試薬は、対応する一般式(3’):
Ar’-Y (3’)
[式中、Ar’及びYは前記に同じ。]
で表される化合物とマグネシウム(Mg)から、公知の方法(例えば、実験化学講座第5版,18巻,59~76ページ等を参照)により調製される。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒等が用いられる。好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)である。該マグネシウム試薬の溶液の濃度は、通常0.5~1.5モル/L程度であればよい。
【0151】
本発明では、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬同士のホモカップリングやオレフィン等の副生物を抑制して、目的とする一般式(1)で表されるクロスカップリング反応物の収率を向上させるため、クロスカップリング反応用触媒と一般式(2)で表される化合物を含む溶液に、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬をゆっくり滴下する方法が好適である。滴下の速度は、反応のスケールにもよるが、例えば、反応系中式(2)で表される化合物の量が100~1000mmol程度の場合には、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬の溶液を0.5~50mmol/分程度の速度で加えるのが好ましく、上記式(2)で示される化合物の量が1~100mmol程度の場合には、一般式(3)で表されるマグネシウム試薬の溶液を0.005~5mmol/分程度で加えるのが好ましい。
【0152】
反応は通常、無水の条件下、かつ不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は、通常-10℃~80℃であり、好ましくは0℃~60℃、より好ましくは20~60℃である。反応圧力は特に限定はなく、典型的には常圧である。
【0153】
上記のようにして反応させた後、反応液をプロトン性溶媒(例えば、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸等)でクエンチして抽出し、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶、トリチュレーション等の精製操作を経て目的とする一般式(1)で表される化合物を得る。
【0154】
2.第2の実施態様(Zn、B又はAl試薬を用いたクロスカップリング反応
本発明は、下記式で示される、鉄化合物及び一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物からなるクロスカップリング反応用触媒の存在下、一般式(2)で表される化合物と、一般式(9)で表される結合を有する有機金属試薬を反応させて、一般式(8)で表される芳香族化合物を製造する方法である。
【0155】
【化33】
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【0156】
[式中、Ar”は、置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。Mtlは亜鉛(Zn)、ホウ素(B)又はアルミニウム(Al)を示す。R、X及びArは前記に同じ。]
一般式(2)及び(8)で表される化合物において、Rは置換基を有してもよい炭化水素基であり、該炭化水素基の炭素-炭素結合の間に-O-で示される基を有してもよい。Xはハロゲン原子を示す。即ち、R及びXは、前記「1.第1の実施態様」において示したR及びXと同義である。
【0157】
一般式(8)及び(9)で表される化合物において、Ar”は置換基を有してもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。即ち、Ar”は、前記「1.第1の実施態様」において示したAr’と同義である。
【0158】
一般式(9)で表される有機金属試薬としては、有機亜鉛試薬、有機ホウ素試薬、又は有機アルミニウム試薬が挙げられる。具体的な試薬としては、次のようなものが例示される。
【0159】
有機亜鉛試薬としては、例えば、Ar”-Zn結合を有する試薬であれば特に限定はない。例えば、下記のような試薬を選択できる。
【0160】
(Ar”)Zn (9a)
(Ar”)Zn・2MgX’ (9b)
Ar”ZnX’・MgX’ (9c)
[式中、X’はハロゲン原子を示し、2つのX’を含む場合X’は同一または異なってもよい。Ar”は前記に同じであり、2つのAr”を含む場合Ar”は同一または異なってもよい。]
【0161】
これらの試薬は、例えば、1) M. Schlosser ed. “Organometallics in Synthesis, A Manual” second edition, Wiley, Weinheim, 2002、2) P. Knochel, P. Jones, Organozinc Reagents, Oxford University Press, New York, 1999、3) E. Erdik, Organozinc Reagents in Organic Synthesis, CRC Press, New York, 1996等の記載に準じて容易に調製することができる。
【0162】
有機ホウ素試薬としては、例えば、Ar”-B結合を有する試薬であれば特に限定はない。例えば、下記のような試薬を選択できる。
【0163】
【化34】
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【0164】
(Ar”)B(OR3-k (9e)
[式中、RはC~Cアルキル基、kは1、2又は3を示し、Ar”は前記に同じ。]
これらの試薬は、例えば、M. Schlosser ed. “Organometallics in Synthesis, A Manual” second edition, Wiley, Weinheim, 2002等の記載に準じて容易に調製することができる。
【0165】
有機アルミニウム試薬としては、例えば、Ar”-Al結合を有する試薬であれば特に限定はない。例えば、下記のような試薬を選択できる。
【0166】
(Ar”)Al(R3-m (9f)
(Ar”)Al(R3-m・MgX’ (9g)
[式中、RはC~Cアルキル基、X’はハロゲン原子、mは1、2又は3を示し、Ar”は前記に同じ。]
【0167】
これらの試薬は、例えば、M. Schlosser ed. “Organometallics in Synthesis, A Manual” second edition, Wiley, Weinheim, 2002等の記載に準じて容易に調製することができる。
【0168】
鉄化合物としては、二価又は三価の鉄塩又は鉄錯体であり、好ましくは三価の鉄塩である。この鉄塩又は鉄錯体は溶媒和物(例えば水和物)であってもよい。具体的には、ハロゲン化鉄(II)(FeX:Xはハロゲン原子、特にCl)、ハロゲン化鉄(III)(FeX:Xはハロゲン原子、特にCl)、又はそれらの水和物が好ましく、特に、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化鉄(III)・6水和物(FeCl・6HO)、塩化鉄(II)(FeCl・4水和物(FeCl・4HO)等が好ましい。
【0169】
一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物として、好適には一般式(4b)で表されるビスホスフィン化合物が挙げられる。2つのメタ位に嵩高い基が存在するため、クロスカップリング反応の促進効果が極めて高い。例えば、一般式(4b)で表される化合物を用いたクロスカップリング反応では、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼンを用いた場合と比べて反応収率が極めて高い。例えば、実施例5、6、10、11及び12を参照。
【0170】
本発明の製造方法では、鉄化合物及び一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物からなる触媒(クロスカップリング反応用触媒)の存在下、一般式(2)で表される化合物と、一般式(9)で表される結合を有する有機金属試薬を反応させて、一般式(8)で表される芳香族化合物を製造する。
【0171】
一般式(9)で表される結合を有する有機金属試薬として、有機亜鉛試薬、有機ホウ素試薬、又は有機アルミニウム試薬を用いる場合の具体的なカップリング反応を記載する。
【0172】
有機亜鉛試薬を用いたカップリング反応の典型例を以下に示す。鉄化合物及び一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物からなる触媒(クロスカップリング反応用触媒)の存在下、一般式(2)で表される化合物と、上記した種々の公知の方法で調整される有機亜鉛試薬を反応させて、一般式(8)で表される芳香族化合物を製造する。
【0173】
反応溶媒は、本発明の反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、テトラヒドロフランである。
【0174】
本反応では、一般式(2)で表される化合物の濃度は、上記反応溶媒中において、通常0.1~2.0モル/L、好ましくは0.2~1.5モル/L、より好ましくは0.5~1.0モル/L程度に調整することができる。
【0175】
有機亜鉛試薬の使用量は、亜鉛原子のモル数換算で、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常1~3モル、好ましくは1~2モル、より好ましくは1.1~1.5モルである。
【0176】
鉄化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、0.1~5モル%、好ましくは0.1~3モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。
【0177】
一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常0.1~10モル%、好ましくは0.2~6モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。鉄化合物と一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物のモル比率は、通常、1:1~1:3、好ましくは1:1~1:2の範囲から選択することができる。
【0178】
本発明の製造方法における典型的な反応操作としては、有機亜鉛試薬に、一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物、鉄化合物、及び一般式(2)で表される化合物を添加する方法が好ましい。
【0179】
上記のクロスカップリング反応用触媒は、反応系中で、鉄化合物と一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物から調製される。或いは、あらかじめ両者の錯体を形成してから反応に供してもよい。例えば、一般式(5)で表される錯体が挙げられる。
【0180】
反応は通常、無水の条件下、かつ不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は、通常-10℃~80℃であり、好ましくは0℃~60℃、より好ましくは20~60℃である。反応圧力は特に限定はなく、典型的には常圧である。
【0181】
上記のようにして反応させた後、反応液をプロトン性溶媒(例えば、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸等)でクエンチして抽出し、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶、トリチュレーション等の精製操作を経て目的とする一般式(8)で表される化合物を得る。
【0182】
有機ホウ素試薬を用いたカップリング反応の典型例を以下に示す。鉄化合物及び一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物からなる触媒(クロスカップリング反応用触媒)の存在下、一般式(2)で表される化合物と、上記した種々の公知の方法で調整される有機ホウ素試薬(必要に応じ活性化して得られる有機ホウ素アート錯体)を反応させて、一般式(8)で表される芳香族化合物を製造する。
【0183】
反応溶媒は、本発明の反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、テトラヒドロフランである。
【0184】
本反応では、一般式(2)で表される化合物の濃度は、上記反応溶媒中において、通常0.1~2.0モル/L、好ましくは0.2~1.5モル/L、より好ましくは0.5~1.0モル/L程度に調整することができる。
【0185】
有機ホウ素試薬の使用量は、ホウ素原子のモル数換算で、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常1~3モル、好ましくは1~2モル、より好ましくは1.1~1.5モルである。
【0186】
鉄化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、0.1~5モル%、好ましくは0.1~3モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。
【0187】
一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常0.1~10モル%、好ましくは0.2~6モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。鉄化合物と一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物のモル比率は、通常、1:1~1:3、好ましくは1:1~1:2の範囲から選択することができる。
【0188】
本発明の製造方法における典型的な反応操作としては、有機ホウ素試薬、必要に応じホウ素原子に求核的に反応してアート錯体を形成し得る求核剤(例えば、n-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム等)をさせて得られる有機ホウ素アート錯体に、一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物、鉄化合物、及び一般式(2)で表される化合物を添加する方法が好ましい。有機ホウ素アート錯体は、例えば、上記の式(9d)~(9e)で表される有機ホウ素試薬に、tert-ブチルリチウム等の求核剤、必要に応じマグネシウムハライド(MgX;Xはハロゲン原子を示し、特にCl又はFである。)を添加して調製される。該求核剤は、有機ホウ素試薬1モルに対し、通常1~1.5モル程度である。マグネシウムハライドは、有機ホウ素試薬1モルに対し、通常0.1~1.5モル程度である。
【0189】
上記のクロスカップリング反応用触媒は、反応系中で、鉄化合物と一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物から調製される。或いは、あらかじめ両者の錯体を形成してから反応に供してもよい。例えば、一般式(5)で表される錯体が挙げられる。
【0190】
反応は通常、無水の条件下、かつ不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は、通常-10℃~80℃であり、好ましくは0℃~60℃、より好ましくは20~60℃である。反応圧力は特に限定はなく、典型的には常圧である。
【0191】
上記のようにして反応させた後、反応液をプロトン性溶媒(例えば、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸等)でクエンチして抽出し、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶、トリチュレーション等の精製操作を経て目的とする一般式(8)で表される化合物を得る。
【0192】
有機アルミニウム試薬を用いたカップリング反応の典型例を以下に示す。鉄化合物及び一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物からなる触媒(クロスカップリング反応用触媒)の存在下、一般式(2)で表される化合物と、上記した種々の公知の方法で調整される有機アルミニウム試薬を反応させて、一般式(8)で表される芳香族化合物を製造する。
【0193】
反応溶媒は、本発明の反応に悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に限定はなく、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、テトラヒドロフランである。
【0194】
本反応では、一般式(2)で表される化合物の濃度は、上記反応溶媒中において、通常0.1~2.0モル/L、好ましくは0.2~1.5モル/L、より好ましくは0.5~1.0モル/L程度に調整することができる。
【0195】
有機アルミニウム試薬の使用量は、アルミニウム原子のモル数換算で、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常1~3モル、好ましくは1~2モル、より好ましくは1.1~1.5モルである。
【0196】
鉄化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、0.1~5モル%、好ましくは0.1~3モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。
【0197】
一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物の使用量は、一般式(2)で表される化合物1モルに対し、通常0.1~10モル%、好ましくは0.2~6モル%、より好ましくは0.5~3モル%である。鉄化合物と一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物のモル比率は、通常、1:1~1:3、好ましくは1:1~1:2の範囲から選択することができる。
【0198】
本発明の製造方法における典型的な反応操作としては、有機アルミニウム試薬に、一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物、鉄化合物、及び一般式(2)で表される化合物を添加する方法が好ましい。
【0199】
上記のクロスカップリング反応用触媒は、反応系中で、鉄化合物と一般式(4a)で表されるビスホスフィン化合物から調製される。或いは、あらかじめ両者の錯体を形成してから反応に供してもよい。例えば、一般式(5)で表される錯体が挙げられる。
【0200】
反応は通常、無水の条件下、かつ不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は、通常-10℃~80℃であり、好ましくは0℃~60℃、より好ましくは20~60℃である。反応圧力は特に限定はなく、典型的には常圧である。
【0201】
上記のようにして反応させた後、反応液をプロトン性溶媒(例えば、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸等)でクエンチして抽出し、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶、トリチュレーション等の精製操作を経て目的とする一般式(8)で表される化合物を得る。
【0202】
3.ビスホスフィン化合物の製造
本発明で鉄化合物の配位子として用いられる、一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0203】
【化35】
JP0005622573B2_000036t.gif

【0204】
[式中、Xはハロゲン原子、MはLi又は式:MgYで示される基であり、Yはハロゲン原子を示す。Q及びArは前記に同じ。]
一般式(6)において、Qは上記したものが挙げられる。好ましくは、式:
【0205】
【化36】
JP0005622573B2_000037t.gif

【0206】
で表される基である。一般式(4)及び(7)において、Arが同一又は異なって式:
【0207】
【化37】
JP0005622573B2_000038t.gif

【0208】
[式中、R11、R12及びR13は前記に同じ。]
で示される化合物が好ましい。このうち、Arが置換フェニル基(上記左の基)であり、該フェニル基上のR11、R12及びR13のうち2つがHであり、かつ残りの1つがメチル、エチル又はプロピル基の場合を除いたものは新規な化合物である。
【0209】
特に、R12がHであり、R11及びR13がC~Cアルキル基又はトリアルキルシリル基の場合には、鉄化合物を用いたクロスカップリング反応の促進効果が大きい。
【0210】
一般式(4)で表される化合物のうち、好ましいものとして一般式(4a)で表される化合物が挙げられ、より好ましいものとして一般式(4b)で表される化合物が挙げられる。
【0211】
一般式(6)において、XはF、Cl、Br、I等のハロゲン原子であり、好ましくはClである。一般式(7)において、Mが式:MgYで示される基の場合、YはCl、Br、I等のハロゲン原子であり、好ましくはCl、Brであり、より好ましくはClである。
【0212】
本反応は、一般式(6)で表される化合物に、一般式(7)で表される金属試薬を反応させて、一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物を得る。
【0213】
反応溶媒は、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;又はこれらの混合溶媒等が用いられる。好ましくは、テトラヒドロフラン(THF)である。該マグネシウム試薬の溶液の濃度は、通常、0.5~1.5モル/L程度であればよい。
【0214】
一般式(7)で表される金属試薬の使用量は、一般式(6)で表される化合物1モルに対し、通常4~12モル、好ましくは6~9モル使用することができる。
【0215】
なお、一般式(7)で表される金属試薬は、MがLiの場合は、例えば実験化学講座第5版,18巻,8~58ページの記載に準じて、MがMgY(グリニア試薬)の場合は、例えば実験化学講座第5版,18巻,59~76ページの記載に準じて製造することができる。
【0216】
反応は通常、無水の条件下、かつ不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)雰囲気下で行うことが好ましい。反応温度は、通常、一般式(7)で表される金属試薬の添加時は、-100℃~80℃であり、好ましくは-80℃~30℃、より好ましくは-80℃~0℃である。その後、必要に応じ反応液を0℃~100℃程度に昇温してさらに反応させることもできる。反応圧力は特に限定はなく、典型的には常圧である。
【0217】
反応後、反応液をプロトン性溶媒(例えば、水、塩化アンモニウム水溶液、希塩酸等)でクエンチして抽出し、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、蒸留、再結晶、トリチュレーション等の精製操作を経て目的とする一般式(4)で表されるビスホスフィン化合物を得る。
【図面の簡単な説明】
【0218】
【図1】実施例1(1)で製造された、塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2・L)のX線解析によって求められた構造(ORTEP)を示す。
【図2】実施例1(1)で製造された錯体のX線解析における結晶データを示す。
【図3】実施例1(2)のエントリーで製造された、塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2・L)のX線解析によって求められた構造(ORTEP)を示す。
【図4】実施例1(2)で製造された錯体のX線解析における結晶データを示す。

【実施例】
【0219】
本発明を、実施例を用いて更に詳述するが、これに限定されるものではない。なお、ビスホスフィン化合物をL(配位子)と標記する場合がある。
【0220】
製造例1:1,2-ビス(ビス(4-フルオロフェニル)ホスフィノ)ベンゼン
1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(0.96g、3.43mmol)及びTHF(20mL)の混合物に、アルゴン雰囲気下、-78℃で、p-フルオロフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(26.6mL、1.03M、27.40mmol)を添加した。室温に昇温後、60℃で終夜反応させた。周囲温度まで冷却し、溶媒を減圧下に除去した後、CHCl(30mL)を添加した。反応混合物に、1N塩酸水溶液(20mL)を添加し、CHClを用いて水層を3回抽出した。合わせた有機抽出物中に含まれる水分を硫酸マグネシウムで除去し、濾過した。溶媒を減圧下に除去した後、得られる黄色の油状物質にメタノールを用いてトリチュレーションすることで白色粉末を生成させ、2回メタノールで洗浄し、白色粉末として標題化合物を得た(1.10g、収率62%)。
H NMR(CDCl)δ 6.90-6.96(m,8H),6.99-7.03(m,2H),7.04-7.14(m,8H),7.28-7.32(m,2H);13C NMR(CDCl)δ 115.6(dt,J=4.0,20.8Hz,8C),129.3(2C),131.9(d,J=2.3Hz,4C),133.8(dd,J=3.1,3.5Hz,2C),135.7(dt,J=8.0,10.8Hz,8C),143.2(dd,J=9.7,10.0Hz,2C),163.2(d,J=247.6Hz,4C);31P NMR(CDCl)δ -17.6.;Anal.calcd for C3020;C,69.50;H,3.89.found C,69.77;H,4.08.
【0221】
製造例2:1,2-ビス(ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィノ)ベンゼン
出発物質として1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(0.96g、3.43mmol)、及びp-メトキシフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(30.0mL、0.88M、26.40mmol)を用いて、製造例1と同様にして反応させた。反応は40℃で終夜反応させた。精製後、白色粉末として標題化合物を得た(1.53g、収率79%)。
H NMR(CDCl)δ 3.77(brs,12H),6.71(brs,4H),6.75(brs,4H),7.00-7.09(m,10H),7.21-7.26(m,2H);13C NMR(CDCl)δ 55.0(4C),113.9(dd,J=4.0Hz,8C),128.0(4C),128.5(2C),133.6(dd,J=3.1Hz,2C)135.4(dd,J=10.8Hz,8C),144.2(dd,J=9.4Hz,2C),159.7(4C);31P NMR(CDCl)δ -18.7.;Anal.calcd for C3420;C,72.08;H,5.67.found C,71.91;H,5.75.
【0222】
製造例3:1,2-ビス(ビス(2-メチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン
出発物質として1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(0.94g、3.36mmol)、及びo-メチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(26.6mL、0.80M、27.40mmol)を用いて、製造例1と同様にして反応させた。反応は60℃で終夜反応させた。精製後、白色粉末として標題化合物を得た(0.84g、収率50%)。
1H NMR (CDCl3) d 2.20 (brs, 12H), 6.74 (dd, J = 1.5, 7.8 Hz, 4H), 6.93 (dq, J = 3.6, 5.7 Hz, 2H), 7.00 (dt, J = 1.2, 7.5 Hz, 4H), 7.15 (dt, J = 1.2, 7.5 Hz, 4H), 7.17 (dq, J = 1.5, 7.8 Hz, 4H), 7.23 (dd, J = 3.6, 5.7 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3) d 21.1 (dd, J = 10.9 Hz, 4C), 125.7 (4C), 128.3 (4C), 129.1 (2C), 129.8 (dd, J = 2.3 Hz, 4C), 133.5 (4C), 133.8 (dd, J = 3.2 Hz, 2C), 135.3 (dd, J = 3.1 Hz, 4C), 142.6 (dd, J = 13.1 Hz, 4C), 142.8 (dd, J = 12.2 Hz, 2C); 31P NMR (CDCl3) d -28.5.
【0223】
製造例4:1,2-ビス(ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン
マグネシウム(1.07g、44.03mmol)及びTHF(30mL)に、アルゴン雰囲気下、3,5-ジメチルブロモベンゼン(5.54g、29.93mmol)を滴下した。反応液を周囲温度まで冷却し、濾過して得られる3,5-ジメチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液、及び1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(0.95g、3.39mmol)を用いて、製造例1と同様にして反応させた。反応は60℃で終夜反応させた。精製後、白色粉末として標題化合物を得た(1.45g、収率76%)。
H NMR(CDCl)δ 2.18(brs,24H),6.78(brs,8H),6.86(brs,4H),7.06-7.13(m,2H),7.24-7.26(m,2H);13C NMR(CDCl)δ 21.3(8C),128.7(2C),130.0(4C),131.6(dd,J=10.0、10.2Hz,8C),134.0(dd,2.9,3.2Hz,2C),137.0(dd,J=2.6Hz,4C),137.4(dd,J=3.7Hz,8C),144.1(dd,J=10.0,10.2Hz,2C);31P NMR(CDCl)δ -15.0.;Anal.calcd for C3816;C,81.69;H,7.22.found C,81.40;H,7.22.
【0224】
製造例5:1,2-ビス(ビス(3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン
マグネシウム(0.48g、19.75mmol)及びTHF(7mL)に、アルゴン雰囲気下、3,5-ジイソプロピルブロモベンゼン(3.04g、12.60mmol)を滴下した。滴下終了後、1時間加熱還流した。反応液を周囲温度まで冷却し、濾過して得られる3,5-ジイソプロピルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液、及び1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(0.45g、1.61mmol)を用いて、製造例1と同様にして反応させた。反応は60℃で終夜反応させた。精製後、黄色の油状物質として標題化合物を得た(1.18g、収率74%)。
H NMR(CDCl)δ 1.11(s,24H),1.14(s,24H),2.69-2.79(m,8H),6.86-6.89(m,8H),6.94(brs,12H),7.01-7.09(m,2H),7.22-7.26(m,2H);13C NMR(CDCl)δ 23.9(8C),24.0(8C),34.0(8C),124.4(4C),128.6(2C),129.4(dd,J=9.9Hz,8C),133.8(t,J=2.8,2.9Hz,2C),137.5(dd,J=2.9Hz,4C),144.6(dd,J=10.2,10.3Hz,2C),148.2(dd,J=3.2,3.4Hz,8C);31P NMR(CDCl)δ -12.8.
【0225】
製造例6:1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン
マグネシウム(1.70g、69.96mmol)及びTHF(50mL)に、アルゴン雰囲気下、3,5-ジターシャリブチルブロモベンゼン(12.50g、46.43mmol)を滴下した。滴下終了後、1時間加熱還流した。反応液を周囲温度まで冷却し、濾過しで得られる3,5-ジターシャリブチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液、及び1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(2.00g、7.15mmol)を用いて、製造例1と同様にして反応させた。反応は60℃で終夜反応させた。精製後、白色粉末として標題化合物を得た(4.66g、収率73%)。
H NMR(CDCl)δ 1.18(brs,72H),7.00-7.07(m,10H),7.21-7.24(m,2H),7.27-7.30(m,4H);13C NMR(CDCl)δ 31.4(24C),34.8(8C),121.9(4C),128.0(dd,J=10.0Hz,8C),128.5(2C),133.8(2C),137.0(dd,J=2.6Hz,4C),144.8(dd,J=10.0,10.2Hz,2C),150.0(dd,J=3.2,3.5Hz,8C);31P NMR(CDCl)δ -11.4.;Anal.calcd for C6288;C,83.17;H,9.91.found C,83.17;H,9.92.
【0226】
製造例7:1,2-ビス(ビス(3,5-ビス(2,6-ジメチルフェニル)フェニル
)ホスフィノ)ベンゼン
マグネシウム(0.28g、11.52mmol)及びTHF(10mL)に、アルゴン雰囲気下、1-ブロモ-3,5-ビス(2,6-ジメチルフェニル)ベンゼン(2.74g、7.50mmol)を滴下した。滴下終了後、1時間加熱還流した。反応液を周囲温度まで冷却し、濾過して得られる1-(3,5-ビス(2,6-ジメチルフェニル))マグネシウムブロミドのTHF溶液、及び1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(0.28g、1.00mmol)を用いて、製造例1と同様にして反応させた。反応は60℃で終夜反応させた。精製後、黄色粉末として標題化合物を得た(0.70g、収率62%)。
H NMR(CDCl)δ 1.90(brs,48H),6.66-7.51(m,40H);31P NMR(CDCl)δ -11.8.
【0227】
製造例8:1,2-ビス(ビス(3,5-ジトリメチルシリルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン
マグネシウム(0.31g、12.76mmol)及びTHF(7mL)に、アルゴン雰囲気下、3,5-ジトリメチルシリルブロモベンゼン(2.51g、8.33mmol)を滴下した。滴下終了後、40℃で、1.5時間加熱した。反応液を周囲温度まで冷却し、濾過して得られる3,5-ジトリメチルシリルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液、及び1,2-ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(0.37g、1.32mmol)を用いて、製造例1と同様にして反応させた。反応は60℃で終夜反応させた。精製後、白色粉末として標題化合物を得た(0.84g、収率62%)。
H NMR(CDCl)δ 0.13(brs,72H),7.03-7.09(m,2H),7.25-7.29(m,10H),7.54(brs,4H);13C NMR(CDCl)δ -1.1(24C),128.8(2C),133.9(2C),136.0(dd,J=4.0Hz,4C),137.8(4C),138.9(dd,J=2.3Hz,8C),139.1(dd,J=9.4,9.7Hz,8C),144.0(dd,J=10.0,10.1Hz,2C);31P NMR(CDCl)δ -13.7;Anal.calcd for C5488Si;C,63.34;H,8.66.found C,63.50;H,8.71.
【0228】
製造例9:1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン
本化合物はアルドリッチ社製の製品を用いた。CAS番号13991-08-7。
【0229】
製造例10:2,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)キノキサリン(DPP-Quinox)
【0230】
【化38】
JP0005622573B2_000039t.gif

【0231】
ジフェニルホスフィンのヘキサン溶液(22.3g、10wt%、16.06mmol)にn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(7.5mL、1.6M、12.00mmol)をアルゴン雰囲気下、-78℃で、10分かけて添加した。室温に昇温し、1時間撹拌後、2,3-ジクロロキノキサリン(0.79g、3.97mmol)をTHF(24mL)に溶かし、-78℃で、30分かけて添加した。室温に昇温し、3時間反応させた。
【0232】
反応混合物に、1N塩酸水溶液(30mL)を添加し、EtOAcを用いて水層を3回抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水を用いて洗浄した。合わせた有機抽出物中に含まれる水分を硫酸マグネシウムで除去し、濾過した。溶媒を減圧下に除去した後、得られる赤橙色固体をトルエンを用いて再結晶することで、橙色粉末として標題化合物を得た(0.89g、収率45%)。
H NMR(CDCl)δ 7.24-7.34(m,20H),7.63-7.66(m,2H),7.89-7.93(m,2H);13C NMR(CDCl)δ 128.1(dd,J=3.7,3.8Hz,8C),128.7(4C),129.7(2C),129.9(2C),134.6(dd,J=10.2,10.3Hz,8C),135.6(4C),142.2(2C),163.8(dd,J=9.2,10.2Hz,2C);31P NMR(CDCl)δ -10.7.;Anal.calcd for C3224;C,77.10;H,4.85;N,5.62.found C,77.32;H,4.94;N,5.57.
【0233】
製造例1~8で得られた化合物を表1に示す。
【0234】
【表1】
JP0005622573B2_000040t.gif

【0235】
実施例1
(1)塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2・L)
FeCl2・4H2O(0.22g、1.11mmol)及びエタノール(25mL)に、アルゴン雰囲気下、1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン(1.00g、1.12mmol)を添加した。以下の操作もアルゴン雰囲気下で行った。90℃で6時間反応させた。反応液を周囲温度まで冷却し、溶媒を減圧下に除去した。エタノールを用いて得られる白色粉末を3回洗浄し、濾過した後、減圧下で乾燥した。白色粉末として標題化合物を得た(0.70g、収率61%)。図1に該化合物のX線解析によって求められた構造(ORTEP)を示す。
H NMR(CO)δ -5.83(brs,6H),-1.19-2.56(brs,74H),4.54(brs,4H),7.08-7.76(m,2H),15.34(brs,2H);Anal.calcd for C6288ClFeP;C,72.86;H,8.68.found C,72.60;H,8.75.
【0236】
(2)塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2・L)
FeCl2(127mg、1.00mmol)及びTHF(10mL)に、アルゴン雰囲気下、1,2-ビス(ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン(586mg、1.05mmol)を添加した。以下の操作もアルゴン雰囲気下で行った。80℃で6時間反応させた。反応液を周囲温度まで冷却し、溶媒を減圧下に除去した。粗生成物をジクロロメタンに溶解させ,濾過し,溶媒を減圧下に除去した。ジエチルエーテルを用いて得られる茶白色粉末を3回洗浄し、減圧下で乾燥した。淡茶白色粉末として標題化合物を得た(365mg、収率53%)。図3に該化合物のX線解析によって求められた構造(ORTEP)を示す。
H NMR(CDCl)δ-5.62(brs,6H),-1.66(brs,26H),3.22(brs,2H),7.00(m,2H),14.92(brs,2H);Anal.calcd for C3840ClFeP;C,66.59;H,5.88.found C,66.17;H,5.87.
【0237】
実施例2:クロスカップリング反応
実施例1(1)で得られた塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2・L)、塩化鉄(FeCl)、及び1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン配位子(L)を用いて、ブロモシクロヘプタンとフェニルマグネシウムブロミドを、表2に記載の条件で反応させた。生成物及びその収率を表2に示す。また収率はGCから内部標準としてウンデカンを用いることで決定した。
【0238】
なお、FeCl2・L又はFeCl、及び必要に応じLを含むTHF溶液にブロモシクロヘプタンをアルゴン雰囲気下、0℃で添加した。さらにTHFを加え、反応容器の内壁をリンスした。混合物に、25℃で、シリンジポンプを用いフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を20分かけて滴下し、さらに25℃で10分攪拌し、反応させた。
【0239】
【表2】
JP0005622573B2_000041t.gif

【0240】
実施例3:クロスカップリング反応(配位子の影響)
製造例1~9で得られた配位子及び塩化鉄(FeCl)を用いて、ブロモシクロヘプタンとフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を、表3に記載の条件で反応させた。生成物及びその収率を表3に示す。また収率はGCから内部標準としてウンデカンを用いることで決定した。
【0241】
なお、FeCl、及び必要に応じ種々の配位子を含むTHF溶液にブロモシクロヘプタンをアルゴン雰囲気下、0℃で添加した。さらにTHFを加え、反応容器の内壁をリンスした。混合物に、25℃で、シリンジポンプを用いフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液を20分かけて滴下し、さらに25℃で10分攪拌し、反応させた。
【0242】
【表3】
JP0005622573B2_000042t.gif

【0243】
これによれば、エントリー7、8、9及び11では高収率かつ高い選択性でクロスカップリング化合物(2)が得られることが分かった。
【0244】
実施例4:クロスカップリング反応
[エントリー1]シクロへキシルベンゼンの調製
塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2・L)(2.5mg、2.5μmol)、1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン(L)(2.2mg、2.5μmol)及びブロモシクロヘキサン(81.5mg、0.5mmol)をアルゴン雰囲気下、0°Cで添加した。以下の操作もアルゴン雰囲気下で行った。THF(0.80mL)を加え、反応容器の内壁をリンスした。混合物に、25℃で、シリンジポンプを用いフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.77mL、0.97M、0.75mmol)を20分かけて滴下し反応させた。さらに25℃で10分攪拌し、反応混合物を0℃に冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液2.0mLを添加した。ヘキサンを用いて水層を4回抽出した。合わせた有機抽出物をフロリジルパッド(100-200メッシュ、ナカライテスク株式会社)を用いて濾過した。溶媒を減圧下に除去した後、内部標準としてピラジン(15.3mg、0.19mmol)を用いて、H NMR分析を実施した(収率97%)。
【0245】
[エントリー2]シクロへキシルベンゼンの調製
出発物質として、クロロシクロヘキサン(59.5mg、0.5mmol)及びフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.77mL、0.97M、0.75mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、2時間かけて滴下した。内部標準としてピラジン(19.4mg、0.24mmol)を用いて、H NMR分析を実施した(収率85%)。
【0246】
[エントリー3](2-メチルフェニル)シクロヘキサンの調製
出発物質として、ブロモシクロヘキサン(81.7mg、0.5mmol)及び2-メチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.94mL、0.80M、0.75mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、20分かけて滴下した。内部標準としてピラジン(13.2mg、0.16mmol)を用いて、H NMR分析を実施した(収率99%)。
【0247】
[エントリー4](3,4,5-トリフルオロフェニル)シクロヘキサンの調製
出発物質として、ブロモシクロヘキサン(81.5mg、0.5mmol)及び3,4,5-フェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.84mL、0.89M、0.75mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、20分かけて滴下した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ペンタン)後に、無色液体として、標題化合物を得た(0.207g、収率98%)。
H NMR(CDCl)δ 1.15-1.45(m,5H),1.72-1.86(m,5H),2.40-2.48(m,1H),6.74-6.85(m,2H),;13C NMR(CDCl)δ 25.9,26.5(2C),34.2(2C),43.9,110.5(dt,J=5.5、15.0Hz,2C),137.8(dt,J=15.5、246.4Hz),144.2(dt,J=4.9、6.7Hz),151.0(ddd,J=4.5、9.4、247.1Hz,2C).Anal.calcd for C1213C,67.28;H,6.12.found C,67.29;H,6.10.
【0248】
[エントリー5](4-メトキシフェニル)シクロヘキサンの調製
出発物質として、ブロモシクロヘキサン(81.8mg、0.5mmol)及び4-メトキシフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.85mL、0.88M、0.75mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;25℃、20分かけて滴下した。内部標準としてピラジン(19.0mg、0.24mmol)を用いて、H NMR分析を実施した(収率96%)。
【0249】
[エントリー6]デシルベンゼンの調製
出発物質として、1-ヨードデカン(134.1mg、0.5mmol)及びフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.77mL、0.97M、0.75mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、2時間かけて滴下した。内部標準としてピラジン(29.0mg、0.36mmol)を用いて、H NMR分析を実施した(収率71%)。
【0250】
[エントリー7]1-デシル-2,4,6-トリメチルベンゼンの調製
出発物質として、1-ヨードデカン(133.9mg、0.5mmol)及び2,4,6-トリメチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.66mL、1.14M、0.75mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、3時間かけて滴下した。薄層クロマトグラフィー(ヘキサン)後に、無色液体として、標題化合物を得た(0.121g、収率93%)。
1H NMR d 0.88 (t, J = 6.5 Hz, 3H), 1.27-1.40 (m, 16H), 2.24 (s, 3H), 2.28 (s, 6 H), 2.55 (t, J= 7.8 Hz, 3H), 6.82 (s, 2H); 13C NMR d 14.1, 19.7 (2C), 20.8, 22.7, 29.3 (2C), 29.4, 29.5, 29.6 (2C), 30.3, 31.9, 128.8 (2C), 134.7, 135.8 (2C), 136.7; Anal. calcd for C19H32C, 87.62; H, 12.38. found C, 87.39; H, 12.47.
【0251】
[エントリー8]1-デシル-2,4,6-トリメチルベンゼンの調製
出発物質として、1-ブロモデカン(110.8mg、0.5mmol)及び2,4,6-トリメチルフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(0.66mL、1.14M、0.75mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、3時間かけて滴下した。薄層クロマトグラフィー(ヘキサン)後に、無色液体として、標題化合物を得た(0.099g、収率76%)。
【0252】
[エントリー9]1-フェニルアダマンタンの調製
出発物質として、1-ブロモアダマンタン(215.4mg、1.0mmol)及びフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(1.55.mL、0.97M、1.50mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、3時間かけて滴下した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ペンタン)後に、白色固体として、標題化合物を得た(0.173g、収率81%)。
【0253】
[エントリー10]4-(4-ブロモフェネチル)-1-メトキシベンゼンの調製
出発物質として、4-ブロモフェネチルブロマイド(261.4mg、1.0mmol)及び4-メトキシフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(1.42mL、1.06M、1.5mmol)を用い、エントリー1と同様にして、反応させた。条件;40℃、3時間かけて滴下した。薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=92/8)後に、無色液体として、標題化合物を得た(0.226g、収率78%)。
1H NMR d 2.84 (brs, 4H), 3.79 (s, 3H), 6.79-6.84 (m, 2H), 6.99-7.08 (m, 4H), 7.36-7.40 (m, 2H); 13C NMR d 36.7, 37.5, 55.2, 113.7 (2C), 129.3 (2C), 130.3 (2C), 131.3 (2C), 133.3, 140.7, 157.9. Anal. calcd for C15H15BrO C, 61.87; H, 5.19. found C, 62.13; H, 5.27.
【0254】
【表4】
JP0005622573B2_000043t.gif

【0255】
表4より、エントリー1~10では、クロスカップリング化合物が高収率で得られることが分かった。しかも、エントリー5のように、芳香族マグネシウム試薬の芳香環上にフッ素原子を有する化合物でも極めて高い収率で反応が進行している点は特筆すべきである。
【0256】
実施例5:クロスカップリング反応(有機亜鉛試薬)
塩化亜鉛ZnCl2(81.8 mg, 0.60 mmol)のTHF0.6mlの溶液に、0℃にて、1.14 MフェニルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(1.05 mL, 1.2 mmol)、1,2-ビス(ビス(3,5-ジトリメチルシリルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン[3,5-(TMS)2]-DPPBz (4.5 mg, 50 μmol)、ブロモシクロヘプタン (88.7 mg, 0.50 mmol)、及びウンデカン(46.9 mg, 0.30 mmol)を加えた。10分後、同温にて、0.10 M FeCl3 のTHF (50.0 μL, 50 μmol)溶液を加えた。カップリング反応は、50℃で5時間実施した。室温まで冷却後、反応液の一部を取り出して、内部標準としてウンデカンを用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)により生成物の収率を測定した。その結果を、表5のエントリー4に示す。
【0257】
エントリー1は配位子を用いないこと以外は、上記と同様の方法により反応させた。
【0258】
エントリー2及び3は、配位子としてそれぞれ、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(DPPBz)及び1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン([3,5-(t-Bu)2)]-DPPBz)を用いたこと以外は、上記と同様の方法により反応させた。
【0259】
【表5】
JP0005622573B2_000044t.gif

【0260】
実施例6:クロスカップリング反応(有機ホウ素試薬)
フェニルボロン酸ピナコールエステル(204.1 mg, 1.0 mmol)のTHF2.5 ml溶液に、-40℃にて、1.62 M t-BuLi in pentane (0.58 ml, 0.95 mmol) のTHF溶液を加えた。反応液を-40℃で30分撹拌した後、0℃で30分撹拌した。0℃減圧下で溶媒を除去した。残ったリチウムt-ブチルボレートの白色結晶を0℃でTHF 1.5mlに溶解した。得られたリチウムt-ブチルボレートの溶液に、ウンデカン(51.1 mg, 0.33 mmol)、ブロモシクロヘプタン (66.9 mg, 0.50 mmol)、0.10 M マグネシウムブロマイド MgBr2 のTHF溶液(1.00 mL, 0.10 mmol)、1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン([3,5-(t-Bu)2]DPPBz) (22.4 mg, 0.025 mmol, 5.00 mol%)、及び0.10 M 塩化鉄 FeCl3 のTHF溶液(250 μL, 0.025 mmol, 5.00 mol%)を加えた。カップリング反応を60℃で3時間行った。室温まで冷却後、反応液の一部を取り出して、内部標準としてウンデカンを用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)により生成物の収率を測定した。収率は95%であった。その結果を、表6のエントリー7に示す。
【0261】
エントリー1は配位子を用いないこと以外は、上記と同様の方法により反応させた。
【0262】
エントリー2及び3は、配位子[3,5-(t-Bu)2]DPPBzに代えて、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン(DPPBz)を用い、それぞれブロモシクロヘプタンに対し5 mol%及び10 mol%用いること以外は、上記と同様の方法により反応させた。
【0263】
エントリー4は、配位子[3,5-(t-Bu)2]-DPPBzに代えて、1,2-ビス(ビス(4-メトキシフェニル)ホスフィノ)ベンゼン([4-MeO]-DPPBz)を用いること以外は、上記と同様の方法により反応させた。
【0264】
エントリー5及び6は、配位子[3,5-(t-Bu)2]-DPPBzに代えて、1,2-ビス(ビス(3,5-ジトリメチルシリルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン([3,5-(TMS)2]-DPPBz)を用い、それぞれブロモシクロヘプタンに対し5 mol%及び10 mol%用いること以外は、上記と同様の方法により反応させた。
【0265】
エントリー8は、配位子[3,5-(t-Bu)2]-DPPBz を、ブロモシクロヘプタンに対し10 mol%用いること以外は、上記と同様の方法により反応させた。
【0266】
【表6】
JP0005622573B2_000045t.gif

【0267】
実施例7:クロスカップリング反応(有機ホウ素試薬)
フェニルボロン酸ピナコールエステルのTHF溶液に、0℃にて1当量のt-BuLi(1.62 M in pentane)を加えた。反応液を0℃で30分撹拌した後、減圧下で溶媒を除去した。残ったリチウムt-ブチルボレートの白色結晶をTHFに溶解し、THF/ヘキサンで再結晶した。得られた白色結晶を集めて、アルゴン雰囲気下でTHFに溶解した。この溶液は、分解することなく0℃で数週間保存することができる。濃度は、内部標準としてメシチレンを用いてNMRで決定した。
【0268】
0.73 Mリチウムt-ブチルボレートのTHF溶液(1.40 mL, 1.0 mmol)に、0℃にて、ウンデカン(30.3 mg, 0.19 mmol)、ブロモシクロヘプタン(67.6 mg, 0.51 mmol)、0.100 M 無水マグネシウムブロマイド MgBr2のTHF溶液 (1.00 ml, 0.10 mmol)、及び塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2 ・[3,5-(t-Bu)2)]-DPPBz complex) (250 μL, 0.025 mmol, 5.00 mol%)を加えた。カップリング反応を60℃で3時間行った。室温まで冷却後、反応液の一部を取り出して、内部標準としてウンデカンを用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)により生成物の収率を測定した。その結果を、表7のエントリー2に示す。
【0269】
エントリー1は、塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2 ・[3,5-(t-Bu)2]]-DPPBz complex)に代えて、塩化鉄・[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン]錯体(FeCl2・L2)を用いること以外、上記と同様の方法により反応させた。
【0270】
【表7】
JP0005622573B2_000046t.gif

【0271】
実施例8:クロスカップリング反応(有機ホウ素試薬)
4-メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステル(351.2 mg, 1.5 mmol)のTHF5.0 ml溶液に、-40℃にて、1.80 M t-BuLi in pentane (0.78 ml, 1.40 mmol)を加えた。反応液を-40℃で30分撹拌した後、0℃で30分撹拌した。0℃で減圧下に溶媒を除去した。残ったリチウムt-ブチルボレートの白色結晶を0℃でTHF 2.4mlに溶解した。得られたリチウムt-ブチルボレートの溶液に、ウンデカン(66.2 mg, 0.42 mmol)、ブロモシクロヘプタン (178.2 mg, 1.01 mmol)、0.10 M マグネシウムブロマイド MgBr2 のTHF溶液(2.00 mL, 0.20 mmol)、塩化鉄・1,2-ビス(ビス(3,5-トリメチルシリルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン錯体(FeCl2 ・[3,5-(t-Bu)2])-DPPBz complex)のTHF溶液(0.60 ml, 0.030 mmol, 3.00 mol%)を加えた。カップリング反応を40℃で3時間行った。反応混合物を0℃に冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液2.0mLを添加した。ジエチルエーテルを用いて水層を5回抽出した。合わせた有機抽出物をフロリジルパッド(100-200メッシュ、ナカライテスク株式会社)を用いて濾過した。薄層クロマトグラフィー(ヘキサン)後に、無色液体として、(4-メトキシフェニル)シクロヘプタンを得た(0.199g、収率97%)。
【0272】
【化39】
JP0005622573B2_000047t.gif

【0273】
実施例9:クロスカップリング反応(有機ホウ素試薬)
出発物質として、ブロモシクロヘプタン(89.2 mg、0.50mmol)及び3,4,5-トリフルオロフェニルボロン酸ピナコールエステル(193.5 mg、0.75 mmol)を用い、-78℃にて、1.80 M t-BuLi in pentane (0.39 ml, 0.70 mmol)を加えたこと以外は実施例8と同様に反応させた。内部標準としてピラジン(11.7 mg、0.15 mmol)を用いて、H NMR分析を実施した(収率94%)。
【0274】
【化40】
JP0005622573B2_000048t.gif

【0275】
実施例10:クロスカップリング反応(有機アルミニウム試薬)
塩化アルミニウムAlCl3 (80.0 mg, 0.60 mmol)のTHF 0.6 mL溶液に、0℃にて、1.64 M フェニルマグネシウムクロライドのTHF溶液(1.10 mL, 2.40 mmol)を加えた。反応液を室温で1時間撹拌した。得られた溶液に、0℃にて、1,2-ビス(ビス(3,5-ジターシャリブチルフェニル)ホスフィノ)ベンゼン([3,5-(t-Bu)2])-DPPBz) (13.4 mg, 0.015 mmol)、0.1 M 塩化鉄FeCl3 のTHF溶液 (0.15 mL, 0.015 mmol)を加え、次にクロロシクロヘプタン (66.3 mg, 0.5 mmol)を加えた。カップリング反応は80℃で24時間行った。室温まで冷却後、反応液の一部を取り出して、内部標準としてウンデカンを用いて、ガスクロマトグラフィー(GC)により生成物の収率を測定した。収率は94%であった。その結果を、表8のエントリー5に示す。
【0276】
【表8】
JP0005622573B2_000049t.gif

【0277】
実施例11:クロスカップリング反応(有機アルミニウム試薬)
実施例10のエントリー5と同様に反応して、下記の反応を行った。エントリー1及び2の収率は、内部標準として1,1,2,2,-テトラクロロエタンを用いて1H-NMRより測定した。エントリー3の収率は、内部標準としてピラジン(Pyrazine)を用いて1H-NMRより測定した。
【0278】
【表9】
JP0005622573B2_000050t.gif

【0279】
実施例12;クロスカップリング反応(有機アルミニウム試薬)
実施例10のエントリー5と同様に反応して、下記の反応を行った。エントリー1及び2の収率は、内部標準として1,1,2,2,-テトラクロロエタンを用いて1H-NMRより測定した。エントリー3の収率は、カラムクロマトグラフィー後、目的化合物を単離することで得た。
【0280】
【表10】
JP0005622573B2_000051t.gif
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3