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明細書 :関節トルク発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6020787号 (P6020787)
公開番号 特開2013-091151 (P2013-091151A)
登録日 平成28年10月14日(2016.10.14)
発行日 平成28年11月2日(2016.11.2)
公開日 平成25年5月16日(2013.5.16)
発明の名称または考案の名称 関節トルク発生装置
国際特許分類 B25J  11/00        (2006.01)
FI B25J 11/00 Z
請求項の数または発明の数 8
全頁数 7
出願番号 特願2012-001104 (P2012-001104)
出願日 平成24年1月6日(2012.1.6)
優先権出願番号 2011220359
優先日 平成23年10月4日(2011.10.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年11月25日(2014.11.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】佐野 明人
審査官 【審査官】中田 善邦
参考文献・文献 特開2009-023828(JP,A)
特表昭58-501108(JP,A)
特開2003-103480(JP,A)
特開2011-087926(JP,A)
特開平02-084954(JP,A)
特開2009-232999(JP,A)
実開平04-083318(JP,U)
岩月和輝 岩月和輝 Kazuki IWATSUKI Kazuki IWATSUKI,アシスト受動歩行による歩行支援に関する基礎的研究 Basic Study of Walk-assist by Human-assisted Passive Walking,第28回日本ロボット学会学術講演会予稿集DVD-ROM 2010年 The 28th Annual Conference of the Robotics Society of Japan,日本
調査した分野 B25J1/00-21/02,
A61H1/00-3/00,
A61F2/00,2/02-2/80,3/00-4/00
特許請求の範囲 【請求項1】
腰軸と、レバーと、大腿部と、トルク発生機構と、を備えた受動的な脚であって、
前記レバーと前記大腿部は前記腰軸を介して相対的に回転し、
前記トルク発生機構は、バネとカムの組合せにより前記腰軸まわりに関節トルクを発生させ
前記レバーが操作されることにより、前記カムの形状と前記バネのバネ係数であらかじめ定められたトルク特性に従って、前記大腿部の同じ姿勢における前記関節トルクが、前記レバーの操作の分だけシフトされることを特徴とする関節トルク発生装置。
【請求項2】
前記大腿部の角度に対して前記関節トルクが非線形に変化するように前記カムの形状が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の関節トルク発生装置。
【請求項3】
前記関節トルクの値を、前記大腿部の角度の関数とすると、前記関数の2階微分が、ある角度では正になり、別の角度では負になることを特徴とする請求項2に記載の関節トルク発生装置。
【請求項4】
前記大腿部がある角度のときに前記関節トルクがゼロとなるように前記カムの形状が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の関節トルク発生装置。
【請求項5】
前記レバーを人の手が操作することにより、前記大腿部の前記所定角度における前記関節トルクを、前記レバーの操作の分だけシフトできることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の関節トルク発生装置。
【請求項6】
前記トルク発生機構では前記バネがローラ付きシャフトを介して前記カムに圧接すると、前記関節トルクが発生することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の関節トルク発生装置。
【請求項7】
前記トルク発生機構は、前記バネと前記ローラ付きシャフトを収めたハウジングが前記大腿部に固定され、前記カムが前記腰軸に固定されることを特徴とする請求項に記載の関節トルク発生装置。
【請求項8】
前記トルク発生機構は、前記バネと前記ローラ付きシャフトを収めたハウジングが前記腰軸に固定され、前記カムが前記大腿部に固定されることを特徴とする請求項に記載の関節トルク発生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、受動的な脚の腰関節の関節トルク発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、受動歩行機が注目されている。受動歩行機は、動力モータやセンサを持たず、制御を一切行わず緩やかな下り坂を歩くことができる。重力効果のみによって、遊脚膝が自然に曲がり、脚の振り抜きが行われる。受動歩行は、自然でエネルギー効率が高いことで知られ、人の歩行に近いとも言われる。
非特許文献1には、人が2脚受動歩行機をアシストすることで平地歩行を実現し、脚式運搬および歩行支援への応用が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】佐野明人,田部井聡,岩月和輝,太田直幸,池俣吉人,藤本英雄:「アシスト受動歩行によるマルチロール歩行機の開発(1)-脚式運搬,歩行支援およびWalkerTrial-」,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2010講演論文集,1A2-A12,2010年
【非特許文献2】佐野明人,林祐史,サッチャポン クリッタナイ,松田諭,池俣吉人,藤本英雄:「アシスト受動歩行によるマルチロール歩行機の開発(2)-上体および人間形外装-」,日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2010講演論文集,1A2-A13,2010年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載の受動歩行機の関節は自由回転で、直接的にトルクを発生させることはできない。たとえば、非特許文献2のように上体と大腿部の間に弾性体を配置することでトルクを発生させることができるが、そのトルク特性はほぼ線形に限られる。非線形なトルク特性を発生させるためには、機構が大掛かりで複雑になる。
本発明は、非線形も含めたトルク特性を容易に設計でき、さらに人の操作によって、脚の位置に対する発生トルクを動作中に調整可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、腰軸と、レバーと、大腿部と、トルク発生機構と、を備えた受動的な脚であって、前記レバーと前記大腿部は前記腰軸を介して相対的に回転し、前記トルク発生機構は、バネとカムの組合せにより前記腰軸まわりに関節トルクを発生させ、前記レバーが操作されることにより、前記カムの形状と前記バネのバネ係数であらかじめ定められたトルク特性に従って、前記大腿部の同じ姿勢における前記関節トルクが、前記レバーの操作の分だけシフトされることを特徴とする関節トルク発生装置である。
これによれば、脚の振り運動をより望ましい動きにする関節トルクを発生させることができる。たとえば、歩行支援をする場合、被支援者の脚の動きを補助する動きを実現できる。また、不整地等で運搬をする場合は、脚の振りを強くして、草などの障害物に妨げられることなく、足を前方に接地させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態に係る脚式運搬機用の関節トルク発生装置の構成を示す図である。
【図2】関節トルク発生装置の詳細な構成を示す図である。
【図3】カム形状を示す図である。
【図4】トルク特性を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る両脚式歩行支援機用の関節トルク発生装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る片脚式歩行支援機用の関節トルク発生装置の構成を示す図である。
【図7】使用者に片脚式歩行支援機を装着した様子を示す図である。
【図8】レバーを反対側に延長した場合を示す図である。
【図9】レバーを後方に延長した場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1に、本発明の一実施形態における脚式運搬機用の関節トルク発生装置の構成を示す。この図では、受動歩行機1に関節トルク発生装置2および運搬カゴ4を備えた状態を示す。前記は、レバー3、腰軸1c、大腿部1a、トルク発生機構2から成っている。

【0008】
図2は、関節トルク発生装置の詳細な構成を示す。前記トルク発生機構2はバネ2a、ローラ付きシャフト2b、カム2cから成っている。バネ2aは圧縮バネであり、ローラ付きシャフト2bを介してカム2cに圧接する。バネ2aとローラ付きシャフト2bを収めたハウジング2dが大腿部に固定され、カム2cが腰軸に固定される。なお、ハウジング2dが腰軸に固定され、カム2cが大腿部に固定されても良い。

【0009】
この接触力(圧接力)により、腰軸まわりにトルクが発生する。前記関節トルクはカム2cの形状およびバネ2aのバネ係数から決まる。カムの形状によって、非線形のトルク特性を生成することができる。たとえば、図3に示すカム形状とすることで、図4に示すような非線形なトルク特性を実現できる。

【0010】
腰軸1cに固定されたレバー3と大腿部1aの相対的な角度によりトルク特性が決まっている。使用者が、絶対座標系においてレバー3をある位置、たとえば水平位置に固定した状態で大腿部1aが鉛直の場合、あるトルクが発生する。ここで、レバー3を水平位置から所定の角度上げると、カム形状とバネ係数であらかじめ定められたトルク特性において、当該の角度分だけ発生トルクがシフトし、大腿部1aが同じ鉛直でも異なるトルクが発生する。これにより、たとえば、より高トルク域で使用することが可能となり,より強く脚を振り出すことができる。

【0011】
図5に、本発明の一実施形態における両脚式歩行支援機用の関節トルク発生装置の構成を示す。この図では、受動歩行機1の脚の間隔を人(被支援者)が間に入れる程度に広げ、腰軸1cと大腿部1aの位置で、被支援者と連結する装着具5を備えた状態を示す。

【0012】
図6は、1組の大腿部および下腿部から成る片脚式歩行支援機である。図7は、この片脚式歩行支援機を肩ベルト6を使って使用者7の肩から下げた状態を示す。レバー3は同側に配置され,当該側の手により操作する。図8では、レバー3を反対側まで延長し、当該側の手により操作する。図9では、レバーを後方まで延長する。この場合は、別の人間が後方から当該レバーを操作する。

【0013】
本実施形態に係るトルク発生装置は、モータなどの動力源を持たないことから、非常に安全であり、コストを抑えることができる。また、歩行中に発生トルクをシフトすることが可能であり、歩行状態に応じて好ましい脚の振りを実現することができる。
なお、本開示は、以下のような発明も包含する。
(発明1)受動的な脚であって、腰軸を介して相対的に回転するレバーと大腿部、バネとカムの組合せにより前記腰軸まわりに関節トルクを発生させるためのトルク発生機構を有することを特徴とする関節トルク発生装置。
(発明2)前記トルク発生機構は、バネがローラ付きシャフトを介してカムに圧接すると、前記関節トルクが発生することを特徴とする発明1に記載の関節トルク発生装置。
(発明3)前記トルク発生機構は、バネとローラ付きシャフトを収めたハウジングが大腿部に固定され,カムが腰軸に固定されることを特徴とする発明2に記載の関節トルク発生装置。
(発明4)前記トルク発生機構は、バネとローラ付きシャフトを収めたハウジングが腰軸に固定され,カムが大腿部に固定されることを特徴とする発明2に記載の関節トルク発生装置。
(発明5)前記レバーを人が操作することにより、大腿部の絶対角度における発生トルクを可変にできることを特徴とする発明1~4のいずれか1つに記載の関節トルク発生装置。
【符号の説明】
【0014】
1 2脚受動歩行機
1a 大腿部
1b 下腿部
1c 腰軸
2 トルク発生機構
2a バネ
2b ローラ付きシャフト
2c カム
2d ハウジング
3 レバー
4 運搬カゴ
5 装着具
6 肩ベルト
7 使用者
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8