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明細書 :金型製造方法およびその方法により形成された金型

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5665169号 (P5665169)
公開番号 特開2011-194720 (P2011-194720A)
登録日 平成26年12月19日(2014.12.19)
発行日 平成27年2月4日(2015.2.4)
公開日 平成23年10月6日(2011.10.6)
発明の名称または考案の名称 金型製造方法およびその方法により形成された金型
国際特許分類 B29C  33/38        (2006.01)
B29C  59/02        (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
FI B29C 33/38
B29C 59/02 ZNMB
H01L 21/30 502D
請求項の数または発明の数 7
全頁数 11
出願番号 特願2010-064194 (P2010-064194)
出願日 平成22年3月19日(2010.3.19)
審査請求日 平成25年2月28日(2013.2.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
発明者または考案者 【氏名】本間 敬之
【氏名】斎藤 美紀子
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100137800、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 正義
【識別番号】100148253、【弁理士】、【氏名又は名称】今枝 弘充
【識別番号】100148079、【弁理士】、【氏名又は名称】梅村 裕明
【識別番号】100125081、【弁理士】、【氏名又は名称】小合 宗一
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
審査官 【審査官】深谷 陽子
参考文献・文献 特開2007-226887(JP,A)
特開2008-068612(JP,A)
特開2009-184117(JP,A)
特開2005-345649(JP,A)
特開昭63-253551(JP,A)
特開2007-172712(JP,A)
調査した分野 B29C 33/00-33/76
B29C 59/00-59/18
H01L 21/027
特許請求の範囲 【請求項1】
微細構造を有した無機薄膜上に金属膜を形成し、前記金属膜を前記無機薄膜から分離して金型を形成する金型製造方法において、
前記無機薄膜上に、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(TAS)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)及びメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)から選ばれるシランカップリング剤を含有する自己組織化膜を形成するステップと、
前記自己組織化膜上に通電層を形成する通電層形成ステップと
前記通電層上に前記金属膜を形成するステップと
を有することを特徴とする金型製造方法。
【請求項2】
前記通電層形成ステップは、
前記自己組織化膜上に金属イオン層を形成するステップと、
前記金属イオン層を還元溶液に浸漬させ還元させるステップと、
前記金属イオン層上に薄膜めっき層を形成するステップと
を有することを特徴とする請求項1記載の金型製造方法。
【請求項3】
前記金属イオン層は、Au、Pd、Ag、Pt、Bi、Pbのいずれか1以上を含む溶液に前記無機薄膜上に形成した前記自己組織化膜を浸漬させることより形成されることを特徴とする請求項2記載の金型製造方法。
【請求項4】
微細構造を有した無機薄膜上に金属膜を形成し、前記金属膜を前記無機薄膜から分離して形成される金型において、
前記無機薄膜上に、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(TAS)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)及びメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)から選ばれるシランカップリング剤を含有する自己組織化膜を形成し、
前記自己組織化膜上に金属イオン層を有する通電層を形成し、
前記通電層上に電解めっきにより金属膜を形成した
ことを特徴とする金型。
【請求項5】
前記通電層は、前記金属イオン層上に無電解Niめっきにより形成した薄膜めっき層を有することを特徴とする請求項4記載の金型。
【請求項6】
前記金属膜は、電解Niめっきにより形成されたことを特徴とする請求項4または5記載の金型。
【請求項7】
前記金属膜と前記無機薄膜との密着力が10MPa~50MPaであることを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の金型。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金型製造方法およびその方法により形成された金型に関し、特に微細構造を有する金型に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の金型作製方法を図12に示す。ガラス基板またはSi基板100にレジストを塗布し、紫外線、電子線、X線などを用い、レジストにパターン101を形成する。この上に通電層102をスパッタリング法用い、形成する(例えば、特許文献1)。次いで、通電層102上にNiめっきを施して金属膜103を形成し、当該金属膜103を離型して金型104を得る。
【0003】
上記従来の方法によれば、サブミクロンレベルの微細構造であれば、ホールへのめっきの埋め込みなど支障なく行うことができる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2007-172712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さらなる高密度、高機能化への対応として、より微細なナノサイズの微細構造、3次元構造の形状とするため、微細パターンを形成することが必要とされるが、従来の方法ではホールへのめっきの埋め込みができないなどの問題が生じていた。
【0006】
また、3次元構造では通電層をスパッタ法で形成した場合にはカバレッジ不足により通電層の形成が難しい状況であった。
【0007】
そこで、本発明は、ナノサイズの微細構造を有する金型を容易に製造することができる金型製造方法およびその方法により形成された金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る発明は、微細構造を有した無機薄膜上に金属膜を形成し、前記金属膜を前記無機薄膜から分離して金型を形成する金型製造方法において、前記無機薄膜上にアミノ基、メルカプト基、チオール基、ジスルフィド基、シアノ基、ハロゲン基、スルフォン酸基の1つ以上を含む官能基を有するシランカップリング剤を含有する自己組織化膜を形成するステップと、前記自己組織化膜上に通電層を形成する通電層形成ステップと前記通電層上に前記金属膜を形成するステップとを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に係る発明は、前記通電層形成ステップは、前記自己組織化膜上に金属イオン層を形成するステップと、前記金属イオン層を還元溶液に浸漬させ還元させるステップと、前記金属イオン層上に薄膜めっき層を形成するステップとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に係る発明は、前記金属イオン層は、Au、Pd、Ag、Pt、Bi、Pbのいずれか1以上を含む溶液に前記無機薄膜上に形成した前記自己組織化膜を浸漬させることより形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に係る発明は、微細構造を有した無機薄膜上に金属膜を形成し、前記金属膜を前記無機薄膜から分離して形成される金型において、前記無機薄膜上にアミノ基、メルカプト基、チオール基、ジスルフィド基、シアノ基、ハロゲン基、スルフォン酸基の1つ以上を含む官能基を有するシランカップリング剤を含有する自己組織化膜を形成し、前記自己組織化膜上に金属イオン層を有する通電層を形成し、前記通電層上に電解めっきにより金属膜を形成したことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5に係る発明は、前記通電層は、前記金属イオン層上に無電解Niめっきにより形成した薄膜めっき層を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に係る発明は、前記金属膜は、電解Niめっきにより形成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に係る発明は、前記金属膜と前記無機薄膜との密着力が10MPa~50MPaであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ナノサイズの微細構造を有する金型を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る金型製造方法において金属膜を形成した状態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る金型製造方法を段階的に示す断面図であり、無機薄膜上にパターンを形成した状態を示す図である。
【図3】本発明に係る金型製造方法を段階的に示す断面図であり、パターン上に自己組織化膜を形成した状態を示す図である。
【図4】本発明に係る金型製造方法を段階的に示す断面図であり、自己組織化膜上に通電層を形成した状態を示す図である。
【図5】吸着モデルを示す断面図である。
【図6】本発明に係る金型製造方法を段階的に示す断面図であり、通電層上に金属膜を形成した状態を示す図である。
【図7】本発明に係る金型製造方法を段階的に示す断面図であり、離型処理により形成された金型を示す図である。
【図8】本発明に係る実施例1に係る結果を示す電子顕微鏡写真であり、(A)通電層を分離した後のSi酸化膜表面、(B)Si酸化膜表面から分離して得られた金型表面を示す図である。
【図9】本発明に係る実施例2において密着力の測定に用いた測定装置の概略構成を示す図である。
【図10】本実施例において圧子を押し当てられた金属膜が無機薄膜から分離する様子を模式的に示す図である。
【図11】本実施例の結果を示す図であり、金属膜の厚さと密着力との関係を示すグラフである。
【図12】従来の金型製造方法を段階的に示す断面図であり、(A)基板上にパターンを形成した状態、(B)パターン上に通電層を形成した状態、(C)Niめっき層を形成した状態、(D)離型処理によりNiめっき層を分離した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
(製造方法)
本発明に係る金型製造方法は、図1に示すように、ナノサイズの微細なパターンを有する無機薄膜1上に自己組織化単分子膜(SAM: Self-Assembled Monolayer、以下「自己組織化膜」という。)2を形成することにより、通電層3を前記パターン上に均一に形成することができ、これにより、パターンにめっきをより確実に埋め込んで金属膜4を形成し、ナノサイズの微細構造を有する金型5を容易に製造することができる。この場合、通電層3は、金属膜4を形成する電解めっきを行う際の電極となる。

【0018】
図2に示すように、金型製造方法では、まず、無機薄膜1にナノサイズのパターンを形成する。本実施形態の場合、パターンは、凹凸からなる二次元構造のものを例示している。パターンを形成する方法は、特に限定されるものではなく、公知技術を用いることができる。本実施形態の場合、無機薄膜1は、Si基板6の表面に形成したSi酸化膜からなる。この無機薄膜1にレジストを塗布して、マスクを用いて所定パターンに紫外線、電子線、X線などを露光し、ドライエッチングを用いて上記パターンを形成する。

【0019】
次いで、図3に示すように、金型製造方法では、無機薄膜1上に自己組織化膜2を成長させる。自己組織化膜2は、アミノ基、メルカプト基、チオール基、ジスルフィド基、シアノ基、ハロゲン基、スルフォン酸基の1つ以上を含む官能基を有するシランカップリング剤からなる単分子膜で構成されている。

【0020】
自己組織化膜2は、上記シランカップリング剤を含有する第1の溶液を用い、液相成長によってあるいは気相成長によって、無機薄膜1表面に化学吸着することにより形成される。液相成長の場合は、自己組織化膜1を形成したSi基板6を前記第1の溶液に浸漬させて形成することができる。また、気相成長の場合は、前記第1の溶液を蒸発させて得た蒸気をSi基板6に形成した自己組織化膜1にあてることにより形成することができる。

【0021】
第1の溶液は、例えば、シランカップリング剤として化1に示す3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)を10%含んだトルエン溶液を60度に加温した溶液を適用することができる。自己組織化膜2は、無機薄膜1表面に化学吸着した官能基とは反対側にもう一つ末端官能基を有する。自己組織化膜2は、アルキル基のファンデルワールス力により分子の配列間隔が決定される。

【0022】
【化1】
JP0005665169B2_000002t.gif

【0023】
また、シランカップリング剤としては、化2に示すメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)や、化3に示す3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(TAS)などを適用することができる。

【0024】
【化2】
JP0005665169B2_000003t.gif

【0025】
【化3】
JP0005665169B2_000004t.gif

【0026】
次いで、図4に示すように、金型製造方法では、自己組織化膜2上に通電層3を形成する。通電層3は、図示しないが、自己組織化膜2上に形成される金属イオン層と、当該金属イオン層上に形成される薄膜めっき層とを有する。金属イオン層は、Au、Pd、Ag、Pt、Bi、Pbの1種以上を含有する第2の溶液に無機薄膜1上に形成した自己組織化膜2を浸漬させことより形成される。この場合、第2の溶液に含有される金属イオンは、自己組織化膜2の末端官能基に化学吸着する。第2の溶液に用いられる溶媒としては、例えば、希塩酸、希硝酸、希硫酸などが挙げられる。

【0027】
例えば、シランカップリング剤としてメルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)を用いた場合、無機薄膜1としてのSi酸化膜表面に対し、自己組織化膜2は、図5に示すように化学吸着により形成される。また、自己組織化膜2の表面には、金属イオン(本図では、Au)が吸着することにより金属イオン層が形成される。

【0028】
上記のようにして形成された金属イオン層を核として、薄膜めっき層は弱酸性のめっき浴を用いて、無電解めっきにより形成される。薄膜めっき層は、種々の金属を適用することができるが、例えば、Ni,Co,Pt,Sn,Au,Cuなどで形成することができる。

【0029】
なお、金属イオン層を形成した後、薄膜めっき層を形成する前に、金属イオン層の表面を還元溶液に浸漬し、酸化した金属イオン層を還元させることが、薄膜めっき層を確実に形成する上でより好ましい。

【0030】
次いで、図6に示すように、金型製造方法では、通電層3上に金属膜4を電解めっきにより形成する。この金属膜4は、公知の方法により形成することができる。例えば、電解Niめっきを適用することができる。

【0031】
最後に、図7に示すように、金型製造方法では、通電層3と無機薄膜1とを分離することにより、通電層3と金属膜4からなる金型5を得ることができる。この場合、無機薄膜1と通電層3との間の密着力が10MPa以上50MPa以下であることが好ましい。密着力が10MPa未満では製造工程中、例えば通電層を形成中に部分的に剥がれが発生し、不良となる。一方、密着力が50MPa超では離型が困難であって、場合によって金属膜が損傷し、不良となる。

【0032】
(作用および効果)
本発明に係る金型製造方法では、シランカップリング剤で構成された自己組織化膜2をナノサイズのパターンを有する無機薄膜1上に形成したことにより、当該パターン上に通電層3を均一に形成することができる。したがって、前記通電層3を電極として電解めっきによりナノサイズのパターンにめっきをより確実に埋め込むことができるので、ナノサイズの微細構造を有する金型を容易に製造することができる。

【0033】
また、通電層3は、金属イオン層と薄膜めっき層とを有することにより、金属膜4を電解めっきにより形成する際に必要となる電極をより確実に形成することができる。

【0034】
なお、自己組織化膜2に対する金属イオン層の化学吸着は、自己組織化膜2の末端官能基の全てに金属イオンが吸着するとそれ以上吸着反応が起こらないため、金属イオン層の成長が停止する。したがって、通常、電解めっきの電極に必要な厚さを確保するため、金属イオン層上に薄膜めっきを形成することが好ましいが、金属イオン層を電解めっきの電極に必要な厚さまで成長させることができる場合、通電層3は、薄膜めっき層を省略して金属イオン層のみで構成することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例について説明する。
(実施例1)
まず、Si基板上に形成した無機薄膜としてのSi酸化膜にナノサイズのパターンを形成した。Si基板は、1インチのウェーハを用いた。また、形成したパターンのサイズは、直径200nmである。
【実施例】
【0036】
次いで、上記パターン上に自己組織化膜を液相成長により形成した。本実施例では、第1溶液としてシランカップリング剤を1wt.%含んだトルエン溶液を60℃に加温した溶液に10分間浸漬して自己組織化膜を形成した。シランカップリング剤として、3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(TAS)を用いた。
【実施例】
【0037】
次いで、通電層として、金属イオン層と、薄膜めっき層とを順に形成した。金属イオン層は、第2溶液としてPdを含む溶液に自己組織化膜を形成したSi基板を1分間浸漬して形成した。溶媒には、希塩酸を用いた。なお、第2溶液におけるPd濃度は、1mMである。
【実施例】
【0038】
薄膜めっき層は、表1に示す無電解Niめっき浴に金属イオン層を形成したSi基板を5分間浸漬して無電解Niめっきにより形成した。
【実施例】
【0039】
【表1】
JP0005665169B2_000005t.gif
【実施例】
【0040】
このように形成した通電層を形成したSi基板を電解Niめっき浴に浸漬し、通電層に通電して厚さ300μm程度の金属膜を形成した。そして、通電層とSi酸化膜との間で分離して金型を得た。その結果を図8に示す。本図(B)に示すように、本実施例に係る金型製造方法においてナノサイズの微細構造が金型に再現できることを確認できた。
【実施例】
【0041】
また、シランカップリング剤として、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMS)、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)を用いても同様に金属膜を形成できることを確認した。
【実施例】
【0042】
以上より、本発明に係る金型製造方法では、シランカップリング剤で構成される自己組織化膜上に通電層を形成することにより、ナノサイズの微細構造を有する金型を製造できることが確認できた。
【実施例】
【0043】
(実施例2)
次に無機薄膜と通電層との間の密着力について確認した。シランカップリング剤として3-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン(TAS)を用いて自己組織化膜をSi基板上に形成し、当該自己組織化膜上にPdの金属イオン層を形成し、さらに当該金属イオン層上に無電解試料を形成した。比較例としてSn-Pd処理を施したSi基板を形成した。
【実施例】
【0044】
密着力の測定には、図9に示す測定装置10を用いた。測定装置10は、電子デジタル天秤11、変位計12、圧電アクチュエータ13、顕微鏡14、および電子計算機15を備える。
【実施例】
【0045】
電子デジタル天秤11には、試料皿16が設けられている。当該試料皿16は、試料Sを所定角度に傾けた状態で保持し得るように構成されている。なお、本実施例において所定角度は、30度とした。
【実施例】
【0046】
圧電アクチュエータ13は、変位計12と一体的に設けられており、試料Sに形成された金属膜4に当接させる圧子17が設けられている。変位計12は、非接触型で構成されており、試料皿16に設けられた鏡18に光を照射し、当該光の反射光の強度の変化を検出することにより、圧子17の押し込み深さを計測し得るように構成されている。顕微鏡14は、試料皿16に設置された試料Sの表面を観察し得るように設けられている。
【実施例】
【0047】
このように構成された測定装置10において、圧電アクチュエータ13を試料皿16へ向かって移動させ、圧子17を金属膜4に押し当てた。この場合の圧電アクチュエータ13の移動速度は10nm/sとした。圧子17の金属膜4に対する荷重を電子デジタル天秤11で測定した。前記荷重が極端に減少した点において無機薄膜から通電層が分離したと判断し(図10)、当該荷重を密着力と定義した。その結果を図11に示す。本図から、自己組織化膜とSi酸化膜との密着力(図中、「SAM-Pd」)は薄膜めっき層の厚さに依存せず、10MPa~50MPaの範囲となることが確認できた。このことから、本発明に係る金型製造方法では、金型の離型において、密着力は、自己組織化膜を構成するシランカップリング剤と無機薄膜との組み合わせに依存することが確認できた。
【実施例】
【0048】
一方、比較例(図中、「Sn-Pd」)は、金属結合であることから、密着力は本実施例に比べ大きく、また密着力のバラツキも本実施例に比べ大きいことが確認できた。上記したように、本発明に係る金型製造方法では、シランカップリング剤を選択することにより、所望の密着力を得ることができる。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態の場合、金型製造方法は凹凸からなる二次元構造の金型を製造する場合を例示したが、本発明はこれに限らず、自己組織化膜は、三次元構造のパターンにも均一に形成することができるので、三次元構造の金型を同様に製造することもできる。
【実施例】
【0049】
上記実施例では、自己組織化膜を液相成長により形成した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、気相成長により形成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 無機薄膜
2 自己組織化膜
3 通電層
4 金属膜
5 金型
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図9】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図12】
10
【図8】
11