TOP > 国内特許検索 > 磁性粒子複合粘弾性体及びそれを用いた可変剛性型動吸振器 > 明細書

明細書 :磁性粒子複合粘弾性体及びそれを用いた可変剛性型動吸振器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6032727号 (P6032727)
公開番号 特開2013-181090 (P2013-181090A)
登録日 平成28年11月4日(2016.11.4)
発行日 平成28年11月30日(2016.11.30)
公開日 平成25年9月12日(2013.9.12)
発明の名称または考案の名称 磁性粒子複合粘弾性体及びそれを用いた可変剛性型動吸振器
国際特許分類 C08L 101/12        (2006.01)
F16F  15/02        (2006.01)
F16F   1/36        (2006.01)
C08K   3/00        (2006.01)
FI C08L 101/12
F16F 15/02 C
F16F 1/36 C
C08K 3/00
請求項の数または発明の数 1
全頁数 11
出願番号 特願2012-045308 (P2012-045308)
出願日 平成24年3月1日(2012.3.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 1.刊行物名 :「D&D2011 機械力学・計測制振部門講演会アブストラクト集」 発行日 :平成23年9月4日 発行者 :一般社団法人日本機械学会 公開タイトル :「磁気粘弾性エラストマによるセミアクティブ制振」 2.刊行物名 :「日本機械学会 2011年度年次大会 DVD-ROM論文集」 発行日 :平成23年9月10日 発行者 :一般社団法人日本機械学会 公開タイトル :「磁気粘弾性エラストマによるセミアクティブ制振」 3.刊行物名 :「The 14th Asia Pacific Vibration Conference CD-ROM論文集」 発行日 :平成23年12月5日 発行者 :Department of Civil and Structural Engineering Hong Kong Polytechnic University Department of Mechanical Engineering,Hong Kong Polytechnic University 公開タイトル :「Semi-active Vibration Control of Structures using MR Elastomers」 4.ウェブサイトのアドレス:http://www.jstage.jst.go.jp/browse/kikaic/77/784/_contents/-char/ja/ 掲載日 :平成23年12月25日 公開タイトル :「磁気粘弾性エラストマの開発とセミアクティブ振動制御への応用」
審査請求日 平成27年2月26日(2015.2.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】小松▲崎▼ 俊彦
【氏名】岩田 佳雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査官 【審査官】岸 智之
参考文献・文献 特開2001-316502(JP,A)
特開平03-194238(JP,A)
特開平05-025316(JP,A)
特開昭61-027605(JP,A)
調査した分野 C08L 101/12
C08K 3/00
F16F 1/36
F16F 15/02
特許請求の範囲 【請求項1】
粘弾性材料に平均粒子径が50μm未満の磁性粒子を複合弾性体に対して20~70体積%になるように、磁性粒子を粘弾性原材料に混合したものを成形容器に封し、
前記成形容器に、磁力線が通過するように磁束密度50mT以上の強さの磁場(永久磁石を除く。)を印加した状態で硬化させて製作することで前記複数の磁性粒子が鎖状にクラスタを形成した磁性粒子複合粘弾性体と、
前記磁性粒子複合粘弾性体の鎖状のクラスタ方向と平行に磁力線を印加し、前記磁性粒子複合粘弾性体の剛性を可変調整するための磁場発生手段とを有し、
主系構造物の振動を低減するための動吸振器を有し、
前記動吸振器は前記磁性粒子複合粘弾性体と前記磁場発生手段を有していることを特徴とする、可変剛性型動吸振器の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は外部磁場により粘弾性特性が可変する磁性粒子複合粘弾性体及びこの粘弾性体を用いた可変剛性型の動吸振器に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の制振対策はパッシブ制振、セミアクティブ制振及びアクティブ制振の3つの方策に分類されている。
パッシブ制振は電力等のエネルギーの入力を一切必要としないものをいう。
セミアクティブ制振は構造物の振動を状態方程式で表したときに係数を動的に変化させるものをいう。
アクティブ制振は構造物の振動を状態方程式で表したときに新たな項を追加するものをいう。
このうち、セミアクティブ制振に分類される制振方法に磁性流体(Magneto Rheological Fluid)が知られている。
磁性流体はオイル等の分散媒中に磁性粒子を分散せるものである。
磁性粒子が凝集しないようにこの磁性粒子の表面を界面活性剤にて特殊処理することが行われているものの、やはり分散媒が流体であることから、磁性粒子が流体中に沈殿したり、二次凝集する問題があり、また所定の形状体に保持する際にその流体のシール性が問題となる。
特許文献1は平均粒子径約400nm以下の磁性粒子を鎖状に繋ぐことで二次凝集を防止した磁性流体を開示するが、分散媒が流体であることから生じる上記問題が充分に解決されたとは言えない。
特許文献2は磁性流体が特定の形状を持たないことを改善し賦形性を有するように、可撓性を有する高分子材料に磁場の作用により磁気分極する粒子を分散させた弾性率可変材料を開示する。
しかし、同公報に開示する弾性率可変材料は、粒径50μm,150μmの大きさの鉄粉を可撓性高分子材料に分散させたものである。
特許文献3は粘弾性材料に非球状の磁性粒子を分散させることで、外部磁場を印加すると弾性率が低く可変する磁気応答性材料を開示する。
しかし、同公報に開示する磁性粒子は針状、柱状、棒状、繊維状、長方形状、ウィスカー状でなければならず、外部磁場により弾性率が低下するものである。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-41896号公報
【特許文献2】特開平4-266970号公報
【特許文献3】特開2008-195826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、粘弾性特性の可変性に優れる磁性粒子複合粘弾性体の提供を目的とする。
また、本発明は、この磁性粒子複合粘弾性体を用いた可変剛性型の動吸振器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に用いる磁性粒子複合粘弾性体の製造方法は、粘弾性材料に平均粒子径が50μm未満の磁性粒子を複合弾性体に対して20~70体積%になるように、磁性粒子を粘弾性原材料に混合したものを成形容器に封し、前記成形容器に、磁力線が通過するように磁束密度50mT以上の強さの磁場(永久磁石を除く。)を印加した状態で硬化させたものであることを特徴とする。
【0006】
ここで粘弾性材料は、熱硬化性エラストマー及び熱可塑性エラストマーの両方を含む。
磁性粒子を分散成形しやすい点からは、エラストマーを成形するための原料組成物が液状であり、磁性粒子を混合後に硬化成形できるものがよく、硬化後はゴム弾性を有するエラストマーがよい。
ゴム弾性を有するものであればゴム材料に特に限定はない。
電気特性、耐熱性、耐塞性、耐候性等に優れている点では、シリコーンゴムが好ましい。
シリコーンゴムには、一液型と二液型を有し、硬化反応が成形体の厚みや形状に関係なく表面及び内部とともに一様に硬化が進む点で二液型シリコーンゴムが好ましい。
また、シリコーンゴムには室温で硬化するRTVゴムを用いることができる。
本発明に係る粘弾性材料にはゲル化したものも含まれる。
【0007】
磁性粒子は磁性を有する物質であれば限定がなく、鉄,窒化鉄,炭化鉄,カルボニル鉄,磁性酸化鉄類,フェライト類,ニッケル,コバルト、又はコバルト鉄の合金類,マグネタイト,ゲーサイト等が例として挙げられる。
本発明で磁性粒子の平均粒子径を50μm未満としたのは、粘弾性材料中に磁性粒子が分散しやすいようにするためである。
よって、磁性粒子は略球形であるのが好ましい。
【0008】
本発明で磁束密度50mT以上の強さの磁場を印加した状態で硬化させたのは、複数の磁性粒子が鎖状にクラスタを形成するようにするためである。
【0009】
本発明に係る製造方法にて製造された磁性粒子複合粘弾性体(以下必要に応じてMREと称する。)は、外部磁場により見かけ上の剛性が変化することから、この磁性粒子複合体とこれに磁場を印加する磁場発生手段とでセミアクティブ型の制振装置を得ることができる。
この場合に磁性粒子複合粘弾性体と磁場発生手段とで、可動質量体としての機能を付与させることで、可変剛性型の動吸振器を得ることができる。
ここで動吸振器とは、主系構造物において問題となる振動数付近にその固有振動数を調整することで、主系構造物の振動を低減するものである。
本発明に係る磁性粒子複合粘弾性体は、外部磁場により剛性を可変することができるので、主系構造物に非定常外乱や設計範囲から外れた振動数の外乱に対しても外部磁場の強さを可変することで、動吸振器の固有振動数を外乱に対応する方向に調整可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る製造方法にて製造された磁性粒子複合粘弾性体は、外部磁場により粘弾性特性が変化し磁束密度50mT以上の強さの磁界内で成形体に硬化させたものは剛性変化が大きい。
このような磁性粒子複合粘弾性体と磁場発生手段を組み合せることで、構造が簡単で信頼性の高い可変剛性型動吸振器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】MREサンプルの製作方法を示し、(a)は無磁場、(b)は磁場を印加した状態を示す。
【図2】(a)は無磁場の状態で製作したサンプルの断面写真、(b)は磁場を印加した状態で製作したサンプルの断面写真を示す。
【図3】静的試験の評価システムを示す。
【図4】せん断力に対する変位及び剛性変化率を示す。
【図5】サンプルの厚みを変えた場合の剛性変化率を示す。
【図6】鉄粉の配合割合を変えた場合の剛性変化率を示す。
【図7】動的試験の評価システムを示す。
【図8】磁場の印加の有無によるばね定数変化を示す。
【図9】鉄粉の配合割合を変えた場合のばね定数変化を示す。
【図10】可変剛性制御モデルを示す。
【図11】シミュレーションパラメータの設定値を示す。
【図12】シミュレーション結果を示す。
【図13】セミアクティブ制振評価システムを示す。
【図14】セミアクティブ制振評価結果を示す。
【図15】1自由度の主振動系及び可変剛性型動吸振器からなる2自由度の振動系の数値モデルを示す。
【図16】MREをばね要素として用いた可変剛性型動振器の模式図を示す。
【図17】(a)は印加電流に対する動吸振器の固有振動数の変化の測定結果を示し、(b)は減衰比を示す。
【図18】各質量比における各パラメータを示す。
【図19】質量比0.3について動吸振器の固有振動数を外乱振動数に同調させた場合の主系の振幅応答を示す。
【図20】各質量比についての動吸振器の応答比較を示す。
【図21】可変剛性型動吸振器のシステム例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る磁性粒子複合粘弾性体を試作し評価したので以下説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

【0013】
二液型のシリコーンRTVゴムに平均粒子径約10μmの鉄粉を混合し、25mm×25mm×H(10,15,20mm)の内容量を容器に封入し、室温で24時間保持することで硬化した。
得られた磁性粒子複合粘弾性体(MRE)の模式図を図1(b)に示す。
粘弾性材料中に磁性粒子2の分散状態を模式的に示した。
この硬化反応の進行中を図1(a)に示すように磁場を印加しない状態と図1(b)に示すようにコイルを用いて磁場を印加した状態の両方で行った。
図1(a)の状態、即ち無磁場の状態で得られた磁性粒子複合粘弾性体(以下MREと称する)の内部顕微鏡写真を図2(a)に示し、磁界的で硬化させたMREの内部顕微鏡写真を図2(b)に示す。
磁界内で硬化させたものは鉄粉が磁場を印加した方向に鎖状のクラスタを形成していた。
磁場の印加方法として永久磁石で行うと、永久磁石側に磁性粒子が引き寄せられてしまう問題がある。
そこで本実施例に示したようにコイルの内側に成形容器を配置した状態で、磁場を印加し、磁束密度は50mT~1Tの強さがよい。
また、二液型のシリコーンRTVゴムに鉄粉を混合する手順として、主剤と鉄粉を撹拌混合し、次に硬化剤を加えてさらに混合した後に成形容器に入れ、真空チャンバー等の減圧装置を用いて原料組成物中に混入した気泡の脱泡処理するのが好ましい。
MRE中に気泡が残留すると、剛性可変制御に影響を与えるからである。

【0014】
上記の方法で得られたサンプルを評価したので、以下説明する。
<静的試験>
図3に示すような評価システムを用いて、磁場に対するせん断方向の復元力の変化特性を評価した。
印加電流を0~2.0A変化させた。
なお、この変化は磁束密度で0~62mTに相当する。
その結果を図4のグラフに示す。
図4(a),(b)は磁場の有無によるせん断方向のウエイトに対する変位をグラフにしたもので、図4(c)に剛性の変化をグラフに示した。
この結果、磁界内で硬化させたものは最大で約3倍に剛性が増加していた。
図5はサンプルの厚みによる変化の調査結果をグラフに示した。
この結果、サンプル厚みの影響は小さいことが明らかになった。
図6は鉄粉の配合割合による影響を調査した結果を示す。
この結果、鉄粉の体積含有率44%(基質:鉄粉=10:8)のサンプルが最も大きい剛性変化を示した。
このグラフから鉄粉の体積含有率は40~70%の範囲がよいことが分かった。
<動的試験>
図7に示すような評価システムを用いて磁場に対するせん断方向の粘弾性特性変化を評価した。
その結果を図8のグラフに示す。
磁界内で硬化させた磁場ありの場合に無次元ばね定数が約1.5倍変化した。
図9に鉄粉の配合割合による変化を調査した結果のグラフを示す。
この結果、鉄粉体積含有率44%のサンプルが最も大きい剛性変化を示した。

【0015】
上記結果をふまえて、セミアクティブ制振への応用を検討した。
図10に可変剛性制御モデルを示す。
シミュレーションパラメータを図11に示すように設定した結果を図12のグラフに示す。
LowとHighの状態の剛性にon-off可変制御することで、制振作用があることが分かる。
そこで次に図13に示すような評価システムを用いて、制振評価実験を実施した。
ここで変位加振に~50Hzランダムノイズを入力し、通電offの状態を剛性Low、2.0A通電onの状態を剛性Highとした。
この評価結果を図14のグラフに示す。
これからon/off controlにて制振作用があることが確認できた。

【0016】
次に動吸振器への応用を検討した。
まず初めに、2自由度系の数値計算モデルを構築した。
図15に1自由度の主振動系及び可変剛性型動吸振器から成る2自由度振動系の数値モデルを示す。
動吸振器のばね要素kに関して、後述する実測値に基づき可変性を与える。
ばね定数kを一定とした場合、振動系の運動方程式は図に示す記号を用いて以下のように記述される。
【数1】
JP0006032727B2_000002t.gif
ここで、動吸振器固有振動数の可変範囲を定めるにあたり、質量やばね定数等について個別に数値を与えて検討するよりも、無次元化運動方程式を用いたほうが定性的に理解しやすいため、式(1)を時間及び変位に関して次のように無次元化する。
【数2】
JP0006032727B2_000003t.gif
ただし、式(2)の各パラメータは次の通りである。
【数3】
JP0006032727B2_000004t.gif

【0017】
幅広く制振効果を得るための動吸振器の設計方法として、最適同調及び最適減衰条件式はよく知られている。
そこで可変剛性型動吸振器の性能評価の目安として、これらの設計理論に基づく動吸振器の応答を比較対象として利用した。
固有振動数比を定める最適同調条件は、質量比をμとして次のように表される。
【数4】
JP0006032727B2_000005t.gif
また、動吸振器に付与する減衰比ζoptは、最適減衰条件として次のように決定される。
【数5】
JP0006032727B2_000006t.gif

【0018】
次に図16に示すような動吸振器を試作し、評価した。
幅70mm×高さ60mm×奥行20mmのフレーム部には鋼材を利用し、閉磁路を形成した。
また、中央のコイルは磁場を生成するとともに、動吸振器の可動質量(約350g)とした。
コイルの上下には直径20mm、厚さ10mmの本発明に係るMRE2つを配置し、MRE内を図21に示すように複数の磁性粒子が鎖状に形成したクラスタと平行に磁束が通過することによって、見かけの剛性が変化する。
MREには、平均粒子径約10μmの鉄粉体積割合50%のものを用いた。
可変剛性型動吸振器の基本性能評価として、コイルへの電流印加時における動吸振器の固有振動数及び減衰比の変化を調べた。
図16の動吸振器を土台に剛結合し、コイル部にインパクト力を加えた際の自由振動波形を計測した。
得られた波形の隣り合うピークから周期と振幅比を複数読み取り、固有振動数と減衰比を平均値として求めた。
コイルに印加する電流値は0.5A刻みで0~4Aとした。
印加電流に対する動吸振器固有振動数及び減衰比の値をプロットしたものを図17に示す。
固有振動数については、無磁場時の15Hzに対して4A印加時に29Hzまで増加しており(約1.9倍)、なおかつ電流にほぼ比例して直線的に変化している。
一方、減衰比については電流に対して増加傾向にあるが、磁場依存性は小さく、ほぼ0.15付近で一定とみなせる。
これらの計測結果を踏まえて、以後の数値的検討においては動吸振器の減衰比に一定値0.15を与え、固有振動数比については基準値の1.9倍まで変化するものとして取り扱うこととした。

【0019】
次に無次元化方程式(2)及び上記計測結果に基づき、可変剛性型動吸振器の制振特性について数値的に検討を行った。
主系と動吸振器との質量比は0.1,0.3及び0.5の3通りに設定した。
各々の質量比について可変剛性範囲に対応する振動数比変域を、最適同調・最適減衰の値と併せて図18の表に示す。
可変範囲は可変倍率1.9倍を踏まえつつ、動吸振器質量を主系に固定した場合の振動数比が変域の中央になるように定めた。
可変型動吸振器の剛性切り替え規則としては、可変振動数範囲よりも低域では最低値,高域では最高値を保持し、可変範囲では外力振動数に同期して固有振動数を変化させることとした。

【0020】
可変剛性型動吸振器の固有振動数を外乱振動数に同調させた場合の主系の振幅応答を、質量比0.3について数値的に求めた結果を図19に示す。
比較のために、最適同調時の在来型動吸振器の応答も示す。
最適同調・減衰を適用した動吸振器では定点の高さで規定される制振効果に留まるが、可変剛性型では振動数可変範囲において反共振点に追従するような応答曲線を描き、前者と比べ明らかに振動を低減できていることがわかる。

【0021】
3種の質量比について、可変剛性型動吸振器の応答を比較したものを図20に示す。
質量比がμ=0.1の場合、最適条件を適用した動吸振器の応答と比較すると全体的に振幅は下回るものの、主系応答にはピークが目立つ。
同じ減衰比でも質量が小さいと反共振点付近の振幅は十分低減できないことが大きく影響していると考えられる。
一方、動吸振器の質量が大きいほど制振効果は高まるが、実用上、質量比を大きく設定することは難しいため、MRE自体の減衰を小さくするか、減衰比がこのままの値であれば質量比は0.2~0.3あたりが適当と考えられる。

【0022】
図21に本発明に係る動吸振器10を用いた制振装置のシステム例を示す。
主振動体に動吸振器10を取り付け、主振動体の振動を加速度センサー等にて検知し、制御手段にて信号変換することでMREに印加する電流値を制御する例である。
本発明に係る動吸振器は構造物のみならず、車両等の移動体の制振にも広く応用可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 粘弾性材料
2 磁性粒子
10 動吸振器
図面
【図1】
0
【図21】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
11
【図12】
12
【図13】
13
【図14】
14
【図15】
15
【図16】
16
【図17】
17
【図18】
18
【図19】
19
【図20】
20