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明細書 :頭痛の判定方法、判定装置並びに判定プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5991656号 (P5991656)
公開番号 特開2013-183786 (P2013-183786A)
登録日 平成28年8月26日(2016.8.26)
発行日 平成28年9月14日(2016.9.14)
公開日 平成25年9月19日(2013.9.19)
発明の名称または考案の名称 頭痛の判定方法、判定装置並びに判定プログラム
国際特許分類 A61B  10/00        (2006.01)
A61B   5/0452      (2006.01)
FI A61B 10/00 V
A61B 5/04 312U
請求項の数または発明の数 8
全頁数 9
出願番号 特願2012-049307 (P2012-049307)
出願日 平成24年3月6日(2012.3.6)
審査請求日 平成27年1月19日(2015.1.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】吉川 弘明
【氏名】足立 由美
【氏名】丸田 高広
【氏名】根上 昌子
【氏名】枝廣 茂樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100088904、【弁理士】、【氏名又は名称】庄司 隆
【識別番号】100124453、【弁理士】、【氏名又は名称】資延 由利子
【識別番号】100135208、【弁理士】、【氏名又は名称】大杉 卓也
【識別番号】100152319、【弁理士】、【氏名又は名称】曽我 亜紀
審査官 【審査官】姫島 あや乃
参考文献・文献 特開2006-096026(JP,A)
特開2010-035896(JP,A)
特開2011-015820(JP,A)
田畑昌子 他,48時間Holter心電図による慢性頭痛患者の自律神経機能の検討,日本頭痛学会誌,1997年,Vol.25 No.1,pp.62-64
調査した分野 A61B 10/00
A61B 5/02
A61B 5/16
A61B 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定するための装置の作動方法であって、
(1)患者から得られた座位及び立位での心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、さらに心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出する工程と、
(2)該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出する工程と、
(3)該体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値以下であれば片頭痛と判定し、該基準値を超えれば緊張型頭痛と判定する工程と、
を含むことを特徴とする装置の作動方法。

【請求項2】
前記基準値は、0.86~2.5であることを特徴とする請求項1の装置の作動方法。

【請求項3】
前記基準値は、1.0であることを特徴とする請求項1又は2の装置の作動方法。

【請求項4】
頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定する装置であって、
(1)患者の座位及び立位での心拍数データを測定する手段と、
(2)該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出し、該体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値以下であれば片頭痛と判定し、該基準値を超えれば緊張型頭痛と判定する解析手段と、
(3)該判定結果を表示する手段と、
を具備することを特徴とする装置。

【請求項5】
前記基準値は、0.86~2.5であることを特徴とする請求項4の装置。

【請求項6】
前記基準値は、1.0であることを特徴とする請求項4又は5の装置。

【請求項7】
頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定することをコンピュータに実行させるプログラムであって、
(1)患者の座位及び立位での心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出し、
(2)該立座比が基準値以下である場合には緊張型頭痛と判定し、及び
(3)該立座比が基準値を超える場合には片頭痛と判定する、
ことを特徴とするプログラム。

【請求項8】
前記基準値は、0.86~2.5であることを特徴とする請求項7のプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、頭痛の判定方法、判定装置並びに判定プログラム、特に、片頭痛と緊張型頭痛を判別する方法、判定装置並びに判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
(一次性頭痛)
一次性頭痛の代表的な疾患として、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛がある(参照:非特許文献1)。これらは、各頭痛特有の症状があり、該頭痛を鎮静化するための治療法も異なる。さらに、トリプタン製剤等の種々の治療薬が開発され、頭痛の原因分類毎の治療が可能である。
【0003】
(片頭痛)
片頭痛は、日常生活に支障をきたす一次性頭痛の中でも頻度が高い。疫学的研究によれば片頭痛は有病率が高く、社会経済及び個人への影響が強い疾患であることが示されている。世界保健機関(WHO)によれば、よく知られている日常生活に支障をきたす疾患の中で片頭痛は現在、第19 位に位置付けられている。
片頭痛は、2つの主要なサブタイプに分類できる。「前兆のない片頭痛」は、特異的な頭痛の症状と随伴症状により特徴づけられる臨床的症候群である。「前兆のある片頭痛」は、主として頭痛に先行、ないし随伴する局在神経症状によって特徴づけられる症候群である。患者によっては頭痛発作前に数時間~数日の予兆期(premonitory phase)や頭痛回復期(resolution phase)がある。予兆期及び回復期の症状には、活動性の亢進、活動性の低下、抑うつ気分、特定の食物への過剰な欲求、反復性のあくびなどがあり、また、その他の非典型的な症状を訴える患者もいる(参照:非特許文献1)。
【0004】
(緊張型頭痛)
緊張型頭痛は、一次性頭痛の中で最も一般的なタイプの頭痛である。様々な調査で一般集団における生涯有病率は30~78%の範囲とされている。同時に、緊張型頭痛は社会経済に最も影響を及ぼしながら、一次性頭痛の中でも最も研究が進んでいない疾患である(参照:非特許文献1)。
【0005】
(群発頭痛)
群発頭痛は、厳密に一側性の重度の頭痛発作が眼窩部、眼窩上部、側頭部のいずれか1 つ以上の部位に発現し、15~180 分間持続することを特徴とする。発作頻度は1 回/2日 ~8 回/日である。
発作は、結膜充血、流涙、鼻閉、鼻漏、前頭部および顔面の発汗、縮瞳、眼瞼下垂、眼瞼浮腫のうち1 項目以上を伴う(いずれも頭痛と同側)。多くの患者は発作中に落ち着きのなさや興奮した様子がみられる(参照:非特許文献1)。
【0006】
(一次性頭痛の判定方法)
群発頭痛は、持続時間が15分から180分と短く、日に2~8回群発する。群発する時期が過ぎると、全く頭痛が起きない間欠期になることが特徴である。一方、片頭痛や緊張型頭痛は、群発頭痛と異なり群発性がない。これにより、群発頭痛は、持続時間及び群発性から、片頭痛及び緊張型頭痛と判別することができる。
【0007】
加えて、国際頭痛分類の片頭痛診断基準は以下の通りである。
A. B~D を満たす頭痛発作が5回以上ある
B. 頭痛の持続時間は4~72 時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
C. 頭痛は以下の特徴の少なくとも2項目を満たす
1.片側性 2.拍動性 3.中等度~重度の頭痛 4.日常的な動作(歩行や階段昇降などの)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす
1.悪心または嘔吐(あるいはその両方) 2.光過敏および音過敏
E. その他の疾患によらない
上記診断基準から明らかなように、上記C-1,3,4の内2項目を満たせば、非拍動性疼痛でも片頭痛の診断になる。一方、緊張型頭痛は、上記各項目の要件を満たす場合が多々あり、片頭痛か緊張型頭痛かを判定することは非常に困難である。
【0008】
片頭痛を判定する方法に関する報告がある(参照:非特許文献2)。
該報告では、脈の伝播速度(PWV)の測定により片頭痛を判定することを開示している。しかし、該報告では、脈を打つリズムについての周波数解析については開示又は示唆がない。
【先行技術文献】
【0009】

【非特許文献1】国際特許分類 第2版
【非特許文献2】Headache. 2011 Sep;51(8):1239-44
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
片頭痛、緊張型頭痛といった慢性的な頭痛には他覚的検査法がないために、患者自らの自覚症状に基づいて診断しなければいけなかった。これにより、実際の臨床の場では原因診断(鑑別診断)が困難な例も多く治療法の選択に苦慮していた。
これにより、本発明は、片頭痛と緊張型頭痛を判別する方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために、片頭痛の患者及び緊張型頭痛の患者の心拍変動パラメータに着目し、さらに片頭痛患者と緊張型頭痛患者の心拍数データから得られる体位性変化比(立座比)に違いがあることを見出した。
本発明者らは、上記知見を基にして、片頭痛と緊張型頭痛を判定する方法、判定装置、並びに判定プログラムを提供することである。
【0012】
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定する方法であって、
(1)患者から得られた座位及び立位での心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、さらに心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出する工程と、
(2)該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出する工程と、
(3)該体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値以下であれば片頭痛と判定し、該基準値を超えれば緊張型頭痛と判定する工程と、
を含むことを特徴とする判定方法。
2.前記基準値は、0.86~2.5であることを特徴とする前項1の判定方法。
3.前記基準値は、1.0であることを特徴とする前項1又は2の判定方法。
4.頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定する装置であって、
(1)患者の座位及び立位での心拍数データを測定する手段と、
(2)該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出し、該体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値以下であれば片頭痛と判定し、該基準値を超えれば緊張型頭痛と判定する解析手段と、
(3)該判定結果を表示する手段と、
を具備することを特徴とする装置。
5.前記基準値は、0.86~2.5であることを特徴とする前項4の装置。
6.前記基準値は、1.0であることを特徴とする前項4又は5の装置。
7.頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定するプログラムであって、
(1)患者の座位及び立位での心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出し、
(2)該立座比が基準値以下である場合には緊張型頭痛と判定し、及び
(3)該立座比が基準値を超える場合には片頭痛と判定する、
ことを特徴とするプログラム。
8.前記基準値は、0.86~2.5であることを特徴とする前項7のプログラム。」
【発明の効果】
【0013】
本発明では、患者への侵襲がなく、簡便、容易、短時間かつ低費用で片頭痛又は緊張型頭痛かを判定する方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】片頭痛又は緊張型頭痛を判定する装置の機能的構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定する方法)
頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定する方法では、少なくとも以下の工程を含む。
(1)患者から得られた座位及び立位での心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、さらに心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出する工程。
(2)該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出する工程。
(3)該体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値以下であれば片頭痛と判定し、該基準値を超えれば緊張型頭痛と判定する工程。

【0016】
(心拍数データ)
患者の座位及び立位での心拍数データとは、一定時間内に心臓が振動する回数(周波数)を意味する。なお、心拍数データは、以下で述べるLF/HF比率、体位性変化比(立座比)を算出することができる限り、自体公知の方法により容易に取得することができる。
例えば、心電図測定装置のセンサーを胸部に取り付けて心電図のQRS波のピークから次のピークまでの時間間隔を測定して算出する、又は市販されている簡易心拍数測定装置のセンサーを橈骨動脈の皮膚上に取り付けて測定することもできる。

【0017】
心拍変動パラメータであるLF/HF比率は、全心拍変動(時間領域)の測定及び心拍の周期変動の周波数成分をスペクトル解析(AA-interval spectral analysis:AISA)により高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングよりすることで求めることができる。
スペクトル解析では、一般には、低周波数帯域(LF)は0.02~0.15Hzと設定し、高周波数帯域(HF)は0.15~0.50Hzと設定しているが、適宜波数帯域を変更することができる。

【0018】
(基準値)
本発明の「基準値」とは、下記実施例2で得られた結果より設定されたカットオフ値(cut off値)を意味する。
片頭痛患者及び緊張型頭痛患者から得られた座位及び立位でのLF/HF比率値、好ましくは複数の心拍数の測定による座位及び立位でのLF/HF比率値の平均値を、さらに、体位性変化比(立座比)に算出した値{体位性変化比値(立座比値)}が、基準値以下であれば片頭痛と判定され、基準値を超えれば緊張型頭痛と判定される。
また、基準値は、0.86~2.5、好ましくは0.9~2.0、より好ましくは0.95~1.5、最も好ましくは約1.0である。

【0019】
(本発明の装置の構成について)
本発明の装置の構成について、図1を基にして説明する。なお、図1は、本発明の機能的構成を説明するために使用されるものであり、何ら本発明の装置の構成を限定しない。
本発明の判定装置は、少なくとも、(1)患者の座位及び立位での心拍数データを測定する手段と、(2)該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出し、該体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値以下であれば片頭痛と判定し、該基準値を超えれば緊張型頭痛と判定する解析手段と、(3)該判定結果を表示する手段と、を具備することを特徴とする装置である。
なお、本発明の装置は、単独の装置として用いることができるが、例えば、自体公知の心電図測定装置、心拍数測定装置等に組み込まれていても良い。

【0020】
心拍数データを測定する手段1から心拍数データ(心拍数信号)を取得する。心拍数データを測定する手段は、患者の心拍数を取得するための手段であり、自体公知の心電図測定装置、心拍数測定装置と同じ構造である。なお、心拍数データを測定する手段は、自体公知の心電図測定装置、心拍数測定装置等を組み込む又は外部接続しても良い。
前記検出された心拍数信号は、配線2を介して、必要に応じて増幅器4で増幅され、さらに必要に応じてA/Dコンバーター3によりアナログ信号からデジタル信号に変換される。
さらに、前記デジタル信号は、解析処理装置6内のインターフェイス61で受付けられて、データを解析する手段62により、該心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出し、該体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値以下であれば片頭痛と判定し、該基準値を超えれば緊張型頭痛と判定される。必要に応じて、該基準値を変更するための基準値変更手段63を有する。
低周波数帯域(LF)は、0.02~0.15Hzと設定し、高周波数帯域(HF)は0.15~0.50Hzと設定しているが、適宜、周波数帯域を変更する手段66も有する。
患者の片頭痛又は緊張型頭痛の判定結果、加えて、基準値、LF/HF比率値、HF波形データ及び/又はLF波形データ、体位性変化比(立座比)データが評価表示制御手段64によりモニタディスプレイ65により表示される。なお、モニタディスプレイ65は、解析処理装置6に組み込まれていても、又は外部に付属されていても良い。
加えて、前記データを保存するためのデータメモリ及び/又は前記データを紙媒体若しくは電子媒体で出力するための装置を解析処理装置6に組み込んでもよい。

【0021】
(頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定するプログラム)
本発明の判定プログラムは、下記実施例1及び2で得られた結果及び基準値より設定された片頭痛又は緊張型頭痛を判定するためのプログラムである。
なお、該プログラムの概要は以下の通りである。
(1)患者の座位及び立位での心拍数データを高周波数帯域(HF)及び低周波数帯域(LF)にフィルタリングし、心拍変動パラメータであるLF/HF比率を算出し、さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出し、
(2)該立座比が基準値以下である場合には緊張型頭痛と判定し、及び
(3)該立座比が基準値を超える場合には片頭痛と判定する。
また、基準値は、0.86~2.5、好ましくは0.9~2.0、より好ましくは0.95~1.5、最も好ましくは約1.0である。
さらに、本発明の判定プログラムを、従来公知の心電図測定装置、心拍数測定装置にインストールすることにより、従来公知の心電図測定装置又は心拍数測定装置を「頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛かを判定可能な」心電図測定装置又は心拍数測定装置とすることができる。

【0022】
(本発明の頭痛を有する患者の片頭痛又は緊張型頭痛の検査方法)
本発明の検査方法の要約は以下の通りである。
医師又は医師から許可された者が、患者の座位及び立位での心拍数を測定して、該測定結果から得られた体位性変化比(立座比)が予め設定した基準値を超える場合には、医師が緊張型頭痛と診断し、該基準値以下であれば片頭痛と診断する。

【0023】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
(片頭痛患者及び緊張型頭痛患者の心拍変動の立座比の測定)
国際頭痛分類によって明らかに片頭痛又は緊張型頭痛に判別できた下記表1に記載の患者の心拍変動の立座比を測定した。詳細は、以下の通りである。
【実施例1】
【0025】
(片頭痛患者及び緊張型頭痛患者の心拍変動の立座比の測定方法)
片頭痛患者及び緊張型頭痛患者12名に対して、公知の心拍数測定装置(株式会社ユメディカ製のアルテット)を用いて心拍数を測定した。測定方法は、以下の通りである。
測定は、座位及び立位で、それぞれ、右第一指先部位で2回行い、各測定間のインターバルは、約300秒以上とした。
さらに、上記測定した心拍数データを0.02~0.15Hzの低周波数帯域(LF)及び0.15~0.50Hzの高周波数帯域(HF)にフィルタリングしてLF/HF比率の算出をした。さらに該算出したLF/HF比率の体位性変化比(立座比)を算出した。
【実施例1】
【0026】
(片頭痛患者及び緊張型頭痛患者の心拍変動の立座比の測定結果)
上記体位性変化比(立座比)の測定結果を下記表1に示す。
片頭痛患者の立座比値の平均は、0.645であった。一方、緊張型頭痛患者の立座比値の平均は、8.79であった。
よって、緊張型頭痛患者の立座比値は、片頭痛患者の立座比値と比較して、明らかに高いことがわかった。これにより、片頭痛又は緊張型頭痛が疑われる患者の立座比値を算出することにより、片頭痛又は緊張型頭痛を判定することができる。
【実施例1】
【0027】
【表1】
JP0005991656B2_000002t.gif
【実施例2】
【0028】
(基準値の設定)
上記表1の結果により、さらに、立座比値のカットオフ値(cut off値)を0.86~2.5に設定すると、片頭痛検出感度が100%(6/6)であり、緊張型頭痛検出特異度が100%(6/6)であった。
以上により、本発明の基準値を0.86~2.5、好ましくは0.9~2.0、より好ましくは0.95~1.5、最も好ましくは約1.0に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
患者への侵襲がなく、簡便、容易、短時間かつ低費用で片頭痛又は緊張型頭痛かを判定する方法を提供することができた。
【符号の説明】
【0030】
1:心拍数データを取得する手段
2:配線
3:A/Dコンバーター
4:増幅部
6:解析処理装置
61:インターフェイス部
62:データを解析する手段
63:基準値を変更する手段
64:評価表示制御手段
65:モニタディスプレイ
66:周波数帯域を変更する手段
図面
【図1】
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