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明細書 :人工骨材の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5785705号 (P5785705)
公開番号 特開2012-105915 (P2012-105915A)
登録日 平成27年7月31日(2015.7.31)
発行日 平成27年9月30日(2015.9.30)
公開日 平成24年6月7日(2012.6.7)
発明の名称または考案の名称 人工骨材の製造方法
国際特許分類 A61L  27/00        (2006.01)
A61F   2/28        (2006.01)
C23C  22/54        (2006.01)
FI A61L 27/00 M
A61L 27/00 F
A61L 27/00 L
A61F 2/28
C23C 22/54
請求項の数または発明の数 1
全頁数 11
出願番号 特願2010-258765 (P2010-258765)
出願日 平成22年11月19日(2010.11.19)
審査請求日 平成25年11月18日(2013.11.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
発明者または考案者 【氏名】上田 正人
【氏名】池田 勝彦
個別代理人の代理人 【識別番号】100074332、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 昇
【識別番号】100114432、【弁理士】、【氏名又は名称】中谷 寛昭
【識別番号】100134452、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 雄一
審査官 【審査官】牧野 晃久
参考文献・文献 特開2004-337549(JP,A)
国際公開第2009/053670(WO,A1)
Kensuke Kuroda et al.,Formation and in Vivo Evaluation of Carbonate Apatite and Carbonate Apatite/CaCO3 Composite Films Using the Thermal Substrate Method in Aaeous Solution,Materials Transactions,2008年 3月25日,Vol.49, No.6,1434-1440
KAY TERAOKA et al.,CARBONATEAPATITTE-IMPLANTED TITANIUM SURFACE,Phosphorus Research Bulletin,2001年 6月 1日,Vol.12,25-30
調査した分野 A61L 15/00- 33/00
A61F 2/00- 4/00
C23C 22/00- 22/86
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
チタンを含む金属基材の表面を無機酸及び過酸化水素を含む水溶液によって酸化させる酸化処理工程と、該酸化工程後の金属基材をカルシウム含有化合物と炭酸アルカリ金属塩と水との存在下で加圧しつつ加熱する水熱処理工程と、を実施することにより、チタンを含む金属基材にチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとを担持させて人工骨材を製造する人工骨材の製造方法であって、
前記水熱処理工程では、前記カルシウム含有化合物のカルシウムのモル数が、前記炭酸アルカリ金属塩の炭酸イオンのモル数より多くなるようにカルシウム含有化合物と炭酸アルカリ金属塩とを用いる、人工骨材の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は人工骨材の製造方法に関するものであり、具体的には例えば、事故等により失われた生体骨の代替となり得る人工骨材製造方法に関する。

【背景技術】
【0002】
従来、この種の人工骨材としては、チタンを含む金属基材のみでなるものが知られている。斯かる人工骨材は、金属基材がチタンを含むことから、優れた力学的強度を有し、しかも生体適合性に優れている。
【0003】
ところが、斯かる人工骨材は、例えば、生体内に入れられても、骨材の表面に生体骨の骨組織が生成されやすいものではなく、生体骨の代替になり得るものとして満足できるものではない。
【0004】
これに対して、チタンを含む金属基材の表面にチタン酸金属塩が担持されてなる人工骨材が知られている。斯かる人工骨材としては、具体的には、例えば、純チタンからなる金属基材の表面にチタン酸ナトリウム(Na2TiO3)が担持されてなるもの(非特許文献1)、また、純チタンからなる金属基材の表面にチタン酸カルシウム(CaTiO3)が担持されてなるもの(非特許文献2)が提案されている。
【0005】
しかしながら、チタンを含む金属基材の表面にチタン酸金属塩が担持されてなる非特許文献1や非特許文献2に記載のごとき人工骨材は、骨組織が生成され得る生体内などの環境下において、骨組織の生成を誘導する性能を有するものの該性能に必ずしも優れるものではないという問題がある。具体的には、ヒドロキシアパタイトなどの骨組織成分を人工骨材の表面に形成できる性能が十分なものではないという問題がある。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】T.Kokubo, F.Miyaji, H.M.Kim, T.Nakamura, J. Am. Ceram. Soc, 79 (1996) 1127-1129
【非特許文献2】M.Ueda, M.Ikeda, M.Ogawa, Mater.Sci.Eng.C, 29 (2009) 994-1000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点等に鑑み、骨組織成分を形成させる性能に優れる人工骨材製造方法を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の人工骨材の製造方法は、チタンを含む金属基材の表面を無機酸及び過酸化水素を含む水溶液によって酸化させる酸化処理工程と、該酸化工程後の金属基材をカルシウム含有化合物と炭酸アルカリ金属塩と水との存在下で加圧しつつ加熱する水熱処理工程と、を実施することにより、チタンを含む金属基材にチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとを担持させて人工骨材を製造する人工骨材の製造方法であって、前記水熱処理工程において、前記カルシウム含有化合物のカルシウムのモル数が、前記炭酸アルカリ金属塩の炭酸イオンのモル数より多くなるようにカルシウム含有化合物と炭酸アルカリ金属塩とを用いるものである。
上記構成からなる人工骨材の製造方法においては、前記水熱処理工程を実施することから、前記金属基材にチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとが担持され、得られた人工骨材が骨組織成分を形成する性能に優れたものになり得る。
上記人工骨材においては、前記金属基材にチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとが担持されてなることから、骨組織成分が形成され得る生体内などの環境下において、チタン酸カルシウム由来のカルシウムイオンと炭酸カルシウム由来のカルシウムイオンとがカルシウムの供給源になり、骨組織成分としてのヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))が前記人工骨材の表面に形成されることが促進され得る。
【発明の効果】
【0010】
本発明の人工骨材は、骨組織成分を形成する性能に優れているという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】人工骨材における表面形態を比較した写真。
【図2】実施例1の人工骨材における表面形態を表す写真、及び担持物質のX線回折プロファイル。
【図3】実施例2の人工骨材における表面形態を表す写真、及び担持物質のX線回折プロファイル。
【図4】比較例1の人工骨材における表面形態を表す写真。
【図5】比較例2の人工骨材における表面形態を表す写真、及び担持物質のX線回折プロファイル。
【図6】比較例3の人工骨材における表面形態を表す写真、及び担持物質のX線回折プロファイル。
【図7】実施例2における水熱処理工程後の懸濁液の外観を表す写真、及び該懸濁液の沈殿物のX線回折プロファイル。
【図8】人工骨材における骨組織成分の形成促進能の評価結果を表す写真。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る人工骨材の一実施形態について詳しく説明する。

【0013】
本実施形態の人工骨材は、チタンを含む金属基材の表面にチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとが担持されてなるものである。
該人工骨材は、前記金属基材にチタン酸カルシウム(CaTiO3)と炭酸カルシウム(CaCO3)とが表面に担持されてなることから、例えば、生体内に入れられることにより、表面においてヒドロキシアパタイトなどの骨組織成分が比較的短い期間で形成され得る。また、生体内でなくとも、リン酸イオンを含み骨組織成分が形成され得る人工体液などの存在下において、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO46(OH)2)などの骨組織成分が比較的短い期間で形成され得る。

【0014】
前記金属基材は、金属のチタンを含み人工骨材を力学的に支えるものである。該金属基材の材料としては、具体的には、例えば、純金属チタン、チタン含有合金などが挙げられる。

【0015】
前記チタン含有合金としては、例えば、チタン(Ti)-クロム(Cr)-アルミニウム(Al)合金、チタン(Ti)-クロム(Cr)-スズ(Sn)合金、チタン(Ti)-ニオブ(Nb)-タンタル(Ta)-ジルコニウム(Zr)合金等が挙げられる。

【0016】
前記人工骨材の形状は、生体骨の代替になり得る形状であれば特に限定されるものではなく、該形状としては、例えば、棒状、板状等が挙げられる。前記人工骨材は、多孔質体(ポーラス体)であってもよい。

【0017】
なお、前記人工骨材は、担持されているチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとの量比が特に限定されるものではない。

【0018】
また、前記人工骨材は、窒素分子や酸素分子などの気体成分、又は、炭素などの固体成分等を不純物として含み得る。

【0019】
次に、本発明における人工骨材の製造方法の一実施形態について説明する。

【0020】
本実施形態の人工骨材の製造方法は、チタンを含む金属基材をカルシウム含有化合物と炭酸アルカリ金属塩と水との存在下で加圧しつつ加熱する水熱処理工程を実施するものである。
また、前記水熱処理工程においては、カルシウム含有化合物のカルシウムのモル数が、炭酸アルカリ金属塩の炭酸イオンのモル数より多くなるように前記カルシウム含有化合物と前記炭酸アルカリ金属塩とを用いる。
また、前記水熱処理工程の前に、前記金属基材の表面を酸化させる酸化処理工程を実施する。


【0021】
即ち、前記人工骨材の製造方法においてはチタンを含む金属基材の表面を酸化させる酸化処理工程を実施した後、カルシウム含有化合物のカルシウムのモル数が、炭酸アルカリ金属塩の炭酸イオンのモル数より多くなるように前記カルシウム含有化合物と前記炭酸アルカリ金属塩とを用いて、酸化処理を施した金属基材をカルシウム含有化合物と炭酸アルカリ金属塩と水との存在下で加圧しつつ加熱する水熱処理工程を実施する。


【0022】
前記水熱処理工程においては、前記カルシウム含有化合物のカルシウムと前記炭酸アルカリ金属塩の炭酸イオンとの量比を上記のごとく規定し、しかもカルシウム含有化合物と炭酸アルカリ金属塩と水との存在下でチタンを含む金属基材を加圧しつつ加熱する水熱処理を行うことにより、酸化処理を施した金属基材の表面に、チタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとを担持させる。前記金属基材にチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとが担持されることにより、人工骨材の骨組織成分の形成促進能が優れたものになり得る。

【0023】
前記水熱処理工程においては、炭酸アルカリ金属塩の炭酸イオンのモル数に対してカルシウム含有化合物のカルシウムのモル数が10以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。

【0024】
前記カルシウム含有化合物は、カルシウムを含む化合物であれば、特に限定されないが、前記カルシウム含有化合物としては、水溶性のものを用いることが好ましい。また、人工骨材に有機性の不純物が残存しにくいという点で、カルシウム含有無機化合物を用いることが好ましい。
該カルシウム含有無機化合物としては、具体的には、例えば、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、塩化カルシウム(CaCl2)、硝酸カルシウム(Ca(NO32)などを用いることができる。なかでも、化学的安定性が高く保存が容易であり、水溶液がアルカリ性を示し、水熱処理によってチタン酸カルシウムがより生じやすいという点で、水酸化カルシウムを用いることが好ましい。

【0025】
前記炭酸アルカリ金属塩としては、具体的には、例えば、炭酸ナトリウム塩、炭酸カリウム塩等を用いることができる。
前記炭酸ナトリウム塩としては、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)等を用いることができる。
また、前記炭酸カリウム塩としては、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)などを用いることができる。

【0026】
前記水熱処理工程は、前記カルシウム含有化合物と前記炭酸アルカリ金属塩とが水に溶解した水熱処理用水溶液に前記金属基材を浸漬することにより実施することが好ましい。
該水熱処理用水溶液において、前記カルシウム含有化合物の濃度は、特に限定されるものではないが、金属基材の表面にチタン酸カルシウムをより確実に担持させるという点で、カルシウムの濃度で1mMを超え20mM以下であることが好ましい。
また、該水熱処理用水溶液における前記炭酸アルカリ金属塩の濃度は、特に限定されるものではないが、金属基材の表面にチタン酸カルシウム及び炭酸カルシウムをより確実に担持させるという点で、炭酸イオンの濃度で1mM以上20mM未満であることが好ましく、1mM以上10mM以下であることがより好ましい。

【0027】
前記水熱処理工程は、加熱条件下で行う。具体的には、例えば、水の存在下で100℃を超えるように密閉状態で加熱することにより行うことができる。また、前記水熱処理工程においては、簡便に加圧できるという点で、加熱温度が100℃を超えることが好ましい。また、人工骨材の基材の強度低下が抑制され得るという点で、加熱温度が220℃以下であることが好ましい。

【0028】
前記水熱処理工程は、加圧条件下、即ち、1気圧を超える圧力で行う。また、チタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとをより多く基材に担持できるという点で、1気圧を超え15気圧以下の加圧条件で行うことが好ましい。
また、前記水熱処理工程においては、加熱及び加圧条件下で水熱処理用水溶液に前記金属基材を浸漬する時間が、3~24時間であることが好ましく、5~12時間であることがより好ましい。

【0029】
前記水熱処理工程は、密閉された空間内で行うことが好ましい。具体的には、前記水熱処理工程は、例えば、機器としてオートクレーブを用いて実施することができる。

【0030】
前記水熱処理工程の前に実施する酸化処理工程は、チタンを含む金属基材の表面を酸化させるべく、例えば、無機酸及び酸化剤を含む水溶液に前記金属基材を浸すことにより実施できる。前記酸化処理工程において前記金属基材の表面を酸化させることにより、水熱処理工程においてより多くのチタン酸カルシウムと炭酸カルシウムとを前記金属基材に担持させることができるという利点がある。

【0031】
前記無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等を用いることができる。なかでも金属基材表面の不動態膜を確実に破壊できるという点で、硝酸を用いることが好ましい。

【0032】
前記酸化剤としては、過酸化水素、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸等が挙げられ、なかでも、均一でより結晶性の低い酸化チタン(TiO)膜を金属基材表面に合成でき、該酸化チタン膜があることにより金属基材表面にチタン酸カルシウムがより担持されやすくなるという点で、過酸化水素を用いる

【0033】
前記酸化処理工程は、具体的には、例えば、過酸化水素及び硝酸を含む50~100℃の水溶液に、チタンを含む金属基材を5分間~2時間浸漬することにより実施できる。

【0034】
本実施形態の人工骨材及び人工骨材の製造方法は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の人工骨材及び人工骨材の製造方法に限定されるものではない。また、本発明では、一般の人工骨材及び人工骨材の製造方法において採用される種々の形態を、本発明の効果を損ねない範囲で採用することができる。
【実施例】
【0035】
以下に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
5モル濃度の過酸化水素及び0.1モル濃度の硝酸を含む水溶液を80℃に加熱し、その中へ純チタンのみからなる金属基材を20分間浸漬し、酸化処理工程を実施した。
次に、酸化処理を施した金属基材を20mM濃度の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び10mM濃度の炭酸水素ナトリウムを含む水熱処理用水溶液とともにオートクレーブ中に入れ、180℃に加熱し、10気圧を維持するように12時間置き、水熱処理工程を実施した。
そして、人工骨材をオートクレーブから取り出した。
【実施例】
【0037】
(実施例2)
20mM濃度の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び10mM濃度の炭酸水素カリウムを含む水熱処理用水溶液を用いて水熱処理工程を実施した点以外は、実施例1と同様にして人工骨材を製造した。
【実施例】
【0038】
(比較例1)
20mM濃度の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び100mM濃度の炭酸水素ナトリウムを含む水熱処理用水溶液を用いて水熱処理工程を実施した点以外は、実施例1と同様にして人工骨材を製造した。
【実施例】
【0039】
(比較例2)
20mM濃度の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び40mM濃度の炭酸水素ナトリウムを含む水熱処理用水溶液を用いて水熱処理工程を実施した点以外は、実施例1と同様にして人工骨材を製造した。
【実施例】
【0040】
(比較例3)
20mM濃度の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)及び40mM濃度の炭酸水素カリウムを含む水熱処理用水溶液を用いて水熱処理工程を実施した点以外は、実施例1と同様にして人工骨材を製造した。
【実施例】
【0041】
(比較例4)
20mM濃度の水酸化カルシウム(Ca(OH)2)のみを含む水熱処理用水溶液を用いて水熱処理工程を実施した点以外は、実施例1と同様にして人工骨材を製造した。
【実施例】
【0042】
<人工骨材の表面形態観察>
製造した人工骨材の表面形態を走査型電子顕微鏡により観察した。
実施例1、実施例2、及び比較例4の人工骨材の表面形態を比較的低倍率で観察した結果を図1に示す。
実施例1及び実施例2の人工骨材においては、粒状の炭酸カルシウムが観察されるが、比較例4の人工骨材においては、観察されない。
【実施例】
【0043】
<X線回折>
製造した人工骨材の表面に担持されている物質を、蒸留水を用いて超音波洗浄によって取り除き、取り除いた物質を薄膜X線回折により、CuKα線、回折角10~60°、入射角度1°、スキャン速度3°/分の測定条件で測定した。
また、実施例2において、水熱処理工程後の懸濁液から遠心分離器で取り出し、130℃で乾燥した沈殿物に対して、粉末X線回折法によりスキャン速度8°/分でX線回折を行った。
【実施例】
【0044】
実施例1、2における、表面形態観察及びX線回折プロファイルを、それぞれ図2及び図3に示す。また、比較例1~3の人工骨材における、表面形態観察及びX線回折プロファイル(比較例1においては表面形態観察の結果のみ)を、それぞれ図4~6に示す。
図2(実施例1)及び図3(実施例2)においては、金属基材にチタン酸カルシウムが担持されていることが認識できる。図4(比較例1)、図5(比較例2)、及び図6(比較例3)においては、金属基材に二酸化チタンが担持されていることが認識できる。
【実施例】
【0045】
また、実施例2における水熱処理工程後の懸濁液の外観、及び、該懸濁液から取り出した沈殿物のX線回折プロファイルを図7に示す。
図7から、実施例2の水熱処理工程後には、炭酸カルシウムが生じていることが認識できる。
【実施例】
【0046】
<人工骨材における骨組織成分形成能の評価>
実施例1、実施例2及び比較例4で製造した人工骨材を下記組成の擬似体液(ハンクス液)に浸漬し、37℃に保持したインキュベータ中で保持した。この間、擬似体液は2日毎に交換した。
擬似体液の成分組成:Na+ 142.0 mM
+ 5.8 mM
Mg2+ 0.9 mM
Ca2+ 1.3 mM
Cl- 145.6 mM
HCO3- 4.2 mM
HPO42- 0.8 mM
SO42- 0.4 mM
所定の期間(2,4,6日間)擬似体液に浸漬した後、人工骨材を取り出し、蒸留水で洗浄した。乾燥機中で十分乾燥した後、走査型電子顕微鏡で骨組織成分(主にハイドロキシアパタイト)の形成について観察した。結果を図8に示す。
図8において左上に○がある写真は、ハイドロキシアパタイトの形成(析出)が観察されたものである。図8における実施例の人工骨材では、明瞭に見える凹凸が4日目で不明瞭になり、比較例の人工骨材より早く骨組織成分(ハイドロキシアパタイト)の形成が確認される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の人工骨材は、例えば、骨との結合が必要な硬組織代替材料として好適に用いられ得る。より具体的には、例えば、大腿骨ステム、人工歯根などに好適に用いられ得る。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7