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明細書 :半導体リソグラフィ用光源装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5754699号 (P5754699)
公開番号 特開2012-079857 (P2012-079857A)
登録日 平成27年6月5日(2015.6.5)
発行日 平成27年7月29日(2015.7.29)
公開日 平成24年4月19日(2012.4.19)
発明の名称または考案の名称 半導体リソグラフィ用光源装置
国際特許分類 H01L  21/027       (2006.01)
G03F   7/20        (2006.01)
FI H01L 21/30 531S
H01L 21/30 527
G03F 7/20 503
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2010-222493 (P2010-222493)
出願日 平成22年9月30日(2010.9.30)
審判番号 不服 2014-005159(P2014-005159/J1)
審査請求日 平成25年9月4日(2013.9.4)
審判請求日 平成26年3月18日(2014.3.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
発明者または考案者 【氏名】大西 正視
【氏名】ワヒード ヒューグラス
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】110000800、【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
参考文献・文献 特開2006-080255(JP,A)
特開昭62-026752(JP,A)
特開2010-040329(JP,A)
特開2002-507832(JP,A)
特開2008-166772(JP,A)
特開2008-130230(JP,A)
調査した分野 G03F7/20-7/24,9/00-9/02
G21K1/00-3/00,5/00-7/00
H01J35/00-35/32
H01L21/027,21/30
H05G1/00-2/00
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体リソグラフィ用光源装置であって、
上端側に貫通孔が穿設され、かつ、下端側に光放出部としての孔が穿設されている空洞共振器と、
セラミックスまたは耐熱ガラスで形成され、かつ、前記空洞共振器の上端側の貫通孔および下端側の光放出部としての孔に挿通された状態で前記空洞共振器の内部空間において当該上端側から当該下端側まで延在するように配置されている筒状の空洞体と、
前記空洞共振器の内部空間に電磁波を供給するための電磁波供給装置とを備え、
前記半導体リソグラフィ用光源装置は、前記電磁波供給装置により前記空洞共振器の内部空間に対して供給された電磁波により発生した定在波のエネルギーを、前記空洞体の内部に存在する希ガスまたは希ガスを含む混合ガスに吸収させることによりプラズマを発生させ、当該プラズマが放出する極端紫外光を前記光放出部経由で前記空洞共振器の外部へ放出させる第1状態と、
前記電磁波供給装置に前記空洞共振器の内部空間に対する電磁波の供給を停止させることにより前記プラズマを消失させる第2状態と、を交互に繰り返しながら実現するように構成されていることを特徴とする半導体リソグラフィ用光源装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体リソグラフィ用光源装置において、
前記空洞共振器が、上端から下端に向かって掘り下げられ、上端を開放させた空間が形成され、かつ、下端側に前記光放出部としての孔が穿設されている共振器本体と、前記共振器本体の上端開口を隙間なく閉塞した状態で上下動可能に構成されている、前記空洞共振器の上端側を構成する蓋体とを備えていることを特徴とする半導体リソグラフィ用光源装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の半導体リソグラフィ用光源装置において、
前記空洞共振器の内部空間が円柱状に形成され、前記空洞体が前記空洞共振器の内部空間の中心軸方向に延在し、前記希ガスまたは前記混合ガスの供給源に一端が連通し、かつ、前記空洞共振器の底壁部に前記光放出部として形成されている孔に他端が連通するように配置されていることを特徴とする半導体リソグラフィ用光源装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハに回路パターンを形成するための短波長の光を発生させる半導体リソグラフィ用光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータや、携帯電話、ナビゲーションシステム等の各種電気機器の記憶素子や情報処理素子等として採用される半導体集積回路の製造方法として、回路パターンの形成されたマスクに光源からの光を照射し、半導体ウェハ上の感光性樹脂(フォトレジスト)に対してマスクの回路パターンを転写するリソグラフィが知られている。
【0003】
そして、現状において、リソグラフィに用いられる光の波長として、高圧水銀灯のg線(波長:436nm)、i線(波長:365nm)、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)、ArFエキシマレーザ(波長:193nm)が主流になっているが、光の波長が長いとフォトレジスト上での回路パターンの解像度が低くなる傾向にあるため、上述の波長の光では半導体の高集積化(回路パターンの微細化)に対応できないとして、さらに波長の短い光(EUV光)を発生させるレーザ生成プラズマ(LPP)光源や放電生成プラズマ(DPP)光源が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、短波長の光(EUV光)は、ガラスに吸収される特性を有するため、ガラス製の光学系(レンズ等)で光の進路の変更等を行うことができないといった理由から、短波長(13.5nmの波長)で反射率にピークがあるMo/Siの多層膜を光の進路を変更するための光学系(反射鏡)として採用されつつある。
【0005】
これに伴い、レーザ生成プラズマ光源及び放電生成プラズマ光源の何れもが、光学系の特性に合った波長の光(光学系での反射のロスが少ない13.5nmの波長の光)を発生できるように構成されている。具体的には、レーザ生成プラズマ光源は、強力なレーザ(YAG(ヤグ)レーザ)をターゲット物質としてのスズ(Sn)やスズ(Sn)化合物に照射することで、13.5nm付近に強い発光ピークがあるプラズマ光を発生させるように構成されている。これに対し、放電生成プラズマ光源は、一対の電極間に定常周波数の高電流を流して放電させること電極間に13.5nmの波長の光成分を含むプラズマ光を発生させるように構成されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2008-130230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記何れの光源も、プラズマの発生に伴ってデブリ(不純物)が発生し、半導体ウェハに対する回路パターンの転写を阻害するといった問題がある。すなわち、レーザ生成プラズマ光源では、プラズマ発生に伴ってターゲット物質(常温で固体であるスズ)からデブリが発生し、放電生成プラズマでは、プラズマ発生に伴って電極からデブリが発生するため、そのデブリが光学系や、マスク、半導体ウェハ等に付着してしまい、半導体ウェハに対する回路パターンの転写を阻害するといった問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、半導体ウェハに対する回路パターンの転写を阻害するデブリを発生させることなく、半導体ウェハに高集積化した回路を形成するのに最適な短波長の光を発生させることのできる半導体リソグラフィ用光源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体リソグラフィ用光源装置は、上端側に貫通孔が穿設され、かつ、下端側に光放出部としての孔が穿設されている空洞共振器と、セラミックスまたは耐熱ガラスで形成され、かつ、前記空洞共振器の上端側の貫通孔および下端側の光放出部としての孔に挿通された状態で前記空洞共振器の内部空間において当該上端側から当該下端側まで延在するように配置されている筒状の空洞体と、前記空洞共振器の内部空間に電磁波を供給するための電磁波供給装置とを備え、前記半導体リソグラフィ用光源装置は、前記電磁波供給装置により前記空洞共振器の内部空間に対して供給された電磁波により発生した定在波のエネルギーを、前記空洞体の内部に存在する希ガスまたは希ガスを含む混合ガスに吸収させることによりプラズマを発生させ、当該プラズマが放出する極端紫外光を前記光放出部経由で前記空洞共振器の外部へ放出させる第1状態と、前記電磁波供給装置に前記空洞共振器の内部空間に対する電磁波の供給を停止させることにより前記プラズマを消失させる第2状態と、を交互に繰り返しながら実現するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成の半導体リソグラフィ用光源装置によれば、電磁波供給手段から空洞共振器の内部に電磁波を供給すると、空洞共振器の内部空間に所定のエネルギ値の定在波電磁界が発生し、空洞体の内部に満たされた希ガス又は希ガスを含んだ混合ガスが定在波電磁界のエネルギを吸収する。これにより、上記構成の半導体リソグラフィ用光源装置は、該希ガスに対応した短波長の光成分を含んだプラズマを発生させることになる。そして、上記構成の半導体リソグラフィ用光源装置は、空洞体の少なくとも一部が短波長の光成分又は該光成分を含んだ光を放出可能に構成され、前記空洞共振器の光放出部が前記光成分を外部へ放出可能に構成されているため、空洞体内で発生したプラズマの光成分が空洞共振器の光放出部から外部へと放出される。
【0011】
従って、上記構成の半導体リソグラフィ用光源装置は、従来のようなデブリの発生要因となるターゲット物質や電極を用いていないため、回路パターンの形成を阻害するデブリを発生することがなく、プラズマの発生による光から半導体ウェハに高集積化した回路(微細化した回路)を形成するのに最適な短波長の光成分を光放出部から放出して半導体ウェハに対して直接的又は間接的に照射することができる。
【0012】
本発明の一態様として、希ガス又は希ガスを含んだ混合ガスを供給する希ガス供給手段をさらに備え、前記空洞体は、筒状に形成されて空洞共振器に挿通され、希ガス供給手段によって希ガス又は希ガスを含んだ混合ガスが一端から供給される一方で、短波長の光成分又は該光成分を含んだ光を他端から放出可能に構成されていてもよい。
【0013】
上記構成の半導体リソグラフィ用光源装置によれば、希ガス又は希ガスを含んだ混合ガスを連続的に供給することができるため、上記構成の半導体リソグラフィ用光源装置は、
定在波電磁界のエネルギを吸収した希ガス又は希ガスを含んだ混合ガス(効率的にプラズマ化できなくなった希ガス又は希ガスを含んだ混合ガス)が空洞体の内部に留まることがない。従って、上記構成の半導体リソグラフィ用光源装置は、常に良質なプラズマを発生することができる。
【0014】
本発明の他態様として、前記希ガスは、キセノン(Xe)ガス、又はネオン(Ne)ガスの何かであることが好ましい。このようにすれば、波長が13.5nmの光成分を多く含んだ光を放射するプラズマを発生することができる。従って、本発明の半導体リソグラフィ用光源装置は、Mo/Siの多層膜で構成される光学系(反射率のピークが13.5nmの反射鏡)に最適な光源となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係る半導体リソグラフィ用光源装置によれば、半導体ウェハに対する回路パターンの転写を阻害するデブリを発生させることなく、半導体ウェハに高集積化した回路を形成するのに最適な短波長の光を発生させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体リソグラフィ用光源装置を含む半導体リソグラフィ装置の概略構成図を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体リソグラフィ用光源装置の概略構成図を示す。
【図3】本発明の一実施形態に係る半導体リソグラフィ用光源装置を動作させた時の電界の強度及び、電磁波供給手段の出力及びプラズマのエネルギ値の推移を示す図であって、(a)は、空洞体の内部が真空の状態で半導体リソグラフィ用光源装置を動作させた場合の各エネルギの推移を示し、(b)は、空洞体の内部にXeガスを充填した状態で半導体リソグラフィ用光源装置を動作させた場合の各エネルギの推移を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体リソグラフィ用光源について、添付図面を参照しつつ説明する。

【0018】
本実施形態に係る半導体リソグラフィ用光源装置(以下、単に光源装置という)は、半導体ウェハ上に回路パターンを形成するための短波長の光(本実施形態においては、波長が13.5mmの光成分:以下、EUV光とする)を発生させるものである。

【0019】
本実施形態に係る光源装置は、図1に示すように、半導体ウェハWに回路パターンを転写させる半導体リソグラフィ装置Uの一構成として組み込まれている。すなわち、半導体リソグラフィ装置Uは、前記光源装置1と、半導体ウェハWを配置するステージSと、ステージS上の半導体ウェハWに転写させる回路パターンが形成されたマスク(図示しない)と、光源装置1からの光をマスクに導く光学系Mとを備えている。本実施形態に係る半導体リソグラフィ装置Uは、前記ステージS、マスク及び光学系Mが密閉構造のケーシングCに内装されており、前記光源装置1がケーシングCの外面に連設されている。さらに、本実施形態に係る半導体リソグラフィ装置Uは、ケーシングC内の空間を真空にするためのロータリーポンプ(図示しない)がケーシングCに接続されている。

【0020】
前記光源装置1は、内部空間101が形成された空洞共振器10と、電気絶縁性を有する非磁性の材料で形成され、内部に希ガス又は希ガスが充填される空洞体20と、前記空洞共振器10の内部空間101に電磁波を供給するための電磁波供給手段3とを備えている。さらに、前記空洞体20は、少なくとも一部が短波長の光成分又は該光成分を含んだ光を放出可能に構成されるとともに、空洞共振器10の内部空間101に少なくとも一部が位置するように配置されている。また、前記空洞共振器10は、前記空洞体20から放出される短波長の光成分又は該光成分を含んだ光を外部へ放出可能な光放出部104が形成されている。さらに、本実施形態に係る光源装置1は、空洞体20に希ガス又は希ガスを含んだ混合ガスを供給するための希ガス供給手段4を備えている。

【0021】
前記空洞共振器10は、導電性のある金属材料で形成されるもので、本実施形態では、抵抗の小さい無酸素銅で形成されている。そして、前記空洞共振器10は、図2に示すように上端から下端に向かって掘り下げられて、上端を開放させた空間が形成された共振器本体100と、該共振器本体100の上端を閉塞する蓋体110とを備えている。

【0022】
そして、前記共振器本体100は、円筒形状に形成された周壁部102と、該周壁部102の一端開口を閉塞する底部103とで構成されている。さらに、前記共振器本体100は、周壁部102の内径が、電磁波の最低次の共振モードに合わせて設定されている。より具体的には、本実施形態では、電磁波の最低次の共振モードとしてTM010モードを採用しているため、周壁部102は、内径が6cmに設定されている。

【0023】
さらに、前記共振器本体100は、前記空洞体20の内部で発生した短波長の光成分又は該光成分を含んだ光を内部空間101から外部(本実施形態においてはケーシングCの内部)へ放出可能な光放出部104が形成されている。そして、本実施形態に係る共振器本体100は、光放出部104が前記底部103に設けられている。該光放出部104は、前記底部103に穿設された孔によって構成されている。本実施形態に係る光源装置1は、ケーシングCに連設されている。そのため、光放出部104は、ケーシングCに向けて光を放出することができる。また、前記共振器本体100は、後述する出力アンテナ30を挿通すべく、周壁部102に接続孔105が穿設されている。

【0024】
そして、前記蓋体110は、前記共振器本体100の上端側に嵌合されることによって、上端開口を閉塞する閉塞部111と、該閉塞部111の上端部から径方向外方に延出したフランジ部112とを備えている。

【0025】
本実施形態に係る閉塞部110は、外径が前記共振器本体100の内径と略同じ大きさに設定された円柱状に形成されている。これにより、本実施形態に係る空洞共振器10は、該閉塞部110が前記共振器本体100の上端開口を隙間なく閉塞するように構成されている。

【0026】
前記フランジ部112は、閉塞部111から突出した部分に複数個のネジ孔114が穿設されており、雄ネジ体115を螺合させることができるようになっている。さらに、該雄ネジ体115は、ネジ孔114に螺合された状態で先端が前記共振器本体100の上面に接触するように構成されている。

【0027】
さらに、前記蓋体110は、上端から下端に亘って貫通した貫通孔113が穿設されている。そして、該貫通孔113は、上端側が後述する配管40を挿通可能な配管挿通孔113aになっており、下端側が空洞体20を挿通可能な空洞体挿通孔113bになっている。また、前記蓋体110は、閉塞部111を共振器本体100の上端開口に嵌合させた状態で上下動可能になっている。すなわち、前記蓋体110は、共振器本体100と閉塞部材111との嵌合方向で共振器本体100に対して相対的に移動することができる。これにより、本実施形態に係る空洞共振器10は、共振器本体100の上端側を確実に閉塞しつつ、内部空間101の広さを調整することができるように構成されている。

【0028】
そして、前記空洞体20は、電気絶縁性を有する非磁性の材料で形成されている。例えば、前記空洞体20は、セラミック等で形成することができるが、本実施形態においては、耐熱ガラス(石英ガラス)で形成されている。さらに、前記空洞体20は、空洞共振器10の内部空間101に少なくとも一部が位置するように配置されている。

【0029】
本実施形態に係る空洞体20は、一方向に長手をなして両端が開口した筒体で構成されており、内径が約3mm~5mmに設定されている。さらに、空洞体20は、光放出部103と前記貫通孔113の下端側(空洞体挿通孔113b)とに挿通された状態で空洞共振器10の内部空間101に少なくとも一部が位置するように配置されている。

【0030】
図1に戻り、前記電磁波供給手段3は、クライストロンや、マグネトロン等を使用することが可能であるが、本実施形態においてはマグネトロンを使用している。さらに、電磁波供給手段3は、出力アンテナ30によって空洞共振器10と接続されている。本実施形態に係る出力アンテナ30は、同軸ケーブルが使用されており、一端側が電磁波供給手段3に接続され、他端側が前記空洞共振器10に設けられた接続孔105に挿通されている。

【0031】
そして、本実施形態に係る希ガス供給手段4は、配管40を介して空洞体20に接続されている。より具体的には、配管40は、蓋体110の上端から下端に亘って貫通する貫通孔113の上端側(配管挿通孔113a)に挿通されている。さらに、前記空洞体20は、上述の如く、一端部が前記貫通孔113の下端側(空洞体挿通孔113b)に挿通されているため、前記希ガス供給手段4は、前記空洞体20の一端から、空洞体20の内部に希ガス又は希ガスを含んだ混合ガスを充填することができるように構成されている。

【0032】
前記光学系Mは、Mo/Siの多層膜Mで構成されている。本実施形態においては、Mo/Siの多層膜Mは、湾曲形状に形成されており凹面鏡の如く形成されている。該光学系Mは、光源1の光軸に反射面を対応させるように配置されており、該光軸と略平行な線上に配置されたステージS上の半導体ウェハWにEUV光を照射できるようになっている。なお、前記ステージS、及びマスクは、一般的な構成であるためここでの説明を割愛する。

【0033】
本実施形態の半導体リソグラフィ装置Uは、以上の構成からなり、次に光源装置1からEUV光源を放射する発光動作について説明するが、それに先立ち、前記空洞共振器の初期設定としてのチューニングの規準となるQ値の説明と、チューニングの方法との説明を行う。

【0034】
まず、本実施形態に係る光源装置1は、空洞共振器10の内部空間101に蓄えることができる定在波電磁界のエネルギと関連付けられるQ値が最大となるようにするためのチューニングを行う。ここで、Q値について説明すると、Q値とは、空洞共振器10に供給された電磁波のエネルギに対する空洞共振器内10の内部空間101に発生した電磁界のエネルギの比に2πを掛けたものである。具体的に説明すると、電磁波供給手段3から発生される電磁波のエネルギをf、内部空間101に発生する電磁界のエネルギをWEとすると、Q値の値は次式によって与えられる。

Q=2πWE/f…(1)

従って、Q値が10000であるとすれば、1KWの電磁波を空洞共振器10に供給すると、内部空間100に発生する電磁界のエネルギは、1.6MWとなる。そうすると、式(1)からも明らかなように、内部空間101に発生する電磁界のエネルギが上昇するにつれてQ値の値も上昇することになる。従って、前記チューニングは、空洞共振器10の内部空間101にエネルギが最大となる電磁界(定在波電磁界)が生じるようにするとともに、内部空間101に蓄えることができるQ値が最大となるようにしていることになる。

【0035】
以上でQ値についての説明を終わり、続いてチューニングについて説明する。本実施形態に係るチューニングは、前記蓋体110を空洞共振器10の中心線方向に移動させ、内部空間101の広さを調整することによって行われる。すなわち、チューニングが行われた空洞共振器10は、内部空間101に供給された電磁波と、該電磁波が内部空間101を画定する内面に衝突して反射した反射波(電磁波)とが重なり合うことによって共振をおこしえる。このように、前記内部空間101は、供給された電磁波に比して振幅が増幅された、すなわち、供給された電磁波に比してエネルギが増幅された定在波が発生する。これにより、チューニングが行われた空洞共振器10は、内部空間100に定在波を発生させることによって、定在波電磁界を生じさせることができるようになる。

【0036】
以上でチューニングについての説明を終わり、続いて発光動作について説明する。前記空洞体20は、内部に希ガス又は希ガスを含んだ混合ガスが充填される。すなわち、本実施形態においては、空洞体20の内部にXeガスが充填された状態で、内圧が1000paとなるように設定される。

【0037】
そして、前記空洞共振器10は、電磁波供給手段3から発生された電磁波が内部空間101に供給される。本実施形態に係る電磁波は、マイクロ波が使用されている。より具体的には、該電磁波は、Sバンドに属する2.45GHzのマイクロ波が使用されている。そして、空洞共振器10は、内部空間101に電磁波が供給されると、該電磁波と内部空間101を画定する部分に衝突して反射した該電磁波の反射波(電磁波)とが重なりあって共振をおこす。そうすると、内部空間101に導かれた電磁波は、定在波となるため、定在波電磁界が発生する。

【0038】
さらに、本実施形態に係る光源装置1は、極めて短い時間、具体的には、Xeガスが定在波電磁界のエネルギを吸収することによってプラズマが発生するまでの間に内部空間101に発生する定在波電磁界のQ値を所定値(本実施形態においては10000)に到達させるように構成されている。これにより、空洞体20に満たされたXeガスは、EUV光を放射するプラズマを発生させるために必要なエネルギを定在波電磁界から吸収することができる。

【0039】
図3(a)(空洞体20が真空の場合)及び図3(b)(空洞体20に1000PaのXeが充填されている場合)を参照しながら具体的に説明すると、図3のT1,T3は、電磁波供給手段3が空洞共振器10に電磁波の供給を開始した時点を示している。さらに、電磁波のエネルギ値のグラフであるEMに示されているように、本実施形態に係る電磁波供給手段3は、起動時、及び停止時を除いて一定のエネルギの電磁波を空洞共振器10に供給する。そして、図3のT2,T4は、空洞共振器10の内部空間101に発生した定在波電磁界のQ値が所定値に達した時点を示している。

【0040】
そして、定在波電磁界のQ値が所定の値に達するまでの時間(T3からT4に達するまでに要した時間)Tは、電磁波供給手段3から発生される電磁波マイクロ波周期をTMとすると次式によって求めることができる。

T=(Q/2π)TM…(2)

本実施形態において、Qは10000、TMは0.4nsであるため、式(2)に従って演算すると、T3の時点からT4の時点に達するまでに要する時間Tは、約0.64μsとなる。従って、本実施形態に係る光源装置1は、極めて短い時間で所定のQ値の定在波電磁界を発生させることができる。このことは、定在波電磁界のQ値のグラフであるEQからも明らかなことである。

【0041】
また、図3(a)の定在波電磁界のQ値の値に関するグラフであるEQを参照すると、定在波電磁界のQ値が所定の値に達するまでの時間(T1からT2に達するまでに要した時間)は、図3(b)の場合と略同じであることが分かる。従って、本実施形態に係る光源装置1は、空洞体20の内部が真空であっても、定在波電磁界のQ値の値が所定の値に達するまでの時間は略変化しないことがわかる。

【0042】
そして、定在波電磁界のQ値が所定の値に達すると、前記空洞体20の内部に満たされたXeガスは、定在波電磁界のエネルギを吸収し始める(図3(b)のT5の時点)。このとき、プラズマのエネルギ値のグラフであるEPからも読み取れるように、プラズマが発生し始める。そうすると、定在波電磁界は、エネルギが急速に低下することになるため、T5以降のEQの推移からも明らかなように、Q値も急速に低下することになる。

【0043】
そして、前記プラズマは、定在波電磁界のQ値が低下するに伴って、エネルギが急速に上昇し、T6の時点においてエネルギが最大となり、EUV光を発生させる。さらに、前記プラズマは、定在波電磁界のエネルギを吸収し続ける。しかしながら、T6の時点から後において定在波電磁界は、EUV光を発生させるために必要なエネルギが残っていない。従って、T6の時点から後において定在波電磁界のQ値及びプラズマのエネルギは、低下する。

【0044】
そして、前記プラズマのエネルギが極大値の10分の1以下となった時点(T7の時点)で電磁波供給手段3の動作を停止させて電磁波の供給を停止させる。そうすると、内部空間101の定在波電磁界のQ値、及びプラズマのエネルギは無くなり、発光動作を終了する。また、本実施形態に係る光源装置1は、一度の発光動作に要する時間が10μsであるため、瞬間的(パルス的)に発生するEUV光を放射することができる。

【0045】
さらに、再度発光動作をさせたい場合は、電磁波供給手段3の動作を再開させる。そうすると、光源装置1は、再度上記の動作を行うことによってEUV光をケーシングC内に放射することになる。従って、空洞体20の内部で発生したEUV光は、空洞体20の他端側からケーシングC内に放出され、ケーシングC内に配置された光学系Mに照射される。

【0046】
以上のように、本実施形態に係る光源装置1は、従来のようなデブリの発生要因となるターゲットや電極を用いていないため、回路パターンの形成を阻害するデブリを発生することがなく、半導体ウェハWに高集積化した回路を形成するのに最適な短波長の光を発生させることができる。これにより、本実施形態に係る光源装置1は、半導体ウェハWをデブリによって汚染することを防ぐことができる。また、本実施形態に係る光源装置1は、光学系Mをデブリによって汚染することも防ぐことができ、光学系Mの高寿命化を図ることができる。

【0047】
また、本実施形態に係る光源装置1は、空洞体20が筒状に形成されており、定在波電磁界のエネルギを吸収することによって劣化したXeガスが空洞体20の内部にとどまることがない。これにより、本実施形態に係る光源装置1は、常に良質なプラズマを発生させる状態を保つことができる。

【0048】
さらに、本実施形態に係る光源装置1は、瞬間的(パルス的)に発生するEUV光を放出することができ、極めて短い時間でEUV光を発生させることができる。これにより、本実施形態に係る光源装置1は、1パルスのEUV光の強度が変動しても、EUV光を放射する回数を調整することによって、半導体ウェハWに対して均一な回路パターンの転写を行うことが可能となる。

【0049】
なお、本発明の半導体リソグラフィ用光源装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることは勿論である。

【0050】
上記実施形態において、空洞共振器10は、円筒形状のものを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば、角筒状に形成されたものを使用してもよい。

【0051】
また、上記実施形態において、空洞共振器10は、電磁波の最低次の共振モード(TM010モード)に合わせて周壁部102の内径が設定されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、電磁波の最低次の共振モードとして他のモードを採用し、該モードに合わせて周壁部102の内径を設定することもできる。

【0052】
また、上記実施形態において、電磁波供給手段3は、マグネトロンを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば、クライストロンを使用してもよい。クライストロンを使用した場合、光源装置1は、より安定した電磁波を空洞共振器10に供給することが可能になる。

【0053】
また、上記実施形態において、ケーシングCの内部空間を真空にするためにロータリーポンプを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、ロータリーポンプにターボ分子ポンプを直列に接続してもよい。

【0054】
また、上記実施形態において、空洞体20には、Xeガスが供給されていたが、これに限定されるものではなく、例えば、Neガスを充填してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…半導体リソグラフィ用光源装置、3…電磁波供給手段、4…希ガス供給手段、10…空洞共振器、20…空洞体、40…配管、100…共振器本体、101…内部空洞、102…周壁部、103…底部、104…光放射部、105…アンテナ接続孔、110…蓋体、111…閉塞部、112…フランジ部、113…貫通孔、113a…配管挿通孔、113b…空洞体挿通孔、114…ネジ孔、115…雄ネジ体、C…ケーシング、M…光学系、S…ステージ、U…半導体リソグラフィ装置、W…半導体ウェハ
図面
【図1】
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【図2】
1
【図3】
2