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明細書 :マルチレート線形符号のレート推定方法及び送受信装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-183205 (P2013-183205A)
公開日 平成25年9月12日(2013.9.12)
発明の名称または考案の名称 マルチレート線形符号のレート推定方法及び送受信装置
国際特許分類 H03M  13/19        (2006.01)
FI H03M 13/19
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2012-044113 (P2012-044113)
出願日 平成24年2月29日(2012.2.29)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り
発明者または考案者 【氏名】岡本 英二
【氏名】京 拓磨
【氏名】荘司 洋三
【氏名】高山 佳久
【氏名】豊嶋 守生
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】独立行政法人情報通信研究機構
個別代理人の代理人 【識別番号】110000578、【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
審査請求 未請求
テーマコード 5J065
Fターム 5J065AD07
5J065AG02
5J065AH01
要約 【課題】マルチ符号化伝送において、レート情報の送信を必要とせず、目的局での簡易な演算により正確にレート推定を行うための方法を提供する。
【解決手段】2つのレート推定部70により構成される送受信装置1において、消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を限られた回数だけ行い、演算結果がゼロとなるか否かを判定することによりレート推定を行うとともに、訂正可能な消失シンボルを復元し、復元したシンボルを含みかつ消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を限られた回数だけ行い、演算結果がゼロとなるか否かを判定することにより、レート推定を行う。これらのレート推定により、レート情報の送信を必要とせず、簡易な演算により高精度のレート推定を行うことが出来る。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
非ゼロ成分を有する検査行列を持つ線形符号のうち、複数の異なるレートを利用するマルチレート符号化を用いて送受信を行う送受信装置において、
消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、限られた回数だけ実行し、演算結果がゼロとなるか否かを判定することによりレート推定を行うレート推定手段を備えたことを特徴とする送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送受信装置において、
前記レート推定手段は、
前記消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を行うことが不可能であった場合、訂正可能な消失シンボルを復元し、復元したシンボルを含み、かつ消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、限られた回数だけ行い、演算結果がゼロとなるか否かを判定することを特徴とする送受信装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2の送受信装置において、
前記レート推定手段は、
前記レート推定の精度を算出する推定精度算出手段を備え、
前記レート推定ができない場合には、前記推定精度算出手段で算出したレート推定の精度が所定の値以下のレートを推定レートとすることを特徴とする送受信装置。
【請求項4】
非ゼロ成分を有する検査行列を持つ線形符号のうち、複数の異なるレートを利用するマルチレート符号化を用いて送受信を行う送受信装置のレート方法であって、
消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、送受信装置を構成する受信装置において限られた回数だけ行う第1工程と、
前記第1工程における演算結果がゼロとなるか否かを判定する第2工程と、
によりレート推定を行うことを特徴とするレート推定方法。
【請求項5】
請求項4に記載のレート推定方法において、
前記第1工程は、
前記消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を行うことが不可能であった場合、訂正可能な消失シンボルを復元し、復元したシンボルを含み、かつ消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、限られた回数だけ行うことを特徴とするレート推定方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5のレート推定方法において、
前記第2工程は、
前記レート推定の精度を推定する推定精度工程を備え、
前記レート推定ができない場合には、前記推定精度算出工程で算出したレート推定の精度が所定の値以下のレートを推定レートとすることを特徴とするレート推定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、各種デジタル通信の誤り訂正符号化技術に関するものであり、データの消失が発生する通信路のデータ消失率に応じて、誤り訂正を行うために付加する冗長成分を調整することにより、効率的かつ高品質な通信を実現するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタル無線通信又は有線通信路では、長距離通信に伴う減衰等、各種の変動により復号品質が劣化するため、伝送路符号化が不可欠であり、マルチレート符号化伝送は劣化対策の一つとして有用である。
【0003】
非特許文献1によると、マルチレート符号を実現するための方法として、レート情報を送信することが一般的である。しかし、レート情報を送信することは伝送効率の面からは望ましくない。非特許文献2及び3によると、レート情報を送信する方法に代わる方法としては、目的局における受信データ系列からレートを最尤推定することによりレート情報を得る方法がある。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】社団法人電波産業会、“高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式 標準規格、ARIB-B44 1.0版”、Jul. 2009
【非特許文献2】吉川智康 他、“Rate-Compatible LDPC符号のレート推定法”、電子情報通信学会論文誌A、J89-A、1175-1184、Dec. 2006
【非特許文献3】H. Matsuo, et. Al, “Multi-rate low density generator matrix code for satellite laser communication”, Proc. International Conference on Space Optical Systems and Applications, May. 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、近年、通信の高速化に伴い、復号遅延が無視できない要素となってきた。このため、低演算遅延でかつ高精度にレート情報を推定する技術が必要になってきた。
本発明は上記課題に鑑み、レート情報の送信を必要とせず、目的局における簡易な演算により正確にレート推定を行うための方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、LDPC符号(low-density parity-check符号)のように、非ゼロ成分を有する検査行列を持つ線形符号のうち、複数の異なるレートを利用するマルチレート符号化を用いて送受信を行う送受信装置において、消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、限られた回数だけ実行し、演算結果がゼロとなるか否かを判定することによりレート推定を行うレート推定手段を備えたことを特徴とする送受信装置である。
【0007】
このような送受信装置では、シンドロームの演算を限られた回数だけに限定することから演算量を大幅に削減することが可能となり、高速なレート推定を実現することが可能になる。
【0008】
また、請求項2に記載のように、レート推定手段は、消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を行うことが不可能であった場合、訂正可能な消失シンボルを復元し、復元したシンボルを含み、かつ消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、限られた回数だけ行い、演算結果がゼロとなるか否かを判定するようにするとよい。
【0009】
このようにすると、演算量を抑えつつ、消失率の高い通信路においてもレート推定精度を保証することが可能となる。
さらに、請求項3に記載のように、レート推定手段は、レート推定の精度を推定する推定精度算出手段を備え、レート推定ができない場合には、推定精度算出手段で算出したレート推定の精度が所定の値以下のレートを推定レートとするようにとよい。
【0010】
このようにすると、消失率が非常に高い通信路におけるレート推定に代えることが可能となる。
請求項4に記載の発明は、非ゼロ成分を有する検査行列を持つ線形符号のうち、複数の異なるレートを利用するマルチレート符号化を用いて送受信を行う送受信装置のレート方法であって、消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、送受信装置を構成する受信装置において限られた回数だけ行う第1工程と、第1工程における演算結果がゼロとなるか否かを判定する第2工程と、によりレート推定を行うことを特徴とするレート推定方法である。
【0011】
このようなレート推定方法によれば、請求項1に記載の送受信装置同様な効果を得ることができる。
また、請求項5に記載のように、第1工程は、消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を行うことが不可能であった場合、訂正可能な消失シンボルを復元し、復元したシンボルを含み、かつ消失シンボルを演算に含まないシンドロームの演算を、限られた回数だけ行うようにすると、請求項2に記載の送受信装置と同様な効果を得ることができる。
【0012】
さらに、請求項6に記載のように、第2工程は、レート推定の精度を推定する推定精度工程を備え、レート推定ができない場合には、推定精度算出工程で算出したレート推定の精度が所定の値以下のレートを推定レートとするようにすると、請求項3に記載の送受信装置と同様な効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係わる送受信装置及びブロック図を示す図である。
【図2】本発明のレート推定装置の処理を表すフローチャートである。
【図3】本発明のレート推定装置の1つであるシンドローム演算によるレート推定部のフローチャートである。
【図4】本発明のレート推定装置の1つであるシンドローム演算と繰り返し復号法を組み合わせたレート推定部のフローチャートである。
【図5】計算機シミュレーションに用いた伝送系のブロック図である。
【図6】計算機シミュレーションに用いた検査行列の、消失確率に対するパケット誤り率特性を示す図である。
【図7】計算機シミュレーションの結果で、各消失確率に対するレート推定失敗率特性を示す図である。
【図8】計算機シミュレーションの結果で、各消失確率に対する平均乗算回数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
疎な検査行列を持つ誤り訂正符号としては、LDPC(low-density parity-check)符号が一般的である。以下、疎な検査行列を持つ線形符号としてLDPC符号の1種であるLDGM符号(low-density generator matrix符号)を用いる場合を例として、図1~図5に従って、詳細に説明する。
(送受信装置1の全体構成)
本発明が適用された送受信装置1の概略の構成を図1に示す。送受信装置1は送信局3及び目的局5から構成される。
(送信局3の構成)
送信局3は、入力部10、符号化部20、変調部30及び送信部40から構成される。

【0015】
入力部10では、2元で表わされる送信データ系列が任意の有限体GF(2n)へと変換される。前記変換時、nビットのデータが1つの元と対応して表わされる。これを、情報シンボルと呼ぶことにする。

【0016】
また、入力部10では、通信路の状況から1つのモードが選択される。情報シンボルへ変換した送信データ系列に対し、選択したモードの検査行列を用いてLDGM符号化が行なわれる。LDGM符号は線形ブロック符号であり、任意の符号長Nシンボル、符号化率Rに対し、情報シンボルをK=N×Rシンボルずつに区切って符号化が行われる。

【0017】
図1の例では、符号長Nは固定とし、モード1の符号化率をR1、1符号語内の情報シンボル数をK1とする。同様にモード2の符号化率をR2、1符号語内の情報シンボル数をK2とする。

【0018】
符号化部20では、入力部10により得られた情報シンボルが符号化される。
次に検査行列と符号化方法について説明する。情報シンボル長K、符号長Nの符号を生成するためのLDGM符号化器に用いるパリティ検査行列Hは、N-K行N列の疎な行列により表わされる。ここで、LDGM符号のHは大きく分けて式(1)に示すような2つの行列により構成される。

【0019】
【数1】
JP2013183205A_000003t.gif

【0020】
式(1)において、検査行列左側を構成するHsには、N-K行K列の行列であり、行重みwj、列重みwkの正則な行列を用いる。検査行列右側を構成するHpはN-K行N-K列の大きさである。Hpの重み配置は大きく分けて3つ存在する。3つの構成における共通点は下三角行列の形を持つという点である。

【0021】
1つは重みの配置が対角行列の形となるものである。これはLDGM符号と呼ばれている。もう1つは、対角行列を作成し、さらに重みの存在する1つ下の行にも重みを並べるものである。これはLDGM Staircase符号と呼ばれている。最後の1つは、LDGM Staircase符号の下三角部にランダムに重みを配置したものである。これはLDGM Triangle符号と呼ばれている。LDGM符号は、組織符号である。つまり、M={M1,…,MK}の情報シンボルが与えられた場合、符号語シンボルC={C1,…,CN}は、式(2)で表される。

【0022】
【数2】
JP2013183205A_000004t.gif

【0023】
ここで、P={P1,…,PN-K}はパリティシンボルであり、式(3)により求められる。

【0024】
【数3】
JP2013183205A_000005t.gif

【0025】
式3において、Hi,,jは検査行列のi行j列に対応する成分を示している。図1の例では、モード1の検査行列をH1、モード2の検査行列をH2とし、これらを用いて符号化を行う。

【0026】
変調部30は、符号化部20により得られた符号語シンボルCを、送信部40を介して目的局5へと送信するが、バースト的な消失が発生する通信路において符号語をそのまま送信すると符号化利得が得られにくくなる。この符号化利得対策としてインターリーバを用いる方法がある。

【0027】
インターリーバとは任意の長さのデータ系列をシャッフルしたデータ系列を作成することである。インターリーバを十分な長さのデータ系列に対し行うことで、バースト的な消失をランダム的な消失として表わすことが可能となり、符号化利得が得られ易くなる。有限体を用いた誤り訂正符号を用いる場合、インターリーバはシンボル単位で行うことで誤り訂正能力を生かすことが出来る。

【0028】
インターリーバ後のデータ系列は2元のデータ系列へ再度変換され、任意のディジタル変調が行なわれ、送信部40を介して、目的局5へと送信される。尚、送信部40は、変調部30で得られたデータ系列を目的局5に対して送信するための装置であり、図示しない高周波増幅器とアンテナを備えている。
(目的局5の構成)
目的局5は、受信部50、復調部60、レート推定部70、復号化部80及び出力部90から構成される。

【0029】
受信部50は、送信局3から送信されるデータ系列を受信するための装置であり、図示しない高周波増幅器とアンテナを備えている。
復調部60では、受信部50で受信した、消失を含むデータ系列に対する復調が行われ、これらのデータ系列が有限体へと変換される。ここで、有限体への変換はnビット単位で行われるが、1ビットでも消失データが含まれる場合、そのシンボルは消失として扱われる。nビット全て受信成功していた場合は、有限体へと変換される。有限体へと変換されたこれらのデータ系列はインターリーブされているため、デインターリーブすることにより元の並びに戻される。

【0030】
レート推定部70では、復調部60において得られたデータ系列に対するレート推定が行われる。レート推定については、後ほど詳細に説明する。
復号化部80では、レート推定部70で推定されたレート推定結果のモードの検査行列を用いて復号処理が行われる。

【0031】
消失訂正符号としてのLDGM符号には、2つの復号法が存在する。1つは、繰り返し復号と呼ばれるものである。もう1つは、ガウス消去法による復号法である。これら復号法を用いるためには消失位置を既知とする必要がある。データ消失はパケットロスや受信電力の極端な低下などにより発生するため、本実施形態では消失位置が把握できているものとする。

【0032】
繰り返し復号のアルゴリズムを説明する。まず初めに、送信局3において検査行列H用いてK個の情報シンボルをNシンボルの符号語Cとして符号化し、これを目的局5へと送信する状況を考える。消失通信路を介して得られた受信系列をr={r1,…,rN}とする。R=Cである場合は、検査行列Hの任意のi行目の成分とrに対し式(4)が常に成立する。

【0033】
【数4】
JP2013183205A_000006t.gif

【0034】
式(4)を利用して復号処理を行う。式(4)中のsはシンドロームを意味するが、本実施形態ではシンドロームの各成分siが重要である。このsiをここではシンドローム成分と呼ぶことにする。このシンドローム成分siをi=1から順番に確認していく。siの算出に1つだけの消失シンボルrkを含む場合、式(5)の演算により消失訂正を行うことが出来る。

【0035】
【数5】
JP2013183205A_000007t.gif

【0036】
これを全情報シンボルが訂正可能となるか、訂正不可能となるまで続ける。これが繰り返し復号のアルゴリズムである。
次に、ガウス消去法を用いた復号法について説明を行う。式(4)は、消失シンボルを解とする連立1次方程式として見ることが出来る。そこで、連立1次方程式解を比較的小さな演算により算出するアルゴリズムであるガウス消去法を利用する。受信データ系列における消失シンボルの位置をi={i1,…,il}、消失シンボルをx={x1,…,xl}、各消失位置iに対応する検査行列i列目の成分を集めた行列hi={hi1,…,hil}とすると、式(6)が成立する。

【0037】
【数6】
JP2013183205A_000008t.gif

【0038】
式(6)において、hiに対し基本行操作を施し、上三角行列の形を実現することで、連立方程式解をxlからx1まで順に解くことが出来る。上三角行列へと変形が不可であった場合は連立方程式解の算出が不可であると判定し復号処理を終了する。以上2つの消失訂正アルゴリズムを示した。これらの一般的な利用法として繰り返し復号を行った後に、全情報シンボルが訂正不可であった場合のみガウス消去法による復号法を用いるハイブリッド復号という復号アルゴリズムが存在する。ハイブリッド復号は、繰り返し復号法に比べガウス消去法の演算量が非常に大きなものであるが、演算量増大による無駄な処理遅延の増大を防ぐことが出来る。

【0039】
出力部90では、復号化部80で復号化されたシンボルが2元のデータに変換され、所望のデータが得られる。
次に、図2及び図3に基づき本実施形態のレート推定について説明する。図2はレート推定部で実行されるレート推定の流れを示すフローチャートである。図4は、図2のフローチャートに従って実行されるシンドローム演算に依るシンドロームS2の演算及び繰り替えし復号の併用によるレート推定サブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。

【0040】
レート推定は、低いレートの検査行列のみを用いて、シンドローム成分siの算出を利用したレート推定を行う。なお、消失位置は把握できているとする。
レート推定では、図2に示すように、S100において、復調部60から受信データ系列を取得する。続くS105では、シンドロームS2の演算によりレート推定を行う。このレート推定については、後ほど詳細に説明する。

【0041】
続くS110では、S105においてレート推定が成功したか否かを判定する。S105においてレート推定が成功したと判定したと場合(S110:Yes)、レート推定を終了し、レート推定が成功しなかった場合(S110:No)、レート推定はS115へ移行する。S115では、シンドロームS2の演算と、繰り返し復号の併用によるレート推定を行う。このレート推定については、後ほど詳細に説明する。

【0042】
続くS120では、S115においてレート推定が成功したか否かを判定する。S115においてレート推定が成功したと判定したと場合(S120:Yes)、レート推定を終了し、レート推定が成功しなかった場合(S120:No)、レート推定はS125へ移行する。S125では、レート推定結果をモード2として出力し、レート推定を終了する。
(シンドロームS2の演算によるレート推定)
図2のS105によるレート推定では、図3に示すように、S200に受信データ系列が入力されることによりレート推定が開始される。変数i、countをそれぞれi=1、count=0に初期化され、レート推定はS205へ移行される。

【0043】
このレート推定では、演算量の増大を防ぐために全てのシンドロームを演算するのではなく、演算する量はcmax個に限定される。このcmaxは、小さければ小さいほどに演算遅延が低減できる。しかしながら、レート推定誤りを引き起こす確率が増大し、レート推定精度の劣化を招く。この劣化対策として、このcmaxは、利用する有限体GF(2n)のnの値に応じて適切な値を設定する必要がある。

【0044】
続くS205では、シンドローム成分si(1≦i≦N-K2)の演算に消失シンボルが含まれるか否かが判定される。消失シンボルが含まれる場合(S205:Yes)、レート推定はS210へ移行する。含まれない場合(S205:No)、レート推定はS220へ移行する。S210では、変数iがi=i+1へ更新され、レート推定はS215へ移行する。

【0045】
続くS215では、i>N-K2を満たすか否かが判定される。満たす場合(S215:Yes)、レート推定は終了し、満たさない場合(S215:No)、レート推定はS205へと移行する。

【0046】
続くS220では、シンドローム成分siを演算し、si=0を満たすか否かが判定される。満たす場合(S220:Yes)、レート推定はS225へ移行する。満たさない場合、(S220:No)、レート推定はS240へ移行する。S225では、変数countがcount=count+1に更新され、レート推定はS230へ移行する。

【0047】
続くS230では、count=cmaxを満たすか否かが判定される。満たす場合(S230:Yes)、レート推定はS235へ移行する。満たさない場合、(S230:No)、レート推定はS210へと移行する。

【0048】
S235では、推定結果としてレート推定に検査行列を利用したモード(図2の例では、モード2)が選択され、レート推定が終了する。S240では、推定結果として他方のモード(図2の例では、モード1)が選択され、レート推定が終了する。
(シンドロームS2の演算と、繰り返し復号の併用によるレート推定)
次に図2のS115によるレート推定について説明する。図4に示すように、S300に受信データ系列が入力されるとレート推定が開始される。変数i及びcount2はそれぞれi=1と、count2=countに初期化され、レート推定はS305へ移行する。このレート推定では、図3のレート推定と同様に、演算量の増大を防ぐために全てのシンドロームを演算するのではなく、演算量はcmax個に限定される。

【0049】
続くS305では、シンドローム成分si(1≦i≦N-K2)の演算に消失シンボルが1つだけ含まれるか否かが判定される。消失シンボルが1つだけ含まれる場合(S305:Yes)、レート推定はS310へ移行する。それ以外の場合(S305:No)、レート推定はS320へ移行する。S310では、変数iがi=i+1へ更新され、レート推定はS315へ移行する。

【0050】
続くS315では、i>N-K2を満たすか否かが判定される。満たす場合(S315:Yes)、レート推定は終了され、満たさない場合(S315:No)、レート推定はS305へ移行する。

【0051】
S320では、検出した唯1つの消失シンボル(仮にrjと表わす)をsi=0と仮定して復元する。また、変数kをk=0に初期化し、レート推定はS325へ移行する。
続くS325では、変数kはk=k+1に更新され、レート推定はS330へ移行する。続くS330では、i≠kが成立するか否かが判定される。前記判定を行う理由は、S320にてsi=0と仮定したため、siはレート推定に利用できなくなるためである。成立する場合(S330:Yes)、レート推定はS335へ移行する。成立しない場合(S330:No)、レート推定はS340へ移行する。

【0052】
S335では、k>N-K2が成立するか否かが判定される。成立する場合(S335:Yes)、レート推定はS325へ移行する。成立しない場合(S335:Yes)、レート推定はS310へ移行する。

【0053】
S340では、S320で復元した消失シンボルrjがskの演算に含まれるか否かが判定される。成立する場合(S340:Yes)、レート推定はS345へ移行する。成立しない場合(S340:No)、レート推定はS335へ移行する。

【0054】
S345では、skの演算に消失シンボルが含まれるか否かが判定される。成立する場合(S345:Yes)、レート推定はS350へ移行する。成立しない場合(S345:No)、レート推定はS335へと移行する。

【0055】
S350では、sk=0が成立するか否かが判定される。成立する場合(S350:Yes)、レート推定はS355へ移行する。成立しない場合(S350:No)、レート推定はS370へ移行する。

【0056】
S355では、変数count2=count2+1に更新され、レート推定はS360へ移行する。S360では、count2=cmaxが成立するか否かが判定される。成立する場合(S360:Yes)、レート推定はS365へと移行する。成立しない場合(S360:No)、レート推定はS335へ移行する。

【0057】
S365では、推定結果としてレート推定に検査行列を利用したモード(図2の例では、モード2)が選択され、レート推定が終了する。S270では、推定結果として他方のモード(図2の例では、モード1)が選択され、レート推定が終了する。
(送受信装置1の特徴)
以上のような送受信装置1によれば、レート推定部70において、受信データ系列から送信局3が利用したレートの推定を実行するため、送信局3はレート情報の送信を必要としない。また、図2~4のレート推定では、演算するシンドローム成分の回数を任意数cmaxに制限することで、簡易な演算によるレート推定が実現可能である。加えて、図4のレート推定では、消失シンボルを復元し、当該復元結果を利用してシンドローム成分の演算を実行するため、正確にレート推定を行うことが出来る。

【0058】
次に本発明のレート推定を図1の送受信装置1に導入し、計算機シミュレーションを行い、その特性を比較した結果を説明する。
図1のインターリーバを利用した構成により、通信路がバースト的な消失を生ずる通信路であったとしても、図1の構成はランダム的な消失が発生する通信路として等価的に考えることが出来る。このため今回の計算機シミュレーションでは、通信路はシンボル単位でランダム的に消失が発生する通信路として考える。ランダムシンボル消失通信路として等価的に表わした場合の伝送系を図5に示す。

【0059】
各パラメータは、有限体にGF(28)、モード1の符号化率R1=0.5、モード2の符号化率R2=0.25、符号長は1200シンボルで固定とする。また、モード1に使用している検査行列の各重みの数は、列重みwj=3、行重みwk=3である。

【0060】
モード2に使用している検査行列の各重みの数は、列重みwj=6、行重みwk=2である。この検査行列のランダムシンボル消失通信路下におけるPER(Packet Error Ratio)特性を図6に示す。ここでの1パケットは1符号語としている。図6より、今回用いる符号がPER=0と出来る範囲は、シンボル消失確率pが0~0.68であり(0~68%であり)、この範囲を送受信装置1の動作域であるとする。

【0061】
計算機シミュレーションによる、各消失確率におけるレート推定失敗率特性を図7に示す。また、この時の繰り返し復号アルゴリズム復号処理を含む乗算回数特性を図8に示す。ここで、既存の方法として、レート推定に非特許文献2の手段を用いた場合の結果を併せて掲載している。

【0062】
演算量は処理遅延と関連することから、乗算回数特性が低いほど低遅延であることが分かる。図7より、本発明は既存の方法よりもレート推定能力が向上していることが分かる。今回の条件下においてほぼ誤りなくレート推定可能な範囲は、シンボル消失確率pが0~0.66であり(0~66%であり)、動作域をほぼ網羅出来ていることが分かる。また、図8より、この時の乗算回数特性は低く抑えられていることが分かる。このことから、既存の方法よりも低演算遅延を実現していることが分かる。
(その他の実施形態)
本実施形態では、送信局及び目的局はそれぞれ2つのモードを有しているが、送信局及び目的局がさらに多くのモードを有していても構わない。

【0063】
本実施形態では、各モードの符号長を等しく設定したが、各モードの符号長を可変にしてレート推定しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、デジタル無線通信や有線通信路において、伝搬路の状況に応じて符号化率を変化させる伝送形態の実現と、この伝送形態において低演算かつ優れたレート推定成功率を実現する方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 送受信装置
3 送信局
5 目的局
10 入力部
20 符号化部
30 変調部
40 送信部
50 受信部
60 復調部
70 レート推定部
80 復号化部
90 出力部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7