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明細書 :反応状態分析方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-228336 (P2013-228336A)
公開日 平成25年11月7日(2013.11.7)
発明の名称または考案の名称 反応状態分析方法及び装置
国際特許分類 G01N  27/62        (2006.01)
FI G01N 27/62 F
G01N 27/62 G
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 9
出願番号 特願2012-101913 (P2012-101913)
出願日 平成24年4月27日(2012.4.27)
発明者または考案者 【氏名】内村 智博
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100110814、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 敏郎
審査請求 未請求
テーマコード 2G041
Fターム 2G041CA01
2G041DA03
2G041EA05
2G041GA06
2G041GA18
2G041JA16
要約 【課題】反応を開始してから生成物が生成されるまでの間の反応中間体や、反応開始から反応終了までの過渡的な反応状態を分析することができる反応状態分析方法を提供する。
【解決手段】 ガス化した試料を真空チャンバに供給し、レーザー光を照射しイオン化させることで反応状態を分析する反応状態分析方法であって、試料導入管に、反応させる同種又は異種混合の試料ガスを導入する工程と、試料導入管の先端の試料凝着部で前記試料ガスを冷却し、前記試料凝着部に凝着させて凝結体を生成する工程と、前記第一のレーザー照射手段により前記凝結体に前記第一のレーザー光を照射して前記凝結体から脱離ガスを生成させる工程と、前記脱離ガスを前記真空チャンバに間歇的に導入する工程と、前記第二のレーザー手段により前記脱離ガスに第二のレーザー光を照射してイオン化する工程とを有する。
【選択図】 図2
特許請求の範囲 【請求項1】
ガス化した試料を真空チャンバに供給し、レーザー光を照射しイオン化させることで反応状態を分析する反応状態分析方法であって、
前記真空チャンバに一種又は複数種の試料ガスを導入する試料導入管と、この試料導入管の先端に形成されたレーザー透過性の試料凝着部と、この試料凝着部に第一のレーザー光を照射する第一のレーザー照射手段と、前記試料導入管から前記真空チャンバに導入された前記試料ガスに第二のレーザー光を照射し試料イオンを形成する第二のレーザー照射手段とを準備し、
前記試料導入管に、反応させる一種又は複数種の試料ガスを導入する工程と、
前記試料凝着部で前記一種又は複数種の試料ガスを冷却し、前記試料凝着部に凝着させて凝結体を生成する工程と、
前記第一のレーザー照射手段により前記凝結体に前記第一のレーザー光を照射して前記凝結体から脱離ガスを生成させる工程と、
前記第二のレーザー照射手段により前記脱離ガスに第二のレーザー光を照射してイオン化する工程と、
を有することを特徴とする反応状態分析方法。
【請求項2】
前記第二のレーザー光の照射位置を前記脱離ガスの導入方向に沿って可変とし、反応状態の時間的変化を分析可能としたことを特徴とする請求項1に記載の反応状態分析方法。
【請求項3】
前記第二のレーザー光の照射位置を、第一のレーザー光の照射位置に一致させ、反応開始時の反応状態を分析可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の反応状態分析方法。
【請求項4】
前記試料凝着部に前記試料を凝結させた後にキャリアガスを停止させることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の反応状態分析方法。
【請求項5】
前記第一のレーザー光のエネルギを可変とし、温度との反応状態との関係を分析可能としたことを特徴とする請求項4に記載の反応状態分析方法。
【請求項6】
異種の試料ガスを別々に前記試料凝着部まで導き、前記試料凝着部で混合することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の反応状態分析方法。
【請求項7】
ガス化した試料を真空チャンバに供給し、レーザー光を照射しイオン化させて反応状態を分析する反応状態分析装置であって、
前記真空チャンバに一種又は複数種の試料ガスを導入する試料導入管と、
この試料導入管の先端に形成されたレーザー透過性の試料凝着部と、
この試料凝着部を冷却する冷却手段と、
この試料凝着部内に凝着した前記試料に第一のレーザー光を照射して脱離ガスを生成させる第一のレーザー照射手段と、
前記試料導入管から前記真空チャンバに導入された前記脱離ガスに第二のレーザー光を照射し試料イオンを形成する第二のレーザー照射手段と、
前記第二のレーザー光の照射位置を脱離ガスの導入方向に可変とする照射位置調整手段と、
を有することを特徴とする反応状態分析装置。
【請求項8】
前記試料を凝結させた後にキャリアガスを停止させるキャリアガス停止手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の反応状態分析装置。
【請求項9】
前記第一のレーザー照射手段は、前記第一のレーザー光のエネルギが可変であることを特徴とする請求項8に記載の反応状態分析装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、分子間で生じる化学反応の過程を解析することが可能な反応状態分析方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分子間で生じる化学反応は、反応前後の成分についてはその測定が可能であるものの、反応途中の中間体や生成物を、その発生直後に観測することは困難である。また、反応時の温度やガス雰囲気を瞬時に変化させることも困難である。一方、反応させるために、ある程度の量の反応物が必要になる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2009-69088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、反応条件を簡単かつ短時間で変更でき、反応を開始してから生成物が生成されるまでの間の反応中間体や、反応開始から反応終了までの過渡的な反応状態を分析することができる反応状態分析方法及びその装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために本願の発明者は、レーザーイオン化質量分析法に着目し、特に、本願発明者が発明したレーザー蒸発法を利用したレーザーイオン化質量分析法(特許文献1参照)に着目して本願発明に想到した。
【0006】
具体的に請求項1に記載の方法は、ガス化した試料を真空チャンバに供給し、レーザー光を照射しイオン化させることで反応状態を分析する反応状態分析方法であって、前記真空チャンバに一種又は複数種の試料ガスを導入する試料導入管と、この試料導入管の先端に形成されたレーザー透過性の試料凝着部と、この試料凝着部に第一のレーザー光を照射する第一のレーザー照射手段と、前記試料導入管から前記真空チャンバに導入された前記試料ガスに第二のレーザー光を照射し試料イオンを形成する第二のレーザー照射手段とを準備し、前記試料導入管に、反応させる一種又は複数種の試料ガスを導入する工程と、前記試料凝着部で前記一種又は複数種の試料ガスを冷却し、前記試料凝着部に凝着させて凝結体を生成する工程と、前記第一のレーザー照射手段により前記凝結体に前記第一のレーザー光を照射して前記凝結体から脱離ガスを生成させる工程と、前記第二のレーザー照射手段により前記脱離ガスに第二のレーザー光を照射してイオン化する工程とを有する方法としてある。
【0007】
この方法によれば、第一のレーザー光によって試料の凝結体から発生した脱離ガスは真空チャンバに導入され、第二のレーザー光によってイオン化される。第二のレーザー光を、前記脱離ガスが真空チャンバに導入される試料導入管の先端に可能な限り近づけることで、初期段階の反応の状態を分析することができる。
請求項2に記載するように、前記第二のレーザー光の照射位置を前記脱離ガスの導入方向に沿って可変とすることで、第二のレーザー光を前記先端から離間させていくことができ、反応状態の時間的変化を分析することができる。
なお、第一のレーザー光の照射位置を、前記試料凝着部における前記試料ガスの導入方向に沿って可変としてもよい。
また、請求項3に記載するように、前記第二のレーザー光の照射位置を、第一のレーザー光の照射位置に一致させてもよい。
このようにすることで、反応開始時(ゼロ時間)における反応状態を分析することができる。
【0008】
請求項4に記載するように、前記試料凝着部に前記試料を凝結させた後にキャリアガスを停止させるようにしてもよい。このようにすることで、前記試料の温度を求めてある温度における反応状態を分析することが可能になるとともに、他の分子種を無くすことで質量分解能を向上させることもできる。
請求項5に記載するように、前記第一のレーザー光のエネルギを可変とすることで、試料の温度変化による反応状態の変化を分析することが可能になる。
請求項6に記載するように、異種の試料ガスを別々に前記試料凝着部まで導き、前記試料凝着部で混合するようにしてもよい。このようにすることで第一のレーザーの照射位置で異種の試料ガスを混合し反応させることが可能になる。
【0009】
本発明の分析装置は、請求項7に記載するように、ガス化した一種又は複数種の試料を真空チャンバに供給し、レーザー光を照射しイオン化させて反応状態を分析する反応状態分析装置であって、前記真空チャンバに同種又は異種混合の試料ガスを導入する試料導入管と、この試料導入管の先端に形成されたレーザー透過性の試料凝着部と、この試料凝着部を冷却する冷却手段と、この試料凝着部内に凝着した前記試料に第一のレーザー光を照射して脱離ガスを生成させる第一のレーザー照射手段と、前記試料導入管から前記真空チャンバに導入された前記脱離ガスに第二のレーザー光を照射し試料イオンを形成する第二のレーザー照射手段と、前記第二のレーザー光の照射位置を脱離ガスの導入方向に可変とする照射位置調整手段とを有する構成としてある。
【0010】
請求項8に記載するように、前記試料を凝結させた後にキャリアガスを停止させるキャリアガス停止手段を有する構成としてもよい。
このようにすることで、前記試料の温度を求めてある温度における反応状態を分析することが可能になるとともに、他の分子種が無くなるので質量分解能を向上させることもできる。
請求項9に記載するように、前記第一のレーザー照射手段は、前記第一のレーザー光のエネルギが可変であるようにするのが好ましい。
このようにすることで、試料を異なる温度で加熱することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、化学反応終了後の状態だけでなく、従来は分析が困難であった化学反応の反応開始から反応終了までの過渡的な反応状態を分析することが可能になる。
また、脱離ガスをイオン化させる第二のレーザー光の照射位置を変化させることで、化学反応の途中状態を時間経過に沿って分析することが可能になるほか、第二のレーザー光の照射位置を脱離レーザー光の照射位置に一致させることで、反応開始時の反応状態を分析することも可能になる。
さらに本発明では、試料の温度と反応状態との関係を分析することも可能である。
なお、本発明においては、反応物が検出できない試料であっても、生成物が検出できる場合には反応物を推測することが可能であるため、環境分析などの現場における新たな分析手法として利用することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる反応状態分析装置の概略図、図2は試料導入管の先端部分の拡大断面及び第一のレーザー光及び第二のレーザー光による作用を説明する図である。
図1に示すように、この実施形態の分析装置1は、図示しない真空ポンプにより真空状態に保たれた真空チャンバ11と、この真空チャンバ11に試料を導入する試料導入管12と、試料導入管12の先端に形成された試料凝着部12aに脱離レーザー光13を照射する第一のレーザー照射手段14と、試料導入管12から真空チャンバ11に導入された脱離ガスにパルスレーザー光16を照射して試料イオンを生成する第二のレーザー照射手段17と、生成した試料イオンの分析を行う飛行時間型の質量分析器15と備えている。
【0013】
[試料導入管]
試料導入管12としては、試料を真空チャンバ11内に供給できるものであればよく、特に限定されないが、石英等の非誘電体で形成され有機分子の付着が生じにくいキャピラリであるのが好ましい。
真空チャンバ11内に位置する試料導入管12の先端には、急速冷却により前記試料を凝結させる試料凝着部12aが形成されている。試料凝着部12aは、レーザー光を透過するように透明な材料で形成される。試料導入管12が透明なキャピラリなどで形成される場合には、試料凝着部12aは試料導入管12の一部として形成することができるが、試料導入管12が金属のような不透明な材料や他の半透明な材料で形成される場合には、試料凝着部12aを石英やガラス等の透明な材料で形成して、試料導入管12の先端に取り付けるようにするとよい。
急速冷却するための手段としては、図2に示すように、試料導入管12の先端を絞ることによる生じる断熱膨張を利用することができる。急速冷却された試料は、試料凝着部12aで凝結して凝結体を形成する。
【0014】
なお、試料導入管12の内径は50~320μmとするのが好ましいが、絞りによる断熱膨張を利用する場合には、320μm以上とすることも可能である。
【0015】
また、試料凝着部12aの幅Xの寸法は小さいほどよく、第一のレーザー光13の直径Dは幅Xの寸法に近いものとするのが好ましい。
さらに、試料導入管12から真空チャンバ11に導入される試料ガス及びキャリアガスの総量は0.5ml/min~5ml/min以下とするのが好ましい。0.5ml/min以下だと、凝結体が形成されないほか反応状態の分析が困難になり、5ml/minを越えると試料全量の凝結体が困難になる。
【0016】
異種の試料ガスの試料導入管12への供給は、その手段を問わない。予めガス化した試料ガスをボンベ等から供給するようにしてもよいし、シリンジによって供給するようにしてもよい。試料導入管12の中に試料を収容し、試料導入管12ごと試料を加熱してガス化するものであってもよいし、前記ガスボンベやシリンジ等と試料導入管12との間にガスクロマトグラフを介在させてもよい。
異種の試料ガスは、試料導入管12内で混合しつつ流してもよいが、試料導入管12内での反応は抑制されるべきであることから、混合するのは可能な限り試料凝着部12aに接近した位置であるのが好ましい。
例えば図3に示すように、試料導入管12を外管121と内管122の二重構造とし、内管122の先端を試料凝着部12aに接近した位置に配置するとよい。
【0017】
[質量分析器]
飛行時間型の質量分析器15は、マイクロチャンネルプレート検出器等の検出器20とこの検出器20からの信号を処理するオシロスコープ21とを備える。図1において符号22~24は電極,25はミラーで、符号27は真空チャンバ11に脱離レーザー光13及びパルスレーザー光16を導入する導入窓である。
【0018】
[第一のレーザー照射手段]
試料の凝結体から脱離イオンを生成するための第一のレーザー照射手段14としては、脱離レーザー光13として窒素レーザー光やYAGレーザー光を照射するものを用いることができる。
また、パルス幅としては、数百fs~数百ns、より好適には10ps~100ns程度のパルス幅とするのが好ましい。
【0019】
また、脱離レーザー光13の光軸調整のために、少なくとも1枚のミラー25を用いる。脱離レーザー光13の光軸調整は、後述のイオン化のためのパルスレーザー光16の光軸調整に比して厳密でなくてもよい。脱離レーザー光13の照射位置を調整するために、ミラー25の位置は脱離レーザー光13の光軸に対して交叉する方向(矢印aで示す方向)に調整自在とするのが好ましい。
【0020】
[第二のレーザー照射手段]
第二のレーザー照射手段17としては、紫外パルスレーザー、真空紫外~赤外パルスレーザーを用いることができる。パルスレーザー光13のパルス波長は、240~270nmとするのが好ましい。また、パルス幅としては、数fs~数百ns、より好適には10fs~10ns程度のパルス幅とするのが好ましい
【0021】
パルスレーザー光16の光軸調整を行うために、この実施形態では三つのミラー25,25,25を使用している。パルスレーザー光16を真空チャンバ11内に向けて照射するためのミラー25は、パルスレーザー光16の光軸に対して交叉する方向(矢印bで示す方向)に位置調整自在とするのが好ましい。パルスレーザー光16の光軸を、図2中の矢印c方向に可変とすることで、各位置での反応状態を分析することが可能になり、反応状態の変移を解析することが可能になる。
なお、パルスレーザー光16の光軸を図2中矢印の方向に移動させることで、パルスレーザー光16の照射位置を脱離レーザー光13の照射位置に一致させることが可能である(図3参照)。
【0022】
[その他]
キャリアガスは、図示しないボンベから試料導入管12に供給され、試料ガスとともに真空チャンバ11に導入される。図1に示すように、前記ボンベと試料導入管12との間に切換バルブ26を設け、キャリアガスの供給を停止できるようにするとよい。
キャリアガスの供給を停止させることで、真空下での化学反応を観測することが可能になるほか、試料導入管12の先端から真空チャンバ11に導入される試料の速度を測定することが可能になる。
【0023】
図4は、脱離レーザー光13を照射してからパルスレーザー光16を照射するまでの照射の時間間隔と信号強度との関係を示すグラフである。図において(A)がキャリアガス有りの場合を、(B)がキャリアガス無しの場合を示している。(A)(B)の両方の場合において試料ガスがパルス状に導入されており、キャリアガス無しの場合には試料の噴出速度が遅くなっていることがわかる。
また、キャリアガスを止めた状態で、試料導入管12の先端から真空チャンバ11に導入される試料ガスの速度と公知の関係式(例えばマクスウェル・ボルツマン分布の式)を用いて、導入される試料の温度を求めることができ、温度と反応状態との関係を分析することが可能になる。また、第一のレーザー照射手段14のエネルギを大小変化させることで、温度を変化させたときの反応状態の変化を分析することが可能になる。
【0024】
図5は、脱離レーザー光13を照射することで得られた質量スペクトルである。この図から、試料分子に由来するイオン(a)の他に、化学反応により得られた成分(b)が観測されていることがわかる。また、脱離レーザー光13とパルスレーザー光16の照射の時間間隔を変化させたり、またはパルスレーザー光16の照射位置を変えたりすることにより、各成分の信号強度比が変化する。尚、両レーザー光13,16間の照射位置間隔については、両レーザー光13,16を重ね合わせることも可能で、ゼロにすることもできる(図3参照)。従って、化学反応に伴う過渡的な情報については、例えば1kHzの繰り返し周波数をもつレーザーで測定した場合、0~1msの時間スケールで得ることができる。
【0025】
[作用の説明]
上記構成の分析装置の作用を説明する。
試料ガスを試料導入管12に供給する。キャリアガスを含めたガスの総量は、0.5ml/min~5ml/minの範囲内であるのが好ましい。
試料導入管12に供給された試料ガスは、キャリアガスとともに試料凝着部12aに送られ、この試料凝着部12aで断熱膨張により急速に冷却される。これにより、試料凝着部12aに試料の凝結体が形成される。
次いで、第一のレーザー照射手段14から脱離レーザー13を試料凝着部12aに向けて照射し、前記凝結体から脱離ガスを生成させる。
【0026】
この脱離ガスは、キャリアガスとともに真空チャンバ11に導入される。真空チャンバ11では、第二のレーザー光照射手段17により脱離ガスにパルスレーザー光16を照射してイオン化する。電極23,24によって加速された試料イオンは、質量分析器15に導入され、検出器20に衝突する。オシロスコープ21は、試料イオンが検出器20に到達する時間の差を分析結果として出力する。
脱離レーザー光13とパルスレーザー光16との位置関係(距離)や照射の時間間隔、エネルギ等の諸条件は任意に設定することができる。そして、前記距離や時間間隔、エネルギといった諸条件のそれぞれ又はこれらの組み合わせを一定に保ったり、これらを徐々に大きく又は小さくしたりするなど変化させることで、種々の条件下における反応状態を分析することができる。
また、キャリアガスを停止させることで、試料の温度を求めることができ、温度と反応状態との関係を分析することができるほか、他の分子種が無くなるので質量分解能を向上させることができる。
【0027】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明に限定されるものではない。
例えば、上記の説明では、試料凝着部12aで試料を冷却して凝結させる手段として断熱膨張を例に挙げたが、これ以外の方法で試料を凝結させることも可能である。
また、イオントラップを設けて目的とするもののみを捕捉するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の方法及び装置は、液体、気体、固体に限らずガス化できる試料の反応分析に広範に利用することができ、金属や半導体などの表面分析、DNAやタンパクなどの高分子の分析などに広範に適用が可能である。また、本発明は、異種試料を混合することで生じる反応状態だけでなく、加熱等によって一種類の試料に生じる状態変化の分析にも適用が可能である。
さらに、反応物が検出できない成分であっても、生成物が検出できる場合には反応物を推測することが可能であるため、環境分析などの現場における新たな分析手法として利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態にかかる反応状態分析装置の概略図である。
【図2】試料導入管の先端部分の拡大断面及び第一のレーザー光及び第二のレーザー光による作用を説明する図である。
【図3】試料導入管の他の実施形態にかかり、先端部分の拡大断面である。
【図4】脱離レーザー光を照射してからパルスレーザー光を照射するまでの照射の時間間隔と信号強度との関係を示すグラフである。
【図5】脱離レーザー光を照射することで得られた質量スペクトルである。
【符号の説明】
【0030】
1 反応状態分析装置
11 真空チャンバ
12 試料導入管
12a 試料凝着部
13 脱離レーザー光
14 第一のレーザー照射手段
15 質量分析器
16 パルスレーザー光
17 第二のレーザー照射手段
20 検出器
22,23,24 電極
25 ミラー
26 切換バルブ
27 導入窓
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4