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明細書 :土壌中油分の分析方法及び装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-228337 (P2013-228337A)
公開日 平成25年11月7日(2013.11.7)
発明の名称または考案の名称 土壌中油分の分析方法及び装置
国際特許分類 G01N  27/62        (2006.01)
G01N  27/64        (2006.01)
G01N  33/24        (2006.01)
G01N  31/00        (2006.01)
FI G01N 27/62 V
G01N 27/64 B
G01N 27/62 K
G01N 27/62 C
G01N 33/24 D
G01N 31/00 V
G01N 31/00 Y
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2012-101914 (P2012-101914)
出願日 平成24年4月27日(2012.4.27)
発明者または考案者 【氏名】内村 智博
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100110814、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 敏郎
審査請求 未請求
テーマコード 2G041
2G042
Fターム 2G041CA01
2G041DA03
2G041EA01
2G041EA06
2G041FA07
2G041GA06
2G041GA17
2G041GA22
2G041GA25
2G041HA01
2G041JA20
2G042AA01
2G042BD01
2G042CA05
2G042CB06
2G042EA03
2G042EA07
2G042FA20
2G042FB02
要約 【課題】ガソリン等の油分が土壌に含まれているか否か、含まれているとしたらどの成分がどの程度含まれているかの定量的・定性的分析を短時間で行うことができる土壌中油分の分析方法を提供する。
【解決手段】 土壌中に含まれる油分の分析方法において、抽出用の溶媒と土壌との混合溶液を攪拌した後、濾過して試料を得る工程と、この試料から試料ガスを生成する工程と、この試料ガスを真空チャンバに供給し、レーザー光を照射することでイオン化させて飛行時間型質量分析手段に導入する工程とを有する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
土壌中に含まれる油分の分析方法において、
抽出用の溶媒と土壌との混合溶液を攪拌した後、濾過して試料を得る工程と、
この試料から試料ガスを生成する工程と、
この試料ガスを真空チャンバに供給し、レーザー光を照射することでイオン化させて飛行時間型質量分析手段に導入する工程と、
を有することを特徴とする土壌中油分の分析方法。
【請求項2】
前記試料の構成成分をガスクロマトグラフにより分離し、分離した各成分を前記レーザー光によりイオン化することを特徴とする請求項1に記載の土壌中油分の分析方法。
【請求項3】
前記真空チャンバに前記試料ガスを導入する第一の試料導入管と、この第一の試料導入管に着脱自在に連結された第二の試料導入管と、この第二の試料導入管に挿脱自在な第三の試料導入管とを準備し、前記第三の試料導入管に前記試料を収容して前記第二の試料導入管に挿入し、前記第三の試料導入管から前記真空チャンバに前記試料ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の土壌中油分の分析方法。
【請求項4】
前記試料の構成成分のうち、前記レーザー光の照射により高感度に検出される成分が溶出した後に、前記レーザー光のエネルギを増大させるか、又は飛行時間型質量分析手段の検出器の検出感度を高めることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の土壌中油分の分析方法。
【請求項5】
土壌中に含まれる油分の分析装置において、
真空チャンバ内に試料ガスを導入する試料導入手段と、
導入された前記試料ガスにレーザー光を照射してイオン化するレーザー照射手段と、
生成した試料イオンの分析を行う飛行時間型質量分析手段と、
を備えることを特徴とする土壌中油分の分析装置。
【請求項6】
前記試料導入管が、前記真空チャンバに前記試料ガスを導入する第一の試料導入管と、この第一の試料導入管に着脱自在に連結された第二の試料導入管と、この第二の試料導入管に挿脱自在で前記試料を収容する第三の試料導入管とを有し、前記第一の試料導入管と前記第二の試料導入管とを連結手段で連結したことを特徴とする請求項5に記載の土壌中油分の分析装置。
【請求項7】
前記試料導入管が、前記真空チャンバに前記試料ガスを導入する第一の試料導入管と、この第一の試料導入管に連結された第二の試料導入管と、この第二の試料導入管に挿脱自在で前記試料を収容する第三の試料導入管とを有し、前記第三の試料導入管の外径を前記第一の試料導入管の内径よりも大きく形成したことを特徴とする請求項5に記載の土壌中油分の分析装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌中に含まれる油分の分析方法及び装置にかかり、特に、ガソリン、軽油、灯油、重油等(以下、ガソリン等と記載する)の芳香族成分を含む油分の分析に適した方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンスタンド等の事業所においては、例えば廃業後の跡地の土壌に蓄積したガソリン等の油分による環境汚染が問題となる。このような油分は長く土壌中に留まり、土壌汚染や飲料水汚染につながる可能性があることから、土壌中のガソリン等の油分を分析して、早期に分解・除去する必要がある。
【0003】
土壌中の油分の分析方法としては、例えば、採取した土壌に脱水剤を混合して水分を除去した後、脱水された土壌に油分の抽出溶媒として有機溶剤を加えて混合し、抽出された溶液中の油分を定量分析する方法や、採取した土壌に有機溶剤を加えて混合した後に固液分離し、液体である前記有機溶剤に溶出した油分を定量分析する方法が知られている。
また、定量分析する方法としては、溶剤を揮発させた残りから油分の重量を定量する重量法、溶液を赤外分光計で測定するIR法、溶液をガスクロマトグラフで定量するGC法等が知られている(例えば、特許文献1~4参照)。
環境省中央環境審議会では、土壌の油汚染対策ガイドラインを策定し、その中で全石油系炭化水素の簡易分析法として、ガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器を紹介している。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2011-252707号公報
【特許文献2】特開2011-163936号公報
【特許文献3】特開2006-234631号公報
【特許文献4】特開2004-239793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の方法では、分析の手順が複雑で分析結果を得るまでに数時間を要するという問題がある。
また、特にガソリン等の燃料は構成成分が多種多様であり、それらが複数あるいは多数の環境汚染物質と混在する場合、その定量的・定性的分析は困難であるという問題がある。さらに、環境実試料の測定前には、どのような成分がどの程度の量含まれているか不明なため、対象試料がどの程度汚染されているかを迅速に評価する技術の確立が要望されている。
一方、例えばバイオレメディエーションを用いて土壌浄化を実施する場合、土壌の浄化状況に応じて微生物の種類や導入量を変える必要がある。そのため、土壌の汚染状況を迅速に評価することが、土壌浄化の効率化やコストダウンの観点から求められている。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、ガソリン等の油分が土壌に含まれているか否か、含まれているとしたらどの成分がどの程度含まれているかの定量的・定性的分析を簡単かつ短時間で行うことができる土壌中油分の分析方法及び分析装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために本発明の土壌中油分の分析方法は、土壌中に含まれる油分の分析方法において、抽出用の溶媒と土壌との混合溶液を攪拌した後、濾過して試料を得る工程と、この試料から試料ガスを生成する工程と、この試料ガスを真空チャンバに供給し、レーザー光を照射することでイオン化させて飛行時間型質量分析手段に導入する工程とを有する方法としてある。
本発明の方法においては、前記試料の構成成分をガスクロマトグラフにより分離し、分離した各成分を前記レーザー光によりイオン化するようにしてもよいが、前記真空チャンバに前記試料ガスを導入する第一の試料導入管とこの第一の試料導入管に着脱自在に連結された第二の試料導入管と、この第二の試料導入管に挿脱自在な第三の試料導入管とを準備し、前記第三の試料導入管に前記試料を収容して前記第二の試料導入管に挿入し、前記第三の試料導入管から前記真空チャンバに前記試料ガスを供給するようにしてもよい。
このようにすることで、第三の試料導入管とともに試料の交換が容易で、かつ、第二の試料導入管や第三の試料導入管が試料によって汚染されても、これらを容易に交換することができる。
【0008】
また、前記試料の構成成分のうち、前記レーザー光の照射により高感度に検出される成分が溶出した後に、前記レーザー光のエネルギを増大させるか、又は飛行時間型質量分析手段の検出器の検出感度を高めるようにしてもよい。
このようにすることで、検出感度が低い成分も分析することが可能になる。
さらに、土壌と溶媒との混合溶液は、一回の濾過程度では夾雑物を除去できないことがある。そこで、前記混合溶液を濾過した後に固相抽出カートリッジに通すことで、濾過液に含まれる夾雑物を除去することができる。
【0009】
本発明の分析装置は、土壌中に含まれる油分の分析装置において、真空チャンバ内に試料ガスを導入する試料導入手段と、導入された前記試料ガスにレーザー光を照射してイオン化するレーザー照射手段と、生成した試料イオンの分析を行う飛行時間型質量分析手段と構成としてある。
この場合、前記試料導入管が、前記真空チャンバに前記試料ガスを導入する第一の試料導入管と、この第一の試料導入管に着脱自在に連結された第二の試料導入管と、この第二の試料導入管に挿脱自在で前記試料を収容する第三の試料導入管とを有し、前記第一の試料導入管と前記第二の試料導入管とを連結手段で連結した構成としてもよい。
このようにすることで、第三の試料導入管とともに試料の交換が容易で、かつ、第二の試料導入管や第三の試料導入管が試料によって汚染されても、これらを容易に交換することができる。
また、前記試料導入管が、前記真空チャンバに前記試料ガスを導入する第一の試料導入管と、この第一の試料導入管に連結された第二の試料導入管と、この第二の試料導入管に挿脱自在で前記試料を収容する第三の試料導入管とを有し、前記第三の試料導入管の外径を前記第一の試料導入管の内径よりも大きく形成した構成としてもよい。
この構成によっても、第三の試料導入管とともに試料の交換が容易である。
【発明の効果】
【0010】
本発明は飛行時間型質量分析法を用いているので、高速分析が可能で夾雑物の影響を受けにくく、ガソリン等の油分が土壌に含まれているか否かを短時間で定量的・定性的に分析することができる。
特に、第一の試料導入管に対して第三の試料導入管を着脱自在とすることで、試料の交換を短時間で行うことができる。
また、第一の試料導入管に対して第二の試料導入管や第三の試料導入管を着脱自在とすることで、第二の試料導入管や第三の試料導入管が汚染されても交換が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる分析装置の概略図である。
図1に示すように、この実施形態の分析装置1は、図示しない真空ポンプにより真空状態に保たれた真空チャンバ11と、この真空チャンバ11に試料ガスを導入する試料導入管12と、試料導入管12から真空チャンバ11に導入された前記試料ガスにパルスレーザー光13を照射して試料イオンを生成するレーザー照射手段14と、生成した試料イオンの分析を行う飛行時間型の質量分析器15とを備えている。
【0012】
飛行時間型の質量分析器15は、マイクロチャンネルプレート検出器等の検出器20とこの検出器20からの信号を処理するデジタイザ21とを備える。図1において符号22~24は電極、25はミラーで、符号27は真空チャンバ11にパルスレーザー光13を導入する導入窓である。
【0013】
試料導入管12としては、試料を真空チャンバ11内に供給できるものであればよく、特に限定されないが、石英等の非誘電体で形成され有機分子の付着が生じにくいキャピラリであるのが好ましい。また、その内径は50~320μmが好ましい。試料導入管12の内径が50μmより小さいと、試料の導入が円滑に行われず、ピーク強度が変動するとともに、測定時間の増加の原因となる。また、320μmより大きいと、真空チャンバ11を高真空に保てなくなる。試料導入管12から真空チャンバ11に導入される試料ガスとキャリアガスとの総量は20ml/min以下であるのが好ましい。ガスの総量が20ml/minを越えると、電極の放電等の悪影響が生じる。
【0014】
試料導入管12の先端とパルスレーザー光13とは、イオン化効率を高くするために可能な限り近接させるのが好ましい。
【0015】
ガソリンのような芳香族成分を含む燃料類を分析する場合には紫外パルスレーザーを用いるのがよい。紫外パルスレーザーを用いることで、紫外領域の光子を吸収する芳香族成分のみを選択的に検出することができる。紫外パルスレーザー光13のパルス波長は180~380nmとするのがよく、パルス幅としては数fs~数十ns、より好適には80fs~10ns程度のパルス幅とするのがよい。
ガソリンのような燃料類を分析する場合の紫外パルスレーザーのエネルギは50μJ/パルス以下とするのがよい。これ以上のエネルギだとガソリン等に多く含まれる低分子量成分由来のフラグメントが過度に生成されるため、定量・定性分析に不向きになる。
また、質量/電荷(m/z値)が一定以上の領域で、紫外パルスレーザーのエネルギを例えば100μJ/パルス以上に上げたり、検出器20の感度を上げたりすることで、土壌中の油分の成分を広範囲に分析することが可能になる。
【0016】
図2は、試料導入管12の構成を説明する拡大断面図である。
試料導入管12は、真空チャンバ11内に連通する第一の試料導入管12aと、この第一の試料導入管12aにミニユニオン12dを介して連結された第二の試料導入管12bと、この第二の試料導入管12b内に挿脱自在に挿入されて試料を保持する第三の試料導入管12cとを有する。
この実施形態では、試料を保持した第三の試料導入管12cはヒータ26によって加熱されるようになっていて、ヒータ26の加熱によりガス化した試料(試料ガス)が、キャリアガスとともにミニユニオン12dから第一の試料導入管12aに流れ、真空チャンバ11に供給される。
【0017】
この実施形態のような試料導入管12では、真空チャンバ11の真空圧により第三の試料導入管12cが第一の試料導入管12a側に吸い寄せられる可能性があるが、ミニユニオン12dがストッパとなって第三の試料導入管12c及び試料が真空チャンバ11内に吸い込まれることはない。また、第二の試料導入管12bの一端にはセプタム等で形成された栓をして、キャリアガスや大気が第二の試料導入管12bと第三の試料導入管12cとの間の隙間を通って真空チャンバ11に流れ込まないようにするのが好ましい。
【0018】
図3は、他の実施形態にかかる試料導入管12の構成を示す拡大断面図である。
この実施形態の試料導入管12は、図2の実施形態と同様に第一の試料導入管12a、第二の試料導入管12b及び第三の試料導入管12cを備えているが、先の実施形態と異なり、ミニユニオン12dは用いていない。第一の試料導入管12aと第二の試料導入管12bとは連結され、第二の試料導入管12cの外径d2は第一の試料導入管12aの内径d1より大きく形成されている。そのため、真空チャンバ11の真空圧により第三の試料導入管12cが第一の試料導入管12a側に吸い寄せられても、第三の試料導入管12cが第一の試料導入管12aに当接することで真空チャンバ11に吸い込まれないようになっている。
この実施形態では、ミニユニオン12dが不要になるので、装置構成を簡単にできる。また、先の実施形態と同様に、第三の試料導入管12cの交換が容易である。
【0019】
第一の試料導入管12a、第二の試料導入管12b及び第三の試料導入管12cの好適な寸法例としては、第一の試料導入管12aの内径として100μmを、第二の試料導入管12bの内径として320μmを、第三の試料導入管12cの内径として100μm及び外径として200μmを挙げることができる。そして、第三の試料導入管12cに0.1μl程度の試料を吸い取らせて保持させ、第二の試料導入管12bに挿入するとよい。
【0020】
次に上記構成の分析装置の作用を、本発明の方法とともに説明する。
まず、分析を行う土地から土壌を採取し、抽出用の溶媒を混合して超音波振動を付与する。これにより、土壌中の油分が抽出溶媒中に溶出する。
溶媒と土壌との混合溶液を濾紙に通して濾過し、微粒子を除去した濾過液を得る。この濾過液には、一回程度の濾過では除去できない夾雑物が混入していることがあるが、固相抽出カートリッジを一回以上通すことで、このような夾雑物を除去することが可能である。このようして得られた試料を、分析に必要な分量だけ第三の試料導入管12cに吸い取らせて保持させる。
この第三の試料導入管12cを、第二の試料導入管12bに挿入して加熱し、試料から発生したガスをキャリアガスとともに第一の試料導入管12aを介して真空チャンバ11に供給する。
真空チャンバ11では、第一の試料導入管12aから導入された試料ガスにパルスレーザーを照射してイオン化する。電極23,24によって加速された試料イオンは、質量分析器15に導入され、検出器20に衝突する。デジタイザ21は、試料イオンが検出器20に到達する時間の差を分析結果として出力する。
【0021】
上記構成の方法及び装置を用いてガソリンを含む土壌の分析実験を行った。また、ガソリン試料を用いて比較実験を行った。
その結果を図4に示す。図4は、本発明の装置及び方法を用いて実験を行った結果を示す質量スペクトルである。図4のグラフに示される三つのピークは、それぞれトルエン、キシレン異性体、プロピルベンゼン異性体を示す。特に図示はしないが、図4の結果はガソリン試料を用いた比較実験の結果と一致した。このことから、本発明の装置及び方法は土壌に含まれる油分の分析に好適であることがわかる。
【0022】
[実施例]
本発明の装置を利用した具体的な実施例について説明する。本発明では、試料導入管12にガスクロマトグラフを接続することも可能であることから、以下の実施例では、試料導入管12にガスクロマトグラフを接続して実験を行った。
ガソリンを含有する土壌1gに抽出用の溶媒であるヘキサンを10ml以上加え、1分以上超音波処理を行って混合する。次に、土壌の微細粒子を除去するために、土壌とヘキサンとの混合溶液を濾紙に通し、得られた濾過液をシリカベース又はポリマーベースの固相抽出カートリッジに一回以上通して、前記濾過液に残る夾雑物を除去した試料を得た。
【0023】
試料を30℃(10分)で加熱した後、毎分5℃の割合で200℃まで昇温し、さらに毎分10℃の割合で250℃まで昇温して1分間加熱した。加熱昇温時間の合計は50分である。
パルスレーザーとしては波長266nmの紫外パルスレーザーを用いた。紫外パルスレーザーを用いることで、ガソリンに含まれる脂肪族成分のピークを消失させ、芳香族成分のみを選択的に検出できるため、ピーク同士の重なりがなくなり測定時間を短縮することができる。
一方、得られたピーク信号の質量の最大は208uであり、JISに記載されている成分のうち、最大の質量をもつテトラデカンよりも大きい。このことから、本発明の方法及び装置により、ガソリンに含まれる広範囲にわたる質量をもつ成分を網羅的に測定でき、土壌中のガソリン成分を高精度に測定可能であることがわかる。
【0024】
図5にこの実施例の分析結果を示す。図5において横軸は保持時間、縦軸は飛行時間である。m/z118辺りで保持時間が早い領域(A)と、保持時間が遅い領域(B)に分けることができる。波長266nmの紫外パルスレーザーを用いた場合、領域(A)のピーク信号は相対的に大きく、領域(B)のピーク信号は小さい。このため、領域(A)から領域(B)に移行する際に、マイクロチャンネルプレート等の検出器20の感度を上げるか紫外パルスレーザーのエネルギを上げるかして、領域(A)の信号を飽和させることなく、領域(B)の信号強度を増加させることができる。
図5に示すように領域(A)に対して領域(B)の成分のフラグメント生成量が少ないこと、またフラグメントが生成しても質量スペクトルから試料イオンを分けて検出できることから、紫外パルスレーザーのエネルギを100μJ程度まで上げることが可能である。このようにすることで、高質量のガソリン成分についても高感度に分析できる。
【0025】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明に限定されるものではない。
例えば、上記の説明ではミニユニオン12dによって第三の試料導入管12c及び試料の真空チャンバ11への吸い込みを防止しているが、ミニユニオン12dを使用しなくても、他のストッパを第一の試料導入管12aや第二の試料導入管12bに設けることで、同様の機能を発揮させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の方法及び装置は土壌中の油分の分析に広範に用いることができるが、特にガソリンや灯油、軽油、重油等のように芳香族成分を含有する油分の分析をリアルタイムに行う場合に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態にかかる分析装置の概略図である。
【図2】試料導入管の構成を説明する拡大断面図である。
【図3】他の実施形態にかかる試料導入管の構成を説明する拡大断面図である。
【図4】本発明の作用及び効果を示す検証実験の結果を示すグラフである。
【図5】ガソリンを含む土壌を用いた実施例における分析結果である。
【符号の説明】
【0028】
1 分析装置
11 真空チャンバ
12 試料導入管
12a 第一の試料導入管
12b 第二の試料導入管
12c 第三の試料導入管
12d ミニユニオン
13 パルスレーザー光
14 レーザー照射手段
15 質量分析器
20 光検出器
21 デジタイザ
22,23,24 電極
25 ミラー
26 ヒータ
27 導入窓
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4