TOP > 国内特許検索 > BNCT-PDT併用療法、及びBNCT-PDT両用増感剤 > 明細書

明細書 :BNCT-PDT併用療法、及びBNCT-PDT両用増感剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-227233 (P2013-227233A)
公開日 平成25年11月7日(2013.11.7)
発明の名称または考案の名称 BNCT-PDT併用療法、及びBNCT-PDT両用増感剤
国際特許分類 A61K  41/00        (2006.01)
A61K  31/409       (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
FI A61K 41/00
A61K 31/409
A61P 35/00
A61P 43/00 125
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2012-098918 (P2012-098918)
出願日 平成24年4月24日(2012.4.24)
発明者または考案者 【氏名】三好 憲雄
【氏名】アンドリアーナ ビー.ビビン
【氏名】アレキサンダー エー.シティル
【氏名】バレリー エヌ.カリニン
【氏名】バレンティーナ エー.オルシェフスカヤ
【氏名】アンドレイ ブイ.ツァイツェフ
【氏名】田中 浩基
【氏名】小野 公二
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100076484、【弁理士】、【氏名又は名称】戸川 公二
審査請求 未請求
テーマコード 4C084
4C086
Fターム 4C084AA11
4C084ZB261
4C086AA01
4C086CB04
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZB26
4C086ZC71
要約 【課題】 BNCTやPDTを単独で行うよりも悪性腫瘍の治療効果を格段に向上できる新規なBNCT-PDT併用療法、及びそれに用いるBNCT-PDT両用増感剤を提供すること。
【解決手段】 悪性腫瘍に侵された哺乳動物の治療方法において、ホウ素化合物が結合したポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有する増感剤を投与した後、増感剤が蓄積された腫瘍組織に中性子線を照射してBNCTを行い、更にBNCTを行った腫瘍組織に対して、増感剤が排泄される前に波長630~675nmの可視レーザ光を照射してPDTを行う治療方法を採用した。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
悪性腫瘍に侵された哺乳動物の治療方法であって、ホウ素化合物が結合したポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有する増感剤を投与した後、増感剤が蓄積された腫瘍組織に中性子線を照射してBNCTを行い、更にBNCTを行った腫瘍組織に対して、増感剤が排泄される前に波長630~675nmの可視レーザ光を照射してPDTを行うことを特徴とするBNCT-PDT併用療法。
【請求項2】
ホウ素化合物が結合したフッ素化ポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有する増感剤を投与することを特徴とする請求項1記載のBNCT-PDT併用療法。
【請求項3】
カゴ状ボラン化合物が結合したフッ素化ポリフィリノイドまたはその金属錯体を含有する増感剤を投与することを特徴とする請求項2記載のBNCT-PDT併用療法。
【請求項4】
下記の化学式で表されるフッ素化ポルフィリンまたはその金属錯体を含有する増感剤を投与することを特徴とする請求項3記載のBNCT-PDT併用療法。
【化1】
JP2013227233A_000009t.gif
(左側の構造式中のM及びRは、右側の[a]~[h]の何れかの組み合わせをとる。)
【請求項5】
下記の化学式で表されるフッ素化ポルフィリンを含有する増感剤を投与することを特徴とする請求項4記載のBNCT-PDT併用療法。
【化2】
JP2013227233A_000010t.gif
(左側の構造式中のM及びRは、右側の[c]の組み合わせをとる。)
【請求項6】
PDT時において630~640nmと660~670nmの二波長の可視光線を同時に照射することを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載のBNCT-PDT併用療法。
【請求項7】
ホウ素化合物を結合したポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有する増感剤であって、増感剤を投与した後、増感剤が蓄積された腫瘍組織に中性子線を照射してBNCTを行い、更にBNCTを行った腫瘍組織に対し、増感剤が排泄される前に波長630~675nmの可視光線を照射してPDTを行うBNCT-PDT併用治療に用いられることを特徴とするBNCT-PDT両用増感剤。
【請求項8】
ホウ素化合物を結合したフッ素化ポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有していることを特徴とする請求項7記載のBNCT-PDT両用増感剤。
【請求項9】
カゴ状ボラン化合物を結合したフッ素化ポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有していることを特徴とする請求項8記載のBNCT-PDT両用増感剤。
【請求項10】
下記の化学式で表されるフッ素化ポルフィリンまたはその金属錯体を含有していることを特徴とする請求項9記載のBNCT-PDT両用増感剤。
【化1】
JP2013227233A_000011t.gif
(左側の構造式中のM及びRは、右側の[a]~[h]の何れかの組み合わせをとる。)
【請求項11】
下記の化学式で表されるフッ素化ポルフィリンを含有していることを特徴とする請求項10記載のBNCT-PDT両用増感剤。
【化2】
JP2013227233A_000012t.gif
(左側の構造式中のM及びRは、右側の[c]の組み合わせをとる。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、悪性腫瘍の新規な治療法であって、ホウ素中性子補足療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)と光線力学療法(Photodynamic Therapy:PDT)を利用して悪性腫瘍を効果的に治療するBNCT-PDT併用療法、及びそれに用いるBNCT-PDT両用増感剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、悪性腫瘍の治療法として、外科手術や抗ガン化学療法よりも身体への負担が小さいBNCTやPDTの研究が進められている。ちなみに、「BNCT」は、腫瘍集積性のある放射線増感剤(ホウ素化合物)を投与した後、ホウ素(10B)が集積した腫瘍に熱中性子線を照射して、ホウ素と熱中性子の核反応により腫瘍細胞を死滅させる治療法である。
【0003】
また、「PDT」は、腫瘍集積性のある光増感剤(ポルフィリン化合物やクロリン化合物等)を投与し、増感剤が集積した腫瘍組織に所定波長の光(630~670nmの赤色レーザ)を照射して、光増感剤の光化学反応により腫瘍細胞を壊死させる治療法であり、BNCTとPDTは腫瘍に集積する増感剤を用いる点で共通している。
【0004】
そして、従来においては、上記BNCTとPDTのどちらにも使用できる増感剤も開発されており、具体的な物質としては、特許文献1~6及び非特許文献1に記載のホウ素化ポルフィリンや、特許文献7及び非特許文献2,3に記載のカゴ状ボラン化合物が結合されたフッ素化ポルフィリン(又はクロリン)などが知られている。
【0005】
しかし、上記文献中には、ホウ素化ポルフィリン等の特性について、BNCTとPDTの二つの療法で使用できるという多用途性や、各療法での治療効果に関する説明があるものの、これらをBNCTとPDTを併用する新たな治療法に用いるといった試みについては何ら言及されていない。
【0006】
また、非特許文献4や5には、PDTの後治療としてBNCTを行うことが示唆されているが、こちらも増感剤が排泄される前にPDTとBNCTを両方行うかどうかが不明であり、また治療の順番もPDT(前)-BNCT(後)しか検討されておらず、これにより顕著な治療効果があがったことも報告されていない。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2005-504012号公報
【特許文献2】特表2008-504365号公報
【特許文献3】特表2008-505983号公報
【特許文献4】特表2010-511704号公報
【特許文献5】特開2011-37748号公報
【特許文献6】特開2001-233883号公報
【特許文献7】RU2402554号公報
【0008】

【非特許文献1】Doklady Chemistry,2010,Vol435,Part2,pp334-338
【非特許文献2】Lasers Surg Med.2011 January;43(1):52-58
【非特許文献3】Org.Biomol.Chem.,2008,6,3732-3740
【非特許文献4】科学研究費補助金研究成果
【非特許文献5】第8回日本中性子補足療法学会学術大会講演要旨集(2011.9.16・17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の技術的背景の中で為されたものであり、その目的とするところは、BNCTをPDTを併用することで、BNCTやPDTを単独で行うよりも悪性腫瘍の治療効果を格段に向上できるBNCT-PDT併用療法、及びそれに用いるBNCT-PDT両用増感剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0011】
即ち、本発明は、悪性腫瘍に侵された哺乳動物の治療方法において、ホウ素化合物が結合したポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有する増感剤を投与した後、増感剤が蓄積された腫瘍組織に中性子線を照射してBNCTを行い、更にBNCTを行った腫瘍組織に対して、増感剤が排泄される前に波長630~675nmの可視レーザ光を照射してPDTを行うようにした点に特徴がある。
【0012】
なお、上記「ポリフィリノイド」には、ポルフィリンやクロリン、フタロシアニン、コロール等が含まれる。
【0013】
また、上記投与する増感剤については、ホウ素化合物が結合したフッ素化ポルフィリノイドまたはその金属錯体を含有していることが薬剤の溶解性の点から好ましく、また更にBNCTの治療効果の点では、カゴ状ボラン化合物が結合したフッ素化ポリフィリノイドまたはその金属錯体を含有しているのが好ましい。
【0014】
そしてまた、上記投与する増感剤を更に特定するとすれば、下記の化学式で表されるフッ素化ポルフィリンまたはその金属錯体を含有する増感剤であることが望ましい。
【化1】
JP2013227233A_000003t.gif
(なお、左側の構造式中のM及びRは、右側に記載した[a]~[h]の何れかの組み合わせをとる。)
【0015】
そして、上記の化学式で表される物質の中でも、特に下記の化学式で表されるフッ素化ポルフィリンを含有する増感剤であることが望ましい。
【化2】
JP2013227233A_000004t.gif
(左側の構造式中のM及びRは、右側の[c]の組み合わせをとる。)
【0016】
また、上記PDTを行う際に、BNCTを行った腫瘍組織に対し630~640nmと660~670nmの二波長の可視光線を同時に照射すれば、本発明の治療効果を更に向上することも可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、BNCTとPDTの両方に使用できる増感剤(ホウ素化ポルフィリノイド)を投与し、この増感剤が排泄される前に、BNCT(前)-PDT(後)の順番で両治療を連続的に行ったことにより、各治療を単独で行った場合と比較して腫瘍細胞の壊死率を格段に向上させることができた。
【0018】
これにより、本発明のBNCT-PDT併用療法を使用すれば、悪性の脳腫瘍などの顕著な治療効果が見込めるだけでなく、従来において複数回必要であった増感剤の投与を一回に抑えることで身体にかかる負担も軽減できることから、本発明の医療分野における実用的利用価値は頗る高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】治療効果の確認試験[1]で得られた腫瘍細胞の壊死率を示すグラフである。
【図2】治療効果の確認試験[2]で得られた腫瘍細胞の壊死率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための具体的態様及び好ましい条件について説明する。

【0021】
[BNCT-PDT両用増感剤]
まず、本発明の治療法では、ホウ素化合物が結合したポルフィリノイドまたはその金属錯体を含んだ薬剤を増感剤として使用する。なお、このポルフィリノイドには、ポルフィリンやクロリン、フタロシアニン、コロール等が含まれるが、特にPDTで優れた臨床効果が確認されているポルフィリンやクロリンを用いることが好ましい。

【0022】
そして、上記ポルフィリノイドに導入するホウ素化合物についても、ホウ素を含むあらゆる化合物が含まれるが、特にBNCTの治療効果の観点からカゴ状ボラン化合物を導入したものが好ましい。もちろん、ホウ素化合物と一緒に他の化合物を導入したポルフィリノイドであってもよい。

【0023】
また、上記ホウ素化合物については、ポルフィリノイドの環状化合物のどの位置に導入されていてもよく、例えば、下記化学式で示すポルフィリン環やクロリン環の場合、ホウ素化合物をRの何れの位置に導入してもよい。
【化3】
JP2013227233A_000005t.gif

【0024】
一方、上記ポルフィリノイドの金属錯体については、パラジウムや銅、バナジウム、マンガン、鉄、ルテニウム、テクネチウム、クロム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、イットリウム、金、白金、バリウム、タングステン、ガドリニウム等を中心金属としたものが含まれる。

【0025】
また更に、本発明で使用するポルフィリノイドは、溶解性を高めるためにフッ素を導入したものが好ましく、具体的なフッ素化ポルフィリノイドとしては、下記[化1](左側)で示すフッ素化ポリフィリンなどが挙げられる。
【化1】
JP2013227233A_000006t.gif

【0026】
そして、上記[化1](左側)のフッ素化ポリフィリンを採用する場合には、M及びRの位置に右側の[a]~[h]の何れかの組み合わせをとるのが望ましい。これらは、カゴ状ボラン化合物が結合したフッ素化ポルフィリンまたは金属錯体であるが、その中でも特に[c]のポルフィリンの使用が好ましい。

【0027】
以上のように、本発明で使用する増感剤としては、種々の物質が想定されるが、具体的な公知物質としては、従来技術で挙げた特許文献1~6、非特許文献1~5に記載されたホウ素化ポルフィリン(又はクロリン)なども含まれる。また、無害なホウ素化ポルフィリノイドであれば、他の物質も使用できる。

【0028】
[BNCT-PDT併用療法]
次に、本発明のBNCT-PDT併用療法について説明する。まず、上記で説明したBNCT-PDT両用増感剤を哺乳動物に投与した後、所定の時間放置して増感剤が悪性腫瘍に集積するのを待つ。それから哺乳動物を放射線装置(中性子線の照射装置)のところまで連れて行き、前記腫瘍に対してBNCTを行う。

【0029】
なおこの際、投与する増感剤を有害とならない濃度や量に調整すると共に、増感剤の投与方法(経口投与や静脈内投与、皮下投与など)も、悪性腫瘍の部位や増感剤の種類に応じて適宜選択する。また、投与からBNCTを行うまでの時間も、使用する増感剤が腫瘍に集積する時間を考慮して調整する。

【0030】
また、BNCTにおける中性子線の強度や照射線量に関しても、正常な細胞に悪影響を与えないレベルの低い強度、少ない照射線量で調整を行う。ちなみに、BNCTでは、腫瘍中のホウ素(10B)がエネルギーを吸収してくれるため、中性子線の強度が低くても充分な治療効果が得られる。

【0031】
そして、上記BNCTを行った後は、増感剤が体内から排泄される前に悪性腫瘍に対して波長630~675nmの赤色レーザ光を照射してPDTを行う。なおこの際、630~640nmと660~670nmの二波長のレーザ光を同時に照射することによってPDTの治療効果を向上させることができる。

【0032】
また、BNCTを行ってからPDTを行うまでの時間は、増感剤の種類や患部(悪性腫瘍の位置)にもよるが、大まかな目安として数時間から数日以内に行うのが望ましい。また、レーザ光の強度や照射量については、BNCTの中性子線と同様、正常な細胞に悪影響を与えない範囲で調整する。

【0033】
また更に、上記PDTを行う際には、複数波長のレーザ光を同時に照射できる多波長レーザ照射装置を使用するのが望ましく、特に上記二波長の赤色レーザ光に加え、波長395~415nmの青色レーザ光も照射できる三波長レーザ照射装置を使用すれば、PDD(光線力学診断)も一緒に行うことができる。

【0034】
なお、上記「PDD」とは、光増感剤が集積した腫瘍に対して波長395~415nmの青色レーザを照射して、腫瘍中の光増感剤を赤色に蛍光発光させることにより、悪性腫瘍の位置や大きさ、形状の確認を行う診断方法であり、PDT時だけでなくBNCT時の実施も有効である。
【実施例】
【0035】
『治療効果の確認試験[1]』
この確認試験[1]では、悪性腫瘍の細胞サンプルを使用する下記の試験方法によって、使用する増感剤および治療方法の異なる複数グループの腫瘍細胞の壊死率を測定することで、本発明のBNCT-PDT併用療法の優位性を確認した。
【実施例】
【0036】
<試験方法>
試験方法について説明する。まず、悪性腫瘍の細胞サンプル(細胞数:5.6×106cells)を専用容器の培養液に浸した状態で9つ(S1~S9)用意する。その内、S2~S5については、容器内の培養液を下記[化2]のポルフィリンを含んだ増感剤に置換して、腫瘍細胞内に増感剤を集積させる。
【化2】
JP2013227233A_000007t.gif
【実施例】
【0037】
また、S6~S9については、フッ素化ポルフィリン(上記[化2]のRにフッ素が結合したもの)を含んだ光増感剤に浸漬して、腫瘍細胞内に増感剤を集積させる。なお、この確認試験では、便宜上、上記[化2]のポルフィリンのことを”Compound-B”、またS6~S9で使用したフッ素化ポルフィリンのことを”Compound-A”と呼称する。
【実施例】
【0038】
そしてまた、上記増感剤に関しては、濃度14mMのCompound-B及びCompound-Aの原液を、100倍に薄めて140μMとし、更にそれをリン酸緩衝液(PBS)で薄めて最終濃度1.4μMで腫瘍細胞に投与する。なお、増感剤の投与は、温度37℃、CO2濃度5%の雰囲気下で、1mlの増感剤に腫瘍細胞を30分間、浸漬して行う。
【実施例】
【0039】
そして、上記増感剤の投与が終わった後、S2~S9の容器内をリン酸緩衝液で洗浄して細胞サンプルに取り込まれなかった不要な増感剤を容器から排出する。その後、S2、S5、S6、S9の細胞サンプルに、635nmと665nmの二波長の赤色レーザを28J/cm2照射してPDTを行う。
【実施例】
【0040】
更にその後、PDTを行っていないS3、S4、S7、S8の細胞サンプル、及びPDTを既に行ったS5、S9の細胞サンプルに対し、中性子線を約2.1Gy照射してBNCTを行う。なお、今回の確認試験では、細胞サンプルに対する中性子線の照射を京都大学の原子炉実験所で行った。
【実施例】
【0041】
そして最後に、BNCTのみ行ったS4、S8の細胞サンプルに対して、635nmと665nmの二波長の赤色レーザを28J/cm2照射してPDTを行う。これにより、使用する増感剤の種類(Compound-BとCompound-A)、及び治療方法(未治療、PDTのみ、BNCTのみ、BNCT-PDT、PDT-BNCT)が異なる9つのサンプルを作成できる。
【実施例】
【0042】
<腫瘍細胞の壊死率の測定>
上記9つの細胞サンプル(S1~S9)について、一定時間放置した後、各細胞サンプルの壊死率を調べたところ、図1に示す結果が得られた。そして、この結果から、本発明の治療法(S4:Compound-Bの増感剤を使用してBNCT-PDTを行う治療法)は、従来の治療法よりも優れた治療効果を期待できることが確認できた。
【実施例】
【0043】
なお、今回の確認試験では、アポトーシス細胞を染色して蛍光顕微鏡で検出できるアネキシンVを用いて、アポトーシス細胞と壊死細胞とを区別し、全細胞中における壊死細胞の比率のみを図1のグラフで示している。
【実施例】
【0044】
『治療効果の確認試験[2]』
次に、この確認試験[2]では、確認試験[1]の増感剤Compound-Aの代わりに、下記[化4]に示すホウ素化クロリンを使用し、また、Compound-Bの代わりにホウ素化されていないクロリン([化4]のホウ素化クロリンにカゴ状ボラン化合物が結合していないもの)を使用して、確認試験[1]と同様の方法で試験を行った。
【化4】
JP2013227233A_000008t.gif
【実施例】
【0045】
なお、この確認試験では、便宜上、上記[化4]のホウ素化クロリンを”Compound-D”、ホウ素化されていないクロリンを”Compound-C”と呼称する。また、細胞サンプルの名称は、T1~T9とし、T1は増感剤の投与なし、T2~T5はCompound-Dを投与、T6~T9はCompound-Cを投与するものとする。
【実施例】
【0046】
<腫瘍細胞の壊死率の測定>
上記9つの細胞サンプル(T1~T9)について、一定時間放置した後、各細胞サンプルの壊死率を調べたところ、図2に示す結果が得られた。そして、この結果からも、本発明の治療法(T4:Compound-Dの増感剤を使用してBNCT-PDTを行う治療法)が、優れた治療効果を有していることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
近年、医療分野や獣医療分野では、治療効果に優れ、より身体への負担が少ない悪性腫瘍の治療法が求められている。その中で本発明の「BNCT-PDT併用療法およびBNCT-PDT両用薬剤」は、脳腫瘍や皮膚癌などの新規な治療法およびそれに用いる薬剤として有用な技術であることから、産業上の利用価値は非常に大きい。
図面
【図1】
0
【図2】
1