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明細書 :貝類用標識及びこれを装着した貝類

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3962808号 (P3962808)
公開番号 特開2004-141084 (P2004-141084A)
登録日 平成19年6月1日(2007.6.1)
発行日 平成19年8月22日(2007.8.22)
公開日 平成16年5月20日(2004.5.20)
発明の名称または考案の名称 貝類用標識及びこれを装着した貝類
国際特許分類 A01K  61/00        (2006.01)
A01K  11/00        (2006.01)
FI A01K 61/00 E
A01K 11/00 A
請求項の数または発明の数 5
全頁数 6
出願番号 特願2002-310726 (P2002-310726)
出願日 平成14年10月25日(2002.10.25)
審査請求日 平成17年9月22日(2005.9.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
発明者または考案者 【氏名】山川 紘
【氏名】小池 康之
【氏名】中村 宏
【氏名】河口 真紀
個別代理人の代理人 【識別番号】100082304、【弁理士】、【氏名又は名称】竹本 松司
【識別番号】100088351、【弁理士】、【氏名又は名称】杉山 秀雄
【識別番号】100093425、【弁理士】、【氏名又は名称】湯田 浩一
【識別番号】100102495、【弁理士】、【氏名又は名称】魚住 高博
【識別番号】100112302、【弁理士】、【氏名又は名称】手島 直彦
審査官 【審査官】大塚 裕一
参考文献・文献 特開平03-053830(JP,A)
特開昭60-058028(JP,A)
特公昭38-3496(JP,B1)
調査した分野 A01K 61/00~63/06
A01K 11/00
JSTPlus(JDream2)
特許請求の範囲 【請求項1】
貝類の貝殻周縁部を表裏から挟み付ける挟着具の、前記貝殻裏面へ当てつける部分において、前記貝殻と反対面に貝殻粉体を付着したことを特徴とする貝類用標識。
【請求項2】
貝類の貝殻周縁部を表裏から挟み付ける挟着具の、前記貝殻裏面へ当てつける部分において、前記貝殻と反対面に貝殻主成分であるコンキオリン又は炭酸カルシウムを付着したことを特徴とする貝類用標識。
【請求項3】
前記挟着具の外面に記号を表示した請求項1又は2に記載の貝類用標識。
【請求項4】
前記挟着具の外面を着色した請求項1乃至3のいずれかに記載の貝類用標識。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の貝類用標識を装着した貝類。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放流に際して貝に装着しておき、これにより貝の出所を識別する貝類用標識及びこの貝類用標識を装着した貝類に関する。
【0002】
【従来の技術】
アワビ等の有用水産貝類は、年々天然物が減少しているため、稚貝を養殖して自然海域に放流することが行われている。
しかし、放流した後は、個体識別標識がないために、漁獲量への寄与の程度を推測することができない。このため、資源管理上、適切な手段を講じることができなかった。
また、アワビ等貝類の密漁が盛んになり、市場において産地を特定することができないことも大きな問題であった。
そこで、貝類の出所を識別したり、標識放流された貝類の数年後の再捕数から、漁場の貝類の資源量を把握するために、稚貝の貝殻に標識を付けることが行われている。
【0003】
簡単に脱落することのない従来の標識としては、貝類の二枚貝靱帯に識別片となる金属片を、インジェクタを使用して埋設するものがある(特許文献1参照)。しかし、このものは、貝の生体組織である靱帯に金属を埋め込むので、専門的な器具が必要なうえ、極微少な金属線であるため、一般的にはほとんど番号すら読み取ることはできない。
また、稚貝の貝殻表面に化学結合により着色物質を析出したり(特許文献2参照)、鉄粉末粒子をコーティングした後、水中の酸素と反応させて錆を生成させる技術(特許文献3参照)が知られている。しかし、これらは、着色作業が面倒であるばかりか、発色するまでに時間がかかり、錆の色では目立ちにくいと言う欠点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平11-196706号公報
【特許文献2】
特開平6-141725号公報
【特許文献3】
特開2000-300108号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、従来の標識とは異なり、貝類の貝殻へ簡単に装着することができ、個体に悪影響を与えることが無く、貝殻から脱落しにくく、捕獲後に剥がしたり偽造することができず、確実に貝の出所を識別することが可能な卓抜した機能を有する貝類用標識及びこれを装着した貝類の提供を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の貝類用標識は、貝類の貝殻周縁部を表裏から挟み付ける挟着具の、貝殻裏面へ当てつける部分において、貝殻と反対面に貝殻粉体或いは貝殻主成分であるコンキオリン又は炭酸カルシウムを付着してある。
挟着具を貝殻に係合するだけで手早く簡単に装着できる。
貝殻裏面へ当てつける部分において、貝殻と反対面に貝殻粉体或いは貝殻主成分を付着したことによって、挟着具と貝殻裏面の軟体部分との親和性が高まるので、貝が挟着具を異物として排出しようとせず、この結果、貝の軟体部と接する周縁部に装着された挟着具は、貝が成長するのに伴って軟体部の外套膜が分泌する貝殻構成成分で覆われ、急速に貝殻に取り込まれて一体化し、しかも貝に負担を与えることもない。
【0007】
挟着具の外面に記号を表示しても良いし、外面に着色しても良い。
記号によって様々な情報を貝殻表面に記録することが可能であり、貝が成長してもこれらの情報を一目で確認できる。また、挟着具の外面を、例えば、放流地域や放流時期で異なる色に着色すると、色によってこれらの情報を識別できる。
また、本発明の貝類は、上記したいずれかの貝類用標識を装着してある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、貝類用標識1は、貝類の貝殻7の周縁部を表裏から挟み付ける挟着具2を有する。
挟着具2は、細長い帯片を略ヘアピン状に折り曲げて、外側部分3と内側部分4とがやや隙間を開けて対向した形状とする。
また、挟着具2は、外側部分3と内側部分4とを強制的に押し広げた後で解放すると、元の位置に復帰する程度の弾力性を備えた素材、例えば、ステンレス等の不錆性金属、合成樹脂、或いは磁気チップより成る。
【0009】
挟着具2は、通常、貝殻7の表面に当てつける外側部分3を、貝殻7の裏面に当てつける内側部分4よりも長く形成してあるが、外側部分3及び内側部分4の長さ、その比率、幅、外側部分3と内側部分4との隙間の寸法等は、装着する対象となる貝の種類によって適宜変更することができる。
即ち、大型の貝であれば、挟着具2の幅を広く、外側部分3及び内側部分4の長さを長くする。また、外側部分3と内側部分4との隙間は、装着しようとする貝の貝殻7の厚みよりやや狭くしておく。
【0010】
また、図1に示すように、外側部分3の外面には記号5を表示してある。この記号5は、放流地域、放流時期(挟着具2の装着時期)等の情報を示すものであり、経年変化によって剥落しないように刻印によって表示するのが望ましい。
なお、挟着具2の少なくとも外側部分3の外面を、放流地域、放流時期等によって異なる色に着色することもできる。挟着具2を合成樹脂製とした場合には、合成樹脂自体を着色すれば色が落ちにくく、色によって一目で情報を確認できる。勿論、着色した外側部分3の外面に記号5を表示することも可能である。
【0011】
貝類と挟着具2との親和性を高めるために、図2に示すように、内側部分4の貝殻7と反対面(以下、単に反対面と称する)には、貝殻を粉砕した貝殻粉体6が付着されている。
貝殻粉体6を付着するには、内側部分4の反対面にアクリル樹脂系接着剤等の接着剤を塗布し、この接着剤が硬化する前に貝殻粉体6をまぶし付ける。すると、内側部分4の反対面はほとんど貝殻粉体6で隠れてしまい、装着作業中等に貝殻粉体6が剥がれることもない。
なお、内側部分4の反対面には、貝殻粉体6に代えて、貝殻主成分である粉末状のコンキオリン又は炭酸カルシウムを接着しても、同様に貝殻7との親和性を高めることができる。
【0012】
この貝類用標識1は次のように使用される。
図3に示すように、貝殻7の周縁部に、外側部分3に表示した記号5が外面に現れるように外方から挟着具2を係合し、挟着具2の外側部分3と内側部分4とで貝殻7を挟み付ける。
挟着具2は、外側部分3と内側部分4とを軽く開いて、その間に貝殻7の周縁部を挿入し、開いていた外側部分3及び内側部分4を解放するだけで、簡単に貝殻7へ装着できる。また、外側部分3と内側部分4とはその弾性によって軽く貝殻7を締め付けるので、貝殻7の厚みの違いにも対応できる。
【0013】
挟着具2の内側部分4の反対面には、貝類との親和性が高い貝殻粉体6或いは貝殻主成分であるコンキオリン又は炭酸カルシウムが付着しているので、貝殻裏面の軟体部に当たっても貝が異物として排出することはなく、貝の成長により挟着具2の内側部分4は急速に貝殻7に取り込まれて一体化する。
この挟着具2は、その弾發力によって貝殻7の周縁を挟むので簡単に外れることはないが、様々な外力が加わりやすい海へすぐに放流すると外れる虞がある。しかし、陸上での養生期間である2週間程度の日数を経過すると、親和性の高い挟着具2の内側部分4が貝殻7内へ埋没して外れなくなる。
【0014】
また、貝が成長すると、図4に示すように、貝殻7は外周方向へ向かって大きくなっていき、挟着具2の装着位置は変化しないので、挟着具2よりも外側の部分が成長部分8であって、挟着具2を装着した後の貝殻長さの変化が一目でわかる。
挟着具2を装着した時期は、貝殻7の表面に現れた外側部分3の記号5によって確認できるため、経過時間に対する貝の成長速度も知ることができる。
さらに、記号5によって放流地域がわかるので、市場等において類似した貝類用標識1を装着した他産地の貝類と混同することもない。
【0015】
【発明の効果】
請求項1及び請求項2に係る発明によれば、挟着具を貝殻に係合するだけで容易に装着することができ、挟着具が貝殻を挟み付けているため簡単に外れる心配がない。
また、挟着具の貝殻裏面に当てつける部分と貝類との親和性が高いので、貝が挟着具を異物として排除しようとせず、貝の成長に伴って挟着具は急速に貝殻に取り込まれ、貝殻を壊さない限り外すことができなくなり、しかも、貝に負担を与えることもない。そして、この結果、貝の出所を確実に知ることが可能であると共に、捕獲後に外したり偽造して取り付けることは不可能なため、密漁を防ぐことができ、稚貝の放流が漁獲量に与える効果を把握しやすく、資源管理上も有益である。
さらに、クリップ装着位置は貝の成長により移動しないので、クリップの外側に向かって大きくなった貝殻の成長部分によって、貝の成長度合いを一目で確認することができる。
【0016】
請求項3及び請求項4に係る発明によれば、貝殻の表面に現れる記号或いは挟着具の色によって様々な情報を記録でき、必要時にはこの情報を確認することができる。
請求項5に係る発明によれば、稚貝状態で標識が装着され、成長後はこの標識を取り外したり、偽造することができないので、密猟を防止でき、市場等においても産地を混同することがなく、資源管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す貝類用標識を裏面から見た斜視図
【図2】本発明の実施形態を示す貝類用標識を表面から見た斜視図
【図3】貝類用標識を装着した稚貝の斜視図
【図4】貝類用標識を装着した成貝の斜視図
【符号の説明】
1 貝類用標識
2 挟着具
3 外側部分
4 内側部分
5 記号
6 貝殻粉体
7 貝殻
8 成長部分
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3