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明細書 :生糸のずる節検出方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3987905号 (P3987905)
公開番号 特開2005-187971 (P2005-187971A)
登録日 平成19年7月27日(2007.7.27)
発行日 平成19年10月10日(2007.10.10)
公開日 平成17年7月14日(2005.7.14)
発明の名称または考案の名称 生糸のずる節検出方法および装置
国際特許分類 D01B   7/04        (2006.01)
D01H  13/16        (2006.01)
FI D01B 7/04 M
D01B 7/04 P
D01H 13/16 B
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2003-429889 (P2003-429889)
出願日 平成15年12月25日(2003.12.25)
審査請求日 平成15年12月25日(2003.12.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504001978
【氏名又は名称】独立行政法人農林水産消費安全技術センター
発明者または考案者 【氏名】川名 茂
個別代理人の代理人 【識別番号】100083574、【弁理士】、【氏名又は名称】池内 義明
審査官 【審査官】吉澤 秀明
参考文献・文献 特公昭52-10927(JP,B2)
特公昭54-40649(JP,B2)
特開平6-166907(JP,A)
特開平4-34006(JP,A)
調査した分野 D01B 7/04
D01H 13/16
特許請求の範囲 【請求項1】
ショックセンサと連結したフェルト片中に生糸を走行通過させ、該生糸の節が通過する際のフェルト片と節との摩擦によって生起するショックが他の節の通過時より大きいことから前記生糸の節がずる節であることを検出することを特徴とする生糸のずる節検出方法。
【請求項2】
さらに前記生糸の走行糸道中に光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器を配置して前記生糸を走行通過させ、前記ショックセンサの出力と前記光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器の出力とを同期して表示することにより、前記生糸の節がずる節であることをより確実に検出可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の生糸のずる節検出方法。
【請求項3】
生糸のずる節が通過する際のフェルト片とずる節との摩擦によって生起するショックが所定の値より大きいことから前記生糸の節がずる節であることを検出することを特徴とする請求項1に記載の生糸のずる節検出方法。
【請求項4】
生糸の走行糸道中に配置され前記生糸を挿通させると共にショックセンサと連結されたフェルト片と、前記ショックセンサの出力を表示する表示装置とを備え、前記生糸の節が通過する際のフェルト片と節との摩擦によって生起するショックが他の節の通過時より大きいことから前記生糸の節がずる節であることを検出することを特徴とする生糸のずる節検出装置。
【請求項5】
さらに前記生糸の走行糸道中に配置され前記生糸を走行通過させる光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器を具備し、前記ショックセンサの出力と前記光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器の出力とを同期して表示することにより、前記生糸の節がずる節であることをより確実に検出可能にしたことを特徴とする請求項4に記載の生糸のずる節検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生糸のずる節検出方法および装置に関し、簡単な装置構成を用い、糸を切断採取することなくかつ客観的に高い精度で生糸のずる節を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
生糸には種々の節があることが知られている。これらの節として、例えば、輪節、さけ、およびずる節などがあり、かつ節の大きさに対応して大節、中節、小節などと称される。
【0003】
輪節は、生糸の繭糸に生じる小さい輪状の節であり、さけ節は、生糸の繭糸の一部が切れて飛び出している節である。これに対し、ずる節は、生糸の繭糸が複数本絡まって固着し、セリシンと共に固くなって形成された節であり、密度が大きく堅い性質を有する。
【0004】
従来、このような生糸のずる節を検出するためには、作業者がセリプレーン巻取機を用いて、生糸を黒色のセリプレーン板上に一定間隔で巻き付ける。そして、このような黒色のセリプレーン板すなわち黒板上に巻き付けられた生糸を、作業者が標準写真と見比べて各節がずる節であるかあるいはその他の節であるかを肉眼により判定していた。
【0005】
また、従来の光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器などの節検出器では、ずる節を含む全ての節を節として検出することはできたが、該節がずる節であることを検出することはできなかった。なお、光電式スラブキャッチャは発光素子と受光素子との間に生糸を通し、受光素子による受光量の変化に基づき節を検出するものである。また、静電容量式節検出器は生糸を挟んで配置した電極間の静電容量の変化に基づき節を検出するものである。

【特許文献1】特開平05-093325号公報
【特許文献2】特開平05-098527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、従来ずる節を検出するためには、作業者がセリプレーン巻取機を用いて、生糸を黒板上に一定間隔で巻き付け、標準写真と見比べて肉眼により判定していた。このため、生糸を黒色のセリプレーン板上に一定間隔で巻き付ける作業および肉眼により各節がずる節であるか否かを判定するために多大な努力を必要としていた。また、ずる節を検出するために切断採取した糸は肉眼検査後はくず糸となるため、これによる経済的損失が大きなものとなっていた。
【0007】
さらに、ずる節は輪節などの他の節よりも密度が大きく堅い特徴を有するが、これを外観から肉眼判定して他の節と区別することはかなり困難であり、熟練を要する作業であった。このため、検査結果に個人差が生じ、客観的に高い精度でずる節を検査することは不可能であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術における問題点に鑑み、サンプル糸を切断採取することなく、客観的にかつ高い精度で生糸のずる節を検出可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、ショックセンサと連結したフェルト片中に生糸を走行通過させ、該生糸の節が通過する際のフェルト片と節との摩擦によって生起するショックが他の節の通過時より大きいことから前記生糸の節がずる節であることを検出することを特徴とする生糸のずる節検出方法が提供される。
【0010】
前記方法において、前記生糸の走行糸道中にさらに光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器を配置して前記生糸を走行通過させ、前記ショックセンサの出力と前記光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器の出力とを同期して表示することにより、前記生糸の節がずる節であることを検出すると好都合である。
【0011】
また、生糸のずる節が通過する際のフェルト片とずる節との摩擦によって生起するショックが所定の値より大きいことから前記生糸の節がずる節であることを検出することもできる。
【0012】
本発明の別の態様では、生糸の走行糸道中に配置され前記生糸を挿通させると共にショックセンサと連結されたフェルト片と、前記ショックセンサの出力を表示する表示装置とを備え、前記生糸の節が通過する際のフェルト片と節との摩擦によって生起するショックが他の節の通過時より大きいことから前記生糸の節がずる節であることを検出することを特徴とする生糸のずる節検出装置が提供される。
【0013】
この場合、前記生糸の走行糸道中に配置され前記生糸を走行通過させる光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器をさらに設け、前記ショックセンサの出力と前記光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器の出力とを同期して表示することにより、前記生糸の節がずる節であることを検出すると好都合である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ショックセンサと連結したフェルト片中に生糸を走行通過させるだけでずる節が判定できるため、サンプル糸を切断採取してセリプレーン板上に巻き付けるなどの労力が省かれ、無駄糸を生ずることもなく、さらに、肉眼判定に由来する個人差が排除されるので、客観的にかつ高い精度で生糸のずる節を検出することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態につき説明する。図1は、本発明の一実施形態に係わる生糸のずる節検出を行なうための装置の概略の構成を示す。同図に示す装置は、ずる節検出部1と、信号処理部7と、従来形式の節検出器9と、パーソナルコンピュータ12とを備えている。
【0016】
ずる節検出部1は本発明に従ってずる節を検出するセンサ部分を構成し、フェルト片2と、該フェルト片2を挟み支持する支持部3と、支持部3に固定されたアーム4と、アーム4に加えられるショックを検知するショックセンサ5を備えている。フェルト片2は例えば1つのフェルト部材で構成し、針で穴をあけて生糸10を挿通させたものとする。あるいは、別の態様として、フェルト片2は1つのフェルト部材を折り曲げて生糸10を挟むよう構成してもよく、また2つのフェルト部材を対向配置してもよい。これらの後者の場合は、フェルト片2の対向部分の隙間を生糸10が走行通過するよう配置する。生糸10は図示しない巻取機によって巻き取られフェルト片2の穴または隙間を通過する。
【0017】
ショックセンサ5の出力信号はケーブル6を介して信号処理部7に送られ、アーム4に加えられるショックの大きさを示すデジタルデータを生成する。なお、このデジタルデータに基づき、信号処理部7に設けられた数字表示器によって前記ショックの大きさを表示することもできる。信号処理部7で生成されたデジタルデータはケーブル8を介してパーソナルコンピュータ(パソコン)12に入力される。
【0018】
生糸10の走行糸道中に、さらに、従来から知られた光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器のような節検出器9が配置される。節検出器9は生糸10のずる節を含む全ての節を検出し、節検出信号を生成してケーブル11によりパソコン12に入力する。
【0019】
このような構成においては、図示しない巻取機により生糸10が所定の走行糸道に沿って走行し、フェルト2の中を走行通過して巻取機に巻き取られる。フェルト片2は支持部材3およびアーム4を介してショックセンサ5と連結し、該ショックセンサ5はアーム4におけるわずかなショックも感知できる高感度のものが使用される。ショックセンサ5は、感知したショックに対応する信号をケーブル6を介して信号処理部7に供給し、該信号処理部7は、例えば、アナログ/デジタル(A/D)変換を行ない感知したショックに対応する信号を生成する。
【0020】
この信号はケーブル8を介してパソコン12に入力される。この信号に応じて、パソコン12はその表示画面上にショックに応じた信号、従ってショック発生の有無を表示する。生糸10のずる節10aがフェルト片2を通過すると、ショックセンサ5は該ずる節10aによるショックを検出し、このショックの大きさに応じた信号がパソコン12の表示画面上に表示される。
【0021】
一方、ずる節の判定は不能であるが、節検出器として公知の技術となっている光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器のような節検出器9は、ずる節10aを含む全ての節を検出する。したがって、節検出器9は節発生に応じて例えばデジタル化された節検出信号を生成し、この節検出信号がケーブル11を介してパソコン12に入力される。
【0022】
パソコン12は、ずる節検出部1の出力と節検出器9の出力とが同期して表示されるよう構成されている。例えば、節検出器9の出力信号を、生糸10が節検出器9からフェルト片2に到達する時間だけ遅らせて、ショックセンサ5の出力と並列的に表示されるよう構成する。この表示時間の調整は、例えば、パソコン12において、生糸10の走行速度に関するデータを別途巻取機などから受信し、必要な遅延時間を算出し表示を同期させることによって行なうことができる。
【0023】
このような構成によって、パソコン12の画面上にその存在が表示された節に同期して、ショックセンサ5によるショックの発生が表示されていれば、該節がずる節であることが容易に判定できる。ずる節は他の節よりも密度が大きく堅い節であるため、ずる節がフェルト内を通過すると、堅い節とフェルトとの摩擦によってショックが生じるのに対し、他の輪節などのずる節以外の節ではほとんどショックを生じない。発明者は、輪節などのずる節以外の節は生糸のフェルト内通過時には、ほとんどショックが生じないことを実験により確認している。
【0024】
図2は、本発明の別の実施形態に係わる生糸のずる節検出のための装置の構成を示すブロック図である。同図の装置では、図1の装置と同様に、生糸20の走行糸道中に配置されたずる節検出部21と、公知の光電式スラブキャッチャまたは静電容量式節検出器のような節検出器29が配置されている。
【0025】
ずる節検出部21は、生糸20を挿通させるように配置したフェルト片22と、該フェルト片22を支持する支持部23と、支持部23に固定されたアーム24と、アーム24に加えられるショックを検知するショックセンサ25を備えている。フェルト片22は1つのフェルト部材に針で穴をあけて生糸20を挿通させてもよく、1つのフェルト部材を折り曲げて生糸20を挟むよう構成してもよく、あるいは2つのフェルト部材を対向配置してもよい。フェルト片22の穴または隙間を走行通過する生糸20は図示しない巻取機によって巻取り可能になっている。なお、例えば、ショックセンサ25は内部にアナログ/デジタル(A/D)変換器を有し、フェルト片22によって感知したショックに応じたデジタル信号を出力するものとする。
【0026】
また、生糸20の走行糸道中に、配置された節検出器29は図1の節検出器9と同様のものでよく、ずる節を含めて全ての節を検出できものが使用される。
【0027】
図2の構成では、さらに、ショックセンサ25および節検出器29の出力をそれぞれ受ける入出力インタフェース(I/O)32および31、マイクロプロセッサのような中央処理装置(CPU)30、リードオンリメモリ(ROM)33、ランダムアクセスメモリ(RAM)34、他の入出力インタフェース(I/O)35、および表示部36が設けられている。
【0028】
図2の構成においても、図1の構成と同様に、図示しない巻取機により生糸20が所定の走行糸道に沿って走行し、フェルト片22の中を走行通過して巻取機に巻き取られる。ずる節検出部21は、生糸20のずる節20aによるショックに対応する信号を入出力インタフェース32を介してCPU30に入力する。また、節検出器29の出力も入出力インタフェース31を介してCPU30に入力される。
【0029】
CPU30は、ずる節検出部21の出力と節検出器29の出力に応じた大きさの信号が同期して表示されるよう、入出力インタフェース35を介して表示部36に表示信号を出力する。
【0030】
このような構成によって、表示部36の画面上にずる節検出部21の出力信号に対応する信号波形と、節検出器29の出力信号に対応する信号波形とを時間的に、あるいは生糸20上の位置が、互いに同期するよう表示する。これによって、節検出器29によって存在が表示された節に同期して、節検出器21によって検出されたショックの発生が表示されていれば、該節がずる節であることが容易に判定できる。
【0031】
なお、図2において、例えば、ROM33は、CPU30が動作するためのプログラムを記憶し、またRAM34はずる節検出部21と節検出器29の出力データなどを一時的に記憶するためなどに使用することができる。もちろん、CPU30などの機能は、パーソナルコンピュータを使用して行なうこともできる。
【0032】
また、上記構成では、表示部36にずる節検出部21の出力信号に対応する信号波形と節検出器29の出力信号に対応する信号波形とを表示して表示部36の画面から目視などによりずる節を判定することができる。しかしながら、本発明はこのような表示画面からの判定に限られず、自動判定など任意の他の判定方法を用いることもできる。例えば、節検出器29の出力信号が所定レベル以上の生糸の部分、すなわち節部分、においてずる節検出部21の出力信号が所定レベル以上であることを比較器などで検出してずる節であることを自動判定することもできる。さらに、巻取機と連動するデジタルカウンタなどを使用して生糸上のずる節がある部分の位置を表示することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、生糸の検査、品質管理、その他を必要とする、生糸の検査現場、取引現場、製糸工場などにおいて利用することができ、サンプル糸を切断採取することなく、高い精度で生糸のずる節を検出可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係わる生糸のずる節検出装置の構成および使用状態を示す外観図である。
【図2】本発明の別の実施形態に係わる生糸のずる節検出装置の回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1,21 ずる節検出部
2,22 フェルト片
3,23 支持部
4,24 アーム
5,25 ショックセンサ
6,8,11 ケーブル
7 ショックセンサ用信号処理部
9,29 節検出器
10,20 生糸
10a,20a ずる節
12 パソコン
30 CPU
31,32,35 入出力インタフェース
33 ROM
34 RAM
36 表示部
図面
【図1】
0
【図2】
1