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明細書 :減速装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4997574号 (P4997574)
公開番号 特開2009-281422 (P2009-281422A)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月8日(2012.8.8)
公開日 平成21年12月3日(2009.12.3)
発明の名称または考案の名称 減速装置
国際特許分類 F16H   1/32        (2006.01)
F16H  25/06        (2006.01)
FI F16H 1/32 Z
F16H 25/06 Z
請求項の数または発明の数 8
全頁数 11
出願番号 特願2008-131679 (P2008-131679)
出願日 平成20年5月20日(2008.5.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成19年11月29日鳥取県民文化会館において開催された社団法人日本機械学会MPT2007シンポジウム<伝動装置>で発表
審査請求日 平成23年5月17日(2011.5.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】寺田 英嗣
【氏名】水上 正巳
個別代理人の代理人 【識別番号】100097043、【弁理士】、【氏名又は名称】浅川 哲
審査官 【審査官】西堀 宏之
参考文献・文献 国際公開第2008/028540(WO,A1)
国際公開第2004/035995(WO,A1)
実開平7-2661(JP,U)
実開平6-87759(JP,U)
実開平2-130451(JP,U)
調査した分野 F16H 1/32
F16H 25/06
特許請求の範囲 【請求項1】
トロコイド曲線軌跡を持つ環状溝が表面に形成された第1カムと、
前記環状溝内に配置され、この環状溝内を自由に転動する複数の段付ピンと、
該各段付ピンの運動を個々に規制する円形孔が複数配列された第2カムと、
前記段付ピンに噛み合う歯を有し、前記第1カムの回転運動を所定の減速比の回転運動に変換する第3カムとを備えたことを特徴とする減速装置。
【請求項2】
前記環状溝は、回転することによって、前記段付ピンと第3カムの歯とが噛み合う伝達駆動点を2箇所以上備える請求項1記載の減速装置。
【請求項3】
前記環状溝は、前記伝達駆動点が3又は4からなる三角形又は四角形に近似する外形形状からなる請求項1記載の減速装置。
【請求項4】
前記円形孔は、前記環状溝内を転動する段付ピンの運動を一定周期の円運動に規制するためのガイド縁を備える請求項1記載の減速装置。
【請求項5】
前記第3カムは、前記環状溝内に配置される段付ピンの総数から前記伝達駆動点の数を減じた数の歯を備える請求項1又は2記載の減速装置。
【請求項6】
前記第2カムが固定板であり、第3カムが外周部に複数の歯を備えた回転板である請求項1記載の可動ピン駆動減速機。
【請求項7】
前記第2カムが回転板であり、第3カムが内周部に複数の歯を備えた固定板である請求項1記載の可動ピン駆動減速機。
【請求項8】
前記段付ピンに噛み合う歯の形状は、トロコイド曲線の包絡線軌跡に基づいて形成される請求項1記載の減速装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、偏心回転機構を用いることなく、入力側の高速回転を所定の減速比に対応した低速回転運動に変換させるための減速装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、減速装置では偏心入力形の回転駆動機構を用いたものが多い(特許文献1参照)。このような偏心入力形の回転駆動機構にあっては、回転の中心となる偏心入力部のブレが生じるため、カウンタバランスや複数の機械的なバランス機構が必須であり、そのイナーシャの影響により位置決め応答性に難があった。
【0003】
一方、前記偏心入力形でない調波減速機なども開発されているが、伝達の噛み合い箇所が少ないため、ねじれ剛性が低く、また、減速装置本体を弾性変形させているため、減速装置自体が振動源となり、高速入力回転時における振動や騒音が問題となっている。
【0004】
近年においては、人間のパワーアシストメカニズム実現への要求が高まっているものの、寸法・重量制限の関係から高速回転型のモータの使用が必須であり、且つ従来の減速機では振動や騒音の問題が解決できなかった。また、前記調波減速機では伝達の噛み合いが2箇所のみとなっているため、減速比の設定の自由度が制限されていた。
【0005】
前述したような高速入力回転時における振動や騒音の問題を改善するため、偏心入力形の回転駆動機構を用いず、一軸で所定の減速比が得られる構造の減速装置が知られている(特許文献2参照)。この減速装置は、楕円カムと、ローラを介して前記楕円カムの外周に接するローラリンクと、前記楕円カムと同軸のガイドプレート及び内歯プレートとを備えたものである。前記ガイドプレートはローラリンクのローラ用の各ピンに対応するガイド孔を円形に配列し、内歯プレートはローラリンクのピン数よりも多い歯数の内歯を円形に形成している。また、前記ローラリンクの各ピンは、楕円カムの回転に伴い、各ガイド孔及び内歯の双方を介してガイドされ、内歯の歯溝に進退してガイドプレート及び内歯プレートを相対回転させる構造となっている。

【特許文献1】特開2002-156011号公報
【特許文献2】特開2004-251374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に示したような減速装置にあっては、ローラリンクの各ピンはチェーン状に連結された状態で楕円カムの外周に接しながら回転するため、各ピンの運動が制限されてしまうおそれがある。このため、ガイドプレートに形成されている各ガイド孔に対応する各ピンの動きも規制されてしまうこととなり、入力側の高速回転を滑らかな減速回転運動に変換できない場合がある。
【0007】
また、従来の減速装置では、偏心及び同心を問わず、楕円形状の回転媒体を使用しているため、伝達駆動点が2箇所に限定されたものであった。このように、伝達駆動点が2箇所のみでは減速比が一定の範囲に固定されたものとなるため、任意の減速比に設定することができず、設計の自由度が制限されていた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、高速入力回転時における振動や騒音を抑えることで安定駆動性を高めるとともに、複数の伝達駆動点を有することで多様な減速比の回転に変換することを可能とする減速装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の減速装置は、トロコイド曲線軌跡を持つ環状溝が表面に形成された第1カムと、前記環状溝内に配置され、この環状溝内を自由に転動する複数の段付ピンと、該各段付ピンの運動を個々に規制する円形孔が複数配列された第2カムと、前記段付ピンに噛み合う歯を有し、前記第1カムの回転運動を所定の減速比の回転運動に変換する第3カムとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の減速装置によれば、第1カムの環状溝内に配置される複数の段付ピンが一つ一つ独立した状態となっているので、入力側である前記第1カムの高速回転運動を段付ピンに滑らかに伝達することができる。また、前記第2カムに形成されている円形孔内での前記段付ピンの運動も円滑となるため、この段付ピンに噛み合う出力側の第3カムの回転も滑らかとなる。これによって、高速入力回転を所定の減速比に応じた低速回転に高精度に変換することができるとともに、回転時における弾性振動が生じないバックラッシレスの減速装置を実現することができる。
【0011】
また、従来、伝達駆動点が2箇所に限られていたが、前記環状溝を三角形状あるいは四角形状とすることによって、前記伝達駆動点を3箇所あるいは4箇所に設定することが可能となるため、減速比を任意に設定することができる。
【0012】
さらに、回転中心に偏心機構を有しない平板状のカム及びピンによって構成され、薄型且つ軽量であるため、人間のパワーアシストメカニズムに搭載可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る減速装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る第1実施形態の減速装置20の構成を示したものである。この減速装置20は、入力回転を伝達する第1カム21と、この第1カム21と連動する複数の段付ピン22と、この段付ピン22と対応する円形孔25が複数開設されている第2カム23と、前記各段付ピン22と噛み合う歯(外歯)26が複数形成された第3カム24とによって構成されている。
【0014】
前記第1カム21は、中心に入力側の回転軸21aを有する回転プレート28と、この回転プレート28の表面に形成される環状溝29とを有している。前記環状溝29は、幅及び深さが一定で前記回転軸21aを中心とした真円ではない略円形状になっている。この略楕円形状の環状溝29は、トロコイド曲線軌跡を有して形成され、第1カム21を回転することによって、前記環状溝29内を転動する段付ピン22と第3カム24の外歯26が噛み合う箇所(伝達駆動点)A1,B1が180°の間隔に設定されている。この2箇所の伝達駆動点A1,B1は、前記第1カム21の回転運動に連動して順次移動する。
【0015】
前記段付ピン22は、前記環状溝29内に挿入される円柱状の大径部22aと、この大径部22aから延びて第2カム23の円形孔25内に挿入可能な円柱状の小径部22bとによって一体形成されている。この段付ピン22は、それぞれ独立した状態で前記環状溝29内に複数挿入され、数珠状に繋がった状態で環状溝29内を自由に回転しながら移動が可能となっている。なお、この段付ピン22は、第3カム24の歯数に応じて数が規定されるが、環状溝29内で連結した状態で配置されている必要はなく、多少の隙間があっても駆動には影響を及ぼすようなことはない。
【0016】
第2カム23は、中心部に貫通孔23aが設けられた固定用の平板によって構成されている。この第2カム23には、前記各段付ピン22の小径部22bが挿入される円形孔25が前記貫通孔23aの外周に沿って複数設けられる。前記各円形孔25は、前記回転軸21aを中心として真円状に等間隔で配列され、前記段付ピン22と一対一で対応している。各円形孔25の径は、前記段付ピン22の小径部22bの径よりも大きく設定されているため、各段付ピン22の小径部22bは円形孔25のガイド縁25aに沿うように規制されながら一定の周期で周回運動をする。この第2カム23は、外周部に設けられた取付孔23bを介して装置本体(図示せず)に固定される。
【0017】
第3カム24は、中心に出力側の回転軸24aを有する回転板と、この回転板の外周に設けられる複数の外歯26を備えている。この外歯26の形状は、前記環状溝29と同様にトロコイド曲線軌跡を有して形成される。この第3カム24は、前記回転板を段付ピン22の環の内部に挿入することで、外歯26と段付ピン22が噛み合うようになっている。なお、前記外歯26の数は、段付ピン22の数に対して数個程度少なく設定されている。
【0018】
上記構成要素からなる減速装置20は、第1カム21の環状溝29内に予め設定された数の段付ピン22を組み込んだ後、この複数の段付ピン22で構成される環の内側に外歯26が形成された第3カム24を組み込む。次に、第2カム23の貫通孔23aに第3カム24の回転軸24aを通すとともに、各円形孔25にそれぞれ対応する段付ピン22の小径部22bを挿入した後、この第2カム23を装置本体などの筐体に取付孔23bを介して固定設置する。この減速装置20は、前記第1カム21が高速回転する入力側であり、第3カム24が低速回転する出力側となっており、入力側の回転軸21aと出力側の回転軸24aとが中心回転軸Xで同軸になっている。
【0019】
図2は、完成した前記減速装置20を出力側の回転軸24a側から見たときの平面図であり、右半分は第2カム23の裏面側に隠れている第1カム21,段付ピン22,第3カム24の構成を示したものである。また、図3(a),(b)は、図2において、第1カム21を反時計回り(R1)に回転させたときの段付ピン22及び第3カム24の動作を示したものである。この実施形態では、前記第1カム21をR1方向に半回転(180°)させるごとに前記それぞれの段付ピン22は、前記円形孔25のガイド縁25aに沿って一周する。このとき、第3カム24は、図3(b)に示すように、連続する外歯26に噛み合いながら移動する段付ピン22の小径部22bによって、時計回り(R2)に回転する。この第3カム24の回転は、前記第1カム21の半回転に対して、前記外歯26が一つ分の時計回りの回転となる。前記段付ピン22は、各々の動きが自由であるため、隣接する段付ピン同士が干渉することなく前記環状溝29内で回転及び移動が可能となっている。
【0020】
前記減速装置20による回転運動は、伝達駆動点の数nと、段付ピン22の個数zから求めることができる。この実施形態では、n=2であるので、第3カム24の歯数は(z-2)個となり、第1カム21の180°分の回転は、第3カム24によって360°/(z-2)の低速回転に変換されることになる。また、減速比は、2/(z-2)となる。
【0021】
図4は、上記第1実施形態の減速装置20の一部を変更して構成した第2実施形態の減速装置30を示したものである。図5は、完成した減速装置30を出力側の回転軸33a側から見たときの平面図であり、右半分は第2カム33の裏面側に隠れている第1カム21,段付ピン22,第3カム34の構成を示したものである。また、図6は、第2カム34に形成されている内歯36に沿って移動する段付ピン22の動きを示したものである。
【0022】
以下、前記減速装置20と同一構成の構成要素については、同一符号を用いて説明する。本実施形態の減速装置30は、第1カム21及び段付ピン22の構成は上記減速装置20と同様であるが、第3カム34が固定カムであり、第2カム33が減速回転出力用の回転カムとなっている。前記第3カム34は、中央に円形状の貫通孔34aが設けられ、この貫通孔34aにガイド縁25aに沿って複数の内歯36が形成されて、取付孔34bを介して装置本体などに固定して組み込まれる。前記内歯36は、トロコイド曲線軌跡を有して形成されており、前記段付ピン22と噛み合うように組み付けられる。第2カム33は、中心に出力用の回転軸33aを備えた回転板であり、前記回転軸33aを中心とした外周上に複数の円形孔35が設けられている。この円形孔35には、前記段付ピン22の小径部22bが挿入され、この段付ピン22の運動が一定範囲に規制される。そして、この段付ピン22は、前記円形孔35によって規制された運動量に応じた速度によって前記第3カム34の内歯36と噛み合うことで第2カム33が所定の減速比に応じた回転運動をする。この第2実施形態の内歯駆動型の減速装置30は、伝達駆動点の数nと、段付ピン22の個数zから減速比が2/zとなる。
【0023】
上記第1及び第2実施形態の減速装置20,30は、減速比が異なるが、入力側の回転軸21a及び出力側の回転軸24a,33aが同軸上にあるため、入力側の回転軸21aを高速回転させた場合でもほとんど振動や騒音を発生させずに低速の出力回転が得られる。
【0024】
図7は、本発明に係る第3実施形態の減速装置40の構成を示したものである。この減速装置40は、前記第1実施形態の減速装置20と同様に、入力回転を伝達する第1カム41と、この第1カム41と連動する複数の段付ピン42からなるピン列と、前記段付ピン42と対応する円形孔45が複数開設されている第2カム43と、前記各段付ピン42と接する外歯46が複数形成された第3カム44とによって構成されている。この減速装置40の特徴的な点は、前記第1カム41に形成される環状溝49が真円を少し押し潰したような略三角形状となっていることである。この環状溝49は上記第1及び第2実施形態と同様にトロコイド曲線軌跡によって形成されているが、略120°の角度を備えた3箇所の伝達駆動点A2,B2,C2を備えたものとなっている。段付ピン42は、それぞれ独立した状態で前記環状溝49内に配置され、環状溝49内でそれぞれの段付ピン42が自由に回転及び移動が可能となっている。なお、前記第1カム41及び段付ピン42以外の構成要素である第2カム43及び第3カム44の構成は共通であるので、説明は省略するが、第2カム43に形成される円形孔45は、前記略三角形状の環状溝49内を転動する段付ピン42の動きに応じて溝長及び溝幅が設定される。
【0025】
図8は、完成した前記減速装置40を出力側の回転軸44a側から見たときの平面図であり、右半分は第2カム43の裏面側に隠れている第1カム41,段付ピン42,第3カム44の構成を示したものである。前記各段付ピン42は、前記第1カム41が1/3回転するごとに一つの外歯46の外周に沿って移動する。これによって、前記第1カム41が反時計回り(R1)に1回転するごとに、この第1カム41の回転方向と相反する時計回り(R2)に第3カム44を3個分の外歯46を進めることができる。
【0026】
この実施形態では、伝達駆動点の数nが3であるので、段付ピン42の個数をz個とすると、第3カム44の歯数は(z-3)個となり、第1カム41の360°/3の高速回転は、第3カム44の360°/(z-3)の低速回転に変換される。
【0027】
図9は、上記第3実施形態の減速装置40の構成を一部変更して形成された第4実施形態の減速装置50を示したものである。以下、前記減速装置40と同一構成の構成要素については、同一符号を用いて説明する。本実施形態の減速装置50は、第1カム41及び段付ピン42の構成は上記減速装置40と同様であるが、第3カム54が固定カムであり、第2カム53が減速回転出力用の回転カムとなっている。前記第3カム54は、中央に円形状の貫通孔54aが設けられ、この貫通孔54aにガイド縁25aに沿って複数の内歯56が形成されて、取付孔54bを介して装置本体などに固定して組み込まれる。前記内歯56は、トロコイド曲線軌跡を有して形成されており、前記段付ピン42と噛み合うように組み付けられる。第2カム53は、中心に出力用の回転軸53aを備えた回転板であり、前記回転軸53aを中心とした外周上に複数の円形孔55が設けられている。この円形孔55には、前記段付ピン42の小径部が挿入され、この段付ピン42の運動を一定範囲に規制される。そして、この段付ピン42は、前記円形孔55によって規制された運動量に応じた速度で前記第3カム54の内歯56と噛み合うことで、第2カム53が所定の減速比に応じた回転運動をする。
【0028】
上記第3及び第4実施形態の減速装置40,50は、共にトロコイド曲線軌跡を持つ楕円形状の環状溝49によって形成されているため、順次移動する伝達駆動点が3点となる。このため、前記第3実施形態の外歯駆動型の減速装置は、段付ピン42の数をz、伝達駆動点の数をnとすると、n/(z-n)の減速比となり、第4実施形態の内歯駆動型の減速装置は、n/zの減速比となる。このように、第1及び第2実施形態の減速装置20,30では実現できなかった減速比による出力回転を得ることが可能である。また、伝達駆動点が2点よりも3点の方がバランス性にも優れているため、入力側の回転軸21aを高速回転させた場合の振動や騒音をさらに低減させることができる。
【0029】
図10は、第1カム61に形成する環状溝69を略四角形状にした場合の構成例を示したものである。図10(a)に示すように、この環状溝69には、4箇所の伝達駆動点A3,B3,C3,D3が設定できるため、減速比をさらに細かく設定することができる。図10(b)は外歯66aを有する第3カム64aによって構成されたもので、図10(c)は内歯66bを有する第3カム64bによって構成されたものである。前記環状溝69に挿入する段付ピン62の数をzとすると、伝達駆動点が4箇所となるため、第3カムに設定される歯数は、(z-4)となる。したがって、第1カムの360°/4の高速回転は、第3カムの360°/(z-4)の低速回転に変換されることになる。
【0030】
前記伝達駆動点の数nは、2~4の範囲で設定されるが、伝達駆動点が2よりも3に設定することによって、120°間隔の均等なバランスがとれることで、回転時における振動を大幅に低減させることができる。また、前記環状溝を五角形以上とすることによって、伝達駆動点を5箇所以上設定することも、理論上可能である。
【0031】
以上、説明したように、本発明の減速装置では、トロコイド曲線軌跡を有する環状溝と、この環状溝内を自由に転動可能な複数の段付ピン及びこの段付ピンの動きを規制するための円形孔を備えることによって、高ねじり剛性を有するとともに、バックラッシレスの薄型サーボ機構用の減速装置を実現可能とした。また、従来の同種の減速装置では伝達駆動点を2箇所にしか設定できなかったが、前記環状溝の形状を変えることと、この環状溝内に配置される複数の段差ピンがチェーン等によって拘束されることなく、一つ一つが独立した動きをなし得ることから、前記伝達駆動点を3箇所乃至4箇所以上に設定することが容易となった。これによって、任意の減速比の設計を可能とするだけでなく、トルク負荷容量を同一体積においても増大することが可能である。
【0032】
このように、本願発明の減速装置は、主軸に偏心機構を持たず、調波減速装置のように装置本体が弾性振動を発生しないこと、さらに、小型且つ軽量であり、高速回転入力に適しているため、人間のパワーアシストメカニズムの駆動用減速装置に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る第1実施形態の減速装置の分解斜視図である。
【図2】上記第1実施形態の減速装置の平面図である。
【図3】上記第1実施形態の減速装置の駆動原理を示す説明図である。
【図4】本発明に係る第2実施形態の減速装置の分解斜視図である。
【図5】上記第2実施形態の減速装置の平面図である。
【図6】上記第2実施形態の減速装置の駆動原理を示す説明図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の減速装置の分解斜視図である。
【図8】上記第3実施形態の減速装置の平面図である。
【図9】本発明に係る第4実施形態の減速装置の分解斜視図である。
【図10】略四角形状の環状溝が形成された減速装置の平面図である。
【符号の説明】
【0034】
20 減速装置
21 第1カム
21a 回転軸
22 段付ピン
22a 大径部
22b 小径部
23 第2カム
23a 貫通孔
23b 取付孔
24 第3カム
24a 回転軸
25 円形孔
25a ガイド縁
26 外歯
28 回転プレート
29 環状溝
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9