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明細書 :エアーブリージングエンジン用プリクーラの着霜量低減方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3234898号 (P3234898)
公開番号 特開2000-297652 (P2000-297652A)
登録日 平成13年9月28日(2001.9.28)
発行日 平成13年12月4日(2001.12.4)
公開日 平成12年10月24日(2000.10.24)
発明の名称または考案の名称 エアーブリージングエンジン用プリクーラの着霜量低減方法
国際特許分類 F02B 29/04      
F02K  7/00      
F02M 31/20      
F28F 17/00      
FI F02B 29/04 M
F02B 29/04
F02K 7/00
F02M 31/20
F28F 17/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 3
出願番号 特願平11-109164 (P1999-109164)
出願日 平成11年4月16日(1999.4.16)
審査請求日 平成11年4月16日(1999.4.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391012693
【氏名又は名称】宇宙科学研究所長
発明者または考案者 【氏名】棚次 亘弘
【氏名】原田 賢哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
審査官 【審査官】佐藤 正浩
参考文献・文献 特開 平10-26469(JP,A)
特開 平2-78760(JP,A)
調査した分野 F02B 29/04
F02K 7/00
F02M 31/20
F28F 17/00 511
特許請求の範囲 【請求項1】
エアーブリージングエンジン用プリクーラの伝熱面上への着霜量を低減する方法であって、着霜物質を含有する被冷却気体の流れの中に、前記伝熱面の上流側で極低温流体を混入し、前記着霜物質を前記流れの中で凝結させ、凝結させた前記着霜物質を前記流れとともに前記プリクーラ中を通過させることを特徴とするエアーブリージングエンジン用プリクーラの着霜量低減方法。

【請求項2】
前記被冷却気体は空気であり、前記着霜物質は水蒸気であることを特徴とする請求項1に記載のエアーブリージングエンジン用プリクーラの着霜量低減方法。

【請求項3】
前記極低温流体は、液体酸素であることを特徴とする請求項1または2に記載のエアーブリージングエンジン用プリクーラの着霜量低減方法。

【請求項4】
前記極低温流体は、液体窒素であることを特徴とする請求項1または2に記載のエアーブリージングエンジン用プリクーラの着霜量低減方法。

【請求項5】
前記極低温流体は、液化天然ガスであることを特徴とする請求項1または2に記載のエアーブリージングエンジン用プリクーラの着霜量低減方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【1】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器の着霜量低減方法に係り、特に、エアーブリージングエンジン用のプリクーラに対して好適な着霜量低減方法に関する。

【10】

【発明の実施の形態】図1に、本発明の着霜量低減方法をエアーブリージングエンジン用のプリクーラに適用する場合の模式図を示す。図中、1はプリクーラ、2は伝熱管(伝熱面)、3はダクト(吸入側のダクト)、4はノズル、11は空気(被冷却気体)、12は液体水素(冷媒)、13は液体酸素(極低温流体)を表す。

【11】
エアーブリージングエンジン(図示せず)に予冷された空気を送るプリクーラ1の内部には、伝熱管2が配置されている。伝熱管2の内部には、冷媒として液体水素12が供給される。被冷却気体である空気11は、ダクト3を介してプリクーラ1に送られ、プリクーラ1内で冷却された空気は、エアーブリージングエンジンの圧縮機に送られる。

【12】
ダクト3の途中には、ノズル4が設けられている。このノズル4を介して、ダクト3内に液体酸素13が噴霧される。噴霧された液体酸素13が気化することによって、ダクト3内の空気11が露点以下の温度に冷却され、空気の中に含まれている水蒸気が核凝結する。核凝結によって形成された氷片は、空気11の流れに乗ってプリクーラ1の内部に運ばれ、伝熱管2の周囲を通過する。

【13】
この様に、水蒸気が氷片の状態で伝熱管2の周囲を通過することによって、水蒸気の状態のままで通過する場合と比較して、伝熱管2の表面への着霜量が減少する。その結果、プリクーラ1の熱交換能力が良好な状態で維持される。

【14】
図2に、主流(空気)の中に液体酸素を噴霧した際の、液体酸素の噴霧量と主流の温度降下の関係についての計算結果を示す。図3に、同様に、液体窒素を噴霧した際の、液体窒素の噴霧量と主流の温度降下の関係についての計算結果を示す。

【15】
なお、本発明の方法をエアーブリージングエンジン用のプリクーラに適用する際、極低温流体に液体酸素を用いれば酸化剤として機能し、液化天然ガスを用いれば燃料の一部として機能するので、いずれの場合にもエンジン性能を向上させることができる。

【16】
図4に、本発明の方法を一列管群要素熱交換器モデル(伝熱管外径8mm、ピッチ12mm)に適用した場合の、主流(空気)の温度と着霜速度の関係を示す。これらの実験では、約100Kの低温窒素ガスを混入することによって主流を冷却した。なお、伝熱面温度を90K、主流中の水蒸気の質量流束を10.4g/(m・s)とした。主流のレイノルズ数は1570である。着霜速度は、伝熱管の前面における着霜開始から100秒の間に成長した霜層を秤量して求めたものである。

【17】

【発明の効果】本発明の熱交換器の着霜量低減方法によれば、伝熱面上への着霜速度が減少することによって、プリクーラの性能を向上させることができる。本発明の着霜量低減方法を、スペースプレーンに使用されるエアーブリージングエンジン用のプリクーラに適用すれば、プリクーラの運転を中断することなく着霜を防止することができる。

【2】

【従来の技術】空気液化サイクルエンジンや予冷ターボ系エンジンの実用化に際して、高性能なプリクーラ(空気予冷却器)の開発がキーテクノロジーとなっている。この様なプリクーラの開発において、最も懸念されているのが熱交換器の伝熱面における着霜の問題である。

【3】
伝熱面に着霜が起きると、霜層の熱抵抗によって熱伝達性能が低下し、また、空気(主流れ)の流路が狭まることによって、その圧力損失が増大する。特に、極低温状態の伝熱面に形成される霜層は、密度が低く、熱伝導率が小さいので、熱交換器の性能に大きな影響を及ぼす。

【4】
特に、スペースプレーンに使用されるエアーブリージングエンジン用のプリクーラにおいて着霜が問題となるのは、加速フェーズにある低高度飛行時であり、この間(数十~数百秒程度)に、エンジンの運転を中断することはできない。即ち、この様な場合には、冷凍・空調用の熱交換器などにおいて採用されている様な間欠的な除霜運転を行うことはできない。

【5】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の様な問題点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、エアーブリージングエンジン用のプリクーラなどの極低温状態の伝熱面を有する熱交換器において、伝熱面上への着霜量を低減するための方法を提供することにある。

【6】

【課題を解決するための手段】本発明は、エアーブリージングエンジン用プリクーラの伝熱面上への着霜量を低減する方法であって、着霜物質を含有する被冷却気体の流れの中に、前記伝熱面の上流側で極低温流体を混入し、前記着霜物質を前記流れの中で凝結させ、凝結させた前記着霜物質を前記流れとともに前記プリクーラ中を通過させることを特徴とする。

【7】
本発明の着霜量低減方法によれば、伝熱面の上流側で被冷却気体の流れの中に極低温流体を混入することによって、当該流れを露点以下の温度に冷却し、当該流れの中で着霜物質を凝結させる。凝結した着霜物質は、被冷却気体の流れに乗って伝熱面上を通過する。その結果、伝熱面上に堆積する霜の量を減少させることができる。

【8】
例えば、前記熱交換器がエアーブリージングエンジン用のプリクーラの場合、前記被冷却気体は空気であり、前記着霜物質は水蒸気である。

【9】
なお、代表的な極低温流体は、空気の深冷分離によって得られる液体酸素または液体窒素である。また、極低温流体として液化天然ガスを使用すれば、エンジンの燃料の一部として機能させることもできる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
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