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明細書 :ポリイミド樹脂及び電解質膜

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5499275号 (P5499275)
公開番号 特開2012-102332 (P2012-102332A)
登録日 平成26年3月20日(2014.3.20)
発行日 平成26年5月21日(2014.5.21)
公開日 平成24年5月31日(2012.5.31)
発明の名称または考案の名称 ポリイミド樹脂及び電解質膜
国際特許分類 C08G  73/10        (2006.01)
H01B   1/06        (2006.01)
H01M   8/02        (2006.01)
H01M   8/10        (2006.01)
FI C08G 73/10
H01B 1/06 A
H01M 8/02 P
H01M 8/10
請求項の数または発明の数 4
全頁数 32
出願番号 特願2011-251893 (P2011-251893)
分割の表示 特願2007-520077 (P2007-520077)の分割、【原出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
出願日 平成23年11月17日(2011.11.17)
優先権出願番号 2005167588
優先日 平成17年6月7日(2005.6.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年12月5日(2011.12.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】渡辺 政廣
【氏名】宮武 健治
【氏名】内田 裕之
個別代理人の代理人 【識別番号】100104709、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 誠剛
審査官 【審査官】久保 道弘
参考文献・文献 特開2012-097263(JP,A)
特許第4934822(JP,B2)
調査した分野 C08G 73/00-73/26
C08L 1/00-101/14
H01B 1/00-1/24
H01M 8/00-8/24

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(3)で示される構造単位を含むことを特徴とするポリイミド樹脂。
【化3】
JP0005499275B2_000025t.gif
(一般式(3)中、Arは、炭素数6~20の芳香環であり、隣接するイミド基とともに原子数5又は6のイミド環を形成する。なお、この芳香環における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部又は全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。
また、Arは、芳香環における水素原子の2つが酸パーフルオロアルコキシ基で置換され、一般式(4)で示される構造を有する基である。なお、この酸パーフルオロアルコキシ基における一部または全部のフッ素原子は、脂肪族基、他のハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。)
【化4】
JP0005499275B2_000026t.gif
(一般式(4)中、X及びXは、酸性基を含む置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。m及びmは、前記酸パーフルオロアルコキシ基の炭素数を表し、それぞれ1以上6以下の整数である。また、m及びmは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
及びXが、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基又はフェノール性水酸基を含む置換基であることを特徴とする請求項に記載のポリイミド樹脂。
【請求項3】
前記構造単位が、前記一般式(4)で示されるビフェニル構造の4,4’位置に位置する2つの炭素にそれぞれNH基が結合したジアミン化合物と、四カルボン酸二無水物との重縮合により得られる構造単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のポリイミド樹脂を含むことを特徴とする電解質膜。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイミド樹脂及び電解質膜に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料(例えば、水素、メタノールなど。)と酸素との化学反応エネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電装置であり、温室ガスや有害物質を発生しないクリーンな次世代エネルギー源として有望視されている。とりわけ高分子固体電解質型燃料電池(以下、PEFCという。)やメタノール直接型燃料電池(以下、DMFCという。)は小型軽量化が可能で、電気自動車用、家庭用、携帯機器用などの電源として有望視されているため、現在活発に研究開発が行われている。PEFCやDMFCに用いられる電解質膜としては、湿潤状態でプロトンのみを透過する電解質膜が求められており、現在では主にパーフルオロアルキルスルホン酸高分子を含む電解質膜が用いられている。
【0003】
ところで、PEFCやDMFCについて、現在よりも性能を高めて広範な実用化を図るためには、運転温度を現在(例えば、80℃以下。)よりも高く(例えば、120℃以上。)することが求められている。しかしながら、上記したパーフルオロアルキルスルホン酸高分子を含む電解質膜は、100℃以上の温度条件下でプロトン伝導度及び機械的強度が低下してしまうため、100℃以上の高温運転に供することは困難であるという問題がある。また、燃料ガス(水素又はメタノール)を透過し易いという問題やコストが高いなどの問題がある。
【0004】
このような問題を解決するため、ポリマー内にスルホン酸基が導入されたポリイミド樹脂を含む電解質膜が提案されている。ポリマー内にスルホン酸基が導入されたポリイミド樹脂を含む電解質膜は、耐熱性、耐酸化性及び機械的強度が高く、製造コストが安価で、置換基導入が容易であり、さらには高いプロトン伝導度を有するため、燃料電池用の電解質膜の有望な候補の一つとして考えられている(例えば、特許文献1~4参照。)。このような、ポリマー内にスルホン酸基が導入されたポリイミド樹脂を含む電解質膜は、上記したパーフルオロアルキルスルホン酸高分子を含む電解質膜と比較しても、100℃以上でプロトン伝導度及び機械的強度が低下してしまうという問題が抑制されている。
【0005】
なかでも、特許文献2~4に記載されたポリイミド樹脂を含む電解質膜は、ポリマーの側鎖にスルホン酸基を含む置換基(例えば、酸アルコキシ基。)が導入されたポリイミド樹脂を含む電解質膜であるため、ポリマーの主鎖の芳香環にスルホン酸基が直接導入された特許文献1に記載されたポリイミド樹脂を含む電解質膜と比較しても、100℃以上でプロトン伝導度及び機械的強度が低下してしまうという問題がさらに抑制されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特表2000-510511号公報
【特許文献2】特開2002-105199号公報
【特許文献3】特開2002-105200号公報
【特許文献4】特開2004-155998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~4に記載されたポリイミド樹脂を含む電解質膜は耐加水分解性が低いという問題がある。
すなわち、燃料電池用の電解質膜としての性能を高めるためにポリイミド樹脂におけるプロトン伝導度を高めようとすれば、ポリイミド樹脂にスルホン酸基を高濃度に導入することが必要となる。しかしながら、スルホン酸基は極めて高い親水性を有するため、ポリイミド樹脂にスルホン酸基を高濃度に導入することに伴い、ポリイミド樹脂全体が親水性化される結果、ポリイミド樹脂におけるイミド結合が加水分解を受け易くなり、耐加水分解性が低下するのである。
【0008】
なお、この問題は、ポリイミド樹脂にスルホン酸基を高濃度に導入した場合だけに見られるのではなく、ポリイミド樹脂にスルホン酸基以外の強い酸性基を高濃度に導入した場合にも同様に見られる問題である。
【0009】
そこで、本発明は、耐加水分解性の向上されたポリイミド樹脂を提供することを目的とする。また、そのような優れたポリイミド樹脂を含む電解質膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ポリイミド樹脂の側鎖に導入する酸性基として、(a)炭素数が7以上の酸アルコキシ基、(b)酸パーフルオロアルコキシ基、(c)酸アルキル基又は(d)酸アルキルチオ基のうちのいずれかの酸性基を用いることにより、耐加水分解性を向上させることが可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
(1)すなわち、本発明のポリイミド樹脂は、一般式(1)で示される構造単位を含むことを特徴とする。
【化1】
JP0005499275B2_000002t.gif
(一般式(1)中、Arは、炭素数6~20の芳香環であり、隣接するイミド基とともに原子数5又は6のイミド環を形成する。なお、この芳香環における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部又は全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。 また、Arは、炭素数6~13の芳香環であり、この芳香環における水素原子の少なくとも一部は炭素数7以上の酸アルコキシ基で置換されている。なお、この酸アルコキシ基における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部または全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。)
【0012】
このため、本発明のポリイミド樹脂においては、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸アルコキシ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがより良好に分離されるようになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。
【0013】
また、本発明のポリイミド樹脂においては、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とがより良好に分離されるようになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。
【0014】
上記(1)に記載のポリイミド樹脂においては、前記酸アルコキシ基が炭素数7以上9以下の酸アルコキシ基である場合ももちろん好ましいが、上記に鑑みれば、前記酸アルコキシ基が炭素数10以上の酸アルコキシ基であることがさらに好ましい。
【0015】
なお、この明細書で、「S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよい」とは、炭素原子のみが置換される場合のほか、炭素原子に結合している水素原子もあわせて置換されることを含む意味である。また、Nで置換される場合には、結合した水素原子の数が変化することもある。
【0016】
(2)上記(1)に記載のポリイミド樹脂においては、Arが一般式(2)で示される構造を有する基であることが好ましい。
【化2】
JP0005499275B2_000003t.gif
(一般式(2)中、X及びXは、酸性基を含む置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。l及びlは、前記酸アルコキシ基の炭素数を表し、それぞれ7以上の整数である。また、l及びlは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0017】
このように、Arとして一般式(2)で示される構造を有する基を用いることにより、ポリイミド樹脂における耐加水分解性及びプロトン伝導度がさらに向上する。
【0018】
(3)本発明のポリイミド樹脂は、一般式(3)で示される構造単位を含むことを特徴とする。
【化3】
JP0005499275B2_000004t.gif
(一般式(3)中、Arは、炭素数6~20の芳香環であり、隣接するイミド基とともに原子数5又は6のイミド環を形成する。なお、この芳香環における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部又は全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。
また、Arは、炭素数6~13の芳香環であり、この芳香環における水素原子の少なくとも一部は酸パーフルオロアルコキシ基で置換されている。なお、この酸パーフルオロアルコキシ基における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部または全部のフッ素原子は、脂肪族基、他のハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。)
【0019】
このため、本発明のポリイミド樹脂においては、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、高い疎水性を有する酸パーフルオロアルコキシ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。
【0020】
また、本発明のポリイミド樹脂においては、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになる。また、パーフルオロアルコキシ基はアルコキシ基と比較して高い電子吸引性を有している。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、酸性基における酸性度が高まり、酸性基からプロトンが放出され易くなる。このため、本発明のポリイミド樹脂によれば、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。
【0021】
(4)上記(3)に記載のポリイミド樹脂においては、前記酸パーフルオロアルコキシ基が炭素数6以下の酸パーフルオロアルコキシ基である場合ももちろん好ましいが、前記酸パーフルオロアルコキシ基が炭素数7以上の酸パーフルオロアルコキシ基であることがより好ましい。
【0022】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸パーフルオロアルコキシ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をさらに受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸パーフルオロアルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。
【0023】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝ってさらに良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸パーフルオロアルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。
【0024】
また、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸パーフルオロアルコキシ基が存在することになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の場合と比較して、パーフルオロアルコキシ基による電子吸引性がさらに高くなる。その結果、酸性基における酸性度がさらに高くなるため、酸性基からプロトンがさらに放出され易くなり、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸パーフルオロアルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。
【0025】
(5)上記(3)に記載のポリイミド樹脂においては、Arが一般式(4)で示される構造を有する基であることが好ましい。
【化4】
JP0005499275B2_000005t.gif
(一般式(4)中、X及びXは、酸性基を含む置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。m及びmは、前記酸パーフルオロアルコキシ基の炭素数を表し、それぞれ1以上の整数である。また、m及びmは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0026】
このように、Arとして一般式(4)で示される構造を有する基を用いることにより、ポリイミド樹脂における耐加水分解性及びプロトン伝導性がさらに向上する。
【0027】
(6)本発明のポリイミド樹脂は、一般式(5)で示される構造単位を含むことを特徴とする。
【化5】
JP0005499275B2_000006t.gif
(一般式(5)中、Arは、炭素数6~20の芳香環であり、隣接するイミド基とともに原子数5又は6のイミド環を形成する。なお、この芳香環における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部又は全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。
また、Arは、炭素数6~13の芳香環であり、この芳香環における水素原子の少なくとも一部は酸アルキル基で置換されている。なお、この酸アルキル基における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部又は全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。)
【0028】
このため、本発明のポリイミド樹脂においては、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、疎水性の酸アルキル基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。
【0029】
また、本発明のポリイミド樹脂においては、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになるため、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。
【0030】
(7)上記(6)に記載のポリイミド樹脂においては、前記酸アルキル基が炭素数6以下の酸アルキル基である場合ももちろん好ましいが、前記酸アルキル基が炭素数7以上の酸アルキル基であることがより好ましい。
【0031】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸アルキル基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をさらに受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。
【0032】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝ってさらに良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。
【0033】
(8)上記(6)に記載のポリイミド樹脂においては、前記酸アルキル基がパーフルオロ化されていないものであることも好ましいが、前記酸アルキル基が酸パーフルオロアルキル基であることがより好ましい。
【0034】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、高い疎水性を有する酸パーフルオロアルキル基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をさらに受け難くなるため、パーフルオロ化されていない酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。
【0035】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝ってさらに良好に移動するようになる。また、パーフルオロアルキル基はアルキル基と比較して高い電子吸引性を有している、その結果、酸性基における酸性度がさらに高まり、酸性基からプロトンがさらに放出され易くなる。これらのため、パーフルオロ化されていない酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。
【0036】
(9)上記(6)に記載のポリイミド樹脂においては、Arが一般式(6)で示される構造を有する基であることが好ましい。
【化6】
JP0005499275B2_000007t.gif
(一般式(6)中、X及びXは、酸性基を含む置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。n及びnは、前記酸アルキル基の炭素数を表し、それぞれ1以上の整数である。また、n及びnは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0037】
このように、Arとして一般式(6)で示される構造を有する基を用いることにより、ポリイミド樹脂における耐加水分解性及びプロトン伝導性がさらに向上する。
【0038】
(10)本発明のポリイミド樹脂は、一般式(7)で示される構造単位を含むことを特徴とする。
【化7】
JP0005499275B2_000008t.gif
(一般式(7)中、Arは、炭素数6~20の芳香環であり、隣接するイミド基とともに原子数5又は6のイミド環を形成する。なお、この芳香環における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部又は全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。
また、Arは、炭素数6~13の芳香環であり、この芳香環における水素原子の少なくとも一部は酸アルキルチオ基で置換されている。なお、この酸アルキルチオ基における一部の炭素原子は、S、N、O、SO又はCOで置換されていてもよく、また、一部又は全部の水素原子は、脂肪族基、ハロゲン原子又はパーフルオロ脂肪族基で置換されていてもよい。)
【0039】
このため、本発明のポリイミド樹脂においては、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、酸素原子よりも大きな硫黄原子を有する酸アルキルチオ基が存在することになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、硫黄原子の立体障害により、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。
【0040】
(11)上記(10)に記載のポリイミド樹脂においては、前記酸アルキルチオ基が炭素数6以下の酸アルキルチオ基である場合ももちろん好ましいが、前記酸アルキルチオ基が炭素数7以上の酸アルキルチオ基であることがより好ましい。
【0041】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸アルキルチオ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。
【0042】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。
【0043】
(12)上記(10)に記載のポリイミド樹脂においては、前記酸アルキルチオ基がパーフルオロ化されていないものであることも好ましいが、前記酸アルキルチオ基が酸パーフルオロアルキルチオ基であることがより好ましい。
【0044】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、高い疎水性を有する酸パーフルオロアルキルチオ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をより受け難くなるため、パーフルオロ化されていない酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。
【0045】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、本発明のポリイミド樹脂によれば、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになる。また、パーフルオロアルキルチオ基はアルキルチオ基と比較して高い電子吸引性を有している、その結果、酸性基における酸性度が高まり、酸性基からプロトンが放出され易くなる。これらのため、パーフルオロ化されていない酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。
【0046】
(13)上記(10)に記載のポリイミド樹脂においては、Arが一般式(8)で示される構造を有する基であることが好ましい。
【化8】
JP0005499275B2_000009t.gif
(一般式(8)中、X及びXは、酸性基を含む置換基であり、同一であっても異なっていてもよい。o及びoは、前記酸アルキルチオ基の炭素数を表し、それぞれ1以上の整数である。また、o及びoは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
【0047】
このように、Arとして一般式(8)で示される構造を有する基を用いることにより、ポリイミド樹脂における耐加水分解性及びプロトン伝導性がさらに向上する。
【0048】
なお、上記(1)、(3)、(6)又は(10)に記載のポリイミド樹脂においては、酸アルコキシ基、酸パーフルオロアルコキシ基、酸アルキル基又は酸アルキルチオ基の炭素数は20以下であることが好ましい。
【0049】
このように構成することにより、原料の入手や製造が容易になり、製造コストも安価なものとなる。また、ポリイミド樹脂の一定重量当たりに含まれる酸性基の割合が減じられることがなくなり、高いプロトン伝導度を実現することができる。
【0050】
(14)上記(2)、(5)、(9)又は(13)に記載のポリイミド樹脂においては、X及びXが、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基又はフェノール性水酸基を含む置換基であることが好ましい。
【0051】
このように構成することにより、酸性基の酸解離度が高くなり、酸性基からプロトンが放出され易くなるため、プロトン伝導性がさらに向上する。
【0052】
(15)上記(1)~(14)に記載のポリイミド樹脂においては 前記構造単位が、炭素数7以上の酸アルコキシ基、酸パーフルオロアルコキシ基、酸アルキル基又は酸アルキルチオ基を含むジアミン化合物と、四カルボン酸二無水物との重縮合により得られる構造単位であることが好ましい。
【0053】
このように構成することにより、ポリイミド樹脂の合成が容易で、製造コストも安価なものになる。
【0054】
(16)本発明の電解質膜は、上記(1)~(15)のいずれかに記載のポリイミド樹脂を含むことを特徴とする。
【0055】
このため、本発明の電解質膜は、上記したように耐加水分解性及びプロトン伝導度の高い、優れたポリイミド樹脂を含む電解質膜であるため、燃料電池の運転温度を100℃以上にすることが可能になり、燃料電池の性能を現在よりも高めて広範な実用化を図ることが可能になる。
【0056】
また、従来から汎用されているパーフルオロアルキルスルホン酸高分子よりも低コストで製造することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明のポリイミド樹脂及び電解質膜を実施形態に基づいて詳細に説明する。

【0058】
[実施形態1]
(ポリイミド樹脂)
実施形態1に係るポリイミド樹脂は、上記した一般式(1)で示される構造単位を含むポリイミド樹脂である。

【0059】
実施形態1に係るポリイミド樹脂においては、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸アルコキシ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがより良好に分離されるようになる。その結果、実施形態1に係るポリイミド樹脂によれば、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。

【0060】
また、実施形態1に係るポリイミド樹脂においては、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、実施形態1に係るポリイミド樹脂によれば、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。

【0061】
なお、実施形態1に係るポリイミド樹脂においては、酸アルコキシ基が炭素数10以上の酸アルコキシ基であることがさらに好ましい。

【0062】
上記した一般式(1)におけるArとしては、例えば、以下に示す置換基を好ましく用いることができる。

【0063】
(Ar
【化9】
JP0005499275B2_000010t.gif

【0064】
また、上記した一般式(1)におけるArとしては、例えば、以下に示す置換基を好ましく用いることができる。

【0065】
(Ar
【化10】
JP0005499275B2_000011t.gif

【0066】
なかでも、Arが上記した一般式(2)で示される構造を有する基であることが好ましい。

【0067】
なお、Ar及びArで示されるそれぞれの化学構造は、すべて同じである必要はなく、複数の置換基が混在した共重合体又は混合物であってもよい。

【0068】
上記した一般式(2)におけるX又はXとしては、以下に示す置換基を好ましく用いることができる。

【0069】
(X、X
【化11】
JP0005499275B2_000012t.gif

【0070】
実施形態1に係るポリイミド樹脂においては、分子量は特に限定されないが、電解質膜としたときの機械的強度を維持する観点から、重合平均分子量が少なくとも5000以上であることが好ましい。

【0071】
なお、ポリイミド樹脂の構造は、上記した一般式(1)で示される構造単位を含むものであるが、他の構造単位(共重合成分)を含んでいてもよい。この場合、ブロック共重合体、交互共重合体又はランダム共重合体のいずれでも構わない。

【0072】
次に、実施形態1に係るポリイミド樹脂を製造する方法について、一例を挙げて説明する。なお、実施形態1に係るポリイミド樹脂の製造方法は、これに限定されるものではない。

【0073】
実施形態1に係るポリイミド樹脂は、酸アルコキシ基を含むジアミノ化合物と、四カルボン酸二無水物化合物とからなる複数のモノマーを、有機酸、第三級アミン及び有機溶媒の存在下で重合させて製造することができる。

【0074】
この製造方法においては、ジアミノ化合物のアミノ基の部分が、四カルボン酸二無水物化合物の酸無水物の部分と反応することで重合反応が進行し、イミド結合を持つポリイミド樹脂が形成される。

【0075】
酸アルコキシ基を含むジアミノ化合物としては、例えば、以下に示す化合物を好ましく用いることができる。

【0076】
(酸アルコキシ基を含むジアミノ化合物)
【化12】
JP0005499275B2_000013t.gif

【0077】
ジアミノ化合物は、単一の化合物で用いてもよいし、複数の化合物を混合して用いてもよい。

【0078】
得られるポリイミド樹脂の安定性を向上させるための架橋剤として、例えば、下記のジアミノ化合物、トリアミノ化合物、テトラアミノ化合物などを適宜添加することもできる。

【0079】
(ジアミノ化合物)
【化13】
JP0005499275B2_000014t.gif

【0080】
(トリアミノ化合物)
【化14】
JP0005499275B2_000015t.gif

【0081】
(テトラアミノ化合物)
【化15】
JP0005499275B2_000016t.gif

【0082】
四カルボン酸二無水物化合物としては、例えば、以下に示す化合物を好ましく用いることができる。

【0083】
(四カルボン酸二無水物化合物)
【化16】
JP0005499275B2_000017t.gif

【0084】
上記した四カルボン酸二無水物化合物のなかでも、得られるポリイミド樹脂の安定性の観点から、ナフタレン-1,8:4,5-四カルボン酸二無水物を特に好ましく用いることができる。

【0085】
四カルボン酸二無水物化合物は、単一の化合物で用いてもよいし、複数の化合物を混合して用いてもよい。

【0086】
ジアミノ化合物と四カルボン酸二無水物化合物とは、1:1のモル比で反応する。従って、ジアミノ化合物と四カルボン酸二無水物化合物とを加える量は、モル比が1:1程度になるように調整する。

【0087】
実施形態1に係るポリイミド樹脂の製造方法は、溶解工程、重合工程及び改質工程を含む。その他必要に応じた工程を含むこともできる。

【0088】
溶解工程は、ジアミノ化合物(0.1mM~5M)と、第三級アミン(0.1mM~20M)と、有機溶媒との混合物を加熱して溶解する工程である。第三級アミンは、酸性基を有するジアミノ化合物を有機溶媒に溶解させるために用いる。混合物を加熱する温度としては特に限定しないが、20~150℃程度とすることでモノマーを容易に均一に溶媒中に溶解することができる。

【0089】
第三級アミンとしては特に限定されず、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジアザビシクロウンデセン等を好ましく用いることができる。なかでも、トリエチルアミンを特に好ましく用いることができる。これら第三級アミンは、単独で用いてもよいし、2つ以上の第三級アミンの混合物として用いてもよい。

【0090】
有機溶媒としては、高沸点、高極性のものが好ましく、フェノール、m-クレゾール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリジノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリジノン等を好ましく用いることができる。なかでも、m-クレゾール、ジメチルスルホキシド及びN-メチル-2ピロリジノンを特に好ましく用いることができる。これら有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2つ以上の有機溶媒の混合物として用いてもよい。

【0091】
重合工程は、溶媒中にジアミノ化合物を均一に溶解して得られる溶液に四カルボン酸二無水物化合物(0.1mM~5M)を加えて、有機酸(0.01mM~20M)の存在下で加熱して重合させる工程である。有機酸は、重合・閉環反応触媒としての役割を果たし、ポリアミック酸の生成とこれの閉環によるイミド環形成を促進する。

【0092】
有機酸としては、高沸点、かつ、上記有機溶媒への溶解性が高い化合物が好ましく、安息香酸、メチル安息香酸、ジメチル安息香酸、サリチル酸等を好ましく用いることができる。なかでも、安息香酸を特に好ましく用いることができる。有機酸は重合工程で存在するならば上記した溶解工程で添加してもよい。有機酸を添加する量としては特に限定しないが、安息香酸の場合には、四カルボン酸二無水物化合物に対して1~6倍モル程度加えることが好ましい。また、混合物を加熱する温度としては少なくとも40℃以上であり、好ましくは150~180℃程度とすることで効率よく重合反応が進行し、高分子量ポリイミド樹脂を得ることができる。

【0093】
改質工程は、混合物(重合したポリイミド樹脂)中の構造欠陥を是正して、ポリイミド樹脂の物理的・化学的・熱的特性を向上する工程である。構造欠陥とは、ポリイミド樹脂中の未閉環部分(アミック酸)に基づく欠陥である。改質工程では、混合物を重合工程よりもさらに高い温度で加熱することで脱水反応を行い、未閉環部分のイミド化を生起させる。混合物を加熱する温度としては少なくとも150℃以上が好ましく、190~220℃がさらに好ましい。このような温度とすることで閉環反応が効率よく進行し、構造欠陥のないポリイミド樹脂を得ることができる。

【0094】
(電解質膜)
実施形態1に係る電解質膜は、実施形態1に係るポリイミド樹脂を公知の方法で製膜することによって製造することができる。製膜方法としては、例えば、溶液を平板上にキャストするキャスト法、ダイコータ、コンマコータ等により平板上に溶液を塗布する方法、溶融液を延伸等する方法などの一般的な方法を好ましく用いることができる。この場合、ポリイミド樹脂を単独で用いるほか、その他の高分子化合物、高分子電解質、低分子可塑剤等と混合して用いることができる。

【0095】
[実施形態2]
(ポリイミド樹脂)
実施形態2に係るポリイミド樹脂は、上記した一般式(3)で示される構造単位を含むポリイミド樹脂である。

【0096】
実施形態2に係るポリイミド樹脂においては、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、高い疎水性を有する酸パーフルオロアルコキシ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、実施形態2に係るポリイミド樹脂によれば、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。

【0097】
また、実施形態2に係るポリイミド樹脂においては、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、実施形態2に係るポリイミド樹脂によれば、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになる。また、パーフルオロアルコキシ基はアルコキシ基と比較して高い電子吸引性を有している。その結果、実施形態2に係るポリイミド樹脂によれば、酸性基における酸性度が高まり、酸性基からプロトンが放出され易くなる。このため、実施形態2に係るポリイミド樹脂によれば、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。

【0098】
実施形態2に係るポリイミド樹脂においては、酸パーフルオロアルコキシ基は、炭素数6以下の酸パーフルオロアルコキシ基であることももちろん好ましいが、炭素数7以上の酸パーフルオロアルコキシ基であることがより好ましい。

【0099】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸パーフルオロアルコキシ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をさらに受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸パーフルオロアルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。

【0100】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝ってさらに良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸パーフルオロアルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。

【0101】
また、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸パーフルオロアルコキシ基が存在することになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の場合と比較して、パーフルオロアルコキシ基による電子吸引性がさらに高くなる。その結果、酸性基における酸性度がさらに高くなるため、酸性基からプロトンがさらに放出され易くなり、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸パーフルオロアルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。

【0102】
上記した一般式(3)におけるArとしては、実施形態1の場合と同様、上記した一般式(1)におけるArと同様の置換基を好ましく用いることができる。

【0103】
上記した一般式(3)におけるArとしては、以下に示す置換基を好ましく用いることができる。

【0104】
(Ar
【化17】
JP0005499275B2_000018t.gif

【0105】
なお、Ar及びArで示されるそれぞれの化学構造はすべて同じである必要はなく、複数の置換基が混在した共重合体または混合物であってもよい。

【0106】
酸パーフルオロアルコキシ基を含むジアミノ化合物としては、例えば、以下に示す化合物を好ましく用いることができる。

【0107】
(酸パーフルオロアルコキシ基を含むジアミノ化合物)
【化18】
JP0005499275B2_000019t.gif

【0108】
(電解質膜)
実施形態2に係る電解質膜は、実施形態2に係るポリイミド樹脂を公知の方法で製膜することによって製造することができる。実施形態1に係る電解質膜の場合と同様である。

【0109】
[実施形態3]
(ポリイミド樹脂)
実施形態3に係るポリイミド樹脂は、上記した一般式(5)で示される構造単位を含むポリイミド樹脂である。

【0110】
実施形態3に係るポリイミド樹脂においては、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、疎水性の酸アルキル基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、実施形態3に係るポリイミド樹脂によれば、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。

【0111】
また、実施形態3に係るポリイミド樹脂においては、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、実施形態3に係るポリイミド樹脂によれば、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになる。このため、実施形態3に係るポリイミド樹脂によれば、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。

【0112】
実施形態3に係るポリイミド樹脂においては、酸アルキル基は、炭素数6以下の酸アルキル基であることももちろん好ましいが、炭素数7以上の酸アルキル基であることがより好ましい。

【0113】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸アルキル基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をさらに受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。

【0114】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝ってさらに良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。

【0115】
実施形態3に係るポリイミド樹脂においては、酸アルキル基が、酸パーフルオロアルキル基であることも好ましい。

【0116】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、高い疎水性を有する酸パーフルオロアルキル基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をさらに受け難くなるため、パーフルオロ化されていない酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。

【0117】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とがさらに良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とがさらに良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝ってさらに良好に移動するようになる。また、パーフルオロアルキル基はアルキル基と比較して高い電子吸引性を有しているため、酸性基における酸性度がさらに高まり、酸性基からプロトンがさらに放出され易くなる。このため、パーフルオロ化されていない酸アルキル基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度がさらに向上する。

【0118】
上記した一般式(5)におけるArとしては、実施形態1~2の場合と同様に、上記した一般式(1)におけるArと同様の置換基を好ましく用いることができる。

【0119】
上記した一般式(5)におけるArとしては、例えば、以下に示す置換基を好ましく用いることができる。

【0120】
(Ar
【化19】
JP0005499275B2_000020t.gif

【0121】
なお、Ar及びArで示されるそれぞれの化学構造はすべて同じである必要はなく、複数の置換基が混在した共重合体または混合物であってもよい。

【0122】
酸アルキル基を含むジアミ化合物としては、例えば、以下に示す化合物を好ましく用いることができる。

【0123】
(酸アルキル基を含むジアミノ化合物)
【化20】
JP0005499275B2_000021t.gif

【0124】
(電解質膜)
実施形態3に係る電解質膜は、実施形態3に係るポリイミド樹脂を公知の方法で製膜することによって製造することができる。実施形態1に係る電解質膜の場合と同様である。

【0125】
[実施形態4]
(ポリイミド樹脂)
実施形態4に係るポリイミド樹脂は、上記した一般式(7)で示される構造単位を含むポリイミド樹脂である。

【0126】
実施形態4に係るポリイミド樹脂においては、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、酸素原子よりも大きな硫黄原子を有する酸アルキルチオ基が存在することになる。その結果、実施形態4に係るポリイミド樹脂によれば、硫黄原子の立体障害により、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、同じ炭素数の酸アルコキシ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性が向上する。

【0127】
実施形態4に係るポリイミド樹脂においては、酸アルキルチオ基は、炭素数6以下の酸アルキルチオ基であることももちろん好ましいが、炭素数7以上の酸アルキルチオ基であることがより好ましい。

【0128】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、炭素数が7以上の長鎖の酸アルキルチオ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃を受け難くなるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。

【0129】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになるため、炭素数が6以下の比較的短鎖の酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。

【0130】
実施形態4に係るポリイミド樹脂においては、酸アルキルチオ基が、酸パーフルオロアルキルチオ基であることも好ましい。

【0131】
このように構成することにより、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖との間には、高い疎水性を有する酸パーフルオロアルキルチオ基が存在することになるため、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。その結果、疎水性のポリイミド樹脂の主鎖に存在するイミド結合が親水性の酸性基からの水分子による攻撃をより受け難くなるため、パーフルオロ化されていない酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、耐加水分解性がさらに向上する。

【0132】
また、上記したように、親水性の酸性基と疎水性のポリイミド樹脂の主鎖とが良好に分離されるようになる。すなわち、親水性領域と疎水性領域とが良好に分離されるようになる。その結果、親水性領域で発生したプロトンは、ポリイミド樹脂中に偏在する親水性領域を伝って良好に移動するようになる。また、パーフルオロアルキルチオ基はアルキルチオ基と比較して高い電子吸引性を有している、その結果、酸性基における酸性度が高まり、酸性基からプロトンが放出され易くなる。これらのため、パーフルオロ化されていない酸アルキルチオ基を有するポリイミド樹脂と比較して、プロトン伝導度が向上する。

【0133】
上記した一般式(7)におけるArとしては、実施形態1~3の場合と同様に、上記した一般式(1)におけるArと同様の置換基を好ましく用いることができる。

【0134】
上記した一般式(7)におけるArとしては、例えば、以下に示す置換基を好ましく用いることができる。

【0135】
(Ar
【化21】
JP0005499275B2_000022t.gif

【0136】
なお、Ar及びArで示されるそれぞれの化学構造はすべて同じである必要はなく、複数の置換基が混在した共重合体または混合物であってもよい。

【0137】
酸アルキルチオ基を含むジアミノ化合物としては、例えば、以下に示す化合物を好ましく用いることができる。

【0138】
(酸アルキルチオ基を含むジアミノ化合物)
【化22】
JP0005499275B2_000023t.gif

【0139】
(電解質膜)
実施形態4に係る電解質膜は、実施形態4に係るポリイミド樹脂を公知の方法で製膜することによって製造することができる。実施形態1に係る電解質膜の場合と同様である。
【実施例】
【0140】
(実施例1)
〔モノマー合成1:3,3’-ビス(スルホデシルオキシ)ベンジジンの合成〕
300mLのナス型フラスコに無水アセトニトリル150mL、1,10-ジブロモデカン50g及び炭酸カリウム10gを加え、加熱還流しながら攪拌した。そこに、4,4’-ビス(アセトアミド)-3,3’-ジヒドロキシビフェニルを6時間おきに0.5gずつ合計4.0g加え、12時間加熱還流しながら撹拌した。反応混合物をクロロホルムに注いだ後、純水で3回洗浄した。有機層を濃縮し、ヘキサン中に沈殿させ黄色粉末の4,4’-ビス(アセトアミド)-3,3’-ビス(10-ブロモデシルオキシ)ビフェニルを得た。
【実施例】
【0141】
100mLのナス型フラスコに無水1,1,2,2-テトラクロロエタン50mL、4,4’-ビス(アセトアミド)-3,3’-ビス(10-ブロモデシルオキシ)ビフェニル2.0g、臭化テトラブチルアンモニウム0.2g及び飽和亜硫酸ナトリウム水溶液40mLを加えた。この混合物を4日間加熱還流しながら撹拌した。反応混合液に濃塩酸を加えて酸性にした後、クロロホルムを用いて有機成分を抽出した。クロロホルム層を純水で3回洗浄し、蒸発乾固することにより4,4’-ビス(アセトアミド)-3,3’-ビス(10-スルホデシルオキシ)ビフェニルを得た。
【実施例】
【0142】
20mLのナス型フラスコに4,4’-ビス(アセトアミド)-3,3’-ビス(10-スルホデシルオキシ)ビフェニル2g、濃塩酸6mL、メタノール50mL及び純水20mLを加え、12時間加熱還流しながら攪拌した。反応終了後、混合物を加熱乾固した。得られた薄黄色粉末を、メタノール/水及びメタノール/クロロホルムを用いて再結晶精製させることにより、白色結晶の3,3’-ビス(スルホデシルオキシ)ベンジジンを得た。
【実施例】
【0143】
〔ポリイミド樹脂の製造〕
シール付の水銀温度計、窒素導入口及び還流管を付した100mLの四口フラスコに、1.314g(2.0mmol)の3,3’-ビス(スルホデシルオキシ)ベンジジンと、0.38mL(3mmol)のトリエチルアミンと、7.5mLのm-クレゾール(関東化学社製)とを加えて、窒素気流下140℃で10分間加熱した。この混合物を激しく撹拌して、透明均一溶液を得た(溶解工程)。
【実施例】
【0144】
この混合液に0.536g(2.00mmol)のナフタレン-1,8:4,5-四カルボン酸二無水物と、1.000g(8.18mmol)の安息香酸と、15mLのm-クレゾールとを加えた。反応溶液は赤褐色となった。その後、窒素気流下175℃で撹拌しながら15時間加熱した。反応溶液は粘稠となった(重合工程)。
【実施例】
【0145】
次いで、窒素気流下195℃で5時間加熱した。加熱を止めて60℃にまで冷却した。赤褐色で、粘稠なポリイミド重合体の溶液が得られた(改質工程)。
【実施例】
【0146】
〔電解質膜の製造〕
得られたポリイミド重合体溶液を、キャスト法にて製膜した。キャスト法はガラス板上に製造した共重合体溶液をそのまま流した後に、60℃で一日自然乾燥を行い製膜した。その後、80℃で12時間常圧乾燥を行った後に、さらに80℃で12時間減圧乾燥を行った。
【実施例】
【0147】
そして、得られた膜を1N硝酸エタノール溶液400mL中に浸漬し12時間撹拌した(酸処理工程)。この酸処理工程をさらに2回繰り返した。その後、エタノールで洗浄した。その後、60℃で12時間減圧乾燥を行い試験試料とした。
【実施例】
【0148】
(実施例2)
3,3’-ビス(スルホデシルオキシ)ベンジジンに代えて、3,3’-ビス(スルホテトラフルオロエチルオキシ)ベンジジンを用いたこと以外は実施例1の方法に従い、試験試料を得た。
【実施例】
【0149】
(実施例3)
3,3’-ビス(スルホデシルオキシ)ベンジジンに代えて、3,3’-ビス(スルホメチル)ベンジジンを用いたこと以外は実施例1の方法に従い、試験試料を得た。
【実施例】
【0150】
(実施例4)
3,3’-ビス(スルホデシルオキシ)ベンジジンに代えて、3,3’-ビス(スルホエチルチオ)ベンジジンを用いたこと以外は実施例1の方法に従い、試験試料を得た。
【実施例】
【0151】
(比較例1)
3,3’-ビス(スルホデシルオキシ)ベンジジンに代えて、3,3’-ビス(スルホプロピルオキシ)ベンジジンを用いたこと以外は実施例1の方法に従い、試験試料を得た。
【実施例】
【0152】
(耐酸化性)
実施例1~4及び比較例1に係る各試験試料を、フェントン試薬(2ppmの硫酸鉄を含有する3%過酸化水素水溶液)中、80℃で加熱した。各試験試料の外観を経時的に観察した。試料の膜が溶解を始めた時間と完全に溶解した時間とを記録した。
【実施例】
【0153】
(耐加水分解性)
実施例1~4及び比較例1に係る各試験試料を高温高湿度(140℃、湿度100%)雰囲気に24時間さらした。試験後、各試験試料の外観を観察した。
【実施例】
【0154】
(プロトン伝導度)
実施例1~4及び比較例1に係る各試験試料を、5×40mmの大きさに切り取り、4端子法により交流インピーダンスを測定した。測定は、80℃又は100℃、相対湿度65%、電流値として0.005mAの定電流、掃引周波数として10~20000Hzの条件で行った。得られたインピーダンス、膜端子間距離(10mm)及び膜厚(50μm)からプロトン伝導度を算出した。
【実施例】
【0155】
(結果)
実施例1~4及び比較例1に係る各試験試料についての評価結果を表1に示す。
【実施例】
【0156】
【表1】
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【実施例】
【0157】
表1からも明らかなように、実施例1~4に係る各試験試料は、比較例1に係る試験試料と比較して、高い耐酸化性、高い耐加水分解性及び高いプロトン伝導度を有することが明らかになった。