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明細書 :褐藻類を原料とする凝集剤用原料、該原料を用いた凝集剤、該凝集剤の製造方法及び該凝集剤を用いた浄化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5646159号 (P5646159)
公開番号 特開2011-104522 (P2011-104522A)
登録日 平成26年11月14日(2014.11.14)
発行日 平成26年12月24日(2014.12.24)
公開日 平成23年6月2日(2011.6.2)
発明の名称または考案の名称 褐藻類を原料とする凝集剤用原料、該原料を用いた凝集剤、該凝集剤の製造方法及び該凝集剤を用いた浄化方法
国際特許分類 B01D  21/01        (2006.01)
FI B01D 21/01 103
B01D 21/01 108
請求項の数または発明の数 11
全頁数 10
出願番号 特願2009-262493 (P2009-262493)
出願日 平成21年11月18日(2009.11.18)
審査請求日 平成24年11月16日(2012.11.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
発明者または考案者 【氏名】榎 牧子
【氏名】佐藤 道祐
【氏名】安岡 啓一
個別代理人の代理人 【識別番号】100090402、【弁理士】、【氏名又は名称】窪田 法明
審査官 【審査官】富永 正史
参考文献・文献 特開2008-207167(JP,A)
特開2003-181206(JP,A)
特開昭52-143982(JP,A)
調査した分野 B01D 21/01
C02F 1/52- 1/56
C02F 11/00-11/20
特許請求の範囲 【請求項1】
酸水溶液で前処理した褐藻類を乾燥・粉砕して得られた褐藻類の乾燥粉末を主成分とすることを特徴とする凝集剤用原料。
【請求項2】
褐藻類の乾燥粉末とナトリウム化合物粉末との混合粉末からなり、該ナトリウム化合物はアルギン酸にナトリウムイオンを作用させ、可溶化させることができるナトリウム化合物であることを特徴とする凝集剤。
【請求項3】
前記褐藻類が酸水溶液で前処理したものであることを特徴とする請求項2に記載の凝集剤。
【請求項4】
前記混合粉末中に含まれているナトリウム化合物粉末の割合が5.0~10重量%であることを特徴とする請求項2又は3に記載の凝集剤。
【請求項5】
前記ナトリウム化合物が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の凝集剤。
【請求項6】
褐藻類を酸水溶液で前処理する工程と、酸水溶液で前処理した該褐藻類を水洗いする工程と、水洗いした褐藻類を乾燥する工程と、乾燥した該褐藻類を粉末状に粉砕する工程、粉末状に粉砕した該褐藻類の粉末とナトリウム化合物の粉末を混合する工程とを備え、該ナトリウム化合物はアルギン酸にナトリウムイオンを作用させ、可溶化させることができるナトリウム化合物であることを特徴とする凝集剤の製造方法。
【請求項7】
褐藻類を酸水溶液で前処理する工程と、酸水溶液で前処理した該褐藻類を水洗いする工程と、水洗いした褐藻類を乾燥する工程と、乾燥した該褐藻類にナトリウム化合物の粉末を混ぜる工程と、ナトリウム化合物の粉末を混ぜた該褐藻類を粉末状に粉砕する工程とを備え、該ナトリウム化合物はアルギン酸にナトリウムイオンを作用させ、可溶化させることができるナトリウム化合物であることを特徴とする凝集剤の製造方法。
【請求項8】
前記ナトリウム化合物が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項6又は7に記載の凝集剤の製造方法。
【請求項9】
前記炭酸ナトリウムの含有割合が5.0~10重量%であることを特徴とする請求項8に記載の凝集剤の製造方法。
【請求項10】
請求項2又は3記載の凝集剤と水を混合して凝集剤液を作る工程と、被浄化水に該凝集剤液を添加して混合する工程と、該凝集剤液を添加して混合した該被浄化水に塩化カルシウムを添加して混合する工程とを備えたことを特徴とする浄化方法。
【請求項11】
被浄化水に塩化カルシウムを添加して混合する工程と、請求項2又は3記載の凝集剤と水を混合して凝集剤液を作る工程と、塩化カルシウムを添加して混合した被浄化水に該凝集剤液を添加して混合する工程とを備えたことを特徴とする浄化方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、褐藻類を原料とする凝集剤用原料、該原料を用いた凝集剤、該凝集剤の製造方法及び該凝集剤を用いた浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、工業的に合成された化学物質の人体への影響が心配されており、水を浄化する凝集剤もこのような化学物質の場合、人体にどのような影響があるか心配である。そこで、人が摂取しても安全性に問題の無いと思われる凝集剤として、アルギン酸の使用が考えられている。アルギン酸は褐藻類の細胞間に大量に含まれており、人は昔から褐藻類を食物として摂取しており、人の健康上に問題の無いことが明らかだからである。しかも、褐藻類として商品にならない部分が大量に廃棄され、その処理も問題になっている。
【0003】
そこで、廃棄予定の褐藻類を希塩酸で洗浄し、含まれているアルギン酸を抽出し易い形に変え、この塩酸で洗浄した褐藻類に炭酸ナトリウムを加えて褐藻ペーストとした。褐藻ペーストでは、組織内のアルギン酸が炭酸ナトリウムの影響により組織内部から水溶液中に溶出し、凝集機能を発揮するにいたる。残存する不溶性組織を分離することなく、ペーストをそのまま凝集剤として使用することが提案されている。
【0004】
褐藻類に含まれているアルギン酸を組織の外側に溶出させることにより、水分を含んだ状態の褐藻ペーストを、被処理水に添加・混合し、その後、被処理水に塩化カルシウムの水溶液を添加・混合すると、被処理水中のアルギン酸が懸濁物質を巻き込んだ状態でカルシウムイオンと反応し、架橋構造形成を経てゲル化した後、被処理水中に析出して沈殿し、被処理水が浄化されることになる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2000-245403号公報
【特許文献2】特開2005-331195号公報
【特許文献3】特開2007-136296号公報
【0006】

【非特許文献1】「海藻ペーストを用いた浚渫用凝集剤の開発-アルギン酸抽出を伴わないワカメペーストの調製とその泥水凝集性能-」日本水産学会誌Vol.74,No.4, 688-693
【非特許文献2】独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 平成18年度産業技術研究助成事業 研究成果報告書「浄化残渣の浚渫用凝集・団粒化剤への応用に関する研究」平成19年12月 国立大学法人東京海洋大学 榎牧子
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本願の発明者らは、褐藻類を原料とし、図2に示す方法で凝集剤を製造することを試みている。すなわち、採取した褐藻類を水洗いし、付着していた塩分を除去し、これを0.12~0.24M程度の希塩酸に浸漬し、水洗した後、破砕機(ミキサー、ディスポーザー等)で破砕し、得られた褐藻類スラリーに0.75%程度の炭酸ナトリウム水溶液を加えて混合し、水蒸気の凝縮熱を利用した乾燥機(ドラムドライヤー)でこの褐藻類スラリーをフレーク状に乾燥させ、これを破砕して凝集剤とすることを試みている。
【0008】
しかし、原料となる褐藻類は含まれる水分量が一定でないので、得られた褐藻類スラリーに含まれる水分量がロット毎に異なり、褐藻類スラリーに定量の炭酸ナトリウムを添加・混合しても褐藻類スラリーに対する炭酸ナトリウム濃度がロット毎に異なり、褐藻類スラリーに対して同一濃度条件の炭酸ナトリウムを反応させることができず、従って、得られた凝集剤の凝集能力がロット毎にばらつきを生じてしまうという問題があった。これを解決するためには、ロット毎に含水率を測定して炭酸ナトリウム投入量を決定する必要があり、作業工程が煩雑となる問題があった。
【0009】
また、褐藻類スラリーに炭酸ナトリウム水溶液を加えて混合する際、次の乾燥工程の効率化のために水分を極力少なくする必要があるが、このために褐藻類スラリーは流動性が悪いので、普通にかき混ぜる程度では褐藻類スラリーに炭酸ナトリウム水溶液を均一に混合することが難しく、褐藻類スラリーに炭酸ナトリウムを均一に反応させることができず、従って、得られた凝集剤の凝集能力にばらつきを生じてしまうという問題があった。
【0010】
また、製造したペーストは水を含んだ状態の場合、使用までの期間の間に腐敗するため、必ず乾燥して保管しなければならない。内部に空気が通り難く、乾燥させ難いペースト状の褐藻類を大量に乾燥させなければならないので、普通の乾燥機で褐藻類を乾燥させることができず、水蒸気の凝縮熱を利用して対象物を乾燥させるドラムドライヤーのような特殊な乾燥機を使用しなければならず、従って、普通の乾燥機を使用した場合と比べ、乾燥コストが高くなり、凝集剤の製造コストが高くなるという問題があった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、褐藻類を原料とし、凝集能力にばらつきの無い均質な凝集剤を低コストで得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、褐藻類の乾燥粉末を凝集剤用原料とし、これにナトリウム化合物の粉末を混ぜて凝集剤とし、これを被処理水の浄化に使用したことを最も主要な特徴とする。
【0013】
すなわち、本発明に係る凝集剤用原料は、酸水溶液で処理した褐藻類の乾燥粉末を主成分とするものである。また、本発明に係る凝集剤は、褐藻類の乾燥粉末とナトリウム化合物粉末との混合粉末からなるものである。ここで、褐藻類は酸水溶液で処理してあるものが好ましいが、酸水溶液で処理してないものでもある程度の凝集効果は認められ、凝集剤としての使用は可能である。また、混合粉末中に含まれているナトリウム化合物粉末の割合が5.0~10重量%、特に7.5~10重量%が好ましい。
【0014】
また、本発明に係る凝集剤の製造方法は、褐藻類を酸水溶液で処理する工程と、酸水溶液で処理した該褐藻類を水洗いする工程と、水洗いした褐藻類を乾燥する工程と、乾燥した該褐藻類を粉末状に粉砕する工程、粉末状に粉砕した該褐藻類の粉末とナトリウム化合物の粉末を混合する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係る別の凝集剤の製造方法は、褐藻類を酸水溶液で処理する工程と、酸水溶液で処理した該褐藻類を水洗いする工程と、水洗いした褐藻類を乾燥する工程と、乾燥した該褐藻類にナトリウム化合物の粉末を混ぜる工程と、ナトリウム化合物の粉末を混ぜた該褐藻類を粉末状に粉砕する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明に係る浄化方法は、被浄化水に塩化カルシウムを添加して混合する工程と、被浄化水に請求項1記載の凝集剤を添加して混合する工程とをこの順に備えたことを特徴とするものである。本発明に係る別の浄化方法は被浄化水に上記凝集剤を添加して混合する工程と、被浄化水に塩化カルシウムを添加して混合する工程とをこの順に備えたことを特徴とするものである。
【0017】
ここで、褐藻類としては、例えばワカメ、コンブ、アカモク、ヒバマタ等の海藻を挙げることができるが、本発明で使用できる褐藻類としてはこれらの海藻に限定されるものではなく、アルギン酸を含むことが知られている海藻であれば使用することができる。
【0018】
また、褐藻類としては、海岸に打ち上げられて廃棄されるものや、食品加工の残滓として廃棄されるものに限定されず、凝集剤の原料用として海から採取されたり、海の中で凝集剤の原料用として栽培されたものでもよい。
【0019】
また、酸としては例えば塩酸を使用することができるが、アルギン酸の活性化を促進できるものであれば、これら以外の酸(例えば硫酸、リン酸、クエン酸等)を使用してもよい。
【0020】
酸として塩酸を使用する場合は、濃度0.1~0.3Mの希塩酸が好ましく、希塩酸がこの範囲にある場合は被処理水のSS濃度が50ppm以下になる。特に、濃度0.12M~0.3Mの希塩酸が望ましく、希塩酸がこの範囲にある場合は被処理水のSS濃度が30ppm以下になり、且つ希塩酸の消費量が少なくて済むからである。
【0021】
なお、希塩酸が0.3Mを超える場合も被処理水のSS濃度は30ppm以下になるが、浄化効果に比べて希塩酸の消費量が無駄に増加するし、希塩酸で処理した褐藻類を水で洗浄した場合に希塩酸が褐藻類から除去され難く、後で添加する炭酸ナトリウムの消費を増やすので、上限を0.3に止めた。従って、希塩酸の濃度が0.3Mを超える場合を排除するものではない。
【0022】
また、酸水溶液で処理するとは、酸水溶液に海藻を浸漬する場合のみならず、海藻に酸を吹き付ける等、酸水溶液が海藻の表面に付着して細胞間に酸水溶液が作用するような状態になれば、如何なる方法でそのような状態にしてもよい。
【0023】
また、ナトリウム化合物としては調達し易さから考えると炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等を使用することができるが、アルギン酸にナトリウムイオンを作用させることができるものであれば、これら以外のナトリウム化合物を使用してもよい。
【0024】
ナトリウム化合物として炭酸ナトリウムを使用する場合、含有割合は5.0~10wt%が好ましく、炭酸ナトリウムがこの範囲にある場合は被処理水のSS濃度が50ppm以下になる。特に、7.5~10wt%が望ましく、炭酸ナトリウムがこの範囲にある場合は被処理水のSS濃度が30ppm以下になり、且つ炭酸ナトリウムの消費量が比較的少なくて済むからである。また、過剰なナトリウムイオンは、被処理水の処理時にアルギン酸とカルシウムイオンとの架橋反応を妨げることも理由の一つである。
【0025】
なお、炭酸ナトリウムの含有割合が10wt%を超える場合も被処理水のSS濃度は30ppm以下になるが、浄化効果に比べて炭酸ナトリウムの消費量が無駄に増加するので、上限を10wt%に止めた。従って、炭酸ナトリウムの濃度が10wt%Mを超える場合を排除するものではない。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、使用する褐藻類が乾燥した粉末であり、ペースト状の褐藻類のように含有割合が不明な水分を含んでいないので、添加すべきナトリウム化合物の添加量を正確に求めることができ、従って、凝集特性が一定かつ優れた凝集剤を得ることができるという利点がある。
【0027】
この場合、ペースト状の褐藻類を分取して乾燥させ、ペースト状の褐藻類の含水割合を求めることが考えられなくはないが、そのようにする場合は、手間と時間がかかり、面倒であるし、実際に褐藻類から凝集剤を製造して使用するだろう現場を考えた場合、どこでも、だれでも容易にできるわけではない。
【0028】
また、本発明は、褐藻類のペーストにナトリウム化合物の水溶液を混合して凝集剤を得るのではなく、褐藻類の粉末にナトリウム化合物の粉末を混合して凝集剤を得ているので、褐藻類とナトリウム化合物の両方が粉末であり、保存期間中の変質が抑制され、使用直前に投入に適した濃度まで希釈されることから均質な凝集剤を得ることができるという利点がある。
【0029】
また、破砕してペースト状になった褐藻類を乾燥させるのではなく、海藻の状態のまま乾燥させてこれを粉末にするので、大型の特殊な乾燥機を使用する必要がなく、普通の乾燥機を使用して乾燥させることができ、従って、低コストで粉末状の凝集剤を得ることができるという利点がある。
【0030】
また、本発明に係る凝集剤は、ペースト状になった褐藻類を乾燥させる特殊な乾燥機を使用することなく、海藻状態のまま乾燥させる普通の乾燥機、すなわち温度を上げた乾燥室内に乾燥対象物を入れて乾燥させるだけのどこでも調達できる乾燥機を使用して製造することができるものなので、例えば辺鄙な海岸等において廃棄され、無駄に朽ちている海藻を凝集剤として有効に利用することができる。
【0031】
また、本発明は、海藻から純粋なアルギン酸を抽出することなく、単に海藻を酸水溶液で処理するだけでこれを凝集剤として使用するので、純粋なアルギン酸を海藻から抽出してこれを凝集剤として使用する場合と比べると、凝集剤を極めて安価に得ることができ、従って、被処理水を極めて低コストで浄化処理することができるという利点がある。
【0032】
また、本発明に係る凝集剤は、長い間、人に食され、人体に無害であることがわかっている海藻を原料として作られたものなので、化学的に合成された物質から作られている凝集剤の場合のように、浄化された水について環境ホルモン等の危険性を心配する必要が全くなく、安全性が極めて高いという利点があることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る凝集剤の製造方法を示す工程図である。
【図2】本発明者が試みた比較例としての凝集剤の製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
廃褐藻類を原料とし、所望の凝集能力を備えた凝集剤を得るという目的を、低コストで、人の健康に対する安全性を損なわずに実現した。
【実施例1】
【0035】
本願発明に係る凝集剤の製造例を、図1に示す工程図に従って説明する。まず、褐藻類である生ワカメ(生褐藻類)を採取し、これを水洗いして、表面に付着していた塩分を除去した後、0~1.2Mの希塩酸に1時間浸漬した。生ワカメは希塩酸への浸漬により表面がぬるぬるした状態になる。
【実施例1】
【0036】
次に、希塩酸から生ワカメを引き上げ、この生ワカメを水洗いして希塩酸を除去した後、乾燥機に入れ、80℃で6hr乾燥させた。生ワカメは乾燥により大幅に減容し、100gの生ワカメは18gの乾燥ワカメになった。
【実施例1】
【0037】
次に、乾燥ワカメを粉砕器で粉砕し、粉ワカメを得、得られた粉ワカメに炭酸ナトリウム粉末を加えて良く混合し、粉ワカメと炭酸ナトリウム粉末とからなる粉末状の凝集剤を得た。ここで、炭酸ナトリウム粉末の割合は7.5wt%とした。
【実施例1】
【0038】
次に、この凝集剤0.5gと水69.5mlを混合して凝集剤液を調製した。この段階で、炭酸ナトリウムは水に溶け、粉ワカメ中のアルギン酸は炭酸ナトリウムと反応し、凝集剤液中に溶出してくる。
【実施例1】
【0039】
次に、この凝集剤液を使用し、被処理水1t当たり、凝集剤50g、塩化カルシウム 500gを添加するという条件で、SS濃度が10,000ppmの被処理水を浄化し、粉ワカメに対する炭酸ナトリウムの好ましい割合を調べた。
【実施例1】
【0040】
まず、被処理水に塩化カルシウム水溶液を添加し、強制攪拌する。その後、この被処理水に凝集剤液を添加し、強制攪拌すると、被処理水中にフロックが形成される。水溶液中のアルギン酸が塩化カルシウムと反応し、架橋構造形成を経てゲル化した後、被処理水中に析出したためである。
【実施例1】
【0041】
このゲル化したアルギン酸のフロックは被処理水中の浮遊物を絡め取りながら次第に成長して大きくなる。そして、被処理水を静置したておいたところ、時間とともにこのフロックは沈殿し、上澄み液は清澄になった。3時間後の被処理水の上澄み液のSS濃度を測定してみたところ、表1に示す通りであった。
【実施例1】
【0042】
【表1】
JP0005646159B2_000002t.gif
【実施例1】
【0043】
表1に示す結果から、希塩酸が0.1M以上の場合、SS濃度が50ppm以下であり、生ワカメを処理する希塩酸の濃度は0.1M以上が好ましいことがわかる。ただし、0.3M以上になっても効果の更なる改善は認められないので、希塩酸の実用的な濃度としては0.1~0.3M程度が適当と考えられる。
【実施例2】
【0044】
次に、希塩酸の濃度を0.12Mとし、炭酸ナトリウム粉末の添加量を0~30wt%とし、これら以外は実施例1と同様の条件として凝集剤を調製し、被処理水の浄化実験をしたところ、3時間後の被処理水の上澄み液のSS濃度は、表2に示す通りであった。
【実施例2】
【0045】
【表2】
JP0005646159B2_000003t.gif
【実施例2】
【0046】
表2に示す結果から、炭酸ナトリウム粉末が5.0~10.0wt%の場合、SS濃度が50ppm、7.5wt%の場合には、SS濃度が30ppm以下となり、粉ワカメに対する炭酸ナトリウム粉末の割合は特に7.5~10.0wt%が好ましいことがわかる。
【実施例3】
【0047】
次に、希塩酸の濃度を0.12Mとし、実施例1と同様に、コンブ、アカモク、ヒバマタの乾燥粉末を作り、これらに炭酸ナトリウム粉末を10.0wt%の割合で加えて良く混合し、粉末状の凝集剤を得、実施例1と同様の条件として凝集剤を調製し、被処理水の浄化実験をしたところ、3時間後の被処理水の上澄み液のSS濃度は、表3に示す通りであった。
【実施例3】
【0048】
【表3】
JP0005646159B2_000004t.gif
【実施例3】
【0049】
表3に示された結果から、粉コンブ、粉アカモク、粉ヒバマタに炭酸ナトリウム粉末を加えた場合も、被処理水の上澄み液のSS濃度は粉ワカメの凝集剤の場合と同様、SS濃度が30ppm以下であり、コンブ、アカモク、ヒバマタを原料とする凝集剤もワカメを原料とする凝集剤と同様の凝集能力を有していることがわかる。
【実施例4】
【0050】
次に、希塩酸の濃度を0.12Mとし、炭酸ナトリウム粉末の割合を10.0wt%とし、これら以外は実施例1と同様の条件として凝集剤を調製し、被処理水に添加する塩化カルシウムの添加量を0.25g/L~2g/Lとし、実施例1と同様の条件で被処理水の浄化実験をしたところ、3時間後の被処理水の上澄み液のSS濃度は、表4に示す通りであった。
【実施例4】
【0051】
【表4】
JP0005646159B2_000005t.gif
【実施例4】
【0052】
表4に示す結果から、塩化カルシウムの添加量が0.5g/L以上の場合、SS濃度が30ppm以下であり、塩化カルシウムの添加量は0.5g/L以上が好ましいことがわかる。ただし、1.0g/L以上になると効果の更なる改善は認められないので、塩化カルシウムの添加量としては0.5~1.0g/Lが実用的である。
【実施例5】
【0053】
次に、被処理水に塩化カルシウムを添加してから凝集剤液を添加する場合と、被処理水に凝集剤液を添加した後で塩化カルシウムを添加する場合とで、浄化処理された被処理水のSS濃度に違いが有るか否かを検証してみた。ここで、被処理水のSS濃度は10,000ppm、凝集剤としてコンブを原料とするものを使用し、被処理水1t当たり、凝集剤50g、塩化カルシウム 500gを添加するという条件で実験を行った。そして、被処理水のSSを測定してみたところ、表5に示す通りであった。
【実施例5】
【0054】
【表5】
JP0005646159B2_000006t.gif
【実施例5】
【0055】
表5に示す結果から、被処理水のSS濃度が、塩化カルシウムを先に添加した場合14ppm、後から添加した場合28ppmと、凝集剤の添加より前に塩化カルシウムを添加した場合の方が浄化結果が良いことがわかる。従って、塩化カルシウムを凝集剤より先に添加する場合は、凝集剤の添加量を少なくし、処理コストを低減できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この凝集剤は褐藻類を原料として作られており、褐藻類は長い間、人に食され、人体に無害であることがわかっているので、水の浄化といった用途だけでなく、ジュース類の浄化や酒類の浄化等、液状の食品の浄化といった用途にも適用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1