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明細書 :光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置及びホログラムメモリの情報読出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5641249号 (P5641249)
登録日 平成26年11月7日(2014.11.7)
発行日 平成26年12月17日(2014.12.17)
発明の名称または考案の名称 光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置及びホログラムメモリの情報読出装置
国際特許分類 G03H   1/26        (2006.01)
G03H   1/22        (2006.01)
G03H   1/02        (2006.01)
G11B   7/0065      (2006.01)
G11B   7/135       (2012.01)
FI G03H 1/26
G03H 1/22
G03H 1/02
G11B 7/0065
G11B 7/135 Z
請求項の数または発明の数 10
全頁数 14
出願番号 特願2011-506129 (P2011-506129)
出願日 平成22年3月25日(2010.3.25)
国際出願番号 PCT/JP2010/055292
国際公開番号 WO2010/110398
国際公開日 平成22年9月30日(2010.9.30)
優先権出願番号 2009074994
優先日 平成21年3月25日(2009.3.25)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年3月19日(2013.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
発明者または考案者 【氏名】渡邊 実
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】後藤 亮治
参考文献・文献 特開2002-353317(JP,A)
特開2005-265976(JP,A)
特表2004-536354(JP,A)
国際公開第2007/059273(WO,A2)
調査した分野 G03H 1/00 - 1/34
G11B 7/0065
G11B 7/135
特許請求の範囲 【請求項1】
直線状に配列された複数のレーザ出射部を有するレーザ照射部と、
前記レーザ出射部の各々がマトリクスの各々の行に対応するように前記マトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを有し、各々のマイクロミラーの角度を任意の角度に調整可能であり、各々のマイクロミラーの角度を調整することで、前記レーザ出射部から出射されたレーザ光を走査するレーザ光走査部と、
複数の体積型ホログラムが角度多重記録されており、前記レーザ光走査部からのレーザ光が照射され、予め記録された回路情報に基づく光パターンが読み出される体積型ホログラムメモリと、
複数の受光素子がアレイ状に配列された単一の受光部を有し、前記体積型ホログラムメモリから読み出され前記受光部で受光された光パターンに基づいて、アレイ状に配列された複数の論理演算セルを各種の論理演算回路に再構成する光再構成型ゲートアレイと、
前記レーザ照射部のいずれか1つもしくは複数のレーザ出射部からレーザ光を出射させ、前記レーザ光が出射されたレーザ出射部に対応する行に配列された複数のマイクロミラーのうち、何れか1つのマイクロミラーの角度を調整して、当該マイクロミラーに前記レーザ光を反射させる制御を行う制御部と、
を備えた光再構成ゲートアレイの再構成制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、レーザ光が出射されていないレーザ出射部に対応する行のマイクロミラーの角度を、前記レーザ出射部からレーザが出射されていない期間内に調整する
請求項1に記載の光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記マイクロミラーの角度を調整しながら、所定のタイングでレーザ光を出射するように、前記マイクロミラーが配列された行に対応するレーザ出射部からレーザ光を出射させる制御を行う
請求項1に記載の光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記体積型ホログラムメモリに角度多重で回路情報が記録されている場合に、前記マイクロミラーの角度を調整しながら、常時又はパルス状にレーザ光を出射するように、前記マイクロミラーに対応するレーザ出射部からレーザ光を出射させる制御を行う
請求項1に記載の光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記光再構成型ゲートアレイの前記受光部に入射されるレーザ光の入射角度を変えながら当該光再構成型ゲートアレイの受光レベルを検出し、前記受光レベルに基づいて前記入射角度を決定し、決定した入射角度になるように前記レーザ光走査部の各マイクロミラーの角度を調整する
請求項1に記載の光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置。
【請求項6】
前記レーザ照射部は、制御信号に応じて前記複数のレーザ出射部の各々を点灯駆動して出射されたレーザ光を照射する
請求項1に記載の光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置。
【請求項7】
前記レーザ照射部の前記複数のレーザ出射部は複数の組に区分されると共に、組毎に共通の電源で駆動されるように構成されており、
前記制御部は、前記光再構成型ゲートアレイの前記受光部で受光された光パターンから前記複数のレーザ出射部のいずれかについて常時点灯となる故障を有することが検出された場合には、当該故障を有するレーザ出射部が属する組の複数のレーザ出射部の全部を点灯駆動するように前記レーザ照射部を制御する
請求項6に記載の光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置。
【請求項8】
直線状に配列された複数のレーザ出射部を有するレーザ照射部と、
前記レーザ出射部の各々がマトリクスの各々の行に対応するように前記マトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを有し、各々のマイクロミラーの角度を任意の角度に調整可能であり、各々のマイクロミラーの角度を調整することで、前記レーザ出射部から出射されたレーザ光を走査するレーザ光走査部と、
複数の体積型ホログラムが角度多重記録されており、前記レーザ光走査部からのレーザ光が照射され、予め記録された情報に基づく光パターンが読み出される体積型ホログラムメモリと、
前記レーザ照射部のいずれか1つもしくは複数のレーザ出射部からレーザ光を出射させ、前記レーザ光が出射されたレーザ出射部に対応する行に配列された複数のマイクロミラーのうち、何れか1つのマイクロミラーの角度を調整して、当該マイクロミラーに前記レーザ光を反射させ、レーザ光が出射されていないレーザ出射部に対応する行のマイクロミラーの角度を、前記レーザ出射部からレーザが出射されていない期間内に調整する制御を行う制御部と、
複数の受光素子がアレイ状に配列され、前記体積型ホログラムメモリから読み出された光パターンを受光する単一の受光部と、
を備えたホログラムメモリの情報読出装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記単一の受光部に入射されるレーザ光の入射角度を変えながら当該単一の受光部の受光レベルを検出し、前記受光レベルに基づいて前記入射角度を決定し、決定した入射角度になるように前記レーザ光走査部の各マイクロミラーの角度を調整する、
請求項8に記載のホログラムメモリの情報読出装置。
【請求項10】
前記レーザ照射部の前記複数のレーザ出射部は複数の組に区分されると共に、組毎に共通の電源で駆動されるように構成されており、
前記制御部は、前記単一の受光部で受光された光パターンから前記複数のレーザ出射部のいずれかについて常時点灯となる故障を有することが検出された場合には、当該故障を有するレーザ出射部が属する組の複数のレーザ出射部の全部を点灯駆動するように前記レーザ照射部を制御する、
請求項8に記載のホログラムメモリの情報読出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置及びホログラムメモリの情報読出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光が照射されると論理演算セルを各種の論理回路に再構成するデバイスとして光再構成型ゲートアレイ(ORGA:Optically Reconfigurable Gate Array)が提案されている。光再構成型ゲートアレイが再構成を行うためには大容量の回路情報が必要である。そこで、特許第4033818号公報(JP4033818B2)の第32段落や、特許第4121138号公報(JP4121138B2)の第69段落には、この回路情報を記憶する光メモリとして、例えばホログラムメモリを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特許第4033818号公報(第32段落)
【特許文献2】特許第4121138号公報(第69段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホログラムメモリは、非常に大容量であり、3Tbit(テラビット)に達する超巨大な回路情報を記憶することが可能である。1Tbitは1012ビットであり、3Tbitは1兆ゲートの回路規模に相当する。しかし、記憶容量が大きくても、回路情報の転送に時間を要すれば、論理演算セルの再構成に時間がかかってしまうという問題がある。
【0005】
ここで、転送速度が1Gbps(ギガビット/秒)に達する次世代のホログラムメモリを用いたとしても、1Tビットのデータの読み出しに2時間以上もかかってしまい、ホログラムメモリから大容量の回路情報を読み出すのは実用的ではない。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、ホログラムメモリから高速に回路情報を読み出すホログラムメモリの情報読出装置と、ホログラムメモリから高速に回路情報を読み出して光再構成型ゲートアレイの光再構成を行うことができる光再構成型ゲートアレイの光再構成制御装置と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光再構成ゲートアレイの再構成制御装置は、直線状に配列された複数のレーザ出射部を有するレーザ照射部と、前記レーザ出射部の各々がマトリクスの各々の行に対応するように前記マトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを有し、各々のマイクロミラーの角度を任意の角度に調整可能であり、各々のマイクロミラーの角度を調整することで、前記レーザ出射部から出射されたレーザ光を走査するレーザ光走査部と、複数の体積型ホログラムが角度多重記録されており、前記レーザ光走査部からのレーザ光が照射され、予め記録された回路情報に基づく光パターンが読み出される体積型ホログラムメモリと、複数の受光素子がアレイ状に配列された単一の受光部を有し、前記体積型ホログラムメモリから読み出され前記受光部で受光された光パターンに基づいて、アレイ状に配列された複数の論理演算セルを各種の論理演算回路に再構成する光再構成型ゲートアレイと、前記レーザ照射部のいずれか1つもしくは複数のレーザ出射部からレーザ光を出射させ、前記レーザ光が出射されたレーザ出射部に対応する行に配列された複数のマイクロミラーのうち、何れか1つのマイクロミラーの角度を調整して、当該マイクロミラーに前記レーザ光を反射させる制御を行う制御部と、を備えている。
【0008】
また、本発明に係るホログラムメモリの情報読出装置は、直線状に配列された複数のレーザ出射部を有するレーザ照射部と、前記レーザ出射部の各々がマトリクスの各々の行に対応するように前記マトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを有し、各々のマイクロミラーの角度を任意の角度に調整可能であり、各々のマイクロミラーの角度を調整することで、前記レーザ出射部から出射されたレーザ光を走査するレーザ光走査部と、複数の体積型ホログラムが角度多重記録されており、前記レーザ光走査部からのレーザ光が照射され、予め記録された情報に基づく光パターンが読み出される体積型ホログラムメモリと、前記レーザ照射部のいずれか1つもしくは複数のレーザ出射部からレーザ光を出射させ、前記レーザ光が出射されたレーザ出射部に対応する行に配列された複数のマイクロミラーのうち、何れか1つのマイクロミラーの角度を調整して、当該マイクロミラーに前記レーザ光を反射させ、レーザ光が出射されていないレーザ出射部に対応する行のマイクロミラーの角度を、前記レーザ出射部からレーザが出射されていない期間内に調整する制御を行う制御部と、複数の受光素子がアレイ状に配列され、前記体積型ホログラムメモリから読み出された光パターンを受光する単一の受光部と、を備えている。
【0009】
上記発明においては、レーザ照射部のいずれか1つもしくは複数のレーザ出射部からレーザ光を出射させ、レーザ光が出射されたレーザ出射部に対応する行に配列された複数のマイクロミラーのうち、何れか1つのマイクロミラーの角度を調整して、前記レーザ光を反射させる制御が行われて、ホログラムメモリから高速に情報が読み出される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光再構成ゲートアレイの再構成制御装置は、ホログラムメモリから高速に回路情報を読み出して光再構成を行うことができる。また、本発明のホログラムメモリの情報読出装置は、ホログラムメモリから高速に回路情報を読み出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る光再構成ゲートアレイの再構成制御装置の構成を示す図である。
【図2】レーザアレイとマイクロミラー・アレイ・デバイスの配置を示す平面図である。
【図3A】マイクロミラーが変位していない状態を示す断面図である。
【図3B】マイクロミラーが変位した状態を示す断面図である。
【図4】レーザ光の出射タイミングとマイクロミラーの角度との関係を示す図である。
【図5】レーザ光の出射タイミングとマイクロミラーの角度調整タイミングとを示すタイミングチャートである。
【図6】ホログラムメモリへ回路情報が記録される場合の光再構成型ゲートアレイの回路情報記録装置の構成を示す図である。
【図7A】マイクロミラーの応答特性を示す図である。
【図7B】マイクロミラーの応答特性とレーザ光パルスの点灯タイミングとを示す図である。
【図8】電極11Bの電位、電極11Cの電位、ミラー角度、レーザ出射のそれぞれのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図9A】レーザを常時点灯させて情報を読み出す手法を示す図である。
【図9B】レーザをパルス点灯させて情報を読み出す手法を示す図である。
【図10A】ピエゾ素子タイプのマイクロミラー・アレイ・デバイスの静止時の状態を示す図である。
【図10B】ピエゾ素子タイプのマイクロミラー・アレイ・デバイスの角度調整時の状態を示す図である。
【図11】光再構成ゲートアレイのフォトダイオードの応答を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。

【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る光再構成ゲートアレイの再構成制御装置の構成を示す図である。

【0014】
光再構成ゲートアレイの再構成制御装置は、複数のレーザ出射部を有するレーザアレイ1と、各々独立に制御可能なマイクロミラーを有するマイクロミラー・アレイ・デバイス3と、回路情報がホログラムとして記憶され、レーザ光が照射されると回路情報を示す光パターンが読み出されるホログラムメモリ4と、を備えている。例えば、体積型ホログラムメモリを、ホログラムメモリ4として用いてもよい。体積型ホログラムメモリは、複数のホログラムを多重記録することで、Tビットオーダの情報を記録することが可能である。また、多重記録方法として「角度多重」を用いた場合には、参照光の角度に応じて読出し光の角度を変えて、多重記録されたホログラムを個別に読み出すことができる。

【0015】
また、光再構成ゲートアレイの再構成制御装置は、ホログラムメモリ4からの光パターンが照射されると光再構成を行う光再構成ゲートアレイ9と、レーザアレイ1のレーザ光出射タイミング及びマイクロミラーの角度を制御する制御装置10と、を備えている。

【0016】
レーザアレイ1は、直線状に配列された複数のレーザ出射部を有している。各レーザ出射部からのレーザ出射タイミング及び出射期間は、制御装置10により制御されている。なお、レーザアレイ1は、図示しないレーザドライバを介して制御装置10に接続されており、レーザドライバは制御装置10からの制御信号に応じてレーザアレイ1の各レーザを独立に点灯駆動している。

【0017】
マイクロミラー・アレイ・デバイス3は、いわゆるMEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)である。マイクロミラー・アレイ・デバイス3は、マトリクス状に配列された複数のマイクロミラーを有している。なお、各マイクロミラーの角度(変位ゼロの場合を基準にした法線方向の角度)及び角度の変位速度は、制御装置10により制御されている。また、レーザアレイ1、マイクロミラー・アレイ・デバイス3等、電気的に駆動される各部には、図示しない電源から電力が供給されている。

【0018】
図2は、レーザアレイ1とマイクロミラー・アレイ・デバイス3の平面図である。同図に示すように、マトリクス状に配列されたマイクロミラーの行の各々は、レーザアレイ1のレーザ出射部の各々1A、1B、1C、1D・・・に対応している。

【0019】
例えば、1つのレーザ出射部1Aと1行分の複数のマイクロミラー11、12、13、14・・・とが1セットとなっており、全部で例えば100セットが実装されている。このため、本実施形態では、レーザアレイ1は100個のレーザ出射部を有し、マイクロミラー・アレイ・デバイス3は100行のマトリクス状に構成された複数のマイクロミラーを有している。

【0020】
図3Aはマイクロミラー11が変位していない状態を示す断面図であり、図3Bはマイクロミラー11が変位した状態を示す断面図である。なお、他のマイクロミラーも図3A及び図3Bと同様に構成されているが、ここではマイクロミラー11を例に挙げて説明する。

【0021】
マイクロミラー・アレイ・デバイス3は、マイクロミラー11と、マイクロミラー11の中心部を支持する支持部11Aと、支持部11Aに対して左右対称に設けられ、マイクロミラー11から所定距離だけ隔てられた電極11B、11Cと、電極11Bの側に設けられたストッパ-11Dと、支持部11A、電極11B、11C、ストッパ11Dを保持する基板11Gと、を備えている。マイクロミラー11のミラー角度がゼロの場合、マイクロミラー11の一端側(電極11Bの側)は、ストッパ11Dに接している。

【0022】
そして、電極11B、11Cにそれぞれ所定の電圧が印加されると、マイクロミラー11と電極11B、11Cの電位差による静電力により、マイクロミラー11はストッパ11Dから離れて、マイクロミラー11の角度が調整される。なお、角度の変位時間は、製品によって異なるが、例えば±10度であれば1μs(マイクロ秒)以下、±45度であれば30μs以下である。

【0023】
ここで、200万画素を有し、200μsで応答するマイクロミラー・アレイ・デバイス3が既に商品化されている。また、後述するが、各マイクロミラーの角度は角度制御をすることにより100個程度の角度分解能を持たせることができるため、各マイクロミラーは100個程度のアドレッシングに活用可能である。よって、1つのマイクロミラー・アレイ・デバイス3で操作できる実際のアドレス数は約2億(=100×200万画素)になる。これは、25Tビットのアクセス量に相当する。

【0024】
一方、マイクロミラーのスイッチングは機械的に行われるため、スイッチングに200μs程度を要してしまうが、この点については、レーザアレイ1のスイッチングを併用することで解決できる。例えば、レーザアレイ1に200個のレーザ光出射部があれば、約1μsで定常的な読み出しが可能になる。よって、超高速なアクセスとTビットオーダの超巨大なホログラムメモリ空間におけるアドレッシングが可能になる。

【0025】
そして、レーザアレイ1によるレーザ光の出射タイミングと、マイクロミラー・アレイ・デバイス3のマイクロミラーの角度とは、次のような関係になっている。

【0026】
図4は、レーザ光の出射タイミングとマイクロミラーの角度との関係を示す図である。ここでは、各々のマイクロミラーは、以下のように連続的に任意の角度に調整される。

【0027】
再構成1では、マイクロミラーの各行において、レーザアレイ1から最も遠い位置を基準にして2番目のマイクロミラー12、22、32、42のミラー角度を任意の角度に設定する。そして、レーザ光出射部1Aのみがオン(点灯状態)になり、レーザ光を出射する。これにより、レーザ光出射部1Aから出射されたレーザ光は、マイクロミラー12で反射される。

【0028】
次の再構成2では、レーザ光出射部1Aはオフ(消灯状態)になり、レーザ光出射部1Bのみがオンになる。そして、レーザ光出射部1Aがレーザ光を点灯していない間に、マイクロミラー12の角度が調整され、ミラー角度がゼロになる位置に向かって移動する。

【0029】
そして、再構成3及び4でも同様に、レーザ光出射部1Aがレーザ光を点灯していない間に、マイクロミラー12の角度が調整され、ミラー角度がゼロになる位置に向かって移動する。このように、マイクロミラーの角度は、当該マイクロミラーの行に対応するレーザ光出射部からレーザ光が出射されていない期間に調整される。

【0030】
ホログラムメモリ4には、光再構成ゲートアレイ9の論理演算セルを再構成するための回路情報が記録されている。そして、ホログラムメモリ4にマイクロミラー・アレイ・デバイス3からレーザ光が照射されると、ホログラムメモリ4から光パターンが読み出されて光再構成ゲートアレイ9に照射される。

【0031】
光再構成ゲートアレイ9は、複数のフォトダイオードを含む単一の受光部を備え、受光部でホログラムメモリ4からの光パターンを受光して、アレイ状に配列された複数の論理演算セルを各種の論理演算回路に再構成する。即ち、光再構成ゲートアレイ9は、光再構成により回路を実装するLSI部である。LSI部は、論理ブロック構造、スイッチマトリクス構造、及び複数のフォトダイオードを含んで構成されている。LSI部に配置された複数のフォトダイオードが、光パターンの照射により回路情報を並列的に受け取ることで、LSI部において光再構成が行われる。なお、受光部は、光パターンを受光できれば、上述のようなフォトダイオードアレイであってもよいし、イメージセンサであってもよい。即ち、フォトダイオード以外の受光素子で構成されていてもよい。

【0032】
以上のように構成された光再構成ゲートアレイの再構成制御装置において、次のようにレーザ光の出射タイミングが制御される。

【0033】
図5は、レーザ光の出射タイミングとマイクロミラーの角度調整タイミングとを示すタイミングチャートである。ここで、レーザアレイ1のレーザ出射部1A、1B、1Cを例に挙げて説明する。また、各々のマイクロミラーは、連続的に0~30度までの任意の角度に調整される。

【0034】
期間T1では、レーザ光出射部1Aのレーザ光が点灯する。このとき、マイクロミラー11の角度は20度であり、マイクロミラー12、13の角度はゼロ度である。そして、ホログラムメモリ4の領域A1には、20度の角度でレーザ光が照射され、光パターンが読み出される。期間T1が経過すると、期間T3が終了するまでに、マイクロミラー11の角度が20度から10度へと変更される。

【0035】
期間T2では、レーザ光出射部1Bのレーザ光が点灯する。このとき、マイクロミラー21の角度は20度であり、マイクロミラー22、23の角度はゼロ度である。そして、ホログラムメモリ4の領域B1には、20度の角度でレーザ光が照射され、光パターンが読み出される。期間T2が経過すると、期間T4が終了するまでに、マイクロミラー21の角度が20度からゼロ度へと変更され、マイクロミラー23の角度がゼロ度から10度へと変更される。

【0036】
期間T3では、レーザ光出射部1Cのレーザ光が点灯する。このとき、マイクロミラー31の角度は20度であり、マイクロミラー32、33の角度はゼロ度である。そして、ホログラムメモリ4の領域C1には、20度の角度でレーザ光が照射され、光パターンが読み出される。なお、マイクロミラー31、32、33の角度は、いずれの期間であっても変化しない。

【0037】
期間T4では、レーザ光出射部1Aのレーザ光が再び点灯する。このとき、マイクロミラー11の角度は10度であり、マイクロミラー12、13の角度はゼロ度である。そして、ホログラムメモリ4の領域A1には、10度の角度でレーザ光が照射され、光パターンが読み出される。期間T4が経過すると、期間T6が終了するまでに、マイクロミラー11の角度が10度からゼロ度へと変更され、マイクロミラー12の角度がゼロ度から30度へと変更される。

【0038】
期間T5では、レーザ光出射部1Bのレーザ光が再び点灯する。このとき、マイクロミラー23の角度は10度であり、マイクロミラー21、22の角度はゼロ度である。そして、ホログラムメモリ4の領域B3には、10度の角度でレーザ光が照射され、光パターンが読み出される。

【0039】
期間T6では、レーザ光出射部1Cのレーザ光が再び点灯する。そして、ホログラムメモリ4の領域C1には、20度の角度でレーザ光が照射され、光パターンが読み出される。

【0040】
期間T7では、レーザ光出射部1Aのレーザ光が再び点灯する。そして、ホログラムメモリ4の領域A2には、30度の角度でレーザ光が照射され、光パターンが読み出される。

【0041】
このように、レーザアレイ1からレーザ光が出射されるレーザ光出射部が順次切り替えられる。そして、マイクロミラーの角度は、他の行に対応するレーザ光出射部からレーザ光が出射されている間に調整される。これにより、ホログラムメモリ4の異なる領域にレーザ光が照射されるか、ホログラムメモリ4の同じ領域にレーザ光が異なる角度で照射されて、回路情報を示す光パターンが読み出される。

【0042】
光再構成ゲートアレイ9は、このようにホログラムメモリ4から読み出された光パターンを受光して、アレイ状に配列された複数の論理演算セルを各種の論理演算回路に再構成する。

【0043】
以上のように、本実施形態に係る光再構成型ゲートアレイの再構成制御装置は、高速スイッチングが得意なレーザアレイ1によるレーザ光の切替えと、低速スイッチングであるが大容量のアドレッシングが得意なマイクロミラー・アレイ・デバイス3のマイクロミラーの切替えと、を併用することで、ホログラムメモリ4から高速かつ連続的に回路情報を読み出し、この回路情報に基づいて、光再構成ゲートアレイ9を高速で再構成することができる。

【0044】
(ホログラムメモリ4への回路情報の記録)
図6は、ホログラムメモリ4へ回路情報が記録される場合の光再構成型ゲートアレイの回路情報記録装置の構成を示す図である。光再構成型ゲートアレイの回路情報記録装置では、図1に示す光再構成ゲートアレイ9の位置に、光再構成ゲートアレイ9に代えて空間光変調素子19が設けられている。空間光変調素子19には、回路情報に基づいてイメージパターンが形成される。また、図1に示す構成に加えて、レーザアレイ1からのレーザ光を透過光(参照光用の光)と反射光(信号光用の光)とに分離するハーフミラー2と、ハーフミラー2からの反射光を所定方向へ反射するミラー5及びミラー6と、ミラー6からのレーザ光のビーム径を拡大するレンズ7及びレンズ8と、を備えている。

【0045】
ハーフミラー2は、レーザアレイ1から出射されたレーザ光の一部を透過し、残りのレーザ光を反射する。そして、ハーフミラー2を透過したレーザ光は、参照光としてマイクロミラー・アレイ・デバイス3に照射される。また、ハーフミラー2で反射されたレーザ光は、信号光用の光としてミラー5へ照射される。参照光は、マイクロミラー・アレイ・デバイス3で反射された後、ホログラムメモリ4に照射される。

【0046】
信号光用の光は、ミラー5で反射された後、ミラー6を介して、レンズ7,8でビーム径が拡大された後、空間光変調素子19に照射される。信号光用の光は、空間光変調素子19によりイメージパターンに応じて変調されて、回路情報が重畳された信号光が生成される。そして、回路情報が重畳された信号光が、ホログラムメモリ4へ照射される。信号光と参照光とはホログラムメモリ4の記録層で光干渉を起こし、空間光変調素子19で形成されたイメージパターンが干渉縞(即ち、ホログラム)として記録される。この結果、光再構成ゲートアレイ9の回路情報がホログラムメモリ4に記録される。

【0047】
[第2の実施形態]
つぎに、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。

【0048】
(アナログ的アドレッシング技術)
以下、マイクロミラーとレーザ照射のタイミングを制御して、レーザ光を複数の異なる角度に照射する実施形態の例について説明する。図7Aはマイクロミラーの応答特性を示す図であり、図7Bはマイクロミラーの応答特性とレーザ光パルスの点灯タイミングとを示す図である。図7Aに示すように、図2に示す構成のマイクロミラーは、電極への電圧印加後に所定の応答曲線に従って角度変化する。そこで、図1に示す制御装置10は、この電極に所定のタイミングで電圧が印加されるようにマイクロミラー・アレイ・デバイス3を制御し、ある一定時間経過後にレーザ光が照射されるようにレーザアレイ1を制御する。これにより、図7Bに示されるように、アナログ的に任意の角度でレーザ光の照射が可能であり、その角度に対応したホログラムメモリ上の情報の読出しが可能になる。

【0049】
例えば図7Bの場合、マイクロミラーの角度は、時刻t1でレーザ光が照射された場合は-40度になり、時刻t2でレーザ光が照射された場合は+10度になる。現在のレーザ技術では、パルス幅は1ns以下でも制御可能であるので、例えば1μsで応答するマイクロミラーを考える場合、そのスイッチング角度分解能は1000以上になる。

【0050】
図8は、電極11Bの電位、電極11Cの電位、ミラー角度、及びレーザ出射のそれぞれのタイミングを示すタイミングチャートである。同図に示すように、電極に所定の電圧が印加され、過渡応答を考慮してレーザ光が出射されれば、アナログ変調が実現可能になる。

【0051】
(レーザの点灯時間の制御)
続いて、このマイクロミラー・アレイ・デバイス3を用いて、ホログラムメモリ4に角度多重で記録された情報を連続的もしくは選択的に読み出す手法について説明する。

【0052】
図9Aはレーザを常時点灯させて情報を読み出す手法を示す図であり、図9Bはレーザをパルス点灯させて情報を読み出す手法を示す図である。図9A及び図9Bに示す曲線は、図7A及び図7Bと同様に、マイクロミラーの応答特性を表している。レーザアレイ1は、図1の制御装置10によって連続点灯又はパルス駆動される。光再構成ゲートアレイ9(またはイメージセンサ)のフォトセンサの一部の情報は識別子の読出しに使用され、その識別子の情報に基づいて、当該識別子に対応する情報が読み出される。つまり、レーザの照射角度を連続的に変化させていき、レーザの照射角度がホログラムメモリの情報が読み出せる角度と一致するタイミングを識別子の情報により検出し、そのタイミングで情報を読み出すことにより、複数の異なる角度のホログラムメモリ情報を読み出せる。

【0053】
(ピエゾ素子タイプの場合)
次に、マイクロミラーによりレーザ照射を複数角度にアドレッシングする別の実施形態について説明する。図10Aはピエゾ素子タイプのマイクロミラー・アレイ・デバイスの静止時の状態を示す図であり、図10Bはその角度調整時の状態を示す図である。図10Aに示すように、マイクロミラー・アレイ・デバイス3は、マイクロミラー11と、マイクロミラー11を支持する支持部11eと、支持部11eが先端部に固定されたピエゾ素子11fとを備えている。ピエゾ素子11fに電圧が印加されると、ピエゾ素子11fが湾曲し、マイクロミラー11の角度が変化する。なお、マイクロミラー・アレイ・デバイス3のマイクロミラーの角度は、ピエゾ素子の場合、例えば0~7度程度までアナログ的に調整可能であり、応答速度は例えば1度/μsである。

【0054】
(ホログラムメモリ4からの他の読出し手法)
ホログラムメモリ4の回路情報を読み込む場合、光再構成ゲートアレイ9の受光素子で受信された情報の一部(例えば16ビット:65536通り)はホログラムメモリ4の情報を識別するための識別情報として使用されてもよい。ホログラムメモリ4が体積型ホログラムメモリであって角度多重で記録された場合、レーザ光の照射角度を連続的に変えながら読み出すと、光再構成ゲートアレイ9のフォトダイオードでは、次のような応答が得られる。

【0055】
図11は、光再構成ゲートアレイ9のフォトダイオードの応答を示す図である。コンテキスト識別情報(回路情報の識別情報)の各ビットのコントラスト値(ハイレベルとローレベルの差)がある一定以上であれば、図1に示す制御装置10は、照射角度は正しいと判定し、この情報からどのコンテキスト(回路情報)を読み出しているのか識別可能になる。また、マイクロミラー・アレイ・デバイス3の角度応答がセンシングできない場合でもコンテキストが正確に読み出される。例えば、ホログラムメモリ4に対するレーザ光の照射角度が正しい場合、図11に示すように、情報“1”の場合はハイレベルに、情報“0”の場合はローレベルに落ち着く。図11はハイレベル状態を示している。このように、照射角度が正しい角度と一致すれば、コントラスト値は所定値以上になり、照射角度が正しい角度と一致しなければ、コントラスト値は中間的な値になる。

【0056】
なお、マイクロミラーの角度は、ピエゾタイプの場合、電圧依存性があるので印加電圧により類推可能であり、2値タイプの場合、時間依存性があるので時間を計れば類推可能である。但し、温度、電圧変動、劣化他の影響により一意に定められない場合もあり、その場合に、上記ブラインド的な検出方法は有効である。

【0057】
(レーザアレイの一部が常時点灯故障した場合の対策)
次に、レーザアレイの一部に「常時点灯故障」した場合の対策について説明する。図1に示す光再構成ゲートアレイの再構成制御装置において、複数のレーザ出射部を有するレーザアレイ1の一部(レーザ)が、トランジスタの熱熔解等の不具合に起因して常時点灯モードで故障してしまった場合には、故障したレーザ出射部から出射されるレーザ光により、他のホログラムの読み出しが困難になる。この問題を回避するためには、レーザアレイ1の複数のレーザ出射部を予め複数の組に区分すると共に、組毎に共通の電源で駆動されるように構成しておいて、常時点灯故障が検知された場合には、故障したレーザ出射部と同じ組に属する複数のレーザ出射部の全部をオン(点灯状態)にするようにレーザアレイ1を制御すればよい。

【0058】
共通の電源で駆動される複数のレーザ出射部の全部をオンにすることで、当該組に属する複数のレーザ出射部は、出射されるレーザ光の照射エネルギー(レーザパワー)が大幅に低下するか、駆動電流がレーザのしきい値電流以下となって消灯する。これにより、他の組に属するレーザ出射部から出射されるレーザ光により、他のホログラムの読み出しが可能となる。

【0059】
常時点灯故障の検知は、例えば、回路情報に誤り検出符号を付加する等して、光再構成ゲートアレイ9の受光部で光パターンを受光した場合の「誤り検出」により行うことができる。「誤り検出」は、光再構成ゲートアレイ9の受光部から取得した情報に基づいて、制御装置10によって実行される。

【0060】
また、故障したレーザ出射部と同じ組に属する複数のレーザ出射部の全部がオフ(消灯状態)となっても、他の組に属するレーザ出射部によりレーザ光を照射して同じ回路情報が読み出せるように、ホログラムメモリ4に記憶しておく回路情報には冗長性を持たせておくことが好ましい。

【0061】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。

【0062】
例えば、上述した実施形態では、レーザ光を照射する手段としてレーザアレイ1を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、単一のレーザから出射されたレーザ光を回転多面鏡(ポリゴンミラー)が等角度走査して、等角度走査されたレーザ光をfθレンズがマイクロミラー・アレイ・デバイス3の反射面上で等速度走査してもよい。

【0063】
また、図4及び図5では示されていないが、レーザアレイ1が同時に複数のレーザ光を出射し、マイクロミラー・アレイ・デバイス3がレーザアレイ1からの複数のレーザ光をそれぞれ所定の方向へ反射してもよい。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7A】
7
【図7B】
8
【図8】
9
【図9A】
10
【図9B】
11
【図10A】
12
【図10B】
13
【図11】
14