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明細書 :紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5521152号 (P5521152)
公開番号 特開2012-181155 (P2012-181155A)
登録日 平成26年4月18日(2014.4.18)
発行日 平成26年6月11日(2014.6.11)
公開日 平成24年9月20日(2012.9.20)
発明の名称または考案の名称 紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置
国際特許分類 G01N  21/84        (2006.01)
G21C  17/003       (2006.01)
G21C  17/06        (2006.01)
FI G01N 21/84 Z
G21C 17/00 E
G21C 17/06 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2011-045494 (P2011-045494)
出願日 平成23年3月2日(2011.3.2)
審査請求日 平成24年4月6日(2012.4.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】福田 武司
【氏名】大道 博行
【氏名】村松 壽晴
【氏名】田川 明広
【氏名】中桐 俊男
【氏名】河内 哲哉
個別代理人の代理人 【識別番号】100078961、【弁理士】、【氏名又は名称】茂見 穰
審査官 【審査官】越柴 洋哉
参考文献・文献 実開平02-118881(JP,U)
特開2009-026694(JP,A)
特開2007-088384(JP,A)
特開平07-050151(JP,A)
特開2009-210395(JP,A)
特開昭54-102492(JP,A)
特開平08-029578(JP,A)
特開昭54-095291(JP,A)
実開昭59-140207(JP,U)
実開昭60-042947(JP,U)
特開平08-114555(JP,A)
特開2006-098270(JP,A)
福田武司 他,平成18年度 文部科学省 原子力システム研究開発事業 ナトリウム流動の可視化による高速炉気液界面・速度場の計測制御に関する研究開発 成果報告書(要約版),原子力システム 研究開発事業 成果報告会資料集,2007年 3月
調査した分野 G01N 21/84-21/958
特許請求の範囲 【請求項1】
筐体をフランジ構造にして内部を真空にしフッ化マグネシウム窓を備え液体ナトリウム中に浸漬可能な一体化した紫外線照射・検出装置、及びナトリウムバウンダリ外に設置される画像化装置を具備し、前記紫外線照射・検出装置は、ナトリウムバウンダリ外から一部が液体ナトリウム中に浸漬されるケーブルにより供給される外部エネルギーによってアルゴンガスセルで波長100~130nmの紫外線を発生させ、その紫外線をフッ化マグネシウム窓を通して液体ナトリウム中の被検査体に向けて被検査体近傍で照射する紫外線発生部と、該被検査体からの反射・散乱光をフッ化マグネシウム窓を通して検出し可視光へ変換する紫外線検出部を備えた構造であり、得られた可視光を多チャンネル光ファイバケーブルによりナトリウムバウンダリ外の前記画像化装置に送って画像を取得するようにしたことを特徴とする紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置。

【請求項2】
ナトリウムバウンダリ外に設置される短パルス高出力レーザ装置、及び該短パルス高出力レーザ装置と前記紫外線照射・検出装置を繋ぐ光ファイバケーブルを具備し、前記紫外線照射・検出装置は、前記光ファイバケーブルによって前記短パルス高出力レーザ装置から導いたレーザ光をアルゴンガスセルに入射して波長100~130nmの紫外線を発生させ、その紫外線をフッ化マグネシウム窓を通して液体ナトリウム中の被検査体に向けて照射する紫外線発生部を備えている請求項1記載の紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置。
【請求項3】
ナトリウムバウンダリ外に設置される放電用電源装置、及び該電源装置と前記紫外線照射・検出装置を繋ぐ電気ケーブルを具備し、前記紫外線照射・検出装置は、前記電気ケーブルによって前記放電用電源装置から供給した電流によりアルゴンガスセルで放電を生じさせて波長100~130nmの紫外線を発生させ、その紫外線をフッ化マグネシウム窓を通して液体ナトリウム中の被検査体に向けて照射する紫外線発生部を備えている請求項1記載の紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置。
【請求項4】
前記紫外線検出部は、前記被検査体からの反射・散乱光をフッ化マグネシウム窓を通してイメージインテンシファイア付きカソードで可視光へ変換・増倍する構造である請求項2又は3記載の紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置に関するものである。この装置は、高速増殖炉の冷却媒体である液体ナトリウム中に配置されている配管類、炉内構造物、あるいは核燃料集合体等の機器類の検査・保守に有用である。
【背景技術】
【0002】
高速増殖炉では冷却媒体として液体ナトリウムが用いられており、配管類、炉容器、炉内構造物や核燃料集合体等の機器類が高温の液体ナトリウム中で、もしくは液体ナトリウムに接した状態で使用される。このような機器類の微細な形状変化、付着物や異物の有無等の確認に加え、ステンレス鋼で構成されるこれらの機器類および溶接部の主要な劣化メカニズムであるクリープ疲労、疲労に起因する表面の微細なき裂を検出することは、プラント保守・モニタリング技術として極めて重要である。
【0003】
従来、高速増殖炉用のナトリウム中可視化装置としては、ナトリウム中を透過する超音波による機器観察装置が開発されている(非特許文献1参照)。この装置は、空間分解能0.3mm程度までは可能であるが、測定に長時間を要する欠点がある。例えば、分解能が0.3mmの場合のフレームレートは、分オーダーから時間オーダーとなる。因みに、分解能2mm程度と低い場合には、フレームレートを0.5秒以下にできる。そこで高速増殖炉の実用化に向けて、微細な構造的変化を迅速に検出できる新たなプラント保守技術の開発が求められている。
【0004】
ところで、液体ナトリウム中を紫外線が透過することは、1930年代から知られており、専ら分光学的興味から研究が行われたことがある。最近、液体ナトリウム自身のアルゴンガス巻き込みなどを調査するため、エキシマレーザーを用いたナトリウムの可視化装置が開発された(非特許文献2参照)。しかし、これは、約300℃のナトリウムループ中の流動現象をループ外から測定するものであって、液体ナトリウム中に浸漬されるような高速増殖炉の保守システムとしての使用は想定されていない。
【先行技術文献】
【0005】
<nplcit num="1"> <text>山下卓哉、田川明広 平成20年度 文部科学省原子力システム研究開発事業 「ナトリウム中の目視検査装置の開発」 成果報告書 平成21年3月 日本原子力研究開発機構</text></nplcit><nplcit num="2"> <text>福田武司 平成18-20年度 文部科学省原子力システム研究開発事業 「ナトリウム流動の可視化による高速炉気液界面・速度場の計測制御に関する研究開発」 成果報告書 平成21年3月 国立大学法人大阪大学</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、紫外線を用いて液体ナトリウム中の可視化を行えるようにすることである。本発明が解決しようとする他の課題は、空間分解能が数ミクロン以下が可能な(例えば、分解能1ミクロン以下が1秒以内に取得できるような)液体ナトリウム中の可視化装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、筐体をフランジ構造にして内部を真空にしフッ化マグネシウム窓を備えナトリウム中に浸漬可能な一体化した紫外線照射・検出装置、及びナトリウムバウンダリ外に設置される画像化装置を具備し、前記紫外線照射・検出装置は、ナトリウムバウンダリ外から一部が液体ナトリウム中に浸漬されるケーブルにより供給される外部エネルギーによってArガスセルで波長100~130nmの真空紫外線を発生させ、その紫外線をフッ化マグネシウム窓を通して液体ナトリウム中の被検査体に向けて被検査体近傍で照射する紫外線発生部と、該被検査体からの反射・散乱光をフッ化マグネシウム窓を通して検出し可視光へ変換する紫外線検出部を備えた構造であり、得られた可視光を多チャンネル光ファイバケーブルによりナトリウムバウンダリ外の前記画像化装置に送って画像を取得するようにしたことを特徴とする紫外線を用いた液体ナトリウム中の可視化装置である。



【0008】
例えば、ナトリウムバウンダリ外に設置される短パルス高出力レーザ装置、及び該短パルス高出力レーザ装置と紫外線照射・検出装置を繋ぐ光ファイバケーブルを具備し、前記紫外線照射・検出装置は、光ファイバケーブルによって前記短パルス高出力レーザ装置から導いたレーザ光をアルゴンガスセルに入射して波長100~130nmの紫外線を発生させ、その紫外線をフッ化マグネシウム窓を通して液体ナトリウム中の被検査体に向けて照射する紫外線発生部を備えている構成とする。ここで、短パルス高出力レーザ装置としては、波長1μm程度のNd:YAGレーザ装置を用いることができる。
【0009】
あるいは、ナトリウムバウンダリ外に設置される放電用電源装置、及び該電源装置と紫外線照射・検出装置を繋ぐ電気ケーブルを具備し、前記紫外線照射・検出装置は、前記電気ケーブルによって前記放電用電源装置から供給した電流によりアルゴンガスセルで放電を生じさせて波長100~130nmの紫外線を発生させ、その紫外線をフッ化マグネシウム窓を通して液体ナトリウム中の被検査体に向けて照射する紫外線発生部を備えている構成とすることもできる。
【0010】
ここで前記紫外線検出部は、被検査体からの反射・散乱光をフッ化マグネシウム窓を通してイメージインテンシファイア付きカソードで可視光へ変換・増倍する構造とするのが好ましい。また、画像化装置は、CCDカメラとディスプレイの組み合わせなどでよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ナトリウム中の透過が可能な波長領域の紫外線を、高温ナトリウム中の被検査体近傍で発生させ、該被検査体で反射した紫外線を検出して可視光へ変換・増倍し、ナトリウムバウンダリ外の低温部に伝送して画像化処理する構成としたことにより、液体ナトリウム中の被検査体を空間分解能数ミクロンで可視化できる。具体的には、例えば、分解能1ミクロン以下が1秒以内に取得可能となる。これにより、高速増殖炉の冷却媒体である液体ナトリウム中に配置された配管類、炉内構造物や核燃料集合体等の微細な形状変化、付着物の有無等の目視による確認に加え、ステンレス鋼で構成されるこれらの機器および溶接部の主要な劣化メカニズムであるクリープ疲労、疲労に起因する表面の微細なき裂などが検出可能となる。
【0012】
紫外線を用いる本発明は、超音波方式とは異なり、紫外線の照射と反射・散乱光の検出を被検査体に対して同じ側で行うので、紫外線照射・検出装置を一体化して直径数cm程度に小型化できる。レーザ装置、放電用電源装置、及び画像化装置などは、ナトリウムバウンダリ外に設置できる。そのため、高速増殖炉のような液体ナトリウム中の炉内構造物の狭隘部の検査にも十分に適用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】紫外線の波長とナトリウム中の透過率の関係を示すグラフ。
【図2】本発明に係る液体ナトリウム中可視化装置の概略ブロック図。
【図3】本発明に係る液体ナトリウム中可視化装置の一実施例のブロック図。
【図4】それに用いる紫外線照射・検出装置の一例を示す説明図。
【図5】本発明に係る液体ナトリウム中可視化装置の他の実施例のブロック図。
【図6】それに用いる紫外線照射・検出装置の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、被検査体の近傍に位置する紫外線発生部により波長100~130nmの真空紫外線を発生させ、その真空紫外線をフッ化マグネシウム窓を通して液体ナトリウム中の被検査体を照射する。液体ナトリウム中の被検査体からの反射・散乱光をフッ化マグネシウム窓を通して紫外線検出部で検出し、可視光へ変換して伝送し、画像化装置で画像を取得する。これにより、液体ナトリウム中の機器類を可視化する。

【0015】
ナトリウムの紫外線透過について測定した結果を図1に示す。実験装置は、次のような構成である。Nd:YAGレーザを用い、そのレーザ光を集光レンズで銅ターゲット上に集光することでレーザプラズマを発生させる。ここから波長150nm以下の真空紫外線を含む光が発生し、それがナトリウム試料を透過するのを観測する。ここでナトリウム試料は、厚さ1mmのナトリウムを、両側から厚さ3mmのフッ化マグネシウムで挟んだ構造である。透過光を分光器で分光し、波長140nm以下の領域の紫外線について、各波長毎の透過率を測定した。ナトリウムの透過率は、ほぼ100nmのフッ化マグネシウムの透過バウンダリに達するまで、波長の短い領域に向かって単調増加する。波長100~130nmの紫外線では透過率90%以上が得られ、特に波長100~125nmでは透過率が95%以上であった。波長100~130nmの紫外線は、液体ナトリウム中で1cm程度は十分に伝搬するので、f数3程度の比較的短焦点の結像光学系を用いることにより、空間分解能が数ミクロンの機器形状モニタが構成可能となる。

【0016】
ここで使用したフッ化マグネシウムは、高温の液体ナトリウムに接する観測窓の材料を想定したものである。この実験結果から、フッ化マグネシウムを窓材とし、波長100~130nmの紫外線を用いることで、液体ナトリウム中可視化装置を実現できる可能性が見出された。本発明でフッ化マグネシウムを使用しているのは、この波長領域での紫外線透過率が高く、且つ高温の液体ナトリウムに接している状況で、比較的安定な素材だからである。フッ化カルシウムの使用も考えられるが、紫外線透過率の点で、フッ化マグネシウムの方が好ましい。

【0017】
本発明に係る液体ナトリウム中の可視化装置は、高速増殖炉等の液体ナトリウム中に浸漬される。従って、小型であることは無論のこと、耐熱性及び耐放射線性も要求される。そこで本発明は、上記のように、ナトリウムバウンダリ外から供給される外部エネルギーを用いて、被検査体の近傍で真空紫外線を発生させ、被検査体からの反射・散乱光を被検査体の近傍で検出して可視光へ変換・増倍し、ナトリウムバウンダリ外に位置する画像化装置で画像を取得する。具体的には、高温の液体ナトリウムに浸漬される紫外線発生・検出装置と、ナトリウムバウンダリ外の低温部に位置する外部エネルギー源や画像化装置との間をケーブルで繋ぐように構成し、それによって小型化、耐熱性及び耐放射線性などの問題を解決している。

【0018】
本発明に係る液体ナトリウム中の可視化装置の概略構成を図2に示す。この可視化装置は、高温の液体ナトリウム中に浸漬される紫外線照射・検出装置10、及びナトリウムバウンダリ外の低温部に設置される画像化装置12、それらの間で光伝送を行う多チャンネル光ファイバケーブル14などからなる。紫外線照射・検出装置10は、ナトリウムバウンダリ外から供給される外部エネルギーにより発生した紫外線を液体ナトリウム中の被検査体20に照射する紫外線発生部22と、被検査体20からの反射・散乱光を検出し、可視光に変換し増倍する紫外線検出部24を有する。また、紫外線照射・検出装置10は、液体ナトリウムのバウンダリとなり且つ紫外線の透過を許容するため、筐体26の一部にフッ化マグネシウム窓28を備えている。

【0019】
外部エネルギーはケーブル16によって紫外線照射・検出装置10に供給され、その外部エネルギーによって紫外線照射・検出装置10の紫外線発生部22で波長100~130nmの真空紫外線が発生する。その波長領域内の所望の波長の真空紫外線が、フッ化マグネシウム窓28を通して液体ナトリウム中に向けて出射し、被検査体20である液体ナトリウム中の機器類を照射する。被検査体20からの反射・散乱光は、フッ化マグネシウム窓28を通して紫外線検出部24で検出され、紫外線から可視光へ変換・増倍される。そして、多チャンネル光ファイバケーブル14を伝搬してナトリウムバウンダリ外の画像化装置12に送られる。画像化装置12は、例えばCCDカメラやディスプレイ等からなり、そこで画像を取得することにより、液体ナトリウム中の機器類を可視化して必要な検査を行うことができる。なお、多チャンネル光ファイバケーブル14は、それらの一部が液体ナトリウム中に浸漬され、高速増殖炉内では高放射線に曝されるため、耐熱性と耐放射線性を兼ね備えたものを用いる。

【0020】
真空紫外線を発生させるために、ナトリウムバウンダリ外から紫外線照射・検出装置10に供給する外部エネルギーとしては、レーザ光や放電用電流がある。例えばレーザ光を用いる場合は、Arガスセルにレーザ光を照射して真空紫外線を発生させる。ところで、市販の紫外線源として、F2レーザやArFレーザがあるが、そのようなレーザ装置を被検査体の近傍に配置することはできない。また、波長が短いため、フレキシブルな光ファイバによる伝送も不可能である。そのうえ、F2レーザは波長157nm、ArFレーザは波長193nmであるため、前記の実験結果から見て液体ナトリウム中可視化には適用し難い。そこで本発明では、上記のように、被検査体の近傍で間接的に必要な波長の紫外線を発生させる方式を採用している。本発明ではレーザ光の他、放電用電流を供給して、Arガスの放電を利用して電気的に真空紫外線を発生させることも可能である。
【実施例】
【0021】
本発明に係る液体ナトリウム中の可視化装置の一実施例を図3に示す。これは、外部エネルギーとしてレーザ光を用いる例である。この可視化装置は、主として、ナトリウムバウンダリ外の低温部に設置される短パルス高出力レーザ装置30及び画像化装置32、高温の液体ナトリウム中に浸漬される紫外線照射・検出装置34などからなり、更に、前記短パルス高出力レーザ装置30と紫外線照射・検出装置34の間でレーザ光の伝送を行う光ファイバケーブル36、及び前記紫外線照射・検出装置34と画像化装置32の間で画像の光伝送を行う多チャンネル光ファイバケーブル38などを具備している。紫外線照射・検出装置34は、レーザ光を紫外線に変換して発生した紫外線を液体ナトリウム中の被検査体40に照射する紫外線発生部42と、被検査体40からの反射・散乱光を検出して可視光に変換し増倍する紫外線検出部44を有する。また紫外線照射・検出装置34は、液体ナトリウムのバウンダリとなり且つ紫外線の透過を許容するため、筐体46の一部にフッ化マグネシウム窓48を備えている。ナトリウムバウンダリ外の低温部に設置される画像化装置32は、CCDカメラやディスプレイ等で構成する。
【実施例】
【0022】
短パルス高出力レーザ装置30からのレーザ光は、光ファイバケーブル36を伝搬して紫外線照射・検出装置34の紫外線発生部42に入射し、それによって波長100~130nmの真空紫外線が発生する。その真空紫外線は、フッ化マグネシウム窓48を通して液体ナトリウム中に向けて出射し、被検査体40である液体ナトリウム中の機器類を照射する。被検査体40からの反射・散乱光は、フッ化マグネシウム窓48を通して紫外線検出部44に入力し、紫外線から可視光へ変換され増倍される。そして、得られた画像信号は、多チャンネル光ファイバケーブル38を伝搬してナトリウムバウンダリ外の画像化装置32に送られる。画像化装置32はCCDカメラやディスプレイからなり、そこで画像を取得することにより、液体ナトリウム中の機器類を可視化して検査することができる。なお、光ファイバケーブル36及び多チャンネル光ファイバケーブル38は、それらの一部が液体ナトリウム中に浸漬され、高速増殖炉内では高放射線に曝されるため、耐熱性と耐放射線性を兼ね備えたものを用いる。
【実施例】
【0023】
高温の液体ナトリウム中に浸漬する紫外線照射・検出装置の具体的な構成例を図4に示す。ここでは、短パルス高出力レーザ装置として、小型のNd:YAGレーザ(レーザ出力エネルギー1J、パルス幅1ナノ秒、波長1.06ミクロン)を用いている。このレーザ光を、光ファイバケーブル36を通して紫外線照射・検出装置34に伝送する。伝送されてきたレーザ光を、集光レンズ50などで集光してArガスセル52に入射させる。これによってArガスが励起されて真空紫外線が発生する。発生した真空紫外線は、レンズ54などで集光され、フッ化マグネシウム窓48を通して液体ナトリウム中へと出射し、被検査体を照射する。その際、必要に応じてミラーなどを組み込んで光路を調整する。波長150nm以下の紫外線は真空紫外線とも呼ばれ、酸素が存在すると減衰するので、筐体をフランジ構造にして内部を真空にしている。
【実施例】
【0024】
被検査体からの反射・散乱光は、フッ化マグネシウム窓48を通って紫外線照射・検出装置34に入る。この反射・散乱光をレンズ56で集め、イメージインテンシファイア付き光カソード58上で結像し、紫外線は可視光に変換されると共に増倍される。増倍された光は、レンズ60で多チャンネル光ファイバの入口部分に結像し、多チャンネル光ファイバケーブル38を伝搬して、ナトリウムバウンダリ外の低温部に設置されたCCDカメラ62まで導かれる。これによって画像が取得されて、ディスプレイ上に表示される。また、変換された電気信号は、信号処理系で記録されるなど、必要とする様々な処理が施される。
【実施例】
【0025】
本発明に係る液体ナトリウム中の可視化装置の他の実施例を図5に示す。これは、外部エネルギーとして放電用電流を用いる例である。紫外線検出系の部分は、前記実施例と同様であってよいので、説明を分かりやすくするために、対応する部分は同一符号を付す。この可視化装置は、主として、ナトリウムバウンダリ外の低温部に設置される放電用電源装置70及び画像化装置32、高温の液体ナトリウム中に浸漬される紫外線照射・検出装置74などからなり、更に前記放電用電源装置70と紫外線照射・検出装置74の間で電流伝送を行う電気ケーブル76、及び前記紫外線照射・検出装置74と画像化装置32の間で光伝送を行う多チャンネル光ファイバケーブル38などを具備している。紫外線照射・検出装置74は、Arガスの放電により紫外線を発生させ、その紫外線を液体ナトリウム中の被検査体40に照射する紫外線発生部82と、被検査体40からの反射・散乱光を検出し、可視光に変換し増倍する紫外線検出部44を備えている。また、紫外線照射・検出装置74は、液体ナトリウムのバウンダリとなり且つ紫外線の透過を許容するため、筐体46の一部にフッ化マグネシウム窓48を備えている。ナトリウムバウンダリ外の低温部に設置される画像化装置32は、CCDカメラやディスプレイ等で構成する。
【実施例】
【0026】
放電用電源装置70からの電流は、電気ケーブル76によって紫外線照射・検出装置74の紫外線発生部82に供給され、そこでのガス放電により波長100~130nmの真空紫外線が発生する。その波長領域内の所望の波長の真空紫外線が、フッ化マグネシウム窓48を通して液体ナトリウム中に向けて出射し、被検査体40である液体ナトリウム中の機器類を照射する。被検査体40からの反射・散乱光は、フッ化マグネシウム窓48を通して紫外線検出部44に入力し、紫外線から可視光へ変換し増倍される。そして、多チャンネル光ファイバケーブル38を伝送してナトリウムバウンダリ外の画像化装置32に送られる。画像化装置32はCCDカメラやディスプレイからなり、そこで画像を取得することにより、液体ナトリウム中の機器類を可視化して検査することができる。なお、電気ケーブル76及び多チャンネル光ファイバケーブル38は、それらの一部が液体ナトリウム中に浸漬され、高速増殖炉内では高放射線に曝されるため、耐熱性と耐放射線性を兼ね備えたものを用いる。
【実施例】
【0027】
高温の液体ナトリウム中に浸漬する紫外線照射・検出装置の具体的な構成例を図6に示す。放電用電流は、電気ケーブル76によって紫外線照射・検出装置74に供給される。その電流はArガスセル92に供給され、これによってArガス放電が生じ、真空紫外線が発生する。発生した真空紫外線は、レンズ94などで集光され、フッ化マグネシウム窓48を通して液体ナトリウム中へと出射し、被検査体を照射する。
【実施例】
【0028】
被検査体からの反射・散乱光は、フッ化マグネシウム窓48を通って紫外線照射・検出装置74に入る。この反射・散乱光をレンズ56で集め、イメージインテンシファイア付き光カソード58上に結像し、紫外線は可視光に変換されると共に増倍される。増倍された光はレンズ60で多チャンネル光ファイバの入口部分に結像され、多チャンネル光ファイバケーブル38を伝搬して、ナトリウムバウンダリ外の低温部に設置されたCCDカメラ62まで導かれる。これによって画像が取得され、ディスプレイ上に表示される。変換された電気信号は、信号処理系で記録されるなど様々な処理が施される。
【実施例】
【0029】
高速増殖炉の保守時に用いることを想定すると、200℃以上のナトリウム温度で且つ高放射線環境下で、確実に動作することが必要最低限の基準となる。本発明では、200℃以上の高温ナトリウムからの熱を受けるのは、紫外線照射・検出装置及び光ファイバケーブル類や電気ケーブルの一部であるので、それらの部分は耐熱性及び耐放射線性を有する材料・構造とする。それに対して、CCDカメラなどの画像化装置、レーザ装置や放電用電源装置などは、高温や高放射線に曝されることはないので、特段の対策は必要ない。
【実施例】
【0030】
いずれにしても、紫外線照射・検出装置は、遊泳ビークル型、マニピュレータ型、フレキシブルチューブ型(ワイヤや圧縮ガスで方向制御)などとすることができる。紫外線照射・検出装置を小型化できることと、フレキシブルなケーブルを用いることで、炉心内の各種構造物、燃料集合体、熱交換器までの配管などにも侵入可能となり、これまで困難と考えられてきた構造物の微小な変形等も逃さず探知することができる。
【実施例】
【0031】
本発明の液体ナトリウム中の可視化による保守・モニタリング技術は、従来の超音波によるモニタリング法と分解能、視野、データ取得のスピードにおいて相補的関係にあり、併用することで、より一層効率よく且つ精度の高い検査が可能となる。
【符号の説明】
【0032】
10 紫外線照射・検出装置
12 画像化装置
14 多チャンネル光ファイバケーブル
20 被検査体
22 紫外線発生部
24 紫外線検出部
28 フッ化マグネシウム窓
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5