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明細書 :芳香族ポリアミドの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4517224号 (P4517224)
公開番号 特開2005-314478 (P2005-314478A)
登録日 平成22年5月28日(2010.5.28)
発行日 平成22年8月4日(2010.8.4)
公開日 平成17年11月10日(2005.11.10)
発明の名称または考案の名称 芳香族ポリアミドの製造方法
国際特許分類 C08G  69/12        (2006.01)
FI C08G 69/12
請求項の数または発明の数 3
全頁数 7
出願番号 特願2004-131363 (P2004-131363)
出願日 平成16年4月27日(2004.4.27)
審査請求日 平成19年4月4日(2007.4.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】横澤 勉
個別代理人の代理人 【識別番号】100069073、【弁理士】、【氏名又は名称】大貫 和保
【識別番号】100102613、【弁理士】、【氏名又は名称】小竹 秋人
審査官 【審査官】阪野 誠司
参考文献・文献 特開昭61-200122(JP,A)
特開平10-316758(JP,A)
調査した分野 C08G 69/00- 69/50
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記する化1において、モノマーとして4-(アルキルアミノ)安息香酸メチル、塩基としてリチウム1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラジドを用い、安息香酸フェニル類からなる開始剤の存在下、テトラヒドロフラン中、所定温度以下で反応させることを特徴とする芳香族ポリアミドの製造方法。但し、前記モノマーのアルキル基Rの炭素数は8~12であり、生成されるポリ(N-アルキル-p-ベンズアミド)の重合度nは2≦n≦70である。
【化1】
JP0004517224B2_000006t.gif

【請求項2】
前記所定温度は-10℃であることを特徴とする請求項1記載の芳香族ポリアミドの製造方法。
【請求項3】
前記開始剤は4-メチル安息香酸フェニルであることを特徴とする請求項1又は2記載の芳香族ポリアミドの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族アミドの重縮合方法に関し、特にポリ(N-アルキル-p-ベンズアミド)を、分子量(重合度)を制御可能に製造するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
芳香族ポリアミドに関する従来の技術として、アミド型溶媒、ホスファイト化合物、塩化リチウム及び塩化カルシウムを含む溶液中で、濃度0.08~0.15モル/Lのp-アミノ安息香酸を重縮合させて得た均一透明なポリ(p-ベンズアミド)含有溶液に、カルボキシル基及び/又はアミノ基と反応性の官能基を有するポリマーを添加してポリ(p-ベンズアミド)とポリマーとを重合させることにより、ポリ(p-ベンズアミド)と他種ポリマーとを共重合させるものが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、本発明者らは、既にポリ(p-ベンズアミド)の重縮合において狭い分子量分布をもって重合体の分子量(重合度)を制御する方法を見出しており、この方法は、下記する化1に示すように、モノマー(A)として4-(アルキルアミノ)安息香酸フェニル、塩基(B)としてN-トリエチルシリル-N-オクチルアニリンを、フッ化セシウム及び18-クラウン-6エーテル存在下で用いて、テトラヒドロフラン(THF)中室温で反応させるものであり、生成されるポリアミド(C)の分子量(重合度n)は、安息香酸フェニル類からなる開始剤(D)のモノマー(A)に対する仕込み量を変えることにより、およそ理論値通りに制御できるものである(非特許文献1参照)。
【化1】
JP0004517224B2_000002t.gif

【特許文献1】特開平10-316758号公報
【非特許文献1】JOURNAL OF THE AMERICAN CHEMICAL SOCIETY, Volume 122, Number 34, pages 8313-8314, “Chain-Growth Polycondensation for Nonbiological Polyamides of Defined Architecture”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記化1に示す従来の方法においては、塩基としてN-トリエチルシリル-N-オクチルアニリンを使用するが、この物質はその合成法が煩雑であり、また加水分解しやすい性質を有するため、取り扱いが困難であった。また、重合終了後、この塩基はN-オクチルアニリン(E)となり、生成ポリマーからの分離が必要となる。このため、この重縮合法は、分子量を高度に制御しつつポリ(N-アルキル-p-ベンズアミド)を製造することができるものではあるが、コストや技術的な面で改良の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、取り扱いが容易な原料を用い、また簡便な方法によって、所望の分子量(重合度)を有するポリ(N-アルキル-p-ベンズアミド)を製造できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の芳香族ポリアミドの製造方法は、下記する化2において、モノマー(1)として4-(アルキルアミノ)安息香酸メチル、塩基(2)としてリチウム1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラジドを用い、安息香酸フェニル類からなる開始剤(3)の存在下、テトラヒドロフラン中、所定温度T以下で反応させることを特徴とするものである。但し、前記モノマー(1)のアルキル基Rの炭素数は8~12であり、生成されるポリ(N-アルキル-p-ベンズアミド)(4)の重合度nは2≦n≦70である(請求項1)。
【化2】
JP0004517224B2_000003t.gif


【0007】
また、上記請求項1記載の方法において、前記所定温度Tは-10℃であることが望ましい(請求項2)。
【0008】
また、前記開始剤は4-メチル安息香酸フェニルであることが望ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の合成法によれば、モノマー(1)に対する開始剤(3)の仕込み量を変化させることにより、ポリマー(4)の分子量(重合度n)をおよそ理論値通りに制御することができ、生成されるポリマー(4)の分子量分布(Mw/Mn)は、その分子量に依存せず1.1以下とすることができる。また、本合成法においてモノマーの前駆体である4-アミノ安息香酸メチル、及び塩基として用いられるLHMDS(2)は、共に市販されているものであり、4-アミノ安息香酸メチルのアミノ基にアルキル基を導入すれば1段階でポリマー(4)を合成することができることから、合成手法としての一般性が高まったといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明による重縮合方法は、下記する化3に示すように、モノマー(1)として4-(アルキルアミノ)安息香酸メチル(アルキル基の炭素数は8~12)を、塩基(2)としてリチウム1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラジド(LHMDS)を用い、安息香酸フェニル類からなる開始剤(3)の存在下、テトラヒドロフラン(THF)中、所定温度(-10℃)以下で反応させるものである。生成するポリマー(4)の分子量(2≦重合度n≦70)は、モノマー(1)に対する開始剤(3)の仕込み量を変化させることにより、およそ理論値通りに制御することができ、その時の分子量分布(Mw/Mn)は、生成ポリマー(4)の分子量に依存せず1.1以下となる。また、重縮合の脱離成分及び塩基の共役酸が低沸点化合物となるので、重合後にこれらの除去を容易に行うことができる。
【化3】
JP0004517224B2_000004t.gif


【実施例1】
【0011】
以下、本発明に係る実験例及びその評価を示す。下記する化4に示すように、ヒートガンを用いてナスフラスコを加熱しながら減圧乾燥してアルゴンで置換し、アルゴン下で乾燥THF0.5mlを入れて-10℃で10分間攪拌した後、1.0M LHMDS(2)のTHF溶液0.50ml(1M,0.50mmol)を入れ-10℃で10分間攪拌した。その後、4-メチル安息香酸フェニル(3a)5.3mg(0.025mmol)、4-(オクチルアミノ)安息香酸メチル(1a)131mg(0.50mmol)、ナフタレン(転化率を算出するための内標)64mg(0.50mmol)をTHF0.5mlに溶かしてこの溶液を-10℃に冷却してシリンジで一気に加えた。そして、-10℃で20時間反応を行った。分析HPLCにより、20時間後の転化率を調べた後、反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を入れて反応を止めた。乾燥剤をろ別し、減圧下で溶媒を留去して、ポリマー(4a)を得た。減圧乾燥後、GPCで分子量と分子量分布を測定し、1HNMRから分子量を算出した。同様に開始剤を10mol%,3mol%,2mol%,1.4mol%でも重合を行った。
【化4】
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【0012】
図1に示すように、前記モノマー(1a)にLHMDS(2)を1.0当量作用させ、このモノマー(1a)に対する開始剤(3a)の仕込み比([1a]0/[3a]0)を変えて(上記実験例における仕込み比は0.50/0.025=20)、-10℃で重合を行うと、仕込み比が70まで理論分子量とよく一致したポリアミドが生成した。また、メチルエステル末端に対する開始末端比(両末端比)も1であり、連鎖重縮合が進行していると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
以上のように、本発明によれば、取り扱いが容易な原料を用い、また簡便な方法によって、所望の分子量(重合度)を有するポリ(N-アルキル-p-ベンズアミド)を製造することができる。本合成法においては、モノマーとして4-(アルキルアミノ)安息香酸メチル、塩基としてLHMDSを用い、モノマー前駆体及び塩基は共に市販されているものであるのでモノマー前駆体のアミノ基にアルキル基を導入すれば1段階でポリマーを合成することができることから、合成手法としての一般性が高まったといえる。また、本合成法を応用することにより、分子量分布の狭い芳香族ポリアミドを含む種々のブロック共重合体、グラフト共重合体、星型ポリマー等のアーキテクチャーの合成が可能であり、耐熱性等に優れた新規材料の開発が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、モノマーに対する開始剤の仕込み比と、ポリマーの分子量、ポリマーの分子量分布、及びメチルエステル末端に対する開始末端比との関係を示すグラフである。
図面
【図1】
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