TOP > 国内特許検索 > 非水電解液電池用負極及び非水電解液電池 > 明細書

明細書 :非水電解液電池用負極及び非水電解液電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5495887号 (P5495887)
公開番号 特開2010-277989 (P2010-277989A)
登録日 平成26年3月14日(2014.3.14)
発行日 平成26年5月21日(2014.5.21)
公開日 平成22年12月9日(2010.12.9)
発明の名称または考案の名称 非水電解液電池用負極及び非水電解液電池
国際特許分類 H01M   4/587       (2010.01)
H01M   4/38        (2006.01)
H01M   4/36        (2006.01)
H01M  10/052       (2010.01)
H01M  10/0566      (2010.01)
H01M   4/48        (2010.01)
FI H01M 4/587
H01M 4/38 Z
H01M 4/36 E
H01M 4/36 A
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 4/48
請求項の数または発明の数 15
全頁数 22
出願番号 特願2010-072572 (P2010-072572)
出願日 平成22年3月26日(2010.3.26)
優先権出願番号 2009109857
優先日 平成21年4月28日(2009.4.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年11月29日(2012.11.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
発明者または考案者 【氏名】山本 康平
【氏名】大場 保幸
【氏名】安達 紀和
【氏名】梅本 久
【氏名】山田 学
【氏名】西 信之
【氏名】沼尾 茂悟
個別代理人の代理人 【識別番号】100081776、【弁理士】、【氏名又は名称】大川 宏
審査官 【審査官】松嶋 秀忠
参考文献・文献 米国特許出願公開第2008/0145757(US,A1)
特開2003-100284(JP,A)
特開2002-093416(JP,A)
特開平04-039864(JP,A)
特開2009-266795(JP,A)
特開2002-334697(JP,A)
特表2011-527982(JP,A)
特開2007-234358(JP,A)
特開2008-251225(JP,A)
特開2008-251221(JP,A)
特開2008-186732(JP,A)
調査した分野 H01M 4/587
H01M 4/36
H01M 4/38
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 4/48
特許請求の範囲 【請求項1】
リチウムイオンを有する非水電解液を備えた非水電解液電池に用いられる非水電解液電池用負極であって、
前記負極は、空隙が形成された炭素質材料よりなる多孔質炭素材料と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵放出可能な金属よりなり、該空隙の内表面を含む該多孔質炭素材料の表面に配された金属材料と、をもつ金属炭素複合材料を有し、
該多孔質炭素材料が、絡み合った樹状体よりなり、該多孔質炭素材料を構成する該炭素質材料に開口した細孔である小径の細孔と、絡み合った該樹状体により形成される空隙である大径の細孔と、を有し、
該金属材料が、該小径の細孔及び該大径の細孔の内部の表面に配置され、
該金属炭素複合材料が、該金属炭素複合材料全体の質量を100mass%としたときに、該多孔質炭素材料が1~65mass%で含まれることを特徴とする非水電解液電池用負極。
【請求項2】
前記金属材料は、Si、Ge、Sn、In、Sb、Znの元素から選ばれる少なくとも一種の金属、これらの元素から選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金、これらの元素から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物、これらの化合物のいずれか一種である請求項1記載の非水電解液電池用負極。
【請求項3】
前記金属炭素複合材料は、前記多孔質炭素を前記金属材料の溶液に浸漬した後に、乾燥してなる請求項1~2のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項4】
前記金属炭素複合材料は、前記多孔質炭素を前記金属材料の溶液に浸漬した後に、該溶液中で還元してなる請求項1~3のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項5】
前記金属炭素複合材料は、前記多孔質炭素を前記金属材料の溶液に浸漬した後に、気相中で還元してなる請求項1~3のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項6】
前記金属炭素複合材料は、前記多孔質炭素と前記金属材料を圧着させ、熱処理してなる請求項1~3のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項7】
前記金属炭素複合材料は、還元処理してなる金属もしくは金属化合物が前記多孔質炭素に担持された請求項1~6のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項8】
前記金属炭素複合材料に担持された金属材料は、金属の融点が3500℃以下の金属元素から選ばれる、少なくとも一種の金属、これらの元素から選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金、これらの化合物のいずれか一種であり、これらの金属、合金は相図において1500℃以下でリチウムと合金相を形成する請求項1~7のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項9】
前記金属炭素複合材料で担持された金属もしくは金属酸化物は、Sn、Si、Ag-Sn合金、Sn-Ag-Sb合金、Cu-Sn合金、Ag-Ge合金、Cu-Ge合金、Sn酸化物、Si酸化物の中から選ばれる請求項1~8のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項10】
前記多孔質炭素材料は、タップ密度が、0.2g/cm以下である請求項1~9のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項11】
前記多孔質炭素材料は、BJH法によって求めた細孔容積が1.5cm/g以上である請求項1~10のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項12】
前記多孔質炭素材料のBJH法によって求めた平均細孔径が7nm以下である請求項1~11のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項13】
前記金属複合材料は粒状であり、その粒子の粒径が0.5~100μmの範囲にある請求項1~12のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項14】
リチウムイオン電池用負極である請求項1~13のいずれかに記載の非水電解液電池用負極。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の非水電解液電池用負極と、正極と、リチウムイオンを含有する非水電解液と、を有することを特徴とする非水電解液電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電サイクル特性に優れた非水電解液電池用負極、及びこれを用いてなる非水電解液電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラや携帯型電話機等のコードレス電子機器の発達はめざましく、これら民生用途の電源として、電池電圧が高く、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池が注目され、盛んに研究開発が進められている。リチウム二次電池の負極活物質としては、リチウムを吸蔵・放出可能な難黒鉛化性炭素や黒鉛等の炭素材料が比較的高容量を示し、良好なサイクル特性を示すことから広く実用化されている。
【0003】
しかし、近年の電子機器の更なる小型化や長時間連続使用の要求により、負極活物質の更なる高容量化が要望されており、研究開発が進められている。
【0004】
リチウム二次電池の高容量化を達成できる負極活物質として、リチウム金属やリチウム合金を使用することが、特許文献1に開示されている。また、近年においては、Si、Sn、Alなどの単体金属や合金を用いることが提案されている。
【0005】
しかし、SiやSnなどの金属材料は、充放電時のリチウムとの合金化反応の際、大きな体積変化を伴うため、活物質の割れや滑落が生じ、割れや滑落した活物質片の導電経路が確保できず、充放電のサイクル寿命が短くなるという問題があった。
【0006】
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献2に記載の方法がある。特許文献2には、ポリスチレンやPMMAなどの高分子の粒子を堆積し、これにリチウムと合金化する金属を鍍金により施した後、高分子の粒子を取り除くことにより多孔質構造のリチウムと合金化する金属または合金を負極に用いることが示されている。この方法では、均一な孔、かつ連通孔が多数形成されるため充電時の体制膨張を吸収でき、一定の効果はみられるが、多数の孔を有する構造により電極自身が脆くなり、組電池に具備することが困難であるという問題があった。このことは、特許文献2の実施例では、電池を形成せずにガラルセル中で評価していることからも明らかである。
【0007】
そして、特許文献3には、アスペクト比10以上を有するカーボンナノファイバをリチウムと合金化する金属系活物質と混合することで、活物質粒子間を繋ぐ働きをし、充放電時の体積変化に起因する活物質粒子の脱落や電極の剥離等を防止することを提案している。カーボンナノファイバが金属系活物質に絡みつくように存在するため、導電経路の確保という点では効果が期待できる。しかしながら、特許文献3の図として、従来の無機質粒子と炭素系材料を負極活物質中に添加したときの無機質粒子(負極活物質)の体積膨張を示す断面構成図が示されているが、本質的に負極活物質は充放電により体積変化は生じるため、数μmレベルの金属系活物質の周囲に繊維状または粒子状の炭素材があったとしても活物質自身の割れや滑落の挙動に大きな変化があることが考え難く、実施例に示されているような10サイクル程度の短い期間であれば顕著な差(効果)は確認できるが、長期にわたっての充放電のサイクルには耐え難いという問題が生じる。
【0008】
さらに、特許文献4には、数から数十μmの空孔をもつ金属メッシュや、炭素材からなる不織布やフェルトを鋳型として、多孔質導電性基材の平均空孔径より径の小さい導電材とリチウムを吸蔵放出する金属系活物質、すなわち、上記特許文献3で示されるような材料、を用いることを提案している。上記特許文献2に示される効果のほかに電極全体を保持する効果は期待できるが、特許文献3の理由同様、数μmレベルの金属系活物質の周囲に繊維状または粒子状の炭素材があったとしても活物質自身の割れや滑落の挙動に大きな変化があることが考え難い。
【0009】
また、特許文献5には、正極活物質および負極活物質の粒子表面に微細炭素繊維が網目状に付着しているリチウムイオン二次電池が記載され、特許文献6には、多孔質炭素の表面及び孔内にリチウムイオンを吸蔵・放出する無機化合物(但し炭素を省く)を付着させて負極に用いることが記載されています。
【0010】
そして、これらの発明に対しても、更なる性能の向上が求められている。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】特開平07-29602号公報
【特許文献2】特開2006-260886号公報
【特許文献3】特開2004-220910号公報
【特許文献4】特開2007-335283号公報
【特許文献5】特開2009-272041号公報
【特許文献6】特開2003-100284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、充放電サイクル特性に優れた非水電解液電池用負極、及びこれを用いてなる非水電解液電池を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明者等は、負極活物質について検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
【0014】
すなわち、請求項1に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、リチウムイオンを有する非水電解液を備えた非水電解液電池に用いられる非水電解液電池用負極であって、負極は、空隙が形成された炭素質材料よりなる多孔質炭素材料と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵放出可能な金属よりなり、空隙の内表面を含む多孔質炭素材料の空隙内表面に配された金属材料と、をもつ金属炭素複合材料を有し、多孔質炭素材料が、絡み合った樹状体よりなり、多孔質炭素材料を構成する炭素質材料に開口した細孔である小径の細孔と、絡み合った樹状体により形成される空隙である大径の細孔と、を有し、金属材料が、小径の細孔及び大径の細孔の内部の表面に配置され、金属炭素複合材料が、金属炭素複合材料全体の質量を100mass%としたときに、多孔質炭素材料が1~65mass%で含まれることを特徴とする。
【0015】
本発明の非水電解液電池用負極は、多孔質炭素材料と、その空隙内表面に配された金属材料とをもつ金属炭素複合材料を有している。金属炭素複合材料は、多孔質炭素材料の空隙内表面に金属材料が配されており、放電時のLi合金化反応に伴う体積変化が金属材料に生じても、安定した導電経路が確保できる。特に、多孔質炭素材料により形成される空隙の内表面上に配された金属材料は、滑落や割れが生じても、割れた小片が多孔質炭素材料の空隙の表面の別の部分と接触して、小片の接触により導電経路が確保されるため、滑落や割れの影響を受けにくくなっている。このように、本発明の非水電解液電池用負極は、非水電解液電池において充放電を繰り返しても、金属材料の滑落や割れによるサイクル特性の低下が抑えられている。
【0016】
さらに、本発明の非水電解液電池用負極は、多孔質炭素材料の金属材料が存在していない空隙が、体積変化を緩和する緩衝材として働く効果をもつ。
【0017】
また、本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料に占める多孔質炭素材料の質量比が1~65mass%で含まれることで、充放電サイクル特性に優れた非水電解液電池を得られる負極となる。金属炭素複合材料に占める多孔質炭素材料の質量比が1mass%未満では、金属材料の占める割合が大きくなり過ぎ、金属材料と多孔質炭素材料との接触面積が十分に確保できなくなる。つまり、金属材料に滑落や割れが生じたときに、炭素材料と接触しないおそれがある。また、質量比が65mass%を超えると、金属材料の占める割合が小さくなり、非水電解液電池の電池容量が十分に得られなくなる。
【0020】
そして、本発明の非水電解液電池用負極では、多孔質炭素材料が、絡み合った樹状体よりなり、多孔質炭素材料を構成する炭素質材料に開口した細孔である小径の細孔と、絡み合った樹状体により形成される空隙である大径の細孔と、を有し、金属材料が、小径の細孔及び大径の細孔の内部の表面に配置される。
本発明の非水電解液電池用負極は、多孔質炭素材料が、樹状体、活性炭、発泡炭素から選ばれる少なくとも1種よりなることができる。
【0021】
多孔質炭素材料が、樹状体、活性炭、発泡炭素から選ばれる少なくとも1種よりなることで、多孔質炭素材料が、金属材料が配される空隙を形成することができる。そして、多孔質炭素材料に担持された金属材料が割れを生じても、多孔質炭素との接触を維持できる。つまり、金属材料の滑落や割れによるサイクル特性の低下が抑えられる。なお、樹状体とは、樹木の枝のように分岐した形状を示す。
その上で、本発明の非水電解液電池用負極では、多孔質炭素材料が、樹状体よりなる。
【0022】
本発明の非水電解液電池用負極は、多孔質炭素材料が、小径の細孔と、小径の細孔より径が大きい大径の細孔と、を有する。
【0023】
多孔質炭素材料が小径の細孔と大径の細孔とを有することで、小径の細孔と大径の細孔との両細孔の内部の表面にまで金属材料を配置することができる。特に、小径の細孔の内部に担持された金属材料が割れを生じても、多孔質炭素との接触を維持できる。つまり、金属材料の滑落や割れによるサイクル特性の低下が抑えられる。なお、小径の細孔と大径の細孔の細孔径は、異なる径をもつ細孔同士の相対的な比較により決定されるものであり、たとえば、細孔径が10nm程度以下の細孔を小径の細孔、細孔径が10~100nm程度以下の細孔を大径の細孔とすることができる。さらに、小径の細孔と大径の細孔の細孔径の比も特に限定されるものではないが、たとえば、小径の細孔の細孔径が、大径の細孔の細孔径の30%以下であることが好ましい。
【0024】
ここで、小径の細孔は、多孔質炭素材料を構成する炭素材料粒子自身に開口した細孔であり、大径の細孔は多孔質炭素材料を構成する炭素材料粒子同士により形成される空隙であることが好ましい。さらに、小径の細孔は、金属材料が充填されたことがより好ましい。
【0025】
本発明において、多孔質炭素材料は、多孔質炭素の樹状体である。樹状体を構成する多孔質炭素に形成された細孔が小径の細孔に相当し、絡み合った樹状体同士により形成される空隙が大径の細孔に相当する。
請求項2に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属材料は、Si、Ge、Sn、In、Sb、Znの元素から選ばれる少なくとも一種の金属、これらの元素から選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金、これらの元素から選ばれる少なくとも一種の金属の酸化物、これらの化合物のいずれか一種であることを特徴とする。
リチウムイオンを可逆的に吸蔵放出可能な金属としてこれらの金属材料をあげることができる。金属材料として選ばれるこれらの元素の金属単体、合金、酸化物、化合物は、充電時に合金化することでリチウムイオンを吸蔵し、放電時に合金からリチウムイオンを放出する。金属材料は、Si,Snの少なくとも一方の金属単体、合金、酸化物、化合物のいずれかであることが好ましく、Snの金属単体、合金、酸化物、化合物のいずれかであることがより好ましい。
【0026】
請求項3に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料が、多孔質炭素材料を金属材料の溶液に浸漬した後に、乾燥してなることを特徴とする。
【0027】
多孔質炭素材料を金属材料の溶液に浸漬した後に、乾燥させることで、多孔質炭素材料の空隙の表面に金属材料を配することができる。また、金属材料の溶液から金属材料を配するため、多孔質炭素材料の表面に均一に金属材料を配することができる。なお、金属材料の溶液とは、金属材料が溶解した溶液だけを示すのではなく、金属材料の粒子が分散した溶液をも含む。また、乾燥は、金属材料の溶液から溶媒を除去して金属材料を析出させることのみを示すのではなく、還元剤等を用いて多孔質炭素材料の表面に金属材料を析出させることをも含む。
【0028】
請求項4に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料が、多孔質炭素を金属材料の溶液に浸漬した後に、溶液中で還元してなることを特徴とする。
【0029】
多孔質炭素材料を金属材料の溶液に浸漬した後に、溶液中で還元することで、多孔質炭素材料の空隙内表面に金属材料を配することができる。また、金属材料の溶液から金属材料を配するため、多孔質炭素材料の空隙内表面に均一に金属材料を配することができる。
【0030】
請求項5に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料が、多孔質炭素を金属材料の溶液に浸漬した後に、気相中で還元してなることを特徴とする。
【0031】
多孔質炭素材料を金属材料の溶液に浸漬した後に、気相中で還元することで、多孔質炭素材料の空隙の表面に金属材料を配することができる。また、金属材料の溶液から金属材料を配するため、多孔質炭素材料の表面に均一に金属材料を配することができる。
【0032】
請求項6に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料が、多孔質炭素と金属材料を圧着させ、熱処理してなることを特徴とする。
【0033】
多孔質炭素と金属材料を圧着させ、熱処理することで、多孔質炭素材料の空隙の表面に金属材料を配することができる。なお、金属材料を圧着した状態で行われる熱処理は、金属材料が多孔質材料に溶融・含浸できる処理条件(温度,時間,雰囲気)で行われるものであり、金属材料により異なる。
【0034】
請求項7に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料が、還元処理してなる金属もしくは金属化合物が多孔質炭素に担持されたことを特徴とする。
【0035】
金属炭素複合材料の多孔質炭素材料に担持した金属材料が、金属もしくは金属化合物よりなっていても、還元処理されてなることで、金属材料が多孔質炭素材料の表面に担持できる。
【0036】
請求項8に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料に担持された金属材料は、金属の融点が3500℃以下の金属元素から選ばれる、少なくとも一種の金属、これらの元素から選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金、これらの化合物のいずれか一種であり、これらの金属、合金は相図において1500℃以下でリチウムと合金相を形成することを特徴とする。
【0037】
金属材料を構成する金属(合金)の融点及びリチウムと合金を形成する温度がこれらの範囲内となることで、多孔質炭素材料の表面に金属材料が担持した構成となる。なお、融点が3500℃を超える金属、リチウムとの合金相を形成する温度が1500℃を超える金属,合金は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵放出しにくい。ここで、金属の融点が3500℃以下の代表的な金属元素を表1に示す。
【0038】
【表1】
JP0005495887B2_000002t.gif
請求項9に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料に担持された金属もしくは金属酸化物は、Sn、Si、Ag-Sn合金、Sn-Ag-Sb合金、Cu-Sn合金、Ag-Ge合金、Cu-Ge合金、Sn酸化物、Si酸化物の中から選ばれることを特徴とする。
【0039】
本発明において多孔質炭素材料に担持される金属もしくは金属酸化物がこれらから選ばれることで、非水電解液電池において充放電を繰り返しても、金属材料の滑落や割れによるサイクル特性の低下が抑えられているという効果をより発揮できる。
【0040】
請求項10に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、多孔性炭素材料は、タップ密度が、0.2g/cm以下であることを特徴とする。
【0041】
タップ密度が0.2g/cm以下であることで、多孔性炭素材料の空隙内表面に多量の金属材料を配することができる。具体的には、タップ密度とは、1cm(cc)に占める多孔性炭素材料の質量である。タップ密度が大きいほど、多孔性炭素材料が密に(空隙が少なく)なっている。つまり、タップ密度が大きいほど、多孔性炭素材料は、空隙が少なくなる。多孔性炭素材料の空隙が少なくなると、その表面に配される金属材料の量が少なくなる。そして、タップ密度が0.2g/cmを超えると、多孔性炭素材料を構成する炭素材料が占める割合が大きくなり過ぎ、表面に配される金属材料の量が十分でなくなる。なお、タップ密度とは、充填密度を上げるために、一定の振動(タッピング)を与えた場合の密度である。
【0042】
請求項11に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、多孔性炭素材料が、BJH法によって求めた細孔容積が1.5cm/g以上であることを特徴とする。BJH方により求められる細孔容積が1.5cm/g(=1.5cc/g)以上であることで、多孔性炭素材料の表面に多量の金属材料を配することができる。細孔容積が1.5cm/g未満では、多孔性炭素材料において金属材料が配される空隙の量が十分でなくなる。
【0043】
請求項12に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、多孔性炭素材料のBJH法によって求めた平均細孔径が7nm以下であることを特徴とする。
【0044】
BJH法によって求めた平均細孔径が7nm以下であることで、多孔質炭素材料とその空隙内表面に配された金属材料との接触が保たれる。平均細孔径が7nmを超えると、多孔質炭素材料の空隙(細孔)内に配された金属材料粒子が割れた場合に、多孔質炭素材料と接触できなくなる。つまり、多孔質炭素材料の平均細孔径が大きくなるほど、金属材料が割れを生じたときに、多孔質炭素材料と接触できない金属材料が増加し、非水電解液電池の電池容量が十分に得られなくなる。
【0045】
請求項13に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、金属複合材料は粒状であり、その粒子の粒径が0.5~100μmの範囲にあることを特徴とする。
請求項14に記載の本発明の非水電解液電池用負極は、リチウムイオン電池用負極であることを特徴とする。
【0046】
本発明の非水電解液電池用負極は、金属材料がリチウムイオンを可逆的に吸蔵放出可能な金属よりなる金属材料よりなることから、リチウムイオンを含む電解液を用いるリチウムイオン電池に用いることで、充放電を繰り返しても、金属材料の滑落や割れによるサイクル特性の低下が抑えられる。
【0047】
請求項15に記載の本発明の非水電解液電池は、請求項1~14のいずれかに記載の非水電解液電池用負極と、正極と、リチウムイオンを含有する非水電解液と、を有することを特徴とする。
【0048】
本発明の非水電解液電池は、上記の非水電解液電池用負極と、正極と、リチウムイオンを含有する非水電解液と、を有する電池であることから、充放電を繰り返しても、金属材料の滑落や割れによるサイクル特性の低下が抑えられた電池となっている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例1の多孔質炭素材料(MCND)のTEM写真である。
【図2】実施例1の多孔質炭素材料(MCND)のTEM写真である。
【図3】実施例1の金属炭素複合材料のTEM写真である。
【図4】実施例1の金属炭素複合材料のTEM写真である。
【図5】実施例9の金属炭素複合材料のXRDの測定結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の非水電解液電池用負極及び非水電解液電池について説明する。

【0051】
(非水電解液電池用負極)
本発明の非水電解液電池用負極は、リチウムイオンを有する非水電解液を備えた非水電解液電池に用いられる負極である。そして、本発明の非水電解液電池用負極は、空隙が形成された炭素質材料よりなる多孔質炭素材料と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵放出可能な金属よりなり、空隙の内表面を含む多孔質炭素材料の表面に配された金属材料と、をもつ金属炭素複合材料を有する。

【0052】
本発明の非水電解液電池用負極において、金属炭素複合材料は、粒径が0.5~100μmの範囲が好ましく、0.5~50μmがより好ましい。二次粒子の粒径が小さすぎると非水電解液電池の電解液との副反応が顕著になり、充放電効率や充放電容量の低下を招く。また、二次粒子の粒径が大きすぎると、リチウムイオンが結晶構造内部への拡散が進みにくくなり、レート特性の低下を招く。

【0053】
本発明の非水電解液電池用負極は、上記の金属炭素複合材料を有すること以外は従来公知の非水電解液電池と同様の構成とすることができる。すなわち、本発明の非水電解液電池用負極は、金属炭素複合材料、導電剤及び結着剤からなる負極合材を適当な溶媒に懸濁させて混合し、塗液としたものを集電体の表面に塗布し、乾燥することで作製されたものとすることができる。

【0054】
本発明の非水電解液電池用負極においては、金属炭素複合材料は活物質として機能するが、この複合材料以外に従来公知の負極活物質を有していてもよい。具体的には、黒鉛などの容量を発現する材料をあげることができる。

【0055】
導電剤としては、炭素材料、金属粉、導電性ポリマーなどを用いることができる。導電性と安定性の観点から、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどの炭素材料を使用することが好ましい。

【0056】
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素樹脂共重合体(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、SBR、アクリル系ゴム、フッ素系ゴム、ポリビニルアルコール(PVA)、スチレン・マレイン酸樹脂、ポリアクリル酸塩、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などをあげることができる。

【0057】
溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶媒、または水などをあげることができる。

【0058】
負極活物質、導電剤及び結着剤の重量配合比は、製造する負極の特性により異なるため一概に決定できるものではないが、負極活物質60~98質量部、導電剤0~20質量部、結着剤2~10質量部とすることが好ましい。

【0059】
集電体としては、従来公知の集電体を用いることができ、銅、ステンレス、チタンあるいはニッケルからなる箔、メッシュなどを用いることができる。

【0060】
(非水電解液電池)
本発明の非水電解液電池は、上記の金属炭素複合材料を負極活物質に用いること以外は従来公知の非水電解液電池と同様の構成とすることができる。すなわち、上記の非水電解液電池用負極と、正極と、リチウムイオンを含有する非水電解液と、両極の間に介在するセパレータと、を有する。

【0061】
正極は、正極活物質、導電剤及び結着剤からなる正極合材を適用な溶媒に懸濁させて混合し、スラリーとしたものを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥することで作製することができる。

【0062】
正極活物質としては、種々の酸化物、硫化物、リチウム含有酸化物、導電性高分子などを用いることができる。例えば、MnO、TiS、TiS、MoS、FeS、Li1-xMnO、Li1-xMn、Li1-xCoO、Li1-xNiO、LiV、V、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリチオフェン、ポリピロール、及びそれらの誘導体、安定ラジカル化合物、が挙げられる。なお、これらの正極活物質におけるxは0~1の数を示す。各々にLi、Mg、Al、またはCo、Ti、Nb、Cr等の遷移金属を添加または置換した材料等であってもよい。また、これらのリチウム-金属複合酸化物を単独で用いるばかりでなくこれらを複数種類混合して用いることもできる。このなかでもリチウム-金属複合酸化物としては、層状構造またはスピネル構造のリチウムマンガン含有複合酸化物、リチウムニッケル含有複合酸化物及びリチウムコバルト含有複合酸化物のうちの1種以上であることが好ましい。

【0063】
正極の導電材としては、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバなどのカーボンブラック、ニードルコークスなどの無定形炭素の微粒子などが使用されるが、これらに限定されない。

【0064】
結着剤としては、例えば、PVDF、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)、SBR、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、フッ素ゴムなどが挙げられるが、これらに限定されない。

【0065】
正極活物質などが分散する溶媒としては、通常は結着剤を溶解する有機溶剤が使用される。例えば、NMP、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N-N-ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどを挙げることができるが、これらに限定されない。また、水に分散剤、増粘剤などを加えてPTFEなどで活物質をスラリー化する場合もある。

【0066】
非水電解液は、リチウムイオンを含有すること以外は、従来公知の非水電解液と同様の構成とすることができる。すなわち、従来公知のリチウムイオン電池の非水電解液を用いることができる。この非水電解液としては、有機溶媒に非水電解質を溶解して構成することができる。

【0067】
有機溶媒は、通常リチウム二次電池の電解液に用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばカーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。特に、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ビニレンカーボネート等及びそれらの混合溶媒が適当である。例に挙げたこれらの有機溶媒のうち、特にカーボネート類、エーテル類からなる群より選ばれた1種以上の非水溶媒を用いることにより、電解質の溶解性、誘電率及び粘度において優れ、電池の充放電効率が高いので、好ましい。

【0068】
非水電解質は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF、LiBF、LiClO及びLiAsFから選ばれる無機塩、これらの無機塩の誘導体、LiSOCF、LiC(SOCF及びLiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、から選ばれる有機塩、並びにこれらの有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが望ましい。これらの非水電解質は、電池性能をさらに優れたものとすることができ、かつその電池性能を室温以外の温度域においてもさらに高く維持することができる。電解質の濃度についても特に限定されるものではなく、用途に応じ、電解質及び有機溶媒の種類を考慮して適切に選択することが好ましい。

【0069】
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。例えば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。なおセパレータは、正極と負極との絶縁を担保するため、正極及び負極よりもさらに大きいものとするのが好ましい。

【0070】
本発明の非水電解液電池は、上記の要素以外に、その他必要に応じた要素とからなる。本発明の非水電解液電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状の電池として使用できる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【実施例】
【0072】
本発明の実施例として、非水電解質電池用負極活物質、非水電解質電池用負極(リチウムイオン二次電池用負極)及び非水電解質電池(リチウムイオン二次電池)を、製造した。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
まず、CARBON47(2009)306-312に記載の方法で多孔質炭素材料を製造した。
【実施例】
【0074】
具体的には、まず、硝酸銀(I)をアンモニア水溶液に溶解し、アセチレンを50ml/minの流速で導入しながら、20kHzの超音波振動を付与した。これにより、白黄色の樹状の固体が生成された。その後、白黄色の樹状の固体を加熱、銀を分離してメソポーラス炭素ナノ樹状体(MCND)よりなる多孔質炭素材料が製造された。
【実施例】
【0075】
製造されたMCNDの顕微鏡写真(TEM写真)を撮影し、観察した。TEM写真を図1,2に示した。製造された多孔質炭素材料は、MCND自身が細孔を有し、かつMCND同士の間に、細孔よりも大きな径の空隙を有することが確認できた。
【実施例】
【0076】
製造された多孔質炭素材料のタップ密度を測定したところ、0.12g/cmであった。また、BJH法によって平均細孔径及び細孔容積を求めたところ、平均細孔径は4.1nm、細孔容積は1.84cm/gであった。
【実施例】
【0077】
細孔分布及び細孔容積測定は、日本ベル株式会社製「BELSORP 36 高精度全自動ガス吸着装置」を用いて、下記条件にて測定した。吸着ガス:N2、死容積:He、吸着温度:液体窒素温度(77K)、測定前処理:150℃真空脱気、測定モード:等温での吸着・脱離、測定範囲:相対圧(P/P0)=0.00~0.99、平衡時間:各平衡相対圧につき180sec、解析法:BJH法、細孔径範囲:2nm~40nm、細孔容積は、等温線の相対圧1.0近傍の吸着量の液体換算。
【実施例】
【0078】
次に、塩化すず二水和物3.8gを純水に溶かし、さらに、多孔質炭素材料(MCND)0.04gを分散させ、十分に攪拌した。その後、還元剤として20%ヒドラジン水溶液を10ml添加し、すずを還元させた。ろ過、洗浄、乾燥を行い、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Sn化合物が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材の質量の割合は2%(質量%)であった。
【実施例】
【0079】
製造された金属炭素複合材料の顕微鏡写真(TEM写真)を撮影し、観察した。TEM写真を図3,4に示した。なお、図4の写真は、図3中のC部と示された部分の拡大写真である。製造された金属炭素複合材料では、MCND自身の細孔及びMCND同士の間の空隙に、Sn化合物が配されていることが確認できた。
【実施例】
【0080】
そして、平均粒径が10μmの金属炭素複合材料(負極活物質)を85質量部、ケッチェンブラック(導電材)を5質量部、PVDF(バインダ)を10質量部を準備し、NMPに分散させてスラリー状とした。製造されたスラリーを、厚さ:18μmの電解銅箔上に合材質量が5.0mg/φ14mmになるよう塗布した後、乾燥、プレス成型して、負極板とした。次に、この負極板をφ14mmの円形ポンチで抜き取り、120℃で6時間真空乾燥させ負極とした。
【実施例】
【0081】
これにより、本実施例の非水電解質電池用負極が製造された。
【実施例】
【0082】
製造された非水電解質電池用負極と、正極(対極)としての金属リチウムと、エチレンカーボネート(EC)30vol%とジエチルカーボネート(DEC)70vol%の混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットルとなるように溶解させて調製された電解液と、を用いて、ドライボックス中で組立を行うことで本実施例のコイン型の非水電解質電池(CR2025タイプ)が作製された。なお、本実施例の電池の組立は、正極及び負極を、ポリプロピレン製セパレータを介して積層させ、電解液とともにケースを密閉、封止することで行われた。
【実施例】
【0083】
(実施例2)
本実施例は、金属炭素複合材料中の多孔性炭素材の割合を、1質量%とした以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が17μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0084】
(実施例3)
本実施例は、金属炭素複合材料中の多孔性炭素材の割合を、10質量%とした以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0085】
(実施例4)
本実施例は、多孔性炭素材料に、タップ密度が0.12g/cm、BJH法による平均細孔径は5.1nm、細孔容積は1.65cm/gのクラレケミカル社製活性炭、商品名:GLC-Pを用いたこと以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が20μmであった。
【実施例】
【0086】
(実施例5)
本実施例は、多孔性炭素材料に、タップ密度が0.2g/cm、BJH法による平均細孔径は7.0nm、細孔容積は2.13cm/gのクラレケミカル社製活性炭GLC-H-Pを用いたこと以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が20μmであった。
【実施例】
【0087】
(実施例6)
本実施例は、多孔性炭素材料に、タップ密度が0.15g/cm、BJH法による平均細孔径は4.2nm、細孔容積は1.56cm/gの二村化学社製活性炭SA1000(洗浄品)を用いたこと以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が8μmであった。
【実施例】
【0088】
(実施例7)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0089】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、塩化スズ二水和物20gをテトラヒドロフラン(THF)100mlに溶かし、さらに実施例1で用いた多孔質炭素材料(MCND)1.00gを分散させ、十分に攪拌した。その後、還流、THFの蒸発、ろ過を行った。ろ過後、水素ガスバッチ式の気流中でスズを還元させ、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Sn金属単体もしくはSn化合物が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は63.1%(質量%)であった。
【実施例】
【0090】
(実施例8)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0091】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、塩化スズ二水和物20gをTHF100mlに溶かし、さらに実施例1で用いた多孔質炭素材料(MCND)1.00gを分散させ、十分に攪拌した。その後、還流、THFの蒸発、ろ過を行った。ろ過後、水素ガスフロー式の気流中でスズを還元させ、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Sn金属単体が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は34.3%(質量%)であった。
【実施例】
【0092】
(実施例9)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0093】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、MCNDとSnナノ粒子を混合し、自動乳鉢粉砕機で擦り付けた。次に、真空中で急激に350℃に昇温して融解浸透させ、Snをポア内部に固定させることで、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Sn金属単体もしくはSn化合物が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は9%(質量%)であった。
【実施例】
【0094】
製造された金属炭素複合材料のX線回折法により構造解析を行った。XRDパターンを図5に示した。製造された、金属炭素複合材料では、Sn金属とSn、SnOなどのSn酸化物が担持されていることが確認できた。
【実施例】
【0095】
ここで、Sn金属の融点は449℃であり、リチウムと合金相を形成する温度は179~783℃である。
【実施例】
【0096】
(実施例10)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0097】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、MCND1gとSiナノ粒子1gを混合し、自動乳鉢粉砕機で多孔質炭素材料に擦り付けた。次に、1460℃で30分アニールさせ、Siをポア内部に固定させることで、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Si金属単体もしくはSi化合物が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は50.0%(質量%)であった。
【実施例】
【0098】
ここで、実施例9の時と同様にして金属炭素材料の解析を行った。そして、金属炭素複合材料では、Si金属とSiOなどのSi酸化物が担持されていることが確認できた。
【実施例】
【0099】
Si金属の融点は1414℃であり、リチウムと合金相を形成する温度は180.5~1414℃である。
【実施例】
【0100】
(実施例11)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0101】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、MCNDとSnナノ粒子とCuナノ粒子を混合し、自動乳鉢粉砕機で多孔質炭素材料に擦り付けた。次に、アニールさせ、CuSnとCuSnをポア内部に固定させることで、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Cu-Sn合金が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は9.0%(質量%)であった。
【実施例】
【0102】
Cu金属の融点は、1084℃である。
【実施例】
【0103】
(実施例12)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0104】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、MCNDとSnナノ粒子とAgナノ粒子を混合し、自動乳鉢粉砕機で多孔質炭素材料に擦り付けた。次に、アニールさせAgSnをポア内部に固定させることで、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Ag-Sn合金が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は10.0%(質量%)であった。
【実施例】
【0105】
Ag金属の融点は、962℃である。
【実施例】
【0106】
(実施例13)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0107】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、MCNDとSnナノ粒子とAgナノ粒子とSb粒子を混合し、自動乳鉢粉砕機で多孔質炭素材料に擦り付けた。次に、アニールさせSnAgSbをポア内部に固定させることで、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Sn-Ag-Sb合金が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は10.0%(質量%)であった。
【実施例】
【0108】
Sb金属の融点は631℃であり、リチウムと合金相を形成する温度は180.6~1400℃である。
【実施例】
【0109】
(実施例14)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0110】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、MCNDとAgナノ粒子とGe粒子を混合し、自動乳鉢粉砕機で多孔質炭素材料に擦り付けた。次に、アニールさせAgGeをポア内部に固定させることで、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Ag-Ge合金が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は10.0%(質量%)であった。
【実施例】
【0111】
Ge金属の融点は938℃であり、リチウムと合金相を形成する温度は180.6~938.3℃である。
【実施例】
【0112】
(実施例15)
本実施例は、以下に示す金属炭素複合材料を負極活物質に用いた以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。本実施例において、金属炭素複合材料は平均粒径が15μmであり、多孔質炭素材料のタップ密度、細孔容積及び平均細孔径は、実施例1と同じであった。
【実施例】
【0113】
本実施例における金属炭素複合材料の合成方法は、具体的には、まず、MCNDとCuナノ粒子とGe粒子を混合し、自動乳鉢粉砕機で多孔質炭素材料に擦り付けた。次に、アニールさせCuGeをポア内部に固定させることで、多孔質炭素材料中の細孔及び空隙の表面に、Cu-Ge合金が配された金属炭素複合材料が製造された。製造された金属炭素複合材料の質量を100%としたときに、多孔質炭素材料の割合は10.0%(質量%)であった。
【実施例】
【0114】
(比較例1)
負極活物質に、Sn粉末を用いたこと以外は実施例1と同様に製造された負極及び電池である。
【実施例】
【0115】
(評価)
各実施例及び比較例の負極及び電池の評価として、電池の初回放電容量及び充放電を繰り返した後の放電容量の維持率(容量維持率)を測定し、その結果を表1に示した。
【実施例】
【0116】
初回放電容量の測定は、まず、充電電流0.10mA/cmで0.01Vまで定電流充電し、放電電流0.10mA/cmで1.0Vまで定電流放電を行った。この時の放電容量を初回放電容量とした。
【実施例】
【0117】
容量維持率の測定は、まず、初回充放電後、充電電流0.385mA/cmで0.01Vまで定電流充電し、放電電流0.385mA/cmで1.0Vまで定電流放電した。このときの放電容量を1サイクル目の放電容量とした。その後、充放電を30回繰り返して行った。そして、30サイクル目の放電容量と1サイクル目の放電容量とから、下記式により放電容量維持率(%)を求めた。なお、25℃の雰囲気で充放電及び放電容量の測定を行った。
【実施例】
【0118】
容量維持率(%)=[(30サイクル目の放電容量)/(1サイクル目の放電容量)]×100
【実施例】
【0119】
【表2】
JP0005495887B2_000003t.gif
表2に示されたように、Sn粒子をそのまま負極活物質として用いた比較例1では、初期充放電時の体積変化による割れや滑落により負極活物質の電気的な孤立が生じ、低い容量しか得ることができなかった。さらに、比較例1では、充放電を繰り返すと、さらに電気的な孤立が生じるため数サイクルで、大きく容量が低下した。なお、比較例1では、充放電の繰り返しによる放電容量の低下が著しく、表1には、5サイクル後の放電容量維持率を示した。
【実施例】
【0120】
これに対し、多孔性炭素材料の空隙及び細孔中に金属材料を充填した金属炭素複合材料粒子を負極活物質に用いた各実施例では、初期容量、サイクル特性は比較例と比べて大きく向上している。これは、多孔質炭素材料を構成する炭素が、金属材料との広い接触面積を持つことで、活物質粒子内部まで導電経路を確保でき、かつ、金属材料自身は細孔径10nm以下の多孔性炭素材料の空隙及び細孔中にナノレベルのサイズの状態で閉じ込められているため、滑落や割れの影響を受けにくいためであると考えられる。
【実施例】
【0121】
また、金属炭素複合材料中の多孔性炭素材の割合(重量比)は、0.01以上であれば、十分効果があることが分かった。
【実施例】
【0122】
さらに、金属炭素複合材料粒子の製造工程が各実施例で異なっているが、いずれの実施例においても上記したように初期容量、サイクル特性は比較例と比べて大きく向上している。すなわち、製造工程にかかわらずに、多孔性炭素材料の空隙及び細孔中に金属材料を充填した金属炭素複合材料粒子は優れた効果を発揮できた。
【実施例】
【0123】
このように、多孔性炭素材料の空隙及び細孔中にリチウムを吸蔵放出する金属材料を充填した金属炭素複合材料粒子を負極活物質に用いることで、サイクル特性に優れた負極を得ることができることが分かった。
図面
【図5】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4