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明細書 :無機微粒子の作製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4122440号 (P4122440)
公開番号 特開2005-305320 (P2005-305320A)
登録日 平成20年5月16日(2008.5.16)
発行日 平成20年7月23日(2008.7.23)
公開日 平成17年11月4日(2005.11.4)
発明の名称または考案の名称 無機微粒子の作製方法
国際特許分類 B01J  19/00        (2006.01)
C01G  15/00        (2006.01)
FI B01J 19/00 N
C01G 15/00 D
請求項の数または発明の数 17
全頁数 9
出願番号 特願2004-126544 (P2004-126544)
出願日 平成16年4月22日(2004.4.22)
審査請求日 平成16年4月22日(2004.4.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】奥山 喜久夫
【氏名】ウレット レンゴロ
【氏名】ミクラジュディン アブドラ
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100107227、【弁理士】、【氏名又は名称】藤谷 史朗
【識別番号】100134005、【弁理士】、【氏名又は名称】澤田 達也
【識別番号】100119530、【弁理士】、【氏名又は名称】冨田 和幸
審査官 【審査官】中澤 登
参考文献・文献 特開平07-092738(JP,A)
特開2004-026963(JP,A)
特開平09-272815(JP,A)
調査した分野 B01J 19/00-19/06
C01G 15/00
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の溶媒中に、無機微粒子を構成する原料を溶解させて原料溶液を形成する工程と、
前記原料溶液中に高分子材料を添加溶解して、ポリマー含有原料溶液を形成する工程と、
前記ポリマー含有原料溶液中に、無機フラックス塩を含有させる工程と、
前記ポリマー含有原料溶液を所定温度に加熱して、前記ポリマー含有原料溶液中の高分子材料を分解除去することにより前記無機微粒子を生成する工程と、
を具えることを特徴とする、無機微粒子の作製方法。
【請求項2】
前記高分子材料の分子量が、400~4,000,000であることを特徴とする、請求項1に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項3】
前記高分子材料は、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びデキストラン、プルランから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項2に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項4】
前記ポリマー含有原料溶液の加熱保持時間を調節することによって、前記無機微粒子の粒子径を制御することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項5】
前記ポリマー含有原料溶液の加熱温度を調節することによって、前記無機微粒子の粒子径を制御することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項6】
前記ポリマー含有原料溶液の加熱温度が1000℃以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項7】
前記無機微粒子の大きさがnmオーダから数十nmオーダであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項8】
前記無機フラックス塩は、BaF2、LiNO3、NaCl、KCl、KFまたはそれらの混合フラックスから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項9】
前記無機微粒子の作製後において、前記無機微粒子に付着した前記無機フラックス塩を洗浄する工程を具えることを特徴とする、請求項8に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項10】
前記無機フラックス塩の洗浄は、前記無機微粒子を所定の溶媒中に浸漬させ、超音波洗浄を行う工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項11】
前記無機フラックス塩の洗浄は、前記無機微粒子に対して遠心分離を行う工程を含むことを特徴とする、請求項10に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項12】
前記無機微粒子の大きさがサブミクロンオーダであることを特徴とする、請求項8~11のずれか一に記載の微粒子の作製方法。
【請求項13】
前記ポリマー含有原料溶液に対して予備加熱を施し、前記原料溶液を構成する前記溶媒を除去する工程を具えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項14】
前記ポリマー含有原料溶液のpHを調節して、前記無機微粒子の結晶構造を制御する工程を具えることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項15】
前記無機微粒子は、(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一に記載の無機微粒子の作製方法。
【請求項16】
前記ポリマー含有原料溶液を酸性にすることを特徴とする、請求項14に記載の微粒子の作製方法。
【請求項17】
前記(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子は、アルミナイットリアガーネット(YAG)相を含むことを特徴とする、請求項15に記載の微粒子の作製方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、nmオーダの微粒子に関する研究が盛んに行われている。一方で、サブミクロンオーダあるいは数十nmオーダの微粒子についても、その応用的な見地から極めて重要である。例えば、画像表示装置における画素を前述のようなオーダの微粒子から構成することによって、前記画像表示装置の画質を著しく向上させることができる。しかしながら、現状においては、前述したような微粒子を短時間で簡易に作製する方法が開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、サブミクロンオーダからnmオーダの微粒子を短時間で簡易に作製する新たな方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成すべく、本発明は、
所定の溶媒中に、無機微粒子を構成する原料を溶解させて原料溶液を形成する工程と、
前記原料溶液中に高分子材料を添加溶解して、ポリマー含有原料溶液を形成する工程と、
前記ポリマー含有原料溶液中に、無機フラックス塩を含有させる工程と、
前記ポリマー含有原料溶液を所定温度に加熱して、前記ポリマー含有原料溶液中の高分子材料を分解除去することにより前記無機微粒子を生成する工程と、
を具えることを特徴とする、無機微粒子の作製方法に関する。
【0005】
従来、サブミクロンオーダあるいはnmオーダの微粒子を液相反応法によって合成(作製)する試みがなされている。前記液相反応法によれば、前記微粒子を構成する構成元素からなるプリカーサを水中などに溶解させ、酸化還元反応を通じて前記微粒子を合成(作製)する。しかしながら、このような従来の方法では、合成直後に生じる前記微粒子の凝集によって、前記微粒子の大きさを均一に揃えることができないでいた。
【0006】
一方、前記微粒子の凝集を抑制すべく、上述した反応系に分散剤などを添加することが試みられているが、前記微粒子を合成(作製)した後において、前記分散剤を前記微粒子から除去することが困難になり、前記微粒子を用いて画像表示装置などのデバイスを作製した際に、前記デバイスの特性を劣化させてしまうなどの問題も生じていた。
【0007】
かかる問題に鑑み、本発明者らは、前記液相反応法において、微粒子を構成する原料を含む原料溶液中に高分子材料を含有させてポリマー含有原料溶液を作製し、このポリマー含有原料溶液を所定温度に加熱することによって、前記ポリマー含有原料溶液から前記微粒子を合成することを想到した。
【0008】
図1は、本発明の微粒子の作製方法における、前記微粒子の合成過程を示す概念図である。図1(a)に示すように、ポリマー含有原料溶液中には、そこに含まれる高分子材料による高分子ネットワークが形成される。次いで、前記ポリマー含有原料溶液に対して加熱処理が施されると、図1(b)に示すように、前記高分子ネットワーク中に目的とする微粒子の核が生成され、次いで、図1(c)に示すように、前記核を中心として前記微粒子の成長が進行するとともに、前記高分子材料が熱分解し、図1(d)に示すような目的とする前記微粒子が得られる。
【0009】
このように、本発明によれば、前記微粒子は、前記ポリマー含有原料溶液中の、前記高分子材料中で前記原料から合成されて作製されるようになるので、その凝集が前記高分子材料の、前記ポリマー含有原料溶液中での含有量及び分子量に依存して抑制されるようになる。また、前記微粒子の合成に際して、前記高分子材料が熱媒体として機能するようになるため、前記微粒子は比較的低温の加熱処理によって合成されるようになるとともに、前記微粒子生成場の温度及び濃度が均一となるため、前記微粒子は均一の大きさで成長するようになる。その結果、前記微粒子の大きさは均一に揃えられるとともに、前記高分子材料が熱媒体として機能することに起因して、前記微粒子を比較的低温度で簡易に合成(作製)することができるようになる。
【0010】
なお、前記微粒子の大きさは、前記加熱処理における加熱保持時間及び/又は加熱温度を調整することによって制御できる。具体的には、前記加熱保持時間が増大するにつれて、あるいは前記加熱温度が増大するにつれて、前記微粒子の粒子径も増大する。一方、前記加熱保持時間が減少するにつれて、あるいは前記加熱温度が減少するにつれて、前記微粒子の粒子径も減少する。しかしながら、前記加熱保持時間及び前記加熱温度が著しく減少すると、前記微粒子の合成(作製)自体が困難となるため、前記微粒子の粒子径を小さくする場合においては、前記微粒子の合成が可能な加熱保持時間及び加熱温度の範囲内で適宜に設定する。
【0011】
また、本発明においては、前記ポリマー含有原料溶液中にフラックス塩を含有させることができる。上述したポリマー含有原料溶液の加熱処理のみでは、nmオーダあるいは数十nmオーダの微粒子は比較的簡易に作製することができるが、前記加熱処理における加熱保持時間や加熱温度を制御しても、サブミクロンオーダの微粒子を作製することは困難である。しかしながら、前記ポリマー含有原料溶液中にフラックス塩を含有させることによって、上述した加熱処理によって、サブミクロンオーダの微粒子を簡易に作製できるようになる。
【0012】
なお、前記フラックス塩は、生成した前記微粒子上に付着するようになるので、必要に応じて前記微粒子を洗浄して、前記微粒子を除去する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、サブミクロンオーダからnmオーダの微粒子を短時間で簡易に作製する新たな方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の詳細、並びにその他の特徴及び利点について、最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
本発明の微粒子の作製方法においては、最初に、目的とする微粒子を構成する原料を所定の溶媒中に溶解させて原料溶液を形成する。前記溶媒の種類は特に限定されず、純水、硝酸などの酸や有機溶剤など任意のものを用いることができる。
【0016】
また、前記原料の量は、生成すべき前記微粒子の量に応じて適宜に調節する。しかしながら、多量の原料を用いると、前記溶媒中に溶解しなくなるばかりでなく、本発明の高分子材料を用いた合成の効果が十分に発揮されなくなり、合成の過程において微粒子が凝集し、前記微粒子の大きさを均一に揃えることが困難となる場合がある。
【0017】
次いで、前記原料溶液に所定の高分子材料を溶解させて、ポリマー含有原料溶液を形成する。前記高分子材料は、前記ポリマー含有原料溶液を構成することによって、合成過程において前記微粒子の凝集を抑制し、熱媒体として機能することにより、以下に詳述する加熱処理における加熱温度及び加熱保持時間を減少させることができれば、特に限定されるものではない。
【0018】
しかしながら、好ましくは分子量が400~4,000,000である高分子材料を用いることが好ましい。この場合、前記高分子材料は、前記ポリマー含有原料溶液中で最適な高分子ネットワークを形成し、合成過程における微粒子の凝集を効果的に抑制できるとともに、良好な熱媒体として機能し、前記微粒子の合成(作製)における加熱温度及び加熱保持時間を十分に低減できるようになる。また、以下に詳述する加熱処理においてほぼ完全に分解し、前記微粒子の表面に付着して残留することがないので、かかる付着高分子の除去作業などの余分な工程を必要としなくなる。
【0019】
なお、上記高分子材料として、入手の容易さなどから、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポロビニルピロリドン及びデキストラン、プルランを例示することができる。これらの高分子材料は単独で用いることもできるが、複数を組み合わせて用いることもできる。
【0020】
次いで、前記ポリマー含有原料溶液を所定温度に加熱する。この加熱処理における加熱温度は、図1(b)及び図1(c)に示すように、前記ポリマー含有原料溶液から核生成が生じ、この核を中心として微粒子が成長するとともに、前記ポリマー含有原料溶液を構成する前記高分子材料(高分子ネットワーク)が熱分解するような温度に設定する。しかしながら、本発明では、前記高分子材料(高分子ネットワーク)自体が熱媒体として機能するので、前記加熱温度は従来の微粒子作製方法における加熱温度に比較して十分に低減させることができる。
【0021】
例えば、以下の実施例で詳述する(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子などを作製するに際しては、従来の方法では1650℃程度の加熱温度を必要としたが、本発明の方法では1000℃以下の加熱温度においても前記微粒子を十分に作製(合成)することができる。
【0022】
なお、目的とする微粒子の大きさは、前記加熱処理における加熱保持時間及び/又は加熱温度を調整することによって制御できる。具体的には、前記加熱保持時間を増大させることによって、あるいは前記加熱温度を増大させることによって、前記微粒子の粒子径を増大させることができる。一方、前記加熱保持時間を減少させることによって、あるいは前記加熱温度を減少させることによって、前記微粒子の粒子径を減少させることができる。
【0023】
なお、前記加熱保持時間及び前記加熱温度が著しく減少すると、前記微粒子の合成(作製)自体が困難となるため、前記微粒子の粒子径を小さくする場合においては、前記微粒子の合成が可能な加熱保持時間及び加熱温度の範囲内で適宜に設定する。
【0024】
以上のような工程を経ることにより、nmオーダから数十nmオーダの微粒子を簡易に形成することができる。
【0025】
また、本発明においては、前記ポリマー含有原料溶液中にフラックス塩を含有させることができる。上述したように、ポリマー含有原料溶液の加熱処理のみでは、nmオーダあるいは数十nmオーダの微粒子は比較的簡易に作製することができるが、前記加熱処理における加熱保持時間や加熱温度を制御しても、サブミクロンオーダの微粒子を作製することは困難である。しかしながら、前記ポリマー含有原料溶液中にフラックス塩を含有させることによって、上述した加熱処理によって、サブミクロンオーダの微粒子を簡易に作製できるようになる。
【0026】
前記フラックス塩としては、BaF2、LiNO3、NaCl、KCl、KFまたはそれらの混合フラックスを好ましく用いることができるが、上述した作用効果を奏するものであれば、これらに限定されるものではない。但し、例示したフラックス塩は入手が容易であって廉価であり、上述した作用効果を顕著に奏する。なお、例示したフラックス塩は単独で用いることもできるし、複数を組み合わせて用いることもできる。
【0027】
なお、前記フラックス塩は、生成した前記微粒子上に付着するようになるので、必要に応じて前記微粒子を洗浄し、前記フラックス塩を除去する。前記微粒子の洗浄は、前記微粒子を、純水や硝酸などの酸、あるいはアルコールなどの有機溶媒などに浸漬させ、超音波を付加することによって実施することができる。また、前記超音波洗浄とは別にあるいはこれと付随させて、前記微粒子を遠心分離器に設置して、遠心分離を行うことによって実施することができる。これらの操作は複数回行うことができる。
【0028】
以上のように、ポリマー含有原料溶液の加熱処理に加えてフラックス塩を用いることにより、サブミクロンオーダのnmオーダから数十nmオーダの微粒子を簡易に形成することができる。また、この場合、例えば、以下の実施例で詳述する(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子などを作製するに際しては、前記微粒子の内部に、発光に寄与するアルミナイットリアガーネット(YAG)相を形成することができるようになる。
【0029】
なお、本発明においては、上述した加熱処理に先立って、前記ポリマー含有原料溶液に予備加熱処理を施し、前記ポリマー含有原料溶液中の溶媒を除去するようにすることができる。この場合、前記加熱処理はポリマー溶媒中で行われることになり、上述した高分子材料(高分子ネットワーク)による微粒子の凝集抑制効果がより増大するとともに、前記高分子材料の熱媒体としての作用効果がより助長されることになる。したがって、目的とする微粒子をより均一な大きさに、低温度で短時間に合成(作製)できるようになる。
【0030】
また、本発明においては、前記ポリマー含有原料溶液中のpHを調節することによって、目的とする微粒子の結晶構造を制御することができる。例えば、以下に詳述するように、(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子などを作製するに際しては、前記ポリマー含有原料溶液を酸性にすることによって、前記微粒子の内部に、前記フラックス塩の有無によらず、YAG相を形成することができるようになる。特に、前記フラックス塩を併用すれば、前記微粒子をほぼYAG相のみから構成することができる。
【実施例】
【0031】
参考例1)
最初に、硝酸イットリウム、硝酸ガドリニウム、硝酸アルミニウム、硝酸ガリウム、及び硝酸セリウムを超純水に溶解して、原料溶液を形成した。なお、原料溶液濃度は0.3Mとした。また、前記硝酸セリウムは、最終的に得る微粒子中のセリウム濃度が1.0at%となるように調製した。次いで、前記原料溶液に対して、ポリエチレングリコール(分子量20000)を添加し、ポリマー含有原料溶液を作製した。なお、前記ポリマー含有原料溶液中のポリマー濃度は0.02Mとした。
【0032】
次いで、前記ポリマー含有原料溶液をるつぼ(ニツカトー社製SSA-H Bl型30ml)内に入れると共に、前記るつぼをマッフル加熱炉(光洋リンドバーグ)内に入れて、前記ポリマー含有原料溶液に対して加熱処理を施した。なお、加熱温度は1000℃とし、加熱保持時間は5分とした。その結果、粒子径約20nmの(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子を得ることができた。図2に、前記微粒子のSEM写真を示す。
【0033】
(実施例2)
図1に示すポリマー含有原料溶液中にBaFフラックス塩を0.06Mの濃度で含有させた以外は、参考例1と同様にして加熱処理を行い、(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子の合成(作製)を実施した。前記微粒子の粒子径は約0.2μmであり、サブミクロンオーダを有することが判明した。図3に、前記微粒子のSEM写真を示す。なお、粉末X線回折装置(XRD, Rigaku, RINT 2000)による解析の結果、前記微粒子中には、YAG相が形成されていることが確認された。
【0034】
(実施例3)
硝酸イットリウム、硝酸ガドリニウム、硝酸アルミニウム、硝酸ガリウム、及び硝酸セリウムを1N-HNO350mol%の酸性溶液に溶解して、原料溶液を形成した。なお、原料溶液濃度は1.0Mとした。また、前記硝酸セリウムは、最終的に得る微粒子中のセリウム濃度が1.0at%となるように調製した。次いで、前記原料溶液に対して、ポリエチレングリコール(分子量20000)を含有させて、ポリマー含有原料溶液を作製し、次いで、前記ポリマー含有原料溶液中に、BaFフラックス塩を0.04Mの濃度で含有させた。
【0035】
次いで、参考例1と同様にして加熱処理を行い、(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子の合成(作製)を実施した。前記微粒子の粒子径は約0.15μmであった。なお、前記粉末X線回折装置による解析の結果、前記微粒子はYAG相のみから形成されていることが確認された。
【0036】
(比較例)
参考例1に示す原料溶液に対して参考例1と同様にして加熱処理を行い、(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子の合成(作製)を実施した。前記微粒子の粒子径は数μmに達し、粒子径が不均一であるとともに、肥大した片状粒子であることが確認された。図4に、前記微粒子のSEM写真を示す。
【0037】
以上参考例1、実施例2及び比較例より、本発明の方法により、数十nmオーダあるいはサブミクロンオーダの(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子を作製できることが分かる。また、実施例3より、ポリマー含有原料溶液を酸性溶液から構成し、そのpHを酸性側に傾斜させることによって、前記(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子の結晶構造を制御できる(総てをYAG相とする)ことが判明した。


【0038】
以上、具体例を挙げながら発明の実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0039】
例えば、上記具体例においては、(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子を作製する場合について述べたが、それ以外の微粒子、例えばBaMgAl10O17:Eu、ZrO2、Y2O3:Eu及びGaNについても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の微粒子の作製方法における、前記微粒子の合成過程を示す概念図である。
【図2】本発明の方法によって得た(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子のSEM写真である。
【図3】同じく、本発明の方法によって得た(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子のSEM写真である。
【図4】本発明の方法と異なる方法で得た本発明の方法によって得た(Y,Ga)3Al5O12:Ce微粒子のSEM写真である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3