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明細書 :異常組織検出装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5224454号 (P5224454)
公開番号 特開2010-069158 (P2010-069158A)
登録日 平成25年3月22日(2013.3.22)
発行日 平成25年7月3日(2013.7.3)
公開日 平成22年4月2日(2010.4.2)
発明の名称または考案の名称 異常組織検出装置
国際特許分類 A61B   5/05        (2006.01)
A61B  10/00        (2006.01)
G01N  22/00        (2006.01)
FI A61B 5/05 Z
A61B 10/00 T
G01N 22/00 S
G01N 22/00 U
G01N 22/00 F
請求項の数または発明の数 4
全頁数 16
出願番号 特願2008-241834 (P2008-241834)
出願日 平成20年9月19日(2008.9.19)
審査請求日 平成23年8月5日(2011.8.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】吉川 公麿
【氏名】佐々木 信雄
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100138955、【弁理士】、【氏名又は名称】末次 渉
【識別番号】100151873、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴 寛
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
審査官 【審査官】谷垣 圭二
参考文献・文献 特開2007-061359(JP,A)
特表2008-512175(JP,A)
特表2008-530546(JP,A)
久保田慎一 等,Si上のUWBアンテナアレイによる乳癌検知のための共焦点画像処理,応用物理学会学術講演会講演予稿集,2008年 9月 2日,Vol.69th,No.2,758
調査した分野 A61B 5/05
A61B 10/00
G01N 22/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
生体に対して複数のアンテナから順次マイクロ波を放射する放射手段と、
放射したマイクロ波の反射波を複数のアンテナで受信する受信手段と、
受信したマイクロ波に基づいて、生体中の異常組織の有無を判別するための信号処理を行う信号処理手段と、を備え、
前記放射手段は、
マイクロ波領域の周波数成分を含むパルス波を生成する手段と、
同じパルス波を繰り返し放射する手段と、を備え、
前記信号処理手段は、
前記放射手段で繰り返し放射され前記受信手段で受信したパルス波をサンプリングタイミングをずらしながら1つのパルス波につき1回ずつサンプリングして記憶するサンプリング手段と、
前記サンプリング手段でサンプリングして取得した波形データに基づいて、マイクロ波の放射からマイクロ波の受信までの時間を求める手段と、
前記複数のアンテナに関して求めた時間から、異常組織の位置を求める手段と、を備える、
とを特徴とする異常組織検出装置。
【請求項2】
基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成手段をさらに備え、
前記放射手段は、前記基準クロック信号生成手段からの基準クロック信号に応答して、マイクロ波を放射し、
前記サンプリング手段は、
前記基準クロック信号の整数倍の発振周波数を有し、かつ、基準クロック信号に同期する信号を生成する位相同期回路と、
前記位相同期回路の出力に基づいて、前記基準クロック信号の生成から所定時間経過後にタイミングパルスを生成するタイミングパルス生成手段と、
前記タイミングパルス生成手段で生成したタイミングパルスに応答して、前記受信手段で受信した受信信号をサンプリングする手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項に記載の異常組織検出装置。
【請求項3】
前記サンプリング手段は、
1つの基準クロック信号に1つのタイミングパルスを生成し、
m個の基準クロック信号に対して同一のタイミングパルスを生成して、サンプリングを行う、
ことを特徴とする請求項又はに記載の異常組織検出装置。
【請求項4】
前記位相同期回路は、
リング状に結合されたインバータから構成されるn段のリング発振器と、
前記リング発振器の発振信号を1/n分周し、1/n分周した信号と基準クロック信号とが同期するように、リング発振器の発振周波数を制御する手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項に記載の異常組織検出装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体にマイクロ波を放射して癌等の異常組織を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
癌の診断は、例えば、X線や核磁気共鳴装置(MRI(magnetic resonance imaging))により対象部位の画像を撮像し、撮像した画像を分析することによりなされている(例えば、特許文献1)。
【0003】

【特許文献1】特表2007-071873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、X線は、生体に悪影響を与えるという欠点がある。また、X線装置、MRI装置は、いずれも、装置が大型化するという問題がある。さらに、専門機関での受診が必須となるという問題がある
【0005】
同様の問題は、癌に限らず、生体内の腫瘍等の異常組織を検出する場合に同様に存在する。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、生体に無害で、小型な構成により癌組織などの異常組織を検出することが可能な装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、簡易な構成で簡単に異常組織を検出することが可能な装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の異常組織検出装置は、
生体に対して複数のアンテナから順次マイクロ波を放射する放射手段と、
放射したマイクロ波の反射波を複数のアンテナで受信する受信手段と、
受信したマイクロ波に基づいて、生体中の異常組織の有無を判別するための信号処理を行う信号処理手段と、を備え、
前記放射手段は、
マイクロ波領域の周波数成分を含むパルス波を生成する手段と、
同じパルス波を繰り返し放射する手段と、を備え、
前記信号処理手段は、
前記放射手段で繰り返し放射され前記受信手段で受信したパルス波をサンプリングタイミングをずらしながら1つのパルス波につき1回ずつサンプリングして記憶するサンプリング手段と、
前記サンプリング手段でサンプリングして取得した波形データに基づいて、マイクロ波の放射からマイクロ波の受信までの時間を求める手段と、
前記複数のアンテナに関して求めた時間から、異常組織の位置を求める手段と、を備える、
とを特徴とする。
【0010】
例えば、基準クロック信号を生成する基準クロック信号生成手段をさらに備え、前記放射手段は、前記基準クロック信号生成手段からの基準クロック信号に応答して、マイクロ波を放射し、前記サンプリング手段は、前記基準クロック信号の整数倍の発振周波数を有し、かつ、基準クロック信号に同期する信号を生成する位相同期回路と、前記位相同期回路の出力に基づいて、前記基準クロック信号の生成から所定時間経過後にタイミングパルスを生成するタイミングパルス生成手段と、前記タイミングパルス生成手段で生成したタイミングパルスに応答して、前記受信手段で受信した受信信号をサンプリングする手段と、を備えてもよい。
【0011】
例えば、前記サンプリング手段は、1つの基準クロック信号に1つのタイミングパルスを生成し、m個の基準クロック信号に対して同一のタイミングパルスを生成して、サンプリングを行う。
【0012】
例えば、前記位相同期回路は、リング状に結合されたインバータから構成されるn段のリング発振器と、前記リング発振器の発振信号を1/n分周し、1/n分周した信号と基準クロック信号とが同期するように、リング発振器の発振周波数を制御する手段と、を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態に係る異常組織検出装置及び検出方法を、乳癌を検出する装置を例に、図面を参照しながら説明する。
【0015】
まず、本実施の形態において、癌組織を検出する手法について図1を参照して説明する。
【0016】
まず、図1に模式的に示すように、生体表面に複数のアンテナA~Aを一定間隔で配置する。
【0017】
続いて、アンテナAからマイクロ波を放射する。放射されたマイクロ波の一部は、生体内に伝播する。一般に、癌組織CAは、通常の生体組織に比して、5~10倍程度の高い誘電率を有することが知られており、癌組織CAが存在する場合には、誘電率の異なる領域の界面、即ち、癌組織CAの表面で、マイクロ波が反射され、アンテナA~Aで受信される。
【0018】
ここで、マイクロ波を放射してからアンテナAが反射波を受信するまでの時間をT12[s]とすると、T12・c(c:生体中の光の速度)が、マイクロ波の行程距離となる。
【0019】
従って、癌組織CAは、アンテナAとAを焦点とし、アンテナAとAからの距離の和がT12・cとなる楕円E12上に位置することになる。
【0020】
アンテナA~Aが受信したマイクロ波についても同様の処理を行い、複数の楕円E12~E14の交点を求めることにより、癌組織CAの位置を求めることができる。
【0021】
さらに、送信用のアンテナをAに切り替えて、アンテナAからマイクロ波を放射し、これをアンテナA,A、Aで受信して、同様の処理を行い、以後、送信アンテナをA、Aに順次切り替えながら、マイクロ波を放射し、他のアンテナで反射波を受信し、同様の処理を行うことにより、癌組織CAの位置をより正確に特定することが可能となる。
【0022】
なお、上述の例では、理解を容易にするため、二次元で説明したが、実際は、三次元で上述の処理を行うことになる。
【0023】
次に、このような手法を用いて、癌組織の有無及び位置を判別する癌検出装置10について、説明する。
【0024】
癌検出装置10は、図2に示すように、本体11と、表示装置12とから構成され、例えば、縦10~20cm、横5~15cm、厚さ2~4cm程度の携帯型に構成されている。
【0025】
本体11には、図3に示すように、アンテナアレー13と、信号処理回路14とが積層配置されている。
【0026】
アンテナアレー13は、図4に模式的に示すように、マトリクス状に配置されたアンテナA~Aのアレーから構成されている。
【0027】
信号処理回路14は、図5に示すように、基準クロック信号生成回路21と、UWB送信機22と、送信アンテナセレクタ23と、受信アンテナセレクタ24と、低雑音増幅器(LNA)25と、A/Dコンバータ26と、制御部27と、メモリ28とから構成されている。
【0028】
基準クロック信号生成回路21は、図8(a)に示すような、所定周期(本実施形態では、125MHz)のクロック信号CLKを生成する。
【0029】
UWB(Ultra Wide Band)送信機22は、マイクロ波帯(例えば、中心周波数5GHz)において、広帯域信号であるUWBパルス波形を形成し、これを送信する回路であり、図6に示すように、三角波生成回路31と、微分回路32と、増幅器33とから構成される。
【0030】
三角波生成回路31は、図7に示すように、アンドゲート41、42、43と、インバータ44、45、46と、排他的論理和ゲート(EXORゲート)47と、から構成される。
【0031】
アンドゲート41と42の一方の入力端子には、イネーブル信号ENが供給される。
一方、アンドゲート41の他方の入力端子には、基準クロック信号生成回路21からの基準クロック信号CLKが供給される。アンドゲート42の他方の入力端子には、基準クロック信号CLKの反転信号CLK ̄(バー)が、インバータ44を介して供給される。アンドゲート41の出力は、EXORゲート47の一方の入力端とアンドゲート43の一方の入力端に供給される。アンドゲート42の出力は、インバータ45,46を介して、一定時間遅延して、EXORゲート47の他方の入力端子に供給される。
【0032】
このような構成において、アクティブレベルのイネーブル信号ENが供給されると、アンドゲート41、42が開く。これにより、図8(a)に示すように、基準クロック信号CLKがクロック信号ClockとしてEXORゲート47の一方の入力端子に供給される。また、図8(b)に示すように、反転クロック信号CLK ̄の遅延信号Clock_dがEXORゲート47の他方の入力端子に供給される。
【0033】
EXORゲート47は、入力信号のEXORを取り、図8(c)に示すように、2つのパルスの列を含むパルス信号EXを出力する。このパルス信号EXに含まれるパルスは、EXORゲート47の立ち上がり特性及び立ち下がり特性のため、波形が三角形状となる。
【0034】
アンドゲート43は、EXORゲート47が生成したパルス信号とクロック信号Clockとの論理積を取り、2つのパルスの後半のパルスをカットして、図8(d)に示す三角波信号TRを生成し、微分回路32に出力する。
【0035】
図6に示す微分回路32は、三角波生成回路31から供給された三角波信号TRを微分することにより、図9に例示するように、広帯域のマイクロ波成分(例えば、中心周波数5GHz)を含み、一階微分されたガウス分布に相当する波形を有するパルス波を生成する。
増幅器33は、生成されたパルス波を、増幅して出力する。
【0036】
図5に示す送信アンテナセレクタ23は、制御部27によって制御され、アンテナアレー13を構成するアンテナA~Aのうち送信に使用するいずれかのアンテナAを選択し、増幅器33からのパルス波を供給する。選択されたアンテナAは、供給されたパルス波を放射する。
【0037】
基準クロック信号生成回路21で基準クロック信号CLKが生成される度に、パルス波が生成されるため、アンテナAは、図10に示すように、周期的にパルス波を放射する。
【0038】
受信アンテナセレクタ24は、制御部27によって制御され、アンテナアレー13を構成するアンテナA~Aのいずれかのうち受信に使用するアンテナA(j≠i)を選択し、その受信信号をLNA25に供給する。
LNA25は、受信アンテナセレクタ24を介して供給されたアンテナAの受信信号を低ノイズで増幅する。
【0039】
A/Dコンバータ26は、LNA25の出力をサンプリングし、A/D変換する。
制御部27は、プロセッサ等から構成され、信号処理回路14の動作を制御する。また、制御部27は、A/Dコンバータ26の出力を、メモリ28に格納する。また、制御部27は、メモリ28に格納されたデータを処理して、癌組織の有無、存在する場合には、その位置を特定し、表示装置12に表示する。
なお、表示装置12をタッチパネルで構成し、制御部27に任意の指示やデータを入力できるようにしてもよい。また、別途、入力部を配置してもよい。外部接続端子を配置する等してもよい。
【0040】
上述の構成において、送信パルスの繰り返し周期は125MHzであり、1周期は8nsである。
中心周波数5GHzのパルスは200psのパルス幅を有する。この間に、複数のサンプルタイミングを設定して、入力信号を実時間でA/D変換することは、困難である。
そこで、本実施形態においては、図11,12に示すようなA/Dコンバータ26を構成し、1パルス波について1回のサンプリングを行い、パルス波を繰り返して出力し、サンプリングタイミングを相対的に移動することにより、複数点のサンプリングを可能とする。
【0041】
A/Dコンバータ26は、図11に示すタイミング生成回路41と、図12に示す変換回路42とから構成される。
【0042】
タイミング生成回路41は、図11に示すように、バッファ回路101と、位相周波数比較器(PFD)102と、インバータ103と、チャージポンプ(CP)104と、ローパスフィルタ(LPF)105と、リング発振器106と、8入力1出力のマルチプレクサ107と、2入力1出力のマルチプレクサ108と、分周回路109~114から構成される。
【0043】
バッファ回路101には、基準クロック信号生成回路21より基準クロック信号CLKが供給される。バッファ回路101は、供給された基準クロック信号CLKをユニティ・ゲインで増幅して出力する。
【0044】
PFD102は、リング発振器106の発振信号を1/16分周した信号とバッファ回路101を介して供給される基準クロック信号CLKとの位相を比較し、比較結果を示す信号を出力する。例えば、PFD102は、バッファ回路101から供給される受信信号の方が位相が進んでいれば、QA端子に”1”を出力し、遅れていれば、QB端子に”1”を出力する。
【0045】
インバータ103は、PFD102のQA出力を反転してQA ̄(バー)を出力する。
【0046】
チャージポンプ(CP)104は、QAが”1”ならば、電流ソースとしてローパスフィルタ105を充電し、QBが”1”ならば、電流シンクとして、ローパスフィルタ105を放電する。
【0047】
ローパスフィルタ105は、充電された電荷にほぼ比例する電位を発生する。この電位は、制御電圧としてリング発振器106に入力される。
【0048】
リング発振器106は、リング状に接続された8段のインバータI1~I8から構成された実効的に16段のリング発振器であり、2GHzで発振動作を行う。各インバータI1~I8のQ出力とQ ̄出力との対I1Q,I1Q ̄~I8Q,I8Q ̄とは、図13に示すようになる。
【0049】
マルチプレクサ107は、分周回路110~112の出力に基づいて、リング発振器106を構成する8つのインバータI1~I8の1対の出力信号を選択して出力する。
【0050】
マルチプレクサ108は、分周回路113の出力に基づいて、マルチプレクサ107が出力する一対の出力信号をフリップする、しないを選択する。
【0051】
分周回路109は、リング発振器106の一対の発振信号をそれぞれ1/16分周して分周回路110に出力する。また、分周回路109のQ出力は、PFD102に供給される。
【0052】
分周回路110は、分周回路109の一対の出力信号をそれぞれ1/64分周して分周回路111とマルチプレクサ107に出力する。
分周回路111は、分周回路110の一対の出力信号をそれぞれ1/2分周して分周回路112とマルチプレクサ107に出力する。
分周回路112は、分周回路111の一対の出力信号をそれぞれ1/2分周して分周回路113とマルチプレクサ107に出力する。
分周回路113は、分周回路112の一対の出力信号をそれぞれ1/2分周して、マルチプレクサ108に供給する。
【0053】
分周回路114は、マルチプレクサ108の一対の出力信号を1/16分周して、変換回路42に供給する。
【0054】
この構成によれば、基準クロック信号生成回路21からの125MHzの基準クロック信号CLKと、リング発振器106の1/16分周された信号とが、PFD102で比較されており、リング発振器106のインバータI1のQ出力は、基準クロック信号CLKに同期すると共に基準クロック信号CLKの16倍の周波数、すなわち、2GHzで発振する。
【0055】
マルチプレクサ107と108は、分周回路110~113の出力に従って、図13に示すインバータI1のQ、Q ̄出力を32回、I8のQ ̄、Q出力を32回、I7のQ、Q ̄出力を32回、...、I2のQ ̄、Q出力を32回、I1のQ ̄、Q出力を32回、I8のQ、Q ̄出力を32回、...というように、リング発振器106の単位時間ずつ遅れた信号を選択していく。
【0056】
分周回路114は、マルチプレクサ108の出力信号を1/16分周する。この信号は、基準クロック信号CLKの出力に同期した信号、基準クロック信号CLKから単位時間遅れた信号、2単位時間遅れた信号、...15単位時間遅れた信号となる。
【0057】
一方、変換回路42は、図12に示すように、分圧回路121と、比較器群122と、エンコーダ123と、平均化回路124とから構成される。
【0058】
分圧回路121は、直列接続された64個の抵抗素子から構成され、基準電圧+Vrefと-Vrefとの間を、64段階に分圧する。
比較器群122を構成する各比較器は、分圧回路121により分圧された電圧の1つと、入力電圧Vinとを受け、クロックφに応答して、両電圧を比較し、φ ̄(バー)に応答して、比較結果を出力する。
【0059】
エンコーダ123は、比較器群122の出力をエンコードする。
平均化回路124は、複数の測定値を平均化して出力する。
【0060】
次に、上記構成の癌検出装置10の動作を説明する。
基準クロック信号生成回路21は、125MHzの基準クロック信号CLKとその反転信号CLK ̄を、図8(a)に示すように出力する。
【0061】
UWB送信機22内の三角波生成回路31は、基準クロック信号CLKを処理し、図8(d)に示すように、繰り返し周期が125MHzの三角波信号TRを出力する。
【0062】
微分回路32は、三角波信号TRを微分し、図10に示すような、一階微分されたガウス波形を有するパルス信号を、125MHzの繰り返し周期で出力する。増幅器33は、供給された信号を増幅して出力する。
【0063】
一方、制御部27は、図14の処理を開始し、まず、送信アンテナセレクタ23と受信アンテナセレクタ24を切り替えて、送信アンテナAとしてアンテナAを選択し、受信アンテナA(i≠j)としてアンテナAを選択する(ステップS11~S13)。
【0064】
選択されたアンテナAは、UWB送信機22からパルス波が供給されると、これを放射する(ステップS14)。
【0065】
放射されたパルスは、図1を参照して説明したように、生体表面を伝播すると共に生体内に伝播し、癌組織が存在する場合には、癌組織との境界面で反射し、アンテナAに到達する。アンテナAはこれらのマイクロ波を受信し、受信アンテナセレクタ24を介してLNA25に供給され、増幅されて、A/Dコンバータ26に供給され、図12に示す変換回路42の入力Vinとなる(ステップS14)。
【0066】
一方、A/Dコンバータ26のタイミング生成回路41には、基準クロック信号生成回路21からの基準クロック信号CLKが供給されており、リング発振器106の発振信号は、基準クロック信号CLKに同期すると共に16倍の周波数(すなわち、2GHz)で発振する状態にロックしている。
【0067】
マルチプレクサ107は、分周回路110~112の出力に従って、当初は、インバータI1の一対の出力を選択する。また、マルチプレクサ108は、分周回路113の出力に従って、インバータI1のQ、Q ̄出力を選択する。
【0068】
インバータI1のQ、Q ̄出力は、基準クロック信号CLKに同期し、かつ、基準クロック信号CLKの16倍の周波数を有する信号である。
【0069】
分周回路114は、これを1/16分周して、タイミング信号φとその反転信号φ ̄を生成し、比較器群122に出力する。タイミング信号φ、φ ̄は、基準クロック信号CLKに同期し、周期が基準クロック信号CLKに等しい信号である。
【0070】
比較器群122は、タイミング信号φ及びφ ̄に応答し、LNA25から供給された受信信号の電圧Vinと分圧回路121から供給される基準電圧とを比較し、入力信号の電圧Vinの方が大きければ”1”を、電圧Vinが基準電圧よりも低ければ”0”をそれぞれ出力する。
【0071】
エンコーダ123は、比較器群122の出力を取り込み、これをエンコードして、平均化回路124に供給する。平均化回路124は、これを記憶する。
こうして、第1の基準クロック信号CLKの出力に応答して、パルス波が放射されると共に基準クロック信号CLKに同期したタイミングで、アンテナAの受信信号のサンプリングが行われる。
【0072】
続いて、31回同様の動作が実行され、送信アンテナAからパルス波が放射される度に、アンテナAの受信信号の電圧Vinが、基準クロック信号CLKに同期したタイミングでサンプルされる(ステップS14)。
【0073】
平均化回路124は、エンコーダ123から順次出力されるエンコーダの出力を取り込むと共に平均化する(ステップS14)。
【0074】
32回のサンプリングが終了すると、制御部27は、平均化回路124の記憶値をt=0時点(基準クロック信号CLKの出力時点)の受信信号のサンプリング値としてメモリ28に格納する(ステップS14)。
【0075】
続いて、マルチプレクサ107は、分周回路110~112の出力に従って、インバータI8の出力対を選択する。さらに、マルチプレクサ108は、分周回路113の出力に従って、インバータI8のQ ̄、Q出力を選択する。
【0076】
図13に示すように、インバータI8のQ ̄出力は、基準クロック信号CLKよりも、1基準時間(すなわち、500ps(2GHz)/8/2=31.25ps)だけ遅延した信号であり、かつ、基準クロック信号CLKの16倍の周波数を有する信号である。
【0077】
分周回路114は、これを1/16分周して出力して、タイミング信号φとその反転信号φ ̄を生成し、比較器群122に出力する。
【0078】
比較器群122は、クロック信号φ及びφ ̄に応答し、LNA25から供給された受信信号の電圧Vinと分圧回路121から供給される基準電圧とを比較し、電圧Vinの方が大きければ”1”を、電圧Vinの方が低ければ”0”をそれぞれ出力する。
【0079】
エンコーダ123は、比較器群122の出力を取り込み、エンコードして、平均化回路124に供給する。
【0080】
続いて、31回同様の動作が実行され、基準クロック信号CLKに応答して送信アンテナAから放射される度に、基準クロック信号CLKから31.25psシフトしたサンプリング点で、受信アンテナAの受信信号の電圧Vinがサンプルされ、エンコードされる。
【0081】
平均化回路124は、順次出力されるエンコーダ123の出力を取り込むと共に平均化する。32回のサンプリングが終了すると、制御部27は、平均化回路124の記憶値をt=31.25ps時点(基準クロック信号CLKの出力から31.25ps経過時点)の受信信号のサンプリング値としてメモリ28に格納する(ステップS14)。
【0082】
以後、マルチプレクサ108と107は、インバータI7のQ、Q ̄出力→インバータI6のQ ̄、Q出力→インバータI5のQ、Q ̄出力→インバータI4のQ ̄、Q出力→インバータI3のQ、Q ̄出力→インバータI2のQ ̄、Q出力→インバータI1のQ ̄、Q出力→インバータI8のQ、Q ̄出力→インバータI7のQ ̄、Q出力→インバータI6のQ、Q ̄出力→インバータI5のQ ̄、Q出力→インバータI4のQ、Q ̄出力→インバータI3のQ ̄、Q出力→インバータI2のQ、Q ̄出力、をそれぞれ32回ずつ選択し、分周回路114は、これらを1/16分周し、比較器群122に出力する。
【0083】
比較器群122、エンコーダ123、平均化回路124は、基準クロック信号CLKの出力からt=62.5ps(31.25×2)経過時点の、アンテナAの受信信号の電圧Vinのサンプリングを32回行ってその平均値を求め、基準クロック信号CLKの出力からt=93.75ps(31.25×3)経過時点の、アンテナAの受信信号の電圧Vinのサンプリングを32回行ってその平均値を求め、....、基準パルスの出力からt=468.25ps(31.25×15)経過時点の、アンテナAの受信信号の電圧Vinのサンプリングを32回行ってその平均値を求める。
【0084】
t=500ps(31.25×16)で、インバータI1のQ、Q ̄が再び選択され、マルチプレクサ107、108の出力は一周する。しかし、1/16分周された125MHz=8nsのタイミング信号φ、φ ̄にとっては、500psは1/16 周期分回ったに過ぎず、以降15回、上述のインバータI1のQ、Q ̄出力を32回、...、I2のQ ̄、Q出力を32回、I1のQ ̄、Q出力を32回、...I2のQ、Q ̄出力を32回ずつ選択し、受信信号の電圧Vinを32回ずつサンプリング・エンコードして、平均化するという動作を繰り返す(ステップS14)。
【0085】
以上で、送信アンテナAと受信アンテナAの組み合わせによる、検出処理が終了し、図15(a)、(b)に例示するように、サンプリング値がメモリ28に格納される(ステップS14)。
【0086】
さらに、図14のステップS15で、j≠nと判別され(ステップS15;No)、jが+1されて3に更新され、受信アンテナAがAとなる(ステップS16)。続いて、処理は、ステップS12にリターンして、以後同様の動作が繰り返される。
【0087】
アンテナAを除く全てのアンテナでの受信が終了すると、ステップS15でj=nと判別され(ステップS15;Yes)、次に、i=nか否かが判別される(ステップS17)。当初は、i≠nであり(ステップS17;No)、iとjを更新し(ステップS18)、ステップS12にリターンし、新たなアンテナAからパルス波を放射し、他のアンテナAで受信・記録する処理が繰り返される。
【0088】
このようにして、送信アンテナAと受信アンテナAを順次切り替えながら、放射、受信、記録の処理を行って、アンテナAからパルス波を放射し、アンテナAn-1で受信する処理が終了すると、ステップS15及びステップS17でYesと判別され、処理が終了する。
【0089】
このようにして、本実施の形態に係る癌組織検出装置10においては、小型軽量の装置で、かつ、生体に悪影響を与えずに、癌組織を検出可能である。
【0090】
また、超高速でのサンプリングが必要とされる癌検出装置10において、パルス波を周期的に放射し、逐次的に相対位置をずらしつつサンプリングを繰り返すことにより、等価的に高いサンプリングレートを得ることができる。
【0091】
さらに、平均化回路によって、32回の測定値の平均値をとるので、クロックジッタからくる誤差を低減することができる。
【0092】
このようにしてメモリ28に格納したデータをどのように処理するかは任意である。
例えば、図16(a)に概略を示す波形データがサンプルされた場合には、図16(b)に示すように生体表面を伝播したパルスの影響を除去し、次に、基準クロック信号CLKの出力から反射波を受信するまでの時間Tを求め、この時間を距離に換算し、条件を満たす楕円球を求める処理を行い、複数のデータから得られた楕円球の交点を求めて、癌組織の位置を特定すればよい。
この処理は、制御部27自身が行ってもよく、或いは、メモリ28に蓄積されたデータを用いて、他の装置で実行してもよい。
【0093】
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、例示したハードウエアは、例示であり、他の任意の構成を採用可能である。例えば、癌検出装置10の外観や、回路やアンテナの配置などは任意に変更可能である。
【0094】
また、回路構成も、同様の機能を実現できるならば、任意に変更可能である。例えば、基準クロック信号CLKの繰り返し周期を125MHzとしたが、50MHz程度から400MHz程度まで、適宜変更可能である。
【0095】
また、上記実施の形態では、等価的なサンプリングレートを31.25ps(32GHz)とするため、タイミング生成回路41の2GHz発振周波数をもつリング発振器106を実効的に16段のインバータから構成した。サンプリングレートは、32GHzに限定されず、任意である。この場合、リング発振器106を構成するインバータの実効的な段数及びリング発振器の発信周波数をサンプリングレートに合わせて調整する。
【0096】
また、ノイズ、ジッタなどを考慮し、変換回路42として、相対的に同一のタイミングで受信した信号を32回サンプリングし、その出力を平均化する構成の例を示したが、例えば、コンパレータ群122を構成する各コンパレータの出力を複数回モニタし、多数決でその出力を確定することにより、ジッタの影響などを排除してもよい。同様に、エンコーダ123の各出力を複数回モニタし、多数決でその出力を確定するようにしてもよい。その他、ノイズやジッタの影響を除去するための任意の手法を採用可能である。
【0097】
同一のデータを繰り返して取得する回数も32回に限定されず、16回、64回など、適宜設定可能である。この場合、その回数にあわせて、分周回路110~113の設定を変更する。
【0098】
上記実施の形態においては、受信アンテナセレクタ24で1つのアンテナを選択して、選択したアンテナで放射波を受信する例を示したが、LNA25とA/Dコンバータ26とをm(複数)個用意し、受信アンテナセレクタ24で複数のアンテナを選択し、並行して送信波を受信し、処理してもよい。
【0099】
また、リング発振器106を使用する例に限定されず、基準クロック信号CLKに対してタイミングのずれた複数の信号を生成する他の任意の構成の発振器を使用することが可能である。
【0100】
さらに、発振器を使用する例に限定されず、基準クロック信号CLKを複数の遅延線で順次遅延させて、サンプリングのタイミングとする等してもよい。
上記実施の形態においては、UWB信号のパルス波を生成して送信したが、送信信号と受信信号との間で相関が確保できるならば、送信する信号の波形は任意である。
【0101】
検出の対象として、乳癌を例示したが、この発明は、他の癌、任意の腫瘍、等、生体内の誘電率の異なる領域の検出・判別に応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、癌等の異常組織を、簡易な装置と方法等で検出することに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】癌組織を検出する手法を説明するための図である。
【図2】実施の形態に係る癌検出装置の外観を示す図である。
【図3】実施の形態に係る癌検出装置の内部の構成を示す図である。
【図4】アンテナの配置の例を示す図である。
【図5】送受信回路の構成例を示すブロック図である。
【図6】UWB送信機の構成例を示すブロック図である。
【図7】三角波生成回路の構成例を示すブロック図である。
【図8】(a)~(d)は、各部の信号波形を示す図である。
【図9】一階微分ガウス波形の周波数スペクトルの一例を示す図である。
【図10】実際の送信波形の一例を示す図である。
【図11】タイミング生成回路の構成例を示すブロックである。
【図12】変換回路の構成例を示すブロック図である。
【図13】リング発振器の波形図である。
【図14】動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】(a)と(b)は、サンプリングされたデータの例を示す図である。
【図16】取得したデータの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
10 癌検出装置
11 本体
12 表示装置
13 アンテナアレー
14 信号処理回路
21 基準クロック信号生成回路
22 UWB送信機
23 送信アンテナセレクタ
24 受信アンテナセレクタ
25 低雑音増幅器(LNA)
26 A/Dコンバータ
27 制御部
28 メモリ
31 三角波生成回路
32 微分回路
33 増幅器
41 タイミング生成回路
42 変換回路
101 バッファ回路
102 位相周波数比較器(PFD)
104 チャージポンプ(CP)
105 ローパスフィルタ(LPF)
106 リング発振器
107、108 マルチプレクサ
109~114 分周回路
121 分圧回路
122 比較器群
123 エンコーダ
124 平均化回路
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
14
【図16】
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