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明細書 :核酸結合蛋白質アッセイ法およびキット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5652850号 (P5652850)
登録日 平成26年11月28日(2014.11.28)
発行日 平成27年1月14日(2015.1.14)
発明の名称または考案の名称 核酸結合蛋白質アッセイ法およびキット
国際特許分類 C12Q   1/68        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C12Q 1/68 ZNAZ
C12N 15/00 A
請求項の数または発明の数 26
全頁数 58
出願番号 特願2009-550561 (P2009-550561)
出願日 平成21年1月22日(2009.1.22)
国際出願番号 PCT/JP2009/051006
国際公開番号 WO2009/093667
国際公開日 平成21年7月30日(2009.7.30)
優先権出願番号 2008011750
優先日 平成20年1月22日(2008.1.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成24年1月12日(2012.1.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】田 原 栄 俊
【氏名】宮 城 徹
個別代理人の代理人 【識別番号】100117787、【弁理士】、【氏名又は名称】勝沼 宏仁
【識別番号】100091487、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 行孝
【識別番号】100107342、【弁理士】、【氏名又は名称】横田 修孝
【識別番号】100111730、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 武泰
【識別番号】100137497、【弁理士】、【氏名又は名称】大森 未知子
審査官 【審査官】西村 亜希子
参考文献・文献 国際公開第2006/048025(WO,A1)
国際公開第2007/124758(WO,A1)
国際公開第2002/034937(WO,A1)
米国特許出願公開第2001/0014450(US,A1)
特表2005-519618(JP,A)
米国特許出願公開第2002/0042061(US,A1)
特開2008-054642(JP,A)
国際公開第97/023646(WO,A1)
特表2003-527119(JP,A)
新谷彩ほか,DNA鎖交換反応を用いた核酸結合性物質の認識,高分子学会予稿集,2006年 9月 5日,Vol.55, No.2,pp.4991-4992
新谷彩ほか,核酸鎖交換反応を用いたDNA結合性物質の認識,高分子学会予稿集,2007年 5月10日,Vol.56, No.1,p.1941
熊本諭ほか,DNA鎖交換法を利用した電気化学DNA-塩基変位検出,日本化学会第87回春季年会講演予稿集II,2007年 3月12日,p.1290
Kim W.J.,Polycation graft copolymers accelerating DNA strand exchange: involvement of ionic interaction.,Nucleic Acids Res. Suppl.,2001年,No.1,151-152
HIRATA K et al.,Discrimination of single nucleotide polymorphisms by strand exchange assay using partially double-st,Nucleic Acids Symp. Ser.,2005年,Vol.49,pp.223-224
調査した分野 C12Q 1/68
C12N 15/09
CAplus/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
特許請求の範囲 【請求項1】
核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出する方法であって、少なくとも二つの核酸二本鎖部分を有する核酸複合体の構造変化の程度を測定することを含んでなり、少なくとも二つの核酸二本鎖部分を有する核酸複合体が、二つの核酸二本鎖がそれらの末端配列において互いに結合してなる複合体(核酸二本鎖複合体)であり、構造変化が、二つの核酸二本鎖間のヌクレオチド鎖交換である、方法。
【請求項2】
下記工程を含んでなる、請求項1に記載の方法:
(i)核酸結合タンパク質と、核酸二本鎖Aと、核酸二本鎖Bとを接触させる工程(ここで、核酸二本鎖Aは二つの核酸一本鎖(以下、それぞれ「核酸A1」および「核酸A2」とする)からなり、核酸二本鎖Bは二つの核酸一本鎖(以下、それぞれ「核酸B1」および「核酸B2」とする)からなる);および
(ii)核酸二本鎖複合体の構造変化の程度を測定する工程。
【請求項3】
工程(ii)において、核酸A1と核酸B1とからなる核酸二本鎖(核酸二本鎖C)および/または核酸A2と核酸B2とからなる核酸二本鎖(核酸二本鎖D)の量を測定することにより核酸二本鎖複合体の構造変化の程度を測定する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(ii)において、核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量を測定することにより核酸二本鎖複合体の構造変化の程度を測定する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bの少なくとも一つが核酸結合タンパク質の結合部位を有する、請求項~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
核酸A1が第一のヌクレオチド配列および第二のヌクレオチド配列を有する核酸一本鎖からなり、核酸A2が前記第一のヌクレオチド配列に対応する配列および第三のヌクレオチド配列を有する核酸一本鎖からなり、核酸B1が前記第二のヌクレオチド配列に対応する配列および第四のヌクレオチド配列を有する核酸一本鎖からなり、核酸B2が前記第三のヌクレオチド配列に対応する配列および第四のヌクレオチド配列に対応する配列を有する核酸一本鎖からなる、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
核酸A1のヌクレオチド配列における、核酸B1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;
核酸B1のヌクレオチド配列における、核酸A1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;
核酸A2のヌクレオチド配列における、核酸B2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;および
核酸B2のヌクレオチド配列における、核酸A2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基
から選択されるミスマッチ塩基を単独でまたは組み合わせて有する、請求項~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出する方法であって、少なくとも二つの核酸二本鎖部分を有する核酸複合体の構造変化の程度を測定することを含んでなり、少なくとも二つの核酸二本鎖部分を有する核酸複合体が、二つの核酸二本鎖部分が可逆的に鎖交換するように構成されてなる複合体(一体型核酸複合体)であり、構造変化が、二つの核酸二本鎖間のヌクレオチド鎖交換である、方法。
【請求項9】
下記工程を含んでなる、請求項8に記載の方法:
(iii)核酸結合タンパク質と、一体型核酸複合体Eとを接触させる工程(ここで、一体型核酸複合体Eは、核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Gと核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Hとを含んでなり、核酸複合体Gは二つの核酸一本鎖含有体(以下、それぞれ「核酸G1」および「核酸G2」とする)を含んでなり、核酸複合体Hは二つの核酸一本鎖含有体(以下、それぞれ「核酸H1」および「核酸H2」とする)を含んでなる);および
(iv)一体型核酸複合体の構造変化の程度を測定する工程
(ここで、
核酸G1が、末端部分1と、第五のヌクレオチド配列と、末端部分3とからなり、第五のヌクレオチド配列の3’末端に末端部分1が、第五のヌクレオチド配列の5’末端に末端部分3が連結されてなる核酸一本鎖含有体であり、
核酸G2が、末端部分2と、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と、末端部分3に対応する部分とからなり、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端に末端部分2が、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端に末端部分3に対応
する部分が連結されてなる核酸一本鎖含有体であり、
核酸H1が、末端部分1に対応する部分と、第六のヌクレオチド配列と、末端部分4とからなり、第六のヌクレオチド配列の5’末端に末端部分1に対応する部分が、第六のヌクレオチド配列の3’末端に末端部分4が連結されてなる核酸一本鎖含有体であり、
核酸H2が、末端部分4に対応する部分と、第六のヌクレオチド配列に対応する配列と、末端部分2に対応する部分とからなり、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端に末端部分4に対応する部分が、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端に末端部分2に対応する部分が連結されてなる核酸一本鎖含有体である)。
【請求項10】
末端部分がポリヌクレオチドであり、
末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず、かつ末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず;および/または
末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成され、かつ末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成され;並びに
末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず、かつ末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず;および/または
末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成され、かつ末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(iv)において、一体型核酸複合体Eの量を測定することにより一体型核酸複合体の構造変化の程度を測定する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
工程(iv)において、核酸G1および核酸H1を含んでなり、核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Iと、核酸G2および核酸H2を含んでなり、核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Jとを含んでなる一体型核酸複合体Fの量を測定することにより一体型核酸複合体の構造変化の程度を測定する、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
一体型核酸複合体Eおよび一体型核酸複合体Fのいずれか一つのみが核酸結合タンパク質の結合部位を有する、請求項~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
核酸G1のヌクレオチド配列における、核酸H1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;
核酸H1のヌクレオチド配列における、核酸G1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;
核酸G2のヌクレオチド配列における、核酸H2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;および
核酸H2のヌクレオチド配列における、核酸G2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基
から選択されるミスマッチ塩基を単独でまたは組み合わせて有する、請求項~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
核酸G1のヌクレオチド配列における、核酸G2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;
核酸G2のヌクレオチド配列における、核酸G1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;
核酸H1のヌクレオチド配列における、核酸H2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;または
核酸H2のヌクレオチド配列における、核酸H1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基
から選択されるミスマッチ塩基を単独でまたは組み合わせて有する、請求項~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
構造変化の程度が、蛍光共鳴エネルギー転移を利用して測定される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
核酸が、DNAである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
核酸結合タンパク質が、転写因子である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
核酸結合タンパク質が、構造タンパク質である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
マルチプレックスで行われる、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
被験物質存在下および非存在下において、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法を行う、核酸結合タンパク質の結合阻害剤または促進剤のスクリーニング方法。
【請求項22】
被験物質の標的となる核酸結合タンパク質とは結合しない核酸からなる核酸複合体の構造変化の程度を測定することをさらに含んでなる、請求項21に記載のスクリーニング方法。
【請求項23】
末端配列において結合し得る核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bとを含んでなる、核酸と核酸結合タンパク質との結合の検出に用いるためのキット(ここで、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bは請求項2において定義された内容と同義である)。
【請求項24】
一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fを含んでなる、核酸と核酸結合タンパク質との結合の検出に用いるためのキット(ここで、一体型核酸複合体Eは請求項9に、一体型核酸複合体Fは請求項12において定義された内容と同義である)。
【請求項25】
末端配列において結合し得る核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bとを含んでなる、核酸結合タンパク質の阻害剤または促進剤のスクリーニングに用いるためのキット(ここで、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bは請求項2において定義された内容と同義である)。
【請求項26】
一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fを含んでなる、核酸結合タンパク質の阻害剤または促進剤のスクリーニングに用いるためのキット(ここで、一体型核酸複合体Eは請求項9に、一体型核酸複合体Fは請求項12において定義された内容と同義である)。
発明の詳細な説明
【発明の分野】
【0001】
本発明は、核酸結合タンパク質の検出方法およびキットに関する。本発明は、更に、核酸結合タンパク質の結合阻害剤または促進剤のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸結合タンパク質は、転写因子や染色体構造タンパク質、DNA修復酵素、RNA加工に関わる酵素、あるいはポリメラーゼなど、細胞内において非常に重要な機能を担っている分子であり、核酸結合タンパク質の挙動を解析することは、生命活動を理解する上で重要な意味があると考えられている。また、核酸結合タンパク質はその機能の重要性から、医薬品や機能性食品等の開発の標的として注目されるようになってきている。
【0003】
近年の技術の進歩により、核酸結合タンパク質を検出する種々の方法がこれまでに開発されている。
【0004】
一般に、核酸結合タンパク質の検出には、ゲルシフト法やフットプリント法が用いられているが、これらの方法は電気泳動を伴うために、時間及び操作が煩雑であるという問題がある。
【0005】
タンパク質が結合した場合にのみ結合する二種類のDNAプローブを利用したホモジニアスな核酸結合タンパク質の検出方法(米国特許6,544,746号公報、Heyduk, T., et al. (2002) Nat. Biotechnol. 20(2) 171-176)は、DNAプローブの設計が煩雑であり、さらに、離れた二箇所の配列に結合しうるDNA結合タンパク質にしか使用できないという問題がある(Wang, J., et al. (2005) Nucleic Acids Res. 33(2) e23、Jantz, D., et al. (2002) Nat. Biotechnol. 20(2) 126-127)。
【0006】
エキソヌクレアーゼIIIを利用した核酸結合タンパク質検出方法(非特許文献2)は、弱い結合の核酸結合タンパク質の検出が困難であり、また、医薬品等の薬物スクリーニングに利用した場合、薬剤のエキソヌクレアーゼIII活性に対する影響を考慮することが必要であり、さらに、エキソヌクレアーゼIII近縁のタンパク質の活性に影響する薬剤のスクリーニングはできないという問題がある。
【0007】
蛍光相関分光法を利用した核酸結合タンパク質検出法(Kobayashi, T., et al. (2004) Anal. Biochem. 332(1) 58-66)は、核酸単独と核酸に核酸結合タンパク質が結合した複合体の大きさの差を検出するものであり、小さな核酸結合タンパク質では十分なシグナル/ノイズ比が得られない問題がある。さらに、この方法には特殊な機器が必要であるため汎用性に問題がある。
【0008】
このように、種々の検出方法が開発されてきたにもかかわらず、多検体を迅速、かつ簡便に処理する方法は報告されておらず、核酸結合タンパク質を標的とする医薬品や機能性食品等のスクリーニングに応用可能な方法の開発が強く求められている。
【発明の概要】
【0009】
一般に、完全に相補的な二本鎖の核酸からなる核酸二本鎖は非常に安定であり、このような核酸二本鎖同士が相互作用し、構造変化することはない。しかし、それぞれの末端に一本鎖部分を有する核酸二本鎖同士は、その一本鎖部分を介して他の核酸二本鎖と結合し、構造変化が生じることが知られている。本発明者らは、このような核酸二本鎖間の構造変化が、核酸結合タンパク質の結合により阻害されることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【発明の具体的な説明】
【0010】
本発明は、核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出する方法、および核酸結合タンパク質の結合阻害剤または促進剤のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明によれば、核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出する方法であって、少なくとも二つの核酸二本鎖部分を有する核酸複合体の構造変化の程度を測定することを含んでなる方法(以下、「本発明による検出方法」という)が提供される。
【0012】
本発明によれば、また、被験物質存在下および非存在下において、本発明の検出方法を行う、核酸結合タンパク質の結合阻害剤または促進剤のスクリーニング方法(以下、「本発明によるスクリーニング方法」という)が提供される。
【0013】
本発明によれば、さらに、末端配列において結合し得る核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bとを含んでなるキット、または一体型核酸複合体Eもしくは一体型核酸複合体Fを含んでなるキット(以下、「本発明によるキット」という)が提供される。
【0014】
本発明は、電気泳動が不要であり、汎用機器でホモジニアスアッセイが可能であり、エキソヌクレアーゼIIIなどの酵素が不要であり、またタンパク質結合部位に蛍光導入やニックなどの不自然な構造が不要である点で有利である。本発明はまた、例えば、ループ、ロイシンジッパー、Znフィンガー等のDNA結合モチーフを持つDNA結合タンパク質をはじめとする、DNA結合タンパク質一般に広く適用可能である点で有利である。本発明はさらに、レポーターアッセイで評価することが困難な核酸結合タンパク質(例えば、テロメア結合タンパク質等の構造タンパク質)を標的とする阻害剤または促進剤についてもスクリーニングすることができる点で有利である。このように、本発明は、阻害剤等の新規医薬品や健康食品等の探索や同定に応用可能な点で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】図1Aは、核酸A1、核酸A2、核酸B1、および核酸B2の構造の一態様を具体的に示した図である。
【図1B】図1Bは、核酸G1、核酸G2、核酸H1、および核酸H2の構造の一態様(一体型核酸複合体E)を具体的に示した図である。
【図1C】図1Cは、核酸G1、核酸G2、核酸H1、および核酸H2の構造の一態様(一体型核酸複合体F)を具体的に示した図である。
【図2】図2は、組み換えヒトNFκBp50の濃度と蛍光値の関係を示す図である。
【図3】図3は、デコイオリゴを用いて組み換えヒトNFκBp50の結合を阻害した時の蛍光値を示す図である。
【図4】図4は、組み換えヒトAP1(c-jun) タンパク質が結合した時の蛍光値を示す図である。
【図5】図5は、組み換えヒトSP1タンパク質が結合した時の蛍光値を示す図である。
【図6】図6は、組み換えヒトTRF2タンパク質(N末端欠損体)の核酸への結合を検出した結果を示す図である。
【図7】図7は、ミスマッチ導入と検出感度との関係を示す図である。棒の上の数値は、それぞれの核酸セットにおいてタンパク質未添加時の蛍光値を100としたときの相対蛍光値を示している。
【図8】図8は、ミスマッチ導入と検出感度との関係を示す図である。棒の上の数値は、それぞれの核酸セットにおいてタンパク質未添加時の蛍光値を100としたときの相対蛍光値を示している。
【図9】図9は、NF-κB DNAとSP1 DNAの蛍光強度を、オーロチオグルコース無添加時の蛍光値に対する相対蛍光値で示した図である。
【図10】図10は、一体型複合体を利用したNF-κB(p50)検出を示した図である。NF-κB DNAとSP1 DNAの蛍光強度を、タンパク質無添加に対する相対蛍光値で示した。
【図11】図11は、マルチプレックス系におけるNF-κBとSP1の結合を検出した結果を示した図である。NF-κB DNAとSP1 DNAの蛍光強度を、タンパク質無添加に対する相対蛍光値で示した。
【図12】図12は、一体型核酸複合体を利用した検出の一態様を具体的に示した図である。星印は蛍光標識を、黒丸は消光標識を、白丸および白四角は変異を、灰色実線は核酸タンパク質結合配列をそれぞれ示した。
【図13】図13は、タンパク質がタンパク質結合配列に結合できないようにするための変異の導入の一態様を具体的に示した図である。
【図14】図14は、タンパク質がタンパク質結合配列に結合できないようにするための変異の導入の一態様を具体的に示した図である。
【0016】
定義
本願明細書において、「核酸」としては、DNA、RNAのみならず、修飾核酸や核酸類似体(例えば、ペプチド核酸(PNA)やLNA(Locked nucleic acid))が挙げられるが、好ましくはDNAである。
【0017】
本願明細書において、「核酸二本鎖」は、2つの核酸分子が互いの相補鎖として結合しているものを意味する。
【0018】
本願明細書において、「核酸一本鎖」は、他の核酸分子の相補鎖として結合していない核酸分子を意味し、例えば、核酸分子の一部が核酸分子内でハイブリダイズし、二本鎖部分を有するような核酸分子も「核酸一本鎖」に含まれる。また、核酸一本鎖は、他の核酸一本鎖と直接、あるいは他の配列(例えば、リンカー配列)等を介して、直列的に結合されていてもよい。
【0019】
本願明細書において「相補的」とは、各々の配列を構成する塩基間で水素結合が形成されることを意味し、具体的には、アデニンに対してチミンが対合し、チミンに対してアデニンが対合し、グアニンに対してシトシンが対合し、シトシンに対してグアニンが対合することを意味する。本願明細書において「相補性」とは、比較される配列間における相補的な塩基対の割合を意味する。本明細書において示した「相補性」の数値はいずれも、一方のヌクレオチド配列と、もう一方のヌクレオチド配列の相補鎖との間の相同性として、当業者に公知の相同性検索プログラムを用いて算出される数値であればよく、例えばFASTA、BLAST等においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、容易に算出することができる。
【0020】
本願明細書において「ハイブリダイズする」とは、ストリンジェントな条件下で標的核酸にハイブリダイズし、標的核酸以外とはハイブリダイズしないことを意味する。ストリンジェントな条件下で標的核酸の塩基配列とハイブリダイズできる核酸としては、標的核酸の塩基配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する塩基配列からなる核酸が挙げられる。ストリンジェントな条件は、当業者であれば適宜決定することができ(Molecular Cloning 2nd edition, Cold Spring Harbor Laboratory(1989))、例えば、塩濃度0.1mM~3M、温度10~80℃の条件、好ましくは、塩濃度1mM~1M、温度20~70℃の条件をいう。
【0021】
本願明細書において「連続する」ヌクレオチドの個数は、各ヌクレオチド配列とこれに対応するヌクレオチド配列とが結合(好ましくは、ハイブリダイズ)することができるかぎり特に限定されないが、連続するヌクレオチドからなるヌクレオチド配列の各ヌクレオチド配列に対する割合が、好ましくは、15%以上、より好ましくは、20%以上、さらに好ましくは、25%以上、特に好ましくは、30%以上である。
【0022】
本願明細書において「Tm値」とは、本発明の方法が実施される反応条件下において(例えば、核酸濃度、塩濃度、pH等で規定)、比較される二つの一本鎖核酸のうち、50%が二本鎖を形成する温度を意味する。Tm値は、例えば、温度変化に伴う紫外線吸収量の変化、SYBR GreenI等の二本鎖DNA検出試薬、蛍光エネルギー転移の蛍光値変化等を利用して算出することができるが、より簡便には、公知のアルゴリズムを用いて計算することができる(例えば、Markham NR and Zuker M(2005)Nucleic Acids Research 33 W577-W581)。
【0023】
本願明細書において「ミスマッチ」とは、アデニン/チミン塩基対およびグアニン/シトシン塩基対以外の塩基対、あるいは対応する塩基のない状態(バルジ)を意味する。
【0024】
核酸複合体
本発明によれば、核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出する方法であって、少なくとも二つの核酸二本鎖部分を有する核酸複合体の構造変化の程度を測定することを含んでなる方法が提供される。
【0025】
ここで、「構造変化」とは、好ましくは、核酸複合体における、核酸二本鎖間のヌクレオチド鎖交換である。核酸二本鎖間のヌクレオチド鎖交換とは、核酸二本鎖を形成するヌクレオチド鎖の相補鎖が、別の核酸二本鎖を形成するヌクレオチド鎖と入れ替わることを意味する。核酸二本鎖間のヌクレオチド鎖交換は、不可逆的であっても、可逆的であってもよく、使用する核酸複合体の構造に基づく。
【0026】
少なくとも二つの核酸二本鎖部分を有する核酸複合体としては、二つの核酸二本鎖がそれらの末端配列において互いに結合してなる複合体(核酸二本鎖複合体;第一の態様)と二つの核酸二本鎖部分が可逆的に鎖交換するように構成されてなる複合体(一体型核酸複合体;第二の態様)とが挙げられる。第一の態様の核酸複合体と第二の態様の核酸複合体について、以下に説明する。
【0027】
第一の態様の核酸複合体
本発明の第一の態様によれば、二つの核酸二本鎖(核酸二本鎖A、核酸二本鎖B)がそれらの末端配列において互いに結合してなる複合体(核酸二本鎖複合体)の構造変化の程度を測定することを含んでなる方法が提供される。
【0028】
核酸二本鎖Aは、核酸一本鎖である核酸A1と核酸一本鎖である核酸A2とからなり、かつ、末端配列において核酸二本鎖Bと結合し得る核酸二本鎖である。
【0029】
核酸二本鎖Bは、核酸一本鎖である核酸B1と核酸一本鎖である核酸B2とからなり、かつ、末端配列において核酸二本鎖Aと結合し得る核酸二本鎖である。
【0030】
核酸A1、核酸A2、核酸B1、核酸B2はそれぞれ、以下のように設計することができる。
・核酸A1:第一のヌクレオチド配列および第二のヌクレオチド配列(末端配列)を有する核酸一本鎖。
・核酸A2:第一のヌクレオチド配列に対応する配列および第三のヌクレオチド配列(末端配列)を有する核酸一本鎖。
・核酸B1:第二のヌクレオチド配列に対応する配列(末端配列)および第四のヌクレオチド配列を有する核酸一本鎖。
・核酸B2:第三のヌクレオチド配列に対応する配列(末端配列)および第四のヌクレオチド配列に対応する配列を有する核酸一本鎖。
【0031】
例えば、まず、目的の核酸結合タンパク質に基づいて、核酸A1を設計した後、核酸A1に基づいて、核酸A2、核酸B1、核酸B2を順次設計することができる。
【0032】
核酸A1、核酸A2、核酸B1、核酸B2については、核酸二本鎖複合体における核酸二本鎖間のヌクレオチド鎖交換が不可逆的に行われるように設計することができる。
【0033】
核酸A1、核酸A2、核酸B1、および核酸B2の具体的な構造の一態様を、図1Aに示す。
【0034】
第一乃至第四のヌクレオチド配列(ポリヌクレオチド)およびそれらに対応する配列(ポリヌクレオチド)は、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bをそれぞれ形成することができれば特に限定されず、任意の配列を選択することができる。例えば、核酸A1における第一のヌクレオチド配列は、核酸A2における第一のヌクレオチド配列に対応する配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。また、核酸B1における第四のヌクレオチド配列は、核酸B2における第四のヌクレオチド配列に対応する配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。
【0035】
第一のヌクレオチド配列は、第一のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0036】
第四のヌクレオチド配列は、第四のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは、90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0037】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。なお、後述するように、検出感度の向上を目的として、ミスマッチを導入してもよい。
【0038】
第一のヌクレオチド配列は、第一のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、第一のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0039】
第四のヌクレオチド配列は、第四のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第四のヌクレオチド配列に対応する配列は、第四のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0040】
第一のヌクレオチド配列は、第一のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0041】
第四のヌクレオチド配列は、第四のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0042】
第一乃至第四のヌクレオチド配列およびそれらに対応する配列は、核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bとが核酸二本鎖複合体を形成することができるかぎり特に限定されず、任意の配列を選択することができる。例えば、核酸二本鎖Aにおける第二のヌクレオチド配列は、核酸二本鎖Bにおける第二のヌクレオチド配列に対応する配列とは結合(好ましくは、ハイブリダイズ)するが、核酸二本鎖Aにおける第三のヌクレオチド配列や、核酸二本鎖Bにおける第三のヌクレオチド配列に対応する配列や、他の核酸二本鎖Aにおける第二のヌクレオチド配列とは結合(好ましくは、ハイブリダイズ)しない配列を選択することができる。また、核酸二本鎖Aにおける第三のヌクレオチド配列は、核酸二本鎖Bにおける第三のヌクレオチド配列に対応する配列とは結合(好ましくは、ハイブリダイズ)するが、核酸二本鎖Aにおける第二のヌクレオチド配列や、核酸二本鎖Bにおける第二のヌクレオチド配列に対応する配列や、他の核酸二本鎖Aにおける第三のヌクレオチド配列とは結合(好ましくは、ハイブリダイズ)しない配列を選択することができる。さらに、核酸二本鎖Aにおける第二のヌクレオチド配列および第三のヌクレオチド配列、並びに核酸二本鎖Bにおける第二のヌクレオチド配列に対応する配列および第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、それぞれ、核酸分子内では結合(好ましくは、ハイブリダイズ)しない配列を選択することができる。
【0043】
第二のヌクレオチド配列は、第二のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。一方、第二のヌクレオチド配列は、第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列とはそれぞれ50%未満、より好ましくは30%未満の相補性を有するように選択することができる。また、第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列とはそれぞれ50%未満、より好ましくは30%未満の相補性を有するように選択することができる。
【0044】
第三のヌクレオチド配列は、第三のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは、90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有するように選択することができる。一方、第三のヌクレオチド配列は、第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列とはそれぞれ50%未満、より好ましくは30%未満の相補性を有するように選択することができる。また、第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列とはそれぞれ50%未満、より好ましくは30%未満の相補性を有するように選択することができる。
【0045】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。なお、後述するように、検出感度の向上を目的として、ミスマッチを導入してもよい。
【0046】
第二のヌクレオチド配列は、第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、第二のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。一方、第二のヌクレオチド配列は、第三のヌクレオチド配列および/または第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよく、また、第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、第三のヌクレオチド配列および/または第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下である。また、第三のヌクレオチド配列は、第二のヌクレオチド配列および/または第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよく、また、第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、第二のヌクレオチド配列および/または第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下である。
【0047】
第三のヌクレオチド配列は、第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、第三のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。一方、第三のヌクレオチド配列は、第二のヌクレオチド配列および/または第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよく、また、第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、第二のヌクレオチド配列および/または第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下である。また、第二のヌクレオチド配列は、第三のヌクレオチド配列および/または第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよく、また、第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、第三のヌクレオチド配列および/または第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下である。
【0048】
第二のヌクレオチド配列は、第二のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。一方、第二のヌクレオチド配列は、第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上低くなるように選択することができる。また、第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上低くなるように選択することができる。
【0049】
第三のヌクレオチド配列は、第三のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。一方、第三のヌクレオチド配列は、第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上低くなるように選択することができる。また、第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上低くなるように選択することができる。
【0050】
第一乃至第四のヌクレオチド配列およびそれらに対応する配列は、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bから、核酸二本鎖Cおよび核酸二本鎖Dを形成する構造変化が生ずるかぎり特に限定されず、任意の配列を選択することができる。例えば、核酸A1における第一のヌクレオチド配列は、核酸B1における第四のヌクレオチド配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。また、核酸A2における第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、核酸B2における第四のヌクレオチド配列に対応する配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。
【0051】
第一のヌクレオチド配列は、第四のヌクレオチド配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0052】
第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、第四のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは、90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0053】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。なお、後述するように、検出感度の向上を目的として、ミスマッチを導入してもよい。
【0054】
第一のヌクレオチド配列は、第四のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個、さらに好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第四のヌクレオチド配列は、第一のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個、さらに好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0055】
第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、第四のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個、さらに好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第四のヌクレオチド配列に対応する配列は、第一のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個、さらに好ましくは、少なくとも25個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0056】
第一のヌクレオチド配列は、第四のヌクレオチド配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0057】
第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、第四のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0058】
核酸二本鎖Aの末端配列として、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列は、核酸二本鎖Aの片端に両方があってもよいし、両端にそれぞれあってもよい。核酸二本鎖Bの末端配列として、第二のヌクレオチド配列に対応する配列と第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、核酸二本鎖Bの片端に両方があってもよいし、両端にそれぞれあってもよい。好ましくは、核酸二本鎖Aの末端配列として、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列が、核酸二本鎖Aの片端に両方あり、核酸二本鎖Bの末端配列として、第二のヌクレオチド配列に対応する配列と第三のヌクレオチド配列に対応する配列が、核酸二本鎖Bの片端に両方がある場合である。
【0059】
核酸二本鎖Aにおける二本鎖部分(第一のヌクレオチド配列と第一のヌクレオチド配列に対応する配列との対合部分)の塩基対の長さは、核酸二本鎖Cおよび核酸二本鎖Dを形成する構造変化が阻害されなければ特に限定されず、例えば、5塩基対~1000塩基対とすることができるが、好ましくは、10塩基対~100塩基対、より好ましくは、15塩基対~50塩基対である。
【0060】
核酸二本鎖Bにおける二本鎖部分(第四のヌクレオチド配列と第四のヌクレオチド配列に対応する配列との対合部分)の塩基対の長さは、核酸二本鎖Cおよび核酸二本鎖Dを形成する構造変化が阻害されなければ特に限定されず、例えば、5塩基対~1000塩基対とすることができるが、好ましくは、10塩基対~100塩基対、より好ましくは、15塩基対~50塩基対である。
【0061】
核酸二本鎖Aにおける一本鎖部分(第二のヌクレオチド配列および第三のヌクレオチド配列)の塩基の長さは、本発明の核酸二本鎖複合体を形成することができれば特に限定されず、例えば、3塩基~1000塩基とすることができるが、好ましくは、5塩基~100塩基、より好ましくは、10塩基~30塩基である。
【0062】
核酸二本鎖Bにおける一本鎖部分(第二のヌクレオチド配列に対応する配列および第三のヌクレオチド配列に対応する配列)の塩基の長さは、本発明の核酸二本鎖複合体することができれば特に限定されず、例えば、3塩基~1000塩基とすることができるが、好ましくは、5塩基~100塩基、より好ましくは、10塩基~30塩基である。
【0063】
本願発明によれば、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bの少なくとも一つが核酸結合タンパク質の結合部位を有する。
【0064】
核酸結合タンパク質の結合部位は、核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの二本鎖部分、一本鎖部分、および核酸二本鎖複合体の分岐部分から選択される少なくとも一箇所に、少なくとも一種のタンパク質結合部位が存在するが、好ましくは、二本鎖部分である。転写因子のように特定の塩基配列を認識して結合するタンパク質の場合には、その認識配列とその周辺配列を含む。
【0065】
核酸二本鎖複合体は、核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bとがそれぞれの末端配列において互いに結合し、かつヌクレオチド鎖交換などの構造変化が生ずる限り、結合の様式は特に限定されるものではないが、好ましくは、ハイブリダイゼーションにより結合させることができる。
【0066】
核酸二本鎖複合体において核酸二本鎖Aと核酸二本鎖B間のヌクレオチド鎖交換を生じさせるためには、核酸二本鎖Aの3’末端配列(第二のヌクレオチド配列)と核酸二本鎖Bの5’末端配列(第二のヌクレオチド配列に対応する配列)とが結合し、および/または核酸二本鎖Aの5’末端配列(第三のヌクレオチド配列)と核酸二本鎖Bの3’末端配列(第三のヌクレオチド配列に対応する配列)とが結合するように、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bを準備することが好ましい。
【0067】
本発明の好ましい態様では、核酸二本鎖Aの3’末端配列と核酸二本鎖Bの5’末端配列とがハイブリダイズし、および/または核酸二本鎖Aの5’末端配列と核酸二本鎖Bの3’末端配列とがハイブリダイズするように、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bを設計する。
【0068】
形成された核酸二本鎖Cおよび核酸二本鎖Dが安定して存在するためには、核酸二本鎖Cと核酸二本鎖Dとが結合しないように、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bを準備することが好ましい。
【0069】
本発明の好ましい態様では、核酸A1と核酸B1とが結合してできる一本鎖配列と、核酸A2と核酸B2とが結合してできる一本鎖配列とが、ハイブリダイズしないように、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bを設計する。
【0070】
本発明の好ましい態様によれば、第一のヌクレオチド配列と第四のヌクレオチド配列との相補性が70%以上であり、および/もしくは、第一のヌクレオチド配列に対応する配列と第四のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性が70%以上であり、並びに/または、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列との相補性、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性、第二のヌクレオチド配列に対応する配列と第三のヌクレオチド配列との相補性、第二のヌクレオチド配列に対応する配列と第三のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性が、それぞれ、50%未満である、本発明による検出方法が提供される。
【0071】
本発明の好ましい態様によれば、また、第一のヌクレオチド配列が、第四のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるか、もしくは、第四のヌクレオチド配列が、第一のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなり、および/または、第一のヌクレオチド配列に対応する配列が、第四のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるか、もしくは、第四のヌクレオチド配列に対応する配列が、第一のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなり、並びに/あるいは、第二のヌクレオチド配列が第三のヌクレオチド配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4であり、第二のヌクレオチド配列が第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4であり、第二のヌクレオチド配列に対応する配列が第三のヌクレオチド配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4であり、第二のヌクレオチド配列に対応する配列が第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4であり、第三のヌクレオチド配列が第二のヌクレオチド配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4であり、第三のヌクレオチド配列が第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4であり、第三のヌクレオチド配列に対応する配列が第二のヌクレオチド配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4であり、第三のヌクレオチド配列に対応する配列が第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含む場合には、そのヌクレオチドの個数は最大で4である、本発明による検出方法が提供される。
【0072】
本発明の好ましい態様によれば、さらに、第一のヌクレオチド配列と第四のヌクレオチド配列との間のTm値、および/もしくは、第一のヌクレオチド配列に対応する配列と第四のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上高く、並びに/または、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列との間のTm値、第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値、第二のヌクレオチド配列に対応する配列と第三のヌクレオチド配列との間のTm値、第二のヌクレオチド配列に対応する配列と第三のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上低い、本発明による検出方法が提供される。
【0073】
第二の態様の核酸複合体
本発明の第二の態様によれば、二つの核酸二本鎖部分が可逆的に鎖交換するように構成されてなる複合体(一体型核酸複合体E、一体型核酸複合体F)の構造変化の程度を測定することを含んでなる方法が提供される。
【0074】
一体型核酸複合体Eは、核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Gと核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Hとを含んでなる。
【0075】
核酸複合体Gは、核酸一本鎖含有体である核酸G1と核酸一本鎖含有体である核酸G2とを含んでなり、かつ、末端配列において核酸複合体Hと結合し得る核酸複合体である。
【0076】
核酸複合体Hは、核酸一本鎖含有体である核酸H1と核酸一本鎖含有体である核酸H2とを含んでなり、かつ、末端配列において核酸複合体Gと結合し得る核酸複合体である。
【0077】
一体型核酸複合体Fは、核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Iと核酸二本鎖部分を有する核酸複合体Jとを含んでなる。
【0078】
核酸複合体Iは、核酸一本鎖含有体である核酸G1と核酸一本鎖含有体である核酸H1とを含んでなり、かつ、末端配列において核酸複合体Jと結合し得る核酸複合体である。
【0079】
核酸複合体Jは、核酸一本鎖含有体である核酸G2と核酸一本鎖含有体である核酸H2とを含んでなり、かつ、末端配列において核酸複合体Iと結合し得る核酸複合体である。
【0080】
一体型核酸複合体Eは、核酸複合体Gと核酸複合体Hとの間の鎖交換反応により、新たに、核酸複合体Iと核酸複合体Jとを含んでなる一体型核酸複合体Fに変換される。また、一体型核酸複合体Fも、核酸複合体Iと核酸複合体Jとの間の鎖交換反応により、新たに、核酸複合体Gと核酸複合体Hとを含んでなる一体型核酸複合体Eに変換される。このような一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fとの間の構造変化は可逆的に繰り返される。
【0081】
核酸G1、核酸G2、核酸H1、核酸H2はそれぞれ、以下のように設計することができる。
・核酸G1:末端部分1と、第五のヌクレオチド配列と、末端部分3とからなり、第五のヌクレオチド配列の3’末端に末端部分1が、第五のヌクレオチド配列の5’末端に末端部分3が連結されてなる核酸一本鎖含有体。
・核酸G2:末端部分2と、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と、末端部分3に対応する部分とからなり、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端に末端部分2が、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端に末端部分3に対応する部分が連結されてなる核酸一本鎖含有体。
・核酸H1:末端部分1に対応する部分と、第六のヌクレオチド配列と、末端部分4とからなり、第六のヌクレオチド配列の5’末端に末端部分1に対応する部分が、第六のヌクレオチド配列の3’末端に末端部分4が連結されてなる核酸一本鎖含有体。
・核酸H2:末端部分4に対応する部分と、第六のヌクレオチド配列に対応する配列と、末端部分2に対応する部分とからなり、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端に末端部分4に対応する部分が、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端に末端部分2に対応する部分が連結されてなる核酸一本鎖含有体。
【0082】
例えば、まず、目的の核酸結合タンパク質に基づいて、核酸G1を設計した後、核酸G1に基づいて、核酸G2、核酸H2、核酸H1を順次設計することができる。
【0083】
核酸G1、核酸G2、核酸H1、核酸H2については、核酸G1、核酸G2、核酸H1、および核酸H2からなる一体型核酸複合体が鎖交換反応によって可逆的な構造変化を繰り返すように設計される。
【0084】
核酸G1、核酸G2、核酸H1、および核酸H2の具体的な構造の一態様を、図1B(一体型核酸複合体Eの具体的な構造の一態様)および図1C(一体型核酸複合体Fの具体的な構造の一態様)に示す。
【0085】
核酸複合体が鎖交換反応によって可逆的な構造変化を繰り返すようにするために、例えば、核酸G1、核酸G2、核酸H1、核酸H2において、鎖交換が行われる配列(第五のヌクレオチド配列、第五のヌクレオチド配列に対応する配列、第六のヌクレオチド配列、第六にヌクレオチド配列に対応する配列)のそれぞれの両端に鎖交換の進行を停止させ、逆転させるための末端部分を付加することができる。
【0086】
ここで「末端部分」とは、2つの二本鎖部分の間で行われている鎖交換の進行を停止させ、逆転させることができれば特に限定されず、ポリヌクレオチドであってもよいし、鎖交換が行われる2つのヌクレオチド鎖の末端同士を結合するようなリンカー(例えば、鎖交換が行われる2つのヌクレオチド鎖の末端とリン酸ジエステル結合によって結合されるアルキル鎖等)であってもよいし、最末端にこのようなリンカーが導入されたポリヌクレオチドであってもよい。末端部分は、好ましくは、ポリヌクレオチドである。
【0087】
末端部分がポリヌクレオチドである場合について、以下に説明する。
【0088】
末端部分がポリヌクレオチドである場合は、核酸G1、核酸G2、核酸H1、核酸G2をそれぞれ核酸一本鎖として提供することができる。
【0089】
一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fとの間の可逆的な構造変化は以下のように起こる。まず、(1)第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列において5’→ 3’方向の鎖交換が、第五のヌクレオチド配列の3’末端で停止され、および/または、第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第六のヌクレオチド配列において3’→ 5’方向の鎖交換が、第六のヌクレオチド配列の5’末端で停止されると(一体型核酸複合体Eの形成)、鎖交換の向きが変わる。次いで(2)第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列において3’→ 5’方向の鎖交換、および/または、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列に対応する配列において5’→ 3’方向の鎖交換が進行する。次いで(3)第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列において3’→ 5’方向の鎖交換が、第五のヌクレオチド配列の5’末端で停止され、および/または、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列に対応する配列において5’→ 3’方向の鎖交換が、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端で停止されると(一体型核酸複合体Fの形成)、鎖交換の向きが変わる。次いで(4)第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列において5’→ 3’方向の鎖交換、および/または、第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第六のヌクレオチド配列において3’→ 5’方向の鎖交換が進行し、再び(1)~(4)が繰り返される。
【0090】
第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列において5’→ 3’方向の鎖交換が、第五のヌクレオチド配列の3’末端で停止され、および/または、第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第六のヌクレオチド配列において3’→ 5’方向の鎖交換が、第六のヌクレオチド配列の5’末端で停止され、鎖交換の向きが変わるためには、
末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず、かつ末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず;および/または
末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成され、かつ末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されるように設計することができる。
【0091】
末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で形成される安定性が高い塩基対群、および末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で形成される安定性が高い塩基対群は、末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列との間の安定性が低い塩基対群、および末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間の安定性が低い塩基対群よりも、熱力学的に安定であるように設計することができる。
【0092】
また、第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列において3’→ 5’方向の鎖交換が、第五のヌクレオチド配列の5’末端で停止され、および/または、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列からなる核酸二本鎖が形成される鎖交換であって、第五のヌクレオチド配列に対応する配列において5’→ 3’方向の鎖交換が、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端で停止され、鎖交換の向きが変わるためには、
末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず、かつ末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されず;および/または
末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成され、かつ末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群が形成されるように設計することができる。
【0093】
末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で形成される安定性が高い塩基対群および末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で形成される安定性が高い塩基対群は、末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列との間の安定性が低い塩基対群および末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間の安定性が低い塩基対群よりも、熱力学的に安定であるように設計することができる。
【0094】
熱力学的な安定性は、使用される塩基対から当業者であれば適宜決定することができる。
【0095】
「安定性が低い塩基対群」とは、対合すべき箇所において熱力学的に不安定であるため対合できない塩基対を含むことから、相補鎖が形成されない二本鎖の対応部分同士を意味する。
【0096】
「安定性が高い塩基対群」(塩基対群H)は、「安定性が低い塩基対群」(塩基対群L)よりも熱力学的に安定であれば特に制限されないが、例えば、安定性が高いGC塩基対およびAT塩基対の割合(好ましくは、GC塩基対の割合)が塩基対群Lよりも多い塩基対群にすることができる。また、塩基対群Lは、塩基対群Hよりも熱力学的に不安定であれば特に制限されないが、例えば、安定性が低いGG塩基対、GT塩基対、GA塩基対、TT塩基対、AA塩基対、TC塩基対、AC塩基対、CC塩基対、バルジ塩基(対応する塩基がない塩基)等の割合が塩基対群Hよりも多い塩基対群とすることができる。
【0097】
塩基対群Lは、2つの二本鎖部分の間で行われている鎖交換の進行を止めることができれば特に限定されず、少なくとも1個、好ましくは、2~3個、より好ましくは、4個以上(例えば、4~10個、4個~末端部分の塩基長)の塩基からなる塩基対群とすることができる。より好ましくは、塩基対群Lは、少なくとも連続した2~4個の安定性が低い塩基対を含んでなる塩基対群である。
【0098】
塩基対群Hは、2つの二本鎖部分の間で行われている鎖交換が停止され、その進行方向を変えることができれば特に限定されず、例えば、2個以上、好ましくは、3個以上(例えば、3~10個、3個~末端部分の塩基長)の塩基からなる塩基対群とすることができる。より好ましくは、塩基対群Hは、少なくとも連続した2~4個の安定性が高い塩基対を含んでなる塩基対群である。
【0099】
末端部分1~4のヌクレオチド配列およびそれらに対応する配列は、上記のような一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fとの間の可逆的な構造変化が可能であれば特に限定されず、任意の配列を選択することができる。
【0100】
例えば、末端部分1のヌクレオチド配列は、末端部分1に対応する部分のヌクレオチド配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。末端部分2のヌクレオチド配列は、末端部分2に対応する部分のヌクレオチド配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。末端部分3のヌクレオチド配列は、末端部分3に対応する部分のヌクレオチド配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。末端部分4のヌクレオチド配列は、末端部分4に対応する部分のヌクレオチド配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。
【0101】
末端部分1のヌクレオチド配列は、末端部分1に対応する部分のヌクレオチド配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0102】
末端部分2のヌクレオチド配列は、末端部分2に対応する部分のヌクレオチド配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0103】
末端部分3のヌクレオチド配列は、末端部分3に対応する部分のヌクレオチド配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0104】
末端部分4のヌクレオチド配列は、末端部分4に対応する部分のヌクレオチド配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0105】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。なお、後述するように、検出感度の向上を目的として、ミスマッチを導入してもよい。
【0106】
末端部分1のヌクレオチド配列は、末端部分1に対応する部分のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、末端部分1に対応する部分のヌクレオチド配列は、末端部分1のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0107】
末端部分2のヌクレオチド配列は、末端部分2に対応する部分のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、末端部分2に対応する部分のヌクレオチド配列は、末端部分2のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0108】
末端部分3のヌクレオチド配列は、末端部分3に対応する部分のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、末端部分3に対応する部分のヌクレオチド配列は、末端部分3のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0109】
末端部分4のヌクレオチド配列は、末端部分4に対応する部分のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、末端部分4に対応する部分のヌクレオチド配列は、末端部分4のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも3個、好ましくは、少なくとも5個、より好ましくは、少なくとも7個、さらに好ましくは、少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0110】
末端部分1のヌクレオチド配列は、末端部分1に対応する部分のヌクレオチド配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0111】
末端部分2のヌクレオチド配列は、末端部分2に対応する部分のヌクレオチド配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0112】
末端部分3のヌクレオチド配列は、末端部分3に対応する部分のヌクレオチド配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0113】
末端部分4のヌクレオチド配列は、末端部分4に対応する部分のヌクレオチド配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0114】
一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fにおいて、末端部分(ポリヌクレオチド)1~4のヌクレオチド配列とそれらに対応するヌクレオチド配列の塩基対の長さは、可逆的な構造変化が阻害されなければ特に限定されず、例えば、3塩基~50塩基とすることができるが、好ましくは、5塩基~30塩基、より好ましくは、10塩基~30塩基、さらにより好ましくは、10塩基~20塩基である。
【0115】
核酸G1、核酸G2、核酸H1、核酸H2については、また、一体型核酸複合体Eおよび一体型核酸複合体Fのいずれか一つの一体型核酸複合体のみが核酸結合タンパク質の結合部位を有するように設計される。
【0116】
本発明は、核酸二本鎖間の構造変化が、核酸結合タンパク質の結合により阻害されることを利用するものであるが、一体型核酸複合体においては、鎖交換の前後ではタンパク質結合配列は変わらない。例えば、核酸複合体G(核酸G1/核酸G2)がタンパク質結合配列を有する場合は、核酸複合体I(核酸G1/核酸H1)と核酸複合体J(核酸G2/核酸H2)にもタンパク質結合配列が存在することになる。この場合、一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fのいずれにも核酸結合タンパク質が結合することとなる。本発明を利用してタンパク質の結合を検出するためには、核酸結合タンパク質がいずれか一方の一体型核酸複合体にのみ結合するように設計する。
【0117】
塩基配列を認識して結合するような核酸結合タンパク質は、その認識部位に変異があると結合が阻害される。従って、本発明によれば、一体型核酸複合体Eおよび一体型核酸複合体Fのいずれか一つのみが核酸タンパク質結合配列を有し、他の一体型核酸複合体が核酸タンパク質結合配列を有さないようにするため、例えば、タンパク質結合配列に変異を導入することができる。このような変異としては、核酸タンパク質が、目的の核酸複合体の結合配列以外には結合しないような変異とすることができる。具体的な構造の一態様を、図13に示す。
【0118】
例えば、一体型核酸複合体Eにおいて、核酸複合体Gのうち、核酸G1および核酸G2のいずれのタンパク質結合部位には変異を導入せず、核酸複合体Hのうち、核酸H1、核酸H2のいずれにも変異を導入した場合、核酸結合タンパク質は、核酸複合体Gと、場合によっては、核酸複合体Hには結合することができる。しかし、一体型核酸複合体Eが構造変化して、核酸複合体Iと核酸複合体Jとが形成されると、核酸複合体Iは核酸H1に、核酸複合体Jは核酸H2にそれぞれ変異を有することになるので、一体型核酸複合体Fにはタンパク質が結合することができないこととなる。
【0119】
このように、変異は、いずれかの核酸一本鎖とその相補鎖(例えば、第五のヌクレオチド配列/第五のヌクレオチド配列に対応する配列、第六のヌクレオチド配列/第六のヌクレオチド配列に対応する配列、第五のヌクレオチド配列/第六のヌクレオチド配列、第五のヌクレオチド配列に対応する配列/第六のヌクレオチド配列に対応する配列)に少なくとも1個ずつ導入される。
【0120】
変異は、好ましくは、タンパク質結合配列に、より好ましくは、タンパク質結合配列のうちタンパク質との結合に深く関わる塩基に導入される。タンパク質結合配列のうちタンパク質との結合に深く関わる塩基については、核酸タンパク質ごとに知られている。タンパク質との結合に深く関わる塩基は、X線解析等によって決定されたタンパク質-核酸複合体の構造から決定することもできる。あるいは、TFSEARCH(http://mbs.cbrc.jp/research/db/TFSEARCHJ.html)等のデータベースにより検索可能な高度に保存された塩基から推測することもできる。
【0121】
変異の位置は、鎖交換が阻害されず、かつ、核酸結合タンパク質の結合が阻害されるように決定することができる。例えば、相補鎖間でずらして導入する(すなわち、各箇所で一方の鎖の塩基にのみ変異を導入する)こともできるし、同じ箇所に導入することもできる。また、同じ箇所に変異が導入される場合は、ミスマッチとなるような変異を導入することも、マッチとなる変異を導入することができる。しかし、鎖交換の効率を低下させないためには、変異は、相補鎖において、変異箇所をずらして導入されることが好ましい。
【0122】
変異の種類としては、核酸結合タンパク質の結合を阻害することができれば特に限定されず、目的の核酸結合タンパク質とその認識配列に応じて適宜決定することができるが、ヌクレオチドの置換、欠失、挿入等が挙げられ、好ましくは、置換である。
【0123】
変異の数は、核酸結合タンパク質の結合を阻害することができれば特に限定されず、目的の核酸結合タンパク質とその認識配列に応じて適宜決定することができるが、例えば、一本鎖に1~10個であり、好ましくは1~5個、より好ましくは2~5個である。
【0124】
変異が導入された核酸は、公知の方法に従って合成することができる。
【0125】
変異の代わりに、タンパク質と結合しない人工塩基を導入することもできる。
【0126】
一体型核酸複合体Eおよび一体型核酸複合体Fのいずれか一つのみが核酸タンパク質結合配列を有し、他の一体型核酸複合体が核酸タンパク質結合配列を有さないようにするためには、例えば、タンパク質が結合できないような構造となるような変異を導入することもできる。具体的な構造の一態様を、図14に示す。
【0127】
この場合、鎖交換が途中で阻害されるような変異を導入することにより、完全なタンパク質結合部位は、鎖交換の前後においてどちらか一方にしか存在しないこととなる。
【0128】
第五または第六のヌクレオチド配列およびそれらに対応する配列は、一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fとの間の可逆的な構造変化が可能であれば特に限定されず、任意の配列を選択することができる。
【0129】
例えば、核酸G1における第五のヌクレオチド配列は、核酸G2における第五のヌクレオチド配列に対応する配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。また、核酸H1における第六のヌクレオチド配列は、核酸H2における第六のヌクレオチド配列に対応する配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。
【0130】
第五のヌクレオチド配列は、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0131】
第六のヌクレオチド配列は、第六のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは、90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0132】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。なお、後述するように、検出感度の向上を目的として、ミスマッチを導入してもよい。
【0133】
第五のヌクレオチド配列は、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第五のヌクレオチド配列に対応する配列は、第五のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0134】
第六のヌクレオチド配列は、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第六のヌクレオチド配列に対応する配列は、第六のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0135】
第五のヌクレオチド配列は、第五のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0136】
第六のヌクレオチド配列は、第六のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0137】
また、核酸G1における第五のヌクレオチド配列は、核酸H1における第六のヌクレオチド配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。また、核酸G2における第五のヌクレオチド配列に対応する配列は、核酸G2における第六のヌクレオチド配列に対応する配列と結合(好ましくは、ハイブリダイズ)する配列を選択することができる。
【0138】
第五のヌクレオチド配列は、第六のヌクレオチド配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、特に好ましくは、95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0139】
第五のヌクレオチド配列に対応する配列は、第六のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは、90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0140】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。なお、後述するように、検出感度の向上を目的として、ミスマッチを導入してもよい。
【0141】
第五のヌクレオチド配列は、第六のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第六のヌクレオチド配列は、第五のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0142】
第五のヌクレオチド配列に対応する配列は、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、第六のヌクレオチド配列に対応する配列は、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0143】
第五のヌクレオチド配列は、第六のヌクレオチド配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0144】
第五のヌクレオチド配列に対応する配列は、第六のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上高くなるように選択することができる。
【0145】
一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fにおいて、第五のヌクレオチド配列および第五のヌクレオチド配列に対応する配列、並びに第六のヌクレオチド配列および第六のヌクレオチド配列に対応する配列の塩基対の長さは、可逆的な構造変化が阻害されなければ特に限定されず、例えば、5塩基対~100塩基対とすることができるが、好ましくは、8塩基対~50塩基対、より好ましくは、10塩基対~30塩基対である。
【0146】
核酸結合タンパク質の結合部位は、一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体の二本鎖部分、あるいは一体型核酸複合体の分岐部分に、少なくとも一種のタンパク質結合部位が存在するが、好ましくは、二本鎖部分、より好ましくは、第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列との二本鎖部分、および/もしくは、第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との二本鎖部分、または、第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列との二本鎖部分、および/もしくは、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との二本鎖部分である。転写因子のように特定の塩基配列を認識して結合するタンパク質の場合には、その認識配列とその周辺配列を含む。
【0147】
一体型核酸複合体は、核酸G1、核酸G2、核酸H1、核酸H2が互いに結合し、かつ鎖交換による可逆的な構造変化が生ずる限り、結合の様式は特に限定されるものではないが、好ましくは、ハイブリダイゼーションにより結合させることができる。
【0148】
一体型核酸複合体は、一本の核酸の分子内高次構造でもよいし、二本以上の核酸からなる多量体であってもよい。例えば、核酸G1の5’末端と核酸G2の3’末端とは、リン酸ジエステル結合により結合し、核酸G1と核酸G2とが一本鎖となっていてもよい。核酸G1の3’末端と核酸H1の5’末端とは、リン酸ジエステル結合により結合し、核酸G1と核酸H1とが一本鎖となっていてもよい。核酸H1の3’末端と核酸H2の5’末端とは、リン酸ジエステル結合により結合し、核酸H1と核酸H2とが一本鎖となっていてもよい。核酸H2の3’末端と核酸G2の5’末端とは、リン酸ジエステル結合により結合し、核酸G2と核酸H2とが一本鎖となっていてもよい。例えば、一体型核酸複合体は以下のような構造をとることができる。
【化1】
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【0149】
本発明の好ましい態様によれば、一体型核酸複合体であって、
核酸G1が、末端部分1と、第五のヌクレオチド配列と、末端部分3とからなり、第五のヌクレオチド配列の3’末端に末端部分1が、第五のヌクレオチド配列の5’末端に末端部分3が連結されてなる核酸一本鎖であり、
核酸G2が、末端部分2と、第五のヌクレオチド配列に対応する配列と、末端部分3に対応する部分とからなり、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端に末端部分2が、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端に末端部分3に対応する部分が連結されてなる核酸一本鎖であり、
核酸H1が、末端部分1に対応する部分と、第六のヌクレオチド配列と、末端部分4とからなり、第六のヌクレオチド配列の5’末端に末端部分1に対応する部分が、第六のヌクレオチド配列の3’末端に末端部分4が連結されてなる核酸一本鎖であり、
核酸H2が、末端部分4に対応する部分と、第六のヌクレオチド配列に対応する配列と、末端部分2に対応する部分とからなり、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端に末端部分4に対応する部分が、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端に末端部分2に対応する部分が連結されてなる核酸一本鎖であり、
末端部分1~4とそれらに対応する部分がポリヌクレオチドであって、
末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が低い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され、かつ末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が低い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され;および
末端部分1の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分1に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され、かつ末端部分2の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分2に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され;並びに
末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が低い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され、かつ末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が低い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され;および
末端部分3の3’末端のヌクレオチド配列と末端部分3に対応する部分の5’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され、かつ末端部分4の5’末端のヌクレオチド配列と末端部分4に対応する部分の3’末端のヌクレオチド配列との間で安定性が高い塩基対群(例えば、2~10塩基対)が形成され、
一体型核酸複合体Eおよび一体型核酸複合体Fのいずれか一つのみが核酸タンパク質結合配列を有するように変異が導入された(ここで、変異は、タンパク質結合配列に、相補鎖間でずらして導入され、変異の数は、1~5個である。)
一体型核酸複合体の構造変化の程度を測定することを含んでなる、本発明による検出方法が提供される。より好ましい態様としては、構造変化の程度が、蛍光共鳴エネルギー転移を利用して測定される、本発明による検出方法が提供される。
【0150】
核酸結合タンパク質
本願明細書において、「核酸結合タンパク質」は、核酸に結合するタンパク質であれば特に限定されず、例えば、転写因子、構造タンパク質、修復酵素、分岐結合タンパク質、組み換え酵素、ポリメラーゼ、RNA結合タンパク質、一本鎖DNA結合タンパク質、DNAまたはRNA切断酵素等が挙げられる。
【0151】
転写因子としては、例えば、TFIIID、NFκB、p53やAP1等が挙げられる。
【0152】
構造タンパク質としては、例えば、テロメアDNA結合タンパク質(例えば、ヒトTRF1、TRF2、POT1等)等が挙げられる。
【0153】
修復酵素はミスマッチ結合タンパク質であり、例えば、大腸菌MutS、ヒトMSH2、MSH6等が挙げられる。
【0154】
分岐結合タンパク質としては、例えば、大腸菌RuvAが挙げられる。
【0155】
組換えに関わる酵素としては、例えば、大腸菌RecA、酵母Rad51等が挙げられる。
【0156】
ポリメラーゼとしては、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ等が挙げられる。
【0157】
RNA結合タンパク質としては、例えば、スプライソソーム複合体に含まれるU1snRNP、U2snRNP、U6snRNP、あるいはポリA結合タンパク質、RNA修飾酵素、RISC複合体等が挙げられる。
【0158】
一本鎖DNA結合タンパク質としては、大腸菌SSB、ヒトRPA等が挙げられる。一本鎖DNA結合タンパク質は、例えば、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bの少なくとも一方の一本鎖部分に結合し、核酸二本鎖複合体の形成を阻害する。
【0159】
DNAまたはRNA切断酵素としては、例えば、制限酵素(例えば、EcoRI、HindIII等)、ニッキング酵素、Dicer等が挙げられる。一本鎖あるいは二本鎖の切断によって核酸二本鎖複合体の形成あるいはその後の構造変化が阻害される。
【0160】
核酸結合タンパク質は、精製されたものを使用してもよいし、細胞抽出液を使用してもよい。
【0161】
検出方法
第一の態様
末端に一本鎖部分を有する核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bは、それぞれの末端配列が互いに結合して核酸二本鎖複合体が形成され、続いて、構造変化が生じ、新たな核酸二本鎖Cおよび核酸二本鎖Dが形成される。新たに形成された核酸二本鎖Cおよび核酸二本鎖Dは、それらの末端配列において互いに結合して複合体を形成することはない。しかし、核酸結合タンパク質が核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bに結合すると、このような核酸二本鎖複合体の形成や、続く新たな核酸二本鎖の形成が阻害される。従って、核酸と核酸結合タンパク質との結合は、核酸二本鎖複合体の構造変化の程度を指標にして、具体的には、核酸二本鎖および/または核酸二本鎖複合体の量を指標として、検出することができる。
【0162】
核酸と核酸結合タンパク質との結合は、下記工程を実施することにより検出することができる:
(i)核酸結合タンパク質と、核酸二本鎖Aと、核酸二本鎖Bとを接触させる工程;および
(ii)核酸二本鎖複合体の構造変化の程度を測定する工程。
【0163】
具体的には、工程(ii)において、核酸A1と核酸B1とからなる核酸二本鎖(核酸二本鎖C)および/または核酸A2と核酸B2とからなる核酸二本鎖(核酸二本鎖D)の量を測定することにより核酸二本鎖複合体の構造変化の程度を測定することができる。
【0164】
測定した量を、核酸結合タンパク質の非存在下での核酸二本鎖Cおよび/または核酸二本鎖Dの量と比較する工程を更に含んでいてもよい。この場合、核酸結合タンパク質の存在下での核酸二本鎖Cおよび/または核酸二本鎖Dの形成量が、核酸結合タンパク質の非存在下での形成量を下回る場合に、核酸結合タンパク質が核酸に結合すると判定できる。
【0165】
また、工程(ii)において、核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量を測定することにより核酸二本鎖複合体の構造変化の程度を測定することもできる。
【0166】
測定した量を、核酸結合タンパク質の非存在下での核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量と比較する工程を更に含んでいてもよい。この場合、核酸結合タンパク質の存在下での核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量が、核酸結合タンパク質の非存在下での量を上回る場合に、核酸結合タンパク質が核酸に結合すると判定できる。
【0167】
ここで、「核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量」は、核酸二本鎖複合体における核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量も含まれる。
【0168】
本発明による第一の態様の検出方法において「接触させる工程」は、核酸二本鎖A、核酸結合タンパク質および核酸二本鎖Bは、全てを同時に混合してもよいし、核酸二本鎖Aと核酸結合タンパク質を混合した後に核酸二本鎖Bを加えてもよい。
【0169】
本発明による第一の態様の検出方法において、構造変化は、核酸二本鎖Aおよび核酸二本鎖Bのうち、いずれか一方の核酸二本鎖を他方の核酸二本鎖に対して過剰量とすることにより効率を上げることができる。また、構造変化が起こるのを阻害しない適切な配列を選択することにより、等量でも十分な効率の構造変化を起こすことができる。
【0170】
第二の態様
一体型核酸複合体Eは、核酸複合体Gと核酸複合体Hとが互いに結合して核酸複合体が形成されたものである。一体型核酸複合体Fは、核酸複合体Iと核酸複合体Jとが互いに結合して核酸複合体が形成されたものである。一体型核酸複合体Eは、核酸複合体Gと核酸複合体Hとの間の鎖交換反応により、新たに、核酸複合体Iと核酸複合体Jとからなる一体型核酸複合体Fに変換される。また、一体型核酸複合体Fも、核酸複合体Iと核酸複合体Jとの間の鎖交換反応により、新たに、核酸複合体Gと核酸複合体Hとからなる一体型核酸複合体Eに変換される。このような一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fとの間の構造変化は可逆的に繰り返される。しかし、核酸結合タンパク質が核酸複合体G、核酸複合体H、核酸複合体I、あるいは核酸複合体Jのいずれかに結合すると、このような可逆的な構造変化は阻害され、一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fのいずれかの構造で安定化される。
【0171】
この時、一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fとが異なる値を示すような標識(例えば、核酸G1と核酸G2、核酸G1と核酸H1、核酸G1と核酸H2、核酸G2と核酸H1、核酸G2と核酸H2、あるいは核酸H1と核酸H2にそれぞれ、例えば、蛍光標識と消光標識をする)をすると、構造の安定化に伴い、標識の値も安定化(すなわち、標識の値の上昇または低下)される。
【0172】
従って、核酸と核酸結合タンパク質との結合は、一体型核酸複合体の構造変化の程度を指標にして、具体的には、一体型核酸複合体Eあるいは一体型核酸複合体Fの量を指標として、検出することができる。第2の態様の検出の一態様を図12に示す。
【0173】
核酸と核酸結合タンパク質との結合は、下記工程を実施することにより検出することができる:
(iii)核酸結合タンパク質と、一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fとを接触させる工程;および
(iv)一体型核酸複合体の構造変化の程度を測定する工程。
【0174】
具体的には、工程(iv)において、目的の一体型核酸複合体の量を測定することにより核酸複合体の構造変化の程度を測定することができる。
【0175】
例えば、核酸結合タンパク質が核酸複合体Gまたは核酸複合体Hに結合するように設計した場合、一体型核酸複合体Eの量から核酸に結合された核酸結合タンパク質の量を判定することができる。あるいは、核酸結合タンパク質が核酸複合体Iまたは核酸複合体Jに結合するように設計した場合、一体型核酸複合体Fの量から核酸に結合された核酸結合タンパク質の量を判定することができる。
【0176】
本発明による第二の態様の検出方法において「接触させる工程」は、一体型核酸複合体Fまたは一体型核酸複合体Gと核酸結合タンパク質とは、同時に混合することができる。
【0177】
本発明による第二の態様の検出方法によれば、予め調製しておいた核酸複合体とタンパク質を混合するだけでよいことから、操作ステップの減少や煩雑さによる操作ミスを低減するなどの操作性の向上が期待できる点で有利である。
【0178】
本発明による検出方法において、核酸結合タンパク質は、そのエフェクター分子(タンパク質)ととともに接触させてもよい。
【0179】
本発明による検出方法によれば、得られた核酸の形成量から、核酸と核酸結合タンパク質との結合能を算出することもできる。
【0180】
本発明による検出方法によれば、結合配列が知られていない核酸結合タンパク質について、本願発明の検出方法を利用して特定の配列に結合することができるか否かを判定することにより、核酸結合タンパク質の結合配列を決定することができる。
【0181】
本発明による検出方法によれば、結合されるタンパク質が知られていない配列について、本願発明の検出方法を利用して被験タンパク質が目的の配列に結合することができるか否かを判定することにより、目的の結合配列に結合する核酸結合タンパク質を同定することができる。
【0182】
本発明による検出方法において、構造変化は触媒を必要とする反応ではないが(例えば、第一の態様であれば、それぞれの末端に、互いに結合することができる一本鎖部分を有する核酸二本鎖を接触させれば起こる)、例えば、大腸菌のRuvBタンパク質などの触媒を用いて反応を促進することもできる。
【0183】
本発明による検出方法は、ハイブリダイゼーションを促進させる物質(例えば、ポリエチレングリコールやデキストラン硫酸等)の存在下で行ってもよい。また、タンパク質やDNAの吸着防止や保護効果のある物質(例えば、ウシ血清アルブミン、無関係なDNA等)の存在下で行ってもよい。
【0184】
本願発明による検出方法は、使用される核酸結合タンパク質に適した温度で行うことができる。DNA結合タンパク質の検出は、一般的には20℃~30℃で行われるが、好熱性のタンパク質の場合はより高温で行うことができる。
【0185】
核酸二本鎖、核酸二本鎖複合体、核酸複合体の量を測定する方法としては、当業者に知られている原理や方法であればいずれも使用でき、例えば、放射性標識、蛍光標識、電気泳動、蛍光共鳴エネルギー転移などを利用した方法が挙げられる。好ましくは、蛍光標識や蛍光共鳴エネルギー転移を利用した方法、より好ましくは、過剰な標識を除去するための洗浄操作や電気泳動を必要としないアッセイを可能とする蛍光共鳴エネルギー転移を利用した方法により、核酸二本鎖、核酸二本鎖複合体、核酸複合体の量を測定することができる。
【0186】
第一の態様によれば、例えば、核酸A1の5’末端を蛍光物質で標識し、核酸B1の3’末端は前記蛍光物質を消光する物質で標識することができる。この場合、核酸A1が核酸二本鎖Aを形成している時は蛍光を発するが、核酸A1が核酸B1とハイブリダイズし、新たに核酸二本鎖Cを形成すると、核酸B1の標識によって消光されることから、蛍光値を測定することにより、容易に核酸二本鎖Aの量を測定することができる。
【0187】
また、核酸A1の5’末端を蛍光物質で標識し、核酸A2の3’末端を前記蛍光物質を消光できる物質で標識することができる。この場合、核酸A1が核酸二本鎖Aを形成している時は消光されるが、核酸A1が核酸B1とハイブリダイズし、新たに核酸二本鎖Cを形成すると、蛍光を発することができることから、蛍光値を測定することにより、核酸二本鎖Cの量を測定することができる。
【0188】
核酸A1、核酸A2、核酸B1、核酸B2のうち、いずれの核酸が標識されてもよく、標識の位置は、核酸の内部であっても末端であってもよいが、好ましくは、末端である。
【0189】
第二の態様によれば、例えば、核酸G1のうち、第五のヌクレオチド配列の3’末端を蛍光物質で標識し、核酸G2のうち、第五のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端は前記蛍光物質を消光する物質で標識することができる。この場合、核酸G1が核酸複合体Gを形成している時は消光されるが、核酸G1が核酸複合体Iを形成すると、核酸G1の標識によって蛍光を発することから、蛍光値を測定することにより、容易に一本鎖核酸複合体Eまたは一本鎖核酸複合体Fの量を測定することができる。消光物質と蛍光物質は入れ替えることもできる。
【0190】
また、核酸G1のうち、第五のヌクレオチド配列の3’末端を蛍光物質で標識し、核酸H2のうち、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の3’末端は前記蛍光物質を消光できる物質で標識することができる。この場合、核酸G1が核酸複合体Gを形成している時は消光されるが、核酸G1が核酸複合体Iを形成すると、蛍光を発することができることから、蛍光値を測定することにより、容易に一本鎖核酸複合体Eまたは一本鎖核酸複合体Fの量を測定することができる。消光物質と蛍光物質は入れ替えることもできる。
【0191】
さらに、核酸G1のうち、第五のヌクレオチド配列の5’末端を蛍光物質で標識し、核酸H2のうち、第六のヌクレオチド配列に対応する配列の5’末端は前記蛍光物質を消光できる物質で標識することができる。この場合、核酸G1が核酸複合体Gを形成している時は蛍光を発することができるが、核酸G1が核酸複合体Iを形成すると、消光することから、蛍光値を測定することにより、容易に一本鎖核酸複合体Eまたは一本鎖核酸複合体Fの量を測定することができる。消光物質と蛍光物質は入れ替えることもできる。
【0192】
核酸G1(好ましくは、第五のヌクレオチド配列)、核酸G2(好ましくは、第五のヌクレオチド配列に対応する配列)、核酸H1(好ましくは、第六のヌクレオチド配列)、核酸H2(好ましくは、第六のヌクレオチド配列に対応する配列)のうち、いずれの核酸が標識されてもよく、標識の位置は、核酸の内部であっても末端であってもよいが、構造変化の前後で標識の距離の差異が大きくなるような位置であることが好ましい。
【0193】
蛍光標識としては、例えば、フルオレセイン、TAMRA、HEX、TET、JOE、Cy5、Cy3、Alexaシリーズ(モレキュラープローブ社)、蛍光緑色タンパク質(GFP)等が挙げられるが、好ましくは、フルオレセイン、TAMRA、HEX、TET、JOE、Cy5、Cy3、Alexaシリーズである。
【0194】
消光物質としては、例えば、DABCYL、TAMRA、BHQ(モレキュラープローブ社)等が挙げられ、使用される蛍光物質に応じて、適宜選択することができる。
【0195】
蛍光共鳴エネルギー転移は消光ではなく、蛍光波長のシフトとしても利用することができる。この蛍光エネルギー転移は、蛍光分光光度計、リアルタイムPCR装置あるいは蛍光プレートリーダーなどの汎用される装置で測定することができる。
【0196】
ミスマッチの導入
ヌクレオチド鎖交換反応において、ヌクレオチド配列にミスマッチが導入されると鎖交換効率が低下することが知られている(Panyutin IG et al. J. Mol. Biol. 1993 230 413-424)。しかし、本発明者らは、核酸複合体に用いられる核酸にミスマッチを導入することにより、鎖交換効率を大きく低下させることなく、核酸結合タンパク質による鎖交換反応の抑制効果を増強できることを見出した(実施例4)。また、ミスマッチの導入を利用して核酸結合タンパク質の検出を行うと、S/N比が向上することも見出された(実施例4)。
【0197】
ミスマッチ導入により鎖交換反応の抑制効果が増強され、また、S/N比が向上することは、本発明による検出方法やスクリーニング方法において、少量のタンパク質でアッセイが可能となるため、コストを削減できる点で有利である。特に、生体内のタンパク質の検出においては、貴重な試料を節約できるとともに、測定範囲が広がることで詳細な解析が可能となる点で有利である。
【0198】
ミスマッチは、鎖交換反応において交換後に相補鎖となる核酸鎖の間にミスマッチが存在するように導入される。
【0199】
例えば、核酸二本鎖複合体の場合、核酸A1のヌクレオチド配列(好ましくは、第一のヌクレオチド配列)における、核酸B1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;核酸B1のヌクレオチド配列(好ましくは、第四のヌクレオチド配列)における、核酸A1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;核酸A2のヌクレオチド配列(好ましくは、第一のヌクレオチド配列に対応する配列)における、核酸B2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;および核酸B2のヌクレオチド配列(好ましくは、第四のヌクレオチド配列に対応する配列)における、核酸A2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基から選択されるミスマッチ塩基を単独でまたは組み合わせて導入することができる。
【0200】
この場合、ミスマッチの導入位置は、鎖交換が行われる配列であれば、鎖交換効率を大きく損なわないかぎり特に制限されないが、好ましくは、核酸タンパク質結合配列以外の配列である。
【0201】
この場合、ミスマッチの数は、鎖交換効率を大きく損なわない限り特に制限されないが、例えば、第一のヌクレオチド配列は第四のヌクレオチド配列と、第四のヌクレオチド配列は第一のヌクレオチド配列と、第一のヌクレオチド配列に対応する配列は第四のヌクレオチド配列に対応する配列と、第四のヌクレオチド配列に対応する配列は第一のヌクレオチド配列に対応する配列と、それぞれ、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは、95%以上、さらにより好ましくは、98%以上、特に好ましくは、99%以上の相補性を有するような数で導入することができる。
【0202】
この場合、ミスマッチを形成する塩基は、核酸二本鎖複合体において、核酸A1、核酸A2、核酸B1、核酸B2のいずれの核酸にも単独でまたは組み合わせて導入することができるが、好ましくは、第一のヌクレオチド配列と第四のヌクレオチド配列との間、および/または第一のヌクレオチド配列に対応する配列と第四のヌクレオチド配列に対応する配列との間、より好ましくは、第一のヌクレオチド配列と第四のヌクレオチド配列との間、および第一のヌクレオチド配列に対応する配列と第四のヌクレオチド配列に対応する配列との間にミスマッチが形成されるように導入される。
【0203】
この場合、ミスマッチを形成する塩基は、鎖交換前の相補鎖間でずらして導入することもできるし、同じ箇所に導入することもできるが、好ましくは、鎖交換前の相補鎖において、同じ箇所に導入される。
【0204】
核酸二本鎖複合体の場合の好ましい態様としては、第一のヌクレオチド配列と第四のヌクレオチド配列との間、および第一のヌクレオチド配列に対応する配列と第四のヌクレオチド配列に対応する配列との間に、第一のヌクレオチド配列と第四のヌクレオチド配列との相補性および第一のヌクレオチド配列に対応する配列と第四のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性が、それぞれ、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは、95%以上、さらにより好ましくは、98%以上、特に好ましくは、99%以上の相補性を有するような数のミスマッチが導入される。
【0205】
一体型複合体の場合、核酸G1のヌクレオチド配列(好ましくは、第五のヌクレオチド配列)における、核酸H1のヌクレオチド配列あるいは核酸G2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;核酸G2のヌクレオチド配列(好ましくは、第五のヌクレオチド配列に対応する配列)における、核酸H2のヌクレオチド配列あるいは核酸G1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;核酸H1のヌクレオチド配列(好ましくは、第六のヌクレオチド配列)における、核酸G1のヌクレオチド配列あるいは核酸H2のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基;および核酸H2のヌクレオチド配列(好ましくは、第六のヌクレオチド配列に対応する配列)における、核酸G2のヌクレオチド配列あるいは核酸H1のヌクレオチド配列に対する1以上のミスマッチ塩基から選択されるミスマッチ塩基を単独でまたは組み合わせて導入することができる。
【0206】
この場合、ミスマッチの導入位置は、鎖交換が行われる配列であれば、鎖交換効率を大きく損なわないかぎり特に制限されないが、好ましくは、核酸タンパク質結合配列以外の配列である。
【0207】
この場合、ミスマッチの数は、鎖交換効率を大きく損なわない限り特に制限されないが、例えば、第五のヌクレオチド配列は第六のヌクレオチド配列と、第六のヌクレオチド配列は第五のヌクレオチド配列と、第五のヌクレオチド配列に対応する配列は第六のヌクレオチド配列に対応する配列と、第六のヌクレオチド配列に対応する配列は第五のヌクレオチド配列に対応する配列と、第五のヌクレオチド配列は第五のヌクレオチド配列に対応する配列と、第五のヌクレオチド配列に対応する配列は第五のヌクレオチド配列と、第六のヌクレオチド配列は第六のヌクレオチド配列に対応する配列と、第六のヌクレオチド配列に対応する配列は第六のヌクレオチド配列と、それぞれ、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは、95%以上、さらにより好ましくは、98%以上、特に好ましくは、99%以上の相補性を有するような数を導入することができる。
【0208】
この場合、ミスマッチを形成する塩基は、核酸複合体において、核酸G1、核酸G2、核酸H1、核酸H2のいずれの核酸にも単独でまたは組み合わせて導入することができるが、好ましくは、第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列との間、および/もしくは第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との間、または、第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列との間、および/もしくは第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との間、より好ましくは、第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列との間、および第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との間、または、第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列との間、および第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との間にミスマッチが形成されるように導入されることが好ましい。ここで、ミスマッチを形成する塩基は、可逆的な構造変化が、一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fのうち、タンパク質結合配列を有さない一体型核酸複合体に寄るように導入されることが好ましい。従って、一体型核酸複合体Eがタンパク質結合配列を有するように設計されている場合は、第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列との間、および/もしくは第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との間にミスマッチが形成されるように導入されることが好ましい。
【0209】
一体型複合体の場合の好ましい態様として、第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列との間、および第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との間に、第五のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列との相補性および第五のヌクレオチド配列に対応する配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性が、それぞれ、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは、95%以上、さらにより好ましくは、98%以上、特に好ましくは、99%以上の相補性を有するような数のミスマッチ、並びに、第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列に対応する配列との間、および第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との間に、第五のヌクレオチド配列と第五のヌクレオチド配列との相補性および第六のヌクレオチド配列と第六のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性が、それぞれ、90%以上、好ましくは92%以上、より好ましくは、95%以上、さらにより好ましくは、98%以上、特に好ましくは、99%以上の相補性を有するような数のミスマッチが導入される。
【0210】
マルチプレックス検出
本願発明の検出方法によれば、複数の核酸複合体を用いて、核酸結合タンパク質の核酸への結合を複数同時に検出することができる(マルチプレックス検出)。
【0211】
マルチプレックス検出は、核酸結合タンパク質の阻害剤などのスクリーニングにおいてその効率を上げることができる。標的以外のタンパク質への影響は、副作用の原因となるため、できるだけ早い段階で影響が小さいことを確認する必要がある。マルチプレックス検出によれば、薬剤の標的タンパク質への効果を調べると同時に、他のタンパク質への影響も調べることが可能になる。
【0212】
マルチプレックス検出は、また、細胞内に存在する複数のタンパク質への結合活性を測定することできるため、細胞内で起きている生命現象をより詳細に把握することができる。マルチプレックス検出によれば、翻訳後修飾や他のタンパク質との相互作用で核酸結合活性が変化することが知られている核酸結合タンパク質について、より詳細な知見を得ることができる。
【0213】
マルチプレックスな検出方法において使用される核酸の配列は、複数の核酸複合体が独立して構造変化が生ずるかぎり特に限定されず、一つの核酸複合体に係る反応系の各核酸の配列については、他の反応系の核酸同士の結合や核酸複合体の構造変化に影響を与えないように設計することができる。
【0214】
核酸二本鎖複合体を使用するマルチプレックス検出について、例えば、各反応系における第一乃至第四のヌクレオチド配列およびそれらに対応する配列、並びに他の反応系における核酸のヌクレオチド配列は、以下のように設計することができる。
【0215】
各反応系における第一のヌクレオチド配列は、該第一のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上、特に好ましくは、98%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0216】
各反応系における第四のヌクレオチド配列は、該第四のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上、特に好ましくは、98%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0217】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。
【0218】
各反応系における第一のヌクレオチド配列は、該第一のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、各反応系における第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、該第一のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0219】
各反応系における第四のヌクレオチド配列は、該第四のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、各反応系における第四のヌクレオチド配列に対応する配列は、該第四のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0220】
各反応系における第一のヌクレオチド配列は、該第一のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上高くなるように選択することができる。
【0221】
各反応系における第四のヌクレオチド配列は、該第四のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上高くなるように選択することができる。
【0222】
各反応系における第二のヌクレオチド配列は、該第二のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上、特に好ましくは、98%以上の相補性を有するように選択することができる。一方、各反応系における第二のヌクレオチド配列は、同一反応系における第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列との相補性が、それぞれ50%未満、より好ましくは30%未満、特に好ましくは20%未満となるように選択することができる。また、各反応系における第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列との相補性が、それぞれ50%未満、より好ましくは30%未満、特に好ましくは20%未満となるように選択することができる。
【0223】
各反応系における第三のヌクレオチド配列は、該第三のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上、特に好ましくは、98%以上の相補性を有するように選択することができる。一方、各反応系における第三のヌクレオチド配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列との相補性が、それぞれ50%未満、より好ましくは30%未満、特に好ましくは20%未満となるように選択することができる。また、各反応系における第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列との相補性、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列との相補性が、それぞれ50%未満、より好ましくは30%未満、特に好ましくは20%未満となるように選択することができる。
【0224】
各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。
【0225】
各反応系における第二のヌクレオチド配列は、該第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、各反応系における第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、該第二のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0226】
一方、各反応系における第二のヌクレオチド配列は、同一反応系における第三のヌクレオチド配列および第三のヌクレオチド配列に対応する配列、並びに他の反応系における核酸のヌクレオチド配列のいずれかの相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。また、各反応系における第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第三のヌクレオチド配列および第三のヌクレオチド配列に対応する配列、並びに他の反応系における核酸のヌクレオチド配列のいずれかの相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。加えて、各反応系における第三のヌクレオチド配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。また、各反応系における第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。さらに、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列は、各反応系における第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。
【0227】
各反応系における第三のヌクレオチド配列は、該第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、各反応系における第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、該第三のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0228】
一方、各反応系における第三のヌクレオチド配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列および第二のヌクレオチド配列に対応する配列、並びに他の反応系における核酸のヌクレオチド配列のいずれかの相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。また、各反応系における第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列および第二のヌクレオチド配列に対応する配列、並びに他の反応系における核酸のヌクレオチド配列のいずれかの相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。加えて、各反応系における第二のヌクレオチド配列は、各反応系における第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。各反応系における第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、各反応系における第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。さらに、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列は、各反応系における第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続するヌクレオチドを含んでいてもよいが、そのヌクレオチドの個数は、最大で4個、好ましくは、3個以下、より好ましくは、2個以下である。
【0229】
各反応系における第二のヌクレオチド配列は、該第二のヌクレオチド配列に対応する配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上高くなるように選択することができる。一方、各反応系における第二のヌクレオチド配列は、同一反応系における第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列のTm値、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列との間のTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上低くなるように選択することができる。また、各反応系における第二のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第三のヌクレオチド配列や、第三のヌクレオチド配列に対応する配列のTm値、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列との間のTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上低くなるように選択することができる。
【0230】
各反応系における第三のヌクレオチド配列は、該第三のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上高くなるように選択することができる。一方、各反応系における第三のヌクレオチド配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列とのTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上低くなるように選択することができる。また、各反応系における第三のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第二のヌクレオチド配列や、第二のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値、他の反応系における核酸のヌクレオチド配列とのTm値が、それぞれ、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上低くなるように選択することができる。
【0231】
各反応系における第一のヌクレオチド配列は、同一反応系における第四のヌクレオチド配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上、特に好ましくは、98%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0232】
各反応系における第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第四のヌクレオチド配列に対応する配列と70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは、90%以上、さらに好ましくは、95%以上、特に好ましくは、98%以上の相補性を有するように選択することができる。
【0233】
各反応系における各ヌクレオチド配列と70%以上の相補性を有する配列は、好ましくは、各ヌクレオチド配列の相補配列である。
【0234】
各反応系における第一のヌクレオチド配列は、同一反応系における第四のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、各反応系における第四のヌクレオチド配列は、同一反応系における第一のヌクレオチド配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0235】
各反応系における第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第四のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。また、各反応系における第四のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第一のヌクレオチド配列に対応する配列の相補配列の連続する少なくとも5個、好ましくは、少なくとも10個、より好ましくは、少なくとも15個、さらに好ましくは、少なくとも20個、特に好ましくは、少なくとも25個、最も好ましくは、少なくとも30個のヌクレオチドを含んでなるように選択することができる。
【0236】
各反応系における第一のヌクレオチド配列は、同一反応系における第四のヌクレオチド配列との間のTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上高くなるように選択することができる。
【0237】
各反応系における第一のヌクレオチド配列に対応する配列は、同一反応系における第四のヌクレオチド配列に対応する配列とのTm値が、反応温度より5℃以上、好ましくは、10℃以上、より好ましくは、15℃以上、さらに好ましくは、20℃以上、特に好ましくは、25℃以上高くなるように選択することができる。
【0238】
一体型核酸複合体を使用するマルチプレックス検出については、他の反応系の影響が少ないため、当業者であれば、使用されるヌクレオチド配列(例えば、第五のヌクレオチド配列、第六のヌクレオチド配列、末端部分1~4のヌクレオチド配列、およびこれらに対応する配列)を適宜選択することができる。
【0239】
マルチプレックスな検出方法において使用される標識は、他の核酸二本鎖複合体の構造変化と十分に区別でき、かつ十分な蛍光共鳴エネルギー転移を得られるかぎり特に限定されないが、好ましくは、フルオレセイン(蛍光物質)とDABCYL(消光物質)との組み合わせ、Cy3(蛍光物質)とBHQ1(消光物質)との組み合わせである。
【0240】
複数の反応において使用される核酸結合タンパク質の結合部位は、異なるタンパク質の結合部位であってもよいし、同じタンパク質の異なる結合部位であってもよい。
【0241】
異なるタンパク質の場合、たとえば、タンパク質の阻害剤スクリーニングにおいて、このタンパク質と近縁であるが阻害効果を望まないタンパク質を同時にアッセイすることで、特異性の高い薬剤の取得が容易になる。
【0242】
また、同じタンパク質の異なる結合部位へのタンパク質結合を同時に測定することで、そのタンパク質の核酸への結合特性をより詳細に知ることができる。
【0243】
スクリーニング方法
第一の態様
核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bに核酸結合タンパク質が結合すると、核酸二本鎖複合体の形成や、続く新たな核酸二本鎖Cおよび/または核酸二本鎖Dの形成が阻害される。従って、被験物質の存在下および非存在下において、本願発明の検出方法を実施し、構造変化の程度を比較することにより、被験物質が核酸結合タンパク質の核酸への結合を阻害したか否か、または促進したか否かを判定することができる。
【0244】
被験物質の存在下での核酸二本鎖Cおよび/または核酸二本鎖Dの形成量が、被験物質の非存在下での形成量を上回る場合に、該被験物質を、核酸結合タンパク質の結合阻害剤と判定できる。また、被験物質の存在下での核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量が、被験物質の非存在下での量を下回る場合に、該被験物質を、核酸結合タンパク質の結合阻害剤と判定できる。
【0245】
一方、被験物質の存在下での核酸二本鎖Cおよび/または核酸二本鎖Dの形成量が、被験物質の非存在下での形成量を下回る場合に、該被験物質を、核酸結合タンパク質の結合促進剤と判定できる。また、被験物質の存在下での核酸二本鎖Aおよび/または核酸二本鎖Bの量が、被験物質の非存在下での量を上回る場合に、該被験物質を、核酸結合タンパク質の結合促進剤と判定できる。
【0246】
第二の態様
一体型核酸複合体E、一体型核酸複合体Fのいずれかに核酸結合タンパク質が結合すると、一体型核酸複合体Eと一体型核酸複合体Fとの間の構造変化が阻害され、いずれかの一体型核酸複合体に核酸結合タンパク質が結合された状態で安定化される。従って、被験物質の存在下および非存在下において、本願発明の検出方法を実施し、核酸結合タンパク質が結合されるように設計された一体型核酸複合体の量を比較することにより、被験物質が核酸結合タンパク質の核酸への結合を阻害したか否か、または促進したか否かを判定することができる。
【0247】
被験物質の存在下での一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fの量が、被験物質の非存在下での量を下回る場合に、該被験物質を、核酸結合タンパク質の結合阻害剤と判定できる。また、被験物質の存在下での一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fの量が、被験物質の非存在下での量を上回る場合に、該被験物質を、核酸結合タンパク質の結合促進剤と判定できる。
【0248】
本発明によるスクリーニング方法において、「被験物質」は、阻害剤または促進剤としてのあらゆる候補物質を意味するが、好ましくは、低分子化合物である。
【0249】
本発明によるスクリーニング方法は、被験物質が、標的の核酸結合タンパク質の結合に作用するのであって、核酸への非特異的な作用によって鎖交換に影響を与えたのではないことを確認するために、標的の核酸結合タンパク質とは結合しない核酸セットを、陰性コントロールとして使用できることが確認された(実施例5)。
【0250】
具体的には、本発明によるスクリーニング方法において、被験物質の標的となる核酸結合タンパク質とは結合しない核酸からなる核酸複合体の構造変化の程度を測定すること、をさらに含んでなることができる。
【0251】
陰性コントロールの検出方法としては、第一の態様の検出方法であっても、第二の態様の検出方法であってもよい。目的のスクリーニングが、第一の態様の検出方法を使用している場合に、第二の態様の検出方法を、あるいは、目的のスクリーニングが、第二の態様の検出方法を使用している場合に、第一の態様の検出方法を使用してもよいが、目的のスクリーニングと同じ検出方法を使用することが好ましい。
【0252】
本発明によるスクリーニング法は、ゲルシフトアッセイ法等を用いなくても、簡便かつ迅速に、被験物質の阻害効果を測定できる点で有利である。
【0253】
キット
本発明によれば、本発明による検出方法または本発明によるスクリーニング方法を実施するための検出キットが提供される。
【0254】
第一の態様
本発明による検出キットとしては、本発明による検出方法を実施するための検出キットが挙げられ、具体的には、核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出するためのキットであって、末端配列において結合し得る核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bとを少なくとも含んでなるキットが挙げられる。この核酸二本鎖は標識したものであってもよい。この検出キットは、目的の核酸結合タンパク質を更に含んでいてもよい。また、この検出キットは、核酸二本鎖複合体の構造変化の阻害の程度を測定することにより核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出する。従って、所望により、核酸二本鎖複合体の構造変化の阻害の程度を測定するための種々の試薬、例えば、反応用緩衝液、陽性標準物質、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。
【0255】
本発明による検出キットとしては、また、本発明によるスクリーニング方法を実施するための検出キットが挙げられ、具体的には、核酸結合タンパク質の阻害剤または促進剤をスクリーニングするためのキットであって、末端配列において結合し得る核酸二本鎖Aと核酸二本鎖Bとを少なくとも含んでなるキットが挙げられる。この核酸二本鎖は標識したものであってもよい。この検出キットは、目的の核酸結合タンパク質を更に含んでいてもよい。また、この検出キットは、核酸二本鎖複合体の構造変化の阻害の程度を測定することにより核酸結合タンパク質の阻害剤または促進剤をスクリーニングする。従って、所望により、核酸二本鎖複合体の構造変化の阻害の程度を測定するための種々の試薬、例えば、反応用緩衝液、陽性標準物質、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。また、陰性コントロールとして使用するための核酸二本鎖や一体型核酸複合体を更に含むことができる。
【0256】
第二の態様
本発明による検出キットとしては、本発明による検出方法を実施するための検出キットが挙げられ、具体的には、核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出するためのキットであって、一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fを少なくとも含んでなるキットが挙げられる。この一体型核酸複合体は標識したものであってもよい。この検出キットは、目的の核酸結合タンパク質を更に含んでいてもよい。また、この検出キットは、一体型核酸複合体の構造変化の阻害の程度を測定することにより核酸と核酸結合タンパク質との結合を検出する。従って、所望により、一体型核酸複合体の構造変化の阻害の程度を測定するための種々の試薬、例えば、反応用緩衝液、陽性標準物質、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。
【0257】
本発明による検出キットとしては、また、本発明によるスクリーニング方法を実施するための検出キットが挙げられ、具体的には、核酸結合タンパク質の阻害剤または促進剤をスクリーニングするためのキットであって、一体型核酸複合体Eまたは一体型核酸複合体Fを少なくとも含んでなるキットが挙げられる。この一体型核酸複合体は標識したものであってもよい。この検出キットは、目的の核酸結合タンパク質を更に含んでいてもよい。また、この検出キットは、一体型核酸複合体の構造変化の阻害の程度を測定することにより核酸結合タンパク質の阻害剤または促進剤をスクリーニングする。従って、所望により、一体型核酸複合体の構造変化の阻害の程度を測定するための種々の試薬、例えば、反応用緩衝液、陽性標準物質、説明書、および/または器具などを更に含むことができる。また、陰性コントロールとして使用するための核酸二本鎖や一体型核酸複合体を更に含むことができる。
【0258】
第二の態様のキットは、操作性の向上に加え、試薬コンポーネントの減少によるコスト削減が期待できる点で有利である。
【実施例】
【0259】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0260】
実施例1:NFκB p50を用いた結合量の検討
NFκB p50はループ型(Relファミリー)に属するDNA結合配列を持つ転写因子であり、NFκB結合配列(例えば、5’-GGGACTTTCC-3’)に結合することが知られている。
【0261】
(1)二本鎖の調製
5’末端を6-FAMで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-01-5Fと合成オリゴヌクレオチドNFkB-14、3’末端をDABCYLで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-02-3Dと合成オリゴヌクレオチドNFkB-13をそれぞれ20μLの二本鎖形成溶液(10mM HEPES-NaOH (pH7.9)、50mM KCl、30mM NaCl、0.1mM EDTA、2.5mM DTT、10% Glycerol、0.05 % IGEPAL CA-630)中に混合して、加熱変性とアニーリングによって末端に一本鎖を持つ二本鎖01F/14および02D/13を調製した。合成オリゴヌクレオチドは全て20pmol使用した。なお、以後すべての標識については、日本バイオサービス社に合成を依頼して作製されたものを使用した。
【0262】
加熱変性とアニーリングは以下の温度条件で行った。
95℃ 120秒 - 90℃ 30秒 - 85℃ 90秒 - 80℃ 90秒 - 77℃ 90秒 - 75℃ 90秒 - 72℃ 90秒 - 70℃ 90秒 - 67℃ 90秒 - 65℃ 90秒 - 62℃ 90秒 - 60℃ 90秒 - 57℃ 90秒 - 55℃ 90秒 - 52℃ 90秒 - 50℃ 90秒 - 47℃ 90秒 - 45℃ 90秒 - 42℃ 90秒 - 40℃ 90秒 - 37℃ 90秒 - 35℃ 90秒 - 32℃ 90秒 - 30℃ 90秒
【0263】
使用した各配列は以下の通りである。
【表1】
JP0005652850B2_000003t.gif

【0264】
下線部はNFκB結合配列であり、斜体は二本鎖において一本鎖になる配列である。
【0265】
(2)NFκB p50結合の検出
0.28pmolの二本鎖01F/14と各濃度の組み換えヒトNFκB p50(プロメガ社)を20μLの反応溶液(12mM HEPES-NaOH pH7.9 、50mM KCl、0.1 mM EDTA、30.5mM DTT、11% glycerol、0.06% IGEPAL CA-630、5mM NaCl、0.05 mM PMSF、1μM ZnSO)中に混合し、25℃で30分間反応させた。その後氷上で5分間静置し、NFκB結合溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9、50mM KCl、0.1mM EDTA、25mM DTT、10% glycerol、0.05% IGEPAL CA-630)で希釈した2.8μL(0.28pmol)の二本鎖02D/13を加えた後、30℃で11分間反応させた。蛍光値の測定は、リアルタイムPCR装置ロータージーン2000(コルベットライフサイエンス社)を用いた。
【0266】
その結果、NFκB p50濃度に依存して蛍光値が上昇した(図2)。
【0267】
01F/14は、NFkB-01-5Fに導入された6-FAMによって蛍光を発する。しかし、01F/14を02D/13と混合して構造変化が生じ、新たに完全な二本鎖01F/02D (NFkB-01-5FとNFkB-02-3D)と13/14(NFkB-13とNFkB-14)が形成されると、6-FAMはNFkB-02-3DのDABCYLによって消光される。一方、NFκB p50が結合すると上記の構造変化が阻害されることから、NFκB p50濃度に依存して蛍光値は上昇すると考えられる。
【0268】
以上のことから、上記の方法によれば、蛍光値を測定することにより、NFκB p50結合による構造変化を検出できることが確認された。
【0269】
実施例2:デコイオリゴのNFκB p50結合量への影響
(1)二本鎖の調製
5’末端を6-FAMで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-01-5Fと3‘末端をDABCYLで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-14-03D、合成オリゴヌクレオチドNFkB-02と合成オリゴヌクレオチドNFkB-13をそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖01F/14Dおよび02/13を実施例1と同様の条件で調製した。
【0270】
また、NFκB結合配列を持つ合成オリゴヌクレオチドNFcpt01とNFcpt02、NFκB結合配列を持たない合成オリゴヌクレオチドAPcpt01とAPcpt02をそれぞれ混合して、デコイオリゴ二本鎖NFcptとAPcptを実施例1と同様の条件で調製した。NFcptは、NFκB結合配列を含むため、他のNFκB結合配列を含むDNAへのNFκBタンパク質の結合を阻害するが、APcptは、NFκB結合配列を含まないため、他のNFκB結合配列へのNFκBタンパク質の結合を阻害しない。
【0271】
使用した各配列は、以下の通りである。
【表2】
JP0005652850B2_000004t.gif

【0272】
下線部はNFκB結合配列であり、斜体は二本鎖01F/14Dおよび02/13において一本鎖になる配列である。
【0273】
(2)NFκB p50結合の検出
1.68pmolのデコイオリゴ二本鎖と0.42pmolの二本鎖01F/14D、および1.58pmolの組み換えヒトNFκB p50(プロメガ社)、0.42pmolの二本鎖02/13を34.2μLのNFκB反応溶液中(実施例1と同じ)に混合した後、30℃で21分間反応させた。蛍光値の測定はリアルタイムPCR装置ロータージーン2000(コルベットライフサイエンス社)を用いた。
【0274】
その結果、NFκB結合阻害剤であるデコイオリゴ二本鎖(NFcpt)の添加により、NFκB p50の添加により低下した蛍光値が上昇するが、NFκB結合配列を持たないデコイオリゴ二本鎖(APcpt)の添加によっては、同様な蛍光値の上昇は認められなかった(図3)。
【0275】
01F/14Dは、NFkB-01-5Fに導入された6-FAMがNFkB-14-3Dに導入されたDABCYLによって消光される。しかし、01F/14Dを02/13と混合して構造変化が生じ、新たに完全な二本鎖01F/02(NFkB-01-5FとNFkB-02)と13/14D(NFkB-13とNFkB-14-3D)が形成されると、6-FAMはDABCYLから十分に離れるため蛍光を発する(図3:NFκB p50なし)。ここで、NFκB p50を添加すると上記の構造変化が阻害されるため、蛍光値は低下する(図3:NFκB p50添加)。しかし、さらにNFcptが添加されると、NFκB p50の合成オリゴヌクレオチドへの結合が阻害され、構造変化も阻害されるため、蛍光値は高くなる(図3:NFκB p50+NFcpt添加)。一方、APcptが添加されても、NFκB p50の結合は阻害されず、構造変化も阻害されないため、蛍光値は低下する(図3:NFκB p50+APcpt添加)。
【0276】
以上のことから、蛍光値を測定することにより、NFκB結合配列をもつデコイオリゴ二本鎖(NFcpt)による特異的なNFκB p50の結合阻害を検出できることが確認された。従って、上記の方法は、核酸結合タンパク質の阻害剤のスクリーニングに使用できることが示された。
【0277】
実施例3-1:ヒトAP1タンパク質の結合試験
AP1(c-jun)はロイシンジッパー型のDNA結合モチーフを持つ転写因子であり、AP1結合配列(例えば、5’-TGAGTCA-3’)に結合することが知られている。
【0278】
(1)二本鎖の調製
合成オリゴヌクレオチドAP-01-5C5とAP-04-3BH、AP-02とAP-03、SP1-01-5A5とSP1-04-3BH3、SP1-02とSP1-03をそれぞれハイブリダイズさせ、末端に一本鎖を持つ二本鎖AP01C/04B、AP02/03、SP01A/04BおよびSP02/03を実施例1と同様の条件で調製した。
【0279】
AP01C/04BとAP02/03はAP1結合配列を持つが、SP01A/04BとSP02/03はAP1結合配列を持たない。
【0280】
使用された各配列は、以下の通りである。
【表3】
JP0005652850B2_000005t.gif

【0281】
AP1結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。
【表4】
JP0005652850B2_000006t.gif

【0282】
二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。下線はSP1結合配列である。
【0283】
(2)AP1(c-jun)結合の検出
60fmolの二本鎖AP01C/04BあるいはSP01A/04Bと1.5 pmolの組み換えヒトAP1(c-jun) (プロメガ社)を30μLの反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9 、53mM KCl、0.17mM EDTA、2.6mM DTT、12% glycerol、0.05 % IGEPAL CA-630、1.3mM Tris-HCl pH7.5、0.67mM MgCl、33mM guanidine hydrochloride)中に混合し、25℃で30分間反応させた。その後氷上で5分間静置し、NFκB結合溶液で希釈した3μL(60fmol)の二本鎖AP02/03あるいはSP02/03をそれぞれ加えた後、30℃で2時間反応させた。蛍光値の測定は、リアルタイムPCR装置ロータージーン2000(コルベットライフサイエンス社)を用いた。
【0284】
実施例3は、実施例2と同様に、タンパク質の結合による構造変化の阻害効果を蛍光値の低下によって検出するものである。ただし、蛍光物質として実施例2の6-FAMに代わりCy5あるいはAlexa647を用い、消光物質としてDABCYLの代わりにBHQ3を用いた。
【0285】
その結果、AP1結合配列をもつ二本鎖(AP01C/04BとAP02/03)を使用した場合は、AP1(c-jun)の添加による蛍光値の低下、すなわちAP1(c-jun)による構造変化の阻害が観察された(図4)。しかし、SP1結合配列をもつ二本鎖(SP01A/04BとSP02/03)を使用した場合は、AP1(c-jun)を添加しても蛍光値の低下、すなわちAP1(c-jun)による構造変化の阻害は認められなかった(図4)。
【0286】
実施例3-2:ヒトSP1タンパク質の結合検出試験
SP1はZnフィンガー型のDNA結合モチーフを持つ転写因子であり、SP1結合配列(例えば、5’-GGGGCGGGGC-3’)に結合することが知られている。
【0287】
(1)二本鎖の調製
二本鎖の調製は、実施例3と同様に行った。
【0288】
(2)SP1結合の検出
60fmolの二本鎖AP01C/04BあるいはSP01A/04Bと1.65pmolの組み換えヒトSP1(プロメガ社)を30μLの反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9 、53.0mM KCl、0.1mM EDTA、2.6mM DTT、13.0% glycerol、0.056% IGEPAL CA-630、0.36mM MgCl、303nM ZnSO、0.72 mM HEPES-KOH pH7.5)中に混合し、25℃で30分間反応させた。その後氷上で5分間静置し、NFκB結合溶液で希釈した3μL(60 fmol)の二本鎖AP02/03あるいはSP02/03をそれぞれ加えた後、30℃で4時間反応させた。蛍光値の測定は、リアルタイムPCR装置ロータージーン2000(コルベットライフサイエンス社)を用いた。
【0289】
その結果、SP1結合配列をもつ二本鎖(SP01A/04BとSP02/03)を使用した場合は、SP1の添加による蛍光値の低下、すなわちSP1による構造変化の阻害が観察された(図5)。しかし、AP1結合配列をもつ二本鎖(AP01C/04BとAP02/03)を使用した場合は、SP1を添加しても蛍光値の低下、すなわちSP1による構造変化の阻害は認められなかった(図5)。
【0290】
実施例3-3:TRF2タンパク質の結合実験
TRF2は、C末端側にMybタイプのヘリックス-ターン-ヘリックスモチーフからなるDNA結合ドメインを持つテロメアDNA結合タンパク質であり、テロメアDNA(5’-TTAGGG-3’の繰り返し)に結合してテロメア構造を形成するタンパク質として知られている。
【0291】
(1)組換えヒトTRF2ΔBの作製
TRF2ΔBは、TRF2のN末端にある塩基性ドメインを欠損させた組換えヒトTRF2タンパク質(N末端欠損体)である。
【0292】
ヒト培養細胞株(IHW09084(International HLA Workshopより入手))から抽出したmRNAを基に調製したcDNAから、TRF2の全長を含むcDNAを取得した。このcDNAを鋳型として、アミノ酸配列の45番目から500番目に相当するDNA領域をPCR法を用いて増幅した。得られたDNA断片にヒスタグ配列を付加し、pFastBac1(Invitrogen社)に導入して、Bacmidを得た。Bacmidを昆虫細胞(Sf9(Invitrogen社より入手))にトランスフェクションしてウィルスを作製した。得られたウイルスをSf9に感染させ、組換えヒトTRF2ΔBを発現させた。TRF2ΔBは、Ni-NTAスピンカラム(Qiagen社)により精製した。タンパク質濃度は、プロテインアッセイキット(Bio-Rad社)でウシ血清アルブミンを基準に算出した。
【0293】
(2)二本鎖の調製
合成オリゴヌクレオチドTLM-06と5’末端をCy3で標識した合成オリゴヌクレオチドTLM-01-5C3を混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖T01C/06を実施例1と同様の条件で調製した。T01C/06はTRF2結合配列を持つ。
【0294】
合成オリゴヌクレオチドTLM-16と5’末端をCy3で標識した合成オリゴヌクレオチドTLM-13-5C3を混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖T13C/16を実施例1と同様の条件で調製した。T13C/16はTRF2結合配列を持たない。
【0295】
合成オリゴヌクレオチドTLM-05と3’末端をBHQ1で標識した合成オリゴヌクレオチドTLM-02-3B1を混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖T02B/05を実施例1と同様の条件で調製した。T02B/05はTRF2結合配列を持つ。
【0296】
合成オリゴヌクレオチドTLM-15と3’末端をBHQ1で標識した合成オリゴヌクレオチドTLM-14-3B1を混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖T14B/15を実施例1と同様の条件で調製した。T14B/15はTRF2結合配列を持たない。
【0297】
使用された配列は以下の通りである。
【表5】
JP0005652850B2_000007t.gif

【0298】
TRF2結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。
【表6】
JP0005652850B2_000008t.gif

【0299】
下線部はTRF2結合配列を示すが、網掛けの部分に変異があるため、TRF2は結合することができない。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。
【0300】
(3)TRF2結合の検出
100fmolのT01C/06あるいはT13C/16と1μgのTRF2ΔBを反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9、150mM KCl、0.1mM EDTA、5mM DTT、10% glycerol、0.05% IGEPAL CA-630、20μL)中に混合して、25℃で30分間反応させた。その後、T01C/06、T13C/16に、100fmolのT02B/05、T14B/15をそれぞれ加えて50μLとした後、25℃で60分間反応させた。Cy3の蛍光値の測定は、蛍光プレートリーダーUltra(テカン社)を用いた。
【0301】
その結果、TRF2結合配列を持つDNAセット(T01C/06とT02B/05)では、T01C/06とT02B/05とが四量体を形成し、分岐移動を経て完全な鎖交換が行われ、T01C/02Bに変換されることによる蛍光値の低下が、TRF2ΔBの添加により抑制された(図6)。一方、TRF2結合配列に変異を導入したDNAセット(T13C/16とT14B/15)では、T13C/16とT14B/15とが四量体を形成し、分岐移動を経て完全な鎖交換が行われ、T13C/14Bに変換されることによる蛍光値の低下が、TRF2ΔBの添加により抑制されなかった(図6)。
【0302】
このように、本発明の方法は、代表的なDNA結合モチーフであるループ、ロイシンジッパー、Znフィンガーを持つDNA結合タンパク質の結合阻害を検出することができた。また、テロメアDNA結合タンパク質の結合阻害を検出することができた。従って、本発明は、核酸結合タンパク質一般に広く使用可能であることが示された。
【0303】
また、本発明による方法は、使用する蛍光物質にも制限がないことを示された。本発明によれば、さまざまな種類の蛍光物質を使用することができるため、例えば、薬剤となる化合物が蛍光を発するものである場合に、化合物の蛍光が障害とならないような蛍光標識を選択することが可能である。
【0304】
実施例4:ミスマッチ導入による検出感度の確認試験
4-1.SP1を用いた試験
(1)二本鎖の調製
5’末端をCy3で標識した合成オリゴヌクレオチドSP1-05-5C3と3’末端をBHQ1で標識した合成オリゴヌクレオチドSP1-08-3B1を混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖SP05C/08Bを実施例1と同様の条件で調製した。また、合成オリゴヌクレオチドSP1-06とSP1-07、SP1-21とSP1-22、SP1-23とSP1-24をそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖SP06/07、SP22/21、SP24/23を実施例1と同様の条件で調製した。これらの二本鎖は、SP1の結合配列を持つ。
【0305】
使用された配列は以下の通りである。
【表7】
JP0005652850B2_000009t.gif

【0306】
SP1結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。網掛けは、SP1-21とSP1-23についてはSP1-08-3B1に対してミスマッチとなる塩基を、SP1-22とSP1-24についてはSP1-05-5C3に対してミスマッチとなる塩基をそれぞれ示した。
【0307】
(2)鎖交換抑制効果の確認
40fmolのSP05C/08Bと2.5pmolの組み換えヒトSP1(プロメガ社)を反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9、50mM KCl、0.1mM EDTA、5mM DTT、10% glycerol、0.05% IGEPAL CA-630、15μL)中に混合して、25℃で30分間反応させた。80fmolのSP06/07、SP22/21、SP24/23、SP1-07、SP1-21、SP1-23のいずれかを加えて50μLとした後、25℃で120分間反応させて、蛍光プレートリーダーUltra(テカン社)を用いて、Cy3の蛍光値を測定した。
【0308】
その結果、SP05C/08BとSP06/07とが四量体を形成し、分岐移動を経て完全な鎖交換が行われ、SP05C/06に変換されることによる蛍光値の上昇が、SP1の添加により抑制された(図7)。SP06/07の代わりにSP22/21、SP24/23を使用した場合も同様の結果が得られた(図7)。
【0309】
また、SP05C/08BとSP1-07とが三量体を形成し、分岐移動を経て完全な鎖交換が行われ、二量体08B/07と単量体SP1-05-5C3が形成されることによる蛍光値の上昇が、SP1の添加により抑制された(図7)。SP1-07の代わりにSP1-21、SP1-23を使用した場合も同様の結果が得られた(図7)。
【0310】
ここで、SP1タンパク質の添加による蛍光値の抑制は、SP05C/08Bに対してミスマッチが存在しないSP06/07やSP1-07に比べて、ミスマッチが存在するSP22/21、SP24/23、SP-21、SP-23を加えた場合に非常に大きいことが確認された。
【0311】
以上のことから、ミスマッチ導入は、SP1タンパク質の添加による鎖交換抑制作用を増強し、タンパク質未添加時と添加時の蛍光値の比を大きくすることが確認された。
【0312】
4-2.NF-κBに関する試験例
(1)二本鎖の調製
5’末端をフルオレセインで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-01-5Fと3’末端をDABCYLで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-14-3Dを混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖NF01F/14Dを実施例1と同様の条件で調製した。また、合成オリゴヌクレオチドNFkB-02とNFkB-13、NFkB-21とNFkB-26、NFkB-49とNFkB-50をそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖NF02/13、NF26/21、NF50/49を実施例1と同様の条件で調製した。これらの二本鎖は、NF-κBの結合配列を持つ。
【0313】
使用された配列は以下の通りである。
【表8】
JP0005652850B2_000010t.gif

【0314】
NF-κB結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。網掛けは、NFkB-21とNFkB-49についてはNFkB-14-3Dに対してミスマッチとなる塩基を、NFkB-26とNFkB-50についてはNFkB-01-5Fに対してミスマッチとなる塩基をそれぞれ示した。
【0315】
(2)鎖交換抑制効果の確認
100fmolのNF01F/14Dと500pmolの組み換えヒトNF-κB(p50)(プロメガ社)を反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9、50mM KCl、0.1mM EDTA、5mM DTT、10% glycerol、0.05% IGEPAL CA-630、15μL)中に混合して、25℃で30分間反応させた。200fmolのNF02/13、NF26/21、NF50/49のいずれかを加えて50μLとした後、37℃で120分間反応させて、蛍光プレートリーダーUltra(テカン社)を用いて、フルオレセインの蛍光値を測定した。
【0316】
その結果、NF01F/14DとNF02/13とが四量体を形成し、分岐移動を経て完全な鎖交換が行われ、NF01F/02に変換されることによる蛍光値の上昇が、p50の添加により抑制された(図8)。NF02/13の代わりにNF26/21、NF50/49を使用した場合も同様の結果が得られた(図8)。
【0317】
ここで、NF-κB(p50)タンパク質の添加による蛍光値は、NF01F/14Dに対してミスマッチが存在しないNF02/13との組み合わせでは蛍光値の低下が約30%であったのに対し、NF01F/14Dに対してミスマッチが存在するNF26/21、NF50/49との組み合わせでは、蛍光値が50%以上低下した(図8)。
【0318】
以上のことから、ミスマッチ導入は、NF-κB(p50)タンパク質の鎖交換抑制作用を増強し、タンパク質未添加時と添加時の蛍光値の比を大きくすることが確認された。
【0319】
実施例5:陰性コントロールを使用したスクリーニング系の検討
核酸結合タンパク質の阻害剤などのスクリーニングを行う際には、被験物質が標的の核酸結合タンパク質の結合に作用するのであって、核酸への非特異的な作用によって鎖交換に影響を与えるのではないことを確認する必要がある。そこで、標的とする核酸結合タンパク質が結合しない核酸セットを陰性コントロールとして使用したスクリーニング系について検討した。
【0320】
NF-κBを阻害することが知られているオーロチオグルコース(Aurothioglucose)(Yang et al. FEBS letters 1995 361 89-96)を被験物質として使用した。また、NF-κBが結合しない核酸セットを陰性コントロールとして使用した。
【0321】
(1)二本鎖の調製
合成オリゴヌクレオチドNFkB-42と5’末端をフルオレセインで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-31-5F、合成オリゴヌクレオチドNFkB-41と3’末端をDABCYLで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-32-3Dをそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖31F/42および32D/41を実施例1と同様の条件で調製した。31F/42および32D/41は、NF-κBの結合配列を持つ。
【0322】
合成オリゴヌクレオチドSP1-08と5’末端をCy3で標識した合成オリゴヌクレオチドSP1-05-5C3、合成オリゴヌクレオチドSP1-07と3’末端をBHQ1で標識した合成オリゴヌクレオチドSP1-06-3B1をそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖05C/08および06B/07を実施例1と同様の条件で調製した。05C/08および06B/07は、SP1の結合配列を持つ。
【0323】
使用された配列は以下の通りである。
【表9】
JP0005652850B2_000011t.gif

【0324】
NF-κB結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。
【表10】
JP0005652850B2_000012t.gif

【0325】
SP1結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。
【0326】
(2)オーロチオグルコースによるNF-κB(p50)阻害効果の検出
31F/42と05C/08の混合液(それぞれ50fmol)に、0~5nmolのオーロチオグルコースおよび0.5pmolの組み換えヒトNFκB p50(プロメガ社)を加え、さらに32D/41と06B/07の混合液(それぞれ200fmol)を加えて混合し、25℃で30分間反応させた。反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9、50mM KCl、0.1mM EDTA、5mM DTT、10% glycerol、0.05% IGEPAL CA-630)の最終液量は50μLである。蛍光プレートリーダーUltra(テカン社)を用いて、フルオレセインとCy3の蛍光値を測定した。フルオレセインは485nmで励起して、535nmの蛍光を測定した。Cy3は535nmで励起して、595nmで測定した。
【0327】
その結果、NF-κBオリゴの相対蛍光値は、NF-κBを阻害するオーロチオグルコースの濃度に依存して低下した。一方で、オーロチオグルコースの添加は、SP1オリゴの相対蛍光値はほとんど影響されなかった(図9)。このことから、オーロチオグルコースがNF-κB(p50)の核酸への結合を阻害する作用があることを確認すると同時に、鎖交換自体には影響を与えないことを確認することができた。
【0328】
このように、本発明のスクリーニング法によれば、ゲルシフトアッセイ法等を用いなくても、簡便かつ迅速に、被験物質の阻害効果を測定できることが確認された。
【0329】
実施例6:NF-κB p50を用いた結合量の検討(一体型核酸複合体)
(1)四量体の調製
合成オリゴオリゴヌクレオチドN-Cd-U2m4(C4)とN-Bc-L2m5(B5)、および5’末端から30塩基目のチミンにフルオレセイン標識した合成オリゴヌクレオチドN-Ab-U2-30F(Af)と5’末端から20塩基目のチミンにDabcyl標識した合成オリゴヌクレオチドN-Da-L2-20D(Dd)を混合して一体型四量体Af/B5/C4/Ddを調製した。N-Ab-U2-30FとN-Da-L2-20Dを混合して二量体Af/Daを形成し、消光参照品とした。4種類のDNAを同時に混合する以外は、実施例1と同じ条件で行った。
【0330】
デコイDNAとして、合成オリゴヌクレオチドNFcpt01とNFcpt02、NFcpt03とNFcpt04をそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖NF01/02、NF03/04を実施例1と同様の条件で調製した。NF01/02はNF-κB結合配列を持つが、NF03/04はNF-κB結合配列に変異が導入されている。
【0331】
使用された配列は以下の通りである。
【表11】
JP0005652850B2_000013t.gif
【表12】
JP0005652850B2_000014t.gif

【0332】
鎖交換する部分を下線で示した。NF-κB結合配列を網掛けで示した。
【0333】
(2)NF-κB(p50)結合の検出
50fmolのAf/B5/C4/Ddと484fmolの組み換えヒトNF-κB(p50)(プロメガ社)を反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9、50mM KCl、0.1mM EDTA、5mM DTT、10% glycerol、0.05% IGEPAL CA-630、50μL)中に混合して25℃で30分間反応させた後、蛍光プレートリーダーUltra(テカン社)を用いてフルオレセインの蛍光値を測定した(励起485nm、検出535nm)。デコイDNAは1pmol添加した。タンパク質による蛍光値の変化は、Af/Ddの蛍光値を差し引いたバックグランド補正蛍光値で評価した。
【0334】
その結果、Af/B5/C4/Ddの蛍光値はNF-κB(p50)の添加により抑制された。さらに、NF-κB結合配列をもつデコイDNA(NF01/02)を添加すると、蛍光値が回復した。一方で、NF-κB結合配列に変異を導入したデコイDNA(NF03/04)を添加しても、蛍光値の回復は見られなかった(図10)。
【0335】
以上のことから、上記の方法によれば、蛍光値を測定することにより、核酸結合タンパク質の配列特異的な結合を検出できることが確認された。
【0336】
実施例7:マルチプレックス検出系の検討
マルチプレックス検出系を検討するため、NF-κB(p50)、SP1のDNAへの結合を同時に検出し、さらに、NF-κB(p50)阻害剤(デコイオリゴ)による特異的な阻害効果を検出した。
【0337】
(1)二本鎖の調製
合成オリゴヌクレオチドNFkB-42と5’末端をフルオレセインで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-31-5F、合成オリゴヌクレオチドNFkB-41と3’末端をDABCYLで標識した合成オリゴヌクレオチドNFkB-32-3Dをそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖31F/42および32D/41を実施例1と同様の条件で調製した。31F/42および32D/41は、NF-κBの結合配列を持つ。
【0338】
合成オリゴヌクレオチドSP1-08と5’末端をCy3で標識した合成オリゴヌクレオチドSP1-05-5C3、合成オリゴヌクレオチドSP1-07と3’末端をBHQ1で標識した合成オリゴヌクレオチドSP1-06-3B1をそれぞれ混合して、末端に一本鎖を持つ二本鎖05C/08および06B/07を実施例1と同様の条件で調製した。05C/08および06B/07は、SP1の結合配列を持つ。
【0339】
合成オリゴヌクレオチドNFcpt01とNFcpt02を混合し、末端に一本鎖を持つ二本鎖NF01/02を実施例1と同様の条件で調製した。NF01/02は、NF-κB結合配列を持つ。
【0340】
合成オリゴヌクレオチドSPcpt01とSPcpt02を混合し、末端に一本鎖を持つ二本鎖SP01/02を実施例1と同様の条件で調製した。SP01/02は、SP1結合配列を持つ。
【0341】
使用された配列は以下の通りである。
【表13】
JP0005652850B2_000015t.gif

【0342】
NF-κB結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。
【表14】
JP0005652850B2_000016t.gif

【0343】
SP1結合配列を下線で示した。二本鎖において一本鎖となる配列を斜体で示した。
【表15】
JP0005652850B2_000017t.gif

【0344】
NF-κB結合配列を下線で示した。
【表16】
JP0005652850B2_000018t.gif

【0345】
SP1を下線で示した。
【0346】
(2)タンパク質結合の検出
31F/42と05C/08の混合液(それぞれ40fmol)、800fmolのデコイ(NF01/02あるいはSP01/02)、タンパク質混合液(2.5pmolの組み換えヒトSP1と0.125 pmolの組み換えヒトNFκB p50)を反応溶液(10mM HEPES-NaOH pH7.9、50mM KCl、0.1mM EDTA、5mM DTT、10% glycerol、0.05% IGEPAL CA-630、15μL)中に混合して、25℃で30分間反応させた。32D/41と06B/07の混合液(それぞれ80 fmol)を加えて50μLとした後、25℃で120分間反応させて、蛍光プレートリーダーUltra(テカン社)を用いて、フルオレセインとCy3の蛍光値を測定した。フルオレセインは485nmで励起して、535nmの蛍光を測定した。Cy3は535nmで励起して、595nmで測定した。
【0347】
その結果、31F/42と32D/41とが四量体を形成し、分岐移動を経て完全な鎖交換が行われ、31F/32Dに変換されることによる蛍光値の低下が、タンパク質混合物(NF-κB(p50)+SP1)の添加により上昇した(図11;NF-κB)。
05C/08と06B/07とが四量体を形成し、分岐移動を経て完全な鎖交換が行われ、05C/06Bに変換されることによる蛍光値の低下が、タンパク質混合物(NF-κB(p50)/SP1)の添加により上昇した(図11;SP1)。
【0348】
ここで、NF01/02は、NF-κB DNAの相対蛍光値のみを低下させることが確認された。また、SP01/02はSP1 DNAの相対蛍光値のみを低下させることが確認された(図11;SP1)。
【0349】
以上のことから、この検出系によれば、混合されたタンパク質をそれぞれ検出できるだけでなく、特定のタンパク質のみを阻害する薬剤のスクリーニングが可能であることが示された。
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図1C】
2
【図2】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図11】
12
【図12】
13
【図13】
14
【図14】
15