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明細書 :座屈拘束ブレース

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3663491号 (P3663491)
公開番号 特開2003-293461 (P2003-293461A)
登録日 平成17年4月8日(2005.4.8)
発行日 平成17年6月22日(2005.6.22)
公開日 平成15年10月15日(2003.10.15)
発明の名称または考案の名称 座屈拘束ブレース
国際特許分類 E04B  1/58      
E04B  1/24      
F16F  7/12      
F16F 15/02      
FI E04B 1/58 D
E04B 1/24 F
F16F 7/12
F16F 15/02 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2002-256537 (P2002-256537)
出願日 平成14年9月2日(2002.9.2)
優先権出願番号 2002019333
優先日 平成14年1月29日(2002.1.29)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成14年10月31日(2002.10.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
発明者または考案者 【氏名】岩田 衛
個別代理人の代理人 【識別番号】100069073、【弁理士】、【氏名又は名称】大貫 和保
審査官 【審査官】家田 政明
参考文献・文献 特開平04-070438(JP,A)
特開昭49-058634(JP,A)
実開平05-057110(JP,U)
調査した分野 E04B 1/38-1/61
E04H 9/02
E04C 3/00-3/46
特許請求の範囲 【請求項1】
コンクリートを入れた2つの凹みを有する鋼と、
この2つのコンクリートを入れた凹みを有する鋼のコンクリートが向き合う側に挾まれ、長手方向両端に連結部を持つブレース芯材と、
前記2つの凹みを有する鋼を接続するための接続手段とより成る座屈拘束ブレースにおいて、
前記2つの凹みを有する鋼は、底面とその端に立設の2つの立設面を持ち、前記一方の鋼の底面寸法の拡大を図り、両凹みを有する鋼を嵌合させるようにしたことを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項2】
コンクリートを入れた2つの凹みを有する鋼と、
この2つのコンクリートを入れた凹みを有する鋼のコンクリートが向き合う側に挾まれ、長手方向両端に連結部を持つブレース芯材と、
前記2つの凹みを有する鋼を接続するための接続手段とより成る座屈拘束ブレースにおいて、
前記2つの凹みを有する鋼は、底面とその端に立設の2つの立設面を持ち、この2つの立設面の立設寸法に差を持たせ、両凹みを有する鋼を接合させるようにしたことを特徴とする座屈拘束ブレース。
【請求項3】
ブレース芯材とコンクリート間には、グラウト材が配されたことを特徴とする請求項1又は2記載の座屈拘束ブレース。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、構造物の主要骨組の層間に組込まれ、大きな層間変形が生じたときに鋼板のブレース芯材が塑性変形することでエネルギーを吸収し、構造物の揺れを減少させる座屈拘束ブレースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼材をブレース芯材として用いる場合、圧縮荷重負担時の座屈を防止する必要から、ブレース芯材は両端部を除き実公平4-13121号に示すように、内在するコンクリート(モルタル)及びコンクリートを外包する鋼材により拘束される構成となっている。
【0003】
このような、座屈拘束ブレースは、鋼の筒状で体内にブレース芯材を一方端の開口部から挿入し、その両端から座屈拘束ブレースの両端部を出しながら、鋼性の筒状体内にコンクリートを注入せしめて、そして乾燥させて製造していた。
【0004】
しかしながら、前述した従来の座屈拘束ブレースは、内部に注入されるコンクリートが均一に内在しているものなのかの目視が出来ず、内部のコンクリートの品質の管理が出来ない欠点があった。そのため、出願人はこれらの欠点を排除すべく特許2000-362850号に示す例を提案した。
【0005】
即ち、出願に係る発明の座屈拘束ブレースは、コンクリートを入れた凹みを有する鋼を2つ製造し、それからこの2つのコンクリートを入れた凹みを有する鋼間に、ブレース芯材を挟みこむと共に、両凹みを有する鋼の接合側を覆うように接続プレートを両側に配し、そして、接続プレートと凹みを有する鋼を溶接して製造している。したがって、拘束部材となる凹みを有する鋼内へコンクリートの挿入は、上面が開口しているためにきわめて容易であると共に、コンクリート品質を目視にて確認でき、品質の均一化を可能とすることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、接続プレートと凹みを有する鋼との溶接は接続プレートの両側で2箇所の2つの接続プレートを有しているため、合計で4箇所の溶接部分を有していることになっている。即ち、溶接箇所が多く製造コストが高い欠点を有していた。
【0007】
そこで、この発明は、凹みを有する鋼の接合側との接続を行うが、今までよりも半分の接続加工数となると共に、接続プレートを排除した座屈拘束ブレースを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明に係る座屈拘束ブレースは、コンクリートを入れた2つの凹みを有する鋼と、
この2つのコンクリートを入れた凹みを有する鋼のコンクリートが向き合う側に挾まれ、長手方向両端に連結部を持つブレース芯材と、
前記2つの凹みを有する鋼を接続するための接続手段とより成る座屈拘束ブレースにおいて、
前記2つの凹みを有する鋼は、底面とその端に立設の2つの立設面を持ち、前記一方の鋼の底面寸法の拡大を図り、両凹みを有する鋼を嵌合させるようにしたことにある(請求項1)。
【0009】
したがって、2つの凹みを有する鋼は、その開口側が向き合うように嵌合して接続され、各立設面同志の接続箇所は2箇所で良い利点を持っている。しかも、直接接続されるから、接続プレートも不要とし、該接続プレートが不要となることから見栄えが良い。
【0010】
また、この発明に係る座屈拘束ブレースは、コンクリートを入れた2つの凹みを有する鋼と、
この2つのコンクリートを入れた凹みを有する鋼のコンクリートが向き合う側に挾まれ、長手方向両端に連結部を持つブレース芯材と、
前記2つの凹みを有する鋼を接続するための接続手段とより成る座屈拘束ブレースにおいて、
前記2つの凹みを有する鋼は、底面とその端に立設の2つの立設面を持ち、この2つの立設面の立設寸法に差を持たせ、両凹みを有する鋼を接合させるようにしたことにある(請求項2)。
【0011】
したがって、前述の請求項1と同様な作用効果を得ると共に、凹みを有する鋼は、一対の立設面の立設寸法に差を持たせた一本の鋼を中程から切断して作り出すことができる。
【0012】
前記ブレース芯材とコンクリート間には、グラウト材が配されたことにある(請求項3)。これによって、ブレース芯材とコンクリート間の不規則な初期不整がある場合にも修正可能で、一様な厚さにできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0014】
図1乃至図3において、第1の座屈拘束ブレース1が示され、該座屈拘束ブレース1は、鋼板から成るブレース芯材2と、このブレース芯材2を挟む2つのコンクリートを入れた凹みを有する鋼4,5より構成されている。
【0015】
前記ブレース芯材2は、平板状の鋼板6より成り、その両端に連結部8,8を有しており、その連結部8,8はリブ7にて十字形に形成されている。この連結部8,8には、柱、梁のフレームに連結ボルト孔9が穿設されている。この連結部8,8は、従来の鋼管を用いるに比して、鋼管の径に制限を受けず、自由に設計が可能となる。即ち、リブ7の巾方向寸法や芯材の巾方向寸法が凹みを有する鋼4の巾よりも大きく出来る利点を持たせることができ、連結部8,8の強度の向上が図られる。このようなブレース芯材2には、コンクリートやグラウト材に接着を防ぐ1~2m位のアンボンド剤10が塗布されている。
【0016】
前記凹みを有する鋼4,5は、1つの実施の形態として底面4a,5aとその両端から立ち上る立面4b,4b又は5b,5bとより成る細長い断面コ字状で、その両端に一対の当て金11,11を有しており、内部には、開口側からコンクリート12が詰められている。このコンクリート(モルタル)12は、当然ながら固化前に打ち込まれているが、固化されたブロック状のものを入れても良い。凹みを有する鋼4,5は、開口側を対向させて嵌め合せることから、底面5aの寸法が底面4aよりも下記するように若干広くなっている。なお、斜溝15は前記したブレース芯材2の連結部8のリブ7が挿入される逃げである。また、凹みを有する鋼4,5の開口側のコンクリート12の面の平坦度を出すために、グラウト材16が必要により付着される。
【0017】
次に、この第1の座屈拘束ブレースの製造方法について、図1乃至図3を用いて説明する。
【0018】
まず、図に示す凹みを有する鋼4,5を製造する。即ち底面4a,5aの両端に立面4b,4b又は5a,5bを折り曲げて形成すると共に、長手方向両端に、当て金11,11を溶着している。当然ながら、凹みを有する鋼5の底面5aの寸法は、凹みを有する鋼4の底面4aの寸法に両立面4b,4bの厚みを加えた寸法となっていて、両凹みを有する鋼4,5が嵌め合い結合ができるようになっている。
【0019】
このような構造の凹みを有する鋼4内にコンクリート12を立面4b,4bの高さまで打ち込み固化させる。そして、コンクリート12の表面が不均一の場合には、グラウト材16を付着させて均一化する。そして、その際、斜溝15を形成する。次に、凹みを有する鋼5内にコンクリート12を立面5b,5bの半分より多めに打ち込み固化させる。そしてコンクリート12の表面が不均一の場合には、同様にクラウト材16を付着させて均一化する。そして、その際、斜溝15を形成する。
【0020】
それから、図3に示すような、ブレース芯材2を用意し、アンボンド剤を塗布する。その後、このブレース芯材2を下方の凹みを有する鋼4上に載置する。そして、その上から反転した凹みを有する鋼5を嵌合して挟みこむ。この際に、上方の凹みを有する鋼4,5に再度付着させた固化前のグラウト材16をブレース芯材2の周囲にまわり込み一体化させる。そして、図示しないがジグにて固定する。さらに、図1に示すように、凹みを有する鋼4,5の立面4bと5b及び4b,5b同志を溶接する。これにより、2箇所の溶接部20,20を有する座屈拘束ブレース1が製造される。なお、この実施の形態で用いられるコンクリートにスチールファイバーを混ぜたり、鉄筋を入れて強度を増加させることもできる。
【0021】
また、図4,図5において、第2の座屈拘束ブレース1が示され、凹みを有する鋼4,5を前記実施例のコ字形の溝形鋼の形態と異なり、径が等しい半円形状にしたもので、接合側端面が突き当てられ、この部分が溶接20,20されて、円筒状の座屈拘束ブレース1を製造することができる。そして、当て金11は前記実施の形態と異なり、一体の半円形とし、切り溝18が形成される。なお、その他の部分は、前記実施の形態と同一のため、同一の部分は同一番号を付して説明を省略した。 この実施の形態でも、溶接箇所は2箇所で良く、溶接作業を少なくすることができる。
【0022】
図6乃至図10において、第3の座屈拘束ブレース1が示され、凹みを有する鋼4,5を前記した第1の実施の形態よりも製造しやすくしている。即ち第1の実施の形態では、凹みを有する鋼4,5の底面4a,5aの寸法を異ならしめ、一方の底面1aを他方の底面4aの寸法に両立面4b,4bの厚み寸法を加えている。このように底面寸法の異なる凹みを有する鋼4,5をそれぞれ製造しなければならなかった。
【0023】
第3の座屈拘束ブレース1は、凹みを有する鋼4,5を図10に示す一本の鋼22を製造し、それを中央にて切断し、同じ形状の凹みを有する鋼4,5を作り出している。前記一本の鋼22は、底面22aとその両端に立設の立面22b,22cを有し、立面22bの高さが、立面22cの高さよりも半分程の低い変形のL形鋼である。
【0024】
この一本の鋼22の切断で得られる凹みを有する鋼4,5は、同一形状のものとなっている。即ち、底面4a,5aと立面4b,5b,4c,5cを有し、立面4b,5b寸法が小さく、立面4c,5c寸法が大きい。
【0025】
したがって、凹みを有する鋼4の上に凹みを有する鋼5を反転して図7に示すように配することで、第3の座屈拘束ブレース1を製造することができる。座屈拘束ブレース1の製造方法は、第1の座屈拘束ブレース1の製造方法と同じで、凹みを有する鋼4,5内にコンクリート12を低い方の立面4b,5bの高さまで打ち込み固化させる。そして、コンクリート12の表面が不均一の場合には、グラウト材16を付着させて均一化する。その際に、斜溝15を形成する。
【0026】
それから、図7に示すようなブレース芯材2を用意し、アンボンド剤を塗布する。その後、このブレース芯材2を下方の凹みを有する鋼4上に載置する。そして、その上から反転した凹みを有する鋼5を載設する。即ち、長い立面4cが短い立面5bの外側に、長い立面5cが短い立面4bの外側から添着され、長い立面4cと短い立面5bがまた長い立面5cと短い端面4bがそれぞれ、溶接される。これにより、2箇所の溶接部20,20を有する座屈拘束ブレース1が製造される。なお、第1の実施の形態と同一の部分は同一の番号を付して説明を省略している。
【0027】
また、凹みを有する鋼4と凹みを有する鋼5との接続を、溶接でなく、図9に示すように、ドリルねじにより行われるようにしても良い。即ち、金属部材による機械的結合となっている。
【0028】
図11において、第4の座屈拘束ブレース1が示され、前記第3の座屈拘束ブレース1に用いられたクラウト材16を使用しない例も考えられる。その場合ブレース芯材2の巾方向の両側面で凹みを有する鋼4,5までの間に空間が生じるが、この空間には位置移動防止材25を入れて、ブレース芯材2が左右方向(巾方向)へ動くことを規制することが必要である。この位置移動防止材25は、断面矩形の角鋼やモルタル板がさらには丸鋼が用いられる。なお、第1の実施の形態と同一の部分は同一の番号を付して説明を省略している。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明が座屈拘束ブレースを2つの凹みを有する鋼の開口側が対向するように嵌合接続して構成されているから、各立設面同志の接続箇所は2箇所で良くなり、接続作業がへらされ、製造コストが低減できる。当然ながら、接続プレートを不要とする。また、凹みを有する鋼内のコンクリートの状態を製造前に目視でき、コンクリートの品質の管理が可能となり、均一の商品を提供できる。
【0030】
さらに、ブレース芯材を2つの凹みを有する鋼で挟んで製造するため、ブレース芯材の位置が正確に配置できる。さらにまた凹みを有する鋼内にコンクリートを入れる(詰める)作業は、一面が開口しているのでやりやすいし、また、乾式工法を用いることも可能とし、コンクリート系工場内での作業と鉄筋製作工場とに分けて作業が出来る利点を有している。
【0031】
グラウト材を用いることで、コンクリート表面の初期不整がある場合も修正が可能となるし、このグラウト材によるブレース芯材の位置の調整をも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る第1の座屈拘束ブレースの斜視図である。
【図2】 同上の拡大横断面図である。
【図3】 同上の分解斜視図である。
【図4】 この発明の第2の座屈拘束ブレースの実施の形態を示す斜視図である。
【図5】 同上の拡大横断面図である。
【図6】 この発明の第3の座屈拘束ブレースの実施の形態を示す斜視図である。
【図7】 同上の分解斜視図である。
【図8】 同上の拡大横断面図である。
【図9】 同上の拡大横断面図であるが、凹みを有する鋼をドリルねじにて結合した例を示したものである。
【図10】 凹みを有する鋼を中程から切断して製造するための一本の鋼を示した斜視図である。
【図11】 この発明の第4の座屈拘束ブレースの実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 座屈拘束ブレース
2 ブレース芯材
4 凹みを有する鋼(溝形鋼、半円形鋼、変形のL形鋼)
8 連結部
11 当て金
12 コンクリート
16 グラウト材
25 位置移動防止材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
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【図10】
9
【図11】
10