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明細書 :ラジカル水

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-208539 (P2013-208539A)
公開日 平成25年10月10日(2013.10.10)
発明の名称または考案の名称 ラジカル水
国際特許分類 C02F   1/72        (2006.01)
C02F   1/50        (2006.01)
C02F   1/32        (2006.01)
C02F   1/36        (2006.01)
B01F   3/04        (2006.01)
B01F  11/02        (2006.01)
C01B   5/00        (2006.01)
C11D   3/04        (2006.01)
H01L  21/304       (2006.01)
B08B   3/08        (2006.01)
FI C02F 1/72 Z
C02F 1/50 540B
C02F 1/50 550D
C02F 1/32
C02F 1/36
C02F 1/50 531J
B01F 3/04 Z
B01F 11/02
C01B 5/00 Z
C11D 3/04
H01L 21/304 647Z
B08B 3/08 Z
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 21
出願番号 特願2012-080016 (P2012-080016)
出願日 平成24年3月30日(2012.3.30)
発明者または考案者 【氏名】石川 精一
【氏名】横野 照尚
【氏名】原賀 久人
【氏名】樋口 友彦
【氏名】西村 文夫
出願人 【識別番号】802000031
【氏名又は名称】公益財団法人北九州産業学術推進機構
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
【識別番号】591209280
【氏名又は名称】株式会社フジコー
【識別番号】594146179
【氏名又は名称】株式会社新菱
個別代理人の代理人 【識別番号】100095603、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 一郎
審査請求 未請求
テーマコード 3B201
4D037
4D050
4G035
4G036
4H003
5F157
Fターム 3B201BB83
3B201BB89
3B201BB93
3B201BB98
3B201BC01
3B201CD43
4D037AB11
4D037BA18
4D037BA26
4D037CA12
4D050AA05
4D050AB06
4D050AB11
4D050BB20
4D050BD04
4D050BD06
4D050CA07
4G035AB04
4G035AE19
4G036AB23
4H003EA31
4H003ED02
4H003EE03
4H003FA34
5F157AC01
5F157BB73
5F157BB76
5F157BB79
5F157BC09
5F157BC13
5F157BC16
5F157BC41
5F157BC53
5F157BD33
5F157BE12
5F157BE22
5F157BH14
5F157BH15
5F157CE37
5F157CF06
5F157CF40
5F157CF60
5F157DA15
5F157DB03
5F157DB15
5F157DB18
5F157DC71
要約 【課題】
本発明は、酸化還元電位が高く、物の濡れ性を高めることができ、塩類を含まず不純物が少なく、ヒドロキシラジカルの寿命が長くて、半導体等の精密洗浄水、親水剤、殺菌・洗浄水、静電気防止剤等の用途に好適に用いることができるラジカル水を提供する。
【解決手段】
水にオゾンを溶解させたオゾン水を原料とし、光触媒反応と、紫外線による水及びオゾンの分解反応と、によって生成されたヒドロキシルラジカルを活性酸素の主成分として含有したラジカル水であって、
オゾン水のオゾン濃度が4mg/L以上であるとともに、超音波発振器又は微細気泡発生装置によってラジカル水中に発生させた微細気泡にヒドロキシルラジカルが保持されることで、ヒドロキシルラジカルによる酸化力を5分以上残存させる構成を有している。
【選択図】図5
特許請求の範囲 【請求項1】
水にオゾンを溶解させたオゾン水を原料とし、光触媒反応と、紫外線による水及びオゾンの分解反応と、によって生成されたヒドロキシラジカルを活性酸素の主成分として含有したラジカル水であって、
前記オゾン水のオゾン濃度が4mg/L以上であるとともに、超音波発振器又は微細気泡発生装置によって前記ラジカル水中に発生させた微細気泡に前記ヒドロキシラジカルが保持されることで、前記ヒドロキシルラジカルによる酸化力を5分以上残存させることを特徴とするラジカル水。
【請求項2】
前記水が超純水であることを特徴とする請求項1に記載のラジカル水。
【請求項3】
請求項2に記載のラジカル水を含有することを特徴とする半導体洗浄水。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のラジカル水を含有することを特徴とする親水剤。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のラジカル水を含有することを特徴とする殺菌洗浄水。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体等の洗浄水や親水剤、殺菌洗浄水、静電気の防止水等の用途に使用できるラジカル水に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、活性酸素は生体内や自然界に存在し、スーパーオキシドアニオンラジカル(・O2-)、ヒドロキシルラジカル(OH・)、オゾン(O3)、過酸化水素(H22)、一酸化窒素(NO)、次亜塩素酸(HOCl)、一重項酸素(12)等がこれにあたる。これらの水溶液は、酸化力の高さから、脱臭や除菌、殺菌等に使用されている。しかし、スーパーオキシドアニオンラジカル(・O2-)やヒドロキシルラジカル(OH・)等の活性酸素種は、半減期が短く、汎用性に欠けるという課題があった。この課題を解決するために、(特許文献1)には、「イオン類を含有する水溶液に、紫外線照射された光触媒体で惹起された遊離電子および正孔(フォトン)を水と効率よく反応させことにより、活性酸素種を大量に発生させ、さらに水溶液中の溶質とを反応させることにより、前記溶質より生成したイオン種を含有する活性酸素水を生成し、優れた殺菌能および原虫類の駆虫能、有機物分解能を長時間保持作用する機能を有する活性酸素水を生成する、活性酸素水生成方法。」が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2008-272616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、種々の活性酸素種を含有した活性酸素水であり、
殺菌能や駆虫能、有機物分解能等が長時間保持作用する機能を有するが、ガス類や塩類を含有するので、半導体等の精密洗浄等に使用する場合は、塩類が汚染の原因になり得るという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、酸化還元電位が高く、物の濡れ性を高めることができ、不純物が少なく、ヒドロキシルラジカル(OH・)の寿命が長くて、半導体等の精密洗浄水、親水剤、殺菌洗浄水、静電気防止剤等の用途に好適に用いることができるラジカル水を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明のラジカル水は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のラジカル水は、水にオゾンを溶解させたオゾン水を原料とし、光触媒反応と、紫外線による水及びオゾンの分解反応と、によって生成されたヒドロキシルラジカルを活性酸素の主成分として含有したラジカル水であって、
前記オゾン水のオゾン濃度が4mg/L以上であるとともに、超音波発振器又は微細気泡発生装置によって前記ラジカル水中に発生させた微細気泡に前記ヒドロキシルラジカルが保持されることで、前記ヒドロキシルラジカルによる酸化力を5分以上残存させる構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)紫外線をオゾン水に照射するので、オゾンが分解し水と反応することでヒドロキシルラジカル(OH・)が大量に発生するとともに、光触媒反応によって水と酸素からもヒドロキシルラジカル(OH・)が発生するので、ヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度の高いラジカル水を得ることができる。
(2)水に溶解するオゾンの濃度が4mg/L以上であるので、紫外線により分解されるオゾンの量が多く、分解により多量にヒドロキシルラジカル(OH・)が生成されるので、ヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度が高く、酸化還元電位の高いラジカル水を得ることができる。
(3)発生させた微細気泡内部にヒドロキシルラジカル(OH・)を閉じこめるので、ヒドロキシルラジカル(OH・)を長時間保持することができ、ラジカル水の寿命の長くすることができる。
(4)ヒドロキシルラジカル(OH・)を主成分とするラジカル水は、酸化力に優れるとともに、洗浄力が高く、両性金属も酸化被膜を作ることなくイオン化できるので、ラジカル水中の不純物が少なければ半導体の洗浄等に好適に使用することができる。
(5)生成されるヒドロキシルラジカル(OH・)が他の物質と反応しても水に戻るだけであるため、動植物に対する安全性に優れ、環境保護性にも優れる。
(6)活性酸素種の中でも酸化力の強いヒドロキシルラジカル(OH・)の酸化能力が5分以上残存されるので、精密洗浄水、親水剤、殺菌洗浄水、静電気防止剤等の様々な用途に使用することができ、汎用性に優れる。
(7)ヒドロキシルラジカル(OH・)は接触したものの濡れ性をよくすることができるので、ろ紙、ガラスや合成樹脂性のフィルタ(膜)、衣類等の親水材として使用することができる。
(8)ラジカル水は殺菌性や有機物の分解性があり、また、低分子のヒドロキシルラジカル(OH・)による反応であるので、動植物等の高分子物質と接触しても表面でしか反応せず、薬品を用いる場合よりも安全に農作物等の植物や人等の動物の殺菌洗浄に好適に用いることができるうえ、便器や床等の建材等の殺菌洗浄にも好適に用いることができるや生き物の殺菌・洗浄を行うことができる。
(9)ラジカル水中にヒドロキシルラジカル(OH・)が存在するので、静電気による物質表面の電荷の偏りを戻し、放電の危険性を抑えることができる。
【0007】
本発明において、ラジカル水とは活性酸素における活性酸素種、特にヒドロキシルラジカル(OH・)を主成分として含有した水のことである。
ラジカル水中のヒドロキシルラジカル(OH・)等の活性酸素種は不安定であるため、直接的に濃度を特定し難く、酸化還元電位で濃度を特定することが好ましい。ラジカル水の酸化還元電位は、250~700mvのものが好適に使用される。酸化還元電位が250mvより低くなるにつれ、活性酸素種の濃度が低く、酸化力や洗浄力が低くなる傾向にあり好ましくない。酸化還元電位が700mvより高くなるにつれ、ラジカル水の製造の際に光触媒との接触時間を長くする必要があり、オゾン水の流量を下げる、又は、装置を大型にする等の必要があり、汎用性に欠ける傾向にあり好ましくない。
【0008】
ここで、ヒドロキシルラジカル(OH・)の発生方法の1つとしては、水と酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、硫化カドミウム等の光触媒に接触させた状態で、波長400nm以下の紫外線を光触媒に照射し、光触媒反応を起こすことで発生させる方法がある。また、紫外線によるオゾンの分解反応や、185nm以下の紫外線による水を分解反応によってもヒドロキシルラジカル(OH・)を発生させることができる。
更に、50μm以下の微細気泡は、消失時に気泡内が高温高圧になることにより、水分子を熱分解しヒドロキシルラジカル(OH・)を発生させると考えられている。また、発生したヒドロキシルラジカル(OH・)が気泡中に捉えられることで、ヒドロキシルラジカル(OH・)等の活性酸素種の半減期を長くすることができると考えられている。
【0009】
オゾンの発生方法としては、特に限定はしないが、波長が200nm以下の紫外線を空気に照射して酸素と反応させる方法、又は、酸素中で無声放電やアーク放電を行う方法等が用いられる。
原料のオゾン水は、これらの方法で発生したオゾンを不純物が極めて少ない超純水、純水、イオン交換水等に溶解させたものが用いられる。
オゾン水のオゾン濃度は4mg/L以上の濃度が好適に使用される。オゾン濃度が4mg/Lより低くなるにつれ、ヒドロキシルラジカル(OH・)の生成濃度が低くなり、酸化力や洗浄力が低下する傾向にあるので好ましくない。また、オゾン濃度の上限は、オゾンの飽和濃度までであれば特に限定されない。
尚、オゾン水の代わりに、水として純度の高い水と、オゾンガスを、紫外線の照射前に別々に系内に導入しても良い。純度の高い水程、溶解度が高いので、微細気泡状のオゾンガスと混合することによりオゾンを溶存させることができる。
また、水として、電気伝導率が温度25±2℃下で0.1μS/cm以下、好ましくは0.06μS/cm以下のものが用いられる。
【0010】
光触媒と反応させる紫外線の波長としては、100~400nmのものが好適に使用され、170~400nmのものがより好適に使用される。波長が170nmより短くなるにつれ、光透過性の薄板に石英ガラスを用いたとしても光の透過率が悪く、触媒の活性効率や水及びオゾンの分解効率が悪く、ヒドロキシルラジカル(OH・)の発生効率が悪くオゾンがラジカル水中に残存する傾向にあり、100nmより短くなるにつれ、その傾向が著しくなり好ましくない。また、400nmより長くなるにつれ、光触媒の活性が起こり難いので、ヒドロキシルラジカル(OH・)の発生効率が悪くなり好ましくない。
【0011】
ヒドロキシルラジカル(OH・)を保持させる微細気泡としては、50μm以下の微細気泡であることが好ましい。微細気泡が50μmより大きくなるにつれ、水面まで浮上し易いので、水中に残存し難く、ヒドロキシルラジカル(OH・)を長時間保持することができなくなる傾向にあり好ましくない。
微細気泡を発生させることができれば、方法は特に限定はしないが、超音波発生装置や微細気泡発生装置等が用いることができる。
【0012】
次にラジカル水の製造方法について説明する。
ラジカル水の製造方法は、ラジカル水を、(a)短辺側寸法が1~5mmの断面矩形形状で少なくとも長辺側の通水面側に光触媒がコーティングされた光透過性の通水路にオゾン濃度4mg/L以上のオゾン水を通過させる通水工程と、(b)前記通水路の長辺側外方に配置された紫外線照射部から前記通水路内に100nm~400nmの波長の紫外線を照射して、オゾン及び水の分解を起こすとともに前記光触媒の光触媒反応によって活性酸素種の主成分としてヒドロキシルラジカルを生成するラジカル生成工程と、(c)微細気泡発生部により前記通水路下流中に50μm以下の微細気泡を発生させ、前記活性酸素種を前記微細気泡内部に保持させる保持工程と、を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)短辺側寸法が1~5mmの断面矩形形状で長辺側通水面側に光触媒がコーティングされた光透過性の通水路に中に長辺側外方に配置された紫外線照射部から前記通水路内に100nm~400nmの波長の紫外線を照射するのでオゾン水及び光触媒に効率良く紫外線が照射され、オゾンが分解されるとともに光触媒を活性化し、オゾン水はこの活性化した光触媒とも接触することと相俟って、ヒドロキシルラジカル(OH・)を主成分とする活性酸素種を高濃度で含有するラジカル水を短時間で得ることができる。
(2)微細気泡を通水路の下流で発生させるので、ヒドロキシルラジカル(OH・)を主成分とする活性酸素種が生成されて直ぐ、微細気泡内部に該活性酸素種を保持することができるので、ヒドロキシルラジカル(OH・)を高濃度で長時間保持することができる。
(3)通水路の断面を矩形形状にすることによって、紫外線を通水路中のオゾン水に効率よく照射するために短辺側寸法が1~5mmと狭くしたにもかかわらず、その通水路面積を1~5φのパイプ形状の通水路に比べ広くすることが出来、ラジカル水の生成量を増やすことが可能になる。
【0013】
通水路は、酸化チタン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム、硫化カドミウム等の光触媒がコーティングされた光透過性の薄板の少なくとも2枚を、コーティング面が向かい合うように並べて形成することが望ましい。
薄板間の距離(通水路の短辺側寸法)としては1~5mmとすることが望ましい。薄板間の距離が1mmより狭くなるにつれ、通水路を通る際の水の抵抗が大きく水が流れ難いので、得られるラジカル水の量が大幅に減少する傾向にあり、5mmより広くなるにつれ、オゾン水あたりの紫外線照射密度が少なくなるとともに、光触媒と接触するオゾン水の量が減少し、通水路を通過する水量に対して、ヒドロキシルラジカル(OH・)の発生量が少なく、ヒドロキシルラジカル(OH・)の含有量が低いラジカル水しか得られなくなる傾向にあるので好ましくない。尚、薄板間の距離(通水路の短辺側寸法)は、通水部の材質や流入する水の流量(流速)、紫外線の強度(光量)、超音波の強度、微細気泡の発生量等の条件によっては、上記距離(寸法)に限定されず適宜選択することができる。
通水路を形成する光透過性の薄板としては、紫外線と透過するものであればどのようなものでも良いが、石英ガラス、フッ化バリウムガラス等を用いることが、不純物の溶出が少なくて好ましい。
【0014】
微細気泡発生部としては、50μm以下の微細気泡が水中に生成されればどのようなものでも良く、超音波発生装置や微細気泡発生装置等が用いることができる。
微細気泡発生部が超音波発生装置の場合は、振動数が0.8MHz以上のものが好適に使用される。振動数が0.8MHzより小さくなるにつれ、微細気泡の発生量が減少し、保持できる活性酸素種の量が少なくなるので、ラジカル水中のヒドロキシルラジカル(OH・)量が減少する傾向にあり好ましくない。
【0015】
紫外線照射部には紫外線照射部を覆うように紫外線反射部が形成されることが望ましい。紫外線反射部を形成することで、通水路に照射した紫外線は向かい合う反射部同士に反射仕合い、通水路を外れて照射された紫外線を通水部に集中させることができ、原料のオゾン水や通水部の光触媒に効率的に紫外線を当てることができ、オゾンの分解効率が良くなってヒドロキシルラジカル(OH・)が効率よく生成できる。紫外線照射部の反射率は80%以上であることが好ましい。反射率が80%より小さくなるにつれ、紫外線の反射量が減少するので、単位時間辺りの紫外線による光触媒反応やオゾンの分解量が減り、ラジカル水のヒドロキシルラジカル(OH・)の発生効率が落ちる傾向にあるので好ましくない。
紫外線照射部としては紫外線が照射できれば良く、水銀ランプやキセノンランプ、LEDランプ等を用いることができる。
【0016】
請求項2に記載のラジカル水は、請求項1に記載の発明であって、前記水が超純水である構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒドロキシルラジカル(OH・)は、酸化力が強いので不純物があると反応し直ぐに消失してしまうが、オゾンを溶解させる水に不純物の極めて少ない超純水を使用することで、金属イオンや微生物等の不純物を含まず、発生させたヒドロキシルラジカル(OH・)が消失し難くなり、ヒドロキシルラジカル(OH・)を主成分とする活性酸素種を高濃度に保つことができるとともに、ヒドロキシルラジカル(OH・)の安定性に優れる。
【0017】
請求項3に記載の半導体洗浄水は、請求項2に記載のラジカル水を含有する構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)不純物を含まない超純水由来の活性酸素主としてヒドロキシルラジカル(OH・)を主成分とするラジカル水であり、ヒドロキシルラジカル(OH・)は酸化力が強く、反応後は水に戻るだけなので、有機物の分解や金属のイオン化によりシリコンウェハ等の表面の精密洗浄に好適に使用することができる。
(2)シリコンウェハ等の洗浄に用いられているオゾンや無機酸の代わりに使用することができ、作業者が安全に作業できるとともに、有害廃液の排出を抑えることができる。
【0018】
ラジカル水を半導体洗浄水として用いる場合、ヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度が高く、不純物が含まれていないものを用いることが望ましい。尚、超純水としては電気伝導率が0.055μS/cm(25±2℃)以下のものが用いられる。
【0019】
金属のイオン化において、両性金属を酸化剤によりイオン化させる場合、オゾンやスーパーオキシドアニオン等の酸素系酸化剤では、両性金属の表面に酸化被膜が形成されイオン化が妨げられるのに対し、ヒドロキシルラジカル(OH・)はOHとの反応でイオン化するので、酸化被膜が形成されず酸素系酸化剤に比べ両性金属をイオン化し易い。これにより、無機酸で行っていた半導体等の表面の洗浄をラジカル水に置き換えることができ、無機酸を使用するよりも安全性が高く、無機酸の廃液の排出を抑えることができる。
【0020】
請求項4に記載の親水剤は、請求項1又は2に記載のラジカル水を含有する構成を有している。
この構成により、以下の作用が得られる。
(1)ラジカル水がヒドロキシルラジカル(OH・)を含むので、ラジカル水を加工素材に浸透させることで素材等のぬれ性(親水性)を増大させることができ、加工素材と水がなじみ易くなるので、ろ紙、ガラスや合成樹脂性のフィルタ(膜)、衣類等に使用することで、通水性を良くすることができる。
【0021】
ここで親水剤とは、噴霧や塗布、浸漬等することで物の濡れ性を改善することができるものを指す。
本件のラジカル水に含まれるヒドロキシルラジカル(OH・)は水との親和性があるので、ろ紙、ガラスや合成樹脂性のフィルタ(膜材)、衣類等の素材にラジカル水を接触,反応させることで該素材等の濡れ性を増大させることができ、通水性や透水性を高めることができる。
【0022】
請求項5に記載の殺菌洗浄水は、請求項1又は2に記載のラジカル水を含有する構成を有している。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)ラジカル水中のヒドロキシルラジカル(OH・)は殺菌性を持つが、分子量が小さく動物や植物等の表面でしか反応しない。そのため、動植物表面を傷付けることなく殺菌でき、反応後のヒドロキシルラジカル(OH・)は水に戻るだけであるので、人体や食物の殺菌洗浄水として安全に使用することができる。
【0023】
本発明のラジカル水は、酸化力が長時間残存するので、流水のまま使用でき、ヒドロキシルラジカル(OH・)が生成して直ぐの含有濃度が高い状態で、動植物を殺菌洗浄することができる。また、分子量の多い物質とは表面で反応せず、反応後は水になるので、薬品等による雑菌洗浄より安全性に優れる。また、散布等することで室内のウィルスや微生物の除去を行うことができ、院内感染等の消毒や殺菌等にも好適に使用できる。
【0024】
本発明のラジカル水を静電気防止水として用いることにより、請求項1で得られる作用に加え、以下の作用を有する。
(1)ラジカル水を含有した静電気防止水を、対象物に噴霧、塗布、浸漬等することで、該対象物表面の電気的偏りを戻すことができるので、対象物に静電気が蓄積され難くなり、火花放電等の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明のラジカル水によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1によれば、
(1)ヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度が高く、酸化力に優れるともに、酸化力が長持ちするので、様々な用途に利用することできるラジカル水を提供することができる。
【0026】
請求項2によれば、
(1)ヒドロキシルラジカル(OH・)を高濃度に保つことができるラジカル水を提供することができる。
【0027】
請求項3によれば、
(1)半導体等の表面に付着した有機物や金属等の汚れを洗浄することができ、オゾンや無機酸の代用として用いることで、作業者の安全を確保できるとともに、有害廃液の排出を抑えることができる半導体洗浄水を提供することができる。
【0028】
請求項4によれば、
(1)ろ紙、ガラスや合成樹脂性のフィルタ(膜)、衣類等の通水性や透水性を良くすることができる親水剤を提供することができる。
【0029】
請求項5によれば、
(1)人体や食物等の殺菌洗浄を安全に行うことができる殺菌洗浄水を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ヒドロキシルラジカル水生成装置を正面側から見た斜視図
【図2】ヒドロキシルラジカル水生成装置の要部断面正面図
【図3】ヒドロキシルラジカル水生成装置の要部断面側面図
【図4】ヒドロキシルラジカル水生成装置の要部断面正面図における紫外線照射部の拡大図
【図5】ヒドロキシルラジカル水生成装置の上流に超純水装置及びオゾン水生成装置を連結した時の水の流れを示すヒドロキシルラジカル水生成システムの概要図
【図6】比較水1のオゾン濃度を100%としたとき酸化剤の割合を示したグラフ
【図7】クロロゲン酸の添加による酸化剤の濃度変化を示したグラフ
【図8】酸化還元電位の経時変化を示すグラフ
【図9】フタル酸エステル類の残留割合を示すグラフ
【図10】ラジカル水の酸化還元電位に対する生成金属イオンの濃度を示すグラフ
【図11】濁度の経時変化を示したグラフ
【図12】試験水1及び比較水9における農薬の分解量を示したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(ヒドロキシラジカル水生成装置)
185nmの波長の紫外線を照射する低圧水銀ランプ(株式会社栗原工業製:25-8UV-LAMP)と、周波数1MHzの超音波発振器(本多電子株式会社製:W-357LS-160)とをそれぞれ準備し、図1乃至図4に示すヒドロキシルラジカル水生成装置を準備した。
図1は実施の形態1のヒドロキシルラジカル水生成装置を正面側から見た斜視図であり、図2は実施の形態1のヒドロキシルラジカル水生成装置の要部断面正面図であり、図3は実施の形態1のヒドロキシルラジカル水生成装置の要部断面側面図であり、図4は実施の形態1のヒドロキシルラジカル水生成装置の要部断面正面図における紫外線照射部の拡大図である。
図1乃至図3において、1は実施の形態1のヒドロキシルラジカル水生成装置、1aはヒドロキシルラジカル水生成装置1の内部に収容されたヒドロキシルラジカル水生成部(図2)、1bはヒドロキシルラジカル水生成部1aの底板、2はヒドロキシルラジカル水生成部1aを支持するヒドロキシルラジカル水生成装置1の台部、3は台部2の底部に配設されたヒドロキシルラジカル水生成装置1の脚部、4は幅方向の中央部で長さ方向と平行に二分して形成されヒドロキシルラジカル水生成部1aを覆うように台部2上に覆設されたヒドロキシルラジカル水生成装置1の覆設部材、4aは台部2と覆設部材4の底辺との間に配設され覆設部材4を開閉自在に保持する覆設部材回動部、4bは覆設部材4の上面に配設され覆設部材4の開閉を固定する覆設部材掛止部、5は覆設部材4の側壁上部側にスリット状に形成された上部開口部、6は覆設部材4の内側に上部開口部5に対向するように配設され上部開口部5から外部への紫外線漏れを防止する上部遮断部(図2)、7は覆設部材4の側壁下部側にスリット状に形成された下部開口部、8は覆設部材4の内側に下部開口部7に対向するように配設され下部開口部7から外部への紫外線漏れを防止する下部遮断部(図2)、9は台部2の底部に形成され後述するヒドロキシルラジカル水生成部1aの通水部11に連通するフッ素樹脂製の流入口(図2、図3)、9aは流入口9に接続されヒドロキシルラジカル水生成部1aの内部に水を流入させるフッ素樹脂製の流入チューブ(図1、図2)、9bはヒドロキシルラジカル水生成部1aの底部に後述する超音波振動子27と密接するように形成され流入口9から流入した超純水やオゾン水等の水を溜める流入部(図2、図3)、9cは流入部9bとヒドロキシルラジカル水生成部1aの底部を連通させ流入部9bに溜った水を後述するヒドロキシルラジカル水生成部1aの通水部11に供給する給水部(図2)、10は流入口9と連設され台部2の底面側に固定されて0.5MHz以上の超音波を水に付与する微細気泡発生部としての超音波発振器(図1、図2)、10aは超音波発振器10の電源コード(図2、図3)、11は通水路12の幅が1~5mmとなるように石英ガラスで形成されたヒドロキシルラジカル水生成部1aの通水部(図2)、11aは通水部11の下端部を台部2の上面に固定する通水部固定部(図2)、11bは通水路12の下端側で超音波発振器10側に拡開して形成された通水部11の拡開部(図2)、11dは通水部11の上部に覆設された蓋部、13は少なくとも通水路12側の表面に酸化チタン等の光触媒がコーティングされた厚さ2mmの石英ガラスの薄板で形成され通水路12の通水面側に対向して貼り付けられた光触媒部(図2、図3)、14は石英ガラスで形成され光触媒部13の間隔位置を通水路12内で固定する光触媒部固定部(図2、図3)、15は通水部11の両外側に配設された紫外線照射部(図2、図3)、16は水銀ランプ係止部16aで固定された紫外線照射部15の波長185nmの複数の水銀ランプ(図2、図3)、17は左右両側の水銀ランプ16の外側を覆うように配設され水銀ランプ16から照射される紫外線を光触媒部13側に反射させる紫外線反射板(図2、図3)、18,18’は紫外線反射板螺合部18aにより左右それぞれの紫外線反射板17を保持する紫外線反射板固定部(図2、図3)、18bは台部2の上面と各々の紫外線反射板固定部18,18’の下端部を固定し台部2に対して紫外線反射板固定部18,18’を回動自在に保持する紫外線反射板回動部(図2)、19は一端が紫外線反射板固定部18の上端部に形成された回動部19aに回動自在に保持され他端が紫外線反射板固定部18’の上端部に形成された掛止部19bに係止されて紫外線反射板固定部18,18’の上端部を固定する紫外線反射掛止部(図2)、20はヒドロキシルラジカル水生成部1aの長手方向の両端部で通水部11の光触媒部13よりも上部側に形成されフッ素樹脂製の取出しチューブ20aが連結されたフッ素樹脂製のヒドロキシルラジカル水の取出口(図3)、21はヒドロキシルラジカル水生成部1aの長手方向の両側で取出しチューブ20aを支えるチューブ支持部(図3)、22は取出口20に取出しチューブ20aを挿通するために覆設部材4に形成されたチューブ挿通口(図1、図3)、23は通水部11の蓋部11dの長手方向中央部に形成されたオーバーフロー水排出孔(図2、図3)、23aはフッ素系樹脂で形成されオーバーフロー水排出孔23に嵌合されたオーバーフロー水排出部(図2、図3)、23bはフッ素系樹脂で形成されオーバーフロー水排出部23aに連結され通水部11からオーバーフローした水を排出するチューブである。

【0032】
次に、ヒドロキシルラジカル水生成装置1の紫外線照射部15の詳細について説明する。
図4中、11cは通水路12の光触媒部13との接触面(通水面側)に段差状に形成され光触媒部13の下端部が係止される光触媒部係止部、24は通水部11の下端部両側に形成されたフランジ部、24aは通水部11のフランジ部24と台部2及び超音波発振器10を連結固定する合成樹脂製の通水部留め具、25a,25bはフランジ部24からの水漏れを防ぐためフランジ部24の上下にそれぞれ配設されたパッキン、26は通水部留め具24aとパッキン25aの間に配設されフランジ部24を強固に抑えるための押さえ板、27は超音波発振器10で超音波を発振するサファイア製の超音波振動子、28は給水部9cから供給され通水路12を流れる流水、29は紫外線照射部15から通水路12に照射される紫外線、30は超音波発振部10から流水28方向に出される周波数0.5MHz以上の超音波である。

【0033】
次いで、超純水製造装置(日本ミリポア社製:Milli-QSP)、オゾン水生成装置(エコデザイン株式会社製:ED-OW-7)を準備し、超純水発生装置、オゾン水生成装置、ヒドロキシルラジカル水生成装置の順に、フッ素樹脂製のチューブで連結させた。この時の水の流れを、図5に示す。
図5はヒドロキシラジカル水生成装置の上流に超純水製造装置及びオゾン水生成装置を連設した時の水の流れを示すヒドロキシルラジカル水生成システムの概要図である。

【0034】
(試験水1,比較水1)
次に、図5に示すヒドロキシルラジカル水生成システムを用いて試験水や各比較水を製造した。
超純水製造装置で流量0.9L/minの条件で製造した超純水に、オゾン水生成装置内で発生させたオゾンを溶解させオゾン濃度が6mg/Lのオゾン水を得た。(比較水1)
該オゾン水を比較水1とし、ヒドロキシルラジカル水生成装置内を通過させ、紫外線及び紫外線が照射された光触媒並びに超音波を作用させることで得られた水を試験水1とした。(試験水1)

【0035】
(比較水2)
ヒドロキシルラジカル水生成装置の低圧水銀ランプ及び超音波発振器の電源を入れず、オゾン水に紫外線を照射せず、かつ、超音波を作用させずに光触媒に接触させることで得られた水を比較水2とした。

【0036】
(比較水3)
ヒドロキシルラジカル水生成装置の光触媒部を取り外し、超音波発振器のみ電源を入れ、オゾン水に紫外線を照射せず、かつ、光触媒と接触させずに超音波のみを作用させることで得られた水を比較水3とした。

【0037】
(比較水4)
ヒドロキシルラジカル水生成装置の超音波発振器の電源のみを入れ、オゾン水に紫外線を照射せず、超音波を作用させ、かつ、光触媒と接触させることで得られた水を比較水4とした。

【0038】
(比較水5)
ヒドロキシルラジカル水生成装置の光触媒部を取り外し、低圧水銀ランプのみ電源を入れ、オゾン水に超音波を作用させず、かつ、光触媒と接触させずに紫外線を照射することで得られた水を比較水5とした。

【0039】
(比較水6)
ヒドロキシルラジカル水生成装置の低圧水銀ランプのみ電源を入れ、オゾン水に超音波を作用させず、紫外線を照射し、かつ、紫外線が照射された光触媒と接触させることで得られた水を比較水6とした。

【0040】
(比較水7)
ヒドロキシルラジカル水生成装置の光触媒を取り外し、低圧水銀ランプ及び超音波発振器の電源を入れ、オゾン水を光触媒と接触させずに紫外線を照射し、かつ、超音波を作用させることで得られた水を比較水7とした。

【0041】
(比較水8)
超純水を直接ヒドロキシルラジカル水生成装置に連接し、低圧水銀ランプ及び超音波発振器の電源を入れず、超純水に紫外線を照射せず、かつ、超音波を作用させずに光触媒を接触させることで得られた水を比較水8とした。

【0042】
(比較水9)
超純水装置から得られた超純水を比較水9とした。

【0043】
(比較水10)
水道水を比較水10とした。
試験水1,比較水1乃至10と作用させた構成の一覧を表1に示す。

【0044】
【表1】
JP2013208539A_000003t.gif

【0045】
(実施例1:オゾン濃度の変化)
試験水1及び各比較水に含まれる酸化剤の割合を調べるためオゾン濃度の変化を確かめた。
まず、試験水1及び比較水1乃至7の水1Lに、ヨウ化カリウム(林純薬工業株式会社製)を2g添加して撹拌し、20℃の室温で20分間静置して十分に反応させ、1.58mg/Lのチオ硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)で滴定して、酸化剤によって遊離したヨウ素の消費量を定量した。ヨウ素消費量の結果から得られた酸化剤の濃度をオゾン濃度に換算した結果を図6に示す。

【0046】
図6は比較水1のオゾン濃度を100%としたとき酸化剤の割合を示したグラフである。
図6より、比較水1及び2の値が100%であることから、オゾン水と光触媒を接触させただけでは、酸化剤の割合が変化しないことが分かった。比較水3及び4は、比較水1に比べ、酸化剤の割合は55%程度であり、値に殆ど変化がないことから、比較水3及び4では超音波のみが酸化剤に作用していると考えられ、オゾン水に1MHzの超音波を当てることで、酸化剤の割合(オゾンの割合)が減少することが分かった。比較水1乃至4に紫外線を作用させた試験水1,5乃至7において、オゾン水に紫外線を照射した比較水5は酸化剤の割合が15%程度まで減少しており、比較水3及び4に比べて酸化剤の割合が急激に減少していることが分かった。このことから、紫外線によりオゾンが分解されているものと推測される。また、光触媒と紫外線照射を組み合わせた比較水6では酸化剤の割合が10%程度であり、比較水5と比べて減少しているが、比較水7及び試験水1の酸化剤の割合から分かるように、オゾン水に作用させた条件(光触媒との接触や超音波の作用)が増えることで酸化剤の割合が高くなる傾向にあることが分かった。
これらのことから、オゾン水に紫外線や超音波を作用させることで、オゾンが分解されるとともに、紫外線が照射された水にはオゾン以外の酸化剤が生成されているものと推測される。更に、超音波や紫外線による水の分解反応や、光触媒反応によって活性酸素種が生成されることが知られていることから、オゾン以外の酸化剤は活性酸素種であると推測される。

【0047】
(実施例2:活性酸素種の定性)
オゾン以外の酸化剤がどの活性酸素種であるかを調べるために、比較水4及び6,試験水1を90μL準備し、ヒドロキシルラジカル(OH・)の補足能を持つクロロゲン酸1.77gを添加した。添加後、更にルミノール100μgを添加し、化学発光測定装置(アトー株式会社製:ルミネッセンサーOcta AB-2270)を用いて測定したルミノールの発光量からクロロゲン酸の添加前後の酸化剤の量を測定した。その結果を図7に示す。

【0048】
図7はクロロゲン酸の添加による酸化剤の濃度変化を示したグラフである。
測定値は、ルミノールの発光量から求めた酸化剤の濃度を、酸化剤の種類に関係なくオゾン濃度として換算したものである。
図7から、試験水1と比較水4及び6の全てでクロロゲン酸を添加した後の試験水の酸化剤の濃度が減少していることから、オゾン以外の酸化剤がヒドロキシルラジカル(OH・)であることが確認された。
また、比較水4は、クロロゲン酸の添加後も酸化剤が残っていることから、オゾンとヒドロキシルラジカル(OH・)の混合溶液であることが分かった。これに対して、比較水6及び試験水1では、クロロゲン酸の添加によって酸化剤が無くなっていることから、酸化剤が全てヒドロキシルラジカル(OH・)であることが分かった。
これらの結果から、紫外線を照射することでオゾンが全て分解されているものと推測される。さらに、実施例1の結果において、比較水6に比べて、試験水1の酸化剤の濃度が高いことから、紫外線や光触媒,超音波を組み合わせることで、高濃度のヒドロキシルラジカル(OH・)を水中に生成することができることが分かった。

【0049】
(実施例3:酸化還元電位の経時変化の測定)
生成したヒドロキシルラジカル(OH・)の寿命を調べるために、比較水1,4,6,8,10及び試験水1を0.3L準備し、酸化還元電位計(Lutron Electronic Enterprise社製:YK-23RP)を用いて25℃の室内で酸化還元電位の経時変化を測定した。これらの結果を図8に示す。

【0050】
図8は、酸化還元電位の経時変化を示すグラフである。
図8より、オゾンのみを含有す比較水1は、酸化還元電位の減少は緩やかであり、測定開始から60分後も1000mVから殆ど値が変わらなかった。オゾンとヒドロキシルラジカル(OH・)の両方を含有する比較水4では、測定開始から60分間の間に徐々に酸化還元電位が減少し、1000mV程度から800mV程度に約2割の減少がみられた。また、ヒドロキシルラジカル(OH・)のみを含有する比較水6及び試験水1では、2,3分後までの間に酸化還元電位が著しく減少し、それから60分後まで緩やかに減少した。比較水8及び10は、測定開始から60分後まで酸化還元電位に変化は見られなかった。
試験水1はヒドロキシルラジカル(OH・)が無くなれば超純水と殆ど変わらないと考えられ、60分後にやっと酸化還元電位が超純水と同じである比較水8と同程度の値を示していることから、試験水1中のヒドロキシルラジカル(OH・)の酸化力は、水中で5分間以上は残存していることが示された。

【0051】
(実施例4:有機物分解性試験)
ヒドロキシルラジカル(OH・)の有機物の分解性を調べるために、試験水1及び比較水1,9を0.2L準備し、1.7×10-3mg/Lのフタル酸ジブチル及びフタル酸n-ジオクチル各0.34μgを混合して撹拌し、20℃で1分間反応させた。その後、フタル酸エステル類の残留割合をガスクロマトグラフ/質量分析計(Agilent Technologies社製:7683B Series Injector-7890A GC System-5975C Inert XL EI/CI MSD)を用いて測定した。この時、オゾン水生成装置通過後の水のオゾン濃度は6.5~6.7mg/Lとした。結果を図9に示す。

【0052】
図9は、フタル酸エステル類の残留割合を示したグラフである。図9の測定値は、比較水9におけるフタル酸エステル類の濃度を100%とした時の割合である。また、比較水1のオゾン水の濃度と、試験水1のヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度が異なるので、比較水1のオゾンの濃度と試験水1のヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度が同じになるように、試験水1の測定結果を換算してある。
図9より、比較水1は、フタル酸ジブチルで約10%、フタル酸n-ジオクチルで20%弱であった。それに対し、試験水1ではフタル酸ジブチルで約6%、フタル酸n-ジオクチルで10%強であった。このことから、試験水1のラジカル水は比較水1のオゾン水よりも有機物の洗浄能力が高いことが確認された。

【0053】
(実施例5:金属溶解性試験)
ラジカル水の金属に対するイオン化能力を調べるため、亜鉛粉末0.051gと銅粉末0.051g、銀粉末0.05を準備した。亜鉛粉末は200mLの試験水1と混合し、銅粉末及び銀粉末は90mLの試験水1と混合して、25℃で30分間撹拌し、十分に反応させ、反応後の各金属イオン濃度を測定した。この時、オゾン水生成装置通過後の水のオゾン濃度は6.5~6.7mg/Lとした。その結果を図10に示す。
尚、ヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度は時間とともに減少するとともに、金属との反応によってもヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度に差がでるため、酸化還元電位計(Lutron Electronic Enterprise社製:YK-23RP)で、酸化還元電位を測定しながら金属粉末を反応させ、酸化還元電位をヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度とした。

【0054】
図10は、ラジカル水の酸化還元電位に対する生成金属イオンの濃度を示すグラフである。図10につき、銀のイオン濃度が低かったため、銀については実測値の100倍の値となっている。
図10より、銅及び銀では、酸化還元電位が大きくなるにつれ、金属イオン濃度も高くなる傾向にあり、正の相関があることが確認された。
また、亜鉛はイオン化し易いため、ヒドロキシルラジカル(OH・)の濃度と金属イオン濃度に相関関係は見られなかった。しかし、亜鉛の場合は、酸化還元電位が比較的低い場合でも、金属イオン濃度は高いという傾向が確認された。
これらのことから、ヒドロキシルラジカル(OH・)は、金属のイオン化にも有効であり、イオン化傾向の小さい金属においても洗浄効果を有するとともに、亜鉛以外の両性元素(アルミや錫、鉛)にも洗浄効果が期待できることが確認された。

【0055】
(濡れ性試験)
ラジカル水の親水性を調べるために、試験水1及び比較水1,9を200mL準備し、容量300mLのフラン瓶中で潤滑油(株式会社紅椿化学工業所製:ベニサン純正 強力 B-115)を100mg加えて撹拌し、静置後の濁度の経時変化を室温で測定した。測定時間は、静置30分後から10分置きに100分間とした。濁度は、デジタル濁色度計(株式会社共立理化学研究所製:WA-PT-4DG)を用いて測定した。この時、オゾン水生成装置通過後の水のオゾン濃度は6.5~6.7mg/Lとした。
その結果を図11に示す。

【0056】
図11は、濁度の経時変化を示したグラフである。図11より、観測開始時の濁度は試験水1、比較水1共に約20NTUで同程度であった。その後、比較水9は時間経過とともに濁度が10%程低下したが、試験水1及び比較水1では濁度の減少は見られなかった。このことから、試験水1は、比較水1と同様に潤滑油の濡れ性を改善していると考えられ、本発明のラジカル水には接触した物の濡れ性を改善する作用があることがあり、親水剤として好適に使用できることが確認された。

【0057】
(農薬分解試験)
ラジカル水の農薬の除去効果を調べるために、試験水1及び比較水1,9と同様のラジカル水を200mL準備し、農薬であるプロシミドン、エトフェンプロックス、ビフェントリン、ジエトフェンカルブ、ゾキサミド、4-クロロアニリン、2,4-ジクロロアニリン、ビタルタノール、3-メチルコラントレン、ピリメタニル、ペルタン、シペルメトリン、ジクロベニル、4-ニトロフェノール、p,p’-ジクロロジフェニルトリクロロエタン、をそれぞれ20mg添加して撹拌後、1分間静置し、各農薬の濃度をガスクロマトグラフ/質量分析計(Agilent Technologies社製:7683B Series Injector-7890A GC System-5975C Inert XL EI/CI MSD)で測定した。この時、オゾン水生成装置通過後の水のオゾン濃度は6.5~6.7mg/Lとした。
試験水1及び比較水1,9の結果を図12に示す。

【0058】
図12は試験水1及び比較水1、9における農薬の分解量を示したグラフであり、る。図12において、試験水1及び比較水1の結果は超純水中の農薬の濃度を100%としたときの相対量を示している。
図12より、試験水1おいて、農薬がラジカル水により分解されていることが分かった。また、プロシミドン、2,4-ジクロロアニリン、ビタルタノール、3-メチルコラントレン、ペルタン、p,p’-ジクロロジフェニルトリクロロエタンにおける試験水1の濃度は比較水1よりも低く、オゾン水に比べてラジカル水の分解力の方が高い場合も見られた。このことから、本発明のラジカル水は、農作物等の表面に残る農薬の除去等にも用いることができるものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、酸化還元電位が高く、物の濡れ性を高めることができ、塩類を含まずラジカル水自体の残留物も生じないため不純物がなく、ヒドロキシルラジカル(OH・)の寿命が長いので、半導体等の精密洗浄水、親水剤、動植物の殺菌・洗浄水、静電気防止剤等の用途に用いることができるラジカル水を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ヒドロキシルラジカル水生成装置
1a ヒドロキシルラジカル水生成部
1b 底板
2 台部
3 脚部
4 覆設部材
4a 覆設部材回動部
4b 覆設部材掛止部
5 上部開口部
6 上部遮断部
7 下部開口部
8 下部遮断部
9 流入口
9a 流入チューブ
9b 流入部
9c 給水部
10 超音波発振器
10a 電源コード
11 通水部
11a 通水部固定部
11b 拡開部
11c 光触媒部係止部
11d 蓋部
12 通水路
13 光触媒部
14 光触媒部固定部
15 紫外線照射部
16 水銀ランプ
16a 水銀ランプ係止部
17 紫外線反射板
18,18’ 紫外線反射板固定部
18a 紫外線反射板螺合部
18b 紫外線反射板回動部
19 紫外線反射板掛止部
19a 回動部
19b 掛止部
20 取出口
20a 取出しチューブ
21 チューブ支持部
22 チューブ挿通口
23 オーバーフロー水排出孔
23a オーバーフロー水排出部
23b 排出チューブ
24 フランジ部
24a 通水部留め具
25a,25b パッキン
26 押さえ板
27 超音波振動子
28 流水
29 紫外線
30 超音波
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11