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明細書 :プラズマを用いた微粒子配列装置及び微粒子配列方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5895395号 (P5895395)
公開番号 特開2013-036095 (P2013-036095A)
登録日 平成28年3月11日(2016.3.11)
発行日 平成28年3月30日(2016.3.30)
公開日 平成25年2月21日(2013.2.21)
発明の名称または考案の名称 プラズマを用いた微粒子配列装置及び微粒子配列方法
国際特許分類 C23C  16/44        (2006.01)
FI C23C 16/44 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 11
出願番号 特願2011-174128 (P2011-174128)
出願日 平成23年8月9日(2011.8.9)
権利譲渡・実施許諾 特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
審査請求日 平成26年6月27日(2014.6.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】高橋 和生
【氏名】美山 遼
個別代理人の代理人 【識別番号】100081422、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 光雄
【識別番号】100100158、【弁理士】、【氏名又は名称】鮫島 睦
【識別番号】100132241、【弁理士】、【氏名又は名称】岡部 博史
【識別番号】100113170、【弁理士】、【氏名又は名称】稲葉 和久
審査官 【審査官】安齋 美佐子
参考文献・文献 米国特許出願公開第2006/0275549(US,A1)
特開2004-250727(JP,A)
特表2002-510753(JP,A)
特開平07-045528(JP,A)
調査した分野 C23C 16/00-16/56
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
プラズマを発生させるプラズマ発生装置と、
前記プラズマを発生させている領域に固体の微粒子を注入する微粒子注入部と、
前記プラズマ発生装置内で、前記プラズマに面する位置に前記微粒子を配列させるための基板を保持する基板保持部と、
前記基板上に配置するパターンであって、前記基板上に微粒子の集合体をスポット状に配列させる箇所を中心とする開口部を設けたパターンと、
を備え、
前記プラズマを発生させている領域に微粒子を注入した後、前記プラズマ発生装置内の前記プラズマを消滅させて前記基板上に前記パターンに対応して前記開口部の中心のみに前記微粒子の集合体をスポット状に配列させる微粒子配列装置。
【請求項2】
プラズマを発生させるプラズマ発生装置と、
前記プラズマを発生させている領域に微粒子の前駆体を注入し、前記プラズマ発生装置内で前記微粒子の前駆体から固体の微粒子を得る微粒子注入部と、
前記プラズマ発生装置内で、前記プラズマに面する位置に前記微粒子を配列させるための基板を保持する基板保持部と、
前記基板上に配置するパターンであって、前記基板上に微粒子の集合体をスポット状に配列させる箇所を中心とする開口部を設けたパターンと、
を備え、
前記プラズマを発生させている領域に前記微粒子の前駆体を注入して、前記プラズマ発生装置内で前記微粒子の前駆体から固体の微粒子を得た後、前記プラズマ発生装置内の前記プラズマを消滅させて前記基板上に前記パターンに対応して前記開口部の中心のみに前記微粒子の集合体をスポット状に配列させる微粒子配列装置。
【請求項3】
(a)微粒子の集合体をスポット状に配列させる箇所を中心とする開口部を設けたパターンを用意するステップと、
(b)基板上に前記開口部を有するパターンを配置するステップと、
(c)プラズマ発生装置内で、前記パターンを配置した前記基板をプラズマに面する位置に配置するステップと、
(d)前記プラズマ発生装置内にガスを導入し、プラズマを発生させるステップと、
(e)前記プラズマ発生装置内に固体の微粒子を注入するステップと、
(f)前記プラズマを消滅させて、前記微粒子を前記基板上に落下させて、前記パターンに対応して前記開口部の中心のみに前記微粒子の集合体をスポット状に配列させるステップと、
を含む、微粒子配列方法。
【請求項4】
(a)微粒子の集合体をスポット状に配列させる箇所を中心とする開口部を設けたパターンを用意するステップと、
(b)基板上に前記開口部を有するパターンを配置するステップと、
(c)プラズマ発生装置内で、前記パターンを配置した前記基板をプラズマに面する位置に配置するステップと、
(d)前記プラズマ発生装置内にガスを導入し、プラズマを発生させるステップと、
(e)前記プラズマ発生装置内に微粒子の前駆体を注入し、前記プラズマ発生装置内で前記微粒子の前駆体から固体の微粒子を得るステップと、
(f)前記プラズマを消滅させて、前記微粒子を前記基板上に落下させて、前記パターンに対応して前記開口部の中心のみに前記微粒子の集合体をスポット状に配列させるステップと、
を含む、微粒子配列方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを用いて微粒子を所定パターンに配列させる微粒子配列装置及び微粒子配列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微粒子配列方法には、(1)自己組織化により微粒子を秩序化した構造を形成する方法、(2)その他の方法により微粒子の任意の配列を形成する方法、などがある。上記(1)の方法の一つとして、さらに、水溶液コロイドを用いて微粒子を長時間かけて沈降させる方法、および微粒子懸濁液中に試料を垂直に浸し、液面が静止状態になるのを待ち、任意の速度で試料を垂直に引き上げるディップコーティング法がある。この方法では、試料の引き上げ速度や溶液中の粒子の濃度により膜厚を制御する。毛細管力と水の蒸発に由来する流動力が働くことにより、コーティングしたい微粒子を均一に整列させることができる。また、微粒子の自己組織化現象を利用した微粒子薄膜の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
これに対し、自己組織化以外の微粒子を任意の形状に配列させる方法として、溝構造の内壁の選択された所定の壁部にのみ微粒子の配列集合体を形成させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。つまり、表面に所定の幅及び深さを有する溝を基板に形成し、この溝に微粒子懸濁液を充填し、充填した微粒子懸濁液の溶媒を乾燥させ、溝の壁部に微粒子が単層又は複数層で配列してなる微粒子の配列集合体を形成させる微粒子配列構造体の製造方法を提示している。
【0004】
また、単一光を分割するか、あるいは複数の光源を用いて得られる2本のビームを、空間的に間隔を設けて同期走査して照射し、これらの2本のビームの間に、ビームの放射圧の作用しない空間を形成させ、2本のビームの間に存在する複数の微粒子をビームの放射圧により同時にこの空間に捕捉することにより、屈折率の高低や反射に関係なく微粒子を配列する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
また、電子線を用いて基板表面に優先的な吸着サイトを人工的に形成させ、ここに超微粒子を成長させる方法が提示されている(例えば、特許文献4参照。)。この方法では、蒸着基板であるシリコンウエハを走査型電子顕微鏡内に入れ、シリコンウエハに電子線を照射してパターンを形成する。超微粒子の格子状配列の作成は、上記基板を真空蒸着装置に移し、基板上に超微粒子の原料となる物質を蒸着して超微粒子の格子状配列を得ている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平7-116502号公報
【特許文献2】特開2011-56626号公報
【特許文献3】特開2001-232182号公報
【特許文献4】特開昭61-41762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記の水溶液コロイドを用いて微粒子を沈降させる方法、上記ディップコーティング法および特許文献1に記載された方法では、微粒子を面に均一に配列させることはできるが、微粒子を任意のパターンに配列することはできなかった。また、形成時間は、例えば、数時間から数日間程度を要する場合があった。
【0008】
これに対し、微粒子を任意の形状に配列させる方法として、特許文献2から4に示した方法が提示されているが、特許文献2の方法では基板の溝または穴の壁面に選択的に微粒子を形成できるが、平板の任意の場所には形成することはできない。また、特許文献3の方法では光ビームが必要になり、および特許文献4の方法では電子ビームが必要になる。そのため、光ビームや電子ビームを照射しながら微粒子配列を行うか、微粒子形成の核を形成していくので、多大な時間が必要になり、また大面積の処理が難しいという問題点がある。
【0009】
本発明の目的は、数十nmから数十μmの大きさの、任意の材料の微粒子を、任意の場所に、任意の形状に短時間で配列させる微粒子配列装置および微粒子配列方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る微粒子配列装置は、プラズマを発生させるプラズマ発生装置と、
前記プラズマを発生させている領域に微粒子を注入する微粒子注入部と、
前記プラズマ発生装置内で、前記プラズマに面する位置に前記微粒子を配列させるための基板を保持する基板保持部と、
前記基板上に配置するパターンであって、前記基板上に微粒子を配列させる箇所を中心とする開口部を設けたパターンと、
を備え、
前記プラズマを発生させている領域に微粒子を注入した後、前記プラズマ発生装置内の前記プラズマを消滅させて前記基板上に前記パターンに対応して前記微粒子を配列させることができる。
【0011】
また、前記パターンは、複数の開口部を有するものとしてもよい。これによって、前記プラズマを消滅させた際には前記複数の開口部のそれぞれの中心にスポット状に前記微粒子を配列させることができる。
【0012】
本発明に係る微粒子配列方法は、
(a)微粒子を配列させる箇所を中心とする開口部を設けたパターンを用意するステップと、
(b)基板上に前記開口部を有するパターンを配置するステップと、
(c)プラズマ発生装置内で、前記パターンを配置した前記基板をプラズマに面する位置に配置するステップと、
(d)前記プラズマ発生装置内にガスを導入し、プラズマを発生させるステップと、
(e)前記プラズマ発生装置内に微粒子を注入するステップと、
(f)前記プラズマを消滅させて、前記微粒子を前記基板上に落下させて、前記パターンに対応して微粒子を配列させるステップと、
を含む。
【0013】
また、前記パターンは、複数の開口部を有するものを用いてもよい。これによって、前記プラズマを消滅させた際には前記複数の開口部のそれぞれの中心にスポット状に前記微粒子を配列させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の微粒子配列装置および方法によれば、数十nmから数十μmの大きさの、任意の材料の微粒子を、任意の場所に、任意の形状で、任意の面積に短時間で配列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る微粒子配列装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る微粒子配列装置におけるパターンの平面図である。
【図3】図2のパターンを基板上に配置した場合の断面図である。
【図4】図3の場合に微粒子の集合体がどのように配列するかを示す断面図である。
【図5】(a)は、基板上での微粒子の集合体の配列状態を示す平面図であり、(b)は、微粒子の集合体の拡大図である。
【図6】本発明の実施の形態1の変形例に係る微粒子配列装置において、一対の電極を鉛直方向と垂直方向に配置した場合の基板の配置例を示す概略図である。
【図7】(a)~(d)は、参考例に係る微粒子配列方法によって金属微粒子を配列した後、配列した金属微粒子を触媒としてカーボンナノチューブを成長させる概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る微粒子配列装置及び微粒子配列方法について、添付図面を用いて以下に説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。

【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る微粒子配列装置20の構成を示す概略図である。図2は、この微粒子配列装置20に用いるパターン14の平面図である。図3は、図2のパターン14を基板12上に配置した際の断面図である。図4は、図3のパターン14を配置した基板12上に微粒子6の集合体6aが配列する様子を示す概略図である。図5(a)は、基板上での微粒子6の集合体6aの配列状態を示す平面図であり、図5(b)は、微粒子6の集合体6aの拡大図である。
この微粒子配列装置20は、プラズマ発生装置10と、微粒子注入部16と、基板保持部と、パターン14とを備える。プラズマ発生装置10は、プラズマ3を発生させることができる。また、微粒子注入部16は、プラズマ3を発生させている領域に微粒子6を注入することができる。基板保持部(2a)は、プラズマ発生装置10内で、プラズマ3に面する位置に微粒子6を配列させるための基板12を保持する。なお、基板保持部は必ずしも別個に設ける必要はなく、例えば、図1に示すように、プラズマ発生装置10の一方の電極2aによって基板12を保持することができる場合には、電極2aによって基板保持部を兼ねることができる。パターン14は、図2に示すように、基板12上に微粒子6を配列させる箇所を中心とする開口部15を設けている。このパターン14は、基板12上に配置される。実施の形態1に係る微粒子配列装置20では、プラズマ3を発生させている領域に微粒子6を注入した後、プラズマ発生装置10のプラズマ3を消滅させて基板12上にパターン14に対応して微粒子6を配列させることができる。具体的には、図4、図5(a)及び(b)に示すように、パターン14の開口部15の幾何学的中心に微粒子の集合体6aをスポット状に配列させることができる。

【0018】
本発明に係る微粒子配列装置20によれば、パターン14の開口部15の中心にのみ微粒子の集合体6aをスポット状に配列させることができる。このように微粒子の集合体6aがパターン14の開口部15の中心にのみスポット状に配列する原理について、本発明者はプラズマ消滅時の輸送機構が関係していると考えている。微粒子の集合体6aにおける微粒子6の密度及び個数はプラズマ3を発生させる条件(圧力及び電力)により制御できる。

【0019】
なお、基板12上にスポット状に配列した微粒子の集合体6aは、微粒子6自体の大きさが数十nm~数十μmと小さいため、分子間力によって基板12上に強く吸着する。このように、数十nm~数十μmの微粒子では分子間力による吸着力が大きいため、プラズマを使用する系、例えば、スパッタリングやCVD等を用いた系では系内への微粒子の混入によって、系内の材料や基板等への汚染が問題視されており、プラズマ発生装置内への微粒子の混入を避けることが大前提とされてきた。これに対して、本発明では、従来の常識からは考えられないプラズマ3中に微粒子6への注入と、開口部を設けたパターンとの組み合わせによる新たな技術内容を検討することによって本発明に至ったものである。

【0020】
また、本発明に係る微粒子配列装置20によって、パターン14の開口部15の中心にのみ微粒子の集合体6aがスポット状に配列する点について、大気中で基板12の上に同様のパターン14を配置し、パターン14の上部から微粒子6を落下させた場合と比較する。大気中で微粒子6をパターン14の上から落下させた場合、パターン14を基板12から除去しても開口部15の形状全体にわたって微粒子6が分散した状態のものが得られるだけであり、本発明に係る微粒子配列装置によって得られるスポット状に配列した状態のものは得られない。

【0021】
さらに、本発明に係る微粒子配列装置によれば、パターン14の開口部15の形状及び配置を制御することによって、微粒子の集合体6aをスポット状に配列させる箇所及び配列パターンを制御することができる。このことは、微粒子の集合体6aの配列パターンを自由に制御できることを意味している。例えば、本発明に係る微粒子配列装置は、エッチング等の湿式プロセスによらないドライプロセスによる金属のパターニングに利用できる。また、半導体分野の層間配線用にカーボンナノチューブを使用する用途においても、層間の数十μmの孔にカーボンナノチューブを成長させるための触媒として金属微粒子を孔の底に配列させる用途にも利用できる。さらに、微粒子の集合体6aをスポット状に所定間隔で配置できるので、スペーサや層間の電気的接続用の導電性粒子の配置に使用できる。

【0022】
以下に、本発明に係る微粒子配列装置を構成する各部材について説明する。

【0023】
<プラズマ発生装置>
プラズマ発生装置10は、プラズマ3を発生させることができるものであれば、放電型、熱電離型、光電離型のいずれのプラズマ発生装置も使用できる。例えば、放電型のプラズマ発生装置としては、一対の電極間に直流電圧又は高周波電圧を印加してプラズマ発生可能なプラズマ発生装置を使用できる。あるいは、熱電離型のプラズマ発生装置として、高周波誘導熱プラズマ発生装置を用いてもよい。また、光電離型のプラズマ発生装置を用いてもよい。
なお、図1のプラズマ発生装置10の上下の電極2a、2bのうち、一方の電極2aのみに電源4を接続し、他方の電極2bは接地しているが、このような接続状態に限定されるものではない。例えば、他方の電極2bを浮動電位としてもよい。この場合には、プラズマ発生装置10の真空容器自体が接地電極として機能しうると考えられる。あるいは、両方の電極2a、2bに共に電源を接続してもよい。

【0024】
<プラズマ>
プラズマ3は、通常使用しうる希ガスのプラズマを使用できる。例えば、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン等のプラズマを使用できる。プラズマとして、上記希ガスのプラズマに限定するものではない。

【0025】
<基板保持部>
基板保持部によって、プラズマ発生装置10内で、プラズマに面する位置に基板を保持する。微粒子6を重力によって基板12上に落下させる場合には、基板12をプラズマに対して鉛直下方となるように基板保持部を設ける。あるいは微粒子6に重力以外の力、例えば、電磁力を作用させて基板に配列させる場合には、微粒子6に作用させる力の方向に沿って基板12を保持するように基板保持部を設ける。なお、例えば図1に示すように、一方の電極上に基板を載置する場合には電極2aによって基板保持部を兼ねてもよい。
一方、図6の変形例に示すように、プラズマ発生装置10の一対の電極2a、2bの配置方向が水平方向であって鉛直方向と垂直な場合には、基板保持部を電極とは別に設ける必要がある。

【0026】
<基板>
微粒子6を配列させる基板12としては、特に限定されないが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、金属基板等の様々な基板を使用できる。なお、基板12がガラス基板等のように電気的に絶縁体である場合には、直流電圧印加型のプラズマ発生装置の電極2a、2b上に基板12を載置できない点に留意する必要がある。また、基板12は、プラズマ3に面する位置に配置する。なお、上述のように、微粒子6を重力によって基板12上に落下させる場合には、基板12をプラズマに対して鉛直下方となるように配置する。あるいは微粒子6に重力以外の力、例えば、電磁力を作用させて基板12に配列させる場合には、微粒子6に作用させる力の方向に沿って基板12を配置すればよい。

【0027】
<微粒子注入部>
微粒子注入部16は、プラズマ発生後に微粒子6をプラズマ3又はそのシース領域に注入するものである。この微粒子注入部16は、例えば、図1に示すように、タンク17内の微粒子6の粉末を、ふるいを介してプラズマ発生装置10内に注入してもよい。なお、微粒子の前駆体を注入して、プラズマ発生装置10内において微粒子6に変化させてもよい。例えば、有機金属ガスを注入してプラズマ発生装置10内で金属微粒子を得るようにしてもよい。あるいは、メタンからなるガスを注入してプラズマ3によって炭素微粒子を得るようにしてもよい。

【0028】
<微粒子>
基板上に配列させる微粒子6は、素材は特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、アルミニウム等の金属微粒子、フラーレン粒子等の炭素微粒子、シリコン等の半導体微粒子、二酸化珪素(SiO)等の酸化物微粒子、有機物からなる有機物微粒子、あるいは、微粒子本体は、例えばメラミン樹脂であって表面にニッケル等の金属コーティングを施した複合体微粒子等のいずれであってもよい。また、微粒子6の粒径は、数十nm~数十μmの範囲であればよい。具体的には、使用するプラズマあるいはシース中で帯電することによって浮遊可能な粒径の範囲であればよい。なお、微粒子6は、例えば、基板12上から数mm程度の間隔を空けて浮遊する。

【0029】
<パターン>
パターン14は、基板12上に配置するものであって、微粒子6をスポット状で配列させる箇所を中心とする開口部15を有する。パターン14に設ける開口部15の幾何学的中心に微粒子の集合体がスポット状に配列するので、微粒子の集合体6aをスポット状に集中させる箇所と開口部15の中心とを整合させるように開口部15を設ける。開口部15の形状は四角形状に限られず、三角形状、多角形状、円形状等の通常使用しうる幾何学的形状を使用できる。また、開口部15の数は一つに限られず複数であってもよい。

【0030】
また、パターン14は、例えば、金属メッシュで構成してもよい。あるいは、基板12上にフォトリソグラフィ法等によって開口部15を設けたパターン14を形成してもよい。パターン14は、微粒子配列の後、基板12上から除去する。なお、微粒子配列後もパターン14自体を構造物として利用する場合にはパターン14を除去する必要はない。

【0031】
<微粒子配列方法>
本発明の実施の形態1に係る微粒子配列方法について以下に説明する。
(a)微粒子6を配列させる箇所を中心とする開口部15を設けたパターン14を用意する。微粒子の集合体6aは、開口部15の幾何学的中心にスポット状に配列されるので、微粒子6を配列しようとする箇所を幾何学的中心とする開口部15を設ける。なお、開口部15の形状は円形、長方形、三角形等のいずれの形状であってもよい。また、開口部15は一つに限られず、複数の開口部を設けてもよい。
(b)基板12上に開口部15を有するパターン14を配置する。パターン14として金属メッシュのパターン14を用いた場合には、基板12上にパターン14を載せてもよい。あるいは、基板上にフォトリソグラフィ法等によってパターン14を形成してもよい。さらに、複数の孔を設けた構造物をパターン14として配置してもよい。
(c)プラズマ発生装置10内で、パターン14を配置した基板12をプラズマ3に対して鉛直下方となる位置に配置する。放電型のプラズマ発生装置を用いた場合には、一方の電極の上に基板12を載置してもよい。
(d)プラズマ発生装置10内にガスを導入し、プラズマ3を発生させる。なお、プラズマの発生方法は、例えば、放電型によるプラズマ発生方法の場合、一対の電極2a、2b間に直流電圧又は高周波電圧を印加することによって電極間にプラズマ3を発生させることができる。なお、両方の電極2a、2bの電気的接続条件によって、電圧印加の対象は異なる場合がある。例えば、図1とは異なり、電極2bを浮動電位とした場合、プラズマ発生装置10の真空容器が接地電極として機能すると考えられるので、電極2aと真空容器との間への電圧印加となる。なお、その他の電気的接続の変更も可能であり、電気的接続条件に応じて電圧印加の対象を読み替えればよい。また、熱電離型や光電離型によるプラズマ発生方法によってプラズマ3を発生させてもよい。
(e)プラズマ発生装置10内に微粒子6を注入する。
(f)一対の電極2a、2b間の電圧印加を停止してプラズマ3を消滅させて、微粒子6を基板12上に落下させて、パターン14に対応して微粒子を配列させる。具体的には、プラズマ3を消滅させた際、複数の開口部15のそれぞれの中心にスポット状に微粒子の集合体6aを配列させることができる。なお、実現される微粒子の集合体6aの配列パターンのスケールはプラズマ3を発生させる条件(圧力、電力)に依存する。
以上によって、基板12上の任意の箇所に微粒子の集合体6aを配列させることができる。

【0032】
(実施例1)
実施例1に係る微粒子配列方法について以下に説明する。
(a)微粒子6を配列させる箇所を中心とする正方形の開口部15を設けた金属メッシュからなるパターン14を用意した。図2に示すように、開口部15の正方形の一辺の長さは155μm、各開口部15の間の間隔は55μmとした。また、図3に示すように、パターン14の厚さは55μmであった。
(b)基板12上に開口部15を有するパターン14を配置した。
(c)放電型のプラズマ発生装置10内で、パターン14を配置した基板12をプラズマ3に対して鉛直下方となる電極2aの上に載置した。
(d)放電型のプラズマ発生装置10内にArガスを導入し、一対の電極2a、2bの間に13.56MHzの高周波電圧を印加してプラズマ3を発生させた。プラズマ3の発生条件としては、圧力900mTorr(1.2hPa)、電力4.4Wとした。
(e)プラズマ発生装置10内に微粒子6を注入した。微粒子6は、直径1.55μmの二酸化珪素(SiO2)微粒子であった。
(f)一対の電極2a、2b間の電圧印加を停止してプラズマ3を消滅させて、微粒子6を基板12上に落下させて、パターン14に対応して微粒子6を配列させた。具体的には、図5の(a)に示すように、複数の開口部15の周期と対応してスポット状に微粒子の集合体6aが配列した。それぞれの微粒子の集合体6aの大きさはおよそ19μmであり、一つの集合体6aには数個から数十個の微粒子6が集合していた。

【0033】
(実施例2)
実施例2に係る微粒子配列方法について、実施例1と比較して、プラズマ発生条件である電力を3.5Wとした。この結果、スポット状の微粒子の集合体6aの大きさは25μmとなった。また、この微粒子の集合体6aにはおよそ25個の微粒子6が集合していた。

【0034】
(参考例)
参考例は、実施例1又は実施例2によって基板12上に金属微粒子の集合体6aを配列させた後、その金属微粒子の集合体6aを核としてカーボンナノチューブを成長させる場合の応用例の一つを示すものである。図7(a)~(d)は、参考例に係る微粒子配列方法によって金属微粒子を配列した後、配列した金属微粒子を触媒としてカーボンナノチューブを成長させる概略図である。
(a)基板12上に開口部を有するパターン14を配置して、その上にプラズマ3を発生させ、プラズマ3中に金属微粒子6を注入する(図7(a))。
(b)プラズマ3を消滅させることによって、基板12上にパターン14の開口部の中心に対応して、金属微粒子の集合体6aがスポット状に配列する(図7(b))。
(c)パターン14を除去する(図7(c))。金属微粒子の集合体6aの配列周期はパターン14の開口部の周期と略一致すると考えられる。
(d)金属微粒子の集合体6aを触媒としてカーボンナノチューブ8が成長する(図7(d))。
以上のように、本発明の微粒子配列装置及び方法によって、カーボンナノチューブの核となる金属微粒子を規則正しく配列させることができ、これによってカーボンナノチューブ8を規則正しく成長させることができるものと期待される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る微粒子配列装置及び方法によれば、微粒子をパターンの開口部の中心にスポット状に配列させることができる。そこで、任意のパターンに金属微粒子を配列させることによって、金属微粒子を核としてカーボンナノチューブを成長させることができる。あるいは、本発明に係る微粒子配列装置及び方法によれば、微粒子の集合体をスポット状に所定間隔で配置できるので、スペーサや層間の電気的接続用の導電性粒子の配置に使用できる。
【符号の説明】
【0036】
2a、2b 電極
3 プラズマ
4 電源
6 微粒子
6a 微粒子集合体
8 カーボンナノチューブ
10 プラズマ発生装置
12 基板
14 パターン
15 開口部
16 微粒子注入部
17 タンク
20 微粒子配列装置
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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