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明細書 :蛍光体およびその利用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5895297号 (P5895297)
公開番号 特開2013-163767 (P2013-163767A)
登録日 平成28年3月11日(2016.3.11)
発行日 平成28年3月30日(2016.3.30)
公開日 平成25年8月22日(2013.8.22)
発明の名称または考案の名称 蛍光体およびその利用
国際特許分類 C09K  11/06        (2006.01)
C07D 207/456       (2006.01)
C07D 207/452       (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
G01N  33/533       (2006.01)
H01S   3/16        (2006.01)
H01S   5/36        (2006.01)
FI C09K 11/06 645
C09K 11/06 655
C07D 207/456
C07D 207/452
H05B 33/14 A
G01N 33/533
H01S 3/16
H01S 5/36
請求項の数または発明の数 8
全頁数 27
出願番号 特願2012-027776 (P2012-027776)
出願日 平成24年2月10日(2012.2.10)
権利譲渡・実施許諾 特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
審査請求日 平成27年1月29日(2015.1.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】中 建介
【氏名】加藤 拓路
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査官 【審査官】仁科 努
参考文献・文献 特開昭53-032119(JP,A)
特表2003-509441(JP,A)
米国特許第06258954(US,B1)
特表2002-500670(JP,A)
特開平08-231502(JP,A)
特開2011-153096(JP,A)
特表2010-508295(JP,A)
米国特許出願公開第2013/0102021(US,A1)
米国特許第04757146(US,A)
特開2015-030820(JP,A)
調査した分野 C09K 11/06
C07D 207/452
C07D 207/456
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
JP0005895297B2_000008t.gif
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは1を示す。)
で表されるアミノマレイミドからなる蛍光体。
【請求項2】
請求項1に記載の蛍光体を含むことを特徴とする凝集誘起発光性材料。
【請求項3】
請求項1に記載の蛍光体を含むことを特徴とするpH刺激応答性材料。
【請求項4】
下記一般式(1)
【化2】
JP0005895297B2_000009t.gif
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。)
で表されるアミノマレイミドからなる蛍光体を含むことを特徴とする光波長変換材。
【請求項5】
下記一般式(1)
【化3】
JP0005895297B2_000010t.gif
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。)で表されるアミノマレイミドからなる蛍光体を含むことを特徴とする有機EL用発光色素。
【請求項6】
下記一般式(1)
【化4】
JP0005895297B2_000011t.gif
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。)で表されるアミノマレイミドからなる蛍光体を含むことを特徴とするセンサー用発光色素。
【請求項7】
下記一般式(1)
【化5】
JP0005895297B2_000012t.gif
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。)で表されるアミノマレイミドからなる蛍光体を含むことを特徴とする色素レーザー用発光色素。
【請求項8】
下記一般式(1)
【化6】
JP0005895297B2_000013t.gif
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。)で表されるアミノマレイミドからなる蛍光体を含むことを特徴とするバイオイメージング用発光色素。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な蛍光体およびその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機蛍光体は無機蛍光体に比べて、製造コストが抑えられる上、比重が小さいことにより媒体への分散性が良いという利点から、色素レーザー、バイオイメージング、有機EL用発光色素、太陽電池用光波長変換材など幅広い分野で利用されている。しかしながら、有機蛍光体の特性として、高濃度条件下での濃度消光による大幅な輝度低下を引き起こすことが知られている。これらの問題を回避するために、有機蛍光体を低分子または高分子のホスト材料や溶剤へ分子レベルで均一分散させた希薄状態での利用が常套手段となっている。
【0003】
これに対して、従来の有機蛍光体とは逆に、凝集すると発光が著しく増大する、いわゆる凝集誘起発光性分子が見出され、これまでの有機蛍光体の問題点を克服するとともに、医療分野や工業分野などでの有機蛍光体の新たな応用を実現させることが期待されている(非特許文献1、2参照)。
【0004】
ところで、置換マレイミドについては多くの報告があり(特許文献1、非特許文献3~7参照)、有機蛍光体として知られているものもある(特許文献1、非特許文献3、4参照)。従来有機蛍光体として用いられている置換マレイミドは、2位または3位にベンゼン環や複素環が直接結合した構造を有している。しかし、マレイミド系の有機蛍光体は、凝集誘起発光性を示さない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表2003-509441号公報(2003年3月11日公開)
【0006】

【非特許文献1】Chem.Commun.,2009,4332-4353
【非特許文献2】Chem.Commun.,2010,46,9013-9015
【非特許文献3】Chem.Commun.,2003,404-405
【非特許文献4】J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.,49,3550-3558(2011)
【非特許文献5】J.Org.Chem.,35,3138(1970)
【非特許文献6】J.Org.Chem.,40,423(1975)
【非特許文献7】J.Heteocyclic Chem.,25,1777(1988)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、比較的単純な構造で、発光色を可視領域で制御可能であり、且つ、凝集誘起発光性を示す有機蛍光体はこれまでになかった。
【0008】
非特許文献1に記載の凝集誘起発光性分子は芳香族環が多数プロペラ型に結合した極めて限定的な構造を有し、分子設計指針が不十分であるため目的に応じた凝集誘起発光性分子を合成することは困難である。
【0009】
また、非特許文献2に記載の凝集誘起発光性分子は、色素分子の発光部分が極端に長いため単独では分子構造が歪んで発光できないが、凝集して分子が積み重なると平面性が増して蛍光が飛躍的に増大する仕組みを持つ。しかし、この手法は分子量の低い単純な分子には適用できない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的単純な構造で、発光色を可視領域で制御可能であり、且つ、凝集誘起発光性を示す有機蛍光体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る蛍光体は、上記課題を解決するために、下記一般式(1)
【0012】
【化1】
JP0005895297B2_000002t.gif

【0013】
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。)
で表されるアミノマレイミドからなることを特徴としている。
【0014】
上記の構成によれば、比較的単純な構造で、発光色を可視領域で制御可能であり、且つ、凝集誘起発光性を示す有機蛍光体を実現することができるという効果を奏する。
【0015】
本発明に係る凝集誘起発光性材料は、上記蛍光体を含むことを特徴としている。
【0016】
本発明に係るpH刺激応答性材料は、上記蛍光体を含むことを特徴としている。
【0017】
本発明に係る光波長変換材は、上記蛍光体を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る蛍光体は、以上のように、下記一般式(1)
【0019】
【化2】
JP0005895297B2_000003t.gif

【0020】
(一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。)
で表されるアミノマレイミドからなる構成を備えているので、比較的単純な構造で、発光色を可視領域で制御可能であり、且つ、凝集誘起発光性を示す有機蛍光体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1~7により得られたアミノマレイミドの発光スペクトルおよび励起スペクトルを測定した結果を示す図である。
【図2】本発明の実施例で得られたアミノマレイミドの単結晶X線構造解析の結果を示す図であり、(a)は実施例1により得られたアミノマレイミドの単結晶X線構造解析の結果を示す図であり、(b)は実施例2により得られたアミノマレイミドの単結晶X線構造解析の結果を示す図である。
【図3】本発明の実施例10において、混合物全体の重量に対する水の割合がそれぞれ、56重量%、58重量%、60重量%、62重量%、64重量%および66重量%であるTHFと水との混合溶媒中のアミノマレイミドに、近紫外線を照射することにより、凝集に伴う発光強度の増大を確認した結果を示す図である。
【図4】本発明の実施例10において、混合物全体の重量に対する水の割合がそれぞれ、56重量%、58重量%、60重量%、62重量%、64重量%および66重量%であるTHFと水との混合溶媒中のアミノマレイミドを335nmで励起させて発光スペクトルを測定した結果を示す図である。
【図5】本発明の実施例11において、アミノマレイミドの固体膜中での発光を観察した結果を示す図であり、(a)は作成した固体膜を示す図であり、(b)は作成した固体膜にキセノンランプを照射した結果を示す図である。
【図6】本発明の実施例12において、アミノマレイミドの発光のpH応答性を示す図であり、(A)は近紫外線照射下のPh,Ph-AMI、THFおよび水の混合液を示す図であり、(B)は35%HCl水溶液添加後の混合液を示す図である。
【図7】本発明の実施例12において、Ph,Ph-AMI、THFおよび水の混合液の発光スペクトルを測定した結果および35%HCl水溶液添加直後の混合液を室温で放置し2分ごとに発光スペクトルを測定した結果を示す図である。
【図8】本発明の実施例12において、アミノマレイミドに酸を加えることにより、アミノ基がプロトン化することを示す図である。
【図9】本発明を構成するアミノマレイミドの製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。

【0023】
(I)本発明に係る蛍光体
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、マレイミドのN位に、置換または無置換のフェニル基または置換または無置換のベンジル基が結合し、且つ、マレイミドの2位または3位のC原子に置換または無置換のフェニルアミノ基(アニリノ基)が結合してなるアミノマレイミドは、溶液中では発光せず、分子が凝集すると発光が著しく増大することを見出した。

【0024】
そして、これにより、分子量の低い比較的単純な構造の有機化合物を用いて、発光色を可視領域で制御可能であり、且つ、凝集誘起発光性を示す有機蛍光体を実現することができることを見出して本発明を完成させるに至った。

【0025】
すなわち、本発明に係る蛍光体は、下記一般式(1)で表されるアミノマレイミドからなる。なお、本明細書においては、マレイミドを形成する5員環のN原子(N位)に隣接するC原子を1位とし、当該C原子に隣接するC原子を2位としてマレイミドを形成するC原子に順に番号をふるものとする。

【0026】
【化3】
JP0005895297B2_000004t.gif

【0027】
ここで、一般式(1)中、Rは水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、Rは水素原子または炭素数1~6のアルキル基を示し、nは0または1を示す。

【0028】
すなわち、一般式(1)中、Rは水素原子でありうる。かかる場合、マレイミドのN位には、nが0の場合は置換基を有しないフェニル基が、nが1の場合は置換基を有しないベンジル基が結合している。また、Rは炭素数1~6のアルキル基であってもよく、かかるアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。また、RはF、Cl、BrおよびIから選ばれるいずれかのハロゲン原子であってもよい。なお、RはマレイミドのN位のN-(CH)n-に対して、パラ位、メタ位およびオルト位のいずれに結合していてもよい。

【0029】
また、一般式(1)中、Rは水素原子でありうる。かかる場合、マレイミドの2位のC原子には、置換基を有しないフェニルアミノ基が結合している。また、Rは炭素数1~6のアルキル基であってもよく、かかるアルキル基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。なお、Rはマレイミドの2位のC原子に結合しているアミノ基に対して、パラ位、メタ位およびオルト位のいずれに結合していてもよい。

【0030】
より具体的には、本発明に係る蛍光体を構成するアミノマレイミドとしては、例えば、2-アニリノ-N-フェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)トリルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)エチルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)プロピルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)イソプロピルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ブチルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)イソブチルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)sec-ブチルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)tert-ブチルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)フルオロフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ブロモフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)クロロフェニルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ヨードフェニルマレイミド;2-アニリノ-N-ベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)メチルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)エチルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)プロピルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)イソプロピルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ブチルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)イソブチルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)sec-ブチルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)tert-ブチルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)フルオロベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ブロモベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)クロロベンジルマレイミド、2-アニリノ-N-(o-,m-,p-)ヨードベンジルマレイミド;2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-フェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)トリルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)エチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)プロピルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)イソプロピルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)イソブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)sec-ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)tert-ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)フルオロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ブロモフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)クロロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ヨードフェニルマレイミド;2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-ベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)メチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)エチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)プロピルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)イソプロピルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)イソブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)sec-ブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)tert-ブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)フルオロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ブロモベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)クロロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)トルイジノ-N-(o-,m-,p-)ヨードベンジルマレイミド;2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-フェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)トリルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-ベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)メチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)エチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードベンジルマレイミド;2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-フェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)トリルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードフェニルマレイミド;2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-ベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)メチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)プロピルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードベンジルマレイミド;2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-フェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)トリルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードフェニルマレイミド;2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-ベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)メチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルベンジルマレイミド、



2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ブチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードベンジルマレイミド;2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-フェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)トリルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードフェニルマレイミド;2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-ベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)メチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードベンジルマレイミド;2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-フェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)トリルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロフェニルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードフェニルマレイミド;2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-ベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)メチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)エチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)プロピルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ペンチルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヘキシルベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)フルオロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ブロモベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)クロロベンジルマレイミド、2-(o-,m-,p-)ヘキシルフェニルアミノ-N-(o-,m-,p-)ヨードベンジルマレイミド等を挙げることができる。

【0031】
本発明に係る蛍光体は溶液中では発光しない。ここで、本明細書において、溶液とは液体状態にある均一な混合物をいう。すなわち、本発明に係る蛍光体を溶媒に完全に溶解した状態では、近紫外光で励起しても発光しない。なお、近紫外光とは300~400nmの光をいう。本発明に係る蛍光体が分子分散状態の溶液中で発光しないのは、溶液中ではアミノマレイミド分子の2位または3位に結合する置換または無置換のフェニルアミノ基が自由回転するため、励起エネルギーが回転運動に消費されて発光が起こらないためであると考えられる。また、アミノマレイミド分子の2位または3位にベンゼン環や複素環が直接結合した構造を有している従来の蛍光体では、本発明のアミノマレイミド分子と比較して、ベンゼン環や複素環が自由回転しにくいために、溶液中で消光しないと考えられる。

【0032】
本発明に係る蛍光体は、溶液中では発光しないが、分子凝集状態が起こる液体状態や固体状態で発光が著しく増大するいわゆる凝集誘起発光性を有する蛍光体である。本発明に係る蛍光体は、その溶液に、本発明に係る蛍光体の非溶媒または貧溶媒を添加して、本発明に係る蛍光体を析出させて凝集させると、近紫外の励起光で発光することが確認された。また、添加する非溶媒または貧溶媒の割合が増加して、凝集量が増大するに伴い、発光強度が増大する。

【0033】
また、本発明に係る蛍光体は固体状態で発光を示し、その最大発光波長は、400nm~650nmであり、励起光の波長は250nm~500nmである。

【0034】
本発明に係る蛍光体が、凝集(固体)状態で発光が著しく増大し、高濃度条件下での濃度消光による輝度低下が起こらない理由としては、(i)2位もしくは3位のC原子に結合する置換または無置換のフェニルアミノ基の回転が抑制されて、2位のフェニルアミノ基のベンゼン環とマレイミド環の平面性が増大すること、および、(ii)マレイミド環と、マレイミドのN-置換基とのねじれによりπ-スタッキングが抑制されることが考えられる。

【0035】
以上のように、本発明に係る蛍光体は、マレイミドの2位もしくは3位のC原子に結合する置換または無置換のフェニルアミノ基の自由回転とその抑制により、従来のマレイミド系蛍光体にはない、溶液中で消光し、凝集により発光が著しく増大するという特性を備える。したがって、溶液中と凝集状態とにおける発光挙動の差を利用したセンサー等に好適に用いることができる。

【0036】
また、本発明に係る蛍光体は、マレイミドの2位もしくは3位のC原子に結合する置換または無置換のフェニルアミノ基の置換基(アミン側の置換基)、および、マレイミドのN位に結合するフェニル基またはベンジル基の置換基(イミド側の置換基)を替えることにより、それぞれ異なる色に発光することが見出された。したがって、本発明に係る蛍光体では、アミン側の置換基と、イミド側の置換基とを、適宜選択することにより、発光波長を細かく調整することが可能となる。

【0037】
(II)本発明にかかる蛍光体の製造方法
本発明に係る蛍光体の製造方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を適宜選択して用いることができる。

【0038】
かかる方法としては、例えば、J.Org.Chem.,35,3138(1970)、J.Org.Chem.,40,423(1975)、J.Heteocyclic Chem.,25,1777(1988)等に記載の方法を好適に用いることができる。

【0039】
また、本発明に係る蛍光体の製造方法の他の一例としては、下記一般式(2)

【0040】
【化4】
JP0005895297B2_000005t.gif

【0041】
で表される化合物と、該化合物に対して過剰の下記一般式(4)
NH ・・・(4)
で表される1級アミンとを反応させる製造方法を挙げることができる(一段階法)。

【0042】
ここで、上記RおよびRは、メチル基を示し、Rは、上記(I)の一般式(1)の説明に記載したRと同様の基をo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するフェニル基である。

【0043】
上記製造方法によれば、図9の上段に示すように、マレイミドのN位に結合する基と、マレイミドの2位のC原子に結合するN原子に結合する基とがともに上記(I)の一般式(1)の説明に記載したRと同様の基をo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するフェニル基であるアミノマレイミドを得ることができる。

【0044】
上記一段階法においては、一般式(2)で表される化合物に対して過剰の一般式(4)で表される1級アミンを反応させることにより、一段階の反応で、本発明に係る蛍光体を製造することができる。ここで、過剰とは、一般式(2)で表される化合物に対する一般式(4)で表される1級アミンのモル比(一般式(4)で表される1級アミンのモル数/一般式(2)で表される化合物のモル数)が5~100であることをいう。

【0045】
また、上記一段階法において用いることができる溶媒は、一般式(2)で表される化合物と一般式(4)で表される1級アミンとが反応する限り特に限定されるものではなく、必要に応じて用いればよい。かかる溶媒としては、例えば、N,N´-ジメチルアセトアミド(DMAc)、トルエン、ジメチルホルムアミド(DMF)等を好適に用いることができる。または反応時に反応混合物が液体状態であれば無溶媒でも構わない。

【0046】
反応温度は特に限定されるものではないが、通常80~150℃である。また、反応時間も特に限定されるものではないが、4~24時間である。

【0047】
また、本発明に係る蛍光体の製造方法は、下記一般式(2)

【0048】
【化5】
JP0005895297B2_000006t.gif

【0049】
で表される化合物と、該化合物に対して下記一般式(5)
NH ・・・(5)
で表される1級アミンとを反応させる第1工程と、第1工程により得られた下記一般式(3)

【0050】
【化6】
JP0005895297B2_000007t.gif

【0051】
で表される化合物とこれに対して過剰の下記一般式(6)
NH ・・・(6)
で表される1級アミンとを反応させる第2工程とを含む製造方法を挙げることができる(二段階法)。

【0052】
ここで、上記RおよびRは、メチル基を示し、Rは、上記(I)の一般式(1)の説明に記載したRと同様の基をo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するフェニル基または同様のRをo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するベンジル基である。また、Rは、上記(I)の一般式(1)の説明に記載したRと同様の基をo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するフェニル基である。

【0053】
上記製造方法によれば、図9の下段にその一例を示すように、マレイミドのN位に結合する基が上記(I)の一般式(1)の説明に記載したRと同様の基をo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するフェニル基または同様のRをo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するベンジル基であり、マレイミドの2位のC原子に結合するN原子に結合する基が上記(I)の一般式(1)の説明に記載したRと同様の基をo-,m-,p-のいずれかに置換基として有するフェニル基であるアミノマレイミドを得ることができる。

【0054】
上記二段階法においては、第1工程で、一般式(2)で表される化合物に対して一般式(5)で表される1級アミンを反応させることにより、一般式(3)で表される化合物を得る。ここで、一般式(2)で表される化合物に対する一般式(5)で表される1級アミンのモル比(一般式(5)で表される1級アミンのモル数/一般式(2)で表される化合物のモル数)が2~4であることが好ましい。

【0055】
また、第1工程で用いることができる溶媒は、一般式(2)で表される化合物と一般式(5)で表される1級アミンとが反応する限り特に限定されるものではなく、必要に応じて用いればよい。かかる溶媒としては、例えば、DMac、トルエン、クロロベンゼン等を好適に用いることができる。

【0056】
第1工程の反応温度は特に限定されるものではないが、通常60~120℃である。また、反応時間も特に限定されるものではないが、1~10時間である。

【0057】
二段階法においては、第2工程で、一般式(3)で表される化合物に対して過剰の一般式(6)で表される1級アミンを反応させることにより、本発明に係る蛍光体を製造することができる。ここで、過剰とは、一般式(3)で表される化合物に対する一般式(6)で表される1級アミンのモル比(一般式(6)で表される1級アミンのモル数/一般式(3)で表される化合物のモル数)が5~100であることをいう。

【0058】
また、第2工程において用いることができる溶媒は、一般式(3)で表される化合物と一般式(6)で表される1級アミンとが反応する限り特に限定されるものではなく、必要に応じて用いればよい。かかる溶媒としては、例えば、DMAc、トルエン、DMF等を好適に用いることができる。または反応時に反応混合物が液体状態であれば無溶媒でも構わない。

【0059】
第2工程の反応温度は特に限定されるものではないが、通常80~150℃である。また、反応時間も特に限定されるものではないが、4~24時間である。

【0060】
なお、上記一般式(2)で表される化合物の製造方法も特に限定されるものではないが、例えば、Synthesis and Characterization of Stereoisomers of 1,4-Dihydro-1,4-diarsinines Arita, M.; Naka, K.; Morisaki, Y.; Nakahashi, A.; Chujo, Y.Organometallics, 28(20), 6109-6113 (2009)に記載の方法およびSynthesis and low-temperature dehydrating imidation polymerization of 1,4-dihydro-1,4-diarsininetetracarboxylic acid dianhydride Naka, K.; Arita, M.; Shimamoto, T.; Morisaki, Y.; Chujo, Y.Polym. J., 43(4), 358-363(2011)に記載の方法を好適に用いることができる。

【0061】
(III)本発明に係る蛍光体の利用
本発明に係る蛍光体は、上述したように、溶液中では発光しないが、分子凝集状態が起こる液体状態や固体状態で発光が著しく増大するいわゆる凝集誘起発光性を有する蛍光体である。したがって高濃度条件での使用が可能となる。また、アミン側の置換基と、イミド側の置換基とを、適宜選択することにより、発光波長を細かく調整することが可能となる。よって、本発明に係る蛍光体は、色素レーザー、バイオイメージング、有機EL用発光素子等幅広い分野において好適に用いることができる。

【0062】
また、本発明に係る蛍光体は、マレイミドの2位もしくは3位のC原子に結合する置換または無置換のフェニルアミノ基の自由回転とその抑制により、従来のマレイミド系蛍光体にはない、溶液中で消光し、凝集により発光が著しく増大するという特性を備える。したがって、溶液中と凝集状態とにおける発光挙動の差を利用したセンサー等に好適に用いることができる。

【0063】
したがって本発明には、本発明に係る蛍光体を含む凝集誘起発光性材料も含まれる。かかる、凝集誘起発光性材料は、少なくとも本発明に係る蛍光体を含み、さらに、例えば、本発明に係る蛍光体の溶媒、非溶媒、貧溶媒、高分子化合物、これらの組み合わせ等を含んでいる。

【0064】
さらに本発明に係る蛍光体は、以下の用途に好適に用いることができる。

【0065】
<pH刺激応答性材料、金属センサー用刺激応答性材料、圧力センサー用刺激応答性材料>
本発明に係る蛍光体が溶解している溶液に、本発明に係る蛍光体の非溶媒または貧溶媒を添加して、本発明に係る蛍光体を析出させて凝集させると、近紫外の励起光で発光する。この本発明に係る蛍光体の凝集した分子を含む液に酸を添加すると、発光強度が低下することが見出された。これは、酸を加えることにより、図8に示すように、マレイミドの2位もしくは3位のC原子に結合するアミノ基がプロトン化し、共役系が切断され、フェニルアミノ基のベンゼン環とマレイミド環との平面性が損なわれたためであると考えられる。

【0066】
このように、本発明に係る蛍光体は、凝集した状態で、周囲のpHにより、発光したり、消光したりするため、pH刺激応答性材料として用いることができる。それゆえ、本発明には、本発明に係る蛍光体からなるpH刺激応答性材料も含まれる。かかるpH刺激応答性材料はまた、本発明に係る蛍光体を含み、さらに溶媒、非溶媒、貧溶媒等の溶剤等を含んでいてもよい。

【0067】
また、本発明に係る蛍光体は、マレイミドの2位もしくは3位のC原子に結合するアミノ基に金属が配位することにより、発光の波長が変化するため、金属センサー用刺激応答性材料として用いることができる。

【0068】
さらに、本発明に係る蛍光体は、圧力をかけることにより、結晶が歪んで発光の波長が変化するため、圧力センサー用刺激応答性材料として用いることができる。

【0069】
<光波長変換材>
また、本発明に係る蛍光体は、光波長変換材として好適に用いることができる。例えばシリコン結晶系太陽電池では、太陽光のうち400nmよりも短波長の光、および1200nmよりも長波長の光が有効に利用されないため、太陽光エネルギーの約56%がこのスペクトルミスマッチにより太陽光発電に寄与しない。かかる問題を解決するために、太陽電池用光波長変換材を用いて、太陽光スペクトルのうち、発電に寄与しない紫外域または赤外域の光を波長変換することにより、発電に寄与しうる波長域の光を発光する層を太陽電池受光面側に設ける手法が提案されている。本発明に係る蛍光体は、かかる太陽電池用光波長変換材として好適に用いることができる。本発明に係る蛍光体は、分散性が良いため、濃度消光を抑制した凝集した状態で、波長変換し、効率よく且つ安定的に太陽光を利用することができる。

【0070】
あるいは、本発明に係る蛍光体は、植物の光合成に利用されない波長の光を光合成に必要な吸収波長域に変換して植物の成長を促進させる目的で、例えば農業用シート、園芸用シート等の農園芸波長変換被覆資材に、光波長変換材として好適に用いることができる。

【0071】
さらに、本発明に係る蛍光体は、眼に見えない紫外光を可視光の発光に変換することで悪天候条件でも発光するという特性を利用した標識、表示板、安全グッズ等に、光波長変換材として好適に用いることができる。

【0072】
それゆえ、本発明には、本発明に係る蛍光体からなる光波長変換材も含まれる。かかる光波長変換材はまた、本発明に係る蛍光体を含む高分子フィルム、高分子シート、高分子成形体等であってもよいし、本発明に係る蛍光体と、膜、シートまたは成形体を形成する高分子化合物とを含む成膜用組成物または成形用組成物であってもよい。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0074】
なお、固体状態および液中の発光スペクトル及び励起スペクトルはPERKIN ELMER 社製LS50B Luminescence Spectrometerを使用して測定した。
【実施例】
【0075】
〔合成例1:cis-1,4-ジヒドロ-1,4-ジメチル-1,4-ジアルシニン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物(cis-DHDADA)の製造〕
<cis-1,4-ジヒドロ-1,4-ジメチル-2,3,5,6-テトラキス(tert -ブトキシカルボニル)-1,4-ジアルシニン(cis-DHDAtBu)の製造>
Synthesis and Characterization of Stereoisomers of 1,4-Dihydro-1,4-diarsinines Arita, M.; Naka, K.; Morisaki, Y.; Nakahashi, A.; Chujo, Y.Organometallics, 28(20), 6109-6113 (2009)に記載の方法に従い、三酸化二ヒ素(25g、0.13mol)の水酸化ナトリウム水溶液(10mol/L、100mL)にヨードメタン(50g、0.35mol)を加え85℃で3時間還流した。反応後エタノールを200mL加えて生成した白色沈殿を濾過し、蒸留水200mLに溶かした後、エタノール1Lを加えて再沈殿を行い白い粉末のメチルアルソン酸二ナトリウムを得た。
H-NMR(DO):δ 1.50 (s, 3H)。
【実施例】
【0076】
常温減圧下で十分に乾燥したメチルアルソン酸二ナトリウムに50%ホスフィン酸水溶液(150g)を加え70℃で3時間撹拌した。二相に分離した黄色の有機相を水酸化ナトリウム水溶液(2.5mol/L)で洗浄した後、減圧下で蒸留し、黄色の液体のcyclo-(MeAs)を得た。
【実施例】
【0077】
窒素雰囲気下、120℃で還流したジtert-ブチルアセチレンジカルボキシレート(10.0g、44.2mmol)のトルエン溶液(200 mL)にcyclo-(MeAs)(3.97g、8.83mmol)を加え12時間撹拌した。その後溶媒を減圧下で留去し、メタノールで洗浄してメタノールに可溶の成分を除去した。常温減圧下で乾燥した後、最小量の塩化メチレンに溶解させ、液面が乱れないようにゆっくりとエタノールを加えて再結晶し透明な柱状結晶のcis-DHDAtBuを収率31.3%で得た。
H-NMR (CDCl):δ 1.52 (s, 6H); 1.50 (s, 1H)。
【実施例】
【0078】
<cis-1,4-ジヒドロ1,4-ジメチル1,4-ジアルシニン2,3,5,6-テトラキスカルボン酸二無水物(cis-DHDADA)の製造>
cis-DHDAtBu(2.2g、3.4mmol)をギ酸(500ml)に加え、120℃で24時間攪拌した。cis-DHDAtBuがギ酸に溶解して5分で液色が無色透明から黄色透明になった。その反応混合物を減圧濃縮し、残渣にクロロホルムを加えて黄色成分を抽出し、得られた黄色溶液を減圧濃縮した後、再度ギ酸(500ml)を加えて還流下で24時間攪拌し、その反応混合物を減圧濃縮することでcis-DHDADAを黄色結晶として収率93%で得た。
H-NMR(CDCl):δ 1.81 (As- CH)。13C-NMR(CDCl):δ 162.99; 152.77; 10.09。FT-IR:1830 cm-1, 1800 cm-1 (C=O) 1240 cm-1(C-O)
〔実施例1:2-アニリノ-N-フェニルマレイミド(Ph,Ph-AMI)の製造〕
一段階合成法により、窒素雰囲気下でcis-DHDADA(161.0mg、0.50mmol)とアニリン(1103.0mg、11.84mmol)のDMAc溶液(0.5mL)とを80℃で4.5時間撹拌した。反応後にメタノールを加え再結晶を行い、黄色のPh,Ph-AMIの結晶を収率41.6%で得た。
【実施例】
【0079】
二段階合成法によりPh,Ph-AMIを製造した。窒素雰囲気下で、後述するcis-DHDADI-phenylの製造により得られたcis-DHDADI-phenyl(33.5mg、0.064mmol)のアニリン溶液(0.5mL)を130℃で7時間撹拌した。反応後に減圧下でアニリンを留去し、メタノールを加え再結晶を行い、黄色のPh,Ph-AMIの結晶を収率30.1%で得た。
【実施例】
【0080】
合成したアミノマレイミドは単結晶X線構造解析、H-NMR及び13C-NMRにより構造を決定した。単結晶X線構造解析の結果を図2の(a)に示す。
H-NMR (CDCl):δ 7.49-7.41 (m, 6H); 7.38-7.34 (m, 2H); 7.21-7.18 (m, 3H); 5.68 (s,1H)。
13C-NMR (CDCl):δ 171.27; 167.08; 142.39; 138.23; 131.64; 129.85; 129.07; 127.61;125.87; 124.81; 118.98, 89.18。
Analytical calculation for C16H12N2O2:C, 72.72; H, 4.58; N, 10.60; O, 12.11%。found:C,72.59; H, 4.43; N, 10.50%。
【実施例】
【0081】
〔実施例2:2-p-トルイジノ-N-p-トリルマレイミド(p-MePh,p-MePh-AMI)の製造〕
窒素雰囲気下でcis-DHDADA(104.2mg、0.28mmol)とp-トルイジン(1675.2mg、15.63mmol)を150℃で9.5時間撹拌した。反応後に減圧下でp-トルイジンを留去し、メタノールを加え再結晶を行い、黄色のp-MePh,p-MePh-AMIの結晶を収率41.6%で得た。
【実施例】
【0082】
合成したアミノマレイミドは単結晶X線構造解析、H-NMR及び13C-NMRで構造を決定した。単結晶X線構造解析の結果を図2の(b)に示す。
1H-NMR(CDCl):δ 7.37 (s, 1H); 7.27 (s, 4H); 7.21 (d, J = 8.1 Hz, 6H); 7.09 (d, J = 8.5 Hz, 1H); 5.59 (s, 1H); 2.38 (s, 1H); 2.36 (s, 1H)。
13C-NMR(CDCl):δ 171.57; 167.22; 142.69; 137.60; 135.74; 130.32; 129.70; 128.99;125.88, 119.03; 88.42; 21.16; 20.89。
【実施例】
【0083】
〔合成例2:cis-1,4-ジヒドロ-1,4-ジメチル-1,4-ジアルシニン-2,3,5,6-テトラカルボキシジイミド(cis-DHDADI)の製造〕
<cis-DHDADI-phenylの製造>
窒素雰囲気下でcis-DHDADA(371.9g、1.00mmol)及びアニリン(273.8g、2.73mmol)のトルエン溶液を2時間還流した。溶媒を減圧下で留去した後、塩化メチレン/メタノールの混合溶媒により再結晶を行い、黄色の結晶を収率52.3%で得た。
H-NMR(CDCl):δ 7.51-7.37(m,5H);1.79(s,3H)。FAB-HR-MS(m/z):calculated for C22H16AsNO, 552.2226; found, 521.9545。Anal. calculated for C22H16AsNO: C, 50.60; H, 3.09. found: C, 50.43; H, 2.93。
【実施例】
【0084】
<cis-DHDADI-benzylの製造>
窒素雰囲気下でcis-DHDADA(324mg、0.871mmol)及びベンジルアミン(226.9mg、2.11mmol)のトルエン溶液を7時間還流した。溶媒を減圧下で留去した後、塩化メチレン/メタノールの混合溶媒により再結晶を行い、黄色の結晶を収率86.6%で得た。
H-NMR(CDCl):δ7.38-7.28(m,5H);4.68(s,2H);1.67(s,3H)。
【実施例】
【0085】
<cis-DHDADI-tBubenzylの製造>
窒素雰囲気下でcis-DHDADA(32.7mg、0.088mmol)及びp-tert-ブチルベンジルアミン(6.5mg、0.224mmol)のトルエン溶液を85℃で9時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去した後、塩化メチレン/メタノールの混合溶媒により再結晶を行い、黄色の結晶を収率69.7%で得た。
H-NMR(CDCl):δ7.35-7.29(m,4H);4.65(s,2H);1.66(s,3H);1.29(s,9H)。
【実施例】
【0086】
<cis-DHDADI-p-BrPhの製造>
窒素雰囲気下でcis-DHDADA(375.4mg、1.01mmol)及びp-ブロモアニリン(371.1mg、2.16mmol)のクロロベンゼン溶液(15mL)を130℃で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去した後、塩化メチレンに溶解させ、メタノールを加えて再結晶を行い、黄色の結晶を収率37.4%で得た。
H-NMR(CDCl):δ7.62(d,J=8.8Hz,2H);7.32,(d,J=8Hz);1.79(s,3H)。
【実施例】
【0087】
〔実施例3:2-p-トルイジノ-N-フェニルマレイミド(Ph,p-MePh-AMI)の製造〕
窒素雰囲気下でcis-DHDADI-phenyl(110.5mg、0.2116mmol)とp-トルイジン(694.0mg、6.476mmol)を120℃で7時間撹拌した。反応後に減圧下でp-トルイジンを留去し、メタノールを加え再結晶を行い、黄色のPh,p-MePh-AMIの結晶を収率39.3%で得た。
H-NMR(CDCl):δ 7.49-7.31 (m. 5H); 7.24 (d, J = 8.4 Hz, 2H); 7.10 (d, J = 8.4 Hz, 2H);5.62 (s. 1H); 2.37 (s.3H)
〔実施例4:2-アニリノ-N-p-ブロモフェニルマレイミド(p-BrPh,Ph-AMI)の製造〕
窒素雰囲気下でcis-DHDADI-p-BrPh(61.4mg、0.0903mmol)のアニリン溶液(2.5mL)を120℃で7時間撹拌した。反応後に減圧下でアニリンを留去し、メタノールを加え再結晶を行い、黄色のp-BrPh,Ph-AMIの結晶を収率43.4%で得た。
H-NMR(CDCl):δ 7.64-7.18 (m. 10H); 5.67 (s. 1H)。
【実施例】
【0088】
〔実施例5:2-アニリノ-N-ベンジルマレイミド(Bz,Ph-AMI)の製造〕
窒素雰囲気下でcis-DHDADI-benzyl(27.1mg、0.0492mmol)のアニリン溶液(0.3mL)を135℃で9時間撹拌した。反応後に減圧下でアニリンを留去し、メタノールを加え再結晶を行い、黄色のBz,Ph-AMIの結晶を収率27.7%で得た。
H-NMR(CDCl):δ 7.42-7.12 (m. 11H); 5.53 (s.1H); 4.71 (s. 2H)。
【実施例】
【0089】
〔実施例6:2-p-トルイジノ-N-ベンジルマレイミド(Bz,p-MePh-AMI)の製造〕
窒素雰囲気下でcis-DHDADI-benzyl(56.3mg、0.0903mmol)とp-トルイジン(978.0mg、9.126mmol)とを140℃で5.5時間撹拌した。反応後に減圧下でp-トルイジンを留去し、メタノールを加え再結晶を行い、黄色のBz,p-MePh-AMIの結晶を収率26.5%で得た。
H-NMR(CDCl):δ7.38-7.30(m,5H);7.19(d,J=8.2Hz,2H);7.02(d,J=8.4Hz,2H);5.46 (s, 1H); 4.70 (s, 1H); 2.34 (s, 1H)。
【実施例】
【0090】
〔実施例7:2-p-トルイジノ-N-p-tert -ブチルベンジルマレイミド(p-tBuBz,p-MePh-AMI)の製造〕
窒素雰囲気下でcis-DHDADI-tBubenzyl(34.7mg、0.0524mmol)とp-トルイジン(268.4mg、2.504mmol)を140℃で7時間撹拌した。反応後に減圧下でp-トルイジンを留去し、メタノールを加え再結晶を行い、黄色のp-tBuBz,p-MePh-AMIの結晶を収率43.4%で得た。
H-NMR(CDCl):δ 7.35-7.29 (m, 4H); 7.19 (d, J = 8.2 Hz, 2H); 7.02 (d, J = 8.4 Hz, 2H);5.45 (s, 1H); 4.67 (s, 2H); 2.34 (s, 3H); 1.29 (s, 9H)。
【実施例】
【0091】
〔実施例8:固体状態における発光〕
実施例1、2により得られたアミノマレイミドの固体サンプルに、ブラックライトブルーランプを用いて近紫外線(315nm~400nm、最もランプ強度が強い波長:352nm)を照射したところ、いずれも固体状態で発光を示した。なお、ブラックライトブルーランプとしては、紫外線ボックス・スタンダード型強力タイプ(株式会社相互理化学硝子製作所製)を使用した。
【実施例】
【0092】
また、実施例1、2により得られたアミノマレイミドの固体サンプルを固体粉末セルに均一に入れて、いずれも400nmで励起させて発光スペクトルを測定した。最大発光波長がPh,Ph-AMIでは505nm、p-MePh,p-MePh-AMIでは521nmに観測された。
【実施例】
【0093】
また、発光波長をPh,Ph-AMIでは505nm、p-MePh,p-MePh-AMIでは521nmとして得られる励起スペクトルも測定した。
【実施例】
【0094】
〔実施例9:固体状態における発光〕
実施例1~7により得られた種々の置換基を導入したアミノマレイミドは、それぞれ異なる色に発光した。また、400nmの光で励起したときの、それぞれのアミノマレイミドの規格化された発光スペクトルを図1に示す。また、最大発光波長をp-tBuBz,p-MePh-AMIでは480nm、Bz,Ph-AMIでは490nm、Bz,p-MePh-AMIでは500nm、Ph,Ph-AMIでは505nm、p-BrPh,Ph-AMIでは517nm、Ph,p-MePh-AMIでは520nm、p-MePh,p-MePh-AMIでは521nmとして得られる励起スペクトルも図1に併せて示す。
【実施例】
【0095】
この結果より、置換基を変えることにより、480nmから521nmの領域で最大発光波長が変化することが判る。また、400nmより短波長側の励起スペクトルに大きな変化は見られないが、400nmより長波長側の励起スペクトルが、発光波長に依存して変化していることが示された。置換基を変えることでの電子状態の変化や、イミド部位とアミン部位の平面性の変化により発光波長が詳細にチューニングされたものと考えられる。
【実施例】
【0096】
〔実施例10:凝集誘起発光性〕
実施例1で得られたPh,Ph-AMIのテトラヒドロフラン(THF)溶液(0.04molL-1)1mLに、混合物全体の重量に対する水の割合がそれぞれ、56重量%、58重量%、60重量%、62重量%、64重量%および66重量%になるようにTHFと水との混合溶媒を4mL加え、実施例8と同じブラックライトブルーランプを用いて近紫外線(315nm~400nm、最もランプ強度が強い波長:352nm)を照射することで、凝集に伴う発光強度の増大を確認した。結果を図3に示す。Ph,Ph-AMIがTHFに溶解した状態(水の割合が56重量%)では発光が見られなかった。しかし水の割合が増加することによって、Ph,Ph-AMIが析出して凝集することで発光が発現した。また、凝集量に伴って発光強度が増大することを確認した。この結果より、Ph,Ph-AMIは凝集誘起発光を示すことが判る。
【実施例】
【0097】
また、混合物全体の重量に対する水の割合をそれぞれ、56重量%、58重量%、60重量%、62重量%、64重量%および66重量%としたPh,Ph-AMIと、THF/水混合溶媒との混合物を335nmで励起させて発光スペクトルを測定した結果を図4に示す。図4に示されるように、水の濃度が上昇することにより発光強度が上昇したことを確認した。
【実施例】
【0098】
〔実施例11:固体膜中での発光〕
Ph,Ph-AMI(2.6mg)をトルエン20mLに溶解させた。このPh,Ph-AMIトルエン溶液(0.13mg/mL)1mLにエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)10mgを溶解させ、これをガラス基板上に70℃でキャストし、130℃で20分間加熱することで乾燥させた。
【実施例】
【0099】
作成した膜は淡黄色の透明膜であった(図5の(a))。この膜に、キセノンランプを照射したところ、図5の(b)に示すように発光した。
【実施例】
【0100】
膜の400nmを励起波長とした発光スペクトルを測定したところ、最大発光波長が497nmに観測された。EVAを媒体に用いたPh,Ph-AMIは均一に分散しており、媒体中でも発光することがわかった。
【実施例】
【0101】
〔実施例12:発光のpH応答性〕
実施例1で得られたPh,Ph-AMI(2.6mg)をテトラヒドロフラン(THF)20mLに溶解させた。このPh,Ph-AMIのTHF溶液(9.8×10-3mmol)2mLに4mLの水を加えることで、図6の(A)に示すように発光が観測されるようになった。このPh,Ph-AMIと、THF/水混合溶媒との混合物の発光スペクトルを図7に示す。
【実施例】
【0102】
この混合物3mLに35%HCl水溶液0.1mLを加えると、図6の(B)に示すように、ただちに発光強度の低下が見られた。図6に35%HCl水溶液を加える前、加えた直後およびその後、2分ごとに発光スペクトルを測定した結果を図7に示す。
【実施例】
【0103】
これは、酸を加えることで、アミノ基がプロトン化し、その結果、アミノマレイミドユニットの平面性が損なわれたためであると考えられる。この結果は、本発明の蛍光体がpH応答性を有していることを示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る蛍光体は、炭素、窒素、酸素と水素からなる比較的単純な構造でありながら、置換基の種類によってその電子効果や立体効果により発光色を可視領域で精密制御可能な新規有機蛍光体であり、これまでの有機蛍光体の高濃度条件では濃度消光するという問題点を克服するとともに、凝集誘起発光性を示す。それゆえ、色素レーザー、バイオイメージング、有機EL用発光色素、太陽電池用光波長変換材など幅広い分野での利用のみならず、第二級アミンを有する凝集誘起発光性分子であることから、医療分野や工業分野などで、例えば圧力センサー、溶媒蒸気センサー、pHセンサー、金属センサーなど有機蛍光体の新たな応用が期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8