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明細書 :フレネルゾーンプレート及び該フレネルゾーンプレートを使用したX線顕微鏡

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4568801号 (P4568801)
登録日 平成22年8月20日(2010.8.20)
発行日 平成22年10月27日(2010.10.27)
発明の名称または考案の名称 フレネルゾーンプレート及び該フレネルゾーンプレートを使用したX線顕微鏡
国際特許分類 G21K   1/06        (2006.01)
G21K   7/00        (2006.01)
G02B   5/18        (2006.01)
G01N  23/04        (2006.01)
FI G21K 1/06 B
G21K 7/00
G02B 5/18
G01N 23/04
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2007-514601 (P2007-514601)
出願日 平成18年4月18日(2006.4.18)
国際出願番号 PCT/JP2006/308108
国際公開番号 WO2006/115114
国際公開日 平成18年11月2日(2006.11.2)
優先権出願番号 2005121990
優先日 平成17年4月20日(2005.4.20)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年4月10日(2009.4.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】遠藤 久満
個別代理人の代理人 【識別番号】100080182、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 三彦
審査官 【審査官】中塚 直樹
参考文献・文献 特開平2-074811(JP,A)
特開2002-535699(JP,A)
調査した分野 G21K 1/06
G01N 23/04
G02B 5/18
G02B 21/00
G21K 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
平板状の透明基板上に、中心から半径方向に向けて同心円状に不透明帯と透明帯とを交互に配したフレネルゾーンプレートの上面に垂直照射された平面波の一部が、該フレネルゾーンプレートから擾乱を受けることなく前記フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料にそのまま垂直入射するように、当該フレネルゾーンプレートに透過窓を形成したことを特徴とする複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート。
【請求項2】
前記透明窓は、前記透明基板に面抜部分を設けることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート。
【請求項3】
前記透過窓は、前記不透明帯が形成されないように、又は、形成されたものが取り除かれるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート。
【請求項4】
平板状の透明基板上に、中心から半径方向に向けて同心円状に不透明帯と透明帯とを交互に配したフレネルゾーンプレートの上面に垂直照射された平面波の一部が、該フレネルゾーンプレートから擾乱を受けることなく前記フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料にそのまま垂直入射するように、当該フレネルゾーンプレートの一部分を軸方向に切除したことを特徴とする複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート。
【請求項5】
切除した前記フレネルゾーンプレートの一部分は、当該フレネルゾーンプレートの略半分であることを特徴とする請求項4に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートを複合照射レンズとして使用する対物レンズをもたないX線顕微鏡。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、透明基板上に中心から半径方向に向けて不透明帯と透明帯とを交互に配した複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート及びそのフレネルゾーンプレートを複合照射レンズとして使用した対物レンズをもたないX線顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線を光源として物体の高分解能透過像を得るX線顕微鏡の中には、対物レンズにフレネルゾーンプレート(Fresnel’s zone plate)を使用するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このフレネルゾーンプレートは、図6に示すように、X線を透過する透明基板上に、中心から数えてn番目の円の半径Rnがnの平方根に比例するような多数の同心円輪群を作り、中心から半径方向に向けて不透明帯(黒色輪)と透明帯(白色輪)とを交互に配したものであり、軟X線領域やX線領域の光に対して非常に有効なレンズ材として機能する。
【0004】
また、このフレネルゾーンプレートは、最外周の不透明帯の幅(いわゆる、最外殻ゾーン幅)を小さくすることにより、分解能を向上させることができ、微細加工技術の進歩により、現在では、1μmオーダーの分解能を有するフレネルゾーンプレートを作製することが可能である。

【特許文献1】特開平10-104400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、フレネルゾーンプレート作製の微細加工技術には限界があるため、フレネルゾーンプレートの最外周の不透明帯の幅を小さくするだけでは、1μmを超えるような高分解能の像を得ることは困難であるという問題点があった。
【0006】
また、従来のフレネルゾーンプレートを用いたX線顕微鏡の光学系では、集光用フルネルゾーンプレートが試料の直前に配置され、試料の観察領域を覆うため、フレネルゾーンプレートから出射した球面波を、試料に照射する試料照射波として使用していた。すなわち、従来のフレネルゾーンプレートには、フレネルゾーンプレートから出射した球面波(参照波)をX線顕微鏡の記録面に照射すると同時に、位相に乱れがない平面波を試料に照射するという機能(複合照射機能)を持つものがなかった。そのため、従来はフレネルゾーンプレートから擾乱を受けた球面波の一部が試料照射波として使用されており、これも高分解能の像を得ることを困難にする一つの要因となっていた。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、最外周の不透明帯の幅を小さくすることができない場合でも、分解能を向上させることができる複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート及び該フレネルゾーンプレートを複合照射レンズとして使用した対物レンズを持たないX線顕微鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートは、平板状の透明基板上に、中心から半径方向に向けて同心円状に不透明帯と透明帯とを交互に配したフレネルゾーンプレートの上面に垂直照射された平面波の一部が、該フレネルゾーンプレートから擾乱を受けることなく前記フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料にそのまま垂直入射するように、当該フレネルゾーンプレートに透過窓を形成したことを特徴としている。
請求項2に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートは、請求項1に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートであって、透明窓は、透明基板に面抜部分を設けることによって形成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートは、請求項1に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートであって、透過窓は、不透明帯が形成されないように、又は、形成されたものが取り除かれるように形成されていることを特徴としている。

【0009】
請求項に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートは、平板状の透明基板上に、中心から半径方向に向けて同心円状に不透明帯と透明帯とを交互に配したフレネルゾーンプレートの上面に垂直照射された平面波の一部が、該フレネルゾーンプレートから擾乱を受けることなく前記フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料にそのまま垂直入射するように、当該フレネルゾーンプレートの一部分を軸方向に切除したことを特徴としている。
請求項5に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートは、請求項4に記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートであって、切除した前記フレネルゾーンプレートの一部分は、当該フレネルゾーンプレートの略半分であることを特徴としている。

【0010】
請求項に記載の対物レンズをもたないX線顕微鏡は、請求項1乃至4のいずれかに記載の複合照射機能をもつフレネルゾーンプレートを複合照射レンズとして使用する対物レンズをもたないX線顕微鏡である。

【発明の効果】
【0011】
請求項1及び請求項の発明によれば、フレネルゾーンプレートに透過窓を形成したことにより、該フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料に対して、位相に乱れがない完全な平面波(例えば、軟X線の平面波)を垂直入射させることができる。そのため、フレネルゾーンプレートから出射した波の一部を平面波として試料に入射させるフレネルゾーンプレートを使用した場合のように、試料に入射する平面波の位相が乱れることがなく、結果として、フレネルゾーンプレートの最外周の不透明帯の幅を小さくすることなく分解能を向上させることができる。よって、最外周の不透明帯の幅をできるだけ小さくすると共に、透過窓を形成することにより、0.1μmを超える高分解能の像を得ることが可能である。

【0012】
請求項2及び請求項の発明によれば、フレネルゾーンプレートの一部分を軸方向に切除したことにより、該フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料に対して、位相に乱れがない完全な平面波を垂直入射させることができる。そのため、上記と同様に、試料に入射する平面波の位相が乱れることがないため、最外周の不透明帯の幅を小さくすることなく分解能を向上させることができる。よって、最外周の不透明帯の幅をできるだけ小さくすると共に、フレネルゾーンプレートの一部分を切除してフレネルゾーンプレート及びフレネルゾーンプレートを切除した領域に対して平面波を入射させるようにすることで、0.1μmを超える高分解能の像を得ることが可能である。

【0013】
請求項5の発明によれば、切除する一部分をフレネルゾーンプレートの略半分とすることにより、切除したフレネルゾーンプレートもX線顕微鏡の複合照射レンズとして使用することができる。すなわち、1枚のフレネルゾーンプレートから、より高分解能の2枚のフレネルゾーンプレートを作製することができ、フレネルゾーンプレートの作製コストを低減させることができる。また、フレネルゾーンプレートに透過窓を形成する場合に比べて、フレネルゾーンプレートの作製が容易になるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づき説明する。図1(a)は、本発明の実施の形態に係る複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート(FZP:Fresnel’s zone plate)1の平面図であり、図1(b)は同図(a)のA-A線断面図である。この複合照射機能をもつフレネルゾーンプレート(以下、単に「フレネルゾーンプレート」という。)1は、図示するように、X線を透過する平板状の透明基板2上に、中心から数えてn番目の円の半径Rnがnの平方根に比例するような多数の同心円輪群を作り、中心から半径方向に向けて同心円状に不透明帯3と透明帯4とを交互に配したものである。ここで、複合照射機能とは、フレネルゾーンプレートから出射した球面波(参照波)をX線顕微鏡の記録面に照射すると同時に、位相に乱れのない平面波を試料に照射する機能である。
【0015】
透明基板2は、X線を容易に透過する例えばSiN(窒化シリコン)等で構成されている。透明基板2の形状及び寸法は、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、水平方向の断面が円形の平板状に形成されており、直径が0.625mm程度、厚さが0.5μm程度に形成されている。
【0016】
不透明帯3は、X線等の光を透過しない部分であり、透明基板2上に、例えば、Taの平板を同心円状に配して形成したものであり、ここでは、最内周半径(最内周の不透明帯3の半径)が7.071μm程度、ゾーン数(不透明帯3の数と透明帯4の数の合計数)が1952程度、そして、分解能を向上させるために、最外殻ゾーン幅(最外周の不透明帯3の線幅)が80nm程度、となるように形成されている。なお、この不透明帯3を構成する材料は特に限定されるものではなく、X線を透過しないものであれば、Taの代わりに他の材料を用いてもよい。なお、このフレネルゾーンプレート1は、微細加工技術(例えば、スパッタリング蒸着法、イオンビームスパッタリング法、電子ビームリソグラフィ法等)により作製することができる。
【0017】
以下、フレネルゾーンプレート1を複合照射レンズとして使用した対物レンズをもたないX線顕微鏡5の光学系について説明するが、一般的なX線顕微鏡が当然に備える構成要素についてはその説明を省略し、本発明の実施形態に係るX線顕微鏡5の主要構成要素について主に説明する。
【0018】
図2は、本発明の実施の形態に係るフレネルゾーンプレート1を複合照射レンズとして使用するX線顕微鏡5のフーリエ変換ホログラフィ結像光学系を概略的に示した図である。ここで、複合照射レンズとは、X線顕微鏡の記録面に参照波としての球面波を照射すると同時に、試料に位相が乱れていない平面波を照射するという、平面波と球面波を同時に照射する機能をもつ照射レンズである。
【0019】
このX線顕微鏡5は、生態試料に対するダメージが少なく、生態を高解像度且つ無染色で観測できるという特性を有する軟X線を光源とし、複合照射レンズにフレネルゾーンプレート1を使用して物体の高分解能透過像を得る装置である。このX線顕微鏡5が複合照射レンズとして使用するフレネルゾーンプレート1は、図示するように、フレネルゾーンプレート1の上面に垂直照射された軟X線の平面波の一部が、フレネルゾーンプレート1から擾乱を受けることなく該フレネルゾーンプレート1の下方に配設された試料6にそのまま垂直入射するように、フレネルゾーンプレート1に透過窓7が形成されたものである。この透過窓7の大きさは特に限定されるものではないが、フレネルゾーンプレート1の下方に位置する試料6の大きさに合わせて形成する。つまり、フレネルゾーンプレート1の上方から垂直照射された平面波の一部が、フレネルゾーンプレート1の影響で散乱することなく、そのまま試料6の上面全体に垂直入射するだけの大きさに形成する。
【0020】
また、透過窓7は図6に示すように、従来のフレネルゾーンプレートから切除加工によって透過窓7の面抜部分を形成したり、若しくは、予め透過窓7の面抜部分が形成されるように、フレネルゾーンプレート1を形成加工するのが好ましい。しかし、透過窓7は、フレネルゾーンプレートを切抜いて形成しているものに限定されることなく、例えば、上述の微細加工技術により、該透過窓7の部分の前記不透明帯3が、形成されないように、若しくは、形成されたものが取除かれるように、該透過窓7を形成したものでもよく、これらも、本願発明に含まれるものとする。透過窓7は、フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料6に平面波が垂直入射できるように形成されていれば、上述したものに限定されるものではない。
【0021】
なお、このX線顕微鏡5は、複合照射レンズとして機能するフレネルゾーンプレート1を支持するプレート支持部材(不図示)を備えており、該プレート支持部材を移動させることによりフレネルゾーンプレート1の位置を上下や前後左右に微調整することができるように構成されている。
【0022】
また、フレネルゾーンプレート1の下方には、試料6を支持する試料ステージ8が設けられており、該試料ステージ8を移動させることにより、試料6の位置を上下や前後左右に微調整することができるように構成されている。
【0023】
したがって、ユーザは、プレート支持部と試料ステージ8の両方又はいずれか一方を移動させることにより、フレネルゾーンプレート1の透過窓7と試料ステージ8の試料6の水平方向の位置合わせを容易に行うことができる。
【0024】
このように、フレネルゾーンプレート1の透過窓7と試料ステージ8の位置合わせが行われた後に、図外の光源(例えば、指向性の強いシンクロトロン光源)からX線(軟X線)の平面波がフレネルゾーンプレート1の上面に垂直照射されると、その平面波はフレネルゾーンプレート1により集光され、フレネルゾーンプレート1から出射した集光波により点光源Oが形成される。なお、試料ステージ8には、PH(ピンホール)9が設けられており、フレネルゾーンプレート1から出射した集光波から不要な次数の回折光が除去される。そして、この点光源Oから参照波(球面波)10が出射する。なお、この点光源Oは、記録面(観察面)11からの距離が、記録面11から試料6までの距離と等しくなる位置に形成される。また、フレネルゾーンプレート1に軟X線を照射する光源としては、レーザプラズマ光源や電子線励起型X線管等を使用してもよい。更にまた、例えば、光源に可視光を用いれば、光学顕微鏡に用いることも可能である。
【0025】
一方、フレネルゾーンプレート1の透過窓7に向けて垂直照射された平面波は、フレネルゾーンプレート1により集光されることなく透過窓7を介して直進し、点光源Oと同一平面上で且つ水平方向に見て透過窓7と同じ位置に配設された試料6の上面に試料照射波としてそのまま垂直入射する。そして、試料6からは、物体波(球面波)12が出射する。
【0026】
続いて、試料6を通過した物体波12と試料6を通過していない参照波10は、記録面11において干渉し、該記録面11に干渉縞が形成される。なお、試料6と記録面11は、記録面11で物体波12及び参照波10の複素振幅(位相及び振幅)が、それぞれ試料6及び参照波点光源Oの複素振幅のフーリエ変換像になるように、言い換えれば、フーリエ変換ホログラフィ光学系が形成されるように、それぞれ配設されている。このように、光波の干渉作用を利用し、物体波12の複素振幅(位相及び振幅)の情報を記録面11に記録することにより、ホログラム(hologram)が光学的に形成される。
【0027】
なお、このようにして得られたホログラムを、図外のコンピュータにより、フーリエ変換ホログラフィ法を適用して一回フーリエ変換することにより、試料6の拡大構造を再生することができる。
【0028】
図3は、従来のフレネルゾーンプレート(図中のFZP)をビームスプリッターとして使用したフーリエ変換ホログラフィ結像系を例示した図である。なお、このフレネルゾーンプレートは、透過窓7が形成されていない点を除いて、フレネルゾーンプレート1と同様に形成されたものである。図示する光学系では、軟X線の平面波が垂直照射されたフレネルゾーンプレートがビームスプリッターとして機能し、フレネルゾーンプレートからは、集光波とともに平面波(以下、「透過0次光」という。)が出射し、出射した透過0次光が試料照射波として試料に垂直入射する。
【0029】
ここで、図2に示す試料6に垂直入射する平面波と、図3に示す試料に垂直入射する透過0次光とを比較すると、図3に示す試料には、フレネルゾーンプレートの不透明帯の存在により位相が乱れた透過0次光が試料照射波として垂直入射し、図2に示す試料6には、上記のように透過窓7を介してフレネルゾーンプレート1によって位相が乱れていない平面波が完全な状態で試料照射波として試料6に垂直入射する。このように、従来のフレネルゾーンプレートは、位相が乱れた透過0次光が試料照射波として試料に垂直入射するため、記録面に形成されるホログラムに悪影響を及ぼし、結果として再生像の分解能を低下させるという問題があった。
【0030】
したがって、フレネルゾーンプレート1によれば、ビームスプリッターとしてフレネルゾーンプレートを機能させ、該フレネルゾーンプレートを透過した透過0次光を試料照射波として試料に垂直入射させる従来のX線顕微鏡のように、フレネルゾーンプレートにより擾乱を受けて位相が乱れた平面波が試料に垂直入射することがないため、従来のフレネルゾーンプレートを使用する場合に比べてより高分解能の像(0.1μmを超える再生像)を得ることができる。
【0031】
なお、本実施形態においては、フレネルゾーンプレート1に対して透過窓7を形成する場合について説明したが、透過窓7を形成せず、フレネルゾーンプレート1の上面に垂直照射された平面波の一部が、フレネルゾーンプレート1から擾乱を受けることなくフレネルゾーンプレート1の下方に配設された試料6にそのまま垂直入射するように、フレネルゾーンプレート1において試料6に対応する位置に不透明帯3を設けないようにしてもよい。但し、この場合、垂直照射された平面波が透明帯4を通過するため、若干位相が乱れて分解能を低下させるおそれがある。そのため、本実施形態において説明したように、透過窓7を形成する方が好適である。
【0032】
次に、上記説明した実施の形態の変形例に係るフレネルゾーンプレート13について説明する。なお、フレネルゾーンプレート1と同一構成のものについては同一番号を付してその説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0033】
図4(a)は、フレネルゾーンプレート13の平面図であり、図4(b)は同図(a)のB-B線断面図であり、図5は、フレネルゾーンプレート13を複合照射レンズとして使用するX線顕微鏡5のフーリエ変換ホログラフィ結像光学系を概略的に示した図である。図示するように、フレネルゾーンプレート13は、該フレネルゾーンプレート13の上面に垂直照射された平面波の一部が、フレネルゾーンプレート13から擾乱を受けることなくフレネルゾーンプレート13の下方に配設された試料6にそのまま垂直入射するように、フレネルゾーンプレート13の一部分を軸方向に切除したものである。なお、図4及び図5は、一部分として、図6に示すようなフレネルゾーンプレートの略半分を切除して得られたフレネルゾーンプレート13を示したものであるが、切除する一部分の大きさは、試料6の大きさに合わせて適宜変更すればよい。これら、フレネルゾーンプレート13は前述のように一部分を軸方向に切除してもよく、又は、予め該フレネルゾーンプレートの一部分が切除されたような形状に形成してもよく、それらは、フレネルゾーンプレートの下方に配設された試料6に平面波が垂直入射できるように形成されるものであれば、前述の方法に限定されるものではない。
【0034】
このフレネルゾーンプレート13によれば、フレネルゾーンプレート1と同様に、位相が乱れていない完全な平面波を試料6に対して垂直入射させることができるので、従来のフレネルゾーンプレートに比べて、より高分解能の像を得ることができる。なお、上記のように、フレネルゾーンプレート13は、フレネルゾーンプレートの一部分(本実施形態においては、略半分)を軸方向に切除することにより作製が可能であるため、透過窓7を形成するフレネルゾーンプレート1に比べて作製が容易であり、安価に作製することができる。
【0035】
また、上記のように、フレネルゾーンプレートの略半分を切除するようにすれば、フレネルゾーンプレート13を作製するために切除した部分は、フレネルゾーンプレート13とほぼ同一のものである。すなわち、図6に示すような1つのフレネルゾーンプレートから、フレネルゾーンプレート13を2つ作製することができる。
【0036】
なお、本実施の形態で示したフレネルゾーンプレート1、フレネルゾーンプレート13及びX線顕微鏡5の構成は、本発明に係るフレネルゾーンプレート及びX線顕微鏡の一態様にすぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更できることは勿論であり、例えば、レーザ光を光源とする光学顕微鏡等としても実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、例えば、フレネルゾーンプレートやフレネルゾーンプレートを使用するX線顕微鏡のみならず、光源に可視光を用いた光学顕微鏡にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)は、本発明の実施の形態に係るフレネルゾーンプレートの平面図であり、(b)は(a)のA-A線断面図である。
【図2】フレネルゾーンプレートを複合照射レンズとして使用したX線顕微鏡の光学系を概略的に示した図である。
【図3】従来のフレネルゾーンプレートをビームスプリッターとして使用したフーリエ変換ホログラフィ結像系を例示した図である。
【図4】(a)は、本実施形態の変形例に係るフレネルゾーンプレートの平面図であり、(b)は(a)のB-B線断面図である。
【図5】変形例に係るフレネルゾーンプレートを複合照射レンズとして使用したX線顕微鏡の光学系を概略的に示した図である。
【図6】従来のフレネルゾーンプレートを示した平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1、13 フレネルゾーンプレート
2 透明基板
3 不透明帯
4 透明帯
5 X線顕微鏡
6 試料
7 透過窓
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5