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明細書 :荷電粒子発生装置及び加速器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4956746号 (P4956746)
登録日 平成24年3月30日(2012.3.30)
発行日 平成24年6月20日(2012.6.20)
発明の名称または考案の名称 荷電粒子発生装置及び加速器
国際特許分類 H01J  37/248       (2006.01)
H01J  37/317       (2006.01)
H05H   5/00        (2006.01)
H05H   5/03        (2006.01)
H05H   1/54        (2006.01)
G21K   5/04        (2006.01)
FI H01J 37/248 B
H01J 37/317 Z
H05H 5/00
H05H 5/03
H05H 1/54
G21K 5/04 F
請求項の数または発明の数 5
全頁数 14
出願番号 特願2006-550760 (P2006-550760)
出願日 平成17年12月26日(2005.12.26)
国際出願番号 PCT/JP2005/023787
国際公開番号 WO2006/070744
国際公開日 平成18年7月6日(2006.7.6)
優先権出願番号 2004381213
優先日 平成16年12月28日(2004.12.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年10月20日(2008.10.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】西野 茂弘
【氏名】小野 了一
個別代理人の代理人 【識別番号】100080182、【弁理士】、【氏名又は名称】渡辺 三彦
審査官 【審査官】堀部 修平
参考文献・文献 特開平03-084839(JP,A)
特開2000-123635(JP,A)
特開平04-062729(JP,A)
特開昭63-170818(JP,A)
調査した分野 H01J 27/00 - 27/26
H01J 37/00 - 37/317
H05H 5/03
特許請求の範囲 【請求項1】
上方に開口した第1の箱型絶縁部材と、該第1の箱型絶縁部材の内側に納められて各側壁及び底面部が外側に隣接する前記第1の箱型絶縁部材の側壁及び底面部と所定の距離だけ離間する上方に開口したつ以上の内部に納められた第2の箱型絶縁部材と、前記第1及び第2の箱型絶縁部材の側壁の間の空間に各側壁が挿入されるように下方に開口した1つ以上の逆箱型絶縁部材から構成される絶縁部材の最も内側の前記第2の箱型絶縁部材内に荷電粒子源を設け
前記第2の箱型絶縁部材の側壁の外側面が、隣接する前記逆箱型絶縁部材の側壁の内側面に全域にわたって覆われていることを特徴とする荷電粒子発生装置。
【請求項2】
上方に開口した第1の箱型絶縁部材と、該第1の箱型絶縁部材の内側に納められて各側壁及び底面部が外側に隣接する前記第1の箱型絶縁部材の側壁及び底面部と所定の距離だけ離間する上方に開口した第2の箱型絶縁部材と、前記第1及び第2の箱型絶縁部材の側壁の間の空間に各側壁が挿入されるように下方に開口した逆箱型絶縁部材と、を備え、
前記第2の箱型絶縁部材の側壁の外側面が、隣接する前記逆箱型絶縁部材の側壁の内側面に全域にわたって覆われており、
前記第2の箱型絶縁部材の内部に配設された荷電粒子源から発生した荷電粒子を前記第1及び第2の箱型絶縁部材の底面部に形成された出射口を介して出射することを特徴とする荷電粒子発生装置。
【請求項3】
前記第2の箱型絶縁部材の上方の開口部を塞ぐように端縁が前記第2の箱型絶縁部材の側壁の上端に載置される絶縁蓋部材を更に備えることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の荷電粒子発生装置。
【請求項4】
前記第1の箱型絶縁部材、前記第2の箱型絶縁部材、前記絶縁蓋部材、及び前記逆箱型絶縁部材は、ポリプロピレン又はポリエチレンによって形成されたものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の荷電粒子発生装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか記載の荷電粒子発生装置と、該装置から出射した荷電粒子を加速電圧の印加により加速する加速管と、を具備する加速器であって、
前記加速管は、円管状に形成された合成樹脂製の加速管本体と、該加速管本体の内周面に互いに所定の間隔を隔てて前記加速管本体の軸心方向に一列に並んで設けられたリング状の複数の加速電極と、複数の抵抗器を直列に接続し、これら複数の抵抗器をその接続方向に延びる絶縁性熱収縮チューブで被覆するとともに、前記加速管本体の外周面に螺旋状に形成され、絶縁ゲルにて充填された溝埋め込まれた加速管用電圧分割抵抗体と、前記加速管本体の径方向に貫通し且つ前記加速管本体に密接して設けられて、前端が前記加速電極と電気的に接続され、後端が前記加速管用電圧分割抵抗体の各接続点と電気的に接続された複数の端子部材と、を備えることを特徴とする加速器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子を発生する荷電粒子発生装置及びその装置から発生した荷電粒子を加速電圧の印加により加速する加速管と荷電粒子発生装置とを備える加速器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、原料ガスと高電圧を用いて荷電粒子源から荷電粒子(例えば、イオンや電子)を発生する荷電粒子発生装置や、荷電粒子発生装置と、その装置から出射された荷電粒子を加速電圧の印加により加速する加速管と、を具備する加速器が知られている。中でも、円管状の加速管本体の内周面に互いに所定の間隔を隔てて軸心方向に複数の加速電極を配設すると共に、隣接する加速電極を電圧分割抵抗体により接続し、両端の加速電極間に印加した加速電圧を分割した電圧を隣接する加速電極間に印加して、荷電粒子発生装置から出射した荷電粒子を多段階に加速するようにした多段階加速型の加速器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような加速器では、荷電粒子源から荷電粒子発生装置の外部への放電や電圧分割抵抗体の沿面放電を防止するために高耐圧の絶縁を行う必要があり、そのため、一般に荷電粒子源や加速管を、例えば、SF6のような耐電圧絶縁ガスで封止している。

【非特許文献1】特開平11-25900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、荷電粒子源や加速電極間には荷電粒子の高速化等の目的で高電圧が印加されるため、上記のように絶縁性の高い雰囲気を作り出すことも必要であるが、荷電粒子発生装置や加速管を荷電粒子発生装置の外部への放電や加速管が具備する電圧分割抵抗体の沿面放電が起こりにくい構造にすることも重要である。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、外部への放電が起こりにくい構造の荷電粒子発生装置、及びその装置と荷電粒子を加速電圧の印加により加速する加速管とを備えた加速器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の荷電粒子発生装置は、上方に開口した第1の箱型絶縁部材と、該第1の箱型絶縁部材の内側に納められて各側壁及び底面部が外側に隣接する前記第1の箱型絶縁部材の側壁及び底面部と所定の距離だけ離間する上方に開口したつ以上の内部に納められた第2の箱型絶縁部材と、前記第1及び第2の箱型絶縁部材の側壁の間の空間に各側壁が挿入されるように下方に開口した1つ以上の逆箱型絶縁部材から構成される絶縁部材の最も内側の前記第2の箱型絶縁部材内に荷電粒子源を設け、前記第2の箱型絶縁部材の側壁の外側面が、隣接する前記逆箱型絶縁部材の側壁の内側面に全域にわたって覆われていることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の荷電粒子発生装置は、上方に開口した第1の箱型絶縁部材と、該第1の箱型絶縁部材の内側に納められて各側壁及び底面部が外側に隣接する前記第1の箱型絶縁部材の側壁及び底面部と所定の距離だけ離間する上方に開口した第2の箱型絶縁部材と、前記第1及び第2の箱型絶縁部材の側壁の間の空間に各側壁が挿入されるように下方に開口した逆箱型絶縁部材と、を備え、前記第2の箱型絶縁部材の側壁の外側面が、隣接する前記逆箱型絶縁部材の側壁の内側面に全域にわたって覆われており、前記第2の箱型絶縁部材の内部に配設された荷電粒子源から発生した荷電粒子を前記第1及び第2の箱型絶縁部材の底面部に形成された出射口を介して出射することを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の荷電粒子発生装置は、請求項1から2のいずれかに記載の荷電粒子発生装置において、前記第2の箱型絶縁部材の上方の開口部を塞ぐように端縁が前記第2の箱型絶縁部材の側壁の上端に載置される絶縁蓋部材を更に備えることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の荷電粒子発生装置は、請求項3に記載の荷電粒子発生装置において、前記第1の箱型絶縁部材、前記第2の箱型絶縁部材、前記絶縁蓋部材、及び前記逆箱型絶縁部材は、ポリプロピレン又はポリエチレンによって形成されたものであることを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の加速器は、請求項1から4のいずれか記載の荷電粒子発生装置と、該装置から出射した荷電粒子を加速電圧の印加により加速する加速管と、を具備する加速器であって、前記加速管は、円管状に形成された合成樹脂製の加速管本体と、該加速管本体の内周面に互いに所定の間隔を隔てて前記加速管本体の軸心方向に一列に並んで設けられたリング状の複数の加速電極と、複数の抵抗器を直列に接続し、これら複数の抵抗器をその接続方向に延びる絶縁性熱収縮チューブで被覆するとともに、前記加速管本体の外周面に螺旋状に形成され、絶縁ゲルにて充填された溝埋め込まれた加速管用電圧分割抵抗体と、前記加速管本体の径方向に貫通し且つ前記加速管本体に密接して設けられて、前端が前記加速電極と電気的に接続され、後端が前記加速管用電圧分割抵抗体の各接続点と電気的に接続された複数の端子部材と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の荷電粒子発生装置によれば、第1及び第2の箱型絶縁部材及び逆箱型絶縁部材を用いることにより荷電粒子源から外部に至る経路を長くし、外部への放電防止効果を高めることができる。そのため、高電圧が印加される荷電粒子源から外部へ放電するのを防止するために、荷電粒子源をSF6等の耐電圧絶縁ガスで封止する必要がないという利点がある。

【0012】
請求項2に記載の荷電粒子発生装置によれば、請求項1に記載の荷電粒子発生装置の効果に加えて、電圧源から荷電粒子源に供給される電圧値に応じて、第1の箱型絶縁部材、第2の箱型絶縁部材、及び逆箱型絶縁部材を適当な寸法で形成することにより、荷電粒子源から荷電粒子発生装置の外部へ放電するのを効果的に防止することができる。また、使用者は、逆箱型絶縁部材を上方に持ち上げるだけで荷電粒子発生装置の内部を開放できるので、荷電粒子源等のセッティング及びメンテナンスを容易に行うことができるという利点がある。
【0013】
請求項3に記載の荷電粒子発生装置によれば、請求項1から2のいずれかに記載の荷電粒子発生装置の効果に加えて、絶縁蓋部材が第2の箱型絶縁部材の上方に載置されるので、第2の箱型絶縁部材の上方の開口部を容易に閉塞することができ、また、放電の防止効果を高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の荷電粒子発生装置によれば、請求項3に記載の荷電粒子発生装置の効果に加えて、第1の箱型絶縁部材、第2の箱型絶縁部材、及び逆箱型絶縁部材の絶縁性が一般的な絶縁体に比べて高いので、放電の防止効果を高めることができる。
【0015】
請求項5に記載の加速器によれば、荷電粒子源から外部に至る経路が長いため、電圧源から荷電粒子源に供給される電圧値に応じて、第1の箱型絶縁部材、第2の箱型絶縁部材、及び逆箱型絶縁部材を適当な寸法で形成することにより、荷電粒子源から荷電粒子発生装置の外部へ放電するのを効果的に防止することができる。また、複数の抵抗器が絶縁性熱収縮チューブで被覆されているので、加速管をSF6のような耐電圧絶縁ガス等で封止することなく、抵抗器の表面に沿って沿面放電が生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1及び図2に示す本発明の実施の形態に係る荷電粒子発生装置(イオン発生装置)1は、荷電粒子源2から荷電粒子(ここでは、イオン)を発生させる装置であり、荷電粒子源(以下、「イオン源」という。)2、イオンIを発生させるための原料ガスGをイオン源2に供給するガスボンベ3、イオンIの発生に必要な高電圧をイオン源2に印加する電圧源(不図示)等を備えている。なお、図2には、イオン源2やガスボンベ3等は図示していない。また、本実施形態に係る荷電粒子発生装置1は、イオン源2に原料ガスGを供給してイオンを発生させるものであるが、イオン発生手段はこれに限定されるものではなく、固体原料の表面をスパッターすることによりイオンを発生させるようにしてもよい。
【0017】
また、荷電粒子発生装置1は、第1の箱型絶縁部材4、第2の箱型絶縁部材5、絶縁蓋部材6、及び逆箱型絶縁部材7を備えている。
【0018】
第1の箱型絶縁部材4は、上方に開口した箱型の絶縁部材であり、底面部9の厚さが15mm程度、四方の側壁10の厚さが10mm程度に形成されており、底面部9には、イオン源2から発生したイオンIを出射させるための出射口11が形成されている。この第1の箱型絶縁部材4は、底面部9と4つの側壁10とを一体成型により形成するのが好適であるが、融着により形成してもよい。但し、その場合に、接合部分に気泡が封入されるとそこから外部へ放電するおそれがあるため、気泡が生じないように注意して形成する必要がある。また、底面部9には、電圧源に電源を供給するための電源供給ラインや各種の制御ラインを挿通するために円管状に形成された挿通部材12が融着により接合されている。
【0019】
第2の箱型絶縁部材5は、第1の箱型絶縁部材4の内側に納められて各側壁13及び底面部14が外側に隣接する第1の箱型絶縁部材4の側壁10及び底面部9と所定の距離だけ離間する上方に開口した箱型の絶縁部材であり、後述するが、この第2の箱型絶縁部材5の上方開口部15を塞ぐように、絶縁蓋部材6が載置される。この第2の箱型絶縁部材5は、底面部14の厚さが15mm程度、側壁13の厚さが10mm程度となるように、第1の箱型絶縁部材4と同形状に同様の方法で形成されている。
【0020】
第2の箱型絶縁部材5は、第1の箱型絶縁部材4の矩形の底面部9の四隅近傍に設置された支持部材16の上に載置されており、これにより底面部14が第1の箱型絶縁部材4の底面部9と所定の距離(支持部材16の高さに相当する距離)だけ離間するように、第1の箱型絶縁部材4の内部に納められており、底面部14には、第1の箱型絶縁部材4と同様に、イオン源2から発生したイオンIを出射させるための出射口17が形成されている。また、イオン源2、電圧源、ガスボンベ3等は、第2の箱型絶縁部材5の内部に配設されており、荷電粒子発生装置1は、第2の箱型絶縁部材5の内部に配設されたイオン源(荷電粒子源)2から発生した荷電粒子を第1及び第2の箱型絶縁部材4と5の底面部9と14に形成された出射口11と17を介して出射する。
【0021】
絶縁蓋部材6は、第2の箱型絶縁部材5の上方の開口部(上方開口部15)を塞ぐように端縁19が第2の箱型絶縁部材5の側壁13の上端に載置される平板状の絶縁部材であり、その厚さは15mm程度に形成されている。また、絶縁蓋部材6の下面には、絶縁蓋部材6が第2の箱型絶縁部材5の側壁13の上端に載置された状態で、水平方向に移動して端縁19が第2の箱型絶縁部材5の側壁13の外側面よりも外側に突出しないように、係止部20が形成されている。なお、第1の箱型絶縁部材4の側壁10と第2の箱型絶縁部材5の側壁13との間の空間には、図1に示すように、逆箱型絶縁部材7の側壁21が上方から挿入されるため、絶縁蓋部材6は、端縁19が第2の箱型絶縁部材5の側壁13の外側面よりも水平方向に向って外側に突出しない大きさに形成されている。
【0022】
逆箱型絶縁部材7は、隣接する第1及び第2の2つの箱型絶縁部材4と5の側壁10と13の間の空間に各側壁21が挿入されるように下方に開口した逆箱型の絶縁部材であり、上面部22の厚さが15mm程度、四方の側壁21の厚さが10mm程度となるように、第1の箱型絶縁部材4等と同様の方法で形成されている。したがって、第2の箱型絶縁部材5の側壁13と第1の箱型絶縁部材4の側壁10との直線距離は、十数mm程度となっている。また、逆箱型絶縁部材7の上面部22の端縁、すなわち、上面部22と側壁21とが交差する部分には、係止部23が形成されており、この係止部23が第1の箱型絶縁部材4の側壁10の上端に載置されて、第1の箱型絶縁部材4の上方の開口部が逆箱型絶縁部材7により閉塞されるようになっている。また、上面部22には、図1に示すように、側壁21が第2の箱型絶縁部材5の側壁13と第1の箱型絶縁部材4の側壁10との間の空間に挿入され、且つ上面部22が絶縁蓋部材6に載置された状態から使用者が上方に容易に持ち上げられるように、取っ手24が形成されている。
【0023】
なお、第1の箱型絶縁部材4、第2の箱型絶縁部材5、絶縁蓋部材6、及び逆箱型絶縁部材7の材質は、絶縁体であれば特に限定されるものではないが、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等で形成するのが好適である。また、第1の箱型絶縁部材4、第2の箱型絶縁部材5、及び逆箱型絶縁部材7は、本実施形態においては角型(四角型)のものであるが、これらの形状は角型に限定されるものではなく、例えば、上面部又は底面部のいずれか一方が開口した円筒状のものなど他の形状であっても、荷電粒子源を覆うような形状であればよく、これらも箱型絶縁部材4、5、及び逆箱型絶縁部材7に含まれるものである。
【0024】
図2は、図1における第2の箱型絶縁部材5の上方開口部15が開放された状態の第1の箱型絶縁部材4、第2の箱型絶縁部材5、絶縁蓋部材6、及び逆箱型絶縁部材7を示した斜視図である。図示するように第2の箱型絶縁部材5の上方開口部15が開放された状態で、使用者は、図外のイオン源2、電圧源、ガスボンベ3等を第2の箱型絶縁部材5の内部にセットした後、絶縁蓋部材6を第2の箱型絶縁部材5の側壁13の上端に載置し、更に逆箱型絶縁部材7の各側壁21を第2の箱型絶縁部材5の側壁13と第1の箱型絶縁部材4の側壁10との間に挿入するようにして逆箱型絶縁部材7を第1の箱型絶縁部材4の側壁10の上端に載置することにより、第1の箱型絶縁部材4及び第2の箱型絶縁部材5を容易に閉塞することができる。
【0025】
上記のように構成された荷電粒子発生装置1は、図3に示すように、荷電粒子発生装置1と、該装置1から出射したイオンI(荷電粒子)を加速電圧Vの印加により加速する加速管25と、を具備する加速器26に使用することができる。加速管25は、図3乃至図7に示すように、加速管本体27と、複数の加速電極28と、複数の端子ボルト(端子部材)29と、複数の電圧分割抵抗体(加速管用電圧分割抵抗体)30と、を備えている。
【0026】
加速管本体27は、合成樹脂製で高耐電圧のものであり、図3乃至図5に示すように、外径が120mm程度、内径が40mm程度、肉厚が40mm程度、長さが300mm程度の円管状に形成されている。この加速管本体27を構成する合成樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE、例えばテフロン(商品名)。〕、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。なお、加速管本体27の内径、外径、肉厚、長さ等は、特に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更可能である。
【0027】
加速電極28は、図5に示すように、加速管本体27の内周面27aに密着するようにリング状に形成されている。加速管本体27の内周面27aには、図3に示すように、複数の加速電極28が互いに所定の間隔を隔てて加速管本体27の軸心方向に一列に並んで設けられている。
【0028】
端子ボルト29の雄ネジ部32は、図5及び図6に示すように、加速管本体27にその径方向に貫通するように形成された各ボルト孔33に外側からそれぞれ螺着されている。なお、ボルト孔33の端子ボルト29周辺の所定範囲には、端子ボルト29の雄ネジ部32が螺合する雌ネジ(図示せず)が形成されている。
【0029】
この端子ボルト29の先端(前端)29aは、ボルト孔33に挿入された植込みボルト〔(いわゆるイモネジ)スペーサ〕34及びコイルバネ(バネ部材)35を介して加速電極28に電気的に接続されている。なお、ボルト孔33の植込みボルト34周辺には、前記雌ネジは形成されていない。
【0030】
コイルバネ35は圧縮した状態で端子ボルト29の先端29aと植込みボルト34との間に挿入されているので、植込みボルト34は加速電極28の外周面に圧接するように付勢されている。このように、端子ボルト29と加速電極28との間にコイルバネ35を介在させておけば、加速電極28を強固に支持できる。なお、バネ部材は、コイルバネ35の他、板バネ、竹の子バネ、渦巻ばね等であってもよい。スペーサは、植込みボルト34の他、金属製の丸棒等であってもよい。
【0031】
ここで、端子ボルト29は加速管本体27の内部空間36を高真空状態にできるように加速管本体27に密着させておけばよいが、図6に示すように、シール用接着剤37を介して加速管本体27に密着させておけば、加速管本体27と端子ボルト29との間のシールをより確実に行うことができる。
【0032】
電圧分割抵抗体30は、図8に示すように、複数の抵抗器39を直列に接続し、これら複数の抵抗器39をその接続方向に延びる絶縁性熱収縮チューブ40で被覆したものである。抵抗器39としては、合成樹脂で表面がコーティングされた樹脂コート型の炭素皮膜抵抗器、樹脂コート型の酸化金属皮膜抵抗器、炭素粉末と合成樹脂との混合物で表面が被覆された樹脂モールド型の炭素系混合体抵抗器等が挙げられる。複数の抵抗器39を直列に接続するには、各抵抗器39の長手方向の端部に設けられたリード線41の先端41a同士を半田(白鉛)等の接合材42で接合する。
【0033】
絶縁性熱収縮チューブ40は、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE,例えばテフロン(商品名)。〕又はポリエチレン(PE)等で構成されている。複数の抵抗器39を絶縁性熱収縮チューブ40で被覆するには、図9に示すように、円管状に形成された絶縁性熱収縮チューブ40内に直列に接続された複数の抵抗器39を挿入し、絶縁性熱収縮チューブ40を加熱により図8のように複数の抵抗器39等の表面に密着するように収縮させる。
【0034】
このような電圧分割抵抗体30は、図4、図6、図7、及び図10に示すように、加速管本体27の外周面27bに互いが螺旋状に連なるようにその螺旋の半周分ずつ巻き付けられている。端子ボルト29の頭部(後端)29bは、電圧分割抵抗体30の端部に設けた各コネクタ(接続点)44とそれぞれ電気的に接続されている(図6及び図10参照)。端子ボルト29の頭部29bをコネクタ44に電気的に接続するには、コネクタ44を端子ボルト29の頭部29bと加速管本体27との間に介在させる。端子ボルト29の頭部29bを隣接する2つの電圧分割抵抗体30のコネクタ44に電気的に接続するには、各コネクタ44を重合するようにして端子ボルト29の頭部29bと加速管本体27との間に介在させる。コネクタ44の形状は、図10のような丸形の他、U字形、コ字形等であってもよい。
【0035】
電圧分割抵抗体30によれば、複数の抵抗器39が絶縁性熱収縮チューブ40で被覆されているので、抵抗器39の表面に表面リーク電流が流れるのを防止できるという利点がある。ここで、複数の抵抗器39を絶縁性ゲル45で被覆し、この絶縁性ゲル45を介して複数の抵抗器39を絶縁性熱収縮チューブ40で被覆しておけば、抵抗器39の表面に表面リーク電流が流れるのをより効果的に防止できる。絶縁性ゲル45としては、シリコーンゴム、ケイ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE,例えばテフロン(商品名)。〕等が挙げられる。複数の抵抗器39を絶縁性ゲル45で被覆する方法としては、スプレー塗装、粉末塗装等が挙げられる。また、抵抗器39が表面に塗料が塗られていないものであれば、抵抗器39の表面に表面リーク電流が流れるのを、塗料が塗られたものよりも確実に防止できるという利点がある。
【0036】
加速管本体27の内部空間36は、図3に示すように、台部材47に設けた連通孔48及び真空容器49に設けた連通孔50を介して真空容器49内と連通しており、以上のように構成された加速器26を動作させる場合、内部空間36をロータリーポンプ及びターボポンプ等の真空ポンプ51を用いて高真空状態に減圧しておく。
【0037】
このような状態で、ガスボンベ3からイオン源2に対して、例えば、水素(H)、ヘリウム(He)、ホウ素(B)、窒素(N)、リン(P)、アルミニウム(Al)等の原料ガスGなどの原料が供給され、電圧源から所定の高電圧(例えば、100kV程度)が印加されると、イオン源2からは、イオンIが加速管本体27の内部空間36の下方に向けてその中心軸と一致するように出射する。なお、イオン源(荷電粒子源)2から出射させる荷電粒子はイオンIに限定されるものではなく、電子等を出射させるようにすることも当然可能である。また、ここで、上記のように固体原料の表面をスパッターしてイオンを出射させるようにしてもよい。
【0038】
一方、加速管本体27において、最上の加速電極28と最下の加速電極28との間に加速電圧Vが印加されると、加速電圧Vは、複数の電圧分割抵抗体30により各加速電極28に電圧分割される。最上の端子ボルト29の頭部29bと加速管本体27との間や、最下の端子ボルト29の頭部29bと加速管本体27との間には、加速電圧Vを印加するための電極の端部に設けたコネクタをそれぞれ介在させておいてもよい。上記のイオン源2から出射したイオンIは、高真空状態に減圧された加速管本体27の内部空間36を各加速電極28に印加された加速電圧Vの分割電圧により多段階に加速される。加速されたイオンIは、台部材47の連通孔48及び真空容器49の連通孔50を通って真空容器49内に入射し、真空容器49内に収容された各種材料の表面改質等に利用することができる。加速電圧Vの値は特に限定されるものではないが、数十~100kV程度が適当である。
【0039】
ところで、一般に加速器が上記のように機能する際、イオン源には高電圧が印加されるため、放電が生じてイオン源を収容する容器に沿ってリーク電流(表面リーク電流)が流れるおそれがある。図11は、イオン源が載置された台部材53を下方が開口したカバー体54によって覆うように構成した従来のイオン発生装置の要部拡大断面図である。図示するように、イオン源(不図示)が載置された台部材53の表面に沿って流れたリーク電流は、台部材53とカバー体54との接合部分を介して台部材53の裏面又はカバー体54の外側面を流れるおそれがある。
【0040】
一方、図12は、本実施形態に係る荷電粒子発生装置1の各箱型絶縁部材の側壁付近の要部拡大断面図である。なお、ここでは説明の都合上、各箱型絶縁部材の間隔を空けて各箱型絶縁部材を図示している。図中の(1)に示すように、第1の箱型絶縁部材4の底面部9の上面に沿ってリーク電流が流れることを想定した場合、リーク電流は、その上面の端部に至った後、逆箱型絶縁部材7の側壁21の外側面と第1の箱型絶縁部材4の側壁10の内側面との間を上方に流れ、第1の箱型絶縁部材4の側壁10の外側面に沿って流れることになる。
【0041】
また、図中の(2)に示すように、第2の箱型絶縁部材5の底面部14の上面に沿ってリーク電流が流れることを想定した場合、リーク電流は、第2の箱型絶縁部材5の底面部14の上面に沿って流れ、その上面の端部に至った後、側壁13の内側面に沿って上方に流れ、第2の箱型絶縁部材5の側壁13の外側面と逆箱型絶縁部材7の側壁21の内側面との間を図中の下方向に流れる。その後、逆箱型絶縁部材7の側壁21の外側面と第1の箱型絶縁部材4の側壁10の内側面との間を上方向に流れ、第1の箱型絶縁部材4の側壁10の外側面に沿って流れることになる。
【0042】
また、図1及び図3に示すように、第1の箱型絶縁部材4の底面部9には、該底面部9の開口縁から下方に向って伸びる側壁部材55が形成されている。そのため、側壁部材55に沿ってリーク電流が流れることを想定した場合、リーク電流は、側壁部材55の内側面に沿って下方へ流れた後、側壁部材55の外側面に沿って上方へ流れることになる。
【0043】
これらの説明から明らかなように、本実施形態に係る荷電粒子発生装置1では、イオン源2と加速器26との間に高電圧をかけることにより、万一、表面リーク電流が流れたとしても、リーク電流が外部まで到達するのを極力防止することができる。言い換えれば、図11に示したようなイオン発生装置で上記のようにリーク電流が外部に流れ出るような強度の電圧を本実施形態に係る荷電粒子発生装置1のイオン源2に供給したとしても、イオン源2から第1の箱型絶縁部材4の外側(外側面)に至る経路が長いため、放電が生じてリーク電流が第1の箱型絶縁部材4の外部に流れ出るのを防止することができる。そのため、イオン源2等を収容する容器である第1の箱型絶縁部材4を放電防止のために碍子で支える必要がないという利点がある。なお、第1の箱型絶縁部材4、第2の箱型絶縁部材5、絶縁蓋部材6、及び逆箱型絶縁部材7の寸法は、電圧源からイオン源2に供給される電圧値に応じて適宜適切な値に設計変更すればよい。
【0044】
なお、本実施形態においては、第1の箱型絶縁部材4の内部に1個の第2の箱型絶縁部材5が納められ、隣接するこれらの箱型絶縁部材の側壁13と側壁10の間の空間に側壁21が挿入される1個の逆箱型絶縁部材7を備えた荷電粒子発生装置1について説明したが、第2の箱型絶縁部材5及び逆箱型絶縁部材7の数はこれに限定されるものではない。例えば、第1の箱型絶縁部材4の内側に2個の第2の箱型絶縁部材5を納めて、2個の逆箱型絶縁部材7によりそれらの内部空間を閉塞するようにしてもよい。また、それらの構成についても、箱型絶縁部材、逆箱型絶縁部材を交互に多数にわたり用いた構成のもののほうが、荷電粒子源から外部に至る経路が長くなり、放電防止効果を高めることができる。それらの構成に用いられる箱型絶縁部材、逆箱型絶縁部材及び、絶縁蓋部材は少なくとも1つから適宜選択でき、これらも本発明に含まれるものである。
【0045】
すなわち、図1に示す第2の箱型絶縁部材5の内側にそれと同形状で寸法の異なる第2の箱型絶縁部材を納めるとともにその内部にイオン源2等を配設し、図示する第2の箱型絶縁部材5の側壁13と上記内側に納めた第2の箱型絶縁部材の側壁との間の空間に側壁が挿入されるように下方に開口した逆箱型絶縁部材と逆箱型絶縁部材7により内部空間が閉塞されるようにする。
【0046】
この場合、図1に示す荷電粒子発生装置1に比べて、イオン源2から外部に至るまでの経路が更に長くなるため、より高い放電防止効果を得ることができるが、装置がコスト高になるため、第2の箱型絶縁部材5と逆箱型絶縁部材7の数は、装置コストやイオン源2に供給する電圧の電圧値等に応じて決定すればよい。
【0047】
なお、本実施形態に係る荷電粒子発生装置1では、上記のように簡単な構成で表面リーク電流が外部に流れ出るのを効果的に防止することができるが、イオン源2には、電圧源から高電圧が印加されるので、放電防止効果を更に向上させるために、第1及び第2の箱型絶縁部材4と5の内部空間に耐電圧絶縁ガス(例えば、SF6)を充填するようにしてもよい。その場合には、耐電圧絶縁ガスが外部に流出しないように、第1の箱型絶縁部材4及び第2の箱型絶縁部材5の出射口11と17の周縁の隙間、並びに、電源供給ラインや各種の制御ラインが挿通された挿通部材12の内部空間を適宜の閉塞部材で閉塞しておく。
【0048】
また、図4、図6、図7、及び図10に示すように、加速管本体27の外周面27bに螺旋状に延びるように形成された充填溝56に複数の電圧分割抵抗体30を収容し、充填溝56内に絶縁性ゲル57を充填しておけば、加速管25をより小型化でき、絶縁効果をより高めることができると共に、電圧分割抵抗体30の表面に表面リーク電流が流れるのをより効果的に防止できるという利点がある。この場合、各ボルト孔33は、加速管本体27の内部空間36と充填溝56とを連通するように設けておく。絶縁性ゲル57としては、シリコーンゴム、ケイ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE,例えばテフロン(商品名)。〕等が挙げられる。
【0049】
また、図7に示すように、加速管本体27の外周面27bを絶縁性カバー58で被覆しておけば、加速管全体を高電圧からシールドできるので、使用者の安全を保つことができるという利点がある。絶縁性カバー58の材質としては、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE,例えばテフロン(商品名)。〕、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、シリコーンゴム、ケイ素樹脂等が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、荷電粒子を発生する荷電粒子発生装置や、その装置と加速器とを具備する加速器(例えば、イオン注入装置など)に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る荷電粒子発生装置の断面図である。
【図2】第1の箱型絶縁部材、第2の箱型絶縁部材、絶縁蓋部材、及び逆箱型絶縁部材の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る加速器の断面図である。
【図4】加速管の正面図である。
【図5】加速管の平面図である。
【図6】端子ボルト付近の要部拡大図である。
【図7】図5のA-A線要部拡大断面図である。
【図8】電圧分割抵抗体の要部拡大断面図である。
【図9】絶縁性ゲルで被覆した複数の抵抗器を絶縁性熱収縮チューブ内に挿入した状態を示す要部断面図である。
【図10】隣接する2つの電圧分割抵抗体の各端部に設けたコネクタを重合するようにして端子ボルトの頭部と加速管本体との間に介在させる様子を示す説明図である。
【図11】下方が開口したカバー体でイオン源を覆った荷電粒子発生装置において、リーク電流が流れる経路の一例を示した図である。
【図12】本実施形態に係る荷電粒子発生装置において、放電が発生することを想定した場合にリーク電流が流れる経路の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 荷電粒子発生装置
2 イオン源(荷電粒子源)
4 第1の箱型絶縁部材
5 第2の箱型絶縁部材
6 絶縁蓋部材
7 逆箱型絶縁部材
9、14 底面部
10、13、21 側壁
11、17 出射口
26 加速器
27 加速管本体
28 加速電極
29 端子ボルト(端子部材)
30 電圧分割抵抗体(加速管用電圧分割抵抗体)
40 絶縁性熱収縮チューブ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11