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明細書 :リチウムイオン伝導性高分子電解質

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4385114号 (P4385114)
公開番号 特開2004-103541 (P2004-103541A)
登録日 平成21年10月9日(2009.10.9)
発行日 平成21年12月16日(2009.12.16)
公開日 平成16年4月2日(2004.4.2)
発明の名称または考案の名称 リチウムイオン伝導性高分子電解質
国際特許分類 H01M  10/36        (2006.01)
C08G  65/333       (2006.01)
H01B   1/06        (2006.01)
FI H01M 10/00 110
H01M 10/00 103
H01M 10/00 115
C08G 65/333
H01B 1/06 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 6
出願番号 特願2002-306382 (P2002-306382)
出願日 平成14年9月12日(2002.9.12)
審査請求日 平成17年9月8日(2005.9.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】池田 裕子
個別代理人の代理人 【識別番号】100062144、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 葆
【識別番号】100083356、【弁理士】、【氏名又は名称】柴田 康夫
【識別番号】100104592、【弁理士】、【氏名又は名称】森住 憲一
審査官 【審査官】後谷 陽一
調査した分野 H01M 10/00
H01M 10/40
特許請求の範囲 【請求項1】
式:
【化1】
JP0004385114B2_000003t.gif
(式中、mは6~410の数、nは2~1600の数、Xは対アニオンである。)
表されるリチウムイオン伝導性化合物、およびリチウムイオンからなるリチウムイオン伝導性高分子電解質。
【請求項2】
請求項1記載の構造の繰り返し単位を表す数m、nがそれぞれm=13~200、n=10~1600である請求項1記載のリチウムイオン伝導性高分子電解質。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリチウムイオン伝導性高分子電解質を固体電解質として用いたことを特徴とする固体二次電池。
【請求項4】
請求項1または2に記載のリチウムイオン伝導性高分子電解質を高分子電解質として用いたことを特徴とする二次電池。
発明の詳細な説明 【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン伝導性を有する高分子固体電解質およびそれを用いた二次電池に関する。
【0002】
本発明によれば、良好なイオン伝導性と良好なリチウムイオン輸率と良好な機械的性質と良好な成型加工性を兼ね備えたリチウムイオン伝導性高分子電解質を提供できるとともに、高性能な固体リチウム二次電池を提供できる。
【0003】
【従来の技術】
リチウム電池は、電気容量が大きく、電圧の高い電池であり、実用化されているが、リチウム金属の反応性が高く,電解液を用いた場合、安全性に問題を有する。かかる問題を解決するために電解液の代わりにリチウムイオン伝導性を有するポリ(エチレンオキシド)を使用した高分子電解質を用いたリチウムポリマー電池などが作製され、使用されている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
ポリ(エチレンオキシド)系高分子にリチウム塩を添加した高分子固体電解質が数多く報告されている。しかし、リチウムイオン輸率が小さいなどの問題点がある(例えば非特許文献2参照)。
【0005】
リチウムイオンの輸率をあげる方法として、無機充てん剤を加える方法が報告されているが、無機充てん剤粒子を分散性よく混合して複合体を得るのは容易ではなく、導電率にばらつきが出る(例えば非特許文献3,4参照)。
【0006】
イオン性液体は、優れた電解質になると期待されている(例えば非特許文献5参照)が、液体であるために液漏れの問題がある。
【0007】
【非特許文献1】
池田裕子:分岐高分子を用いたリチウムイオン伝導性アモルファスマトリックス,高分子論文集,57,No.12,761-769(2000).
【非特許文献2】
A.Nishimoto,K.Agehara,N.Furuya,T.Watanabe,M.Watanabe,Macromolecules,32,1541-1548(1999).
【非特許文献3】
F.Croce,L.Peri,B.Scrosati,F.Serraino-Fiory,E. Plichta, M. A. Hendrickson, Electrochimica Acta, 46,2457-2461(2001).
【非特許文献4】
F.Forsyth,D.R.MacFarlane,A.Best,J.Adebahr,J.Jacobsson,A.J.Hill,Solid State Ionics,147,203-211(2002).
【非特許文献5】
H.Every,A.G.Bishop,M.Forsyth,D.R.MacFarlane,Electrochimica Acta,45,1279-1284(2000).
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に記した問題点を解決することができるリチウムイオン伝導性高分子電解質を提供することを目的とする。すなわち、良好なリチウムイオン伝導性と良好なリチウムイオン輸率を示し、機械的性質が良好で優れた成形加工性と電極との接着性の改善された高分子電解質を提供することを目的とする。この材料を固体電池の固体電解質に用いることで、発火や液漏れなどの危険性が解消された安全性の高い電池を製造することを目的とする。
【0009】
【問題を解決するための手段】
本発明者は,上記課題を解決するために、鋭意検討し、カチオン単位として複素環構造を有するリチウムイオン伝導性電解質を電池用電解質として用いることにより、電池の使用温度で良好な導電率と良好なリチウムイオン輸率と良好な機械的性質と優れた成形加工性と電極との接着性が改善され、かつ、発火や液漏れなどの危険性が解消された安全性の高い電解質を作製することに成功した。そのようなリチウムイオン伝導性電解質を用いることにより、室温での導電率の経時変化の低い高分子電解質を実現することができる。また、そのようなリチウムイオン伝導性電解質用いることで、安全で高性能なリチウム二次電池を製造できる。
【0010】
【発明の実施形態】
以下に本発明の実施形態を説明する。
本発明のリチウムイオン伝導性電解質は、テトラヒドロフランのカチオン重合とそれに続く停止反応および鎖延長反応などの重合反応法などの高分子反応により合成できる。
【0012】
本発明で用いるアイオネンの全分子量は10~10であるが、好ましくは10~10で、より好ましくは10~10である。
【0013】
本発明のアイオネンの一つの好ましい例は、式:
【化1】
JP0004385114B2_000002t.gif(式中、mおよびnはそれぞれ0以上の数、好ましくはm=6~410の数およびn=2~1600の数、より好ましくはm=13~200の数及びn=10~1600の数であり、Xは対アニオンである。)
表される化合物である。
【0018】
本発明で用いる対アニオンのは、ハロゲンアニオンやトリフルオロメタンスルフォニルアニオンなどであるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
本発明で用いるリチウム塩の例は、過塩素酸リチウムやリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムであるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明で用いるリチウム塩の濃度は、高分子のエーテル酸素に対して1~90モル%であ、好ましくは5~40モル%であるがこれに限定されるものでない。
【0021】
本発明で用いるキャスト溶媒の好ましい例は無水のテトラヒドロフランであるが、これに限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
次に本発明を、実施例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の実施は、以下の例に限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
トリフルオロメタンスルホン酸無水物2.2mlを開始剤としてテトラヒドロフラン100mlのカチオン重合を窒素下、0℃で10分行ったのち、4,4’-ビピリジンを開始剤に対して等モル量加えて停止反応と同時に鎖延長反応を行ってビオローゲン型ポリ(テトラメチレンオキシド)アイオネンを合成した。イオン交換反応により対アニオンを塩素アニオンとした。イオン点間分子量は7200であった。
【0024】
乾燥アルゴンで満たされたグローブボックス中でアイオネンとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、あるいは、過塩素酸リチウム、あるいは、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムをそれぞれ、[Li]/[-O-]=0.05の割合で無水テトラヒドロフランに10%濃度で溶解して、乾燥アルゴン中、室温でキャストしてフィルムを得た。また、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに関しては塩濃度を[Li]/[-O-]=2.5モル%~17.5モル%に変量したフィルム試料を作成した。
【0025】
フィルムは40℃で十分に乾燥後、乾燥アルゴンで満たされたグローブボックス中で、ステンレス電極に挟んでテフロン製セルに装填し、複素インピーダンス法に供して導電率を求めた。40℃で12時間アニールをした試料を25℃で24時間放置後測定に供した。
【0026】
導電率の測定は、インピーダンスアナライザー1260(ソーアトロン社製)を使用し、室温から80℃の昇温過程の測定と80℃から-20℃までの降温過程の測定を行った。30分かけて温度を変化させて、さらに30分間その温度に保持した後に測定した。測定結果を図1と図2に示した。
【0027】
リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを[Li]/[-O-]=0.05の濃度でドープした試料をリチウム電極にはさんで、60℃で直流分極測定と交流複素インピーダンス測定に供して、Evansの式およびAbrahamの式、Sorensonの式に代入してリチウムイオンの輸率測定を行った結果、リチウムカチオンの輸率は、0.58~0.89であった。ポリ(エチレンオキシド)系の高分子固体電解質として比較して高い輸率を示した。
【0028】
窒素気流下の熱重量分析により求めたリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを[Li]/[-O-]=0.05の濃度でドープした試料は200℃に至る熱安定性を示した。
【0029】
本実験で得られたアイオネンは、良好な成形加工性を示し、シート状に加工できた。電極との接着も良好であった。
【0030】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、開始剤濃度をテトラヒドロフランに対して0.078モル%と変化させて10分間重合したアイオネンは、イオン点間分子量が3030,オーバーオールの分子量は44500である強固なイオン凝集部が形成された、室温でポリ(テトラメチレンオキシド)セグメントがアモルファスな二相系のエラストマーであった。イオン交換反応には供していないので、対アニオンはCFSOであった。
【0031】
参考例として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを[Li]/[-O-]=2.5モル%~22.5モル%の範囲で変量してドープした試料の導電率を図3に示す。測定の温度の変化かけ方によらず、良好な導電率を示した。昇温過程と降温過程で求められた導電率の差は小さく、導電率の著しい経時変化のない高分子固体電解質であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において作製したアイオネンの塩の種類による導電率(α)の変化を温度の逆数でプロットした結果を示すグラフである
【図2】実施例1において作製したアイオネンのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の濃度による導電率(α)の変化を温度の逆数でプロットしたグラフである
【図3】実施例2において作製したアイオネンのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩の濃度による導電率(α)の変化を温度の逆数でプロットしたグラフである
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2