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明細書 :画像処理装置、およびそれを備えた超音波撮像装置、並びに画像処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5034054号 (P5034054)
登録日 平成24年7月13日(2012.7.13)
発行日 平成24年9月26日(2012.9.26)
発明の名称または考案の名称 画像処理装置、およびそれを備えた超音波撮像装置、並びに画像処理方法
国際特許分類 A61B   8/08        (2006.01)
FI A61B 8/08
請求項の数または発明の数 16
全頁数 20
出願番号 特願2008-508638 (P2008-508638)
出願日 平成19年3月29日(2007.3.29)
国際出願番号 PCT/JP2007/056999
国際公開番号 WO2007/114305
国際公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
優先権出願番号 2006099123
優先日 平成18年3月31日(2006.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成22年3月18日(2010.3.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
発明者または考案者 【氏名】福澤 理行
【氏名】山田 正良
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人原謙三国際特許事務所
審査官 【審査官】右▲高▼ 孝幸
参考文献・文献 特開平6-114059(JP,A)
特開平6-261899(JP,A)
Masayoshi YAMADA et al,Pulsation Detection from Noisy Ultrasound-Echo Moving Images of Newborn Baby Head Using Fourier Transform,Japanese Journal of Applied Physics,1995年 5月,vol.34, part 1, no.5B,pp.2854-2856
調査した分野 A61B 8/08
特許請求の範囲 【請求項1】
被検体断面を超音波ビームにて走査して得られる被検体断面の各点におけるエコー強度またはドップラ速度の時系列変化を周波数解析して特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相を検出する周波数解析手段と、
検出した特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づく二次元画像を生成する第1の画像生成手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
第1の画像生成手段は、特定周波数成分の振幅の値と特定周波数成分の位相の値との組み合わせに応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた第1の二次元画像ルックアップテーブルを有していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の画像処理装置。
【請求項3】
第1の二次元画像ルックアップテーブルには、特定周波数成分の振幅の値に応じた二次元画像の色のグラデーション値および特定周波数成分の位相の値に応じた二次元画像の色のグラデーション値がさらに割り当てられていることを特徴とする請求の範囲第2項に記載の画像処理装置。
【請求項4】
第1の画像生成手段は、特定周波数成分の振幅の値に応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた振幅ルックアップテーブルと、特定周波数成分の位相の値に応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた位相ルックアップテーブルと、を有していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
特定周波数成分の振幅に基づき生成した二次元画像と特定周波数成分の位相に基づき生成した二次元画像とを切り替えて出力することを特徴とする請求の範囲第4項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
第1の画像生成手段は、生成する二次元画像を繰り返し更新することを特徴とする請求の範囲第1項から第5項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づいて、
被検体断面上の任意の曲線における画素値の時間履歴を画像化することにより、二次元画像を求める第2の画像生成手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づいて、
被検体断面上の任意の曲線における画素値群を決定し、この画素値群の時間履歴を画像化することにより二次元画像を求める第2の画像生成手段と、をさらに備えていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
第2の画像生成手段は、特定周波数成分の振幅の値と特定周波数成分の位相の値との組み合わせに応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた第2の二次元画像ルックアップテーブルを有していることを特徴とする請求の範囲第7項または第8項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づいて位相が連続している座標群を検出することにより任意の曲線を求める検出手段を備えていることを特徴とする請求の範囲第7項から第9項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
任意の曲線は外部から入力可能となっていることを特徴とする請求の範囲第7項から第10項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
第2の画像生成手段は、生成する二次元画像を繰り返し更新することを特徴とする請求の範囲第7項から第11項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
周波数解析手段は、特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相の検出をフーリエ変換にて行なうフーリエ変換手段を有していることを特徴とする請求の範囲第1項から第12項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
特定周波数成分は、心拍周期に相当する周波数成分であることを特徴とする請求の範囲第1項から第13項のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
請求の範囲第1項から第14項のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
被検体の断面を超音波ビームで走査してエコー信号を繰り返し受信する超音波送受信手段とを有することを特徴とする超音波撮像装置。
【請求項16】
超音波撮像装置に用いる画像処理方法であって、
被検体断面を超音波ビームにて走査して得られる被検体断面の各点におけるエコー強度またはドップラ速度の時系列変化を周波数解析して特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相を検出し、検出した特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づく二次元画像を生成することを特徴とする画像処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、エコー強度を画像化する画像処理装置、およびそれを備えた超音波撮像装置、並びに画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体内の組織の運動や機能を超音波ビームを用いて画像化して観察する超音波撮像装置(超音波診断装置)が用いられている。
【0003】
画像化は、超音波ビームを被検体である生体組織に照射し、反射された超音波ビームから得たエコー信号を用いて行っていた。このような超音波撮像装置におけるエコー信号の画像化方法としては、超音波ビームを電子走査してエコー強度の二次元分布を静止画像化あるいは動画像化するB(Brightness)モード、および超音波ビームを固定して所定期間中のエコー強度の時系列変化を静止画像化するM(Motion)モードが用いられてきた。
【0004】
例えば心臓、肝臓、または脳などの主要組織では、医師が着目する組織動きの多くは、心拍や血流の拍動に関係しているので、周期的な組織動きの強弱分布や位相の空間的連続性を観察することが有用である。
【0005】
上記のBモード静止画像およびBモード動画像は、組織の二次元形状、および組織動きの直接観察に用いられている。しかし、Bモード動画像は、時々刻々と表示が更新されるため、組織動きの周期性が観察できない。また、Bモード静止画像およびBモード動画像では、組織の二次元形状は観察できるが、組織動きの周期の強弱や位相を観察することができない。
【0006】
一方、Mモード静止画像は、超音波プローブに接近離散する組織動きの履歴が得られるので、例えば心臓弁の動きのパターンなど、周期的な組織動きの強弱や位相の観察に用いられている。しかし、Mモード静止画像は、超音波ビームを走査しないため、組織の二次元形状が観察できない、という問題がある。Mモード静止画像では組織動きの周期性は観察できるが、周期的な組織動きの強弱や位相が被検体内でどのように分布し、空間的連続性を持つのかを観察することはできない。
【0007】
つまり、Bモードを用いると、二次元形状は観察できるが、動きの周期性を観察することができず、一方、Mモードを用いると、動きの周期性は観察できるが、二次元形状は観察できないという問題があった。また、特許文献1に記載の超音波診断装置は、超音波ドップラ法という方法を用いて組織の瞬時速度を検出している。これにより、関心領域における組織の瞬時速度を表示している。しかし、特許文献1に記載の超音波診断装置では、組織の瞬時速度に基づいているため、動きの周期性を観察することができない。
【0008】
従って、医師はBモード画像とMモード画像を頭の中に多数記憶し、解剖学的知識を用いて組織形状と組織動きの関係を組み立てなければならなかった。そこで、組織の二次元形状を観察でき、かつ、動きの周期性を観察することができる画像処理が望まれていた。
【0009】
これに対して、本発明者らは、周期的な組織動きの強弱を二次元画像を用いて観察するため、Bモード動画像の複数フレーム間画像演算によって、エコー強度の特定周波数成分の強弱を抽出して画像化する方法を非特許文献1および非特許文献2において提案している。これにより、動きの周期性および二次元形状を観察することができ、上記したBモードおよびMモードの問題点を解決している。
【0010】
また、特許文献2に記載の超音波診断装置は、被検体内の運動体の速度を順次求め、このそれぞれの速度を基準速度を用いて補正し、この補正された速度データを表示する装置である。これにより、血流の補正速度を2次元的または3次元的に表示することができ、拍動性を簡便且つ効果的に表示することができる。
【0011】
また、特許文献3に記載の超音波画像処理装置は、組織追跡イメージング法において、体動等を原因とする並進速度成分や回転速度成分を取り除いた速度分布画像を、時相毎に生成し、この速度分布画像により、組織の所定位置に関する追跡処理を行い、運動情報画像を生成することで、より信憑性の高い診断画像を提供するものである。
【0012】
また、特許文献4に記載の超音波診断装置は、2D超音波探触子を用いた3D画像の生成に関するものであり、心臓のような動きの速い人体臓器の正常な拍動および/または不整脈の拍動を3次元動画像で観察できるようにすることを目的とするものである。特許文献4に記載の超音波診断装置は、具体的には、2D探触子で心臓を走査すると、走査時間内に心臓の収縮期と拡張期とが複数含まれることの解決にあたり、心電信号を使って断層面の位相を特定する手段を有している。
【0013】
また、特許文献5に記載の超音波診断画像の記録表示装置は、病状変化の様子を容易に把握することが可能な装置であり、具体的には、現在と過去とにおいて得られた超音波診断画像が切替表示され、それらの画像の動画が非同期の状態で観察される。
【0014】
さらに、特許文献6に記載の発明は、周期的動きの分布を表す画像を生成する画像生成方法および周期的動きの分布を表す画像を生成し表示することが出来る超音波診断装置を提供することを課題としており、空間に分布した複数のサンプリング点から時系列データを取得し、その時系列データから周期性を求め、サンプリング点の分布と周期性の関係を表現した画像を生成している。

【特許文献1】日本国公開特許公報「特開平8-84729号公報(公開日:平成8年4月2日)」
【特許文献2】日本国公開特許公報「特開2003-61958号公報(公開日:平成15年3月4日)」
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2005-124636号公報(公開日:平成17年5月19日)」
【特許文献4】日本国公開特許公報「特開2002-336255号公報(公開日:平成14年11月26日)」
【特許文献5】日本国公開特許公報「特開平3-97451号公報(公開日:平成3年4月23日)」
【特許文献6】日本国公開特許公報「特開平8-173417号公報(公開日:平成8年7月9日)
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys.Vol.34,pp.2854-2856(平成7年3月18日 公表)
【非特許文献2】Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38,pp.3385-3387(平成11年2月5日 公表)
【発明の開示】
【0015】
しかしながら、上記特許文献6、非特許文献1、および非特許文献2の提案手法を用いた場合には、エコー強度の特定周波数成分の強弱を求めることができるが、特定周波数成分の強弱を求めるだけだと、それらのつながり(連続性)がわからない、という問題があった。
【0016】
また、特許文献4、5には、ある断層画像全体の撮影時刻が、どの心拍位相かを同定する手段は記載されているが、周期的な動きが断層面内のどこにあるかを抽出する手段がなく、これを抽出できないという問題があった。さらに、特許文献2、3にも同じく周期的な動きが断層面内のどこにあるかを抽出する手段がなく、これを抽出できないという問題があった。
【0017】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体の二次元形状、被検体の周期的な動きの強弱、および被検体の周期的な動きの位相の空間的連続性を観察できる画像処理装置、および画像処理方法を提供することにある。
【0018】
本発明の画像処理装置は、上記課題を解決するために、被検体断面を超音波ビームにて走査して得られる被検体断面の各点におけるエコー強度またはドップラ速度の時系列変化を周波数解析して特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相を検出する周波数解析手段と、検出した特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づく二次元画像を生成する第1の画像生成手段と、を有することを特徴としている。
【0019】
また、本発明の画像処理方法は、超音波撮像装置に用いる画像処理方法であって、被検体断面を超音波ビームにて走査して得られる被検体断面の各点におけるエコー強度またはドップラ速度の時系列変化を周波数解析して特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相を検出し、検出した特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づく二次元画像を生成することを特徴としている。
【0020】
上記画像処理装置および画像処理方法は、超音波撮像装置に用いることができる。そして、エコー強度またはドップラ速度の時系列変化を、自装置(画像処理装置)の外部から得ている。このエコー強度は、被検体断面を超音波ビームにて走査することにより得ることができる。特に、本発明では、このエコー強度またはドップラ速度の時系列変化を周波数解析して、特定周波数成分の振幅だけでなく、特定周波数成分の位相を検出している。特定周波数成分の振幅を検出して、この特定周波数成分の振幅に基づく二次元画像を生成することにより、被検体の周期的な組織動きの強弱分布を求めることができる。さらに、本発明では、特に、特定周波数成分の位相を検出しているので、この位相に基づいて二次元画像を生成することにより、特定周波数成分の強弱のつながりのある画像を生成することができる。従って、位相の空間的連続性のある二次元画像を得ることができる。
【0021】
それゆえ、組織の動きの周期性および組織の二次元形状、および位相の空間的連続性を観察することができる。
【0022】
本発明の他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分分かるであろう。また、本発明の利点は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、画像処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図2(a)】Bモード画像の模式図およびこの画像における各点の輝度値と時刻との関係を示すグラフである。
【図2(b)】図2(a)に示すグラフに振幅を求める周波数解析を行ったグラフである。
【図2(c)】図2(a)に示すグラフに位相を求める周波数解析を行ったグラフである。
【図3】本発明の実施形態を示すものであり、超音波撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態を示すものであり、図3に示す超音波撮像装置の変形例を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示すものであり、画像処理部の要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
5 超音波送受信部(超音波送受信手段)
8 画像処理部(画像処理装置)
12 周波数解析部(周波数解析手段)
13 画像生成部(第1の画像生成手段)
23 フーリエ変換部(フーリエ変換手段)
25 振幅LUT(振幅ルックアップテーブル)
26 位相LUT(位相ルックアップテーブル)
36 画像生成部(第1の画像生成手段)
37 二次元画像LUT(二次元画像ルックアップテーブル)
41 プロファイル画像生成部(第2の画像生成手段)
43 プロファイルLUT(第2の二次元画像ルックアップテーブル)
45 位相連続曲線検出部(検出手段)
x,y エコー強度フレーム
x,y ドップラ速度フレーム
x,y(t) エコー強度フレームの時間履歴(エコー強度フレームの時系列変化)
x,y(t) 瞬時オプティカルフロー速度(エコー強度フレームの時系列変化)
PA 特定周波数成分の振幅フレーム
PP 特定周波数成分の位相フレーム
HB 心拍周期
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。
【0026】
図3は、本発明の超音波撮像装置の概略構成を示すブロック図である。超音波撮像装置は、例えば、母体内の胎児の様子などを超音波のエコーを用いて詳細に観察することができ、主に医療の現場で用いられている。
【0027】
本発明の超音波撮像装置は、同図に示すように、心電波形収集部1、制御部2、操作部3、超音波探触子4、超音波送受信部(超音波送受信手段)5、Bモード処理部(Bモード処理手段)6、フレームメモリ7、および画像処理部(画像処理装置)8を有している。さらに、Bモード処理部6は、同図に示すように、フィルタ9、対数圧縮器10、および検波器11を有している。また、画像処理部8は、同図に示すように、周波数解析部(周波数解析手段)12および画像生成部(二次元画像生成部;第1の画像生成手段)13を有している。
【0028】
操作部3は、医師などのユーザが、画像のモードを切り替えたりするインターフェースである。なお、図示しないが、画像処理部8の後段には、液晶ディスプレイなどの表示部が設けられている。
【0029】
心電波形収集部1は、外部から心電波形を収集し、該心電波形から心拍周期および時相を割り出して(求めて)、制御部2に送る。制御部2は、主に、この心拍周期および時相、または、操作部3から手動で指定された解析周波数および初期位相を周波数解析部12に送る。画像処理部8は、既存の超音波撮像装置における画像処理部と取り替えることができると共に、既存の超音波撮像装置の内部に新機能として組み込むこともできる。なお、本発明の超音波撮像装置には、画像処理部8をもともと備えた超音波撮像装置も含まれることはいうまでもない。
【0030】
さらに、制御部2は、超音波探触子4に対して、走査方向を示す信号を送り、超音波送受信部5に対してパルス変調信号を送り、対数圧縮器10に対してゲインを送り、画像生成部13に対して、画像生成モードを指定する信号を送る。
【0031】
なお、制御部2は、ゲインを、操作部3におけるユーザの指定値を基準に決定し、画像生成モードを指定する信号を、操作部3におけるユーザの選択により生成する。
【0032】
超音波探触子4は、それぞれが別々の方向、例えば扇形の半径方向に放射状に超音波(超音波ビーム)を照射するように配された図示しない複数のトランスデューサーアレイを有している。各トランスデューサーアレイは、超音波を被検体断面(の組織)に対して送信し、送信した走査方向からの超音波を受信する。これらのトランスデューサーアレイは、制御部2からの走査方向を示す信号にて電子的にON・OFFの選択がされるようになっており、これにより、超音波探触子4が超音波を送受信する走査方向を順次切り替えることができる。なお、それぞれのトランスデューサーアレイは、超音波探触子4に固定されており、それぞれのトランスデューサーアレイの超音波送受信方向は、予め決まっている、それゆえ、トランスデューサーアレイが決まれば超音波送受信の走査方向が一義的に決まるようになっている。
【0033】
超音波送受信部5は、制御部2から受け取ったパルス変調信号に基づき、超音波探触子4のトランスデューサーアレイが被検体断面に向けて送信する超音波(送信超音波)をパルス変調して生成すると共に、トランスデューサーアレイが被検体から受け取った超音波(受信超音波)を増幅する役割を有している。
【0034】
Bモード処理部6は、図3に示すように、超音波送受信部5の後段に配されており、フィルタ9、対数圧縮器10、および検波器11を超音波送受信部5側からこの順に備えている。このBモード処理部6は、超音波探触子4のそれぞれの走査方向における被検体断面の各点のエコー強度を超音波探触子4から被検体断面までの距離dの関数にて示されるBモード信号I(d)として表す役割を有している。なお、Bモード信号I(d)は、エコー強度を距離dの関数にて示したものであるため、エコー強度信号ともいう。
【0035】
フィルタ9は、超音波送受信部5から受け取った超音波のうち、エコー信号のみを選択して透過させる。対数圧縮器10は、制御部2から入力されるゲインを用いてフィルタ9を透過したエコー信号に対して対数圧縮を行なう。検波器11は、対数圧縮された超音波のパルス変調成分を検出して、Bモード信号I(d)を生成し、出力する役割を有している。
【0036】
フレームメモリ7は、Bモード処理部6から受け取った超音波の異なる走査方向毎の複数のBモード信号I(d)を用いて、被検体の断面内の各点(x、y)におけるエコー強度フレームpx,yを決定し、このエコー強度フレームpx,yの二次元分布画像であるBモード画像Fi(i=1,2,…,n)を次々と生成し、更新する(図2(a)参照)。ここで、iは、二次元分布画像の生成順序を示す変数である。なお、上記したように、それぞれのトランスデューサーアレイの走査方向は予め決まっているため、被検体断面の各点(x、y)は、トランスデューサーアレイと、超音波探触子4から被検体までの距離dが決まれば一義的に決まる。また、フレームメモリ7には、制御部2から画像化範囲信号が入力される。ここで、画像化範囲信号とは、エコー強度信号(Bモード信号I(d))のうち、Bモード画像として扇形に含める信号範囲を表している。
【0037】
すなわち、超音波探触子4が超音波を送受信可能な範囲、すなわち、I(d)におけるdの範囲と、Bモード画像として生成する扇形の半径rは、必ずしも一致せず、r<dと成り得る。
【0038】
次に、本発明の最重要部分である、画像処理部8について説明する。画像処理部8は、図1に示すように、周波数解析部12および画像生成部13を有している。周波数解析部12は、同図に示すように、複数のメモリ(複数のメモリをマルチフレームメモリともいう)20、オプティカルフロー抽出部21、第1の選択機構(外部から入力される判定信号に基づいて2種類の信号のいずれかを後段に送る機構)22、およびフーリエ変換部23を有している。この周波数解析部12は、フレームメモリ7にて次々と生成されるBモード画像F1~Fiの全部または一部を受け取り、これらから求めたエコー強度フレームpx,yの時系列変化(px,y(t)または瞬時オプティカルフロー速度vx,y(t))を周波数解析し、制御部2から指定された特定周波数成分の振幅フレームPA(Periodical Amplitude)xyおよび位相フレームPP(Periodical Phase)xyを求めて、画像生成部13へ出力する。
【0039】
マルチフレームメモリ20は、フレームメモリ7から受け取ったBモード画像F1~Fiの全部または一部を時系列に蓄積して、一定時間内でのエコー強度フレームpx,yの時間履歴px,y(t)を生成する。
【0040】
オプティカルフロー抽出部21は、マルチフレームメモリ20からエコー強度フレームpx,yの時間履歴px,y(t)を受け取り、例えばグラディエント法を用いてエコー強度フレームpx,yの時間履歴px,y(t)から瞬時オプティカルフロー速度vx,y(t)を抽出する。
【0041】
第1の選択機構22は、マルチフレームメモリ20とフーリエ変換部23との接続と、オプティカルフロー抽出部21とフーリエ変換部23との接続とを切り替える役割を有している。
【0042】
第1の選択機構22は、エコー強度フレームpx,yのコントラストの被検体毎の変化が小さい場合には、マルチフレームメモリ20とフーリエ変換部23とを接続する。つまり、マルチフレームメモリ20が生成したエコー強度の時間履歴px,y(t)がフーリエ変換部23に入力される。一方、第1の選択機構22は、エコー強度フレームpx,yのコントラストが被検体によって大きく変化する場合には、オプティカルフロー抽出部21とフーリエ変換部23とを接続する。つまり、オプティカルフロー抽出部21が生成したオプティカルフロー速度vx,y(t)がフーリエ変換部23に入力される。
【0043】
フーリエ変換部23は、エコー強度の時間履歴px,y(t)、または、オプティカルフロー速度vx,y(t)を受け取り、これらをフーリエ変換して、特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相を検出する。また、オプティカルフロー速度vx,y(t)は、点(x、y)におけるエコー強度の時系列変化、および、点(x、y)の近傍におけるエコー強度の時系列変化を用いて、例えばグラディエント法によって求めることができる。
【0044】
また、特定周波数成分の振幅PAおよび特定周波数成分の位相PPの検出は、例えば、図1に示すように、エコー強度の時間履歴のフーリエ変換から、制御部2から周波数解析部12のフーリエ変換部23へ送られる解析周波数ωHBに相当する周波数成分を抽出することによって行われる。
【0045】
次に、周波数解析部12の動作について、図2(a)~図2(c)を用いて説明する。なお、以下では、説明の便宜上、エコー強度の時間履歴px,y(t)を用いた場合について説明するが、オプティカルフロー速度vx,y(t)を用いた場合も同様である。
【0046】
図2(a)に示すように、マルチフレームメモリ20は、n個(n枚)のBモード画像F1~Fnを蓄積する。さらに、マルチフレームメモリ20は、これらのBモード画像の座標(x、y)におけるエコー強度の時間履歴px,y(t)を求める。ここで、座標(x、y)は、特許請求の範囲に記載の「被検体断面の各点」の座標に対応している。
【0047】
ここでは、一例として、図2(a)に示すように、点a(20、10)、点b(21、10)、点c(22、10)、点d(23、10)における、輝度値p(t)と時間tとの関係を示す。点aに対応する波形を波形(e)、点bに対応する波形を波形(f)、点cに対応する波形を波形(g)、点dに対応する波形を波形(h)とする。
【0048】
ここで、図2(a)に示すように、波形(e)(h)は、ノイズのような波形である。つまり、点(a)(d)では、ランダムに動いていることが分かる。これに対して、波形(f)(g)は、一定の周期性を有している。この1周期は、図2(b)に示すように、tHB(ハートビート)で示され、心臓の1拍の周期とだいたい同じ周期である。波形(f)と波形(g)の周期は、共にtHBで同じであるが、p(t)が0になる時刻がδt分ずれている。
【0049】
次に、フーリエ変換部23は、波形(e)~(h)に対して、特定周波数成分の振幅を検出する周波数解析を行なう。この結果を図2(b)に示す。同図では、波形(e)~(h)をそれぞれ周波数解析した結果を波形(i)~(l)にて示している。図2(b)では、縦軸が周波数成分|P(ω)|を示しており、横軸が角周波数ωを示している。
【0050】
同図に示すように、周期性を持たないノイズのような波形である波形(e)(h)を周波数解析した、波形(i)(l)は、周波数成分が突出したピークはなく、周波数成分の大きさがほぼ同じ波形となっている。これに対して、一定の周期性を有している波形(f)(g)を周波数解析した、波形(j)(k)は、角周波数がωHBのときにピーク(周波数成分が突出した部分)を有している。ここで、ピークの周波数成分の値をそれぞれ、振幅フレームPA21、10、振幅フレームPA22、10としている。また、ωHBは、超音波撮像装置を用いる医師が適当に決めることができる。また、ωHBは、心電図から同期をとる心電同期にて決めてもよい。
【0051】
さらに、フーリエ変換部23は、波形(e)~(h)に対して、特定周波数成分の位相を検出する周波数解析を行なう。この結果を図2(c)に示す。同図では、波形(e)~(h)をそれぞれ周波数解析し、波形(f)を位相基準とする位相を検出した結果を波形(m)~(p)にて示している。図2(c)では、縦軸が位相argPを示しており、横軸が角周波数ωを示している。同図に示すように、周期性を持たないノイズのような波形である波形(e)(h)に対応する、波形(m)(p)は、ωHBでの位相の値は不定となるが、波形(f)に対応する波形(n)では、ωHBでの位相の値が0となる。一方、波形(g)に対応する波形(o)は、ωHBでの位相の値が非ゼロ値PP22、10を有している。
【0052】
このような非ゼロ値PP22、10は、図2(a)(b)に示すように、波形(f)(g)が輝度値P(t)が一定の周期性を有し、かつ、波形(f)と波形(g)との位相のずれδtが発生しているために生じている。なお、上記の非ゼロ値PP22、10は、±180°の範囲内で周期的に変化するが、δtがtHBの1/2以下(以内)であれば、δtの値に比例して大きくなる。
【0053】
画像生成部13は、図1に示すように、振幅LUT(ルックアップテーブル)25、位相LUT26、振幅判定部27、第2の選択機構28、第3の選択機構29、第4の選択機構30、およびD/A変換器31を有している。
【0054】
そして、フレームメモリ7からエコー強度フレームpを受け取ると共に、周波数解析部12から特定周波数の振幅フレームPAおよび位相フレームPPを受け取り、これらのいずれかの値またはこれらの間の演算結果を評価値として、グレースケール階調画像またはカラーグラデーション画像を生成する。生成されたこれらの画像は、後段のディスプレイに送られる。より具体的には、振幅フレームPAは振幅LUT25および振幅判定部27に入力され、位相フレームPPは位相LUT26に入力され、エコー強度フレームpは、第2の選択機構28および第3の選択機構29に入力される。
【0055】
振幅LUT25は、振幅フレームPAの値に応じたカラーグラデーション値を格納している。制御部2は、このカラーグラデーション値に応じて、振幅フレームPAの値をカラーグラデーション値に変換する。一方、位相LUT26は、位相フレームPPの値に応じたカラーグラデーション値を格納している。制御部2は、このカラーグラデーション値に応じて、位相フレームPPの値をカラーグラデーション値に変換する。なお、振幅LUT25、および位相LUT26としては、RAM、ROM、EEPROMなど振幅フレームPAまたは位相フレームPPの値に応じたカラーグラデーション値を格納できるものであれば、特に限定されない。
【0056】
振幅判定部27には、制御部2から閾値Tが送られ、振幅判定部27はこの閾値Tと振幅(振幅フレーム)PAとを比較し、これらの大小に応じた切替信号を第2の選択機構28および第3の選択機構29に送り、これらの選択機構28・29の後段へ送る信号をフレーム上の各画素毎に切り替える。より具体的には、振幅フレームPAが閾値T未満の場合には、エコー強度フレームpが第2の選択機構28および第3の選択機構29からディスプレイ(後段)側へ送られ、振幅フレームPAおよび位相フレームPPは遮断される。一方、振幅フレームPAが閾値T以上の場合には、第2の選択機構28および第3の選択機構29から振幅フレームPAおよび位相フレームPPがディスプレイ(後段)側に配された第4の選択機構30へ送られ、エコー強度フレームpは遮断される。なお、エコー強度フレームpのフレームレートが最も高く、振幅フレームPAおよび位相フレームPPのフレームレートがエコー強度フレームpのフレームレートよりも低くなることがある。つまり、エコー強度フレームp、振幅フレームPA、および位相フレームPPのフレームレートは必ずしも一致するとは限らず、異なる場合もある。
【0057】
第2の選択機構28は、振幅LUT25の後段に配されており、振幅判定部27からの切替信号によって、この第2の選択機構28からディスプレイ側へ送られる信号を、振幅フレームPAとエコー強度フレームpとで切り替えられるようになっている。一方、第3の選択機構29は、位相LUT26の後段に配されており、振幅判定部27からの切替信号によって、この第3の選択機構29からディスプレイ側へ送られる信号を位相フレームPPとエコー強度フレームpとで切り替えられるようになっている。
【0058】
第4の選択機構30は、第2の選択機構28および第3の選択機構29の後段に配されている。そして、第2の選択機構28からの出力(各点(x、y)におけるエコー強度フレームpまたは振幅フレームPAの値)、または、第3の選択機構29からの出力(各点(x、y)におけるエコー強度フレームpまたは位相フレームPPの値)のいずれをディスプレイ側へ出力するかを切り替える。この切り替えは、制御部2から第4の選択機構30に入力される画像生成モード信号に基づいて行われる。
さらに、第4の選択機構30の後段に配されたD/A変換器31にて、デジタルデータからアナログデータへと変換され、その後、ディスプレイ側へ出力される。
【0059】
ところで、図3に示す上記のBモード処理部6は、Bモード信号I(d)を次々に生成して、フレームメモリ7を常に最新のエコー強度フレームpに更新する。マルチフレームメモリ20は、フレームメモリ7が更新されるたびに最も古いエコー強度フレームpを捨てて、新しいエコー強度フレームpのデータを蓄積することにより、最も新しいn枚のエコー強度フレームpを常に保持する。
【0060】
周波数解析部12は、マルチフレームメモリ20中の解析開始時点における最新のm枚(m≦n)のエコー強度フレームpから特定周波数成分の振幅フレームPAと位相フレームPPとを生成する。ここで、mを周波数解析部12の解析フレーム数という。
【0061】
なお、マルチフレームメモリ20におけるエコー強度フレームpの保持枚数nを、周波数解析部12における解析フレーム数mよりも十分大きくすれば、振幅フレームPAおよび位相フレームPPを1組生成するのに要する時間は、フレームメモリ7が更新される時間と必ずしも一致する必要はない。
【0062】
画像生成部13は、エコー強度フレームp、特定周波数成分の振幅フレームPA、または特定周波数成分の位相フレームPPのいずれかが更新されるたびに表示フレームを再生成し、繰り返し表示する。これにより、超音波撮像装置を用いる医師に動画像を提供することができる。
【0063】
以上により、例えば液晶ディスプレイなどのディスプレイに表示される画像は、特定周波数成分の振幅(周期的な組織動きの強弱・強度)PAが閾値T未満の画素は、エコー強度pのモノクログラデーション値となる、つまり、Bモード画像となる。一方、特定周波数成分の振幅(周期的な組織動きの強弱・強度)PAが閾値T以上である画素は、位相フレームPPのカラーグラデーション値となる。従って、一定以上の周期的な組織動き強度を示す領域のみが色づけされ、組織間の位相関係が色のグラデーションとして表現される。それゆえ、周期的な組織動きの強弱だけでなく、位相の空間的連続性を二次元画像として表現することができる。
【0064】
特に、本発明では、特定周波数成分の位相フレームPPを求めて、色分けを行っている。そのため、例えば拍動組織などの血流のある組織の連続性(つながり)を観ることができるという効果を奏する。
【0065】
なお、上記は、特定周波数成分の振幅、および特定周波数成分の位相をフーリエ変換にて行っているが、これは単なる一例にすぎず、例えば自己回帰モデルにて求めてもよい。
【0066】
また、特定周波数成分としては、例えば、心拍周期に相当する周波数成分が挙げられるがこれに限定されず、心拍周期の2倍波や3倍波などの整数倍の第2次高調波や第3次高調波を用いた周波数成分も含まれる。つまり、特定周波数成分には、心拍周期以外の周波数成分も含まれる。
【0067】
また、本発明の画像処理装置および超音波撮像装置は、新生児の頭部などの拍動組織(周期的に動く組織)に特に好適に利用することができる。
【0068】
また、上記図1に示した画像生成部13の代わりに、図5に示すような画像生成部(第1の画像生成手段)36を用いてもよい。この画像生成部36は、図5に示すように、二次元画像LUT(第1の二次元画像ルックアップテーブル)37、振幅判定部27、および二次元画像合成部38を備えている。
【0069】
二次元画像LUT37は、周波数解析部12から振幅フレームPAおよび位相フレームPPを受け取ると共に、制御部2(図3)から二次元画像生成モードを示す信号を受け取る。
【0070】
二次元画像LUT37には、振幅フレームPAの値、位相フレームPPの値、またはこれらの値の組み合わせに応じたカラーグラデーション値がそれぞれ格納されており、これらのカラーグラデーション値は、二次元画像生成モードに応じて書き換えられる。ここで、振幅フレームPAの値および位相フレームPPの値の組み合わせによるカラーグラデーション値の例としては、振幅を色の明度で表し、位相を色の色相で表した場合のカラーグラデーション値が考えられる。
【0071】
二次元画像合成部38は、周波数解析部12からエコー強度フレームpを受け取ると共に、振幅判定部27から切替信号を受け取る。さらに、この切替信号に基づいて、二次元画像LUT37から上記のグラデーション値を取り出す。
【0072】
そして、切替信号に基づいて、二次元画像の各画素毎に、エコー強度フレームp、または、カラーグラデーション値のいずれかを選択し、二次元画像を合成し、出力する。この二次元画像合成部38では、振幅フレームPA、位相フレームPP、またはエコー強度フレームpのいずれかが更新されるたびに二次元画像を再合成する。なお、振幅フレームPA、位相フレームPP、またはエコー強度フレームpの更新周期は必ずしも同一である必要はない。
【0073】
〔実施の形態2〕
さらに、本発明の他の実施の形態の超音波撮像装置について、図4を用いて説明する。なお、上記の実施の形態との相違点のみ説明し、同一の構成および機能については、その説明を省略する。
【0074】
本実施の形態の超音波撮像装置は、上記の図3に示す実施の形態1の構成に加えて、ドップラ処理部35、ドップラ速度フレームメモリ49、および選択機構50を備えている。具体的には、図4に示すように、超音波送受信部5からの出力がBモード処理部6だけでなく、ドップラ処理部35にも入力されており、このドップラ処理部35の後段にドップラ速度フレームメモリ49が配されている。つまり、Bモード処理部6およびフレームメモリ7と並列にドップラ処理部35およびドップラ速度フレームメモリ49が設けられている。
【0075】
選択機構50は、フレームメモリ7およびドップラ速度フレームメモリ49の後段、かつ、周波数解析部12の前段に配されており、フレームメモリ7の出力信号およびドップラ速度フレームメモリ49の出力信号のうち、いずれか一方を周波数解析部12に入力するようになっている。つまり、選択機構50は、フレームメモリ7と周波数解析部12との接続と、ドップラ速度フレームメモリ49と周波数解析部12との接続とを切り替え可能としている。
【0076】
ドップラ処理部35は、超音波送受信部5から受け取った超音波エコー信号からドップラ偏移成分を検出することによって、被検体内の組織の移動速度に対応したドップラ速度信号vd(d)を生成する。
【0077】
ドップラ速度フレームメモリ49は、ドップラ処理部から受け取ったドップラ速度信号vd(d)を用いて、被検体の断面内の各点(x、y)におけるドップラ速度フレームqx,yを決定する。第5の選択機構50は、制御部2からの制御に基づき、被検体組織が不均一で、組織動きがエコー強度のコントラストに反映されにくい場合には、ドップラ速度フレームメモリ49と周波数解析部12とを接続する。なお、第5の選択機構50がフレームメモリ7と周波数解析部12とを接続した場合には、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0078】
画像処理部8の構成は、実施の形態1と同様であり、異なるのは、周波数解析部12の入力として、新たにドップラ速度フレームqx,yが加わっている点である。
【0079】
エコー強度フレームpx,yは被検体の超音波の反射率を反映するのに対し、ドップラ速度フレームqx,yは被検体組織の移動速度を反映する。それゆえ、ドップラ速度フレームメモリ49と周波数解析部12とが接続された場合の周波数解析部12の出力は、被検体組織の移動速度の周期的変化に基づく。従って、本実施の形態においても、被検体の二次元形状、被検体の周期的な動きの強弱、および被検体の動きの位相の空間的連続性を観察することができる。
【0080】
なお、本実施の形態において、第5の選択機構50は、必ずしも必須の構成ではない。つまり、第5の選択機構50を取り除き、フレームメモリ7と周波数解析部12とを接続せずに、ドップラ速度フレームメモリ49と周波数解析部12とを接続してもよい。つまり、周波数解析部12にドップラ速度フレームqx,yのみを入力する構成としてもよい。
【0081】
〔実施の形態3〕
さらに、本発明の他の実施の形態の超音波撮像装置について、図5を用いて説明する。なお、上記の実施の形態と同一の構成・機能を有する部材についてはその説明を省略する。
【0082】
本実施の形態の超音波撮像装置は、図5に示すように、実施の形態1・2の構成に加えて、周波数解析部12の後段に画像生成部36と並列に配されたプロファイル画像生成部(第2の画像生成手段)41と、これら画像生成部36およびプロファイル画像生成部41の後段に配された表示画像合成部42と、を備えている。
【0083】
なお、画像生成部36の代わりに画像生成部13を用いてもよい。なお、周波数解析部12および画像生成部36については、既に説明した内容と同一であるため、その説明を省略する。
【0084】
プロファイル画像生成部41は、プロファイルLUT(第2の二次元画像ルックアップテーブル)43、プロファイル入力切替部(入力切替部)44、位相連続曲線検出部(曲線検出部;検出手段)45、マルチプロファイルメモリ(プロファイルメモリ)46、プロファイル曲線保持部(曲線保持部)47、およびプロファイル履歴画像合成部(履歴画像合成部)48を備えている。
【0085】
プロファイルLUT43は、周波数解析部12から振幅フレームPAおよび位相フレームPPを受け取ると共に、制御部2(図3)からプロファイル履歴画像生成モード信号を受け取る。
【0086】
このプロファイルLUT43には、上記の二次元画像LUT37と同様に、振幅フレームPAの値、位相フレームPPの値、またはこれらの値の組み合わせに応じたカラーグラデーション値がそれぞれ格納されており、二次元画像LUT37と同様の機能を有する。但し、プロファイルLUT43は、図5に示すように、二次元画像LUT37とは独立して配されており、カラーグラデーション値の書き換えは、二次元画像生成モード信号とは異なる信号である、プロファイル履歴画像生成モード信号に応じて行なわれる。
【0087】
入力切替部44は、フレームメモリ7からエコー強度フレームpを受け取り、制御部2からプロファイル履歴画像生成モード信号を受け取り、プロファイルLUT43からカラーグラデーション値を受け取る。そして、この入力切替部44は、プロファイル履歴画像生成モード信号に基づいて、エコー強度フレームpとカラーグラデーション値によるフレームとのうちのいずれかのフレームを後段のマルチプロファイルメモリ46へ送る。
【0088】
曲線検出部45は、振幅フレームPAおよび位相フレームPPを受け取り、これら振幅フレームPAおよび位相フレームPPから、位相が連続する曲線(の座標群)を自動的に抽出する。なお、位相の連続性に加えて、振幅が一定以上の領域を検出することが有効な場合もあり、この場合には、図5に示すように、振幅フレームPAの代わりに、振幅判定部27からの切替信号を入力してもよい。
【0089】
曲線保持部47は、曲線検出部45から受け取った位相が連続する曲線(の座標群)、または、操作者が手動で指定した曲線(の座標群)を保持し、これらの曲線をプロファイルメモリ46に通知する。
【0090】
なお、操作者による曲線の指定は、診察上の関心領域に基づいて行なわれる。例えば、脳内出血児で出血塊付近に動脈がある場合、Bモード画像上で出血塊の周囲に曲線を描き、その線上に沿って動きを観察するなどにより行なうことができる。なお、実際の曲線の指定は、操作者がBモード画像上にタッチペンで描くなどの操作にて実現することができる。
【0091】
プロファイルメモリ46は、プロファイル入力切替部44から受け取ったフレームを現在から遡って所定のフレーム数蓄積すると共に、これらのフレームについて曲線保持部47から通知された曲線(の座標群)にあたる画素値群を保持する。
【0092】
履歴画像合成部48は、プロファイルメモリ46に格納された曲線における画素値群の時間履歴を二次元画像(プロファイル履歴画像)に合成し、出力する。例えば、プロファイル曲線に沿って画素値を取り出し、それらを画像の縦1ラインとする。
【0093】
履歴の各時刻における上記「縦1ライン」を現在から過去に遡って右から左に並べると、縦がプロファイル曲線に沿った空間座標、横が経過時間となるような画像が生成できる。
【0094】
このようにして生成した画像(出力画像)の特別な場合として、曲線として超音波ビームの方向に沿った直線を選び、プロファイル履歴画像生成モードとしてエコー強度pのモノクログラデーションを選んだ場合、履歴画像合成部48の出力は、いわゆるMモード画像と等価となる。
【0095】
履歴画像合成部48は、振幅フレームPA、位相フレームPP、またはエコー強度フレームpのいずれかが更新されるたびに出力画像の縦1ラインのみを再合成する。
【0096】
表示画像合成部42は、画像生成部36から二次元画像を受け取ると共に、プロファイル画像生成部41からプロファイル履歴画像を受け取る。そして、制御部2から受け取った表示合成モード信号に基づき、いずれか一方の画像をディスプレイへ出力する。
【0097】
すなわち、上記構成では、Mモード画像(Mモードエコー画像)から動きを抽出するのではなく、Bモード動画像から抽出した動きの周期性(二次元分布)の中から1次元プロファイルを抜き出し、これを縦1ラインとして描き、該縦1ラインを時間の経過と共に、右側へ描き、これを繰り返すことにより、動きの周期性と位相の履歴を画像化することができる。
【0098】
また、Mモードにおける1次元プロファイルは超音波の照射方向に限られているが、本実施の形態では、1次元プロファイルの選び方は、超音波ビームの選び方は超音波ビームの照射方向に限定されない。また、画像化する曲線は、上記したように、曲線検出部45にて位相が連続する曲線(の座標群)を自動的に抽出することによって求めるか、または、操作者が外部から手動で指定する。
【0099】
また、上記したように、入力切替部44にて、エコー強度フレームp、もしくは、特定周波数成分の振幅フレームPAの値、位相フレームPPの値、またはこれらの値の組み合わせに応じたカラーグラデーション値によるフレームのいずれかを後段のプロファイルメモリ46に送っている。
【0100】
まず、特定周波数成分の振幅フレームPAの値、位相フレームPPの値、またはこれらの値の組み合わせに応じたカラーグラデーション値によるフレームをプロファイルメモリ46へ送る場合について説明する。
【0101】
この場合、例えば、脳室内出血において出血塊周囲の血流阻害を観察する際に、出血塊周囲の関心領域に医師が曲線を描いて、この曲線上での組織動きの履歴を表示すれば、動画像の観察に比べて、より直感的に組織動きを把握することができる。従って、出血塊周囲などの局所的関心領域の診断に役立つ。さらに、位相の連続した曲線を抽出して曲線を設定する場合には、特に、Bモードの直接観察では関心領域の同定が困難な際でも、動脈周囲組織の探索を支援することができる。従って、医師による局所関心領域の探索を支援することができる。
【0102】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0103】
また、本発明の画像処理装置では、第1の画像生成手段は、特定周波数成分の振幅の値と特定周波数成分の位相の値との組み合わせに応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた第1の二次元画像ルックアップテーブルを有していることが好ましい。上記構成によれば、二次元画像を生成する際に、視覚的に周期的な組織動きの強弱および位相の空間的連続性を観察することができる。
【0104】
また、本発明の画像処理装置では、第1の二次元画像ルックアップテーブルには、特定周波数成分の振幅の値に応じた二次元画像の色のグラデーション値および特定周波数成分の位相の値に応じた二次元画像の色のグラデーション値がさらに割り当てられていることが好ましい。上記構成によれば、二次元画像を生成する際に、視覚的に周期的な組織動きの強弱および位相の空間的連続性を観察することができる。
【0105】
また、本発明の画像処理装置では、画像生成手段は特定周波数成分の振幅の値に応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた振幅ルックアップテーブルと、位相の値に応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた位相ルックアップテーブルと、を有していることが好ましい。
【0106】
上記構成によれば、画像解析手段にて求めた振幅および位相の値に応じて、これらの値を二次元画像の色のグラデーション値に変換することができる。それゆえ、二次元画像を生成する際に、視覚的に周期的な組織動きの強弱および位相の空間的連続性を観察することができる。
【0107】
また、本発明の画像処理装置では、特定周波数成分の振幅に基づき生成した二次元画像と特定周波数成分の位相に基づき生成した二次元画像とを切り替えて出力することが好ましい。上記構成によれば、特定周波数成分の振幅を用いた二次元画像と特定周波数成分の位相を用いた二次元画像とを切り替えて出力することができるので、ユーザが所望の映像を得ることができる。
【0108】
また、本発明の画像処理装置では、第1の画像生成手段は、生成する二次元画像を繰り返し更新することが好ましい。上記構成によれば、更新のたびに新しい二次元画像を表示することができる。
【0109】
また、本発明の画像処理装置では、特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づいて、被検体断面上の任意の曲線における画素値の時間履歴を画像化することにより、二次元画像を求める第2の画像生成手段と、をさらに備えていることが好ましい。
【0110】
また、本発明の画像処理装置では、第2の画像生成手段は、特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づいて、被検体断面上の任意の曲線における画素値群を決定し、この画素値群の時間履歴を画像化することが好ましい。
【0111】
上記構成では、いわゆるMモードエコー画像から動きを抽出するのではなくて、Bモード画像から動きを抽出している。また、上記構成によれば、任意の曲線における、動きを画像化することができる。
【0112】
また、本発明の画像処理装置では、第2の画像生成手段は、特定周波数成分の振幅の値と特定周波数成分の位相の値との組み合わせに応じて二次元画像の色のグラデーション値が割り当てられた第2の二次元画像ルックアップテーブルを有していることが好ましい。上記構成によれば、二次元画像を生成する際に、視覚的に周期的な組織動きの強弱および位相の空間的連続性を観察することができる。
【0113】
また、本発明の画像処理装置では、特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づいて位相が連続している座標群を検出することにより任意の曲線を求める検出手段を備えていることが好ましい。上記構成によれば、Bモードの直接観察では、関心領域の同定が困難な場合でも、位相の連続した曲線を検出することができるので、例えば新生児頭部における動脈周囲組織の検索をより容易に行なうことができる。
【0114】
また、本発明の画像処理装置では、任意の曲線は外部から入力可能となっていることが好ましい。上記構成によれば、操作者が曲線を入力することができるので、例えば新生児頭部における出血塊周囲などの局所的関心領域の診断を行なうことができる。
【0115】
また、本発明の画像処理装置では、第2の画像生成手段は、生成する二次元画像を繰り返し更新することが好ましい。上記構成によれば、更新のたびに新しい二次元画像を表示することができる。
【0116】
また、本発明の画像処理装置では、周波数解析手段は、特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相の検出をフーリエ変換にて行なうフーリエ変換手段を有していることが好ましい。
【0117】
また、本発明の画像処理装置では、上記特定周波数成分は、心拍周期に相当する周波数成分であることが好ましい。上記構成によれば、特定周波数成分は心拍周期に相当する周波数成分であるので、動脈血流に伴う周期的な動きを示す組織を見つけることができる。
【0118】
また、本発明の超音波撮像装置では、上記いずれの画像処理装置と、被検体の断面を超音波ビームで走査してエコー信号を繰り返し受信する超音波送受信手段とを有することが好ましい。上記構成によれば、被検体の二次元形状、被検体の周期的な動きの強弱、被検体の周期的な動きの位相の空間的連続性を観察できる超音波撮像装置を実現することができる。
【0119】
本発明の画像処理装置は、以上のように、被検体断面を超音波ビームにて走査して得られる被検体断面の各点におけるエコー強度またはドップラ速度の時系列変化を周波数解析して特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相を検出する周波数解析手段と、検出した特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づく二次元画像を生成する第1の画像生成手段と、を有している。
【0120】
本発明の画像処理方法は、以上のように、超音波撮像装置に用いる画像処理方法であって、被検体断面を超音波ビームにて走査して得られる被検体断面の各点におけるエコー強度またはドップラ速度の時系列変化を周波数解析して特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相を検出し、検出した特定周波数成分の振幅および特定周波数成分の位相に基づく二次元画像を生成している。
【0121】
従って、被検体の二次元形状、被検体の周期的な動きの強弱、および被検体の周期的な動きの位相の空間的連続性を観察できる。
【0122】
発明の詳細な説明の項においてなされた具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の画像処理装置は、医療現場にて用いることができ、特に、新生児の頭部の観察に好適に用いることができる。
図面
【図1】
0
【図2(a)】
1
【図2(b)】
2
【図2(c)】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6