TOP > 国内特許検索 > 複合電極触媒とその製造方法 > 明細書

明細書 :複合電極触媒とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5531313号 (P5531313)
公開番号 特開2012-000525 (P2012-000525A)
登録日 平成26年5月9日(2014.5.9)
発行日 平成26年6月25日(2014.6.25)
公開日 平成24年1月5日(2012.1.5)
発明の名称または考案の名称 複合電極触媒とその製造方法
国際特許分類 B01J  23/62        (2006.01)
H01M   4/86        (2006.01)
H01M   4/90        (2006.01)
H01M   4/92        (2006.01)
H01M   8/10        (2006.01)
FI B01J 23/62 M
H01M 4/86 B
H01M 4/90 B
H01M 4/90 X
H01M 4/92
H01M 8/10
請求項の数または発明の数 1
全頁数 9
出願番号 特願2010-134688 (P2010-134688)
出願日 平成22年6月14日(2010.6.14)
審査請求日 平成24年11月22日(2012.11.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】衣本 太郎
【氏名】長野 敬太
審査官 【審査官】森坂 英昭
参考文献・文献 特開2010-123283(JP,A)
特開2007-237182(JP,A)
特開2007-105699(JP,A)
調査した分野 B01J 21/00 - 38/74
H01M 4/86
H01M 4/90
H01M 4/92
H01M 8/10
特許請求の範囲 【請求項1】
フッ化スズ又はフッ化スズ酸アンモニウム錯体との水溶液中にカーボン材料を分散させて、このカーボン材料の表面にフッ化スズを吸着させた後、このフッ化スズ吸着カーボン材料を濾別、洗浄後、ホウ酸水溶液に分散させてフッ化スズを酸化スズにした後、この酸化スズ吸着カーボン材料を洗浄、乾燥した後熱処理して酸化スズ修飾カーボン担体を得、この酸化スズ修飾カーボン担体に、白金微粒子を担持させることを特徴とする複合電極触媒の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高い耐久性を有する固体高分子形燃料電池等に用いる複合電極触媒およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池用の電極触媒の製造に関する従来技術としてカーボンブラックのような炭素材料や金属酸化物を担体として用いる触媒。カーボンブラックに白金粒子を担持後、酸化タングステンを担持した触媒。カーボンナノチューブに金属酸化物を担持して白金粒子を担持した触媒がある。
燃料電池用電極触媒の製造方法としては前出の例があるが、現在、固体高分子形燃料電には触媒担体に炭素材料であるカーボンブラックを用い、それに白金を担持した白金担持カーボン電極触媒が用いられている。
一方で、同燃料電池のさらなる普及に向け、白金使用量を低減する必要がある。白金使用量を低減するにはできるだけ小粒径の白金粒子を効率的に用いることが必要であり、現在のところ約2 nmの白金粒子がカーボンブラックに分散担持された電極触媒が用いられている。しかしながら、そのような粒径の白金粒子の耐久性は実用上十分でなく、実際に同燃料電池発電中の空気極では、白金の溶解最析出による大径化が進行し、触媒の有効表面積が低下して、電池の性能が低下することがわかっている。また、触媒担体であるカーボンブラックも発電中、特に起動停止時に酸化されて白金粒子が脱離して、触媒の有効表面積が低下して、電池の性能が低下することも明らかになっている。以上のように、固体高分子形燃料電池の普及には、電極触媒を構成する白金粒子と触媒担体の高耐久性が必須となっている。
【0003】
非特許文献1で白金粒子の高耐久性化には、同燃料電池の電極触媒層内の電解質材料を改善することが効果的であると報告されている。一方、電極触媒自身の耐久性を向上させる手法として、カーボンブラックよりも耐久性の高い金属酸化物粒子を担体として用いる手法や金属酸化物を電極触媒に被覆する手法が報告されている。非特許文献2では、粒径50 nm程度の酸化スズ粒子を電極触媒担体として用いる電極触媒の製造方法とその空気極触媒としての性能が報告されていて、カーボンブラックを用いるよりも耐久性が優れていることが示されている。しかしながら、酸化スズは導電率が高くなく電極触媒として満足できるものでない。そこで、金属酸化物粒子とカーボン材料の複合材料を担体として用いる電極触媒の開発もなされてきた。
【0004】
その一例として、特許文献1では焼成により金属酸化物となる金属化合物をカーボン材料上に付着させ、それを300℃以下で焼成して金属酸化物担持カーボン材料を得て、それに白金を担持して触媒を得る方法が提供されている。このようにして作製された金属酸化物粒子担持電極触媒は固体高分子形燃料電池の触媒として、金属酸化物粒子がないものよりも高活性であるとされており、金属化合物としては硝酸塩や金属アルコキシドを用いることが望ましいとされている。しかしながら、それら化合物は空気中で分解する等の理由から扱い難く、生産性が低いあるいは生産コストがかかることが考えられる。また、非特許文献3にてそれら金属酸化物とカーボン材料の複合材料を用いる電極触媒の耐久性は優れていると報告されているが、製造方法は明確にされていない。また、特許文献2では、導電性担体上に貴金属粒子とタングステン酸化物粒子が互いに独立して担持されている耐久性の高い電極触媒の製造方法が提供されている。しかし、耐久性は明確にされておらず不明である。また、非特許文献4では、カーボンナノチューブに化学的処理により欠陥構造を導入してそこに塩化スズを前駆体として酸化スズ微粒子を担持した担体材料にさらに白金微粒子を担持した電極触媒が作製され、そのメタノール酸化活性が高いことが報告されているが、空気極触媒としての性能は報告されておらず不明である。

【特許文献1】特開2008-181696号公報
【特許文献2】特開2005-270864号公報
【非特許文献1】電気化学第77回大会、PFC10
【非特許文献2】Electrochemistry and Solid-State Letters, 12 (9), pp. B119-B122 (2009).
【非特許文献3】第50回電池討論会講演要旨集、p. 374, (2009).
【非特許文献4】Journal of Electrochemical Society, 154 (3), A207-A212, 2007.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の従来技術の問題に対し、本発明は、従来の複合電極触媒の2倍以上程度の耐久性を有する複合電極触媒とその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を満足するものでその特徴とすると技術条件は次の(1)~(2)の通りである。
(1)、フッ化スズ又はフッ化スズ酸アンモニウム錯体との水溶液中にカーボン材料を分散させて、このカーボン材料の表面にスズフッ化物を吸着させた後、このスズフッ化物吸着カーボン材料を濾別、洗浄後、ホウ酸水溶液に分散させてスズフッ化物を酸化スズにした後、この酸化スズ吸着カーボン材料を洗浄、乾燥した後熱処理して酸化スズ修飾カーボン担体を得、この酸化スズ修飾カーボン材料に、白金微粒子を担持させることを特徴とする複合電極触媒の製造方法。
(2)、カーボン材料の表面に粒径が20 nm以下の酸化スズが修飾され、この酸化スズ修飾カーボン材料に、粒径が5 nm以下の白金微粒子を担持させてなることを特徴とする複合電極触媒。

【発明の効果】
【0007】
本発明の固体高分子形燃料電池等に用いる複合電極触媒とその製造方法は、従来方法とそれによる複合電極触媒に比べ性能は向上し、且つ耐久性(:寿命)は2倍以上と優れた効果が得られる。
本発明において、適用する炭素材料としては、原理的にカーボンブラック、活性炭、炭素繊維および熱処理カーボン材料及びカーボンナノチューブ等その他の炭素材料を適用することができ、幅広い応用が可能である。

【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1で得た酸化スズ修飾量大の複合電極触媒Aの透過型電子顕微鏡像。
【図2】実施例2で得た酸化スズ修飾量中の複合電極触媒Bの透過型電子顕微鏡像。
【図3】酸化スズ非修飾触媒と実施例1~3で得た酸化スズ修飾量大~小の複合電極触媒A~Cの耐久性試験中での電気二重層容量の変化。
【図4】酸化スズ非修飾触媒と実施例1~3で得た酸化スズ修飾量大~小の複合電極触媒A~Cの耐久性試験中での白金微粒子の有効表面積の変化。
【図5】実施例8で得た白金担持酸化スズ修飾熱処理炭素複合電極触媒の透過型電子顕微鏡像。
【図6】実施例9で得た白金担持酸化スズ修飾熱処理炭素複合電極触媒の透過型電子顕微鏡像。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において製造方法は、まずスズフッ化物を出発材料とし、吸着過程を経る液相析出法により約5~15 nm程度の粒径のカーボンからなる複合材料を製造し、その後、2 ~3 nmの粒径の白金微粒子を担持して複合電極触媒を得る。
即ち、フッ化スズ水溶液あるいはフッ化スズ酸アンモニウム錯体水溶液にカーボン基材(カーボン材料)を12時間~48時間分散して、カーボン基材の表面にスズフッ化物を吸着させ、これを濾別した後に、ホウ酸水溶液に分散して得た生成物(酸化スズ修飾カーボン基材)をアルゴン雰囲気下で熱処理し整粒する。
BET比表面積で数m2g-1程度のカーボン基材には0.00001~0.001 mol dm-3の濃度の水溶液が、また数百m2g-1程度のカーボン基材には0.001~0.1 mol dm-3の濃度の水溶液を用いるのが最適であり、50 mLに対して0.01~0.1 gの割合で撹拌混合させ、吸着させるのが最適である。また、濃度が上記範囲から逸脱し、高い濃度の場合、金属の仕込み量が過剰となってカーボン基材に担持されない酸化スズ量が多くなり、生産性が低下する。低い濃度の場合、金属の仕込み量が小さくなり、酸化スズが均一に担持された炭素材料を得ることは難しい。
吸着時間は数ナノメートル程度の酸化スズを得るために12~48時間でなかでも24時間、特に、数ナノメートル程度の酸化スズ金属酸化物を得るにはアンモニウムイオンを有するフルオロ錯体(例(NH4)2SnF6)を用いるのがよい。
カーボン材料表面に吸着したスズフッ化物を分解するにはホウ酸水溶液が望ましく、上記炭素材料0.1 gに対して、濃度0.00001~0.1 mol dm-3で50 mLを用いるのが適当である。より望ましくは0.1 mol dm-3である。反応時間は24時間~96時間で24時間が最適である。なお、スズフッ化物の吸着やホウ酸水溶液への分散時間を上記範囲以上としても酸化スズ修飾カーボン材料を得ることは可能であるが、酸化スズの修飾量に顕著な変化はない。
また、その後の熱処理は炭素基材の消耗を抑えるためにアルゴンやヘリウムなど不活性雰囲気で行うのが適当であるが、時間と温度の条件は所望する金属酸化物の結晶性により可変である。 例えば、昇温速度毎分4~7℃好ましくは5℃として500℃まで昇温後1時間保持し、その後自然放冷するより高い温度で熱処理すると金属酸化物が大径化する傾向にある。
以上のようにして作製した酸化スズ修飾カーボン材料に白金微粒子を担持するには、一般的な担持方法であるイオン交換法や含浸法、化学的析出法などが適用できる。なかでも含浸法が簡便である。すなわち、塩化白金酸や塩化白金酸カリウムあるいはアンモニウム白金硝酸塩などを白金の前駆体として用い、それを酸化スズ修飾カーボン材料に含浸した後、水素気流中あるいは水素化ホウ素ナトリウムなどの化学的還元剤にて還元する。例えば、炭酸ナトリウム水溶液と塩化白金酸水溶液とを混合して毎分2~10℃好ましくは5℃として80℃まで昇温後、ホルムアルデヒド液を徐々に添加しながら4時間攪拌し、その後濾別、窒素雰囲気下で乾燥させることで白金担持酸化スズ修飾カーボン触媒を得ることができる。この際、用いる酸化スズ修飾カーボン材料と塩化白金酸の比率で白金担持量を調整することができるが、望ましくは2%~80%の範囲である。特に2 nm程度の粒径の白金微粒子を得るには、5%~50%が望ましい。
本発明の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0010】
0.1 mol dm-3含むスズフッ化物水溶液中に炭素材料としてカーボンブラック(BET比表面積 約800 m2 g-1)を24時間分散させると共にそのカーボンブラック表面にフッ化スズを吸着させた後、濾別、洗浄後、ホウ酸水溶液に分散させ、24時間反応後、洗浄、乾燥させた後、アルゴン雰囲気下500℃で1時間の熱処理を施して酸化スズ担持量大の酸化スズ修飾カーボンブラックを得た。
さらに、塩化白金酸水溶液とホルムアルデヒド水溶液を用いることにより、白金担持量15wt%の白金担持酸化スズ修飾カーボンブラック触媒を得た。これを触媒Aとする。この触媒Aの透過型電子顕微鏡像を図1に示す。粒径で5~15 nm程度の酸化スズ粒子と粒径で2 nm程度の白金微粒子がそれぞれカーボンブラック上に担持されている様子が確認された。また、白金粒子は酸化スズ粒子とカーボンブラック上のどちらにも担持されている様子が確認された。

【実施例2】
【0011】
0.01 mol dm-3含むスズフッ化物水溶液中に炭素材料としてカーボンブラック(BET比表面積 約800 m2 g-1)を24時間分散させると共にそのカーボンブラック表面にフッ化スズを吸着させた後、濾別、洗浄後、ホウ酸水溶液に分散させ、24時間反応後、洗浄、乾燥させた後、アルゴン雰囲気下500℃で1時間の熱処理を施して酸化スズ担持量中の酸化スズ修飾カーボンブラックを得た。
さらに、塩化白金酸水溶液とホルムアルデヒド水溶液を用いることにより、白金担持量15wt%の白金担持酸化スズ修飾カーボンブラック触媒を得た。これを触媒Bとする。この触媒Bの透過型電子顕微鏡像を図2に示す。粒径で5~15 nm程度の酸化スズ粒子と粒径で2 nm程度の白金微粒子がそれぞれカーボンブラック上に担持されている様子が確認された。また、白金粒子は酸化スズ粒子とカーボンブラック上のどちらにも担持されている様子が確認された。

【実施例3】
【0012】
0.001 mol dm-3含むスズフッ化物水溶液中に炭素材料としてカーボンブラック(BET比表面積 約800 m2 g-1)を24時間分散させると共にそのカーボンブラック表面にフッ化スズを吸着させた後、濾別、洗浄後、ホウ酸水溶液に分散させ、24時間反応後、洗浄、乾燥させた後、アルゴン雰囲気下500℃で1時間の熱処理を施して酸化スズ修飾カーボンブラックを得た。これを熱重量分析測定によって1000℃での重量残存率を測定した結果、酸化スズが3wt%含まれているとわかった。
さらに、塩化白金酸水溶液とホルムアルデヒド水溶液を用いることにより、白金担持量15wt%の白金担持酸化スズ修飾カーボンブラック触媒を得た。これを触媒Cとする。この触媒Cを透過型電子顕微鏡像で観察した結果、粒子がカーボンブラック上に担持されている様子は観察できたが、酸化スズと白金微粒子の区別をつけることはできなかった。

【実施例4】
【0013】
実施例1~3で得た触媒AとBおよび同様の方法で得た酸化スズ修飾量小の触媒C、酸化スズ非修飾触媒をそれぞれグラッシーカーボン円板上に載せ、それを回転電極装置に取り付けて、室温条件下、酸素を飽和させた0.1 mol dm-3過塩素酸水溶液中で各触媒の酸素還元反応に対する電流を測定した。いずれの触媒でも酸素還元反応に対して有効な触媒活性を持つことがわかった。測定された電流から触媒活性を求めた結果を表1に示す。なお、表では白金の担持重量で除した質量活性として示している。触媒A~Cの触媒活性は酸化スズ修飾量により増加する傾向が見られたが、誤差範囲とも考えられ、概ね、どの触媒も酸化スズ非修飾触媒とほぼ同程度の触媒活性であった。よって、白金担持酸化スズ修飾カーボン触媒は酸化スズ非修飾と同程度の触媒活性を有する空気極触媒であるとわかった。
【0014】
【表1】
JP0005531313B2_000002t.gif


【実施例5】
【0015】
上記のようにして得た触媒A~Cおよび酸化スズ非修飾触媒をそれぞれグラッシーカーボン円板上に載せ、60℃の窒素飽和の0.1 mol dm-3過塩素酸水溶液中で可逆水素電極に対して1.0 V~1.5 Vの範囲で電位サイクル加速劣化試験を行った。各試験回数後での各触媒の可逆水素電極に対して0.4 V~0.7 Vの電気二重層容量の変化を図4に示す。このとき、電気二重層容量の増大がないことが、触媒の耐久性が高いことを意味する。全体的に試験回数が増加するにつれて電気二重層容量は増大した。酸化スズ修飾量が大である触媒Aは試験終了時での容量増加率は150%程度、触媒Bでは175%程度、触媒Cでは160%程度で、酸化スズ非修飾触媒では190%程度であって、酸化スズ非修飾触媒と比べて触媒A~Cの増大率は低かった。また、触媒A~Cの結果から酸化スズ修飾量が増大するにつれてその増大率が抑制されることがわかった。よって、酸化スズを含む複合触媒A~Cの本試験条件における耐久性は酸化スズ非修飾触媒よりも高い。よって、白金担持酸化スズ修飾カーボン触媒は固体高分子形燃料電池用の高耐久性化に有用な電極触媒であるとわかった。

【実施例6】
【0016】
上記のようにして得た触媒A~Cおよび酸化スズ非修飾触媒をそれぞれグラッシーカーボン円板上に載せ、60℃の窒素飽和の0.1 mol dm-3過塩素酸水溶液中で可逆水素電極に対してパルス状に1.0 Vと0.6 Vの電圧を印加し、加速劣化試験を行った。各試験回数後での各触媒の可逆水素電極に対して0.05 V~0.4 Vの電気二重層容量から白金微粒子の残有効表面積を求め、その変化を図4に示す。試験初期では残有効表面積が100%を超えたが、その後、試験回数が増加するにつれて残有効表面積は減少した。酸化スズ修飾量が大である触媒Aは試験終了時での残有効表面積は95%程度、触媒Bでは87%程度、触媒Cでは76%程度で、酸化スズ非修飾触媒では75%程度で、酸化スズ非修飾触媒と比べて触媒A~Cの残有効表面積は高かった。この結果より、酸化スズを含む複合触媒A~Cの本試験条件における耐久性は酸化スズ非修飾触媒よりも高く、触媒A~Cの結果から酸化スズ修飾量が増大するにつれて耐久性が増大することがわかった。よって、白金担持酸化スズ修飾カーボン触媒は固体高分子形燃料電池用の高耐久性化に有用な電極触媒であるとわかった。

【実施例7】
【0017】
実施例5で示した加速劣化試験後、触媒A~Cおよび酸化スズ非修飾触媒をそれぞれグラッシーカーボン円板上に載せ、それを回転電極装置に取り付けて、室温条件下、酸素を飽和させた0.1 mol dm-3過塩素酸水溶液中で各触媒の酸素還元反応に対する電流を測定し、活性支配電流を計算し、白金の触媒中の担持重量で除して触媒(質量)活性を求めた。加速劣化試験前との比較から、各触媒の活性保持率と低下率を算出した。その結果を表2に示す。酸化スズ非修飾触媒では、活性低下率は57%と試験前に比べ約半分まで低下したが、酸化スズ修飾量大の触媒Aでは、82%と非常に高いことがわかった。また、酸化スズ修飾量中の触媒Bでも酸化スズ非修飾触媒よりも高く、酸化スズ修飾量が小の触媒Cでは、酸化スズ非修飾触媒とほぼ同程度の活性保持率と低下率であった。酸化スズ非修飾触媒と触媒Aの活性低下率との比較から、触媒Aは酸化スズ非修飾触媒に比べ二倍以上程度の耐久性を有するとわかった。よって、白金担持酸化スズ修飾カーボン触媒は固体高分子形燃料電池用の高耐久性化に有用な電極触媒であるとわかった。
【0018】
【表2】
JP0005531313B2_000003t.gif

【実施例8】
【0019】
0.1 mol dm-3含むフッ化スズ水溶液中に炭素材料として熱処理炭素(BET比表面積 数m2 g-1)を24時間分散させると共にその表面にフッ化スズを吸着させた後、濾別、洗浄後、ホウ酸水溶液に分散させ、24時間反応後、洗浄、乾燥させた後、アルゴン雰囲気下500℃で1時間の熱処理を施して酸化スズ修飾熱処理炭素を得た。
さらに、塩化白金酸水溶液とホルムアルデヒド水溶液を用いることにより、白金担持量4wt%の白金担持酸化スズ修飾熱処理炭素複合電極触媒を得た。この触媒Bの透過型電子顕微鏡像を図5に示す。粒径で5~15 nm程度の酸化スズ粒子が凝集して存在しており、ところどころ粒径で2 nm程度の白金微粒子がそれぞれ熱処理炭素材料上に担持されている様子が確認された。また、白金粒子は酸化スズ粒子と熱処理炭素材料上のどちらにも担持されている様子が確認された。

【実施例9】
【0020】
0.0001 mol dm-3含むフッ化スズ水溶液中に炭素材料として熱処理炭素(BET比表面積 数m2 g-1)を24時間分散させると共にその表面にフッ化スズを吸着させた後、濾別、洗浄後、ホウ酸水溶液に分散させ、24時間反応後、洗浄、乾燥させた後、アルゴン雰囲気下500℃で1時間の熱処理を施して酸化スズ修飾熱処理炭素を得た。
さらに、塩化白金酸水溶液とホルムアルデヒド水溶液を用いることにより、白金担持量4wt%の白金担持酸化スズ修飾熱処理炭素複合電極触媒Bを得た。この触媒Bの透過型電子顕微鏡像を図6に示す。粒径で5~15 nm程度の酸化スズ粒子が粗に分散して存在しており、ところどころ粒径で2 nm程度の白金微粒子がそれぞれ熱処理炭素材料上に担持されている様子が確認された。また、白金粒子は酸化スズ粒子と熱処理炭素材料上のどちらにも担持されている様子が確認された。

【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、固体高分子形燃料電池等に用いる複合電極触媒とその製造方法であり、同電池の性能向上、及び耐久性の向上に資するものである。今後はコアーシェル触媒用電極触媒担体としても有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5