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明細書 :ダイヤフラム吸引ポンプ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5564706号 (P5564706)
公開番号 特開2012-067690 (P2012-067690A)
登録日 平成26年6月27日(2014.6.27)
発行日 平成26年8月6日(2014.8.6)
公開日 平成24年4月5日(2012.4.5)
発明の名称または考案の名称 ダイヤフラム吸引ポンプ
国際特許分類 F04B  43/12        (2006.01)
F04B  17/00        (2006.01)
FI F04B 43/12 D
F04B 17/00 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2010-213684 (P2010-213684)
出願日 平成22年9月24日(2010.9.24)
審査請求日 平成25年7月3日(2013.7.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】長 弘基
【氏名】佐久間俊雄
【氏名】山本 隆栄
審査官 【審査官】所村 陽一
参考文献・文献 特開平07-103129(JP,A)
実開昭63-092081(JP,U)
実公昭48-020641(JP,Y1)
調査した分野 F04B 43/12
F04B 17/03
特許請求の範囲 【請求項1】
固定軸に回転可能に支持し外周にカムを設けた回転筒内に、形状記憶合金のゼンマイばねを収容し前記ゼンマイばねの一端を固定軸に接続し他端を回転筒に接続したゼンマイばね型アクチュエータを、ダイヤフラムに隣設し、前記ダイヤフラムに連通する液体吸引管と液体排出管に逆止弁を配置し、前記カムをダイヤフラムを拡縮可能に当接させ、前記カムの回転によりダイヤフラムを圧接縮小させ液体排出管から液体を排出し、続いてダイヤフラムの圧接縮小を開放して復元拡張させて液体吸引管から液体を吸引することを繰り返すことによりダイヤフラムの液体吸・排作動を行わせることを特徴とするダイヤフラム吸引ポンプ。
【請求項2】
前記ゼンマイばね型アクチュエータをダイヤフラムを介して一対を対向配置しその一対のカムの回転によりダイヤフラムを一方からの圧縮と他方からの拡張を同時に行うことを交互に行わしめることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
【請求項3】
前記ゼンマイばね型アクチュエータをダイヤフラムを介して一対を対向配置しその一対のカムの回転によりダイヤフラムを両側から同時に挟持して圧接縮小し、及び同時に挟持開放して復元拡張させることを交互に行わしめることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
【請求項4】
前記一対のゼンマイばね型アクチュエータの回転筒を同期回転用のシャフトで連結したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
【請求項5】
前記ゼンマイばね型アクチュエータをダイヤフラムを介して複数対を設置したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一つに記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はダイヤフラム吸引ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術において、形状記憶合金(:Shape memory alloy)ゼンマイばね型アクチエータを利用した発明は、火災感知器、熱発電式腕時計、自動回転盤など多種多様に存在するが液体吸・排動力に形状記憶合金ゼンマイばね型アクチュエータを用いた小型可変・流量ポンプは存在しない。
本発明は、前記形状記憶合金(以下単にSMAと言う)ゼンマイばね型アクチュエータを腹水用吸引ポンプや水頭症用吸引ポンプ等のダイヤフラム吸引ポンプに適用しようとするものである。
腹水用吸引ポンプや水頭症用吸引ポンプは、従来、手動式、磁力式のダイヤフラム吸引ポンプである。
手動式ダイヤフラム吸引ポンプは小型軽量であるが、手動のため微圧調節が困難である。
水頭症用ダイヤフラム吸引ポンプは、小型軽量な磁力シャフトポンプを用いているが、微圧(1cmH2O,約100Pa)調節は外部磁場により誤作動を惹起する。

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、微圧調節が容易に実施できしかも外部磁場による誤作動の無い安全なダイヤフラム吸引ポンプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の特徴とする技術条件は次の(1)~(2)の通りである。
(1)、固定軸に回転可能に支持し外周にカムを設けた回転筒内に、SMAゼンマイばねを収容しSMAゼンマイばねの一端を固定軸に接続し他端を回転筒に接続した型SMAゼンマイばね型アクチュエータを、ダイヤフラムに隣設し、ダイヤフラムに連通する液体吸引管と液体排出管に逆止弁を配置し、前記カムをダイヤフラムを拡縮可能に当接させ、前記カムの回転によりダイヤフラムを圧接縮小させ液体排出管から液体を排出し、続いてダイヤフラムの圧接縮小を開放して復元拡張させて液体吸引管から液体を吸引することを繰り返すことによりダイヤフラムの液体吸・排作動を行わせることを特徴とするダイヤフラム吸引ポンプ。
(2)、前記SMAゼンマイばね型アクチュエータをダイヤフラムを介して一対を対向配置しその一対のカムの回転によりダイヤフラムを一方からの圧縮と他方からの拡張を同時に行うことを交互に行わしめることを特徴とする前記(1)に記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
(3)、前記SMAゼンマイばね型アクチュエータをダイヤフラムを介して一対を対向配置しその一対のカムの回転によりダイヤフラムを両側から同時に挟持して圧接縮小し、及び同時に挟持開放して復元拡張させることを交互に行わしめることを特徴とする前記(1) 又は (2)に記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
(4)、前記一対のアクチュエータの回転筒を同期回転用のシャフトで連結したことを特徴とする前記(1) 又は (2)に記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
(5)、前記SMAゼンマイばね型アクチュエータをダイヤフラムを介して複数対を設置したことを特徴とする(1)~ (4)の何れか一つに記載のダイヤフラム吸引ポンプ。
【発明の効果】
【0005】
本発明のダイヤフラム吸引ポンプはSMAゼンマイばね型アクチュエータをダイヤフラムの周囲に一台又は複数台配置して、液体吸・排作動を効率的に行うことができる。このためハンディな小型で省電力なダイヤフラム吸引ポンプを構成することができる。またポンプ駆動力を電池やバッテリーによる低周波数通電加熱のON-OFF操作によるSMAの変態力及び逆変態力とするためノイズレスある。
またSMAとして例えばTi-Ni形状記憶合金を用いれば磁性がないので、磁場中でも使用することができる。
また通電量、通電ON-OFFの間隔、カムシャフトの配置、多段配置等により流量・圧力の微調整が自在に容易に可能である。
このため本発明は、腹水用吸引ポンプ、水頭症用吸引ポンプの他に流量調節自在な点滴用ポンプ等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施例1を紹介する説明図であり、1サイクルの動作を併記する。
【図2】本発明の実施例2を紹介する説明図であり、1サイクルの動作を併記する。
【図3】本発明の実施例3を紹介する説明図であり、1サイクルの動作を併記する。
【図4】本発明の実施例4を紹介する説明図である。
【図5】本発明の実施例4の1サイクルの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の方法とそれを実施するための装置の形態とその意義と作用等について図1~図4と共に説明する。
【実施例1】
【0008】
実施例1は、図1に示し、ダイヤフラムの一側にSMAゼンマイばね型アクチュエータを設置した基本タイプである。
本例のダイヤフラム吸引ポンプにおいて、SMAゼンマイばね型アクチュエータ100の構成を、固定軸101に回転可能に支持し外周にカム102を設けた回転筒103内に、SMAゼンマイばね104を収容しSMAゼンマイばね104の一端を固定軸101に接続し他端を回転筒103に接続したものである。
このSMAゼンマイばね型アクチュエータ100をゴム等の弾性体のダイヤフラム200に隣設し、ダイヤフラム200に連通する液体吸引管201と液体排出管202に逆止弁203,204を配置し、前記カム102をダイヤフラム200に拡縮可能に当接させる。
図1のAに示す状態からSMAゼンマイばね104を通電ONして所定温度にまで昇温することによりSMAゼンマイばね104が変態応力挙動して回転筒103と共に前記カム102を180°正回転させて図1のBに示す状態にし、ダイヤフラム200を圧接縮小させて、ダイヤフラム200内の液体を液体排出管202から排出し、続いてSMAゼンマイばね104の通電OFFより前記カム102を180°逆回転させて図1のCに示す状態にして、ダイヤフラムの圧接縮小を開放して復元拡張させて液体吸引管201から液体をダイヤフラム200内に吸引することを繰り返すことによりダイヤフラム200の液体吸・排作動を間欠的に行わせる。
【実施例2】
【0009】
実施例2は、図2に示し、前記構成のSMAゼンマイばね型アクチュエータ100をダイヤフラム200を介して一対を上下に対向配置し、その上下一対のカム102,102の回転角度位置を同一に配置し、回転筒103を同期回転用のリンクシャフト300で連結したダイヤフラム吸引ポンプである。
このダイヤフラム吸引ポンプの動作は、今図2のAに示す圧接縮小状態をスタートとすると、下側のSMAゼンマイばね104を通電ONし、上側のSMAゼンマイばね104を通電OFFすることにより、上側と下側のカム102は90°の正回転で図2のBに示す状態にし、ダイヤフラム200を復元拡張、次いで残り90°の連続正回転で図2のCに示す状態にし、下側のカム102はダイヤフラム200を圧接縮小状態にする。
次いで下側のSMAゼンマイばね104を通電OFFし、上側のSMAゼンマイばね104を通電ONすることにより上側と下側のカム102は90°の逆回転で図2のDに示す状態にし、ダイヤフラム200を復元拡張させ、次いで残り90°の連続逆回転で図2のEに示す状態にし、上側のカム102はダイヤフラム200を圧接縮小状態にする。
本例ダイヤフラム吸引ポンプは以上の動作を交互に行わしめてダイヤフラム200から液体吸・排作動を間欠的に行わせる。
この実施例2のダイヤフラム吸引ポンプは、前記実施例1に比し約2倍のピッチでダイヤフラム200を拡縮するため単位時間当たりの排液量又は給液量を倍増させる。
【実施例3】
【0010】
実施例3は、図3に示し、前記構成のSMAゼンマイばね型アクチュエータ100をダイヤフラム200を介して一対を対向配置したダイヤフラム吸引ポンプである。
SMAゼンマイばね型アクチュエータ100の構成は、固定軸101に回転可能に支持し、外周に180°の間隔でカム102a,102bを設けた回転筒103内に、SMAゼンマイばね104を収容しSMAゼンマイばね104の一端を固定軸101に接続し他端を回転筒103に接続し、回転筒103を同期回転用のリンクシャフト300で連結したものである。各対ポンプ間のカム配置は点対象にしてある。
このダイヤフラム吸引ポンプの動作は、今カムによるダイヤフラム200の状態が図3のAに示す同時の圧接縮小状態をスタートとすると、下側のSMAゼンマイばね104を通電ONし、上側のSMAゼンマイばね104を通電OFFすることにより、上側と下側のカム102aは90°の正回転で図3のBに示す状態にし、ダイヤフラム200を復元拡張させ、次いで残り90°の連続正回転で図3のCに示す状態にし、上側と下側のカム102bはダイヤフラム200を同時に圧接縮小状態にする。
次いで下側のSMAゼンマイばね104を通電OFFし、上側のSMAゼンマイばね104を通電ONすることにより上側と下側のカム102bは90°の逆回転で図3のDに示す状態にし、ダイヤフラム200を復元拡張させ、次いで残り90°の連続逆回転で図3のEに示す状態にし、上側と下側のカム102aはダイヤフラム200を同時に圧接縮小状態にする。
本例ダイヤフラム吸引ポンプは、以上の動作を交互に行わしめてダイヤフラム200から液体吸・排作動を間欠的に行わせる。
この実施例3のダイヤフラム吸引ポンプは、前記実施例2に比し、拡縮ピッチは同じであるがダイヤフラム200の同時拡縮作動のため1拡縮当たりの排液量又は給液量を増大させる。
【実施例4】
【0011】
実施例4は、図4に示し、二対のSMAゼンマイばね型アクチュエータ100をダイヤフラム200の周方向に90°ずらして上下対と左右対に対向配置したダイヤフラム吸引ポンプである。
上下対のSMAゼンマイばね型アクチュエータ100の構成は、回転筒103の外周に90°の間隔で上下カム102a,102bを設け、上下の回転筒103を同期回転用のリンクシャフト300aで連結し、左右対のSMAゼンマイばね型アクチュエータ100の構成は、回転筒103の外周に90°の間隔で左右カム102c,102dを設け、左右の回転筒103を同期回転用のリンクシャフト300bで連結したものでありその他のSMAゼンマイばね、固定軸等は図示していないが前例と同様の構成である。
ダイヤフラム200の周囲に90°の作用位置間隔で配置した上下カム102a,102bと左右カム102c,102dによるダイヤフラム200の拡縮動作は、カム回転角度差を45°持たせてカムを交互に90°の正・逆回転を行うことによりダイヤフラム200は、液体吸引管201から液体排出管202に液体を、脈動は有るものの略連続的に供給・排出することができる。
【実施例4】
【0012】
図5にカムによるダイヤフラム200の拡縮動作状態順の1例を示す。
図5の上側にはダイヤフラム200の上下に配置したMAゼンマイばね型アクチュエータ100のカム102a,102bの作動順を主体的に示し、下側にはダイヤフラム200の左右に配置したMAゼンマイばね型アクチュエータ100のカム102c,102dの作動順を主体的に示す。
(1)、図5のAには上下の各カム102a,102bは上側のSMAゼンマイばねを通電ONにし、下側のSMAゼンマイばねを通電OFFにして、90°正回転中の途中45°の回転角度位置にある時で、カム間の谷部(ニュートラル部)をダイヤフラム200に対面させてダイヤフラム200の復元拡張させている。左右の各カム102c,102dは左側のSMAゼンマイばねを通電ONにし、右側のSMAゼンマイばねを通電OFFにして、90°の正回転の開始位置にありカム102cがダイヤフラム200の圧接縮小させている状態を示す。
(2)、これに続いて図5のBに示すように、上下の各カム102a,102bは、残存45°の正回転をしてカム102bをダイヤフラム200の圧接縮小位置に到達しダイヤフラム200を圧接縮小する。これと同時に左右の各カム102c,102dは90°正回転中の途中45°の回転角度位置にカム間の谷部を位置させてダイヤフラム200の復元拡張を行う。
(3)、これに続いて、図5のCに示すように、上下の各カム102a,102bは上側のSMAゼンマイばねを通電OFFにし、下側のSMAゼンマイばねを通電ONにし上下の各カム102a,102bを、90°逆回転させ、その途中45°の回転角度位置にカム間の谷部を位置させてダイヤフラム200の復元拡張を行う。これと同時に左右の各カム102c,102dは90°正回転中の残存45°の正回転をしてカム102cをダイヤフラム200の圧接縮小限位置に到達させダイヤフラム200を圧接縮小させる。
(4)、これに続いて左側のSMAゼンマイばね104を通電OFFにし、右側のSMAゼンマイばね104を通電ONにして、左右の各カム102c,102d を90°逆回転させその逆回転中の45°の回転角度位置でカム間の谷部を図5のDに示すようにダイヤフラム200の復元拡張位置に到達させてダイヤフラム200を復元拡張させる。これと同時に上下の各カム102a,102bは、残存45°の逆回転をしてカム102aをダイヤフラム200の圧接縮小限位置に到達しダイヤフラム200を圧接縮小させる。
以上(1)~(4)の動作を順次行うことにより、本例のダイヤフラム吸引ポンプは、多少の脈動流はあるが略連続的な液体供給・排出を行うことができる。
またダイヤフラム200からの液給排流量調節は、カムの押しこみ深さや押しこみ回転角度範囲又はカムの曲線勾配変化等の設定・調整或いはSMAゼンマイばね104への供給電流・電圧の可変制御により大幅な自由度の範囲で自在に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は前記の優れた効果を有し、腹水用吸引ポンプ、水頭症用吸引ポンプの他に流量調節自在な点滴用ポンプ等の医療用のポンプに適用することができ医療産業などに貢献すること多大なものがあり、今後の他の業界においても普及されることが大いに期待される。
【符号の説明】
【0014】
100:SMAゼンマイばね型アクチュエータ
101:固定軸
102,102a,102b,102c,102d:カム
103:回転筒
104:SMAゼンマイばね
200:ダイヤフラム
201:液体吸引管
202: 液体排出管
203,204:逆止弁
300:リンクシャフト












図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4