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明細書 :片脚式歩行支援機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5943470号 (P5943470)
公開番号 特開2013-236741 (P2013-236741A)
登録日 平成28年6月3日(2016.6.3)
発行日 平成28年7月5日(2016.7.5)
公開日 平成25年11月28日(2013.11.28)
発明の名称または考案の名称 片脚式歩行支援機
国際特許分類 A61H   3/00        (2006.01)
B25J   5/00        (2006.01)
FI A61H 3/00 B
B25J 5/00 C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 21
出願番号 特願2012-111518 (P2012-111518)
出願日 平成24年5月15日(2012.5.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 (1)公益社団法人計測自動制御学会、第54回自動制御連合講演会講演論文集、第327~328頁、平成23年11月19日発行 (2)第54回自動制御連合講演会、平成23年11月19日開催 (3)公益社団法人計測自動制御学会、第12回公益社団法人計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会講演論文集、第509~510頁、平成23年12月23日発行 (4)第12回公益社団法人計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会、平成23年12月23日開催 (5)中日新聞社、中日新聞朝刊、第1面、平成24年1月12日発行 (6)社団法人電子情報通信学会、電子情報通信学会技術研究報告 信学技報Vol.111、No.424、第65~66頁、平成24年1月20日発行 (7)社団法人電子情報通信学会福祉情報工学研究会、平成24年1月28日開催 (8)株式会社小学館、DIME(ダイム)、No.05、第74頁、平成24年2月21日発行 (9)日本機械学会東海支部、日本機械学会東海支部第61期総会講演会講演論文集、第230(1)~(2)頁、平成24年3月15日発行 (10)日本機械学会東海支部第61期総会講演会、平成24年3月16日開催 (11)あいち次世代ロボットフェスタ3rd、平成23年12月22,23日開催 (12)第7回福祉工学カフェ、平成24年3月12日開催 (13)厚生労働省、平成24年度福祉用具・介護ロボット実用化支援事業報告書、第9頁、第14~15頁及び第59頁、平成24年3月発行 (14)名古屋工業会三河支部総会・講演会、平成24年3月3日開催 (15)名古屋工業大学産学官連携センター、名古屋工業大学シーズ集,「技術の宝庫」,第1章「健康・福祉」,第10003頁、平成24年2月発行 (16)中京テレビ放送株式会社、中京テレビ「ストレイトニュース」、平成24年3月1日放送
審査請求日 平成27年3月20日(2015.3.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】佐野 明人
個別代理人の代理人 【識別番号】110001036、【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
審査官 【審査官】今井 貞雄
参考文献・文献 特開2009-172117(JP,A)
特開2006-075379(JP,A)
特開2009-039454(JP,A)
特開2010-142353(JP,A)
実開平04-090316(JP,U)
調査した分野 A61H 3/00
B25J 5/00
特許請求の範囲 【請求項1】
利用者の片脚に装着されて、前記利用者の歩行を支援する片脚式歩行支援機であって、
前記利用者の一方の腰側部に装着される腰装着部と、
前記利用者の大腿の側方に配される長手状の大腿リンク部と、
前記利用者の下腿の側方に配される長手状の下腿リンク部と、
前記利用者の下腿に装着されると共に、前記下腿リンク部に取り付けられる下腿装着部と、
前記大腿リンク部の上端を中心として前記大腿リンク部を前記利用者の前後方向に揺動自在な状態で、前記大腿リンク部の前記上端と前記腰装着部とを接続する腰関節部と、
前記大腿リンク部と前記下腿リンク部との間における後方側の角度が180°以下の範囲内において、前記下腿リンク部の上端を中心として前記下腿リンク部を揺動自在な状態で、前記下腿リンク部の前記上端と前記大腿リンク部の下端とを接続する膝関節部と、
前記大腿リンク部と前記大腿との間に介在するように前記大腿リンク部に取り付けられると共に、前記大腿に宛がわれる大腿接触部と、を備え
前記腰関節部は、前記大腿リンク部の前記上端を貫通する孔からなる軸孔と、前記軸孔に回転自在な状態で挿通されると共に、前記腰装着部が固定される腰軸とを有し、
圧縮バネと、
前記圧縮バネの一端と当接し、前記一端の位置を決定する決定部と、
前記圧縮バネの他端と当接し、前記圧縮バネの伸縮に応じて変位する変位部と、
前記変位部に接続されるカムフォロアと、
前記圧縮バネが圧縮されるように前記カムフォロアが圧接されると共に、前記腰軸からの距離が周方向に沿って変化する外周面を含み、前記大腿リンク部の前記上端に固定されるカムと、
前記決定部、前記圧縮バネ及び前記変位部を収容すると共に、前記カムフォロアの位置が前記外周面の周方向に沿って変更されるように、前記腰軸に対して回転自在な状態で軸支されるハウジングと、
前記カムフォロアの位置が前記外周面の周方向に対して調節された状態で、前記ハウジングを前記腰装着部に固定する調節固定部と、を有し、前記大腿リンク部を前方に向かって移動させるトルクを発生させるトルク発生装置と、を備える片脚式歩行支援機。
【請求項2】
前記下腿装着部は、前記下腿リンク部の長手方向に対して後方に傾けられた状態で前記下腿リンク部に取り付けられている請求項1に記載の片脚式歩行支援機。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記決定部、前記圧縮バネ及び前記変位部を収容すると共に、前記決定部を取り囲む部分の内面に、前記決定部の位置を前記圧縮バネの伸縮方向に沿って変更可能なネジ内周面を含む筒状の収容部を有し、
前記決定部は、前記ネジ内周面と螺合して前記収容部内で固定されると共に、前記螺合位置が調節されることによって前記収容部内での収容位置が前記伸縮方向において調節されるネジ外周面を含む請求項1に記載の片脚式歩行支援機。
【請求項4】
前記腰装着部は、前記腰関節部が有する腰軸が前記利用者の大転子の位置よりも上方にずらされた状態で、前記利用者の前記腰に装着される請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の片脚式歩行支援機。
【請求項5】
前記下腿リンク部の下端から、前記下腿リンク部の長手方向に沿って下方に伸びる足接続部と、
上端が前記足接続部と接続すると共に下端が地面と接触する形で、前記利用者の足の側方に配される足本体部と、
前記足本体部の下端からなり、中心が前記膝関節部よりも前方にある円の円弧に倣った形状をなし、前記利用者の前後方向に亘って形成される円弧接地部と、
前記足本体部の内側において前記円弧接地部よりも上方に設けられると共に、利用者の足が載せられる足載部とを有する円弧足部を備える請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の片脚式歩行支援機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、人の片脚に装着されて、歩行を支援する片脚式歩行支援機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、人の片脚に装着させて歩行を支援する片脚式歩行支援機が知られている。この歩行支援機は、受動歩行と呼ばれる歩行原理を基礎としており、本願発明者によって研究開発されたものである。受動歩行は、人の自然な歩行に最も近い歩行原理として知られており、この原理が応用された歩行支援機が近年、特に注目されている。
【0003】
また、上述の歩行支援機は、例えば、特許文献2に示される他の歩行支援機とは異なり、電動モータ等のアクチュエータを必要としない構造となっている。受動歩行の原理に基づく特許文献1に記載の歩行支援機は、歩行支援機が装着されていない方の脚(健脚)の動きが、利用者(装着者)の腰(骨盤)を介して歩行支援機に伝わることによって、歩行支援機が自然に作動して利用者の歩行を支援するように構成されている。そのため、このような歩行支援機は、軽量化や低コスト化等を図ることが可能であり、利用者の負担軽減が期待されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開2012/002078号
【特許文献2】特開2012-50718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、受動歩行を基礎とした片脚式歩行支援機の更なる歩行支援機能の向上が求められている。
【0006】
本発明の目的は、受動歩行を基礎とした片脚式歩行支援機における歩行支援機能等の諸機能を更に向上させる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る片脚式歩行支援機は、利用者の片脚に装着されて、前記利用者の歩行を支援する片脚式歩行支援機であって、前記利用者の一方の腰側部に装着される腰装着部と、前記利用者の大腿の側方に配される長手状の大腿リンク部と、前記利用者の下腿の側方に配される長手状の下腿リンク部と、前記利用者の下腿に装着されると共に、前記下腿リンク部に取り付けられる下腿装着部と、前記大腿リンク部の上端を中心として前記大腿リンク部を前記利用者の前後方向に揺動自在な状態で、前記大腿リンク部の前記上端と前記腰装着部とを接続する腰関節部と、前記大腿リンク部と前記下腿リンク部との間における後方側の角度が180°以下の範囲内において、前記下腿リンク部の上端を中心として前記下腿リンク部を揺動自在な状態で、前記下腿リンク部の前記上端と前記大腿リンク部の下端とを接続する膝関節部と、前記大腿リンク部と前記大腿との間に介在するように前記大腿リンク部に取り付けられると共に、前記大腿に宛がわれる大腿接触部と、を備える。
【0008】
前記片脚式歩行支援機において、前記下腿装着部は、前記下腿リンク部の長手方向に対して後方に傾けられた状態で前記下腿リンク部に取り付けられていることが好ましい。
【0009】
前記片脚式歩行支援機において、前記腰関節部は、前記大腿リンク部の前記上端を貫通する孔からなる軸孔と、前記軸孔に回転自在な状態で挿通されると共に、前記腰装着部が固定される腰軸とを有し、圧縮バネと、前記圧縮バネの一端と当接し、前記一端の位置を決定する決定部と、前記圧縮バネの他端と当接し、前記圧縮バネの伸縮に応じて変位する変位部と、前記変位部に接続されるカムフォロアと、前記圧縮バネが圧縮されるように前記カムフォロアが圧接されると共に、前記腰軸からの距離が周方向に沿って変化する外周面を含み、前記大腿リンク部の前記上端に固定されるカムと、前記決定部、前記圧縮バネ及び前記変位部を収容すると共に、前記カムフォロアの位置が前記外周面の周方向に沿って変更されるように、前記腰軸に対して回転自在な状態で軸支されるハウジングと、前記カムフォロアの位置が前記外周面の周方向に対して調節された状態で、前記ハウジングを前記腰装着部に固定する調節固定部と、を有し、前記大腿リンク部を前方に向かって移動させるトルクを発生させるトルク発生装置と、を備えるものであってもよい。
【0010】
前記片脚式歩行支援機において、前記ハウジングは、前記決定部、前記圧縮バネ及び前記変位部を収容すると共に、前記決定部を取り囲む部分の内面に、前記決定部の位置を前記圧縮バネの伸縮方向に沿って変更可能なネジ内周面を含む筒状の収容部を有し、前記決定部は、前記ネジ内周面と螺合して前記収容部内で固定されると共に、前記螺合位置が調節されることによって前記収容部内での収容位置が前記伸縮方向において調節されるネジ外周面を含むものであってもよい。
【0011】
前記片脚式歩行支援機において、前記腰装着部は、前記腰関節部が有する腰軸が前記利用者の大転子の位置よりも上方にずらされた状態で、前記利用者の前記腰に装着されるものであってもよい。このように腰装着部が利用者の腰に装着されると、腰軸の位置は、利用者の概ね股関節の位置となる。
【0012】
前記片脚式歩行支援機において、前記下腿リンク部の下端から、前記下腿リンク部の長手方向に沿って下方に伸びる足接続部と、上端が前記足接続部と接続すると共に下端が地面と接触する形で、前記利用者の足の側方に配される足本体部と、前記足本体部の下端からなり、中心が前記膝関節部よりも前方にある円の円弧に倣った形状をなし、前記利用者の前後方向に亘って形成される円弧接地部と、前記足本体部の内側において前記円弧接地部よりも上方に設けられると共に、利用者の足が載せられる足載部とを有する円弧足部を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、受動歩行を基礎とした片脚式歩行支援機における歩行支援機能等の諸機能を更に向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】片脚式歩行支援機の平面図
【図2】利用者に装着された状態の片脚式歩行支援機の説明図
【図3】図1に示される腰装着部付近の拡大図
【図4】図3のA-A’線断面図
【図5】膝関節部の断面図
【図6】後方から見た状態の大腿接触部の拡大図
【図7】片脚式歩行支援機を装着して利用者が歩行する様子を模式的に表した説明図
【図8】トルク発生装置のトルク特性を示す説明図
【図9】円弧足部の右側面図
【図10】円弧足部の正面図
【図11】円弧足部の左側面図
【図12】円弧足部の高さが調節される機構の説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
(片脚式歩行支援機1)
本発明の一実施形態に係る片脚式歩行支援機1を、図1乃至図8を参照しつつ説明する。図1は、片脚式歩行支援機1の平面図であり、図2は、利用者Uに装着された状態の片脚式歩行支援機1の説明図である。本実施形態の片脚式歩行支援機1は、受動歩行型であって、主として、腰装着部2と、大腿リンク部3と、下腿リンク部4と、下腿装着部5と、腰関節部6と、膝関節部7と、大腿接触部8と、トルク発生装置9とを備えている。本実施形態の片脚式歩行支援機1は、右脚用であり、利用者Uの右脚U1に装着されて使用される。右脚用の片脚式歩行支援機1は、例えば、利用者Uの右脚U1が患脚であり、左脚U2が健脚である場合に利用される。なお、図1における右側が前方であり、同図左側が後方であり、同図上側が上方であり、同図下側が下方であるとして、片脚式歩行支援機1を説明する。また、図2における紙面手前側が前方であり、同図の紙面奥側が後方であり、同図上側が上方であり、同図下側が下方であるとする。

【0016】
(腰装着部2)
図3は、図1に示される腰装着部2付近の拡大図である。腰装着部(腰カフ)2は、利用者Uの腰U3(右側の腰側部U31)に装着される部分であり、全体的には、右側の腰側部U31に密着した状態で腰側部U31を前後方向及び上方から包み込むように湾曲した形状をなしている。この腰装着部2は、人(利用者U)の一方の腰側部(本実施形態の場合、右側の腰側部)U31に対して密着すると共に、腰U3(骨盤)を介して他方の腰側部と向かい合う形で装着される。腰装着部2は、片脚式歩行支援機1が装着されていない左脚(健脚)U2の動き(力)を受け取って、その動き(力)を大腿リンク部3や下腿リンク部4等に伝える機能を備えている。腰装着部2は、合成樹脂を所定形状に加工したものからなり、適度な強度と共に適度な弾性を備えている。そのため、腰装着部2は、適度に若干、押し広げられた状態で腰側部U31に密着することができる。なお、腰装着部2が利用者Uの腰側部U31に対して大きすぎる場合や、腰装着部2が押し広げられ過ぎる場合(柔らかすぎる場合)等では、健脚の動きが腰装着部2に上手く伝わらなくなってしまう。そのため、腰装着部2の大きさ、強度、弾性等の諸条件は、利用者Uの腰側部U31の大きさ、形状等を考慮して、適宜、設定される。腰装着部2は、詳細には、利用者Uの右側の腰側部U31に装着される装着部21と、この装着部21の下端に設けられ、腰関節部6の腰軸61が通される貫通孔22aが設けられる接続部22とを備えている。

【0017】
装着部21は、図1等に示されるように、前方部分が後方部分よりも小さくなっているものの、利用者Uの右側面から平面視した際に、略ハート形状の輪郭を備えている。そして、装着部21の内側には、開口部21aが設けられている。つまり、装着部21は、全体的には、湾曲した枠状をなしている。装着部21は、開口部21aが設けられていることによって、軽量化や、装着部21(腰装着部2)の弾性力の向上等が図られている。

【0018】
接続部22は、装着部21の下端に設けられている部分であり、図1等に示されるように、利用者Uの右側面から平面視した際に、全体的には、略円形状をなしている。接続部22の貫通孔22aに通された腰軸61は、腰装着部2(接続部22)に対して固定されている。なお、腰装着部2における他の構成の詳細は、後述する。

【0019】
(大腿リンク部3)
大腿リンク部3は、図2に示されるように、主として、右脚U1の大腿U11の側方(外側)に配される部分であり、全体的には、細長く延びた柱状(長手状)をなしている。大腿リンク部3は、アルミニウム等の金属材料を所定形状に加工したものからなる。大腿リンク部3の一方の端部(以下、上端部)3aは、腰装着部2側に配されており、腰装着部2の接続部22と接続される部分となっている。また、大腿リンク部3の他方の端部(以下、下端部)3bは、下腿リンク部4側に配されており、下腿リンク部4と接続される部分となっている。各端部3a,3bは、平面視した際に、それらの間に配されている細長く延びた本体部3cよりも、外側に略円形状に張り出した形をなしている(図1等参照)。略円形状をなした上端部3aの略中心には、後述する腰軸61が通される貫通孔(軸孔)32が設けられている。また、略円形状をなした下端部3bの略中心には、後述する膝軸71が通される貫通孔(軸孔)76が設けられている。大腿リンク部3の長さ(長手方向における長さ)は、上端部3aに設けられている貫通孔32の中心を、利用者Uの腰側部U31に対して、大転子の位置よりも若干上方の位置(例えば、大転子から数センチ上方の位置。つまり、利用者Uの略股関節の位置)に宛がった際に、下端部3bに設けられている貫通孔76の中心が、利用者Uの膝関節の位置にくるように、設定される。なお、下端部3bの貫通孔76の中心位置は、利用者Uの膝関節部分の上端から下端までの範囲内(つまり、膝関節部分の範囲内)において、適宜、設定される。本実施形態の場合、大腿リンク部2の長さは、400mmに設定されている。なお、大腿リンク部3の本体部3cの右側面(つまり、外側の側面)には、長手方向に沿った溝が軽量化等の目的で形成されており、この溝を塞ぐ形で、合成樹脂製のカバー部材31が磁石等を利用して本体部3cに対して、取り外し可能な状態で取り付けられている(図2参照)。他の実施形態においては、前記溝が、大腿リンク部3の本体部3cの左側面(つまり、内側の側面)に形成されてもよい。

【0020】
(下腿リンク部4)
下腿リンク部4は、図2に示されるように、主として、右脚U1の下腿(脛)U12の側方(外側)に配される部分であり、全体的には、細長く延びた柱状(長手状)をなしている。下腿リンク部4も、大腿リンク部3と同様、アルミニウム等の金属材料を所定形状に加工したものからなる。なお、本実施形態の場合、下腿リンク部4の長さ(長手方向における長さ)は、大腿リンク部3の長さ(長手方向における長さ)よりも、短く設定されている。下腿リンク部4の長さは、下腿リンク部4に取り付けられる下腿装着部5(後述)が利用者Uの下腿U12に装着できるように、確保されている。本実施形態の場合、下腿リンク部4の長さは、270mmに設定されている。なお、他の実施形態における下腿リンク部4の長さは、これよりも短いものであってもよい。下腿リンク部4の一方の端部(以下、上端部)4aは、大腿リンク部3側に配されており、大腿リンク部3の下端部3bと接続される部分となっている。また、下腿リンク部4の他方の端部(以下、下端部)4bは、利用者Uの足首側に配される部分となっている。なお、図2に示されるように、片脚式歩行支援機1が装着された際、下腿リンク部4の下端部4bの位置は、利用者の足首よりも上方に配されている。上端部4aは、平面視した際に、長手状の本体部4cよりも、外側に略円形状に張り出した形をなしている。これに対して、下端部4bは、半円形状をなしている。また、図1及び図2に示されるように、下腿リンク部4は、大腿リンク部3よりも内側に配される部分となっている。なお、下腿リンク部4の本体部4cの右側面(外側の側面)には、長手方向に沿った溝が軽量化等の目的で形成されており、この溝を塞ぐ形で、合成樹脂製のカバー部材41が磁石等を利用して本体部4cに対して、取り外し可能な状態で取り付けられている(図2参照)。他の実施形態においては、前記溝が、下腿リンク部4の本体部4cの左側面(つまり、内側の側面)に形成されてもよい。

【0021】
(下腿装着部5)
下腿装着部(脛カフ)5は、図1及び図2に示されるように、利用者Uの右脚U1の下腿U12に装着される部分であり、全体的には、略U字状をなすと共に、下腿U12を前後方向から抱き込むような形状をなしている。下腿装着部5は、下腿リンク部4の動き(力)を、利用者Uの下腿U12に動き(力)を伝える(出力する)機能を備えている。下腿装着部5は、平面視した際に、数字の8の字を横倒ししたような形状であって、その前方部分が後方に向かって湾曲すると共に、その後方部分が前方に向かって湾曲した形状となっている。下腿装着部5には、軽量化や、弾性力の向上等の目的で、開口部5aが設けられている。なお、下腿装着部5は、上方から下方に向かって若干、先細り状(テーパー状)をなしている。下腿装着部5の前方部分の端部と、後方部分の端部との間には、上下方向に沿った隙間があり、この隙間から下腿U12が下腿装着部5に対して着脱される。下腿装着部5は、腰装着部2と同様、合成樹脂を所定形状に加工したものからなり、適度な強度と共に適度な弾性を備えている。そのため、下腿装着部5は、適度に若干、押し広げられた状態で下腿U12に密着させることができる。なお、下腿装着部5が下腿U12に対して大きすぎる場合や、下腿装着部5が押し広げられ過ぎる場合(柔らかすぎる場合)等では、下腿リンク部4の動きを、下腿装着部5を介して下腿U12に上手く伝えることができなくなってしまう。そのため、下腿装着部5の大きさ、強度、弾性等の諸条件は、利用者Uの下腿U12の大きさ、形状、位置等を考慮して、適宜、設定される。下腿装着部5は、下腿リンク部4の内側に、取り外し可能な状態でネジ状の固定部材51を利用して固定される。なお、本実施形態の場合、下腿装着部5は、下腿リンク部4に対して、2本のネジ状の固定部材51を利用して固定されている。固定部材51は、1本でも良いが、固定部材51が緩んで下腿装着部5の取付角度が変化してしまうこと等を確実に防止するために、2本以上利用することが好ましい。下腿リンク部4の本体部4cには、長手方向に沿って設けられる厚み方向に貫通した長穴42が設けられており、この長穴42に固定部材51が外側から内側に向かって通された状態で、下腿装着部5が固定部材51によって固定される。なお、長穴42内における固定部材51の位置を、上下方向に変更すれば、下腿装着部5の高さを適宜、調節することができる。また、固定部材51に対する取付角度を前後方向に変更すれば、下腿装着部5の前後方向の傾きを適宜、調節することもできる。下腿装着部5の高さ位置や、下腿装着部5の前後方向の傾き(取付角度)を調整する際は、固定部材51の強さ(締め付け強さ)を適宜、調節することによって、下腿装着部5を下腿リンク部4から取り外さずに行うことができる。下腿装着部5は、図1に示されるように、下腿装着部5の内側に下腿U12が通される方向L1が、下腿リンク部4の長手方向L2に対して後方に傾くように、下腿リンク部4に取り付けられている。前記L1と前記L2との間の角度θ0は、本実施形態の場合、略15°に設定されている。この傾斜角度θ0は、略15°に限定されるものではなく、他の実施形態においては、例えば、利用者Uの体型等に応じて、0<θ0≦30の範囲で適宜、設定することができる。

【0022】
(腰関節部6)
腰関節部6は、大腿リンク部3の上端部3aと、腰装着部2の接続部22とを、所定の角度範囲内において互いに回転(揺動)自在な状態で、接続する部分である。図4は、図3のA-A’線断面図である。図4には、図3に示される腰軸61の中心Oで交わる2つの線分からなるA-A’線によって切断された腰関節部6付近の断面構造が示されている。図4に示されるように、腰関節部6は、略円柱状をなした腰軸61を備えている。この腰軸61の一端は、腰装着部2の接続部22に設けられている貫通孔22aに挿し込まれた状態で固定されている。つまり、腰装着部2が回転移動すると、腰軸61も同時に回転移動する構成となっている。また、腰軸61は、大腿リンク部3の上端部3aに設けられている貫通孔(軸孔)32と、後述するトルク発生装置9が備えるハウジング96の貫通孔(軸孔)98に、それぞれ挿通されている。大腿リンク部3の上端部3aは、腰軸61を介して腰装着部2に接続されており、前後方向に回転(揺動)自在な状態となっている。

【0023】
腰装着部2における装着部21と接続部22との間には、後述するトルク発生装置9のトルクを調節する際に利用される調節部25が設けられている。調節部25は、腰装着部2の一部であり、腰装着部2に一体的に形成されている部分である。調節部25は、装着部2の外表面から外側に凸状に盛り上がった形をなしていると共に、円形状の接続部22の上端(輪郭)に沿った形で前後方向に亘って配される円弧状をなしている。この調節部25には、後述するように複数個の位置決め孔部26を設ける必要があるため、調節部25は、前後方向に亘って円弧状に長く延びた形をなしている。また、通常の使用角度範囲において、前後方向における調節部22の前端部又は後端部と、後述する調節固定部97との間で、利用者Uが指等を挟まないようにするために、調節部22は円弧状に前後方向に長く延びた形をなしている。なお、本実施形態の場合、大腿リンク部3は、上端部3aにある腰軸61を中心として、前方に回転移動させると、最終的には、調節部25の前端部分と接触して、大腿リンク部3の前方への動きが規制される。これに対して、大腿リンク部3を、腰軸61を中心として後方に回転移動させると、最終的には、調節部25の後端部分と接触して、大腿リンク部3の後方への動きが規制される。つまり、本実施形態の場合、大腿リンク部3は、最大、腰軸61を中心として、調節部25の前端部分と後端部分との間で、前後方向に回転(揺動)可能な状態となっている。だだし、大腿リンク部3は、片脚式歩行支援機1の通常使用時において、調節部25の前端部分や後端部分とは接触せず、腰軸61を中心とした調節部25の前端部分と後端部分との間の角度範囲よりも、狭い角度範囲で前後方向に往復移動する。

【0024】
(膝関節部7)
図5は、膝関節部7の断面図である。膝関節部7は、大腿リンク部3の下端部3bと、下腿リンク部4の上端部4aとを、所定の角度範囲内で互いに回転(揺動)自在な状態で、接続する部分である。膝関節部7は、略円柱状をなした膝軸71を備えている。この膝軸71は、大腿リンク部3の下端部3bに設けられている貫通孔(軸孔)76と、下腿リンク部4の上端部4aに設けられている貫通孔(軸孔)46にそれぞれ挿通されている。そして、膝軸71は、下腿リンク部4の上端部4aに対して、貫通孔46に通された状態で固定されている。大腿リンク部3と下腿リンク部4とは、膝軸71を介して互いに接続されている。また、大腿リンク部3と下腿リンク部4とは、共に膝軸71に対して回転(揺動)自在な状態で取り付けられている。なお、下腿リンク部4は、上端部4aにある膝軸71の中心Pを中心として、所定の角度範囲内において揺動自在な状態となっている。ここでいう所定の角度範囲とは、膝軸71の中心Pを中心とした大腿リンク部3と下腿リンク部4との間の角度θ2であり、本実施形態の場合、この角度θ2は、概ね0°~180°の範囲に設定されている。

【0025】
大腿リンク部3の下端部3bには、膝軸71の中心Pを中心とした円弧状の溝部72が形成されている。これに対して、下腿リンク部4の上端部4aには、溝部72に嵌合されると共に、円弧状の溝部72に沿って前後方向に移動可能な嵌合凸部73が設けられている。この嵌合凸部73は、下腿リンク部4が膝軸71を中心として前後方向に揺れ動くと、それに伴って溝部72内を前後方向に揺れ動くことになる。なお、円弧状の溝部72のうち、前側の端部には、ダンパー(規制部)74のロッド部74bの先端部分が配置されている。

【0026】
ダンパー74は、溝部72内を移動する嵌合凸部73の動き(運動エネルギー)を減衰させて、下腿リンク部4の前方への移動を規制するものである。ダンパー74は、円筒状のシリンダ部74cと、このシリンダ部74cの一端側に取り付けられ、シリンダ部74cの長手方向に沿って往復移動するロッド部74bと、シリンダ部74cの他端側に取り付けられ、ダンパー74の強さを調節する調節部74aとを備えている。ダンパー74は、前後方向においてロッド部74b側が、下がるように斜めに傾けられた状態で、大腿リンク部3に取り付けられている。大腿リンク部3には、後方から前方に向かって下るように傾斜した孔状のダンパー収容部75が設けられており、このダンパー収容部75内にダンパー7がねじ込まれる形で収容されている。ダンパー収容部75の前方部分は、上述した溝部72と繋がっている。ダンパー74が備えているロッド部74bの先端部分は、溝部72の前側の端部内に入り込んでいる。

【0027】
下腿リンク部4が、膝軸71を中心として前方へ回転移動(揺動)すると、下腿リンク部4の上端部分4aに設けられている嵌合凸部73は、円弧状の溝部72に沿って前方へ移動する。嵌合凸部73が前方へ移動し続けると、嵌合凸部73は、溝部72の前側の端部内に配されているロッド部74bの先端部分と接触する。嵌合凸部73がロッド部74bの先端部分を押圧すると、ロッド部74bが収縮しつつシリンダ部74b内に押し込まれることによって、嵌合凸部73の運動エネルギーが減衰される。

【0028】
なお、下腿リンク部4が、膝軸71を中心として最大限、前方へ回転移動すると、嵌合凸部73は、ダンパー74のロッド部74bをシリンダ部74b内へ押し込んで、大腿リンク部3と下腿リンク部4との間における後方側の角度θ2が、約180°となる。これに対して、下腿リンク部4が、膝軸71を中心として最大限、後方へ回転移動すると、嵌合凸部73は、溝部72の後側の端部と接触して、停止する。その際、前記角度θ2は、約30°となる。

【0029】
例えば、利用者Uが片脚式歩行支援機1を装着して水平な地面上で起立した場合、図1に示されるように、大腿リンク部3は、鉛直方向に沿って配され、そして下腿リンク部4は、自重によって鉛直方向に近付くように膝軸71を中心として前方へ回転移動する。すると、図1に示されるように、下腿リンク部4は、鉛直方向に対して、前傾した状態で静止される。その際、下腿リンク部4の上端部4aに設けられている嵌合凸部73が、溝部72内において、ダンパー74が備えているロッド部75bの先端部分と接触した状態で静止されている。そして、下腿リンク部4の長手方向L2に対して後傾した状態で取り付けられている下腿装着部5は、その前後方向が下腿U12に装着された状態で略水平となり、かつその上下方向(方向L1)が略鉛直方向に沿う形となる。このような状態で片脚式歩行支援機1を装着すると、右脚U1の膝関節が屈曲し易くなることが、本願発明者によって確かめられた。なお、屈曲し易くなる理由は、後述する。

【0030】
大腿リンク部3と下腿リンク部4との間における後方側の角度θ2は、180°以下の範囲内に設定されるものである。本実施形態の場合、前記角度θ2は、30°≦θ2≦180°の範囲に設定されている。特に、角度θ2は、30°≦θ2<150°の範囲内では、下腿リンク部4は、膝軸71を中心として回転自在な状態となっている。これに対して、角度θ2は、150°≦θ2≦180°の範囲内では、下腿リンク部4の回転移動が、ダンパー74によって減衰(減速)されるように設定されている。

【0031】
(大腿接触部8)
図6は、後方から見た状態の大腿接触部8の拡大図である。大腿接触部8は、図2及び図6に示されるように、利用者の右脚U1の大腿U11に宛がわれて、大腿U11を支える部分である。大腿接触部8の大きさは、腰装着部2や下腿装着部5よりも小さく、全体的には、前後方向に扁平状に広がった形をなすと共に、大腿U11の側面形状に沿って湾曲した形をなしている。また、大腿接触部8は、下腿装着部5等と同様、合成樹脂を所定形状に加工したものからなる。大腿接触部8は、大腿U11に宛がわれる湾曲した扁平状の接触部81と、この接触部81に立設されると共に、大腿リンク部3の本体部3cに固定される円柱状の固定部83とを備えている。なお、接触部81には、軽量化等の目的で、開口部82が設けられている。

【0032】
大腿接触部8は、接触部81が大腿U11に宛がわれる形で、大腿リンク部3と大腿U11との間に介在されるように、大腿リンク部3の本体部3cに固定部83を利用して固定されている。図1に示されるように、本体部3cには、孔(不図示)が設けられており、この孔にネジ状の固定部材84が挿通されると共に、固定部材84が大腿接触部8の固定部83に螺着されることによって、大腿接触部8が大腿リンク部3の所定個所に固定される。本実施形態の場合、大腿接触部8は、高さ方向(上下方向)において、大腿U11の中央部分よりも上側にある大腿U11の部分に宛がわれるように、大腿リンク部3の本体部3cに取り付けられている。また、大腿接触部8は、前後方向において、大腿U11の略中央部分に宛がわれるように、設定されている。大腿接触部8の接触部81の角度は、固定部83の固定角度を変更すれば、適宜、調節することができる。なお、他の実施形態においては、大腿接触部8が、大腿U11の中央部分よりも下側の部分に宛がわれるように、本体部3cに対する大腿接触部8の取付位置が設定されてよいし、或いは、大腿接触部8が、大腿U11のうち最も外側に張り出している部分に宛がわれるように、本体部3cに対する大腿接触部8の取付位置が設定されてもよい。大腿接触部8の本体部3cに対する取付位置は、大腿接触部8が大腿U11に対して少なくとも宛がわれるように設定されればよい。

【0033】
大腿接触部8が、片脚式歩行支援機1に設けられていると、片脚式歩行支援機1を装着した利用者Uは、起立時に、起立姿勢を保ち易くなる。腰装着部2、下腿装着部5及び大腿接触部8からなる3点の支持効果によって、利用者Uは、片脚式歩行支援機1を装着した右脚U1での片足立ち時のバランス(左右方向のバランス)を保ち易くなる。なお、このような右脚U1における左右方向のバランスの安定化は、片脚式歩行支援機1を装着して利用者Uが歩行する場合においても、右脚U1が支持脚(着地側の脚)となる時に得られていると考えられる。また、利用者Uは、歩行時に、下腿装着部5と共に大腿接触部8を介して片脚式歩行支援機1から右脚U1に力が伝わり易くなっている。

【0034】
(トルク発生装置9)
トルク発生装置9は、カム-バネ機構を利用して、腰軸61周りに、関節トルクを発生させる装置である。トルク発生装置9は、主として、圧縮バネ91と、圧縮バネ91の上端と当接し、前記上端の位置を決定する円柱状の決定部92と、圧縮バネ91の下端と当接し、圧縮バネ91の伸縮に応じて変位する変位部93と、この変位部93に接続されるカムフォロア(ローラフォロア)94と、圧縮バネ91が圧縮されるようにカムフォロア94が圧接されると共に、腰軸61からの距離が周方向に沿って変化する外周面95aを含み、大腿リンク部3の上端部3aに固定されるカム95と、決定部92、圧縮バネ91及び変位部93を収容すると共に、カムフォロア94の位置が外周面95aの周方向に沿って変更されるように、腰軸61に対して回転自在な状態で軸支されるハウジング96と、カムフォロア94の位置が外周面95aの周方向に対して調節された状態で、ハウジング96を腰装着部2に固定する調節固定部97とを備えている。

【0035】
圧縮バネ91は、所定のバネ係数を備えたコイル状のもの(圧縮コイルバネ)からなり、ハウジング96の筒状の部分(以下、筒部)96aに収容されている。筒部96aに収容されている圧縮バネ91の一端(上端)には、金属製の円柱状の決定部92が配されている。決定部92は、圧縮バネ91の上端と当接するように、筒部96a内に配されている。決定部92の外周面には、螺旋状のネジ外周面92aが形成されており、このネジ外周面92aが、筒部96aの内周面に形成されている螺旋状のネジ内周面96eと螺合することによって、決定部92が筒部96a内で固定される。なお、決定部92の上端部には、マイナス溝(不図示)が形成されており、この溝にマイナスドライバ等の工具が差し込まれて、決定部92が回転されると、決定部92が筒部96a内を上昇又は下降して、圧縮バネ91の上端位置(つまり、圧縮バネ91のバネ圧縮量)が調節される。なお、筒部96aの上端には、蓋部98が筒部96aに対して着脱可能な状態で取り付けられている。蓋部98は、筒部96aの上端側の開口部96bを塞ぐものであり、ネジ内周面96eと螺合可能なネジ面を外周面に備えている。決定部92の位置(つまり、圧縮バネ91の上端位置)を調節する際は、適宜、蓋部98が筒部96aから取り外され、調節後は、再度、筒部96aの開口部96bを塞ぐように取り付けられる。なお、片脚式歩行支援機1に利用されるトルク発生装置9では、比較的、頻繁に、発生トルクを調節する機会がある。例えば、利用者Uの体調(患脚の機能回復の程度や疲労度等)や、歩行する場所(平坦な地面や、傾斜のある地面等)に応じて、適宜、発生させるトルクを微調整する必要がある。そのため、本実施形態のように、圧縮バネ91の圧縮量を決める決定部92の位置を、上述したような構成で、適宜、調節する必要がある。

【0036】
変位部93は、筒部96aの下端側に配されおり、圧縮バネ91の他端(下端)と当接して、決定部92との間で圧縮バネ91を挟む構成となっている。また、変位部93は、筒部96a内を圧縮バネ91の伸縮方向(筒部96aの軸方向)に沿って変位する部分となっている。この変位部93には、カム95の外周面95aに圧接されるローラ部94aを備えたカムフォロア94が取り付けられている。ローラ部94aは、変位部93に固定されている軸部94bに対して、回転自在な状態で取り付けられている。ローラ部94aの位置が、カム95の外周面95aの形状によって押し上げられると、カムフォロア94と共に変位部93が上昇して、圧縮バネ91が圧縮される。これに対して、ローラ部94aの位置が、カム95の外周面95aの形状に応じて下降する際、カムフォロア94と共に変位部93が圧縮バネ91の伸長によって、押し下げられる。なお、筒部96の下端側の一部に、切り欠き部96cが設けられており、昇降するローラ部94a等のカムフォロア94が筒部96aに引っ掛からないように設定されている。

【0037】
また、筒部96aの下端部分は、腰軸61に対して回転自在な状態で軸支される軸支部96dであり、大腿リンク部3における上端部3aの外側(利用者U側の反対側)に配されている。また、腰軸61及び軸支部96dの外側には、これらを覆うカバー部96fが取り付けられている。カバー部96fは、筒部96aや軸支部96dとは、分離した別部材からなり、着脱可能な構成となっている。

【0038】
カム95は、合成樹脂を所定形状に加工したものからなり、大腿リンク部3の上端部3aに固定されている。上端部3aの外縁部分は、上述したように略円形状であり、その略円形状の外縁部分に沿う形で、カム95が固定されている。カム95は、図3に示されるように、略半円形状をなしているものの、概ね、腰軸61の中心Oから外周面95aまでの距離が、前方から後方にかけて漸次、大きくなるように予め設定されている。例えば、図3に示されるように、カム95の前側の半径r1と、それよりも後側の半径r2とを比べると、半径r2の方が大きくなっている。カム95の半径は、大きくなるしたがって、圧縮バネ91のバネ圧縮量が大きくなり、その結果、腰軸61周りに発生するトルクも大きくなる。カム95は、大腿リンク部3の上端部3aに固定されており、大腿リンク部3と共に、腰軸61を中心として前後方向に回転(揺動)可能な状態となっている。

【0039】
上述したハウジング96の筒部96aを、腰軸61の周りに沿って移動させると、軸支部96dが腰軸61を中心として回転し、カムフォロア94の位置が、カム95の外周面95aの周方向(前後方向)に沿って変更される。つまり、ハウジング96を、腰軸61を中心として回転させると、カムフォロア94のローラ部94aと、カム95の外周面95aとの相対的な位置関係が変更されることになる。したがって、ハウジング96の筒部96aは、カムフォロア94のローラ部94aの位置と、カム95の外周面95aとの相対的な位置関係を切り替える、操作部(レバー操作部)として機能する。

【0040】
なお、図3に示されるように、カム95の前端95b及び後端95cは、それぞれ凸状に隆起した形をなしている。つまり、カム95の外周面95aは、前端95bと後端95cとの間で挟まれた区間においては、上述したように、腰軸61の中心Oから外周面95aまでの距離が、前方から後方にかけて漸次、大きくなっている。ただし、前端95b及び後端95cは、それ以外の部分よりも、前記距離が大きく設定されており、カムフォロア94のローラ部94aが、前端95b及び後端95cを乗り越えないようにしている。

【0041】
カムフォロア94のローラ部94aと、腰装着部2における調節部25との相対的な位置関係は、腰装着部2に、ハウジング96の筒部96aを固定することによって決定される。腰装着部2には、上述したように、装着部21と接続部22との間において、外側に凸状に盛り上がった調節部25が設けられている。この調節部25は、前後方向に亘って配される円弧状をなしており、複数個の位置決め孔部26を備えている。各位置決め孔部26は、等間隔で円弧状に一列に並んだ状態で、調節部25に形成されている。これに対して、ハウジング96における筒部96aには、ネジ回し式の調節固定部97が取り付けられている。調節固定部97は、調節つまみ97aと、この調節つまみ97aに接続されると共に、調節つまみ97aを回すと長さが調節されて、相手側の位置決め孔部26に対して着脱されるネジ状の固定挿入棒97bとを備えている。調節固定部97の固定挿入棒97bが挿入されて固定される孔部26の位置を、変更することによって、カムフォロア94のローラ部94aと、腰装着部2における調節部25との相対的な位置関係を、適宜、調節することができる。

【0042】
本実施形態の場合、操作部(レバー操作部)としての筒部96aを、利用者Uの手前(後側)に引くに従って、カムフォロア94の位置(圧接位置)がカム95の後側の外周面95aとなる。つまり、筒部96aを手前側に引くに従って、発生トルクが大きくなる。トルク発生装置9によって発生したトルクは、大腿リンク部3を前方へ移動させるように大腿リンク部3に作用する。本実施形態の片脚式歩行支援機1は、トルク発生装置9を備えることによって、大腿リンク部3及び下腿リンク部4を前方へ振り出し易くなっており、そして、それと共に、利用者Uの膝関節が屈曲し易くなっている。その結果、利用者Uは、歩行時につまずき難くなる。

【0043】
本実施形態の片脚式歩行支援機1は、大腿リンク部3と下腿リンク部4とを有する2リンクシステムとなっている。片脚式歩行支援機1は、受動歩行を基礎としており、腰関節部6の腰軸61及び膝関節部7の膝軸71は、共に単軸(ピッチ軸)となっている。

【0044】
(使用方法)
ここで、片脚式歩行支援機1の使用方法を説明する。先ず、片脚式歩行支援機1の装着方法を説明する。片脚式歩行支援機1は、図2に示されるように、肩掛け用ベルト10と、腰用ベルト12とを備えている。肩掛け用ベルト10は、帯状(長尺状)をなしている。肩掛け用ベルト10の一方の端部11(11a)は、腰装着部2の前側に設けられている前側取付部24に取り付けられ、その他方の端部11(11b)は、腰装着部2の後側に設けられている後側取付部23に取り付けられている。肩掛け用ベルト10は、利用者Uの左側の肩と、右側の腰側部U31とを結ぶように利用者Uに装着される。各取付部23,24には、それぞれ貫通孔23a,24aが設けられており、これらの貫通孔23a,24aにそれぞれ金属製のリング23b,24bが取り付けられている。肩掛け用ベルト10の各端部11(11a,11b)は、各23b,24bに対して、着脱可能な状態で取り付けられている。これに対して、腰用ベルト12は、利用者Uの腰3の周りに巻かれるものであり、肩掛け用ベルト10よりは長さが短いものの、同様に帯状(長尺状)をなしている。腰用ベルト12の一方の端部13(13a)は、前側取付部24のリング24aに対して着脱可能な状態で取り付けられ、その他方の端部13(13b)は、後側取付部23のリング23aに対して着脱可能な状態で取り付けられている。各ベルト10,12の長さ等は、適宜、調節可能な構造となっている。

【0045】
利用者Uは、起立した状態で、片脚式歩行支援機1の腰装着部2を右側の腰側部U31に宛がうと共に、上述した肩掛け用ベルト10及び腰用ベルト12をそれぞれ装着する。すると、腰装着部2が利用者Uの腰側部U31に対して密着した状態で装着される。なお、腰装着部2を腰側部U31に装着する際、腰軸61の位置を、利用者Uにおける骨盤の大転子の位置よりも若干、上方にずらすことが好ましい。このように、腰軸61の位置を、大転子の位置よりも若干、上方にずらした状態で、利用者Uが片脚式歩行支援機1を装着すると、右脚U1に力が伝わり易くなり、右脚U1がより自然な形で振り出されることが本願発明者の研究によって確かめられている。

【0046】
次いで、利用者Uは、やや屈んだ状態で、下腿装着部5内に足首付近を挿し入れる。その後、利用者Uが、下腿装着部5に下腿U12を挿し入れた状態で上体を起こして起立すると、下腿装着部5が上方に移動し、下腿装着部5の内面が利用者Uの下腿U12の前後側と適合して、下腿装着部5が下腿U12に装着される。以上のようにして、片脚式歩行支援機1が利用者に装着される。なお、大腿接触部8は、腰装着部2と下腿装着部5の装着が完了すれば、自動的に、利用者Uの大腿U11の所定個所に宛がわれることになる。このように、片脚式歩行支援機1の装着は、非常に容易であり、数秒程度で装着を完了させることも可能である。

【0047】
(起立時)
利用者Uが、片脚式歩行支援機1を装着した状態で、水平な地面上で起立すると、図2に示されるように、大腿リンク部3は、鉛直方向に沿って略真っ直ぐに配される。これに対して、下腿リンク部4は、大腿リンク部3に近付くように、後方に、若干傾斜した状態となっている。そして、下腿リンク部4の長手方向に対して後傾した状態で取り付けられている下腿装着部5は、その前後方向が下腿U12に装着された状態で略水平となり、かつその上下方向が略鉛直方向に沿う形となる。本実施形態の片脚式歩行支援機1を装着すれば、腰装着部2、下腿装着部5及び大腿装着部8からなる3点の支持効果によって、利用者Uは、患脚である右脚U1での片足立ち時のバランス(左右方向のバランス)を保ち易くなり、安定した状態で起立することができる。本実施形態の片脚式歩行支援機1は、上述したように、大腿リンク部3の本体部3cに、大腿U11を外側から支える大腿接触部8が設けられている。この大腿接触部8を備えることによって、右脚U1の安定性が向上すると共に、上述した3点の支持効果が得られることになり、片脚式歩行支援機1を装着した右脚U1での片足立ち時のバランスを保ち易くし、安定した状態で起立することを可能としている。なお、大腿接触部8を大腿リンク部3から取り外した状態で、右脚U1のみで片脚立ちすると、利用者Uの姿勢が不安定となることが、本願発明者によって確かめられている。

【0048】
(歩行時)
次いで、片脚式歩行支援機1を装着した状態での利用者Uの歩行について、説明する。人(利用者U)の歩行では、一方の脚が地面に着地する支持脚として機能すると共に、他方の脚が地面から離れる遊脚として機能する動作が、右脚U1と左脚U2との間で交互に入れ替わって行われる。図7は、片脚式歩行支援機1を装着して利用者Uが歩行する様子を模式的に表した説明図である。図7には、左脚(健脚)U2が支持脚として地面Xに着地し、片脚式歩行支援機1を装着した右脚(患脚)U1が遊脚として地面Xから離れる状態が示されている。本実施形態の片脚式歩行支援機1は、受動歩行を基礎としており、利用者の左脚U2が、腰U3(骨盤)を介して右脚U1に装着されている片脚式歩行支援機1に対して連結されているとみなされる。つまり、腰装着部2は、左脚(健脚)U2の動き(力)を、大腿リンク部3や下腿リンク部4等に伝える機能を備えている。その結果、左脚(健脚)U2の動きによって、右脚U1に装着されている片脚式歩行支援機1が自然に、遊脚の動きと支持脚の動きとを交互に繰り返す脚運動を行う。つまり、利用者Uは、健脚である左脚U2の動きが右脚U1に装着されている片脚式歩行支援機1に伝えられることによって、右脚U1の歩行動作における脚運動が片脚式歩行支援機1によって支援(アシスト)される。

【0049】
また、本実施形態の片脚式歩行支援機1は、上述したようにカム-バネ機能に基づくトルク発生装置9を備えている。そのため、右脚U1の遊脚時に、右脚U1の振り出しが、トルク発生装置9が発生したトルクによってより強く促進される。

【0050】
なお、右脚U1の振り出しの初期には、膝関節が屈曲して地面Xとの接触を回避し、つまずかないようにする必要がある。下腿装着部5が下腿リンク部4の長手方向に対して後傾した状態で取り付けられていると、片脚式歩行支援機1の膝関節は右脚U1の膝関節よりも先行して屈曲することになる。その結果、片脚式歩行支援機1が右脚U1の脚運動をリードし得る状態となり、右脚U1に力(トルク)が効率的に伝えられて、右脚U1の膝関節が屈曲し易くなることが、本願発明者の研究によって確かめられている。このとき、利用者Uは、足が持ち上げられる(膝関節が大きく屈曲する)感覚を強く抱くことも確かめられている。なお、下腿装着部5が下腿リンク部4の長手方向に対して後方に傾けられる角度は、15°~30°が好ましい。

【0051】
また、本実施形態の片脚式歩行支援機1は、トルク発生装置9の使用トルク領域を変更することが可能である。図8は、トルク発生装置9のトルク特性を示す説明図である。図8に示されるグラフの横軸(カムフォロア角度θ1)は、腰軸61の中心Oを通る大腿リンク部4の長手方向に沿った直線と重なる(一致する)カム95の中心線と、カムフォロア94の中心と腰軸61の中心Oとを通る直線とがなす角θ1(°)を示す(図3参照)。また、前記グラフの縦軸は、腰軸61の周りに発生するトルク(Nm)を示す。

【0052】
例えば、歩行時において、上体(腰U3)が直立している状態では、腰U3に装着された腰装着部2も同じく略鉛直方向に直立する。この状態において、カムフォロア94が鉛直方向に対して後方に-20°の角度に配された状態で、大腿リンク部3が鉛直方向に対して後方の-20°(絶対角度)から前方の20°まで振り出されると、カムフォロア94は、-40°から0°までを動くことになり、θ1の当該角度区間のトルクが発生することになる。これに対して、カムフォロア94が-40°の角度まで更に後方に配された状態で、大腿リンク部3が同様に後方の-20°から前方の20°まで振り出されると、カムフォロア94は、-60°から-20°までを動くことになり、θ1の当該角度区間のトルクが発生し、前記発生トルクよりも高トルク域を使うことになる。このように、外周面95aに対するカムフォロア94の移動区間を変更することによって、トルク発生装置9の使用トルク領域を変更することができる。したがって、利用者Uは、使用状況等に応じて、カムフォロア94の移動区間を適宜、変更して、トルク発生装置9の使用トルク領域を適宜、調節することができる。

【0053】
また、トルク発生装置9は、上述したように、カムフォロア94とカム95の外周面95aとの相対的な位置関係を決定する(位置決めする)ために、ハウジング96(筒部96a)を腰装着部2に固定する調節固定部97を備えている。そのため、調節固定部97の固定位置を適宜、変更することによって、トルク発生装置9のトルク特性を容易に、異ならせることができる。

【0054】
また、本実施形態の片脚式歩行支援機1は、筒部96a内における決定部92の位置を、ドライバ等の工具を利用して、圧縮バネ91のバネ圧縮量を、適宜、変更することができる。つまり、決定部92の位置を変更することによって、容易に、圧縮バネ91のバネ圧縮量を調節することができ、ひいては、トルク発生装置9の発生トルクを調節することができる。

【0055】
また、本実施形態の片脚式歩行支援機1は、利用者Uに正しい歩行動作を教示する機能を備えている。本実施形態の片脚式歩行支援機1は、人の歩行動作に最も近いとされる受動歩行の原理を基礎としている。本実施形態の利用者Uのように、例えば、片脚(右脚U1)が患脚の場合、正しく歩行動作を行おうとしても、患脚である右脚U1が、遊脚時に、外側に広がるような円弧を描きながら後方から前方に向かって動いてしまうことが知られている。しかしながら、本実施形態の片脚式歩行支援機1を装着すれば、利用者Uの患脚(右脚U1)の動きは、片脚式歩行支援機1によって、患脚(右脚U1)が外側に広がることが防止されると共に、前後方向に正しく誘導される。

【0056】
また、本実施形態の片脚式歩行支援機1を使用する場合、利用者Uは、トルク発生装置9の筒部96a付近に右手を添えて歩行すると、利用者Uは、足が持ち上げられる(膝関節が大きく屈曲する)等の歩行動作の感覚を強く抱くことが、本願発明者の研究によって確かめられている。

【0057】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を、図9~図12を参照しつつ説明する。本実施形態では、実施形態1の片脚式歩行支援機1が備える下腿リンク部4に取り付けられて使用される円弧足部100を例示する。図9は、円弧足部100の右側面図であり、図10は、円弧足部100の正面図であり、図11は、円弧足部100の左側面図であり、図12は、円弧足部100の高さが調節される機構の説明図である。なお、本実施形態の円弧足部100は、右足用であり、利用者Uの右足(足首から下の部分)を載せて使用されるものである。

【0058】
円弧足部100は、下腿リンク部4の下端部4bに取り付けて使用されるものであり、主として、足本体部101と、この足本体部101の下端に設けられる円弧状接地部102と、足本体部101の内側に設けられると共に、利用者Uの足(右側の足)が載せられる足載部103と、足本体部101の上端に設けられる足接続部104とを備えている。円弧足部100は、アルミニウムやステンレス等の金属材料を所定形状に加工したものからなる。

【0059】
足本体部101は、全体的には、平坦な板状であり、右側面及び左側面から見た際、概ね人の足の側面形状を象ったような形をなしている。ただし、足本体部101の下端形状は、人の足の形とは異なっており、外側(下側)に膨らんだ円弧状をなしている。そして、この足本体部101の円弧状の下端に沿う形で、円弧状接地部102が設けられている。図10に示されるように、正面から見た円弧状接地部102の幅(厚み)は、足本体部101の幅(厚み)よりも大きく設定されており、円弧状接地部102は、足本体部101の下端から足本体部101の右側方に凸状に張り出した形をなしている。また、図9に示されるように、円弧状接地部102は、足本体部101の右側面における円弧状の下端に沿って、円弧状に前後方向に延びた形をなしている。図9に示されるように、円弧状接地部102の円弧状の下端面は、中心M、半径Rの円における円弧に倣った形状を備えている。図9において、下腿リンク部4の長手方向は、鉛直方向に沿って配されている。そして、足接続部104も鉛直方向に沿って配されている。本実施形態の場合、前記半径Rは80mmである。また、前記中心Mは、片脚式歩行支援機1の膝関節部7の中心(つまり、膝軸71の中心)から前方に70mm離れた位置に配されている。

【0060】
足載部103は、利用者Uの足(右足)が載せられる部分であり、上方から平面視した際、足本体部101の内側(左側)の板面から、左方向に向かって延びた概ね板状をなしている。本実施形態の足載部103は、その前後方向における長さ(幅)よりも、その左右方向における長さ(幅)の方が大きく設定されている。また、足載部103は、足本体部101の左側(内側)の板面に対して垂直に固定されている。なお、図11に示されるように、足載部103は、平坦な板状部材が途中で若干、折り曲げられたような形(所謂、くの字状)をなしている。足載部103は、前方部分103aと後方部分103bとが、互いに近付くように、若干、折り曲がった形をなしている。また、図10及び図11に示されるように、足載部103は、円弧足部100の下端に設けられている円弧状接地部102よりも、若干、上方に設けられている。そのため、円弧状接地部102が平坦な地面Xに接している(接地している)状態では、足載部103は、地面Xに対して接触せずに離された状態となる。なお、足載部103に利用者Uの足が載せられた状態で、円弧足部100が地面Xに対して接地している場合は、円弧状接地部102が地面Xに接地(接触)していることになる。一方、利用者Uの足は、足載部103に載せられているが、利用者Uの足裏の弾性等により、地面Xに接地(接触)することになる。

【0061】
足接続部104は、足本体部101の上端部後方において、概ね、上方に向かって長手状に延びた形をなしている。この足接続部104の上端部分104aは、下腿リンク部4の外側(右側面)に設けられている長手状の溝43内に、下腿リンク部4の下端(下端部4b)に設けられている挿入口44を介して挿入されている。下腿リンク部4の外側の側面には、下腿リンク部4の長手方向に沿って延びる凹部状の溝43が形成されている。この溝43は、下腿リンク部4の軽量化以外に、円弧足部100の足接続部104を下腿リンク部4に対して上下方向にスライド移動可能な状態で固定することを目的として、設けられている。

【0062】
下腿リンク部4の下端(下腿部4b)には、下腿リンク部4の長手方向に沿って貫通すると共に、溝43に接続する貫通孔からなる挿入口44が設けられている。この挿入口44の内側には、扁平な筒型のガイド部105が挿入されており、足接続部104の上端部分104aは、このガイド部105の内側にある貫通孔を通って、溝43内に挿入されている。ガイド部105は、合成樹脂製であり、一方の開口端105aが下腿リンク部4の下端(下端部4b)から外側(下方)にはみ出すと共に、他方の開口端105bが溝43内に収容される形で、下腿リンク部4に対して固定されている。

【0063】
足接続部104は、ガイド部105内の貫通孔に挿し通されると共に、その上端部分104aが溝43の長手方向に沿った状態で、下腿リンク部4に対して固定される。足接続部104の上端部分104aの内側には、厚み方向に貫通すると共に長手方向に細長く延びた長穴104bが設けられている。そして、この長穴104bに通されると共に上端縁に当接する形で、軸状(円柱状)の突起部106aが設けられている。この突起部106aは、後述する環状のゴム107の一端を引っ掛ける部分であり、扁平な板状の基部106b上に立設されている。この基部106bは、足接続部104の上端部分104aと、溝43の底側を構成する下腿リンク部4の本体部4cとの間で、移動可能な状態で挟まれている。基部106bに固定された突起部106aは、ゴム107に引っ掛けられた状態で上方に引っ張られると共に、足接続部104の上端部分104aに設けられた長穴104bの上端縁に引っ掛けられた状態で、下方に引っ張られることになる。

【0064】
下腿リンク部4の長手方向に沿って延びた溝43の上端側には、溝43の底側を構成する本体部4cに固定される形で、凸状の突起部45が設けられている。この突起部45には、環状のゴム107の一端が引っ掛けられる。このゴム107は、足接続部104の上下方向の位置を調節するために利用されるものであり、突起部45と共に、上述した突起部106aに引っ掛けられる。図12に示されるように、ゴム107は、その内側に、各突起部45,106aが挿入された状態で、上下方向(溝43の長手方向)に沿って伸びている。なお、上述した突起部45の先端面には、磁石が取り付けられており、カバー部材41の取り付けにも利用されている。

【0065】
このような構成を備えた円弧足部100は、ゴム107の弾性力によって、足載部103を利用者Uの足裏にぴったりと密着させることができる。利用者Uが足を、足載部103上に載せる前の状態では、円弧足部100は、ゴム107の弾性力によって上方(下腿リンク部4側)に若干、引き上げられた状態となっている。このような状態で足載部103に利用者Uが足を載せると、足の踏み込み力でゴム107が引っ張られて伸びつつ、ゴム107の弾性力によって足載部103が利用者Uの足裏に密着した状態で、円弧足部100が下方(図12の矢印の向き)へ移動することになる。つまり、本実施形態の円弧足部100は、単に、円弧足部100の取付位置(高さ)を調節することができるものではなく、取付位置(高さ)が変更されても、常に足載部103を利用者Uの足裏に密着させることができるものである。

【0066】
本実施形態の円弧足部100が取り付けられた片脚式歩行支援機1を装着して、利用者Uが歩行すると、以下の効果(a)、(b)が得られる。(a)円弧足部100が片脚式歩行支援機1に取り付けられると、下腿リンク部4の下端部4bよりも遠方(外側)部分の質量が大きくなるため、片脚式歩行支援機1を装着した右脚が遊脚時の際、遊脚膝がより屈曲し易くなる。(b)また、片脚式歩行支援機1を装着した右脚が支持脚時の際、円弧足部100の効果(円弧状接地部102の効果)によって、膝折れが生じ難くなる。

【0067】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。

【0068】
(1)上記実施形態1では、右脚に装着する方式の支援機を例示したが、他の実施形態においては、反対に、左脚に装着するものであってもよい。

【0069】
(2)上記実施形態1では、操作部としてのハウジングの筒部を手前側に引くことによって、トルク発生装置が発生するトルクが大きくなるように構成されていたが、他の実施形態においては、反対に、前記筒部を前方に倒すことによって、トルク発生装置が発生するトルクが大きくなるように、カムの外周面形状(輪郭)等を適宜、設定してもよい。

【0070】
(3)上記実施形態1では、大腿接触部8は、固定部83を利用して大腿リンク部3の本体部3cに固定されていた。他の実施形態においては、例えば、下腿装着部5を下腿リンク部4の本体部4cに長穴42を利用して取り付ける構造のように、大腿リンク部3cの本体部3cに、その長手方向に沿った所定の溝(長穴)を形成し、この溝と共にネジ状の固定部材を利用して、大腿接触部8の取付角度や、大腿接触部8の上下方向における高さ位置を調節できるようにしてもよい。

【0071】
(4)上記実施形態1では、トルク発生装置9が備えている筒部96a内の決定部92の位置を、マイナスドライバ等の工具が利用されていた。他の実施形態においては、このような工具に代えて、決定部92の位置を調節する着脱可能な専用の調節装置を利用してもよい。この調節装置としては、例えば、筒部96aの直径よりも大きな直径を備えた円柱状の本体部と、この本体部の中心に立設されると共に、先端が前記マイナス溝に挿入される2本の棒状の挿入部(例えば、金属製の棒状物)とを備えるものが利用される。このような調節装置を利用すれば、挿入部の先端を前記マイナス溝に挿入した状態で前記本体部を回転させると、筒部96aの内側に螺着されている決定部92の位置が、容易に調節される。前記調節装置は、決定部92の位置を調節後、前記筒部96aの先端部分に載せられた状態で、前記筒部96aに適当な嵌め合い硬さにより固定される。なお、前記挿入部が設けられている側の前記本体部の面には、前記筒部96aの先端部分が入り込むことが可能な環状の溝が設けられている。そのため、筒部96a内における決定部92の位置が下方に設定された場合、前記本体部の位置も下方に移動して、前記筒部96aの端部(開口端部)が前記環状の溝に入ることになり、前記本体部と前記筒部の端部(開口端部)との干渉が回避される。

【0072】
(5)上記実施形態2において、利用者Uの踝が足本体部101と干渉する場合には、足本体部101に、前記踝を逃がすための貫通孔や窪み部等を適宜、設けてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…片脚式歩行支援機、2…腰装着部、21…装着部、22…接続部、23…後側取付部、24…前側取付部、25…調節部、26…位置決め孔部、3…大腿リンク部、3a…上端部、3b…下端部、4…下腿リンク部、4a…上端部、4b…下端部、5…下腿装着部、6…腰関節部、61…腰軸、7…膝関節部、71…膝軸、74…ダンパー(規制部)、8…大腿接触部、9…トルク発生装置、U…利用者(装着者)、U1…右脚(患脚)、U11…大腿、U12…下腿、U2…左脚(健脚)、U3…腰、U31…右側の腰側部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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