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明細書 :粒子状物質燃焼装置及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5572156号 (P5572156)
登録日 平成26年7月4日(2014.7.4)
発行日 平成26年8月13日(2014.8.13)
発明の名称または考案の名称 粒子状物質燃焼装置及び方法
国際特許分類 F01N   3/023       (2006.01)
F01N   3/027       (2006.01)
F01N   3/01        (2006.01)
F01N   3/02        (2006.01)
F01N   3/24        (2006.01)
FI F01N 3/02 321E
F01N 3/02 301F
F01N 3/24 ZABL
請求項の数または発明の数 4
全頁数 20
出願番号 特願2011-514386 (P2011-514386)
出願日 平成22年5月11日(2010.5.11)
国際出願番号 PCT/JP2010/057967
国際公開番号 WO2010/134448
国際公開日 平成22年11月25日(2010.11.25)
優先権出願番号 2009120554
優先日 平成21年5月19日(2009.5.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年4月4日(2013.4.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】長澤 武
個別代理人の代理人 【識別番号】100117226、【弁理士】、【氏名又は名称】吉村 俊一
審査官 【審査官】中村 一雄
参考文献・文献 特開2003-172123(JP,A)
特開2007-21380(JP,A)
特表2004-514820(JP,A)
特開2005-106022(JP,A)
米国特許出願公開第2001/0042372(US,A1)
調査した分野 F01N 3/023
F01N 3/01
F01N 3/02
F01N 3/027
F01N 3/24
特許請求の範囲 【請求項1】
内燃機関の排気口に連結して該排気口から排出された粒子状物質含有ガスを導入する導入部と、
前記導入部の下流側に設けられ、前記粒子状物質含有ガスを接触させて該粒子状物質の全部又は一部に負電荷を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置の下流側に連設された絶縁管内に設けられ、全部又は一部が負電荷を帯電した前記粒子状物質を、正電極と負電極との間に生じさせた無声放電領域に導入して燃焼させる放電装置と、
前記放電装置の下流側の前記絶縁管に連設され、燃焼後の気体を排出する排出部と、
前記帯電装置と前記放電装置に電場を印加する電源装置と、を有し、
前記放電装置が、前記流路に直交するように設けられた平面状金属繊維メッシュの負電極と、該平面状金属繊維メッシュの負電極の上流側に所定の間隔を空けて対向して設けられた正電極とを有し、該間隔が無声放電領域を形成することを特徴とする粒子状物質燃焼装置。
【請求項2】
内燃機関の排気口に連結して該排気口から排出された粒子状物質含有ガスを導入する導入部と、
前記導入部の下流側に設けられ、前記粒子状物質含有ガスを接触させて該粒子状物質の全部又は一部に負電荷を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置の下流側に連設された絶縁管内に設けられ、全部又は一部が負電荷を帯電した前記粒子状物質を、正電極と負電極との間に生じさせた無声放電領域に導入して燃焼させる放電装置と、
前記放電装置の下流側の前記絶縁管に連設され、燃焼後の気体を排出する排出部と、
前記帯電装置と前記放電装置に電場を印加する電源装置と、を有し、
前記導入部が、前記粒子状物質含有ガスの流れをスパイラル流に変えるガス流変換部材を有し、
前記帯電装置が、前記スパイラル流が流れる管内周に沿って設けられたリング状の正電極を有し、
前記放電装置が、前記絶縁管の内壁に設けられた筒状の負電極と、該負電極の内側に設けられた筒状の誘電体と、該誘電体の内側に所定の間隔を空けて設けられた筒メッシュ状の正電極とを有する、粒子状物質燃焼装置。
【請求項3】
内燃機関の排気口に連結して該排気口から排出された粒子状物質含有ガスを導入する導入部と、
前記導入部の下流側に設けられ、前記粒子状物質含有ガスを接触させて該粒子状物質の全部又は一部に負電荷を帯電させる帯電装置と、
前記帯電装置の下流側に連設された絶縁管内に設けられ、全部又は一部が負電荷を帯電した前記粒子状物質を、正電極と負電極との間に生じさせた無声放電領域に導入して燃焼させる放電装置と、
前記放電装置の下流側の前記絶縁管に連設され、燃焼後の気体を排出する排出部と、
前記帯電装置と前記放電装置に電場を印加する電源装置と、を有し、
前記帯電装置が、前記粒子状物質含有ガスの流路に直交するように設けられた平面メッシュ状の正電極を有し、
前記放電装置が、前記絶縁管の内壁側に該内壁と所定の間隔を空けて設けられた筒状の負電極と、該負電極の内側に設けられた筒状の誘電体と、該誘電体の内側に所定の間隔を空けて設けられた筒メッシュ状の正電極とを有し、且つ、前記平面メッシュ状の正電極で帯電した粒子状物質を前記筒状の誘電体と前記筒メッシュ状の正電極との間の無声放電領域に導くガス流変換部材を有する、粒子状物質燃焼装置。
【請求項4】
請求項1に記載の粒子状物質燃焼装置において、
前記平面状金属繊維メッシュの負電極におけるメッシュの開口が、前記粒子状物質のサイズより小さい、粒子状物質燃焼装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される粒子状物質を効率的に燃焼するための粒子状物質燃焼装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される排気ガス中の粒子状物質(PM:particulate matter)を除去する技術が種々研究されている。例えば特許文献1には、セラミックスのハニカムフィルタで粒子状物質を捕獲し、捕獲した粒子状物質が予め設定した許容値を超えたときに昇温して燃焼除去する技術が提案されている。また、特許文献2では、特許文献1で用いたセラミックスのハニカムフィルタが高価で破損し易く取り扱いが難しいという難点を解決するとともに、粒子状物質の燃焼除去に要する消費電力を低減するため、セラミックス繊維製の通気性フィルタと断熱材との間に燃焼用ヒータを配置し、粒子状物質含有ガスの流入を抑制したタイミングでヒータ加熱を行って燃焼する技術が提案されている。
【0003】
上記特許文献1,2の技術は、耐熱性フィルタで粒子状物質を捕獲し、任意のタイミングで捕獲した粒子状物質を加熱燃焼させて除去する技術であるため、急激な温度変化と局部加熱等によるフィルタ寿命の低下が懸念されている。こうした問題に対し、特許文献3では、粒子状物質を捕獲するフィルタに対して急激な温度変化や局部加熱を起こさせないで加熱分解する手段と、燃え残りの粒子状物質をオゾンガスで酸化する酸化手段とを併用する技術が提案されている。
【0004】
また、特許文献4では、ガス流路中に酸化マンガン担持基材を配置して吸着した粒子状物質を酸化分解するとともに、さらにOHラジカル、酸素原子、酸素イオン、オゾンガス等の活性種を共存させて粒子状物質の酸化分解を促進させる技術が提案されている。この技術では、プラズマ放電装置での放電時に発生した電子によって粒子状物質が帯電して酸化マンガン担持基板への付着が促進され、酸化マンガンの触媒作用による粒子状物質の酸化分解を効果的に行うことができ、さらに、プラズマ放電装置で発生させたOHラジカルやオゾンそれ自体が粒子状物質を酸化分解するので、粒子状物質の酸化除去を促進できるとされている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2005-337153号公報
【特許文献2】特開2008-64015号公報
【特許文献3】特開2007-187136号公報
【特許文献4】特開2009-50840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献3の技術は、粒子状物質を捕獲して加熱分解するフィルタと、オゾンガス等の酸化分解ガスの発生手段とを備えるものであり、特許文献4の技術は、吸着した粒子状物質を加熱して酸化分解する触媒基材と、オゾンガス等の酸化分解ガスの発生手段とを備えるものであり、いずれもヒータ等の加熱装置と酸化分解ガス発生装置とを必要とする。そのため、装置構成が複雑で大型化・高重量化し、省エネルギーの観点から車両等への搭載が問題になる。また、フィルタは目詰まりと加熱劣化等の問題があり、酸化触媒も触媒寿命や加熱劣化等の問題がある。
【0007】
また、従来技術は、いずれもヒータ等で加熱分解する技術を含むものであるが、ヒータ加熱では高い燃焼効率が得られず、それ故、燃焼のタイミングを制御したり、ガスの流入を制御したり、オゾン発生装置等で燃焼を補完したりしているのである。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、内燃機関から排出される粒子状物質を効率的に燃焼することができ、装置構成が簡単で大型化及び高重量化とならない粒子状物質燃焼装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、粒子状物質を無声放電で燃焼させる際に、無声放電による燃焼を効率的に行うために、粒子状物質が放電エネルギーを受け取る時間を長くするための手段を開発したことにより、効率的な燃焼を実現でき、装置構成が簡単で大型化及び高重量化とならない装置構成を見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、上記課題を解決するための本発明に係る粒子状物質燃焼装置は、内燃機関の排気口に連結して該排気口から排出された粒子状物質含有ガスを導入する導入部と、前記導入部の下流側に設けられ、前記粒子状物質含有ガスを接触させて該粒子状物質の全部又は一部に負電荷を帯電させる帯電装置と、前記帯電装置の下流側に連設された絶縁管内に設けられ、全部又は一部が負電荷を帯電した前記粒子状物質を、正電極と負電極との間に生じさせた無声放電領域に導入し且つ保持時間を増して燃焼させる放電装置と、前記放電装置の下流側の前記絶縁管に連設され、燃焼後の気体を排出する排出部と、前記帯電装置と前記放電装置に電場を印加する電源装置と、を有することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、内燃機関から排出された粒子状物質含有ガスが含む粒子状物質の全部又は一部に帯電装置で負電荷を帯電させ、負電荷を帯電した粒子状物質を下流側の無声放電領域に導入して構成電極に電気的に吸引又は反発させて減速し、その粒子状物質の無声放電領域内での保持時間を増した状態で燃焼させるので、無声放電領域での燃焼効率を高めることができる。その結果、効率的な燃焼を実現でき、しかも簡単な装置構成により装置の小型化と低重量化を実現できる。
【0012】
本発明に係る粒子状物質燃焼装置は、上記技術的特徴を共有する以下の3つの形態をとる。
【0013】
第1形態の粒子状物質燃焼装置は、前記導入部が、前記粒子状物質含有ガスの流れをスパイラル流に変えるガス流変換部材を有し、前記帯電装置が、前記スパイラル流が流れる管内周に沿って設けられたリング状の正電極を有し、前記放電装置が、前記絶縁管の内壁に設けられた筒状の負電極と、該負電極の内側に設けられた筒状の誘電体と、該誘電体の内側に所定の間隔を空けて設けられた筒メッシュ状の正電極とを有する、ように構成する。
【0014】
この第1形態の発明では、ガス流変換部材でスパイラル流に変換されたガス流中の粒子状物質は、リング状の正電極の周りに集まった負の空気電荷(負電荷)を付着する。負の空気電荷を付着した粒子状物質は、スパイラル状のガス流に乗って管内壁面近傍を流れる間に、筒メッシュ状の正電極に静電力で引かれて無声放電領域に入り込む。無声放電領域に入り込んだ粒子状物質の流れは、管の長手方向に延びる無声放電領域のクーロン力で減速する。その結果、多くの放電エネルギーを得て効率的に燃焼することができる。
【0015】
第2形態の粒子状物質燃焼装置は、前記帯電装置が、前記粒子状物質含有ガスの流路に直交するように設けられた平面メッシュ状の正電極を有し、前記放電装置が、前記絶縁管の内壁側に該内壁と所定の間隔を空けて設けられた筒状の負電極と、該負電極の内側に設けられた筒状の誘電体と、該誘電体の内側に所定の間隔を空けて設けられた筒メッシュ状の正電極とを有し、且つ、前記平面メッシュ状の正電極で帯電した粒子状物質を前記筒状の誘電体と前記筒メッシュ状の正電極との間の無声放電領域に導くガス流変換部材を有する、ように構成する。
【0016】
この第2形態の発明では、ガス流中の粒子状物質は、平面メッシュ状の正電極の周りに集まった負の空気電荷を付着する。負の空気電荷を付着した粒子状物質は、ガス流変換部材により管の長手方向に延びる無声放電領域に導かれ、無声放電領域のクーロン力で減速する。その結果、多くの放電エネルギーを得て効率的に燃焼することができる。
【0017】
第3形態の粒子状物質燃焼装置は、前記帯電装置が、前記粒子状物質含有ガスの流路に直交するように設けられた平面メッシュ状の正電極を有し、前記放電装置が、前記流路に直交するように設けられた平面メッシュ状の負電極と、該平面メッシュ状の負電極の上流側に所定の間隔を空けて対向して設けられた正電極とを有し、該間隔が無声放電領域を形成する、ように構成する。
【0018】
この第3形態の発明では、ガス流中の粒子状物質は、平面メッシュ状の正電極の周りに集まった負の空気電荷を付着する。負の空気電荷を付着した粒子状物質は、正電極を通過して無声放電領域に導入するが、平面メッシュ状の負電極により電気的に反発して減速する。その結果、多くの放電エネルギーを得て効率的に燃焼することができる。
【0019】
上記課題を解決するための本発明に係る粒子状物質燃焼方法は、内燃機関から排出された粒子状物質含有ガスが含む粒子状物質の全部又は一部に負電荷を帯電させ、負電荷を帯電した粒子状物質を電気的に吸引又は反発させて減速し、前記粒子状物質を無声放電領域に保持する時間を増し、該無声放電領域での放電エネルギーの印加時間を延ばすことを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、粒子状物質を、無声放電領域内での保持時間を増した状態で燃焼させるので、無声放電領域での燃焼効率を高めることができる。その結果、効率的な燃焼を実現できる。
【0021】
第1形態の粒子状物質燃焼方法は、前記負電荷に帯電した粒子状物質が、下流側に設けられたメッシュ状の正電極に静電的に吸引されることにより、前記無声放電領域での保持時間が増すことに特徴を有する。
【0022】
第2形態の粒子状物質燃焼方法は、前記負電荷に帯電した粒子状物質が、下流側に設けられて該粒子状物質を捕獲できるメッシュ状の正電極に吸引し且つ該正電極上に堆積することにより、前記無声放電領域での保持時間が増すことに特徴を有する。
【0023】
第3形態の粒子状物質燃焼方法は、前記負電荷に帯電した粒子状物質が、下流側に設けられたメッシュ状の負電極に静電的に反発し且つ該負電極上に堆積することにより、前記無声放電領域での保持時間が増すことに特徴を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る粒子状物質燃焼装置及び方法によれば、内燃機関から排出された粒子状物質含有ガスが含む粒子状物質の全部又は一部に帯電装置で負電荷を帯電させ、負電荷を帯電した粒子状物質を無声放電領域に導入して構成電極に電気的に吸引又は反発させて減速し、その粒子状物質の無声放電領域内での保持時間を増した状態で燃焼させるので、無声放電領域での燃焼効率を高めることができる。その結果、効率的な燃焼を実現でき、しかも簡単な装置構成により装置の小型化と低重量化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る粒子状物質燃焼装置の配置図である。
【図2】本発明に係る粒子状物質燃焼装置の第1実施形態を示す模式的な構成図である。
【図3】ガス流変換部材の一例を示す模式的な構成図である。
【図4】ガス流変換部材の他の一例を示す模式的な構成図である。
【図5】リング状の正電極の一例を示す構成図である。
【図6】放電装置の一例を示す模式的な構成図である。
【図7】本発明に係る粒子状物質燃焼装置の第2実施形態を示す模式的な構成図である。
【図8】本発明に係る粒子状物質燃焼装置の第3実施形態を示す模式的な構成図である。
【図9】導入部側から見た放電装置の一例を示す模式的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は、その技術的思想を含む範囲を包含し、以下に示す説明及び図面等に限定されない。

【0027】
本発明の粒子状物質燃焼装置及び方法は、粒子状物質を無声放電で燃焼させる際に、無声放電での燃焼を効率的に行うために、放電エネルギーを受け取る時間を長くするための手段を採用してなるものである。なお、「無声放電」とは、一定の間隔をおいた平板の片方又は両方の電極を絶縁体(誘電体)で覆い、交流電圧をかけた場合に起こる放電のことであり、誘電体バリア放電ともいう。電極が絶縁体で覆われているために電極に電荷が流れ込むことができず、大きな電流が流れない。そのため、火花放電やコロナ放電のように放電時に音がせず、そのため無声放電と呼ばれる。

【0028】
その基本的な構成は、内燃機関から排出された粒子状物質含有ガスが含む粒子状物質の全部又は一部に負電荷を帯電させる手段と、負電荷を帯電した粒子状物質を電気的に吸引又は反発させて減速し、その粒子状物質を無声放電領域に保持する時間を増す手段とを有している。こうした手段により、粒子状物質に対し、無声放電領域での放電エネルギーの印加時間を延ばすことができるので、粒子状物質を、無声放電領域内での保持時間を増した状態で燃焼させることができる。その結果、無声放電領域での燃焼効率を高めることができ、効率的な燃焼を実現できるのである。

【0029】
本発明に係る粒子状物質燃焼装置10は、図1に示すように、内燃機関(エンジン)1の排気口2に連結するマフラー3(例えばSUS製)の途中に設けられるものであって、通常、図1及び図2等に示すような導入部8と排出部9とを有しており、その導入部8が内燃機関1の排気口2に連結し、排出部9がマフラー3に連結して設けられる。粒子状物質燃焼装置10は、エンジン1からの余熱も有効に利用したいので、図1に示すように、エンジン1の近傍に接続されていることが好ましい。なお、図1中の符号4は、無声放電を行う放電装置に電圧を印加するための電源装置である。

【0030】
具体的な装置構成としては、図2、図7及び図8に示すように、内燃機関1の排気口2に連結してその排気口2から排出された粒子状物質含有ガス5を導入する導入部8と、導入部8の下流側に設けられ、その粒子状物質含有ガス5を接触させてその粒子状物質含有ガス5に含まれる粒子状物質6の全部又は一部に負電荷を帯電させる帯電装置(11,21,31)と、帯電装置(11,21,31)の下流側に連設された絶縁管100内に設けられ、全部又は一部が負電荷を帯電した粒子状物質6’を、正電極と負電極との間に生じさせた無声放電領域(A1,A2,A3)に導入して保持時間を増して燃焼させる放電装置(15,25,35)と、放電装置(15,25,35)の下流側の絶縁管100に連設され、燃焼後のガス7を排出する排出部9と、帯電装置(11,21,31)と放電装置(15,25,35)に電場を印加する電源装置4と、を有している。

【0031】
本発明は、負電荷を帯電した粒子状物質6’を電気的に吸引又は反発させて減速する態様として第1~第3の3つの形態に大別できる。

【0032】
第1形態の粒子状物質燃焼装置及び方法は、図2に示すように、負電荷に帯電した粒子状物質6’が、下流側に設けられた筒メッシュ状の正電極133に静電的に吸引されて滞留することにより、その無声放電領域A1での保持時間が増すように構成したものである。

【0033】
第2形態の粒子状物質燃焼装置及び方法は、図7に示すように、負電荷に帯電した粒子状物質6’が、下流側に設けられて該粒子状物質6’を捕獲できる筒メッシュ状の正電極233に吸引し且つ該正電極233上に堆積することにより、その無声放電領域A2での保持時間が増すように構成したものである。

【0034】
第3形態の粒子状物質燃焼装置及び方法は、図8に示すように、負電荷に帯電した粒子状物質6’が、下流側に設けられた平面メッシュ状の負電極331に静電的に反発し且つ該負電極331上に堆積することにより、その無声放電領域A3での保持時間が増すように構成したものである。

【0035】
こうした本発明の粒子状物質燃焼装置及び方法によれば、内燃機関1から排出された粒子状物質含有ガス5が含む粒子状物質6の全部又は一部に帯電装置(11,21,31)で負電荷を帯電させ、負電荷を帯電した粒子状物質6’を無声放電領域(A1,A2,A3)に導入して構成電極(13,23,33又は14,24,34)に電気的に吸引又は反発させて減速させる。その結果、その粒子状物質6’の無声放電領域(A1,A2,A3)内での保持時間が増し、その状態で燃焼させることができる。こうした本発明によれば、無声放電領域(A1,A2,A3)での燃焼効率を高めて効率的な燃焼を実現でき、しかも簡単な装置構成により装置の小型化と低重量化を実現できる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明に係る粒子状物質燃焼装置の代表的な3つの実施形態について、図面を参照しつつ詳しく説明する。
【実施例】
【0037】
[第1実施形態]
第1実施形態の粒子状物質燃焼装置10Aは、図2に示すように、負電荷122に帯電した粒子状物質6’が、下流側に設けられた筒メッシュ状の正電極133に静電的に吸引されて滞留することにより、その無声放電領域A1での保持時間が増すように構成している。具体的には、図2に示すように、導入部8と、帯電装置11と、放電装置15と、排出部9と、電源装置4とを有している。
【実施例】
【0038】
粒子状物質燃焼装置10Aは、図2に示すように、導入部8と帯電装置11と放電装置15と排出部9とが絶縁管100内に、下流側に向かってその順で構成されていることが好ましいが、各部を別個の部材として下流側に向かってその順で連結したものであってもよい。粒子状物質燃焼装置10Aは、断熱性と電気絶縁性を有するセラミックス製の絶縁管100を基体として構成されていることが望ましい。なお、本願において、上流側とは内燃機関側又は導入部側のことであり、下流側とはマフラー側又は排出部側のことである。以下、各構成について説明する。
【実施例】
【0039】
(導入部)
導入部8は、図1及び図2に示すように、内燃機関1の排気口2に連結してその排気口2から排出された粒子状物質含有ガス5を粒子状物質燃焼装置10A内に導入するものである。この導入部8は、放電装置15及び帯電装置11を含む絶縁管100(例えばセラミックス管)と一体であることが好ましいが、別部材からなる導入管で導入部8を構成し、絶縁管100に連結したものであってもよい。なお、導入される粒子状物質含有ガス5は、処理対象である粒子状物質6を含んでいる。
【実施例】
【0040】
この導入部8は、図3及び図4で例示するように、粒子状物質含有ガス5の流れをスパイラル流107に変えるガス流変換部材101を有している。
【実施例】
【0041】
図3は、ガス流変換部材の一例を示す模式的な構成図である。図3(A)は全体構成図であり、図3(B)は上流側から見た図であり、図3(C)は下流側から見た図である。図3に示すガス流変換部材101Aは、複数の捻れた流路104にガス流を通過させることによってスパイラル流107を生じさせるガス流変換部材であり、複数の流入口102と同数の流出口103とを有している。流入口102から入った粒子状物質含有ガス5は、流路104を通過して流出口103から出る際に、スパイラル流107に変換される。流入口102と流出口103の数は特に限定されないが、2つ以上で、3つ又は4つが好ましい。流路104は、流出口103に向かって右回り又は左回りに捻れるようになっており、さらに流出口103が絶縁管100の内壁面に向かうように所定の角度θ(例えば15°~45°)で流路104が設けられている。
【実施例】
【0042】
図3の例では、粒子状物質含有ガス5は4つの流入口102で4つのガス流に分けられ、流路104を通過して流出口103からスパイラル流107となって流出する。流入口102と流出口103はそれぞれ等間隔で配置されている。なお、この部材の材質は、耐熱性と耐食性を有するものが好ましい。こうした原理を有するガス流変換部材101Aであれば、図3に示す例に限定されない。
【実施例】
【0043】
図4は、ガス流変換部材の他の一例を示す模式的な構成図である。図4に示すガス流変換部材101Bは、プロペラ軸105に取り付けられた羽根106の回転によってスパイラル流107を生じさせるガス流変換部材である。プロペラ軸105は、自由回転するものであってもよいし、駆動回転するものであってもよい。通常は、駆動回転する装置が採用される。粒子状物質含有ガス5は、プロペラ軸105及び羽根106の回転によってスパイラル流107に変換される。羽根106の数は特に制限はないが、通常、3つか4つである。なお、この部材の材質も耐熱性と耐食性を有するものが好ましい。
【実施例】
【0044】
(帯電装置)
帯電装置11は、導入部8の下流側に設けられ、その粒子状物質含有ガス5を接触させてその粒子状物質含有ガス5に含まれる粒子状物質6の全部又は一部に負の空気電荷122(単に「負電荷」ともいう。)を帯電させるための装置である。第1実施形態では、図2及び図5に示すように、スパイラル流107が流れる管内周に沿って設けられたリング状の正電極121が好ましく用いられる。リング状の正電極121は、具体的には、管の長手方向に直交する管内周面から所定の間隔を空けて設けられている。図5に示すリング状の正電極121は、リング状の細い金属電極体を4つの支持部材124でリング部材125に保持した態様である。その金属電極体には、電源装置4から正の高電圧を印加する。なお、リング状の正電極121となる金属電極体は、通常、SUS(ステンレススチール)等で構成され、1mm程度の導体径のものが用いられるが特に限定されない。
【実施例】
【0045】
リング状の正電極121の周りには負電荷122が集まるので、スパイラル流107となって管内壁に沿って流れる粒子状物質含有ガス5は正電極121に接触し、その結果、粒子状物質含有ガス5中の粒子状物質6は負電荷122を付着し、負に帯電した粒子状物質6’はスパイラル流107として管内を流れることになる。なお、スパイラル流107は粒子状物質6’に遠心力を与えるので、粒子状物質6’には管の内壁方向に向かう力が加わり、管の内壁沿って進むことになる。
【実施例】
【0046】
(放電装置)
放電装置15は、図2及び図6に示すように、帯電装置11の下流側に連設された絶縁管100内に設けられ、全部又は一部が負電荷122を帯電した粒子状物質6’を、正電極133と負電極131との間に生じさせた無声放電領域A1に導入して保持時間を増して燃焼させるための装置である。詳しくは、放電装置15は、図6に示すように、絶縁管100の内壁に設けられた筒状の負電極131と、その負電極131の内側に設けられた筒状の誘電体131と、その誘電体131の内側に所定の間隔Gを空けて設けられた筒メッシュ状の正電極133とを有している。
【実施例】
【0047】
放電装置15は、耐熱性、断熱性及び絶縁性を有するセラミックス製の絶縁管100内に設けられていることが好ましい。なお、放電装置15のみならず、上述した帯電装置11も同様であり、好ましくは、放電装置15と帯電装置11とは図2に示すように一体の絶縁管100内に設けられていることが好ましい。絶縁管100の内径は特に限定されるものではないが、通常は、内径20~100mm程度の範囲内のものである。
【実施例】
【0048】
絶縁管100の内面には、筒状の負電極131が設けられており、その負電極131は、例えば厚さ0.1mm程度のステンレス製の金属体であればよい。この筒状の負電極131の長手方向の両端(上流側端と下流側端)には、絶縁管134,134が設けられている。負電極131は、絶縁管100に密着していてもよいし、図6に示すように少し離して配置してもよい。
【実施例】
【0049】
筒状の誘電体132は、上記筒状の負電極131の内側(管の中央側。以下同じ。)に設けられる。この誘電体132は、例えば厚さ1mm程度のセラミックス製の誘電体であり、詳しくは、アルミナ等の材質で構成されていることが好ましい。通常、負電極131に密着して設けられている。
【実施例】
【0050】
筒メッシュ状の正電極133は、上記筒状の誘電体132の内側であってその誘電体132との間に例えば約1mm程度の隙間Gを空けて配置されていることが好ましい。正電極133は、粒子状物質6’が進入することができる程度の開口部を持つメッシュ構造体である。その開口部の程度としては、例えば、2μmの粒子状物質6が自由に通過可能な大きさでればよいが、特にその大きさは限定されない。正電極133の材質は特に限定されないが、耐熱性の高いタングステン製メッシュを好ましく用いることができる。例えば、線径0.4mm、20メッシュ/インチのタングステン製メッシュを例示できる。
【実施例】
【0051】
負電極131と正電極133との間には、電源装置4から高電圧高周波が印加され、無声放電が起こる。粒子状物質6’は、スパイラル流107に乗って管の内壁近傍を流れるので、管内を真っ直ぐ流れる場合に比べて無声放電領域A1内で放電する作用時間が長くなる。さらに、そのスパイラル流107による遠心力で管の内壁面側を流れる粒子状物質6’は、正電極133のメッシュ開口部を通って無声放電領域A1に入り易いので、無声放電を受けやすい。さらに、粒子状物質6’は負電荷を帯電しているので、正電極133にクーロン力で引き寄せられ、且つ無声放電領域A1内に長く滞留し易い。この滞留により、無声放電の放電エネルギーを長い時間受けることになるので、多くの放電エネルギーによるジュール熱や、粒子状物質6’の燃焼の余熱によってより効率的な燃焼が起こる。
【実施例】
【0052】
なお、粒子状物質含有ガス5中に含まれる有毒ガス成分(NOx,SOx)も、無声放電領域A1の高電界で改質除去できる。
【実施例】
【0053】
(電源装置)
電源装置4は、帯電装置11と放電装置15に電場を印加する装置であり、図2及び図6に示すように、高電圧高周波発生器141と電源142とを有している。電源142は、直流電源でも交流電源でもよいし、電池(バッテリー)であってもよい。こうした電源142からは、直流電圧又は交流電圧が高電圧高周波発生器141に送られる。高圧高周波発生器141では、高電圧の高周波電圧又はパルス電圧に変換される。
【実施例】
【0054】
高電圧高周波発生器141の正電圧端子を、帯電装置11のリング状の正電極121と放電装置15の筒メッシュ状の正電極133とに接続する。一方、負電圧端子を、筒状の負電極131に接続する。正電圧端子を接続した筒メッシュ状の正電極133と、負電圧端子を接続した筒状の負電極131と間で無声放電が起こる。また、正電圧端子を接続したリング状の正電極12は、負の空気電荷122を引き寄せる。
【実施例】
【0055】
(排出部)
排出部9は、放電装置15の下流側の絶縁管100に連設され、燃焼後のガス151を排出する。ここで、「絶縁管100に連設され」とは、別部材の排出管で排出部を構成して絶縁管100に接続したものであってもよいし(図7及び図8を参照)、絶縁管100と一体のものとして構成され、その下流側の端部を排出部としたもの(図2参照)も含む意味で用いている。燃焼処理された後のガスは、排気ガス151となり、図1に示すように粒子状物質燃焼装置10の下流側に接続されたマフラー3から排気される。
【実施例】
【0056】
以上、第1形態の粒子状物質燃焼装置10Aでは、ガス流変換部材101でスパイラル流107に変換されたガス流中の粒子状物質6は、リング状の正電極121の周りに集まった負の空気電荷122を付着する。負の空気電荷122を付着した粒子状物質6’は、スパイラル流107に乗って管内壁面近傍を流れる間に、筒メッシュ状の正電極133にも静電力で引かれて無声放電領域A1に入り込む。無声放電領域A1に入り込んだ粒子状物質6’の流れは、管の長手方向に延びる無声放電領域A1のクーロン力で減速する。その結果、多くの放電エネルギーを得て効率的に燃焼することができる。
【実施例】
【0057】
こうした粒子状物質燃焼装置10Aは、エンジン1の排気口2の近くに接続していること、絶縁管100で燃焼部を覆って熱損失を防いでいること、粒子状物質6に負電荷122を与えてクーロン力で無声放電領域A1での保持時間を増していること、及び、高周波又はパルス放電を用いていること、によって、より省電力下での粒子状物質の燃焼を実現するものとなっている。さらに、粒子状物質含有ガス5中に含まれる他の有害物(NOxやSOx)をも分解除去することができる。こうした効率的な燃焼を実現できる本発明の粒子状物質燃焼装置10は、簡単で小型軽量なので、車等への搭載に適している。
【実施例】
【0058】
[第2実施形態]
第2形態の粒子状物質燃焼装置10Bは、図7に示すように、負電荷222に帯電した粒子状物質6’が、下流側に設けられて該粒子状物質6’を捕獲できる筒メッシュ状の正電極233に吸引し且つ該正電極233上に堆積することにより、その無声放電領域A2での保持時間が増すように構成している。具体的には、図7に示すように、導入部8と、帯電装置21と、放電装置25と、排出部9と、電源装置4とを下流側に向かってその順で有している。なお、図7の例では帯電装置21と放電装置25とは絶縁管100内に一体的に構成されているが、必ずしも一体的でなくてもよい。
【実施例】
【0059】
導入部8は、第1形態と同様、内燃機関1の排気口2に連結してその排気口2から排出された粒子状物質含有ガス5を導入するが、図7の例では絶縁管100よりも小径の管201で構成され、前記絶縁管100の上流側端部に嵌め込むように接続されている。一方、排出部9も第1形態と同様、絶縁管100に連設されて燃焼後のガス151を排出するが、図7の例では絶縁管100及び管201よりもさらに小径の管241で構成され、前記絶縁管100の下流側端部に同軸リング242を介して嵌め込むように接続されている。この同軸リング242は、後述する無声放電領域A2と内壁面流路243を確保するために重要な部材であり、それらの流路を確保できるだけの径方向幅を持っている。
【実施例】
【0060】
なお、上流側とは、図1に示す内燃機関(エンジン)1の側であり、下流側とは図1に示すマフラー3の側である。また、図示の例では排出部9を構成する管241が筒メッシュ状の正電極233の支持部材として機能するように設けられているので、管241は絶縁性であることが好ましい。一方、導入部8を構成する管201は電極との接触がないのでステンレススチール製等の金属管であってもよいが、絶縁管であってもよい。
【実施例】
【0061】
この導入部8と排出部9の態様は図示した管接続の例に限定されず、要するに、導入部8を構成する管201は、帯電装置21と放電装置25とを構成する絶縁管100に接続されてさえいればよく、排出部9を構成する管241も、帯電装置21と放電装置25とを構成する絶縁管100に接続されてさえいればよい。図示の例では、管241をより小径なもので構成して、無声放電領域A2と内壁面流路243を確保しているが、それらの確保は必ずしも小径な管241を採用して行う必要はなく、別部材を採用して行ってもよい。
【実施例】
【0062】
導入部8には、図3及び図4に示すような粒子状物質含有ガス5をスパイラル流107に変換するガス流変換部材は設けられていないが、導入された粒子状物質含有ガス5の流路を規制するガス流変換部材として、板状の流路規制部材237が設けられている。この板状の流路規制部材237は、導入部8に流入して絶縁管100の長手方向に向かう粒子状物質含有ガス5の流れを堰き止めて、ガス流をその板状の流路規制部材237の周縁から無声放電領域A2に流入させるように作用する部材である。この板状の流路規制部材237の形状は、放電装置25の断面形状が円形の場合には円盤状が好ましく、四角形の場合には正四角形状が好ましい。
【実施例】
【0063】
板状の流路規制部材237は、後述する平面メッシュ状の正電極221の中央部から延びる支柱238で支持されている。一方、板状の流路規制部材237の周縁は、筒メッシュ状の正電極233の上流側を支持している。なお、その筒メッシュ状の正電極233の下流側は、排出部9を構成する絶縁管241で支持されている。絶縁管241は、その外周に嵌め込まれた同軸リング242を介して絶縁管100に固定されている。
【実施例】
【0064】
板状の流路規制部材237の材質は特に限定されないが、図7に示すように、筒メッシュ状の正電極233と、上流側に配置された平面メッシュ状の正電極221とを電気的に接続する場合には、例えばステンレススチール等の金属製であればよい。このとき、支柱238も導電材で構成される。一方、平面メッシュ状の正電極221に別配線で正電圧を印加する場合や、平面メッシュ状の正電極221を電極として作用させずに、板状の流路規制部材237を上流側から支持するための単なる支持部材として用いる場合には、金属製のメッシュであっても絶縁性のメッシュであってもよい。このとき、支柱238は絶縁材で構成される。
【実施例】
【0065】
板状の流路規制部材237の上流側であって導入部8の下流側には、帯電装置21としての平面メッシュ状の正電極221が、粒子状物質含有ガス5の流路に直交するように設けられている。この平面メッシュ状の正電極221は、その周囲が筒状の誘電体234の上流側端部に嵌め込まれるように支持されている。平面メッシュ状の正電極221の中央部には、その下流側に配置される前記板状の流路規制部材237を支持するための支柱238が設けられている。
【実施例】
【0066】
平面メッシュ状の正電極221は、上記第1形態と同様、粒子状物質含有ガス5を接触させてその粒子状物質含有ガス5に含まれる粒子状物質6の全部又は一部に負電荷22を帯電させる部材である。そのため、電源装置4から正電圧が印加されていることが好ましい。正電圧が印加された平面メッシュ状の正電極221には、負の空間電荷(負電荷)222が集まるので、その平面メッシュ状の正電極221を通過する粒子状物質含有ガス5に含まれる粒子状物質6は負電荷222を付着し、負に帯電した粒子状物質6’となって、下流側に流れる。下流側に流れた粒子状物質6’は、板状の流路規制部材237で流れが規制され、筒メッシュ状の正電極233に電気的に引き寄せられるようにして無声放電領域A2に流れ込む。
【実施例】
【0067】
平面メッシュ状の正電極221は、例えば2μmの粒子状物質6が抵抗なく自由に通過できる開口を持つメッシュ構造であればよい。材質は特に限定されないが、耐熱性の金属メッシュであることが好ましい。例えばタングステン製メッシュやタングステン合金製メッシュが好ましく採用されるが、これらに限定されない。例えば、線径0.4mm、20メッシュ/インチのタングステン製メッシュを例示できる。
【実施例】
【0068】
第2形態での放電装置25は、図7に示すように、帯電装置11の下流側に連設された絶縁管100内に設けられ、全部又は一部が負電荷222を帯電した粒子状物質6’を、正電極233と負電極235との間に生じさせた無声放電領域A2に導入して保持時間を増して燃焼させるための装置である。詳しくは、絶縁管100の内壁側に所定の流路243を空けて設けられた筒状の負電極235と、その負電極235の内側に設けられた筒状の誘電体234と、その誘電体234の内側に所定の間隔(特に限定されないが、例えば0.5mm~3mm程度の範囲)を空けて設けられた筒メッシュ状の正電極233とを有している。
【実施例】
【0069】
筒状の負電極235は、絶縁管100の内壁側にその内壁と所定の間隔(特に限定されないが、例えば1mm~10mm程度の範囲)を空けて設けられたものであって、例えば厚さ0.5mm程度のステンレス製の金属体であればよい。負電極235は、図7の例では、下記の筒状の誘電体234の外面に密着して設けられている。なお、負電極235と絶縁管100との間に、ガス流の流路(内壁面流路)243が形成されている。
【実施例】
【0070】
筒状の誘電体234は、上記筒状の負電極235の内側に設けられる。この誘電体234は、複数の支えボルト236で絶縁管100に固定されている。また、誘電体234は、例えば厚さ1mm程度のセラミックス製の誘電体であり、詳しくは、アルミナ等の材質で構成されていることが好ましい。支えボルト236で絶縁管内に固定された誘電体234は、絶縁管100との間で、内壁面流路243を形成できるだけの空間を作っている。
【実施例】
【0071】
円筒状メッシュの正電極233は、耐熱性の金属繊維メッシュ(例えば線径(20μm)、空隙率80%、厚さ1.3mm)であることが好ましい。例えばステンレス製が好ましく採用されるが、これらに限定されない。メッシュの開口は、例えば0.1μmの粒子状物質6’を容易に通過させずに捕獲できる大きさであればよい。
【実施例】
【0072】
この円筒状メッシュの正電極233は粒子状物質6’を捕獲できるので、円板状の流路規制部材237によって無声放電領域A2に導かれた粒子状物質6’がそのメッシュ構造で捕獲されている間に、その粒子状物質6’には十分な放電エネルギーが与えられる。その結果、効率的な燃焼を実現できる。燃焼後は、燃焼ガス250となってメッシュを通過し、排出部9から排気ガス151として排出される。
【実施例】
【0073】
図7に示すように、筒状の負電極235を絶縁管100の側に備えた筒状の誘電体234と、絶縁管100との間には、上記所定の隙間(特に限定されないが、例えば1mm~10mm程度の範囲)を持つ流路243がある。この内壁面流路243に流れるガス流は、板状の流路規制部材237で無声放電領域A2に導かれるガス流とは異なるものである。しかし、その内壁面流路243に流入した粒子状物質含有ガス5は、管構造の下流側端部(Uターン部、折り返し部)244でUターン(折り返し)して、無声放電領域A2に至る。
【実施例】
【0074】
無声放電領域A2に至った粒子状物質含有ガス5中の粒子状物質6は、筒メッシュ状の正電極233の金属繊維メッシュ構造を通過できずに捕獲されるので、捕獲されている間に放電エネルギーを受けて燃焼することになる。
【実施例】
【0075】
この第2形態の粒子状物質燃焼装置10Bは、こうした2ルートの流路を持つ2重管構造とすることにより、円筒状金属繊維メッシュの正電極233の上流側からも下流側からも粒子状物質を導く流路を有するので、筒メッシュ状の正電極233の長手方向に渡って無駄なく粒子状物質を金属繊維メッシュ233の上面に堆積し、放電エネルギーを与えて燃焼させることができる。
【実施例】
【0076】
なお、電源装置4は、第1形態と同様であるので説明を省略する。
【実施例】
【0077】
以上、第2形態の粒子状物質燃焼装置10Bにおいては、ガス流中の粒子状物質6は、平面メッシュ状の正電極221の周りに集まった負の空気電荷222を付着する。負の空気電荷222を付着した粒子状物質6’は、板状の流路規制部材237により管100の長手方向に延びる無声放電領域A2に導かれ、無声放電領域A2のクーロン力で吸引され且つ無声放電領域A2を構成する筒メッシュ状の正電極233に捕獲されることにより、無声放電領域A2内での保持時間が増す。その結果、多くの放電エネルギーを得て効率的に燃焼することができる。
【実施例】
【0078】
[第3実施形態]
第3形態の粒子状物質燃焼装置10Cは、図8に示すように、粒子状物質のうち、負の空間電荷322に帯電した粒子状物質6’が、下流側に設けられた平面状金属繊維メッシュの負電極331に静電的に反発される効果とその負電極331を構成する平面状金属繊維メッシュのトラップ効果で、負電極331上の堆積を増大させ、燃焼効果を増大させるように構成したものである。具体的には、図8に示すように、導入部8と、帯電装置31と、放電装置35と、排出部9と、電源装置4とを下流側に向かってその順で有している。なお、図8の例では帯電装置31は導入部8に設けられ、放電装置35は絶縁性の四角柱管100内に設けられている。
【実施例】
【0079】
導入部8は、第1形態と同様、内燃機関1の排気口2に連結してその排気口2から排出された粒子状物質含有ガス5を導入するが、絶縁管100よりも小径の管301で構成され、前記絶縁管100の上流側に接続されている。一方、排出部9も第1形態と同様、絶縁管100に連設されて燃焼後のガス151を排出するが、絶縁管100よりも小径の管341で構成され、前記絶縁性の四角柱管100の下流側に接続されている。絶縁性の四角柱管100に対する管301,341の接続態様は特に限定されない。
【実施例】
【0080】
なお、上流側とは、図1に示すエンジン1の側であり、下流側とは図1に示すマフラー3の側である。また、いずれの管301,341も、セラミックス管のように絶縁性と耐熱性を持っていることが好ましい。また、導入部8には、図3、図4、図7に示すようなガス流変換部材は設けられていない。
【実施例】
【0081】
導入部8の下流側には、帯電装置31としての平面メッシュ状の正電極321が、粒子状物質含有ガス5の流路に直交するように設けられている。この平面メッシュ状の正電極321は、図示しない取付部材により、管301の内面に取り付けられている。
【実施例】
【0082】
平面メッシュ状の正電極321は、上記第1,2形態と同様、粒子状物質含有ガス5を接触させてその粒子状物質含有ガス5に含まれる粒子状物質6の全部又は一部に負電荷を帯電させる部材である。そのため、電源装置4から正電圧が印加されていることが好ましい。正電圧が印加された平面メッシュ状の正電極321には、負の空間電荷(負電荷)322が集まるので、その平面メッシュ状の正電極321を通過する粒子状物質含有ガス5に含まれる粒子状物質の一部6は負電荷322を付着し、負に帯電した粒子状物質6’となって、下流側に流れる。
【実施例】
【0083】
平面メッシュ状の正電極321は、例えば2μmの粒子状物質6が抵抗なく自由に通過できる開口を持つメッシュ構造であればよい。材質は特に限定されないが、耐熱性の金属メッシュであることが好ましい。例えば線径0.4mm、20メッシュ/インチのタングステン製メッシュやステンレス製メッシュが好ましく採用されるが、これらに限定されない。この正電極321と、その正電極321の下流側に設けられた負電極331との間の距離は、特に限定されないが、通常、10mm~100mm程度の範囲内であればよい。
【実施例】
【0084】
第3形態での放電装置35は、図8に示すように、導入部8に連設された絶縁性の四角柱管(正四角柱管)100内に設けられている。そして、絶縁性の四角柱管100内の流路に直交するように設けられた平面状金属繊維メッシュの負電極331と、その平面状金属繊維メッシュの負電極331の上流側に所定の間隔(特に限定されないが、例えば0.5mm~3mm)を空けて対向して無声放電領域A3を形成するように設けられた誘電体被覆正電極330とを有している。なお、誘電体被覆正電極330の代わりに金属メッシュを誘電体で被覆した物でもよい。この放電装置35によって、全部又は一部が負電荷322を帯電した粒子状物質6’を、誘電体被覆正電極330との間に生じさせた無声放電領域A3に導入して堆積した粒子を燃焼させることができる。
【実施例】
【0085】
誘電体被覆正電極330は、図8及び図9に示すように、棒状の正電極332と、その正電極332の周囲を被覆する誘電体333とで構成された複合体である。図示の例では、棒状の誘電体被覆正電極330は、等間隔(例えばピッチが2~6mmで隙間が0.5mm~3mm)で、それぞれ平面状金属繊維メッシュの負電極331と一定の距離を保つように、短冊状に配列されている。全ての誘電体被覆正電極330は、電気的に接続されている。ガス流に乗った粒子状物質6’は、この短冊状の誘電体被覆正電極330を容易に通過する。誘電体被覆正電極の代わりに誘電体被覆メッシュ電極でもよい。
【実施例】
【0086】
誘電体被覆正電極330を構成する棒状の正電極332は、耐熱性の金属であることが好ましい。例えばタングステン製棒やステンレス棒が好ましく採用されるが、これらに限定されない。その直径は例えば1mm程度のものを例示できる。なお、誘電体被覆メッシュ電極の場合は、セラミックス被覆線径2mm、金属線径0.4mm、10メッシュ/インチ程度のものが例示できる。
【実施例】
【0087】
棒状の正電極332を被覆する誘電体333は、例えばセラミックスを挙げることができる。棒状の正電極332への被覆は、スパッタリング法等で行うことができる。なお、ここでは、棒状の正電極332を被覆すると言っているが、セラミックス管を誘電体333として用い、棒状の正電極332をそのセラミックス管内に差し込んで構成してもよい。
【実施例】
【0088】
平面状金属繊維メッシュの負電極331は、耐熱性の金属メッシュ(例えば、線径20μm、空隙率83%、厚さ1.3mm)であることが好ましい。例えばタングステン製メッシュやタングステン合金製メッシュが好ましく採用されるが、これらに限定されない。メッシュの開口は、例えば0.1μmの粒子状物質6’を容易に通過させずに捕獲できる大きさであればよい。平面状金属繊維メッシュの負電極331は、図示のように、保持部材336で絶縁性の四角柱管100内に保持されている。
【実施例】
【0089】
この平面状金属繊維メッシュの負電極331は粒子状物質6’を捕獲できるので、無声放電領域A3に導かれた粒子状物質6’がそのメッシュ構造で捕獲されている間に、その粒子状物質6’には十分な放電エネルギーが与えられる。その結果、効率的な燃焼を実現できる。燃焼後は、燃焼ガス350となってメッシュを通過し、排出部9から排気ガス151として排出される。
【実施例】
【0090】
すなわち、誘電体被覆正電極330を通過した粒子のうち負に帯電した粒子状物質6’は、誘電体被覆正電極330に静電的に引き寄せられ、減速した状態で通過し、無声放電領域A3に至る。無声放電領域A3内に至った粒子状物質6’は、平面状金属繊維メッシュの負電極331に静電的に反発するので、その無声放電領域A3内でさらに減速し、メッシュへの堆積効果が増大する。しかも、平面状金属繊維メッシュの負電極331は、帯電には関係なく粒子状物質6を通過させない程度のメッシュで構成されているので、粒子状物質6’をメッシュ上に堆積する(符号335を参照)。その結果、帯電粒子及びび帯電しない粒子状物質は、メッシュ表面に堆積し、多くの放電エネルギーを受け、効率的な燃焼を実現できる。
【実施例】
【0091】
なお、電源装置4は、第1,2形態と同様であるので説明を省略する。
【実施例】
【0092】
以上、第3形態の粒子状物質燃焼装置10Cにおいては、平面状金属繊維メッシュのトラップ効果で粒子はメッシュに堆積するが、さらに、ガス流中の粒子状物質6の一部は、平面メッシュ状の正電極321の周りに集まった負の空気電荷322を付着する。負の空気電荷322を付着した粒子状物質6’は、そのまま進行し、誘電体被覆正電極330を通過して無声放電領域A3に導かれ、無声放電領域A3の静電気力で反発される。粒子状物質6’は、この2つの効果で無声放電領域A3を構成する平面状金属繊維メッシュの負電極331上に堆積することにより、多くの放電エネルギーを得て効率的に燃焼することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 内燃機関
2 排気口
3 マフラー
4 電源装置
5 内燃機関から排出された粒子状物質含有ガス
6 粒子状物質
6’ 負電荷を全部又は一部帯電した粒子状物質
8 導入部
9 排出部
10 粒子状物質燃焼装置
10A 第1形態の粒子状物質燃焼装置
10B 第2形態の粒子状物質燃焼装置
10C 第3形態の粒子状物質燃焼装置
11,21,31 帯電装置
15,25,35 放電装置
A1,A2,A3 無声放電領域
【符号の説明】
【0094】
100 絶縁管(円管又は正四角柱管、セラミックス管)
101,101A,101B ガス流変換部材
102 流入口
103 流出口
104 流路
105 プロペラ軸
106 羽根
107 スパイラル流
121 リング状の正電極
122 負の空気電荷(負電荷)
124 支持部材
125 リング部材
131 筒状の負電極
132 筒状の誘電体
133 円筒状金属繊維メッシュの正電極
134 絶縁管
135 燃焼中の粒子状物質
141 高電圧高周波発生装置
142 電源
151 燃焼処理後の排気ガス
【符号の説明】
【0095】
201 導入管
221 平面メッシュ状の正電極
222 負の空気電荷(負電荷)
233 円筒状金属繊維メッシュの正電極
234 円筒状の誘電体(セラミックス管)
235 円筒状の負電極
236 支えボルト
237 板状の流路規制部材
238 支柱
241 排出管
242 同軸リング
243 内壁面流路
244 下流側端部(下流側のUターン部、折り返し部)
250 燃焼ガス
【符号の説明】
【0096】
301 導入管
321 平面メッシュ状の正電極
322 負の空気電荷(負電荷)
330 誘電体被覆正電極
331 平面状金属繊維メッシュの負電極
332 棒状の正電極
333 誘電体
335 堆積した粒子状物質
336 負電極の保持部材
341 排出管
350 燃焼ガス
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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