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明細書 :スイッチングシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-222633 (P2013-222633A)
公開日 平成25年10月28日(2013.10.28)
発明の名称または考案の名称 スイッチングシステム
国際特許分類 H01H   9/54        (2006.01)
F21V  23/00        (2006.01)
F21V  23/04        (2006.01)
FI H01H 9/54 B
F21V 23/00 160
F21V 23/04
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2012-094282 (P2012-094282)
出願日 平成24年4月17日(2012.4.17)
発明者または考案者 【氏名】河内 明夫
【氏名】岸本 健吾
【氏名】清水 理佳
出願人 【識別番号】506122327
【氏名又は名称】公立大学法人大阪市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100156845、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 威一郎
【識別番号】100124039、【弁理士】、【氏名又は名称】立花 顕治
【識別番号】100124431、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 順也
【識別番号】100112896、【弁理士】、【氏名又は名称】松井 宏記
【識別番号】100179213、【弁理士】、【氏名又は名称】山下 未知子
審査請求 未請求
テーマコード 3K014
5G034
Fターム 3K014AA01
5G034AB05
5G034AB15
要約 【課題】簡易な操作で、複数の被駆動装置を任意のONパターンから別の任意のONパターンへと切り替えることを可能にする。
【解決手段】第1~第(N+2)のメインスイッチにより、第1~第N(Nは、2以上の整数)の被駆動装置のON/OFFを切り替える。第1~第Nの被駆動装置を第1~第Nの交点にそれぞれ対応するものとし、かつ、第1~第(N+2)のメインスイッチを第1~第(N+2)のエリアにそれぞれ対応するものとしたときに、1から(N+2)までの整数である各iについて、第iのメインスイッチは、第iのエリアに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の被駆動装置のON/OFFを切り替え可能である。第1~第Nの交点は、3本以上の線分が1点で交差することなく一筆書きにより表される平面上の閉じた一本の線の交点であり、第1~第(N+1)のエリアは、上記線により囲まれ、第(N+2)のエリアは、上記線を囲む。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第1~第N(Nは、2以上の整数)の被駆動装置のON/OFFを切り替えるスイッチングシステムであって、
第1~第(N+2)のメインスイッチ
を備え、
前記第1~第Nの被駆動装置を、3本以上の線分が1点で交差することなく一筆書きにより表される閉じた一本の線の、第1~第Nの交点にそれぞれ対応するものとし、かつ、
前記第1~第(N+2)のメインスイッチを、前記線により囲まれる第1~第(N+1)のエリアと、前記線を囲む第(N+2)のエリアとにそれぞれ対応するものとしたときに、
1から(N+2)までの整数である各iについて、前記第iのメインスイッチは、前記第iのエリアに接する全ての前記交点にそれぞれ対応する1以上の前記被駆動装置のON/OFFを切り替え可能である、
スイッチングシステム。
【請求項2】
前記第1~第Nの被駆動装置のON/OFFをそれぞれ切り替える第1~第Nのサブスイッチ群
をさらに備え、
1からNまでの整数である各jについて、
前記第jのサブスイッチ群は、前記第jの交点に接する3つまたは4つの前記エリアにそれぞれ対応する3つまたは4つの前記メインスイッチによりそれぞれON/OFFが切り替えられる3つまたは4つのサブスイッチを含み、
前記第jのサブスイッチ群は、前記3つまたは4つのサブスイッチのどの1つのON/OFFが切り替えられようとも、全体としてのON/OFFが切り替えられるように構成されている、
請求項1に記載のスイッチングシステム。
【請求項3】
前記第1~第Nの被駆動装置のうち、ON/OFFの切り替えを望む被駆動装置の指定の入力をユーザから受け付ける入力部と、
前記入力部を介し指定された前記被駆動装置に対応する前記交点に接する前記エリアに対応する前記メインスイッチのON/OFFを切り替える制御部と
をさらに備える、
請求項1又は2に記載のスイッチングシステム。
【請求項4】
1から(N+2)までの整数である各iについて、前記第iのメインスイッチに対する操作を検出すると、前記第iのエリアに接する全ての前記交点にそれぞれ対応する1以上の前記被駆動装置を特定し、前記1以上の被駆動装置のON/OFFを切り替えるように制御する制御部
をさらに備える、
請求項1に記載のスイッチングシステム。
【請求項5】
前記線により描かれる図形は、既約結び目射影図である、
請求項1から4のいずれかに記載のスイッチングシステム。
【請求項6】
Nは、3以上である、
請求項1から5のいずれかに記載のスイッチングシステム。
【請求項7】
前記第1~第Nの被駆動装置は、照明である、
請求項1から6のいずれかに記載のスイッチングシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の被駆動装置のON/OFFを切り替えるスイッチングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の被駆動装置のON/OFFを切り替えるスイッチングシステムが公知である。例えば、特許文献1では、複数の照明装置がフロアの天井に配置され、これらの照明装置にそれぞれ対応する複数のスイッチが、フロア内での照明装置の配列に従って、スイッチ盤上に配列されるようになっている。従って、ユーザは、複数の照明装置のON/OFFを直感的に操作できるようになっている。
【0003】
一方、特許文献2では、複数の排気ファンに接続される集中スイッチと、これらの排気ファンにそれぞれ接続される複数の個別スイッチとが用意されている。従って、これらのスイッチを適宜操作することにより、複数の排気ファンを個別にON/OFFしたり、一括してON/OFFしたりできるようになっている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開昭64-65798号公報
【特許文献2】特開平7-192567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2のスイッチングシステムでは、複数の被駆動装置をあるONパターンから別のONパターンへと切り替えるための操作回数が多くなる等、依然として操作が複雑になる虞がある。ここで、要素群のONパターンとは、要素群に含まれるON状態の要素の組み合わせを意味し、全ての要素がOFF状態であるパターンも含むものとする。
本発明は、簡易な操作で、複数の被駆動装置を任意のONパターンから別の任意のONパターンへと切り替えることが可能なスイッチングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係るスイッチングシステムは、第1~第(N+2)のメインスイッチを備え、第1~第Nの被駆動装置のON/OFFを切り替える。ここで、Nは、2以上の整数である。そして、第1~第Nの被駆動装置を、第1~第Nの交点にそれぞれ対応するものとし、かつ、第1~第(N+2)のメインスイッチを、第1~第(N+2)のエリアにそれぞれ対応するものとしたときに、1から(N+2)までの整数である各iについて、第iのメインスイッチは、第iのエリアに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の被駆動装置のON/OFFを切り替え可能である。ここで、第1~第Nの交点は、3本以上の線分が1点で交差することなく一筆書きにより表される閉じた一本の線の交点である。また、第1~第(N+1)のエリアは、上記線により囲まれるエリアであり、第(N+2)のエリアは、上記線を囲むエリアである。
【0007】
結び目理論によれば、以下の事項が数学的に証明されている。すなわち、1から(N+2)までの整数である各iについて、第iのエリアを選択すると、第1~第Nの交点のうち、第iのエリアに接する全ての交点のON/OFFが切り替わるものとしたときに、第1~第(N+2)のエリアに含まれるいくつかのエリアを重複なく選択することにより、第1~第Nの交点を任意のONパターンから別の任意のONパターンへと必ず切り替えることができる。
【0008】
そして、ここでは、上記のとおり、1から(N+2)までの整数である各iについて、第iのメインスイッチは、第iのエリアに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の被駆動装置のON/OFFを切り替え可能である。そうすると、結び目理論に従えば、第1~第(N+2)のメインスイッチに含まれる、いくつかのメインスイッチを重複なく選択することにより、第1~第Nの被駆動装置を、任意のONパターンから別の任意のONパターンへと必ず切り替えることができる。従って、ここでは、(N+2)個のメインスイッチに対する1~(N+2)回の簡易な操作で、N個の被駆動装置を任意のONパターンから別の任意のONパターンへと切り替えることができる。
【0009】
本発明の第2観点に係るスイッチングシステムは、第1観点に係るスイッチングシステムであって、第1~第Nのサブスイッチ群をさらに備える。第1~第Nのサブスイッチ群は、第1~第Nの被駆動装置のON/OFFをそれぞれ切り替える。そして、1からNまでの整数である各jについて、第jのサブスイッチ群は、3つまたは4つのサブスイッチを含み、これら3つまたは4つのサブスイッチは、第jの交点に接する3つまたは4つのエリアにそれぞれ対応する3つまたは4つのメインスイッチによりそれぞれON/OFFが切り替えられる。また、1からNまでの整数である各jについて、第jのサブスイッチ群は、3つまたは4つのサブスイッチのどの1つのON/OFFが切り替えられようとも、全体としてのON/OFFが切り替えられるように構成されている。
【0010】
ここでは、上記構成を有する第1~第Nのサブスイッチ群により、1から(N+2)までの整数である各iについて、第iのメインスイッチに対するON/OFF操作を、第iのエリアに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の被駆動装置のON/OFF操作へ変換することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係るスイッチングシステムは、第1観点又は第2観点に係るスイッチングシステムであって、入力部と、制御部とをさらに備える。入力部は、第1~第Nの被駆動装置のうち、ON/OFFの切り替えを望む被駆動装置の指定の入力をユーザから受け付ける。制御部は、入力部を介し指定された被駆動装置に対応する交点に接するエリアに対応するメインスイッチのON/OFFを切り替える。なお、被駆動装置を指定する方法には、被駆動装置の組み合わせ(ONパターン)を指定したり、被駆動装置を個別に指定する方法等が考えられる。
【0012】
ここでは、ユーザは、被駆動装置の任意のONパターンを実現するために、ON/OFFの切り替えを望む被駆動装置を指定すればよく、被駆動装置と1対1で対応していないメインスイッチを直接操作する必要がなくなる。従って、ユーザの操作性が向上する。
【0013】
本発明の第4観点に係るスイッチングシステムは、第1観点に係るスイッチングシステムであって、制御部をさらに備える。制御部は、1から(N+2)までの整数である各iについて、第iのメインスイッチに対する操作を検出すると、第iのエリアに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の被駆動装置を特定し、これら1以上の被駆動装置のON/OFFを切り替えるように制御する。
【0014】
ここでは、上記のように動作する制御部により、1から(N+2)までの整数である各iについて、第iのメインスイッチに対するON/OFF操作を、第iのエリアに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の被駆動装置のON/OFF操作へ変換することができる。
【0015】
本発明の第5観点に係るスイッチングシステムは、第1観点から第4観点のいずれかに係るスイッチングシステムであって、上記線により描かれる図形は、既約結び目射影図である。
【0016】
結び目理論から導かれる上述の事項をさらに進めると、同じ前提の下、さらに以下のことが言える。すなわち、上記線により描かれる図形が任意の既約結び目射影図である場合には、第1~第(N+2)エリアに含まれる、最大で(N+2)/2個のエリアを選択することにより、第1~第Nの交点を任意のONパターンから別の任意のONパターンへと必ず切り替えることができる。ここで、既約結び目射影図とは、各交点に接するエリアが4つである結び目射影図である。なお、3以上の整数Nに対して、必ず既約結び目射影図は存在し、さらにNが大きくなるにつれて、既約結び目射影図の数は増大する。
【0017】
そうすると、任意の既約結び目射影図のモデルが採用される場合には、第1~第(N+2)のメインスイッチに含まれる、最大で(N+2)/2個のメインスイッチを選択することにより、第1~第Nの被駆動装置を、任意のONパターンから別の任意のONパターンへと必ず切り替えることができる。従って、ここでは、(N+2)個のメインスイッチに対する最大で(N+2)/2回以下の簡易な操作で、N個の被駆動装置を任意のONパターンから別の任意のONパターンへと切り替えることができる。
【0018】
また、3以上の整数Nに対して、被駆動装置のONパターンを変更するための最大の操作回数である(N+2)/2回を、N回より少なくすることができる。すなわち、N個の被駆動装置にそれぞれ対応し、かつ、互いに連動しないN個のスイッチを用意するよりも、最大の操作回数が低減される。
【0019】
本発明の第6観点に係るスイッチングシステムは、第1観点から第5観点のいずれかに係るスイッチングシステムであって、Nは、3以上である。従って、ここでは、簡易な操作で、3個以上の被駆動装置からなるシステムのONパターンを任意に制御することができる。
【0020】
本発明の第7観点に係るスイッチングシステムは、第1観点から第6観点のいずれかに係るスイッチングシステムであって、第1~第Nの被駆動装置は、照明である。ここでは、簡易な操作で、N個の照明装置を任意の点灯パターンから別の任意の点灯パターンへと切り替えることができる。なお、点灯パターンとは、点灯中の照明装置の組み合わせを意味し、全ての照明装置が消灯しているパターンも含むものとする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、(N+2)個のメインスイッチに対する1~(N+2)回の簡易な操作で、N個の被駆動装置を任意のONパターンから別の任意のONパターンへと切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスイッチングシステム及びスイッチングシステムにより駆動される照明システムの全体構成を示す図。
【図2】結び目理論を説明するための図。
【図3】図2の例における8つのONパターンを示す図。
【図4】サブスイッチの構成を示す図。
【図5】差分パターンと操作パターンとの対応表を示す図。
【図6】図5の対応表において、メインスイッチが1つ故障した場合に有効な操作パターンを示す図。
【図7】図5の対応表において、メインスイッチが2つ故障した場合に有効な操作パターンを示す図。
【図8】本発明の第2実施形態に係るスイッチングシステム及びスイッチングシステムにより駆動される照明システムの全体構成を示す図。
【図9】差分パターンと操作パターンとの対応表を示す別の図。
【図10】変形例に係るスイッチングシステム及びスイッチングシステムにより駆動される照明システムの全体構成を示す図。
【図11】点灯パターンの切り替えをユーザに指示させる指示画面を示す図。
【図12】点灯パターンの切り替えをユーザに指示させる別の指示画面を示す図。
【図13】4つの交点を有する可約結び目射影図の一例。
【図14】図13の可約結び目射影図のモデルに対応する別の変形例に係るスイッチングシステム及びスイッチングシステムにより駆動される照明システムの全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1及び第2実施形態に係るスイッチングシステムについて説明する。
<1.第1実施形態>
<1-1.スイッチングシステムの概要>
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るスイッチングシステム1は、照明システム10を駆動するためのシステムであり、照明システム10へ電力を供給する電源20と、電源20から照明システム10への電力の供給を制御する複合スイッチ30とを有する。照明システム10は、1つの開けた空間等に配置されるN個(Nは、2以上の整数)の照明装置L1~LNを有する。照明装置L1~LNは、電源20から電力が供給されている状態と供給されていない状態、すなわち、ON(点灯)状態とOFF(消灯)状態との間を個別に切り替え可能である。なお、図1は、N=3の場合を示している。

【0024】
複合スイッチ30は、照明装置L1~LNを任意の点灯パターンから別の任意の点灯パターンへと切り替えることができる。ここで、点灯パターンとは、照明装置L1~LNに含まれる、点灯中の照明装置の組み合わせを意味し、全ての照明装置が消灯しているパターンも含むものとする。なお、k個の照明装置が点灯している点灯パターンの数は、Nkであるから(kは、0以上の整数)、点灯パターンには、全部で(N0N1N2+・・・+NN)個のパターンが存在する。従って、N=3の場合には、1+3+3+1=8個の点灯パターンが存在することになる。

【0025】
<1-2.各部の詳細な構成>
上記のとおり、複合スイッチ30は、任意の点灯パターンで点灯中の照明装置L1~LNを別の任意の点灯パターンで点灯させることを実現するものであるが、その構成には、結び目理論が応用されている。従って、以下では、まず、結び目理論について説明した後、結び目理論に基づく複合スイッチ30の構成について説明する。

【0026】
結び目理論によれば、以下の(1)~(4)が同時に成立することが数学的に証明されている。結び目理論に関する以下の(1)~(4)の説明では、N=3の場合の図2及び図3を参照する。
(1)結び目射影図と呼ばれる、一筆書きにより表される平面上の閉じた一本の線Aに、全部でN個の交点C1~CNが存在するとき、線Aにより囲まれるエリアの数は(N+1)となり、線Aを囲むエリアの数は1となり、これらのエリアの総数は(N+2)である。ただし、前提として、線Aの一部である3本以上の線分が1点で交差することはないものとする。なお、一筆書きにより表される一本の線が「閉じた」状態にあるとは、一筆書きの始点と終点とが同じであることを意味する。以下、線Aにより囲まれる(N+1)個のエリアをエリアR1~RN+1とし、線Aを囲むエリアをエリアRN+2とする。

【0027】
(2)1から(N+2)までの整数である各iについて、エリアRiを選択すると、N個の交点C1~CNのうち、エリアRiに接する全ての交点のON/OFFが切り替わるものとしたとき、エリアR1~RN+2の中から順次エリアを重複なく選択していくことで、交点C1~CNを任意のONパターンから別の任意のONパターンへと必ず切り替えることができる。ここで、ONパターンとは、点灯パターンと同様の考え方で定義され、交点C1~CNに含まれる、ON状態の交点の組み合わせを意味し、全ての交点C1~CNがOFF状態であるパターンも含むものとする。なお、図2の線Aの例では、全部で、図3(A)~(H)の8つのONパターンが存在する。また、図2及び図3中、黒マルは、ON状態であることを示しており、白マルは、OFF状態であることを示している。従って、例えば、図2の状態から、エリアR1が選択されると、図3(C)の状態になり、さらにエリアR5が選択されると、図3(H)の状態になる。

【0028】
(3)(2)において、図2のように、各交点に接するエリアが4つであるような任意の既約結び目射影図を用いるモデルでは、エリアR1~RN+2の中から選択されるエリアの個数を1個以上、(N+2)/2個以下としても、同様のことが成り立つ。なお、結び目射影図には、既約結び目射影図と、可約結び目射影図と呼ばれるものがあり、既約結び目射影図では、全ての交点が4つのエリアに接するが、可約結び目射影図では、3つのエリアに接する交点が存在する。
(4)(2)において、R1~RN+2の中からエリアを選択する順序を任意に入れ替えても、最終的に得られる交点C1~CNのONパターンは同じである。

【0029】
以上の(1)~(4)によれば、(N+2)個のエリアR1~RN+2の中から特定のエリアの組み合わせを選択することにより、N個の交点C1~CNのONパターンを自在に切り替えることができることになる。複合スイッチ30は、この数学的事実を利用して、エリアR1~RN+2にそれぞれ対応する(N+2)個のメインスイッチM1~MN+2のON/OFFを切り替えることにより、N個の交点C1~CNにそれぞれ対応する照明装置L1~LNの点灯パターンを自在に切り替えられるようにするものである。

【0030】
そのためには、1から(N+2)までの整数である各iについて、メインスイッチMiにより、照明装置L1~LNのうち、エリアRiに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の照明装置のON/OFFが切り替え可能であることが必要である。そこで、本実施形態では、メインスイッチM1~MN+2に対する入力を照明装置L1~LNに対するこのような出力に変換するロジック(以下、入力変換ロジック)として、メインスイッチM1~MN+2と照明装置L1~LNとに接続される、N個のサブスイッチ群SG1~SGNが用意されている。

【0031】
すなわち、図1に示すように、複合スイッチ30は、メインスイッチM1~MN+2と、サブスイッチ群SG1~SGNと、これらを接続する配線W1~WN+2とを有する。配線W1~WN+2の一端は、メインスイッチM1~MN+2にそれぞれ接続されおり、他端は、サブスイッチ群SG1~SGNに接続されている。なお、N=3である図1では、メインスイッチの数は、5であり、サブスイッチ群の数は、3であり、配線の数は、5である。サブスイッチ群SG1~SGNは、照明装置L1~LNにそれぞれ接続されており、照明装置L1~LNのON/OFFをそれぞれ切り替えるためのスイッチである。

【0032】
そして、本実施形態では、上述の入力変換ロジックを実現するべく、1からNまでの整数である各jについて、サブスイッチ群SGjが4つのサブスイッチを含むように構成されている。そして、図1に示すように、同じサブスイッチ群に含まれるこれらの4つのサブスイッチは、M1~MN+2の中から選択される4つのメインスイッチにそれぞれ接続され、これら4つのメインスイッチによりそれぞれON/OFFが切り替えられるようになっている。ここで、同じサブスイッチ群に関連付けられる4つのメインスイッチの選択の方法は、同じ交点に接する4つのエリアにそれぞれ対応する4つのメインスイッチを選択するというものである。より具体的には、1からNまでの整数である各jについて、サブスイッチ群SGjに関連付けられる4つメインスイッチとは、メインスイッチM1~MN+2のうち、サブスイッチ群SGjに接続される照明装置Ljに対応する交点Cjに接する4つのエリアにそれぞれ対応するものである。

【0033】
なお、1からNまでの少なくとも1つの整数jについて、サブスイッチ群SGjに含まれるサブスイッチの数を3つとしても、入力変換ロジックを実現することは可能である。しかし、本実施形態では、上記(3)の事実に注目して、メインスイッチM1~MN+2に対する最大の操作回数を(N+2)/2回以下とすべく、既約結び目射影図のモデルが採用されている。

【0034】
また、本実施形態において、上述の入力変換ロジックを実現するためには、さらに以下の構成が必要とされる。すなわち、1からNまでの整数である各jについて、サブスイッチ群SGjに含まれる4つのサブスイッチのどの1つのON/OFFが切り替えられようとも、サブスイッチ群SGjの全体としてのON/OFFが切り替えられ、その結果、照明装置LjのON/OFFも切り替えられることが必要である。これは、1からNまでの整数である各jについて、交点Cjに接する4つのエリアのどの1つのエリアが選択されようとも、交点CjのON/OFFが切り替わるという上記(2)の前提に対応する構成を、サブスイッチ群SGjにおいて実現するためである。

【0035】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、サブスイッチとして、三路スイッチ(図4(A)参照)及び四路スイッチ(図4(B)参照)を利用している。より具体的には、1からNまでの整数である各jについて、2つの三路スイッチと、2つの四路スイッチとを直線状に組み合わせることにより、サブスイッチ群SGjを構成している。三路スイッチ及び四路スイッチは、それぞれが接続されるメインスイッチのON/OFFの切り替えにより、図4に示されるON/OFFの2つの状態間を切り替えられる。また、1からNまでの整数である各jについて、サブスイッチ群SGj内では、照明装置Lj及び電源20に三路スイッチが1つずつ接続され、それらの三路スイッチの間に2つの四路スイッチが接続されるようになっている。

【0036】
ここで、図1のサブスイッチ群SG1では、電源20からの電流が照明装置L1に達し、照明装置L1が点灯しているが、サブスイッチ群SG2では、電源20と照明装置L2とを接続する配線が、メインスイッチM1に接続される三路スイッチで分断されており、照明装置L2が消灯した状態となっている。同様に、サブスイッチ群SG3では、電源20と照明装置L3とを接続する配線が、メインスイッチM2に接続される三路スイッチで分断されており、照明装置L3が消灯した状態となっている。

【0037】
<1-3.スイッチングシステムの動作>
以下、スイッチングシステム1により、照明装置L1~LNが駆動される様子について説明する。
ユーザは、まず、照明装置L1~LNの現在の点灯パターン(以下、変更前パターン)と、ユーザの望む点灯パターン(以下、変更後パターン)とを特定し、その差分である照明装置L1~LNの組み合わせ(以下、差分パターン)を特定する。例えば、変更前パターンが、図3(C)のONパターンに対応する点灯パターン、すなわち、照明装置L1~L3のうち、照明装置L2のみが点灯しているパターンであり、変更後パターンが、図3(D)のONパターンに対応する点灯パターン、すなわち、照明装置L1~L3のうち、照明装置L3のみが点灯しているパターンであるとすると、照明装置L1についてはそのままでよいが、照明装置L2,L3についてはON/OFFを切り替える必要がある。従って、この例における差分パターンは、照明装置L2,L3である。

【0038】
続いて、ユーザは、照明装置L1~LNのうち、差分パターンに含まれる照明装置のON/OFFのみを切り替えるために操作すべき、メインスイッチM1~MN+2の組み合わせ(以下、操作パターン)を特定する。この特定は、ユーザが頭の中で行ってもよいが、図5に示すような差分パターンと操作パターンとの対応表を準備しておけば、点灯パターンの変更の操作がスムーズである。ここで、図3(C)のONパターンから図3(D)のONパターンへと変更する上述の例では、差分パターン(L2,L3)に対応する操作パターンは、図5の対応表から、(M3),(M1,M5),(M2,M3,M4),(M1,M2,M4,M5)の4種類であることが分かる。

【0039】
次に、ユーザは、特定した操作パターンの中から、任意の1つの操作パターンを選択し、その操作パターンに係るメインスイッチのON/OFFを切り替えることにより、照明装置L1~LNの現在の点灯パターンを、所望のものへと変更することができる。このとき、結び目理論から導かれる上記(4)から分かるとおり、選択した操作パターンが複数のメインスイッチの組み合わせであったとしても、その操作の順序に制約はない。

【0040】
ここで、本実施形態では、既約結び目射影図のモデルが採用されているため、1の差分パターンに対応する操作パターンは、常に複数存在する。そして、同じ差分パターンに対応する操作パターンであれば、どのパターンを選んでも結果的には同じ点灯パターンが得られることになるが、ユーザは、操作回数のより少ないものを選ぶことにより、手間を省くことができる。なお、本実施形態及び後述する第2実施形態の説明において、メインスイッチM1~MN+2に対する「操作回数」をカウントするときには、メインスイッチM1~MN+2の中の1つのON/OFFを1回切り替える操作を、そのカウントの単位とする。

【0041】
さらに、結び目理論から導かれる上記(3)によれば、既約結び目射影図のモデルを採用する本実施形態では、(N+2)/2以下の操作回数で、照明装置L1~LNを任意の点灯パターンから別の任意の点灯パターンへと必ず切り替えることが可能となる。従って、照明装置L1~LNにそれぞれ対応し、かつ、互いに連動しないN個のスイッチを用意するよりも、(N+2)/2<Nが常に成立するN≧3の場合には、点灯パターンを変更するための最大の操作回数を減らすことができる。

【0042】
また、1の差分パターンに対応する操作パターンが複数存在するため、仮にメインスイッチM1~MN+2の一部が故障しようとも、依然として照明装置L1~LNを任意の点灯パターンから別の任意の点灯パターンへと切り替えることができる。なお、図6は、図5の対応表において、メインスイッチM1の故障により無効となる操作パターンに斜め線を入れたものであるが、この表から分かるとおり、各差分パターンを実現する操作パターンが少なくとも1つずつ残っている。また、図7は、図6の対応表において、さらにメインスイッチM2が故障することにより無効となる操作パターンに斜め線を加えたものであるが、このような場合にもなお、各差分パターンを実現する操作パターンが少なくとも1つずつ残っている。

【0043】
<1-4.特徴>
第1実施形態では、照明装置L1~LNがどのような点灯パターンで点灯中であっても、既約結び目射影図のモデルが採用されているため、メインスイッチM1~MN+2に対する最大で(N+2)/2回の操作で、任意の点灯パターンを実現することができる。また、操作回数を(N+2)/2以下にすることを担保することはできなくなるものの、メインスイッチM1~MN+2の一部が故障したとしても、依然として照明装置L1~LNの任意の点灯パターンを実現することができる。

【0044】
<2.第2実施形態>
以下、図8及び図9を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係るスイッチングシステム101について説明する。スイッチングシステム101は、第1実施形態に係るスイッチングシステム1と同様、照明システム10の駆動を制御するものであるが、両者の主な相違点は、サブスイッチ群SG1~SGNの処理の一部がソフトウェア処理に置換されている点にある。具体的なハードウェア構成としては、図1及び図8を比較すると分かるように、N個のサブスイッチ群SG1~SGNが、同様の機能を有するコンピュータ40及びN個のスイッチH1~HNに置換されている。以下、スイッチングシステム101について、第1実施形態との相違点を中心に説明していくが、第1実施形態と共通の参照符号が付された構成要素については、同様の構成を有するものとする。

【0045】
具体的には、N個のスイッチH1~HNは、照明装置L1~LNにそれぞれ接続されており、電源120から照明装置L1~LNへの電力の供給を制御することにより、照明装置L1~LNのON/OFFをそれぞれ切り替えるためのスイッチである。コンピュータ40は、制御プログラム2がインストールされている汎用のパーソナルコンピュータであり、スイッチH1~HNに接続されている。制御プログラム2は、メインスイッチM1~MN+2に対するユーザの操作に応じてスイッチH1~HNのON/OFFを制御するためのソフトウェアであり、コンピュータ40に後述する以下の動作を実行させる。

【0046】
図8に示すように、コンピュータ40は、制御部41と、記憶部42と、入力部43と、表示部44と、通信部45とを有し、これらの部41~45は、相互に通信可能である。本実施形態では、制御部41は、CPU、ROMおよびRAM等から構成されており、記憶部42は、ハードディスク等から構成されている。制御プログラム2は、記憶部42内に格納されている。入力部43は、マウスおよびキーボート等から構成されており、コンピュータ40に対するユーザからの操作を受け付けるユーザインターフェースである。表示部44は、液晶ディスプレイ等から構成されており、所定の画面等をユーザに対し表示するユーザインターフェースである。通信部45は、コンピュータ40を外部機器であるメインスイッチM1~MN+2に接続する通信インターフェースである。なお、メインスイッチM1~MN+2のいずれかが操作されると、その旨を示す信号がリアルタイムで通信部45へと入力される。

【0047】
記憶部42内には、図9に示す変換テーブル42aが格納されている。変換テーブル42aは、図5の差分パターンと操作パターンとの対応表を、操作パターンを基準にして書き直したものである。そして、制御部41は、1から(N+2)までの整数である各iについて、ユーザによりメインスイッチMiが操作された旨を示す信号を検出すると、その信号から操作パターン(ユーザにより操作されたメインスイッチの組み合わせ)を特定する。なお、本実施形態では、各メインスイッチが操作される度に、その旨を示す信号が生成されることになるが、制御部41は、所定の時間間隔内に複数回の操作に係る信号を受信した場合には、それらの複数回の操作をまとめた操作パターンを特定する。

【0048】
続いて、制御部41は、変換テーブル42aを参照することにより、特定した操作パターンに対応する差分パターンを特定する。そして、制御部41は、スイッチH1~HNのうち、その差分パターンに係る全ての照明装置にそれぞれ対応する1以上のスイッチのON/OFFを切り替える。すなわち、制御部41は、変換テーブル42aを参照することにより演算処理の一部を省略しているものの、1から(N+2)までの整数である各iについて、メインスイッチMiに対するユーザの操作を検出すると、エリアRiに接する全ての交点にそれぞれ対応する1以上の照明装置を特定する。そして、制御部41は、特定された1以上の照明装置のON/OFFを切り替えるように制御する。これにより、第2実施形態でも、第1実施形態と同様、既約結び目射影図のモデルが採用されているため、メインスイッチM1~MN+2に対する(N+2)/2以下の操作回数で、照明装置L1~LNを任意の点灯パターンから別の任意の点灯パターンへと必ず切り替えることが可能となる。従って、(N+2)/2<Nが常に成立するN≧3の場合には、点灯パターンを変更するための最大の操作回数を減らすことができる。

【0049】
<3.変形例>
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。

【0050】
<3-1>
第1実施形態において、図10に示すように、メインスイッチM1~MN+2に接続されるコンピュータ50を配置してもよい。ここで、コンピュータ50のハードウェア構成は、第2実施形態に係るコンピュータ40と同様であるものとする。そして、このコンピュータ50の制御部41は、ユーザに対し表示部44上に図11及び図12に示すような指示画面を表示し、この指示画面上で入力部43を介してユーザから変更後パターン又はON/OFFを切り替えたい個々の照明装置(以下、対象装置)の指定の入力を受け付ける。

【0051】
図11及び図12に示す指示画面上では、変更後パターン又は対象装置に直接対応するオブジェクトI1,I2が表示されようになっている。そして、ユーザがいずれかのオブジェクトI1,I2を選択すると、操作パターン(ON/OFFを切り替えるべきメインスイッチの組み合わせ)が制御部41により自動的に計算され、計算された操作パターンに沿ってメインスイッチのON/OFFが制御部41により自動的に切り替えられる。すなわち、制御部41は、照明装置L1~LNのうち、ユーザにより指定された照明装置に対応するメインスイッチを操作するが、このメインスイッチは、ユーザにより指定された照明装置に対応する交点に接するエリアに対応するものである。

【0052】
第1実施形態では、ユーザは、図5の対応表を利用する等して、変更後パターンに達するためにはメインスイッチM1~MN+2の中のどのメインスイッチを押すべきかを考える必要があったが、本変形例によれば、ユーザが頭の中で計算していたこれらのことが、コンピュータ50により自動化されるようになっている。特に、図11の例では、たった1回のアイコン等の選択操作で、照明装置L1~LNの任意の点灯パターンが実現され、ユーザの負担が低減されるようになっている。

【0053】
<3-2>
第2実施形態において、メインスイッチM1~MN+2に代えて又は加えて、同様の機能を有する仮想スイッチをコンピュータ40により実現してもよい。例えば、表示部44上にメインスイッチM1~MN+2にそれぞれ対応するオブジェクトを表示させ、ユーザが入力部43を介しそれらのオブジェクトを操作すると、その旨が制御部41により検知され、以後、同様の処理が実行されるようにしてもよい。

【0054】
<3-3>
第1及び第2実施形態では、既約結び目射影図のモデルが採用されたが、可約結び目射影図のモデルが採用されてもよい。例えば、図13に示すような、4つの交点C1~C4と6つのエリアR1~R6とが存在する可約結び目射影図のモデルを第1実施形態に適用すると、スイッチングシステム1及び照明システム10は、6つのメインスイッチM1~M6と6つの配線W1~W6と4つのサブスイッチ群SG1~SG4と4つの照明装置L1~L4とが存在する図14に示すようなものになる。本変形例では、可約結び目射影図のモデルが採用されるため、図14に示すサブスイッチ群SG4のように、3つのサブスイッチしか有さないサブスイッチ群が存在する。従って、部品点数が減り、コストの削減等も期待される。
【符号の説明】
【0055】
1,101 スイッチングシステム
10 照明システム
40,50 コンピュータ
41 制御部
43 入力部
1~LN 照明装置(被駆動装置)
1~MN+2 メインスイッチ
SG1~SGN サブスイッチ群
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
12
【図14】
13