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明細書 :基板粒子または集積体、並びにこれらの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5779803号 (P5779803)
公開番号 特開2012-240860 (P2012-240860A)
登録日 平成27年7月24日(2015.7.24)
発行日 平成27年9月16日(2015.9.16)
公開日 平成24年12月10日(2012.12.10)
発明の名称または考案の名称 基板粒子または集積体、並びにこれらの製造方法
国際特許分類 C01G  23/00        (2006.01)
C30B  29/32        (2006.01)
FI C01G 23/00 C
C30B 29/32 C
請求項の数または発明の数 14
全頁数 21
出願番号 特願2011-109811 (P2011-109811)
出願日 平成23年5月16日(2011.5.16)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 (1)国立大学法人山梨大学工学部応用化学科 平成22年度修士論文発表会 国立大学法人山梨大学 平成23年2月14日 (2)公益社団法人日本セラミックス協会2011年年会 講演予稿集 平成23年3月16日 (3)公益社団法人日本セラミックス協会2011年年会 講演予稿集 平成23年3月16日
審査請求日 平成26年5月16日(2014.5.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
発明者または考案者 【氏名】和田 智志
個別代理人の代理人 【識別番号】100113516、【弁理士】、【氏名又は名称】磯山 弘信
審査官 【審査官】田澤 俊樹
参考文献・文献 特開2010-208923(JP,A)
特開2007-210811(JP,A)
米国特許第6514476(US,B1)
特開2008-230959(JP,A)
後藤隆幸 他,"ナノキュ-ブ基板を用いたチタン酸バリウム/チタン酸ストロンチウム多層ナノ複合粒子の合成",第30回エレクトロセラミックス研究討論会講演予稿集,2010年10月29日,p.106
後藤隆幸 他,"ナノキュ-ブを用いたチタン酸バリウム/チタン酸ストロンチウムナノ複合粒子の合成",日本セラミックス協会2010年年会講演予稿集,2010年 3月22日,p.172上段
調査した分野 C01G 1/00-99/00
C30B 1/00-35/00
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
単結晶を作製する単結晶作製工程と、
前記単結晶にヘテロエピタキシャル層を形成するヘテロエピタキシャル層形成工程を備え、
前記単結晶作製工程は、第1の元素の水酸化物と第2の元素の酸化物を原料とし、有機溶媒を使用するソルボサーマル法を用い、
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程は、第3の元素の水酸化物と第4の元素の錯体を原料とし、溶媒を使用するソルボサーマル法を用い、
前記単結晶作製工程において、チタン酸ストロンチウムの単結晶を作製し、
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程において、チタン酸バリウムのヘテロエピタキシャル層を形成することを特徴とする
基板粒子の製造方法。
【請求項2】
前記単結晶作製工程における前記第1の元素の水酸化物がSr(OH)2であり、
前記第2の元素の酸化物がTiO2であり、前記有機溶媒がエタノールと2-メトキシエタノールの混合溶媒であること特徴とする
請求項1に記載の基板粒子の製造方法。
【請求項3】
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程における前記第3の元素の水酸化物がBa(OH)2であり、前記第4の元素の錯体がチタンのキレート錯体であり、前記溶媒が水とエタノールの混合溶媒であることを特徴とする
請求項1から2のいずれかに記載の基板粒子の製造方法。
【請求項4】
前記チタンのキレート錯体がジ-i-プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン(Ti(i-PrO)2(acac)2)であることを特徴とする
請求項3記載の基板粒子の製造方法。
【請求項5】
単結晶を集積した集積体と、
前記集積体に形成されたヘテロエピタキシャル層を備え、
前記単結晶は、チタン酸ストロンチウムであり、
前記集積体は、圧粉体ペレットであり、
前記ヘテロエピタキシャル層は、チタン酸バリウムあること特徴とする
ヘテロエピタキシャル層を有する集積体。
【請求項6】
単結晶を集積した集積体と、
前記集積体に形成されたヘテロエピタキシャル層を備え、
前記単結晶は、チタン酸ストロンチウムであり、
前記集積体は、圧粉体ペレットであり、
前記ヘテロエピタキシャル層は、チタン酸バリウムあり、
前記ヘテロエピタキシャル層は、水酸化物と錯体を原料とし、水と有機溶媒の混合溶媒を使用するソルボサーマル法を用いて形成すること特徴とする
ヘテロエピタキシャル層を有する集積体。
【請求項7】
単結晶を集積した集積体と、
前記集積体に形成されたヘテロエピタキシャル層を備え、
前記単結晶は、チタン酸ストロンチウムであり、
前記集積体は、圧粉体ペレットであり、
前記ヘテロエピタキシャル層は、チタン酸バリウムあり、
前記ヘテロエピタキシャル層は、Ba(OH)2とチタンキレート錯体を原料とし、水と有機溶媒の混合溶媒を使用するソルボサーマル法を用いて形成すること特徴とする
ヘテロエピタキシャル層を有する集積体。
【請求項8】
単結晶を集積した集積体と、
前記集積体に形成されたヘテロエピタキシャル層を備え、
前記単結晶は、チタン酸ストロンチウムであり、
前記集積体は、圧粉体ペレットであり、
前記ヘテロエピタキシャル層は、チタン酸バリウムあり、
前記ヘテロエピタキシャル層は、Ba(OH)2とTi(i-PrO)2(acac)2を原料とし、水とエタノールの混合溶媒を使用するソルボサーマル法を用いて形成すること特徴とする
ヘテロエピタキシャル層を有する集積体。
【請求項9】
単結晶を作製する単結晶作製工程と、
前記単結晶が集積された集積体を作製する集積体作製工程と、
前記集積体にヘテロエピタキシャル層を形成するヘテロエピタキシャル層形成工程を備え、前記単結晶作製工程は、第1の元素の水酸化物と第2の元素の酸化物を原料とし、有機溶媒を使用するソルボサーマル法を用い、
前記集積体作製工程は、前記単結晶にバインダーを加えて混合し、乾燥後に粉砕し、プレスによってペレット状に成形して作製し、
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程は、第3の元素の水酸化物と第4の元素の錯体を原料とし、溶媒を使用するソルボサーマル法を用い、
前記単結晶作製工程において、チタン酸ストロンチウムの単結晶を作製し、
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程において、チタン酸バリウムのヘテロエピタキシャル層を形成することを特徴とする
ヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法。
【請求項10】
前記単結晶作製工程における前記第1の元素の水酸化物がSr(OH)2であり、
前記第2の元素の酸化物がTiO2であり、前記有機溶媒がエタノールと2-メトキシエタノールの混合溶媒であること特徴とする
請求項9に記載のヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法。
【請求項11】
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程における前記第3の元素の水酸化物がBa(OH)2であり、前記第4の元素の錯体がチタンのキレート錯体であり、前記溶媒が水とエタノールの混合溶媒であることを特徴とする
請求項9または10のいずれかに記載のヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法。
【請求項12】
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程におけるソルボサーマル法の反応温度は150℃から250℃の範囲にあることを特徴とする
請求項9から11のいずれかに記載のヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法。
【請求項13】
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程におけるBa(OH)2とチタンのキレート錯体の量比は、Ba/Tiの元素比が1から10の範囲内にあるように構成されていることを特徴とする
請求項11から12のいずれかに記載のヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法。
【請求項14】
前記ヘテロエピタキシャル層形成工程におけるソルボサーマル法において、溶液中のTi濃度は0.01~1mol/L(リットル)の範囲であることを特徴とする
請求項11から13のいずれかに記載のヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な基板粒子に関する。
また、本発明は、新規な基板粒子の製造方法に関する。
また、本発明は、新規な集積体に関する。
また、本発明は、新規な集積体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人工構造を持った物質が高い圧電および誘電特性を発現することが報告されている。構造の異なる2つの物質がエピタキシャルな界面を持つとき、その界面には構造傾斜領域と呼ばれる領域があると考えられている。その構造傾斜領域は、2つの格子構造の間の整合性を保つような歪んだ構造を持ち、これが高い物性を発現する要因となっていると考えられている。
【0003】
代表的なペロブスカイト型構造の圧電材料であるPZTセラミックスは、圧電特性や誘電特性が最大値を示す組成は、室温で正方晶構造と菱面体晶構造との組成層境界(MPB)領域である。このMPB領域において、低温における単斜晶構造の存在が発見されて以来(非特許文献1参照)、さらに研究が進められ、2相間の界面で正方晶構造から菱面体晶構造へ徐々に構造が変化する構造傾斜領域が存在することが明らかとなった(非特許文献2~4参照)。この構造傾斜領域おいて、分極回転機構がその概念として提案されており(非特許文献5,6参照)、構造傾斜領域の存在が圧電特性や誘電特性の増大の起源であると考えられる。
【0004】
さらに、高い誘電特性がT. HarigaiらやD.G. Schlomらにより代表的な強誘電体のチタン酸バリウム(BaTiO3, BT)と常誘電体のチタン酸ストロンチウム(SrTiO3, ST)を用いた人工超格子薄膜において報告されている(非特許文献7~10参照)。この人工超格子構造は、江崎玲於奈氏によって提案された物質で、異なる物質を交互に積層させたものである。
【0005】
近年の薄膜作製技術の進歩によって、薄膜の構造を原子層オーダーで制御することができるようになり、人工超格子が実際に作製されるようになった。分子線エピタキシー(MBE)法により作製されたこのBT/ST人工超格子薄膜ではBTおよびSTを10層積層させた薄膜で33,000もの巨大な非誘電率を示した(非特許文献9参照)。この異常なほど高い誘電特性は構造傾斜層が要因として考えられている。
【0006】
また、STとジルコン酸ストロンチウムを用いた人工超格子薄膜も同様に10層積層したものが作製されたが、常誘電体どうしの積層であるにもかかわらず、強誘電体のようなヒステリシスループを描くことが明らかとなった(非特許文献7参照)。これらの現象も2つの物質間の界面に存在する構造傾斜層によるものと考えられている。
【0007】
このように、PZTの2相が共存するMPB領域における分極回転機構や、BT/ST人工超格子薄膜における格子歪みはどちらも界面が、それぞれ物性向上の鍵となっていることは明らかである。したがって、ヘテロエピタキシャルな界面をもつ物質の作製により、構造傾斜領域を人工的に物質に加えることで、この人工超格子薄膜のように巨大な物性値だけでなく新しい物性を得ることも可能であると考えられる。
【0008】
一方、人工超格子誘電体ナノ粒子およびその製造方法が開示されている(特許文献1参照)。この人工超格子誘電体ナノ粒子は、2種類以上の化学組成の異なる酸化物を溶液中で、化学組成の異なる粒子上にエピタキシャルに成長させることにより、球状の核の同心円上に化学組成の異なる酸化物の2種類以上を交互に積層し、球状とした人工超格子ナノ粒子であり、前記酸化物はチタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウムを含み、前記酸化物のチタン源として、ジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Ti(i-PrO)2(acac)2,TPA)を用いている。
【0009】
なお、発明者は、本発明に関連する技術内容を開示している(非特許文献11~13参照)。これらは、特許法第30条第1項を適用できるものと考えられる。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特開平2010-208923
【0011】

【非特許文献1】B. Noheda, D.E. Cox, G. Shirirane, J.A. Gonzalo, L.E. Cross, S. E. Park, Appl. Phys. Lett. , 74, 2059-2061, (1999).
【非特許文献2】K.A. Schonau, L.A. Schmitt, M. Knapp, H. Fuess, R.A. Eichel, H. Kungl, M. J. Hoffmann, Phys. Rev. B, 75, 184117 (2007)
【非特許文献3】K.A. Schonau, M. Knapp, H. Kungl, M.J. Hoffmann, H. Fuess, Phsy. Rev. B, 76, 144112 (2007)
【非特許文献4】L. A. Schmitt, K.A. Schonaou, R. Theissmann, H. Fuess, H. Kungl, M.J. Hoffmann, J. Appl. Phys., 101, 074107 (2007)
【非特許文献5】H. Fu, R.E. Cohen, Nature, 403, 281-283 (2000)
【非特許文献6】Z. Wu, R.E. Cohen, Phys. Rev. Lett., 95, 037601 (2005)
【非特許文献7】T. Harigai, S.M. Nam, H. Kakemoto, S. Wada, K. Saito, T. Tsurumi, Thin Solid Film, 509, issues 1-2, 13-17 (2006)
【非特許文献8】T. Harigai, D. Tanaka, H. Kakemoto, S. Wada, T. Turumi, J, Appl. Phys. 94, 7923-7925 (2003)
【非特許文献9】T. Tsurumi, T. Ichikawa, T. Harigai, H. Kakemoto, S. Wada, J. Appl. Phys. 91, 2284-2289 (2002)
【非特許文献10】D.G. Schlom, J.H. Haeni, J. Lettieri, C.D. Theis, W. Tian, J.C. Jiang, X.Q. Pan, Material Science & Engineering, B, 87, 282-291 (2001)
【非特許文献11】国立大学法人山梨大学工学部応用化学科平成22年度修士論文発表会、「チタン酸バリウム/チタン酸ストロンチウムナノ複合粒子を用いた集積体の作製とその誘電特性」、後藤隆幸・和田智志、国立大学法人山梨大学工学部応用化学科、平成23年2月14日
【非特許文献12】岩月将吾・後藤隆幸・計良匡俊・中島光一・藤井一郎・和田智志, 「ソルボサ-マル法を用いたチタン酸バリウム-チタン酸ストロンチウム集積体セラミックスの作製とその誘電特性」, 日本セラミックス協会2011年 年会, 2P168, P219, 2011/3/16-18, 静岡
【非特許文献13】後藤隆幸・中島光一・藤井一郎・和田智志・黒岩芳弘, 「チタン酸バリウム/チタン酸ストロンチウムナノ複合粒子を用いた集積体の作製とその誘電特性」, 日本セラミックス協会2011年 年会, 2P035, P153, 2011/3/16-18, 静岡
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
BT/ST人工超格子薄膜は巨大な比誘電率を示しており、新しい誘電体材料として期待されていることは上述した通りである。しかしながら、人工超格子薄膜はナノオーダーであり、実用化には未だ課題が多い。すなわち、高コストであり、500℃以上の高温での作製のため急峻な境界を作製できない、1次元の物性しか期待できないなどの問題がある。
【0013】
また、特許文献1においては、エピタキシャルな界面が作製できていない、基板が球状粒子であるため単一の界面ではなく複雑な界面構造を有しているなどの問題がある。
【0014】
そのため、このような課題を解決する、新規な基板粒子または集積体、並びにこれらの製造方法の開発が望まれている。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な基板粒子を提供することを目的とする。
また、本発明は、新規な基板粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、新規な集積体を提供することを目的とする。
また、本発明は、新規な集積体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の基板粒子は、単結晶からなる基板粒子であり、前記基板粒子がヘテロエピタキシャル層を有する。
【0018】
ここで、限定されるわけではないが、単結晶の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、ヘテロエピタキシャル層の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。
【0019】
本発明のヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子の製造方法は、基板粒子にヘテロエピタキシャル層を形成する方法であって、前記基板粒子が単結晶からなる。
【0020】
ここで、限定されるわけではないが、単結晶の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、ヘテロエピタキシャル層の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。
【0021】
本発明の集積体は、基板粒子を集積した集積体であり、前記基板粒子が単結晶からなり、前記集積体がヘテロエピタキシャル層を有する。
【0022】
ここで、限定されるわけではないが、単結晶の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、ヘテロエピタキシャル層の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。
【0023】
本発明のヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法は、基板粒子を集積した集積体にヘテロエピタキシャル層を形成する方法であって、前記基板粒子が単結晶からなる。
【0024】
ここで、限定されるわけではないが、単結晶の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。また、限定されるわけではないが、ヘテロエピタキシャル層の材質は、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、または酸化亜鉛から選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
【0026】
本発明の基板粒子は単結晶からなり、前記基板粒子がヘテロエピタキシャル層を有するので、新規な基板粒子を提供することができる。
【0027】
本発明のヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子の製造方法は、基板粒子にヘテロエピタキシャル層を形成する方法であって、前記基板粒子が単結晶からなるので、新規な基板粒子の製造方法を提供することができる。
【0028】
本発明の集積体は、基板粒子を集積した集積体であり、前記基板粒子が単結晶からなり、前記集積体がヘテロエピタキシャル層を有するので、新規な集積体を提供することができる。
【0029】
本発明のヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法は、基板粒子を集積した集積体にヘテロエピタキシャル層を形成する方法であって、前記基板粒子が単結晶からなるので、新規な集積体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】集積体のモデルを示す図である。
【図2】BTが核生成する領域を示す図である。
【図3】BTonST粒子(a)およびBT-ST混合粒子(b)のXRD測定結果を示す図である。
【図4】BTonST粒子のSEM像を示す写真である。
【図5】ST基板粒子のSEM像を示す写真である。
【図6】BTonST粒子およびBT-ST混合粒子の200面のXRDピークを示す図である。
【図7】BTonST粒子およびBT-ST混合粒子のXRDの温度変化を示す図である。
【図8】BTonST粒子およびBT-ST混合粒子の格子定数の温度変化を示す図である。
【図9】BTonST粒子のTEM明視野像を示す写真である。
【図10】2次元静水圧モデルの模式図である。
【図11】反応前、反応1回目、反応2回目、および反応3回目のST圧粉体のXRD測定結果を示す図である。
【図12】反応前、反応1回目、反応2回目、および反応3回目のST圧粉体のXRD測定結果を示す図である。
【図13】反応前および反応後のBT圧粉体のXRD測定結果を示す図である。
【図14】反応前および反応後のBT圧粉体のXRD測定結果を示す図である。
【図15】BTonST集積体およびBTonBT集積体の誘電特性評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、基板粒子および集積体、並びにこれらの製造方法にかかる発明を実施するための形態について説明する。

【0032】
本発明の基板粒子は、単結晶からなる基板粒子であり、前記基板粒子がヘテロエピタキシャル層を有するものである。
また、本発明の、ヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子の製造方法は、基板粒子にヘテロエピタキシャル層を形成する方法であって、前記基板粒子が単結晶からなる。

【0033】
本発明の集積体は、基板粒子を集積した集積体であり、前記基板粒子が単結晶からなり、 前記集積体がヘテロエピタキシャル層を有するものである。
また、本発明の、ヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法は、基板粒子を集積した集積体にヘテロエピタキシャル層を形成する方法であって、前記基板粒子が単結晶からなる。

【0034】
ヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子、およびヘテロエピタキシャル層を有する集積体について説明する。

【0035】
ヘテロエピタキシャル層を有する集積体とは、図1に示すように、異なる構造をもつ2つの物質のうち一方の圧粉体を、もう一方の物質で覆う構造をもち、2つの物質はヘテロエピタキシャルな界面を有するようなセラミックスである。

【0036】
単結晶からなる基板粒子の結晶構造としては、正方晶、立方晶、斜方晶、稜面体晶、単斜晶、六方晶、三斜晶などを採用することができる。

【0037】
ヘテロエピタキシャル層の結晶構造としては、正方晶、立方晶、斜方晶、稜面体晶、単斜晶、六方晶、三斜晶などを採用することができる。

【0038】
ヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子、およびヘテロエピタキシャル層を有する集積体は、誘電体、磁性体、半導体、または導電体等としての特性を有する。

【0039】
誘電体の単結晶の材質としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、酸化亜鉛などを採用することができる。

【0040】
誘電体のヘテロエピタキシャル層の材質としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸鉛、ジルコン酸ビスマス、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸リチウム、鉄酸ビスマス、酸化チタン、酸化亜鉛などを採用することができる。

【0041】
磁性体の単結晶の材質としては、フェライト、酸化コバルト、酸化ニッケル、鉄酸ビスマスなどを採用することができる。

【0042】
磁性体のヘテロエピタキシャル層の材質としては、フェライト、酸化コバルト、酸化ニッケル、鉄酸ビスマスなどを採用することができる。

【0043】
半導体の単結晶の材質としては、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、シリコン、ゲルマニウム、GaAs、GaN、InPなどを採用することができる。

【0044】
半導体のヘテロエピタキシャル層の材質としては、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、シリコン、ゲルマニウム、GaAs、GaN、InPなどを採用することができる。

【0045】
導電体の単結晶の材質としては、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、シリコン、ゲルマニウム、GaAs、GaN、InPなどを採用することができる。

【0046】
導電体のヘテロエピタキシャル層の材質としては、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、シリコン、ゲルマニウム、GaAs、GaN、InPなどを採用することができる。

【0047】
ヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子、およびヘテロエピタキシャル層を有する集積体の用途としては、電子部品、アクチュエータ、ブザー、圧電発電素子、超音波モータ、トランスデューサ、ジャイロ、センサなどを採用することができる。

【0048】
ヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子の製造方法、およびヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法について説明する。

【0049】
基板粒子または集積体にヘテロエピタキシャル層を形成する方法としては、ソルボサーマル法を採用した。液相法の中でも水熱法はチタン酸バリウム(BT)微粒子等の合成において、最も一般的に使われている合成法であり、高温高圧の水あるいは水溶液を利用する物質合成プロセスを総称する。この水熱法は、高温高圧の溶液を用いるため、常温常圧における合成に比べ、反応が速い、生成物の結晶性に優れる、均一性が高い、分散性がよい、化合物の固溶体が直接得られやすい、また粒径、粒形、粒度分布を制御しやすいという利点が挙げられる。特に水以外の有機溶媒(エタノールなど)を利用する場合ソルボサーマル法と呼び、水熱合成法に比べソルボサーマル法に関する研究は十分とは言えないが、溶質の溶解度の制御が出来るなどの利点もあり、本発明ではソルボサーマル法を用いた。

【0050】
基板粒子としては、上述した単結晶を採用することができる。
集積体としては、基板粒子の圧粉体、集積体などを採用することができる。

【0051】
基板粒子または集積体に、ヘテロエピタキシャル層を形成するための出発原料としては、金属水酸化物、金属キレート錯体、金属酸化物、金属、金属アルコキシドなどを採用することができる。

【0052】
出発原料である金属水酸化物としては、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ビスマス、水酸化鉛などを採用することができる。

【0053】
出発原料である金属キレート錯体としては、ジ-i-プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタンなどを採用することができる。

【0054】
出発原料である金属酸化物としては、酸化チタンなどを採用することができる。

【0055】
出発原料である金属としては、チタンなどを採用することができる。

【0056】
出発原料である金属アルコキシドとしては、チタンテトライソプロポキシドなどを採用することができる。

【0057】
基板粒子または集積体に、ヘテロエピタキシャル層を形成する反応において、溶媒としては、水、エタノール、メタノール、プロパノール、2-メトキシエタノールなどから選ばれるいずれか1種、またはいずれか2種以上の混合物を採用することができる。

【0058】
基板粒子または集積体に、ヘテロエピタキシャル層を形成する反応において、反応温度は100~300℃の範囲内にあることが好ましい。また、反応温度は150~250℃の範囲内にあることがさらに好ましい。

【0059】
反応温度が100℃以上であると、不純物の生成を抑制できるという利点がある。反応温度が150℃以上であると、この効果がより顕著になる。

【0060】
反応温度が300℃以下であると、超臨界点以下のマイルドな条件化で反応でき粒子成長を制御しやすいという利点がある。反応温度が250℃以下であると、この効果がより顕著になる。

【0061】
基板粒子または集積体に、ヘテロエピタキシャル層を形成する反応において、反応時間は1~20時間の範囲内にあることが好ましい。反応時間が1時間以上であると、不純物の生成を抑制できるという利点がある。反応時間が20時間以下であると、生成した結晶の再溶融を抑制できるという利点がある。

【0062】
基板粒子または集積体に、チタン酸バリウムからなるヘテロエピタキシャル層を形成する反応において、出発原料のBa/Ti元素比は1~10の範囲内にあることが好ましい。Ba/Ti元素比が1以上であると、目的物を作製できるという利点がある。Ba/Ti元素比が10以下であると、不純物の生成を抑制できるという利点がある。

【0063】
基板粒子または集積体に、チタン酸バリウムからなるヘテロエピタキシャル層を形成する反応において、溶液中のTi濃度は0.01~1mol/lの範囲内にあることが好ましい。溶液中のTi濃度が0.01mol/l以上であると、目的物を作製できるという利点がある。溶液中のTi濃度が1mol/l以下であると、不純物の生成を抑制できるという利点がある。

【0064】
基板粒子または集積体に、チタン酸バリウムからなるヘテロエピタキシャル層を形成する反応において、混合溶媒の混合比(EtOH/(H2O+EtOH))は0.3~1の範囲内にあることが好ましい。混合比(EtOH/(H2O+EtOH))が0.3以上であると、基板粒子の溶解を抑制できるという利点がある。混合比(EtOH/(H2O+EtOH))が1以下であると、不純物の生成を抑制できるという利点がある。

【0065】
ヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子の製造方法は、上述した方法に限定されるものではない。このほかヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子の製造方法としては、気相法などを採用することができる。

【0066】
ヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法は、上述した方法に限定されるものではない。このほかヘテロエピタキシャル層を有する集積体の製造方法としては、気相法などを採用することができる。

【0067】
以上のことから、本発明を実施するための形態によれば、ヘテロエピタキシャル層を有する基板粒子、およびヘテロエピタキシャル層を有する集積体は、構造の異なる2つの物質の界面に構造傾斜領域を有し、この構造傾斜領域が2つの格子構造の間の整合性を保つような歪んだ構造を持つので、高い誘電特性、磁性特性、半導特性、または導電特性等を発現させることができる。

【0068】
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【実施例】
【0069】
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【実施例】
【0070】
参考例
【実施例】
【0071】
ここではチタン酸バリウム(BT)の核生成・粒子成長の条件の探索について述べる。まず複合粒子の作製に適切な合成法と原料の選択を行った。次に、BTをソルボサーマル法により合成し、BTが生成する条件を探索した。さらに、その結果からBTの核生成が生じる領域と核生成が生じない条件の領域を推測した。
【実施例】
【0072】
使用する原料について説明する。ソルボサーマル法を用いて複合粒子を作製するためには二つの条件がある。一つ目は、原料が溶液中にイオンや分子の状態で存在していることである。二つ目は、低温で核生成が生じないことである。まず一つ目の条件を満たすため、バリウム(Ba)源およびストロンチウム(Sr)源は、Ba源としてBa(OH)2(和光純薬工業、>95%)、Sr源としてSr(OH)2(宇部マテリアルズ、>99.9%)を用いた。Ba(OH)2は水に対して可溶(25℃で100gの水に4.68g溶解)、エタノールに難溶、Sr(OH)2は水に対して可溶(25℃で100gの水に2.2g溶解)、エタノールに難溶である。
【実施例】
【0073】
一方、ソルボサーマル合成法を用いて基板単結晶粒子の表面に新しい層を均一に成長させるためには、Tiが溶媒中にイオンや分子の状態で存在していることが必要である。そこで、本参考例ではTi源に液体の原料を用いることにより分散した状態のBTを得ることにした。チタンのキレート錯体であるジ-i-プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン(Ti(i-PrO)2(acac)2、TPA)(日本曹達(株)、>74.1%)を用いた。このTPAはacac配位子が配位するため、低温で反応しないことが期待出来る。溶媒は蒸留水(H2O)、エタノール(C2H5OH)を用いた。
【実施例】
【0074】
ソルボサーマル合成法を用いるにあたりパラメーターは、温度、原料混合比、溶媒混合比について着目した。反応温度は160から260℃まで、Ba/Ti元素比は0.75から3.0まで、EtOH/(H2O+EtOH)比は0から1.0までの範囲においてBTの合成を行った。Baイオン濃度は常に0.06mol/lに固定した。この条件で得られた生成物は遠心分離機で採取した。生成物の同定と結晶構造は簡易的なX線回折(XRD) (Rigaku RINT2000,Cu Kα,40kV,40mA)によって調べた。
【実施例】
【0075】
作製手順は以下のように行った。まず、Ba(OH)2とTPAを、水-エタノール混合溶液(250 ml) に撹拌しながら少しずつ加え、5分程度攪拌を行った。できた白濁した溶液を500 ml のオートクレーブ内に移し変えた。装置に取り付け、密閉状態で一定の反応温度まで昇温し、18時間保持した。オートクレーブ内は、密閉中は常時、攪拌棒で300 rpmで攪拌した。その後、容器内が室温まで冷めるまで空冷し、反応物を取り出して微量用高速遠心分離機を用いてろ過採集を行い、採取した沈殿物を24時間程度乾燥した。
【実施例】
【0076】
得られた試料は乳鉢で軽く粉砕し、X線回折測定 (XRD)また、試料により走査型電子顕微鏡 (SEM)による観察を行った。電子顕微鏡観察用の試料は粒子形状を見やすくするためにエタノールに粒子を微量混ぜ、超音波によって分散処理を行った。また、不純物である炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)が多く含まれる粉体は、薄い酢酸溶液により10分程度洗浄を行い、微量用高速遠心分離機でろ過採集した後、乾燥機内で乾燥した。
【実施例】
【0077】
BTの合成結果について説明する。Ba/Ti元素比が1.5およびEtOH/(H2O+EtOH)比が0.5の条件下において温度160から260℃の範囲で実験を行ったところ、BTの生成はXRD測定結果から180℃以上で観測した。次に、Ba/Ti元素比と反応温度をそれぞれ1.5と260℃とし、EtOH/(H2O+EtOH)比を0から1.0の範囲で実験を行ったところ、XRD測定からEtOH/(H2O+EtOH)比0.3から0.7でBTが生成することを確認した。3つ目にEtOH/(H2O+EtOH)比を1.0、反応温度を240℃にとしてBa/Ti元素比を0から3.0まで変化させた。XRD測定からBa/Ti元素比が1.5以上でBTの生成を確認した。同様の実験を他のいくつかの条件においても行った。このようにして得られた結果を最終的に図2に示すような、温度、溶媒混合比および元素比の3軸からなる立方体を用いて示した。BTの生成はBa/Ti元素比が1.5およびEtOH/(H2O+EtOH)比が0.5に固定した場合、175℃までは生成されず、180℃以上で生成された。一方で、同様にEtOH/(H2O+EtOH)比を0.5とし、Ba/Ti元素比を3.0とした場合では175℃においてもBTの生成が確認された。このことから、BTの生成する範囲は、Ba/Ti元素比1.5以上の範囲において、その値が大きいほど広がっていると考えられる。これらの条件をもとに、BTが生成すると思われる条件の領域を推測し、その領域は図2中に示した。
【実施例】
【0078】
実施例1
【実施例】
【0079】
ここでは、上述した、BTが生成すると思われる条件の領域から任意に選択した条件において、STの基板単結晶粒子を加えて合成し、ST基板上にBT層がエピタキシャル成長する条件を探索した。また、ST単結晶基板粒子として野澤[1]らの報告したキューブ状のST単結晶ナノ粒子すなわちSTナノキューブを用いた。STナノキューブは球状の粒子のようにランダムな結晶方位に成長した粒子と異なり、その粒子の表面は整った結晶面であることから、BT層のエピタキシャル成長において結晶面を積極的に用いることができると考えた。
【実施例】
【0080】
本実施例で基板粒子として用いたSTナノキューブは、野澤[1]らの報告に基づき合成した。合成法を次に示す。溶媒をエタノールと2-メトキシエタノールの混合溶媒を用い、混合比はエタノール:2-メトキシエタノール=3:2とした。Sr(OH)2(宇部マテリアルズ、>99.9%)とルチル型TiO2ナノ粒子をSTナノキューブの原料に用い、Sr/Ti元素比を1.5、Ti濃度0.04mol/lとした。反応温度は260℃、保持時間は18時間でソルボサーマル合成を行い、高速遠心分離機で採取した生成物を24時間乾燥させ、さらに希薄な酢酸水溶液を用いて不純物のSrCO3を除去した。
【実施例】
【0081】
STナノキューブの合成原理は、発生した核が低温で成長が進む場合、その核はランダムな結晶方位に成長し球状の粒子となるのに対し、高温で成長が進む場合は核が結晶方位を揃えて成長するためにキューブ状になると考えられている。本実施例で溶媒の一部に用いた2-メトキシエタノールは150℃から240℃の高温側で変化し、この溶媒に対し低温側で難溶であったSr(OH)2が溶解することにより、高温側で核生成および成長が起こるためナノキューブが合成される。
【実施例】
【0082】
ST基板単結晶粒子に確立した条件を用いてBTを析出させ、そして、BT/ST複合ナノ粒子の合成について検討した。ST基板単結晶粒子にはSTナノキューブを用いた。STナノキューブの粒度分布は5から50nm程度であった。まず、Ba(OH)2TPAを撹拌しながら溶媒に徐々に加えた。次に、STナノキューブは、ソルボサーマル反応の出発原料として溶液上部に加え、よく撹拌した。また、Ti濃度は0.02mol/lとした。生成物は遠心分離機を用いて採取した。生成物の同定と結晶構造は簡易的なX線回折(XRD)(Rigaku Ultima IV,Cu Kα,40kV,30mA)によって調べ、BTおよびSTのピーク分離が困難である場合や、結晶構造の温度変化を測定する場合は、必要に応じて高光度X線を用いた粉末X線回折をSPring-8 BL02B02において測定し、リートベルト解析により格子定数の算出を行った。また、形状とサイズは走査型電子顕微鏡(SEM)と必要に応じて透過型電子顕微鏡(TEM)によって調べた。


【実施例】
【0083】
高輝度放射光X線を用いた粉末X線解析について説明する。Cu-Kα線を用いた簡易的なX線回折の他にSpring-8で使用可能な高輝度放射光X線を用いて、より詳細な結晶構造の解析を行った。BL02B2粉末X線回折ビームラインのデバイシェラー・カメラを用いて測定を行った。サンプルに対して透過法でイメージングプレート(IP)上にデバイシェラーパターンを記録する方式となっている。
【実施例】
【0084】
リートベルト法による結晶構造解析について説明する。リートベルト法では粉末X線・中性子回折パターン全体を対象として構造パラメーターと格子定数を直接精密化する。実測パターンとできるだけよく一致するよう近似構造モデルに基づいて計算した回折パターンを当てはめる。本実施例では解析ソフトウェアDIFFRACplus TOPAS 2.1(Bruker AXS)を用いてリートベルト法により解析を行った。X線回折パターンに対して結晶の空間群、格子定数、原子位置など様々なパラメーターを合わせてフィッティングを行った。
【実施例】
【0085】
実験結果について説明する。上述した、BTが生成すると思われる条件の領域において、任意の条件を選択し、BT層のエピタキシャル成長の有無を検討した。175℃、Ba/Ti元素比3.0、EtOH/(H2O+EtOH)比0.5、およびST基板粒子/BTモル比1.0で合成した生成物においてBT層生成の可能性を示唆する結果が得られた。このXRD測定結果を図3(a)に示す。このXRDから、基板STナノキューブのXRDピーク以外にBTの生成が確認できる。また、SEM観測を、ST基板粒子の上のBTのエピタキシャル成長を確認するために行った。この生成物のSEM観察結果を図4に示す。このSEM図によると図5の基板STナノキューブのSEM像と比較し、ST基板粒子を等質的に覆う未知の層が明らかに観察される。また、比較のため、ST基板粒子とBT微粒子を等モル混合した混合粒子(BT-ST混合粒子)についても同様にXRD測定し、SEM観察を行った。なお、このBT-ST混合粒子についてはST基板粒子とBT微粒子を一緒にメノウ乳鉢を用いて5分間すり潰して作製した。この混合粒子のXRD測定結果を図3(b)に示す。
【実施例】
【0086】
さらに比較しやすいように、図6に得られた生成物と上記の混合物の200面のXRDピークを示す。BTとSTの混合粒子ではBTのピークとSTのピークは分離しており、間の強度が低い。これはBTナノ粒子とSTナノ粒子がそれぞれに存在し、互いに影響していないことが明らかである。一方で、得られた生成物のBTとSTのXRDピークの中間の強度は高く、さらに得られた生成物はBTのXRDピークが高角側にシフトし、ST基板粒子のXRDピークが低角側にシフトしている。これはBTとSTの互いが影響し合っていることを示唆している。
【実施例】
【0087】
図7に上記の得られた粒子と混合粒子の2種類の粒子の200面のXRDピークの温度変化を示す。温度変化は42から195℃まで変化させ、15℃ごとの11点でXRD測定を行った。さらに、この結果にリートベルト解析を行いそれぞれの格子定数を算出した結果を図8に示す。この結果からBT-ST混合粒子と比較して、得られた生成物ではST基板粒子の格子定数が増加する一方で、BT の格子定数が収縮していることが明らかである。これは、ST基板粒子とBTがヘテロ界面を持つと仮定すると、その界面においてSTとBTがその整合性を保つために歪んだ構造すなわち構造傾斜層が存在する可能性を示唆している。
【実施例】
【0088】
さらにこの生成物を調べるためTEM観察を行った。図9は生成物のTEM明視野像を表している。このTEM像によると図の中心の物質とその周囲の物質との間にエピタキシャルな界面をもつことが確認できる。
【実施例】
【0089】
このようなBT/STナノ複合粒子が作製されたとすると、図10に示すようなモデルが考えられる。このモデルのような歪みの構造を持つことが可能ならば、格子定数がBTに比べて小さいSTの周囲をBTがエピタキシャルな界面を有した状態で覆うことが可能であると思われる。
【実施例】
【0090】
実施例2
【実施例】
【0091】
BT/ST集積体セラミックスの作製とその誘電特性の評価について説明する。
STナノキューブを用意し、バインダーとしてポリビニルアルコール(以下PVA)をSTナノキューブの量に対し2質量%になるよう添加し、アルミナ乳鉢と乳棒を用いて10分間ハンドミルにより混合した。混合後、試料を温度80℃に設定した乾燥機の中に入れて乾燥を行いPVAに含まれるアルコールを除去した。乾燥後、固まった試料を乳鉢と乳棒を用いて軽く粉砕し、ふるい(250μm)にかけ粉末の粒子のサイズを揃えた。粉末を約0.15gずつ秤量し金型に詰め込み、油圧プレスを用いて約2tの圧力をかけ、直径10mmのディスク状に成形した。この試料をアルミナ板に乗せ、電気炉にて、室温~250℃まで100℃/h、250℃~700℃まで0.5℃/min、10時間保持でバインダーとして使用したPVAを除去した。
【実施例】
【0092】
BTonST集積体セラミックスの作製にあたり、上述した、ST基板粒子にBTをエピタキシャル成長させる条件を応用した。使用した反応条件は、175℃、Ba/Ti元素比3.0、EtOH/(H2O+EtOH)比0.5、Ti濃度は0.02mol/lを用いた。
【実施例】
【0093】
まず、Ba(OH)2(0.1542g)とTPA(0.1446g)をテフロン(登録商標)製の反応容器に入れ、水-エタノール混合溶液(15 ml)を容器内に加え、さらにSTの圧粉体ペレットを溶液内に静かに入れた。反応容器をオートクレーブに入れ、オートクレーブのふたをしっかり固定した。2℃/minで175℃に昇温し、そのまま18時間保持した。反応後、ペレットを取り出し、エタノールで3回濯いだ。その後、電気炉を用いて200℃で1時間乾燥し、吸着した水およびエタノールを除去した。その後、アルキメデス法を用いて密度測定を行い、XRD測定によってペレットの定性を行った。
【実施例】
【0094】
STの圧粉体を基板としてBT層を析出させ、BTonST集積体セラミックスの作製を試みた。その結果、XRD測定結果から前向きな結果が得られた。図11にそのXRD結果を示す。さらに、その111面の比較を図12に示した。これらの結果からST圧粉体は反応1回目にBTの生成が確認できる。ST圧粉体を基板として用い、XRD測定は圧粉体のみ測定しているため、ST以外のピークはST圧粉体の気孔部および表面に付着した物質であるといえる。よって、このXRD測定結果において確認されるBTのピークはST圧粉体内の気孔部および表面にあるBTあると思われる。
【実施例】
【0095】
さらに、アルキメデス法を用いて測定した密度から算出したST単結晶との相対密度および気孔率を表1に示す。
【実施例】
【0096】
【表1】
JP0005779803B2_000002t.gif
【実施例】
【0097】
反応前のST圧粉体の相対密度および気孔率がそれぞれ39.4%、60.6%であるのに対し、反応1回目では52.6%、47.4%となっている。この相対密度および気孔率の結果と、図11,12のST圧粉体と反応1回目に示すXRD測定結果は、ST圧粉体が反応後、気孔部においてBTが生成したことを示している。
【実施例】
【0098】
このBTonST集積体セラミックスの密度を向上させるために、基板となるST圧粉体に対し行った反応を、このBTonST集積体セラミックスに対しても行うことを考えた。つまり、作製したBTonST集積体セラミックスを基板として同様の合成を繰り返し行い、密度の向上を試みた。反応を2回および3回繰り返して行った結果を図11の反応2回目および反応3回目に示し、この111面のXRDピークを図12の反応2回目および反応3回目に示す。さらに、相対密度および気孔率について、表1の反応2回および反応3回に示す。これらの結果から、相対密度の増加が確認される。したがって、反応の繰り返しにより、高密度のBTonST集積体セラミックスの作製が可能と言える。また、図12より、今回作製した試料におけるBTのピークは、反応1回目から反応3回目に進むに従い、シフトしていることが確認できる。図12におけるBTのXRDピークのシフトについても考慮すると、BTはST圧粉体の気孔部においてエピタキシャル成長したことを示唆していると考えられ、BTonST集積体セラミックスの作製が成功したと考えられる。


【実施例】
【0099】
BTonST集積体セラミックスと比較するため、BTonBT集積体セラミックスを作製した。 BT/BT集積体セラミックスの作製とその誘電特性の評価について説明する。
【実施例】
【0100】
BTナノキューブを用意し、バインダーとしてポリビニルアルコール(以下PVA)をBTナノキューブの量に対し2質量%になるよう添加し、アルミナ乳鉢と乳棒を用いて10分間ハンドミルにより混合した。混合後、試料を温度80℃に設定した乾燥機の中に入れて乾燥を行いPVAに含まれるアルコールを除去した。乾燥後、固まった試料を乳鉢と乳棒を用いて軽く粉砕し、ふるい(250μm)にかけ粉末の粒子のサイズを揃えた。粉末を約0.15gずつ秤量し金型に詰め込み、油圧プレスを用いて約2tの圧力をかけ、直径10mmのディスク状に成形した。この試料をアルミナ板に乗せ、電気炉にて、室温~250℃まで100℃/h、250℃~700℃まで0.5℃/min、10時間保持でバインダーとして使用したPVAを除去した。
【実施例】
【0101】
BTonBT集積体セラミックスの作製にあたり、上述した、ST基板粒子にBTをエピタキシャル成長させる条件を応用した。使用した反応条件は、175℃、Ba/Ti元素比3.0、EtOH/(H2O+EtOH)比0.5、Ti濃度は0.02mol/lを用いた。
【実施例】
【0102】
まず、Ba(OH)2(0.1542g)とTPA(0.1446g)をテフロン(登録商標)製の反応容器に入れ、水-エタノール混合溶液(15 ml)を容器内に加え、さらにBTの圧粉体ペレットを溶液内に静かに入れた。反応容器をオートクレーブに入れ、オートクレーブのふたをしっかり固定した。2℃/minで175℃に昇温し、そのまま18時間保持した。反応後、ペレットを取り出し、エタノールで3回濯いだ。その後、電気炉を用いて200℃で1時間乾燥し、吸着した水およびエタノールを除去した。その後、アルキメデス法を用いて密度測定を行い、XRD測定によってペレットの定性を行った。
【実施例】
【0103】
図13にBTonBT集積体セラミックスのXRD結果を示す。さらに、その111面の比較を図14に示す。さらに、アルキメデス法を用いて測定した密度から算出したBT単結晶との相対密度および気孔率を表2に示す。
【実施例】
【0104】
【表2】
JP0005779803B2_000003t.gif
【実施例】
【0105】
図13、14より目的とするBTのXRDピークのみ成長していることから、BTonBT集積体の生成を確認できた。また、表2より繰り返し作製することで相対密度は増大し、最終的にBTonSTと同様な密度のBTonBT集積対セラミックスを作製できた。
【実施例】
【0106】
ここでは、BTonST集積体セラミックスとBTonBT集積体セラミックスの誘電特性を評価した。BTonST集積体セラミックスおよびBTonBT集積体セラミックスの両面に3mm四方の金電極をスパッタし、d33メーターにより300Hzでの静電容量を求め、それをもとに比誘電率を求めた。同試料を用いてP-Eヒステリシスを0.1Hz、25kVで測定した。
【実施例】
【0107】
図15に、BTonST集積体セラミックスとBTonBT集積体セラミックスの誘電特性の評価結果を示す。BTonST集積体セラミックス、およびBTonBT集積体セラミックスともに強誘電体特有のP-Eヒステリシスループを示し、強誘電体であることを確認できた。また、比誘電率に注目すると、BTonST集積体セラミックスでは約70、BTonBT集積体セラミックスでは約58とBTonST集積体セラミックスの方が高い誘電特性を示すことを確認できた。また、2つの集積体セラミックスにおける20%の比誘電率の差は、BT/ST界面によるものと考えられる。この理由として、BTセラミックス(緻密体)の比誘電率は1500程度、STセラミックス(緻密体)の比誘電率は300であり、もしもBT/ST界面の効果がないと考えると、BTonBT集積体セラミックスの比誘電率の方がBTonST集積体セラミックスよりも高くならなければならない。しかし、実験結果はBTonST集積体セラミックスの方がBTonBT集積体セラミックスよりも20%も高い比誘電率を持つことを明らかにした。このことはBT/ST界面で高い比誘電率が発現した結果であると結論できる。従って、本発明の目的であるヘテロエピタキシャル界面を導入することで誘電特性を向上させるという概念が実証されたことを意味する。更に、どちらのセラミックスも気孔が約40%以上の多孔体であるにも関わらず、BTonST集積体セラミックスにおいて20%近く高い値を得たことに注意すべきである。
【実施例】
【0108】
[参考文献]
[1]「ペロブスカイト型酸化物ナノキューブの合成とその集積化」、野澤あい、和枝智志、山梨大学卒業論文、2008年2月28日
図面
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【図15】
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