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明細書 :手指伸展運動支援装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5920805号 (P5920805)
公開番号 特開2012-249674 (P2012-249674A)
登録日 平成28年4月22日(2016.4.22)
発行日 平成28年5月18日(2016.5.18)
公開日 平成24年12月20日(2012.12.20)
発明の名称または考案の名称 手指伸展運動支援装置
国際特許分類 A61H   1/02        (2006.01)
FI A61H 1/02 K
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2011-122384 (P2011-122384)
出願日 平成23年5月31日(2011.5.31)
審査請求日 平成26年5月30日(2014.5.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
発明者または考案者 【氏名】酒井 康行
【氏名】加藤 龍
【氏名】横井 浩史
審査官 【審査官】金丸 治之
参考文献・文献 特開2009-112578(JP,A)
特表2001-510368(JP,A)
登録実用新案第3146959(JP,U)
特表2013-529937(JP,A)
調査した分野 A61H 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
屈曲状態の手指の指先部分に外側から引っかけるように装着可能な形状を有する指先ホルダーと、
前記指先ホルダーに接続された、前記手指の指先から前記手指の背面側に沿って配置される支持部材(10,11,12)と牽引部材(18)からなる牽引支持部(2)と、
前記牽引支持部(2)の他端に接続された、前記牽引支持部(2)を介して、前記指先ホルダーを手首方向に牽引するアクチュエータ部と、
を備えることを特徴とする伸展運動支援装置。
【請求項2】
屈曲状態の手指の指先部分に外側から引っかけるように装着可能な形状を有する指先ホルダーと、
前記指先ホルダーに接続された、前記手指の指先から前記手指の背面側に沿って配置される支持部材(10,11,12)と牽引部材(18)からなる牽引支持部(2)と、
前記牽引支持部(2)の他端に接続された、前記牽引支持部(2)を介して、前記指先ホルダーを手首方向に牽引するアクチュエータ部と、
前記アクチュエータ部による牽引の程度を表す出力値を制御する制御部と、
前記アクチュエータ部及び制御部に電力を供給する電源部を備えることを特徴とする伸展運動支援装置。
【請求項3】
前記支持部材(10,11,12)が、前記手指の関節で異なる中節アーム,基節アーム,手甲アームに分かれて構成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の伸展運動支援装置。
【請求項4】
前記各アームは、前記関節において、前記手指の屈曲伸展方向に可動するヒンジで接続されたものであり、
前記ヒンジの位置を、該ヒンジに接続された部材の手指の長さ方向に沿って移動可能にするスライダをさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の伸展運動支援装置。
【請求項5】
前記各アーム同士を、伸び縮みすることが可能な弾性体により、さらに接続したことを特徴とする請求項3または4に記載の伸展運動支援装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、脳血管障害などで発生する麻痺により手指を随意に動かせない患者に対して、自力簡易装着を可能とする、手指の伸展運動を支援する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳血管障害による疾患では、大脳の運動中枢や運動神経経路の障害により、随意運動を行うことが困難になる。上肢においては、脱力時に手指を握りこんだ状態となるため、食事や更衣、排泄、入浴などといった日常生活動作を行えなくなるといった二次的な障害が起こることが知られている。
【0003】
従来、これに対する有効な対処方法としては、療法士による手指関節への他動運動などのトレーニングしかなかった。しかしながら、医療機関が施すリハビリテーションには費用がかかるため、患者が受けられる1日の総リハビリテーション時間や、リハビリテーション継続期間に制限が発生し、患者は十分なリハビリテーションを受けられない現状にある。また、リハビリテーションは脳血管障害の発生後、すぐに始められるほど機能回復傾向にあることが報告されており、早期リハビリテーションが可能な環境が求められている。
【0004】
近年こうした現状を解決するべく、麻痺を伴う手指(麻痺指)に対して、療法士を必要としない患者一人だけで行うことが可能な自力でのリハビリテーションを実現するため、機械的に伸展運動支援を行う装置が多数検討されている。
【0005】
機械的に伸展運動支援を行う装置は、装置の出力を確実に麻痺している手指に伝達する必要があるため、麻痺指と装置との確実な固定を必要とする。装置の固定方法として手指全体を固定するグローブ形状固定や、複数箇所の固定を必要とするバンド締結などが提案されているが、脱力時に屈曲状態となって掌領域に隠れてしまう手指に対して固定することが煩雑な作業となる問題点を抱えていた。
【0006】
装着しやすい固定方法を用いた装置の例として、手首あるいは前腕に固定する手首装具と指部分に装着する指用装具により構成されるものが提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の従来装置では、手の甲側の所定位置にゴム紐の一端を固定した手首装具を装着するとともに、ゴム紐の他端を固定した指用装具を指先に装着し、指の伸展運動支援を実現している。しかしながら、伸展運動支援の力の向きを変える要素であるアウトリガーを設けるため装置全体が大きくなることや、随意に動かせない麻痺指の中節骨へ手指固定装置のカフを装着するため、使用者が自力で装着することは難しいという問題点を抱えていた。また、アウトリガーの形状を患者の手指形状により変更する必要があるため、装置の専用設計が必要となる。そのため、装置の提供まで時間がかかり、早期リハビリテーションを阻害するという問題点を抱えていた。
【0007】
他の固定方法を用いた装置の例として、手首装具と指用装具という構成のまま、形状記憶合金を用いた装置が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2の装置では、指先にリングを装着し、形状記憶合金に熱を加えることで収縮力が発生し、麻痺した手指の屈曲伸展運動を支援することが可能となる。しかしながら、装着のたびにワイヤーの長さを変更する必要があるため、装着に時間がかかるという問題点を抱えていた。また、形状記憶合金の牽引力が非常に大きいことによる指関節の損傷や屈曲側の腱繊維断裂のおそれ、また形状記憶合金発熱による手指の火傷のおそれ、などの問題点を抱えていた。
【0008】

【特許文献1】特開2001-087296号公報
【0009】

【特許文献2】特開2004-298573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記に示すように従来例においては、機械的に療法士を代替する装置は実現しているが、装着作業が煩雑であることから介助者を必要とするため、自力での装着を実現することは難しい。また、専用設計が必要であることは、患者が装置を必要になった時点から製作することが想定され、リハビリテーションの開始時期が遅くなり、早期リハビリテーションの実現が難しくなる。さらに、使用者の手指へ損傷を与える要因があるなどの課題があった。
【0011】
そこで本発明は、装着に煩雑な作業を必要としないことで患者が自力で装着可能であり、様々な指寸法の患者にも適用可能であり、かつ安全な手指伸展運動支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、脳血管障害などで発生する麻痺指を随意に動かせない病状で、外力により麻痺指を他動的に運動させることで機能回復が期待できる麻痺者を対象とした、物体の位置や速度を制御量とするサーボモータなどで構成されたアクチュエータ部(入力されたエネルギーを元に物理運動量に変換する機械要素)により、ワイヤーなどで構成される牽引支持部を牽引することで指の伸展運動を支援し、他動的な伸展と患者自身が握りこむ屈曲を繰り返す装置を提供することで前課題を解決しようとするものである。
【0013】
請求項1に記載の発明は、屈曲状態の手指の指先部分に外側から引っかけるように装着可能な形状を有する指先ホルダー(8)と、前記指先ホルダー(8)に接続された、前記手指の指先から前記手指の背面側に沿って配置される支持部材(10,11,12)と牽引部材(18)からなる牽引支持部(2)と、前記牽引支持部(2)の他端に接続された、前記牽引支持部(2)を介して、前記指先ホルダー(8)を手首方向に牽引するアクチュエータ部(3)と、を備えることを特徴とする伸展運動支援装置である。
請求項2に記載の発明は、屈曲状態の手指の指先部分に外側から引っかけるように装着可能な形状を有する指先ホルダー(8)と、前記指先ホルダー(8)に接続された、前記手指の指先から前記手指の背面側に沿って配置される支持部材(10,11,12)と牽引部材(18)からなる牽引支持部(2)と、前記牽引支持部(2)の他端に接続された、前記牽引支持部(2)を介して、前記指先ホルダー(8)を手首方向に牽引するアクチュエータ部(3)と、前記アクチュエータ部(3)による牽引の程度を表す出力値を制御する制御部(4)と、前記アクチュエータ部(3)及び制御部(4)に電力を供給する電源部(5)を備えることを特徴とする伸展運動支援装置である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記支持部材が、前記手指の関節で異なる部材に分かれて構成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の伸展運動支援装置である。
請求項4に記載の発明は、前記各部材は、前記関節部において、前記手指の屈曲伸展方向に可動するヒンジで接続されたものであり、前記ヒンジの位置を、該ヒンジに接続された部材の手指の長さ方向に沿って移動可能にするスライダをさらに備えている請求項3に記載の伸展運動支援装置である。
【0015】
請求項に記載の発明は、前記各部材同士を、伸び縮みすることが可能な弾性体により、さらに接続している請求項3または4に記載の伸展運動支援装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の装置は、従来の伸展運動支援装置が課題としていた簡易装着を大幅に改善させる固定方法を有する。中心的な機能は、鉤状先端部を持つ指先ホルダーと牽引支持部により構築した手指の伸展運動を支援することが可能となるアシスト機構であり、脱力時に握りこんでいる麻痺指の先端に対し、ひっかけるようにして簡単に指全体のアシスト機構を装着できるところに集約される。従来装置は、固定箇所の多さが簡易装着の障害と述べたが、本発明であれば、手指関節により3つの自由度を有する1つの手指に対して、指先ホルダーを引っかけるだけで済むため、固定箇所が少ない容易装着を実現することができる。
【0017】
牽引支持部は、手指の関節で異なる部材に分かれて構成されており、各部材の接合部を手指の屈曲伸展方向に可動するヒンジで構成し、部材の手指長さ方向へ沿って移動可能なスライダを備えることで、屈曲伸展運動時に伸縮する手指に対し、牽引支持部を常に手指の背面側に接触させることが可能となる。これにより、各指関節を引き起こすテコの三点(支点:ヒンジの回転中心、力点:指先ホルダー、作用点:指関節)が固定され、アクチュエータ部による牽引の程度を表す出力値を、指先ホルダーへ確実に伝達することが可能である。また、各指関節が完全に伸展すると、ヒンジ周辺に部材同士が重なり合う部材重複部が発生するため、過伸展を防止することができる。これにより、牽引の過負荷による指関節の損傷や屈曲側の腱繊維の断裂を防ぐことができる。
【0018】
さらに、屈曲伸展時の手指伸縮時に必要とするスライダ可動域よりもスライダ可動域を長く設けることにより、ヒンジの位置調整を行えるため、指長の個人差に対応できる。したがって、数種類の寸法の違う本発明の装置を予め用意しておけば、様々な寸法の指に対して装着可能となる。手指の麻痺は突発的に発生する脳血管障害に伴うものであるため、リハビリテーションも突然必要となることが頻繁であるが、本装置であれば様々な寸法の指に対して装着可能であるため、誰でもすぐにリハビリテーションを開始することができ、早期リハビリテーションの実現を可能とする。
【0019】
また、各部材の接続部において、ヒンジやスライダとは別に、各部材同士を伸び縮み可能な弾性体によって接続することにより、装着時は弾性体の伸長により簡易装着を可能とし、固定後は弾性力が手指長さ方向へ作用することで指先ホルダーの脱落を防ぎながらリハビリテーションを行うことが可能となる。
【0020】
本発明の装置は、アクチュエータ部にバッテリ駆動の小型コントローラで制御可能なサーボモータを配置し、制御部に小型マイコンを使用することでシステム全体の小型化が可能である。また、電源部を乾電池や充電式バッテリにすることで、装置の持ち運びが可能となり、様々な環境でリハビリテーションを行うことが可能となる。
【0021】
本発明の装置は、簡易装着と装置小型化を実現するため、患者はいつでも場所を選ばずリハビリテーションを開始することが可能となる。このことは、リハビリテーション時間の増加と患者のリハビリテーションに対する意欲を高く保つ効果が期待できる。リハビリテーション時間は長いほど機能回復が期待でき、またリハビリテーションに意欲的に取り組めた患者ほど社会復帰までの期間が短い傾向にあるため、リハビリテーション効果の増大も期待できる。
【0022】
本発明の装置では、五指に設置された5つの牽引支持部に対し、5つアクチュエータ部を各牽引支持部に設けることで五指の伸展運動支援を各指独立して行うことができる。このことは、手指に様々な姿勢をとらせることを可能とし、患者の動作意図を反映させた、より複雑なリハビリテーションを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1では本発明の構成の概念図である。
【図2】図2では装具部全体の正面図である。
【図3】図3では装具部の手指部における側面図である。
【図4】図4では図3に示した装具部の伸展運動を支援した時の側面図である。
【図5】図5では装具部の関節部の構造の一部を拡大した側面図である。
【図6】図6では図5に示した装具部の関節部を伸長させた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の装置の概念図である。麻痺指に装着される装具部1は、指先ホルダー8と、指先ホルダー8に接続された牽引支持部2により構成される。アクチュエータ部3には牽引支持部2の他端が接続され、牽引支持部2を通じて、手指の伸展運動の支援に必要な力を装具部1に伝達する。制御部4は、アクチュエータ部3に牽引支持部2を牽引する力の大きさ、牽引するワイヤー長さや作用トルクの大きさなどの牽引の程度を表す出力値を制御する。指令値入力部6は、使用者の動作意図を入力値として、アクチュエータ部3へ出力値を伝える。本装置は、指令値入力部6がなくても動作可能だが、指令値入力部6を利用することで、使用者の動作意図を反映した伸展運動支援が実現できる。電源部5は、アクチュエータ部3、制御部4、及び指令値入力部6への電力供給を行う。電力部5は家庭用のAC100Vコンセント、乾電池、充電式バッテリなど電力を供給するものであればどのような形態のものでもよい。

【0025】
図2は本発明の装具部全体の正面図である。装具部1を手首に固定するためのバンド部7は、面的に着脱可能な面ファスナー、2個一組の留め具であるスナップなど、自力での装着を実現するため健常手のみで装着可能なもので構成されるものであればどのような素材でもよい。牽引支持部2は、各指先ホルダー8とアクチュエータ部3を接続し、アクチュエータ部3の牽引力を指先ホルダー8に伝えることで、麻痺指の伸展運動支援を実現する。牽引支持部2は、手指の関節で異なる部材とワイヤー18で構成されており、ワイヤー18はピアノ線などの金属ワイヤーや、釣り糸などのナイロンやポリエチレン素材のワイヤーなど、伸展運動支援に十分な耐張力を有し、長期使用が可能な耐摩耗性に優れたものであればどのような素材でもよい。

【0026】
母指は他の四指と比較すると構造が大きく異なるため、本発明において、伸展運動支援を行うと内外展方向への作用力が発生するため、牽引支持部2が脱落するおそれがある。そこで、母指の牽引支持部2の脱落防止を目的として、母指外側面に母指脱落ガイド9を牽引支持部2に備え付ける。また、母指はバンド部7に牽引支持部2を固定すると十分な伸展運動支援を行えないため、母指の牽引支持部2の根元を示指の牽引支持部2と接続させる。

【0027】
図3は、母指以外の四指のうち1つを取り出した側面図である。指先ホルダー8の形状は平板をJ型に湾曲させた形状など、指先を引っかけることができる形状であればどのような形状でもよい。牽引支持部2の部材は、中節アーム10、基節アーム11、手甲アーム12で構成されており、各アームは平板形状や、手指形状に合わせ内外展方向に湾曲させた形状など、手指と接する面があればどのような形状でもよい。指先ホルダー8や各アームの素材は、ステンレス等の金属や、ポリエチレン等の樹脂など十分な剛性を有していればどのような素材でもよい。ワイヤーガイド13には、牽引支持部2を常に手指の背面側へ配置するために、ワイヤー18を通す。図3では、ワイヤーガイド13を中空管として示したが、牽引支持部2とワイヤーガイド13が長軸方向に平行であれば本発明は機能するため、各アームに穴を開け、その穴をワイヤーガイド13としてワイヤー18を通すなどしてもよい。

【0028】
図4は、図3のワイヤー18をアクチュエータ部3により牽引した時の側面図である。各アーム及び指先ホルダー8の接続部である関節部14はヒンジであり、伸展時にヒンジの回転中心の周辺にて指先ホルダー8と中節アーム10、基節アーム11、手甲アーム12の一部が重なり合う部材重複部17が発生し、関節部14のヒンジが過伸展となることを防止する。

【0029】
図5は、図3に3つ存在する関節部14の1つを拡大したものである。アーム部材A及びアーム部材Bを接続する関節部14はスライダ可動域15を移動するスライダを備えたヒンジで接続されている。また、アーム部材A及びアーム部材Bは弾性体16によっても接続されている。図5では、ワイヤーガイド13及びワイヤー18は省略した。

【0030】
図6は、図5において手指を伸長した際、アーム部材A及びアーム部材Bに弾性体16を介して作用する手指長軸方向へ発生する弾性力を矢印で示した。
【実施例1】
【0031】
図2のバンド部7により、装具部1の手首側をリハビリテーションの対象である麻痺手の手首に固定する。脱力時に屈曲位にある各手指に対し、鉤状先端部を持つ指先ホルダー8を甲側から回り込むように引っかける。この時、図3の各関節部14の弾性体16が一時的に伸びるため、指先ホルダーを容易に引っかけることが可能である。指先へ引っかけた後は弾性力により長軸方向へ張力が発生するため、指先ホルダー8や各アームを手指背面に沿わせることが可能である。また、各関節部14のスライダ可動域15を長くとることにより、指長の個人差に対応できる。
【実施例1】
【0032】
牽引支持部2を介して、アクチュエータ部3で指先ホルダー8を他動的に引くことにより、使用者の指関節を作用点、近傍のヒンジの回転中心を支点、指先ホルダーを力点とする、テコの原理により、指関節を伸展させることが可能である。この時、図4の部材重複部17が発生し、指先ホルダー8や各アーム同士が重なるため、各指関節は図4の関節部14の角度以上に伸展しない構造をしており、指関節が過伸展とならない。全指が完全に伸展した後、アクチュエータ部3による牽引支持部2への手首方向に牽引する力を除去すると、麻痺指の握りこむ力により再び手指は屈曲位に戻る。以上の動作を繰り返すことにより、手指の屈曲伸展運動を行うことができる。
【実施例2】
【0033】
本発明は、アクチュエータ部3にアクチュエータを5つ配置し、それぞれ母指から小指までの5つの各指先ホルダー8と接続することで、各指を独立に伸展運動支援することができる。これにより、五指の伸展運動支援を各指独立して行うことができ、手指に様々な姿勢をとらせることが可能となる。本発明では、応用的なリハビリテーションとして、指令値入力部6から各アクチュエータ部へ使用者の運動意図を入力することで、使用者が所望する動作と同じ動きをすることができる。
【実施例2】
【0034】
指令値入力部6への入力例としては、麻痺のない健常側の手指の各指の曲げ角を読み取るため、曲げ角により抵抗値の変化する可変抵抗である曲げセンサを各指に配置したグローブ等を健常側手指に装着し、健常手と麻痺手を同期することなどが挙げられる。また、全身麻痺の患者に対しては、本発明の手首バンドに表面筋電位などの生体信号を読み取るセンサを取り付け、そこから患者の動作意図と同期をとることができる。
【符号の説明】
【0035】
1:装具部
2:牽引支持部
3:アクチュエータ部
4:制御部
5:電源部
6:指令値入力部
7:バンド部
8:指先ホルダー
9:母指脱落ガイド
10:中節アーム
11:基節アーム
12:手甲アーム
13:ワイヤーガイド
14:関節部
15:スライダ可動域
16:弾性体
17:部材重複部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5