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明細書 :プラズマ生成装置用の電源及びプラズマ生成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6061288号 (P6061288)
公開番号 特開2014-032771 (P2014-032771A)
登録日 平成28年12月22日(2016.12.22)
発行日 平成29年1月18日(2017.1.18)
公開日 平成26年2月20日(2014.2.20)
発明の名称または考案の名称 プラズマ生成装置用の電源及びプラズマ生成装置
国際特許分類 H05H   1/24        (2006.01)
H03K   3/57        (2006.01)
FI H05H 1/24
H03K 3/57 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2012-171342 (P2012-171342)
出願日 平成24年8月1日(2012.8.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 2012年2月1日にインターネットアドレス http://www.gakkai-web.net/gakkai/iee/program/2012/prog/abstract/1-192.htmlにおいて発表 (発行所)社団法人電気学会、(刊行物名)平成24年電気学会全国大会 講演論文集、(発行日)平成24年3月5日、において発表 平成24年電気学会全国大会において平成24年3月23日に文書をもって発表
審査請求日 平成27年7月22日(2015.7.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】上杉 喜彦
【氏名】石島 達夫
【氏名】田中 康規
【氏名】住石 裕次郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100109210、【弁理士】、【氏名又は名称】新居 広守
審査官 【審査官】藤本 加代子
参考文献・文献 国際公開第2012/010374(WO,A1)
国際公開第85/004769(WO,A1)
特開2004-179143(JP,A)
特開2002-093823(JP,A)
特開平02-069304(JP,A)
特開2007-234461(JP,A)
特開2005-038616(JP,A)
調査した分野 H05H H05H1/00-1/54
H03K 3/57
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
負荷であるプラズマリアクターに電力を供給するための電源であって、
昇圧トランスと、
前記昇圧トランスと前記負荷との間に直列に接続される複数の高電圧交流用シリコンダイオード
を備える電源。
【請求項2】
さらに、前記昇圧トランスと前記負荷との間に直列に接続される高電圧交流用シリコンダイオードの個数を切り替えるためのスイッチを備える
請求項1に記載の電源。
【請求項3】
前記昇圧トランスはネオントランスである
請求項1または2に記載の電源。
【請求項4】
昇圧トランスと、
プラズマリアクターと、
前記昇圧トランスと前記プラズマリアクターとの間に直列に接続されている複数の高電圧交流用シリコンダイオードと、を備え、
前記プラズマリアクターは、前記昇圧トランスから前記複数の高電圧交流用シリコンダイオードを介して供給される高電圧を用いてプラズマを生成する
プラズマ生成装置。
【請求項5】
前記プラズマリアクターは、
石英管と、
ソースガスを前記石英管へ導くガス導入部と、
前記石英管の内部に通された内部電極と、
前記石英管の外周を覆う外部電極と、
で構成され、前記内部電極と前記外部電極との間に前記高電圧を印加することで生じる誘電体バリア放電によってプラズマを生成する
請求項4に記載のプラズマ生成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ生成装置用の電源及びプラズマ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマジェットは大気圧非平衡プラズマの一種である。大きな特徴として、プラズマジェットは電子温度が数万Kと高温なのに対し、ガス温度は常温程度であるため照射対象に熱負荷をかけずに、化学的に活性なラジカルによるプラズマプロセスを行うことが可能である。近年、大気圧非平衡プラズマの医療、生物分野や、燃料改質、プラズマCVD、ナノチューブ合成など様々な領域への応用が急速に進んでいる。大気圧非平衡プラズマを生成するための装置は、これまでに多数提案されている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】国際公開第2008/072390号
【特許文献2】特開2008-10373号公報
【特許文献3】特開2004-14494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大気圧において効率良くプラズマを生成するための要素として、電源の高周波化、急峻な電圧変化、プラズマ領域の縮小化などが挙げられる。従来の大気圧プラズマ生成装置では、効率良くプラズマを生成するために、一般に、構成が比較的複雑な(つまり高価な)高周波電源を用いて、電源の高周波化、急峻な電圧変化を達成している。
【0005】
このような事情から、プラズマ生成に適した、構成がより簡便な(つまり安価な)電源への要望は大きいが、プラズマ生成装置用の電源として、構成が簡便でしかも効率良くプラズマを生成できる電源は、これまで知られていない。
【0006】
そこで、本発明は、従来よりも構成が簡便でしかも効率良くプラズマを生成できる電源を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、開示される電源の1つの態様は、負荷であるプラズマリアクターに電力を供給するための電源であって、昇圧トランスと、前記昇圧トランスと前記負荷との間に直列に接続される複数の高電圧交流用シリコンダイオードとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る電源の態様によれば、昇圧トランス(例えばネオントランス)で、数十Hz、100V~200V程度の低周波数かつ低電圧の商用電源から高電圧を生成し、生成された高電圧に、高電圧交流用シリコンダイオードの非線形特性による波形歪(つまり高周波成分)を与えることができる。これにより、プラズマ生成に適した、急峻な電圧変化を含んだ高電圧が得られる。昇圧トランス及び高電圧交流用シリコンダイオードは何れも安価でかつ入手が容易なため、前記電源は非常に簡便に構成できる。発明者らによる実験によって、このような簡便な電源を用いて、プラズマジェットが効率良く生成できることが確かめられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係るプラズマ生成装置の構成の一例を示す模式図
【図2A】実施の形態に係る電圧波形及び電流波形の一例を示すグラフ
【図2B】実施の形態に係る電圧波形及び電流波形の一例を示すグラフ
【図2C】実施の形態に係る電圧波形及び電流波形の一例を示すグラフ
【図2D】実施の形態に係る電圧波形及び電流波形の一例を示すグラフ
【図3】実施の形態に係るArプラズマジェットの生成状況の一例を示す画像
【図4A】実施の形態に係るArプラズマジェットの分光分析の結果の一例を示すグラフ
【図4B】実施の形態に係るArプラズマジェットの分光分析の結果の一例を示すグラフ
【図5】実施の形態に係るHeプラズマジェットの生成状況の一例を示す画像
【図6A】実施の形態に係るHeプラズマジェットの分光分析の結果の一例を示すグラフ
【図6B】実施の形態に係るHeプラズマジェットの分光分析の結果の一例を示すグラフ
【図7A】実施の形態に係るプラズマ照射対象の表面温度の変化の一例を示すグラフ
【図7B】実施の形態に係るプラズマ照射対象の表面温度の変化の一例を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示される電源の1つの態様は、負荷であるプラズマリアクターに電力を供給するための電源であって、昇圧トランスと、前記昇圧トランスと前記負荷との間に直列に接続される複数の高電圧交流用シリコンダイオードとを備える。

【0011】
本態様によれば、昇圧トランス(例えばネオントランス)で、数十Hz、100V~200V程度の低周波数かつ低電圧の商用電源から高電圧を生成し、生成された高電圧に、高電圧交流用シリコンダイオードの非線形特性による波形歪(つまり高周波成分)を与えることができる。これにより、プラズマ生成に適した、急峻な電圧変化を含んだ高電圧が得られる。昇圧トランス及び高電圧交流用シリコンダイオードは何れも安価でかつ入手が容易なため、前記電源は非常に簡便に構成できる。発明者らによる実験によって、このような簡便な電源を用いて、プラズマジェットが効率良く生成できることが確かめられている。

【0012】
また、前記電源は、さらに、前記昇圧トランスと前記負荷との間に直列に接続される高電圧交流用シリコンダイオードの個数を切り替えるためのスイッチを備えてもよい。

【0013】
本態様によれば、高電圧交流用シリコンダイオードの個数を切り替えることで、プラズマの発光強度を調整することができる。

【0014】
また、開示されるプラズマ生成装置の1つの態様は、昇圧トランスと、プラズマリアクターと、前記昇圧トランスと前記プラズマリアクターとの間に直列に接続されている複数の高電圧交流用シリコンダイオードと、を備え、前記プラズマリアクターは、前記昇圧トランスから前記複数の高電圧交流用シリコンダイオードを介して供給される高電圧を用いてプラズマを生成する。前記プラズマリアクターは、石英管と、ソースガスを前記石英管へ導くガス導入部と、前記石英管の内部に通された内部電極と、前記石英管の外周を覆う外部電極と、で構成され、前記内部電極と前記外部電極との間に前記高電圧を印加することで生じる誘電体バリア放電によってプラズマを生成してもよい。

【0015】
この態様によれば、昇圧トランスと高電圧交流用シリコンダイオードとで構成される簡便な電源を用いて、プラズマを効率よく生成できるプラズマ生成装置が得られる。

【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るプラズマ生成装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。

【0017】
なお、以下で説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。

【0018】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係るプラズマ生成装置の構造の一例を示す模式図である。

【0019】
プラズマ生成装置1は、電源10及びプラズマリアクター20で構成されている。

【0020】
電源10は、商用電源11から、プラズマ生成に適した急峻な電圧変化を含んだ高電圧を生成する電源であり、トランス12及び複数の高電圧交流用シリコンダイオード13を備える。複数の高電圧交流用シリコンダイオード13は、トランス12と負荷であるプラズマリアクター20との間に直列に接続される。ここで、トランス12は、昇圧トランスの一例である。

【0021】
電源10は、さらに、トランス12とプラズマリアクター20との間に接続される高電圧交流用シリコンダイオード13の個数を切り替えるためのスイッチ14を備えてもよい。スイッチ14は、トランス12とプラズマリアクター20とを、高電圧交流用シリコンダイオード13を介さずに直結できてもよい。

【0022】
トランス12は、例えばネオントランスであってもよい。ネオントランスは、ネオン管を点灯させるために一般的に用いられる、磁器漏れ変圧器やインバーター回路を用いて構成される昇圧トランスであり、入力電圧が100V又は200Vに対し、出力電圧は6000V~15000Vなどの種類がある。ネオントランスは、通常、数千円~数万円程度で入手できる。

【0023】
高電圧交流用シリコンダイオード13には、一例として、SIDAC(Silicon Diode for Alternating Current)(登録商標)を用いてもよい。SIDACは、規定のしきい値以上の電圧印加にて通電する双方向電圧トリガー型の半導体素子であり、スイッチ素子やパルス生成素子として広く利用されている。SIDACは、通常、数百円/個程度で入手できる。

【0024】
プラズマリアクター20は、一例として、誘電体バリア放電によってソースガス31からプラズマジェット32を生成するリアクターであり、ガス導入部21、石英管22、ボンド23、内部電極24、及び外部電極25で構成されている。ソースガス31には、例えば、希ガス(Ar、He)が用いられる。

【0025】
ガス導入部21は、ソースガス31を石英管22へ導く部材であり、気密性のボンド23によって、石英管22と接合されている。

【0026】
石英管22は、一例として、外径が3.0mm、内径が1.6mmの大きさである。

【0027】
内部電極24は、石英管22の内部に通された電極であり、例えば銅線であってもよい。

【0028】
外部電極25は、石英管22の外周を覆う電極であり、例えばアルミ箔であってもよい。

【0029】
上述のように構成されたプラズマ生成装置1において、プラズマリアクター20のガス導入部21から石英管22へソースガス31を導入する。そして、電源10から、内部電極24と外部電極25との間に急峻な電圧変化を含んだ高電圧を印加することで、石英管22内のソースガス31中で、内部電極24と外部電極25との間で誘電体バリア放電が起こり、ソースガス31からプラズマジェット32が生成される。

【0030】
なお、上記では、誘電体バリア放電によってプラズマジェットを生成するプラズマリアクターを例示したが、この他にも例えば、希ガス等の利用を必要としない大気圧プラズマ生成装置が知られている(例えば、特許文献4:特表2003-514114号公報、特許文献5:特表2003-518317号公報)。

【0031】
誘電体バリア放電に限らず、高電圧を用いてプラズマを生成する装置では、一般に、電源のパルス化が重要であり、その周波数を変えることがプラズマ特性を制御する上で重要であると考えられている。従って、電源10によれば、例えば、誘電体バリア放電などの具体的なプラズマ生成方式によって限定されることなく、一般に高電圧を用いてプラズマを生成するプラズマリアクターを、広く、好適に駆動することができる。

【0032】
すなわち、電源10によって駆動されるプラズマリアクターは、誘電体バリア放電や熱プラズマ方式など、どのようなプラズマの生成方式を用いてもよく、また、大気圧下、減圧下、水中の何れでプラズマを生成してもよい。典型的には、上述したプラズマリアクター20のように、非平衡大気圧のプラズマジェットを生成してもよい。

【0033】
発明者らは、プラズマ生成装置1によって、実際にプラズマジェットを生成し、対象に照射する実験を行った。以下、この実験について、詳細に説明する。

【0034】
この実験では、トランス12の二次電圧を40kVpp、周波数を60Hz、ソースガス31のガス種をAr、Heの2種類で、いずれも流量を4slpmとし、トランス12の二次巻線とプラズマリアクター20の内部電極24との間に直列に接続する高電圧交流用シリコンダイオード13の個数を0、10、20、30の4種類とした場合に、ガス種と高電圧交流用シリコンダイオード13の個数との8通りの組み合わせにおいて、プラズマジェット32を生成した。生成したプラズマジェット32を、人間の皮膚に近いとされる豚肉に照射した。

【0035】
図2A~図2Dは、実施の形態に係る電圧波形及び電流波形の一例を示すグラフである。図2A~図2Dは、それぞれ、トランス12の二次巻線とプラズマリアクター20の内部電極24とを直結した場合(つまり高電圧交流用シリコンダイオード13が0個)、及びトランス12の二次巻線とプラズマリアクター20の内部電極24との間に10、20、30個の高電圧交流用シリコンダイオード13を直列に接続した場合について、電源10の出力電圧(上段)及び出力電流(下段)を示している。

【0036】
トランス12の二次巻線とプラズマリアクター20の内部電極24との間に複数の高電圧交流用シリコンダイオード13を直列に接続することにより、電圧波形が階段状の波形に変形し、電流波形に現れるパルスの数が増加するという結果が得られた。

【0037】
この波形の変形は、トランス12で生成された高電圧に、高電圧交流用シリコンダイオード13の非線形特性による波形歪(つまり高周波成分)が与えられたことを表している。このように、トランス12と複数の高電圧交流用シリコンダイオード13とで構成される簡便な電源10によって、商用電源11から、プラズマ生成に適した、急峻な電圧変化を含んだ高電圧が得られることが確かめられた。

【0038】
図3は、実施の形態に係るArプラズマジェットの生成状況の一例を示す画像である。画像には、左から、放電前のプラズマリアクター20、及び高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数に応じて生成されたArプラズマジェットが表されている。

【0039】
図4A、図4Bは、実施の形態に係るArプラズマジェットの分光分析の結果の一例を示すスペクトルである。図4A、図4Bには、高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数が0、10、20、30個のそれぞれの場合について、石英管22の出口から外へ2mmの地点でArプラズマジェットを観測(分光分析)して得られたスペクトルが示されている。斜線で示した領域は、高電圧交流用シリコンダイオード13を使用しなかった(0個の)場合のスペクトルである。図4A、図4Bから、高電圧交流用シリコンダイオード13を使用したことで、プラズマの発光強度(特にOH、Arに由来する発光強度)が増加していることが分かる。

【0040】
図5は、実施の形態に係るHeプラズマジェットの生成状況の一例を示す画像である。画像には、左から、放電前のプラズマリアクター20、及び高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数に応じて生成されたHeプラズマジェットが表されている。図5から、ソースガスがHeの場合は、高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数を増やすにつれて、ジェット部のみならず内部電極24と外部電極25との間でも、発光の顕著な増加が認められる。

【0041】
図6A、図6Bは、実施の形態に係るHeプラズマジェットの分光分析の結果の一例を示すスペクトルである。図6A、図6Bには、高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数が0、10、20、30個のそれぞれの場合について、石英管22の出口から外へ2mmの地点でHeプラズマジェットを観測(分光分析)して得られたスペクトルが示されている。斜線で示した領域は、高電圧交流用シリコンダイオード13を使用しなかった(0個の)場合のスペクトルである。図6A、図6Bから、Arプラズマジェットの場合と同様、高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数が多いほど、プラズマの発光強度(特にN2、He、Oに由来する発光強度)が増加していることが分かる。

【0042】
図7A、図7Bは、実施の形態に係るプラズマ照射対象の表面温度の変化の一例を示すグラフである。高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数が0、10、20、30個のそれぞれの場合について、Arプラズマジェット(図7A)、Heプラズマジェット(図7B)を、対象である豚肉に600秒間連続して照射した場合に、豚肉表面で観測された最高温度の時間変化が示されている。

【0043】
図7Aから、Arプラズマジェットを照射する場合には、高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数に応じた対象表面の温度上昇量の顕著な違いは見られない。また、図7Bから、Heプラズマジェットを照射する場合、高電圧交流用シリコンダイオード13の接続個数が多いほど、対象表面の温度上昇量が大きくなる傾向が認められる。

【0044】
表1に、対象表面温度の500秒~600秒の間での平均値を示す。

【0045】
【表1】
JP0006061288B2_000002t.gif

【0046】
表1から、高電圧交流用シリコンダイオードの接続個数の違いによる温度上昇量の違いについては、Arの場合にはほとんど認められず、Heの場合には3℃程度の違いが認められた。

【0047】
このデータから、プラズマ生成装置1で生成されるArプラズマジェット、Heプラズマジェットは、許容される熱負荷が比較的小さい対象への直接照射が可能であることが確かめられた。

【0048】
以上説明したように、トランス12と複数の高電圧交流用シリコンダイオード13とで構成された電源10によって商用電源11から生成した高電圧を用いて、高電圧交流用シリコンダイオード13を用いない場合よりも発光強度が大きなプラズマジェットを生成できることが確かめられた。プラズマジェットの照射対象が受ける熱負荷の、高電圧交流用シリコンダイオード13を用いたための増加量は、ガス種に応じて、ほとんどないか又はわずかである。

【0049】
従って、電源10によれば、プラズマ生成装置用の電源として適した、構成が簡便でしかも効率良くプラズマを生成できる電源が提供できる。

【0050】
以上、本発明の態様に係るプラズマ生成装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。

【0051】
例えば、複数のプラズマリアクターでプラズマを生成して対象に照射するプラズマ生成装置が考えられる。このようなプラズマ生成装置では、単一の電源で生成した高電圧を分岐して、複数のプラズマリアクターに供給してもよい。このようなプラズマ生成装置は、大面積の対象を処理する上で好適である。

【0052】
また、複数のプラズマリアクターのそれぞれに個別に本発明の電源を設けてもよい。その場合でも、個々の電源が簡便かつ安価に構成されているため、大きなコスト上昇は起こりにくい。しかも、個別の電源で個々のプラズマリアクターを独立に駆動できるため、制御性が良く、例えば生産設備におけるプラズマ生成装置に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、プラズマ生成装置用の電源に利用できる。とりわけ、簡便で安価な電源によって効率よくプラズマを生成できることから、多くの応用分野に広くプラズマ生成装置を普及させるための大きな利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0054】
1 プラズマ生成装置
10 電源
11 商用電源
12 トランス
13 高電圧交流用シリコンダイオード
14 スイッチ
20 プラズマリアクター
21 ガス導入部
22 石英管
23 ボンド
24 内部電極
25 外部電極
31 ソースガス
32 プラズマジェット
図面
【図1】
0
【図2A】
1
【図2B】
2
【図2C】
3
【図2D】
4
【図4A】
5
【図4B】
6
【図6A】
7
【図6B】
8
【図7A】
9
【図7B】
10
【図3】
11
【図5】
12