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明細書 :金属炭化物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-125374 (P2014-125374A)
公開日 平成26年7月7日(2014.7.7)
発明の名称または考案の名称 金属炭化物の製造方法
国際特許分類 C01B  31/30        (2006.01)
FI C01B 31/30
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2012-282645 (P2012-282645)
出願日 平成24年12月26日(2012.12.26)
発明者または考案者 【氏名】大矢 豊
【氏名】伴 隆幸
【氏名】伊西 拓弥
出願人 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098224、【弁理士】、【氏名又は名称】前田 勘次
【識別番号】100140671、【弁理士】、【氏名又は名称】大矢 正代
審査請求 未請求
テーマコード 4G146
Fターム 4G146AA26
4G146AB01
4G146AD19
4G146AD21
4G146AD26
4G146AD35
4G146BA11
4G146BA49
4G146BC17
要約 【課題】高温まで昇温した後、降温する工程を要することなく、且つ、周囲の環境を高温とすることなく、金属炭化物を簡易に製造することができる、金属炭化物の製造方法を提供する。
【解決手段】製造方法を、炭素原子を含有する有機系液体の電気伝導率を調整し、電気伝導率が調整された有機系液体中で、金属電極間に電圧を印加しグロー放電させ、前記金属電極を有機系液体の炭素原子と反応させる構成とする。また、本構成において、有機系液体の電気伝導率は、1.0mS/m~10.1mS/mに調整されるものとすることができる。
【選択図】図4
特許請求の範囲 【請求項1】
炭素原子を含有する有機系液体の電気伝導率を調整し、
電気伝導率が調整された前記有機系液体中で、金属電極間に電圧を印加しグロー放電させ、前記金属電極を前記有機系液体の炭素原子と反応させる
ことを特徴とする金属炭化物の製造方法。
【請求項2】
前記有機系液体の電気伝導率は、1.0mS/m~10.1mS/mに調整される
ことを特徴とする請求項1に記載の金属炭化物の製造方法。
【請求項3】
前記有機系液体はブタノールまたはプロパノールを含有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属炭化物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属炭化物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
モリブデン、タングステン、ニオブ等の金属の炭化物は、超硬質材料として切削工具や耐摩耗性が要請される部品の材料として使用される他、耐熱材料、触媒材料、電子材料への添加剤、溶射材料として使用されるなど、用途が多岐にわたる有用な材料である。
【0003】
従来、金属炭化物は、金属粉末、金属酸化物、または金属水素化物を炭素と混合し、還元雰囲気下で高温に加熱し炭化することによって製造されていた。このような方法では、雰囲気を制御する必要があることに加え、炉を使用して1500℃~2000℃という非常な高温にまで加熱する必要がある。そのため、電気炉等の加熱装置に熱衝撃を与えない速度で所定温度まで昇温し、その温度で所定時間保持した後、再び熱衝撃を与えない速度で常温まで降温する一連の工程に長時間を要し、効率が良いとは言えないものであった。また、加熱装置の内部のみならず、その周囲の環境まで高温となってしまうという問題があった。
【0004】
また、金属炭化物の従来の製造方法として、炭化物とする目的金属に炭素と鉄族金属を添加して2000℃以上の高温まで加熱し、その温度で保持して溶融した鉄族金属中に金属炭化物を析出させ、冷却・粉砕後に鉄族金属を酸で除去するという方法も行われている。この方法では、鉄族金属を酸で除去する工程の労力負担が大であることに加え、上記の方法と同様に、2000℃以上の高温にまで昇温し、所定時間保持した後に常温まで降温する一連の工程に長時間を要すると共に、周囲の環境まで高温となってしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記の実情に鑑み、高温まで昇温した後、降温する工程を要することなく、且つ、周囲の環境を高温とすることなく、金属炭化物を簡易に製造することができる、金属炭化物の製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる金属炭化物の製造方法(以下、単に「製造方法」と称することがある)は、「炭素原子を含有する有機系液体の電気伝導率を調整し、電気伝導率が調整された前記有機系液体中で、金属電極間に電圧を印加しグロー放電させ、前記金属電極を前記有機系液体の炭素原子と反応させる」ものである。
【0007】
電気伝導性の液体中で電極間に電圧を印加すると、液体中に電流が流れることにより電極近傍の液体がジュール熱により加熱されて気化し、その気相中でグロー放電が起こる。これにより、気相中でプラズマが発生するが、この気相は更に液体によって取り囲まれている。そのため、プラズマは、気相を介して液相中に閉じ込められた状態となる。本発明者らは、有機系液体中にプラズマによる反応場をつくり、且つ、有機系液体中の電気伝導率を調整することにより、グロー放電させるために使用する金属電極自体を有機系液体中の炭素原子と反応させ、金属炭化物を生成できることを見出し、本発明に至ったものである。このように、グロー放電のための電極を生成物(金属炭化物)の原料とする本発明は、従来にない斬新な金属炭化物の製造方法である。
【0008】
そして、金属電極として種々の金属を使用することにより、後述するように、種々の金属の炭化物を製造することができる。
【0009】
また、本発明の製造方法は、従来の金属炭化物の製造方法と異なり、千数百度以上という非常な高温まで昇温し降温する工程を要さないため、短時間で簡易に金属炭化物を製造することができる。
【0010】
加えて、本発明の製造方法は、電気炉などの加熱装置を使用して千数百度以上という非常な高温まで加熱する従来法とは異なり、反応系の全体が高温とならず、周囲の環境も高温とならない利点を有している。
【0011】
本発明にかかる金属炭化物の製造方法は、上記構成において、「前記有機系液体の電気伝導率は、1.0mS/m~10.1mS/mに調整される」ものとすることができる。
【0012】
上記の電気伝導率は、液中でプラズマを発生させようとする一般的な場合の電気伝導率に比べて、かなり小さい。有機系液体の電気伝導率をこのような小さな値に調整することにより、後述のように、種々の金属電極を有機系液体中の炭素と反応させて、金属炭化物を製造することができる。
【0013】
本発明にかかる金属炭化物の製造方法は、上記構成において、「前記有機系液体はブタノールまたはプロパノールを含有する」ものとすることができる。
【0014】
ブタノール及びプロパノールは、有機溶媒の中では沸点が高い。具体的には、ブタノールと称される構造異性体のうち、1-ブタノール(n-ブチルアルコール)の沸点は117℃であり、2-ブタノール(sec-ブチルアルコール)の沸点は100℃であり、2-メチル-1-プロパノール(イソブチルアルコール)の沸点は108℃であり、2-メチル-2-プロパノール(tert-ブチルアルコール)の沸点は83℃である。また、プロパノールの構造異性体のうち、2-プロパノールの沸点は83℃であり、1-プロパノールの沸点は97℃である。従って、有機溶媒が常温で蒸発しにくく、開放系で金属炭化物を製造しやすいという利点がある。
【0015】
加えて、ブタノール及びプロパノールは、炭素、水素、酸素原子のみからなる有機溶媒であり、塩素原子などのハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子などを有していない。そのため、金属の炭化物を効率よく製造する原料としての有機系液体に用いる有機溶媒として適している。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の効果として、高温まで昇温した後、降温する工程を要することなく、且つ、周囲の環境を高温とすることなく、金属炭化物を簡易に製造することができる、金属炭化物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態である金属炭化物の製造方法の工程図である。
【図2】工程P2に使用する容器、金属電極の配置等を例示する斜視図である。
【図3】(a)試料1a、及び(b)試料1bの発光分光分析の結果を示す図である。
【図4】試料1a,1bの生成物のX線回折パターンを示す図である。
【図5】試料2a,2bの生成物のX線回折パターンを示す図である。
【図6】試料3a,3bの生成物のX線回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態である金属炭化物の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、図1に示すように、炭素原子を含有する有機系液体に電解質を添加し、混合して電気伝導率を調整する工程P1と、電気伝導率が調整された有機系液体中で、金属電極間に電圧を印加してグロー放電させ、金属電極を有機系液体の炭素原子と反応させる工程P2と、放電による生成物を液体と分離する工程P3とを具備している。

【0019】
より具体的に説明すると、有機系液体としては、汎用される有機溶媒を使用可能である。ただし、沸点が高い有機溶媒であれば開放系での金属炭化物の製造が容易であるため、沸点が70℃以上の有機溶媒が望ましい。また、有機溶媒が塩素原子などのハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む場合は、金属のハロゲン化物、窒化物、硫化物が生成する可能性があるため、かかる原子を含有しない有機溶媒を用いることが望ましい。なお、沸点が高い有機溶媒の揮発性を調整するために、水溶性の有機溶媒に水を添加して有機系液体とすることができる。

【0020】
工程P1では、有機系液体に電解質を添加し、混合して電気伝導率を調整する。電解質としては、有機系液体中で電離するものであれば特に限定されないが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオンなどを含有しないものが望ましい。例えば、水酸化テトラアルキルアンモニウム、カルボン酸などを使用可能である。

【0021】
工程P2では、有機系液体を収容する容器として、図2に例示する容器10を使用することができる。この容器10は、内側容器11と外側容器12が一体となった二重構造であり、ガラスやアクリル樹脂など耐薬品性及び透明性に優れる材料で形成されている。容器10には、外側容器を貫通し、外側容器と内側容器との間の空間(以下、「外側空間」と称する)に連通することなく、内側容器の内部空間に連通する筒状の電極挿通部15が、対向して一対設けられている。また、容器10には、外側空間に連通するが内側容器の内部空間には連通しない二つの筒状の連結口17,18が離れた位置に形成されており、一方の連結口17は高い位置に他方の連結口18は低い位置に設けられている。

【0022】
上記構成の容器10を用いてグロー放電を行う場合は、一対の電極挿通部15にそれぞれワイヤ状の金属電極1を挿通し、両金属電極1の端部間に所定の隙間(電極間距離)を設けて向かい合わせる。そして、内側容器11内に液体を収容した状態で、金属電極1間に電圧を印加しグロー放電させ、液体中でプラズマを発生させる。このとき、所定の温度に保持された水を、連結口17,18の一方を介して外側空間に導入し、他方を介して排出させれば、内側容器11内の液体の温度を一定に保持し易く、プラズマの状態を長時間安定させることができる。なお、金属電極1は、セラミックスなど電気絶縁性、耐薬品性及び耐熱性に優れた材料で形成された保護管5に通した状態で電極挿通部15に挿通し、液体中で先端のみを保護管5から露出させる。また、内側容器11内に収容された液体は、撹拌子6などを用いて撹拌することにより、プラズマを発生させている間は流動させることが望ましい。なお、「金属電極」とする金属は特に限定されず、例えば、モリブデン、タングステン、ハフニウム、チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニアを使用することができる。

【0023】
工程P3では、放電による生成物を、遠心分離や濾過などにより分離する。また、分離された生成物に水または工程P1,P2で使用したものと同じ有機系液体を加えて撹拌し、再度分離することにより、添加した電解質を除き洗浄する操作を行ってもよい。また、この工程P3において、液体から分離された生成物、或いは、液体から分離し洗浄した生成物を、乾燥させる工程を行ってもよい。乾燥は、例えば、加熱乾燥、調湿槽内での送風乾燥、遠赤外線やマイクロ波の照射による乾燥、凍結乾燥とすることができる。
【実施例】
【0024】
有機系液体、及び、金属電極の種類が異なる複数の試料を、上記の工程P1~工程P3に供した。
【実施例】
【0025】
まず、金属電極としてモリブデン(Mo)を使用した試料1a,1bについて説明する。試料1aは有機系液体として1-ブタノールを使用し、試料1bは有機系液体として2-プロパノールと水とを質量比で7対3の割合で混合した液体を使用した。それぞれの試料について、電解質として水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAOH)を使用し、次のように電気伝導率を調整した(工程P1)。
試料1a:10.1mS/m
試料1b:1.4mS/m
【実施例】
【0026】
電気伝導率が調整された有機系液体100ミリリットルを、上記の容器(図2参照)の内側容器内に収容した。電圧印加装置を使用し、次の条件で金属電極間に正電圧と負電圧とを交互に印加し、グロー放電させ有機系液体中にプラズマを発生させた。放電中は継続して、容器の外側空間に20℃の恒温水を一方の連結口を介して導入すると共に、他方の連結口を介して排出させ、内側容器内の液体の温度を一定に保持した(工程P2)。
【実施例】
【0027】
<グロー放電の条件>
電圧:800V~1400V
パルス周波数:20kpps(インターバル:50μsec)
パルス幅:20μsec
金属電極の直径:1mm(ワイヤ状)
電極間距離:0.3mm
放電時間:30min
【実施例】
【0028】
グロー放電の開始直後に、プラズマの発光を分光器(オーシャンオプティクス製 USB4000)で測定し、発光分光分析を行った。グロー放電によってエネルギーを与えられ励起した原子は、基底状態に遷移するときに光を放出する。基底状態と遷移状態とのエネルギー差は原子に固有であるため、光の波長を測定することにより、プラズマ中に存在する活性な原子(反応種)を特定することができる。
【実施例】
【0029】
試料1a,1bについての発光分光分析の結果を、それぞれ図2(a),(b)に示す。両試料ともに、モリブデン、炭素、水素のピークが認められた。また、試料1bでは、僅かに酸素のピークが認められた。これらの元素の原子がグロー放電により励起され、プラズマ中で活性な反応種となっていると考えられる。
【実施例】
【0030】
グロー放電後、何れの試料についても液が黒く濁り、黒色の沈殿物が生成していた。また、何れの試料の場合も、以下に示すように、グロー放電によって金属電極の長さが減少していた。このことから、金属電極が反応に消費されていることが分かる。
試料1a:-0.85mm、-5.70mm
試料1b:-1.25mm、-1.20mm
なお、グロー放電の後、有機系液体の電気伝導率は試料1aで8.8mS/m、試料1bで1.4mS/mであった。
【実施例】
【0031】
それぞれの試料について、グロー放電後の液体を遠心分離し、生成物(沈殿物)を分離、洗浄、乾燥して粉末を得た(工程P3)。
【実施例】
【0032】
試料1a,1bの生成物の粉末について、以下の条件でX線回折パターンの測定を行った。その結果を、図4に示す。
粉末X線回折装置:リガク製、Ultima IV
測定方法:連続スキャン
管球:CuKα線
出力:電圧40kV,電流30mA
ステップ幅:0.02°(2θ=30°~110°)
計測速度:2°/min
【実施例】
【0033】
図4から分かるように、試料1a,1bの何れについてもMoC(NaCl型構造)のピークが認められ、金属電極のモリブデンが有機系液体の炭素と反応して、炭化物が製造されたことが確認された。なお、試料1aではグラファイトのピークが、試料1bでは削られた金属電極と考えられるMoのピークが僅かに認められた。
【実施例】
【0034】
次に、金属電極としてタングステン(W)を使用した試料2a,2bについて説明する。試料2aは有機系液体として1-ブタノールを使用し、試料2bは有機系液体として2-プロパノールと水とを質量比で7対3の割合で混合した液体を使用した。それぞれの試料について、電解質として水酸化テトラメチルアンモニウムを使用し、次のように電気伝導率を調整した(工程P1)。
試料1a:10.0mS/m
試料1b:1.5mS/m
【実施例】
【0035】
試料1a,1bと同様の方法・条件で工程P2を行い、グロー放電させると共に、グロー放電の開始直後に発光分光分析を行った。その結果、両試料ともに、タングステン、炭素、水素のピークが認められた。また、試料1bでは、僅かに酸素のピークが認められた。
【実施例】
【0036】
グロー放電後、何れの試料についても液が黒く濁り、黒色の殿物が生成していた。また、グロー放電によって金属電極の長さが以下のように減少していた。
試料2a:-0.30mm、-0.60mm
試料2b:-0.30mm、-0.30mm
なお、グロー放電の後、有機系液体の電気伝導率は試料2aで8.9mS/m、試料2bで1.3mS/mであった。
【実施例】
【0037】
それぞれの試料について、試料1a,1bと同様の方法で工程P2を行い、生成物の粉末を得た。得られた試料2a,2bの生成物の粉末について、上記と同一の条件でX線回折パターンの測定を行った。その結果を、図5に示す。
【実施例】
【0038】
図5から分かるように、試料2a,2bの何れについてもW(C,O)(NaCl型構造)のピークと、W2.54(六方晶系)のピークが認められ、金属電極のタングステンが有機系液体の炭素と反応して、炭化物が製造されたことが確認された。なお、試料2aではグラファイトのピークが僅かに認められた。
【実施例】
【0039】
次に、金属電極としてハフニウム(Hf)を使用した試料3a,3bについて説明する。試料3aは有機系液体として1-ブタノールを使用し、試料3bは有機系液体として2-プロパノールと水とを質量比で7対3の割合で混合した液体を使用した。それぞれの試料について、電解質として水酸化テトラメチルアンモニウムを使用し、次のように電気伝導率を調整した(工程P1)。
試料3a:10.0mS/m
試料3b:1.7mS/m
【実施例】
【0040】
試料1a,1b及び試料2a,2bと同様の方法・条件で工程P2を行い、グロー放電させると共に、グロー放電の開始直後に発光分光分析を行った。その結果、両試料ともに、ハフニウム、炭素、水素のピークが認められた。また、試料3bでは、僅かに酸素のピークが認められた。
【実施例】
【0041】
グロー放電後、何れの試料についても液が黒く濁り、黒色の殿物が生成していた。また、グロー放電によって金属電極の長さが以下のように減少していた。
試料3a:-0.45mm、-0.45mm
試料3b:-0.85mm、-0.95mm
なお、グロー放電の後、有機系液体の電気伝導率は試料3aで9.0mS/m、試料3bで1.7mS/mであった。
【実施例】
【0042】
それぞれの試料について、試料1a,1b及び試料2a,2bと同様の方法で工程P2を行い、生成物の粉末を得た。得られた試料3a,3bの生成物の粉末について、上記と同一の条件でX線回折パターンの測定を行った。その結果を、図6に示す。
【実施例】
【0043】
図6から分かるように、試料3a,3bの何れについてもHfC(NaCl型構造)のピークが認められ、金属電極のハフニウムが有機系液体の炭素と反応して、炭化物が製造されたことが確認された。なお、試料3bではHfOのピークが認められた。このことから、酸化物を生成させることなく炭化物を収率よく製造するには、試料3bの有機系液体よりも試料3aの有機系液体の方が適していると考えられた。
【実施例】
【0044】
次に、金属電極としてチタン(Ti)を使用した試料4について説明する。試料4は有機系液体として2-プロパノールと水とを質量比で7対3の割合で混合した液体を使用し、電解質として水酸化テトラメチルアンモニウムを使用し、電気伝導率を1.0mS/mに調整した(工程P1)。
【実施例】
【0045】
上記と同様の方法・条件で工程P2及び工程P3を行い、得られた生成物の粉末について、上記と同一の条件でX線回折パターンの測定を行った。その結果、TiC(NaCl型構造)のピークが認められ、金属電極のチタンが有機系液体の炭素と反応して、炭化物が製造されたことが確認された。なお、試料4ではTi(三方晶系)のピークも認められた。
【実施例】
【0046】
次に、金属電極としてニオブ(Nb)を使用した試料5について説明する。試料5は有機系液体として2-プロパノールと水とを質量比で7対3の割合で混合した液体を使用し、電解質として水酸化テトラメチルアンモニウムを使用し、電気伝導率を1.0mS/mに調整した(工程P1)。
【実施例】
【0047】
上記と同様の方法・条件で工程P2及び工程P3を行い、得られた生成物の粉末について、上記と同一の条件でX線回折パターンの測定を行った。その結果、NbC(NaCl型構造)のピークが認められ、金属電極のニオブが有機系液体の炭素と反応して、炭化物が製造されたことが確認された。なお、試料5ではNbO(体心正方格子)のピークも認められた。
【実施例】
【0048】
次に、金属電極としてタンタル(Ta)を使用した試料6について説明する。試料6は有機系液体として2-プロパノールと水とを質量比で7対3の割合で混合した液体を使用し、電解質として水酸化テトラメチルアンモニウムを使用し、電気伝導率を1.0mS/mに調整した(工程P1)。
【実施例】
【0049】
上記と同様の方法・条件で工程P2及び工程P3を行い、得られた生成物の粉末について、上記と同一の条件でX線回折パターンの測定を行った。その結果、Ta(単純立方格子)のピークが認められ、金属電極のタンタルが有機系液体の炭素と反応して、炭化物が製造されたことが確認された。なお、試料6ではTa(単純立方格子)のピークも認められた。
【実施例】
【0050】
上記のように、本実施形態の製造方法によれば、炭素原子を含有する有機系液体の電気伝導率を1.0mS/m~10.1mS/mという小さな値に調整し、有機系液体中で金属電極間に電圧を印加しグロー放電させることにより、種々の金属電極をそれぞれ有機系液体の炭素原子と反応させ、金属炭化物を製造することができる。
【実施例】
【0051】
また、本実施形態の製造方法は、従来の金属炭化物の製造方法と異なり、千数百℃以上という非常な高温まで昇温し降温する工程を要さないため、従来と比べて短時間で簡易に金属炭化物を製造することができる。
【実施例】
【0052】
加えて、本実施形態の製造方法は、電気炉などの加熱装置を使用して千数百℃以上という非常な高温まで加熱する従来法と異なり、反応系の全体、及び、周囲の環境が高温とならない利点を有している。
【実施例】
【0053】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【実施例】
【0054】
例えば、上記の実施例では、有機系液体中でグロー放電させるために一対の金属電極間に電圧を印加する場合を例示したが、これに限定されず、複数対の金属電極を使用することにより、単一容器内の有機系液体中の複数箇所でグロー放電させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 金属電極
5 保護管
10 容器
11 内側容器
12 外側容器
15 電極挿通部
P1 有機系液体に電解質を添加し混合して電気伝導率を調整する工程
P2 液中でグロー放電させる工程
P3 生成物を分離する工程
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5