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明細書 :鳥インフルエンザに対する点眼ワクチン

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2013-001686 (P2013-001686A)
公開日 平成25年1月7日(2013.1.7)
発明の名称または考案の名称 鳥インフルエンザに対する点眼ワクチン
国際特許分類 A61K  39/145       (2006.01)
A61K  39/00        (2006.01)
A61P  31/16        (2006.01)
A61K   9/08        (2006.01)
FI A61K 39/145
A61K 39/00
A61P 31/16
A61K 9/08
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2011-135988 (P2011-135988)
出願日 平成23年6月20日(2011.6.20)
発明者または考案者 【氏名】彦野 弘一
【氏名】真瀬 昌司
【氏名】西藤 岳彦
出願人 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100086221、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 裕也
審査請求 未請求
テーマコード 4C076
4C085
Fターム 4C076AA12
4C076AA24
4C076BB24
4C076CC35
4C076FF68
4C085AA03
4C085BA55
4C085GG10
要約 【課題】 本発明は、家禽における不活化ワクチンを用いた鳥インフルエンザの予防方法において、;(通常の鳥インフルエンザの不活化ワクチンの接種には必須である)オイルアジュバントを併用しなくても強い免疫を付与することができ、且つ、注射針を用いた投与法でなく、且つ、多頭羽に迅速に投与が可能となる方法、を開発することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、家禽に対して、不活化した鳥インフルエンザウイルスを抗原として含み、且つ、オイルアジュバントを含まない不活化ワクチン、を点眼投与することを特徴とする、;家禽における鳥インフルエンザの予防方法を提供する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
家禽に対して、以下(A)に記載の不活化ワクチンを点眼投与することを特徴とする、家禽における鳥インフルエンザの予防方法。
(A):不活化した鳥インフルエンザウイルスを抗原として含み、且つ、オイルアジュバントを含まない不活化ワクチン。
【請求項2】
前記不活化した鳥インフルエンザウイルスが、ウイルス粒子の構造が保持されたまま不活化されたものである、請求項1に記載の鳥インフルエンザの予防方法。
【請求項3】
前記点眼投与が、スプレー散布によって行うものである、請求項1又は2のいずれかに記載の鳥インフルエンザの予防方法。
【請求項4】
前記点眼投与が、間隔を空けて2回以上行うものである、請求項1~3のいずれかに記載の鳥インフルエンザの予防方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、家禽における鳥インフルエンザの予防方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチンは、投与する抗原によって生ワクチンと不活化ワクチンに大別される。
‘生ワクチン’は、弱毒化した病原体をワクチン抗原とするもので、免疫原性が高く、強力で長期にわたる免疫を付与できる。しかし、生きている病原体を抗原として用いるため、安全性の点で問題を生じる可能性がある。
一方、‘不活化ワクチン’は、不活化した病原体やその構成成分(タンパク質等)を抗原とするもので、安全性は高いが免疫原性が低い。
【0003】
ワクチンにより付与される免疫の強さは、投与方法によって大きく左右される。一般的に、皮下又は筋肉内への投与では、付与される免疫が強い。一方、粘膜(経口、総排泄腔、経鼻、点眼)への投与では付与される免疫が弱い。
そのため、従来では、不活化ワクチンを用いる場合、アジュバント(免疫増強剤)を併用し、皮下又は筋肉内に注射する方法が採用されている(例えば、特許文献1 参照)。
【0004】
近年、高病原性の鳥インフルエンザウイルスが、家禽において世界的に流行しており、一部の国では常在化している。当該ウイルスによる家禽の死亡率は極めて高い。さらに、国内で当該ウイルスの感染が確認された場合、防疫のためにその周辺の家禽は全て殺処分される。よって、当該ウイルスによる家禽産業の経済的被害は甚大である。
また、当該ウイルスは、ヒトに致死的な感染を引き起こす場合がある。当該ウイルスは、現在の段階では、家禽からヒトに直接伝播するもののみである。
しかし、将来、ヒトからヒトへの高い伝播能を有する系統が生じた場合、極めて深刻なパンデミックが起こる可能性がある。
よって、家禽における鳥インフルエンザの発生を抑えることは、家畜衛生及び公衆衛生上、世界的に重要な課題となっている。
【0005】
家禽において鳥インフルエンザに対するワクチン接種を行う場合、生ワクチンを用いるとウイルスが宿主体内で変異またはリアソータント(遺伝子再集合体)を生じ、家禽に対して強毒性のウイルスが発生する可能性がある。また、食品安全性の点からも家禽に生ワクチンを用いることには問題がある。さらに、家禽に接種された生ワクチンが、何らかの経路でパンデミックを起こすインフルエンザウイルスの出現に関わる可能性が否定できない。
従って、現行の家禽に対する鳥インフルエンザワクチンとしては、当該ウイルスの不活化ワクチンをオイルアジュバントと併用し、皮下又は筋肉内に注射する方法が採用されている。
【0006】
ところが、このような方法でワクチン接種した家禽は、オイルアジュバントが体内に長期間残留するため、食品安全性の点から一定期間出荷ができない。
また、皮下又は筋肉に注射するには、一羽ずつ個別に接種するため多くの労力が必要であり、多頭羽に迅速に接種することが難しい。さらに、接種を行う者(獣医療従事者等)の針刺し事故の危険性や、使用済み注射針の廃棄が問題となっている。
【0007】
そのため、従来、鳥インフルエンザの防疫において、ワクチン接種は緊急時以外には原則的に用いられず、発生農場における家禽を全て処分する方法(殺処分)が採られている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-231123号公報(〔背景技術〕の段落)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記課題を解決し、家禽における不活化ワクチンを用いた鳥インフルエンザの予防方法において、;オイルアジュバントを併用しなくても高い免疫を付与することができ、且つ、注射針を用いた投与法でなく、且つ、多頭羽に迅速に投与が可能となる方法、を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、「不活化した鳥インフルエンザウイルス」を抗原とするワクチンを、「点眼」によって投与することによって、;従来の皮下又は筋肉内に注射するワクチンでは必須であったオイルアジュバントを全く併用しなくても、家禽に強い免疫を付与できることを見出した。
【0011】
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
即ち、〔請求項1〕に係る本発明は、家禽に対して、以下(A)に記載の不活化ワクチンを点眼投与することを特徴とする、家禽における鳥インフルエンザの予防方法に関するものである。
(A):不活化した鳥インフルエンザウイルスを抗原として含み、且つ、オイルアジュバントを含まない不活化ワクチン。
また、〔請求項2〕に係る本発明は、前記不活化した鳥インフルエンザウイルスが、ウイルス粒子の構造が保持されたまま不活化されたものである、請求項1に記載の鳥インフルエンザの予防方法に関するものである。
また、〔請求項3〕に係る本発明は、前記点眼投与が、スプレー散布によって行うものである、請求項1又は2のいずれかに記載の鳥インフルエンザの予防方法に関するものである。
また、〔請求項4〕に係る本発明は、前記点眼投与が、間隔を空けて2回以上行うものである、請求項1~3のいずれかに記載の鳥インフルエンザの予防方法に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、以下の効果が奏されるものと認められる。
i )本発明では、オイルアジュバントの使用が全く不要となるため、オイルアジュバントを接種した家禽と比較して、より早期に食品安全上問題なく出荷することが可能となる。
ii)スプレー等での散布による点眼投与が可能となるため、一度に多頭羽の家禽へのワクチン投与が可能となる。
これにより、ワクチン投与における労力を大幅に削減できると同時に、注射針の針刺し事故、使用済み注射針の廃棄の問題等も発生しなくなる。
iii)生ワクチンを用いないため、接種個体内で強毒性のウイルスが発生する可能性がなく、安全性が高いものとなる。
【0013】
以上により、本発明では、ワクチンを鳥インフルエンザに対する有効な防疫手段とすることが可能となり、従来行われてきた大規模な殺処分を回避することが可能となる。

【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1において、各処置群の鶏の抗体価の測定結果を示す図である。

【0015】
【図2】実施例2において、各処置群の鶏の抗体価の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、家禽に対して鳥インフルエンザの不活化ワクチンを点眼投与することを特徴とする、家禽における鳥インフルエンザの予防方法に関する。

【0017】
〔不活化ワクチン〕
本発明における鳥インフルエンザの不活化ワクチンとしては、不活化された鳥インフルエンザウイルスを抗原として用いることを要する。
ここで不活化とは、ウイルスとしての機能(感染や増殖する機能等)を失っている状態を指す。
なお、本発明におけるワクチンとしては、安全性の点で、ウイルスとしての機能を有する弱毒ウイルスを抗原とする生ワクチンは含まれない。

【0018】
抗原として用いられる不活化ウイルスの種類としては、ウイルス粒子の構造が保持されたまま不活化された不活化全粒子ウイルス、;ウイルス粒子を破壊して不活化された不活化スプリットウイルス、;を挙げることができる。
不活化全粒子ウイルスは、β-プロピオラクトン、ホルマリン等の化学処理、加温処理、紫外線照射などにより得ることができる。また、不活化スプリットウイルスは、エーテル等の化学処理などにより得ることができる。
本発明では、十分な免疫原性を得るために、不活化全粒子ウイルスを用いることが好ましい。

【0019】
なお、本発明における不活化ワクチンとしては、ウイルス由来タンパク質(例えば、ウイルスから精製または遺伝子組み換え技術により作製されたヘマグルチニン等)のみを抗原とするものは含まれない。
抗原性を有するタンパク質のみでは、十分な免疫原性を持たないことが示唆されているためである。

【0020】
本発明においては、鳥インフルエンザウイルスとしては、鳥類に感染するA型インフルエンザウイルスを対象とする。
インフルエンザウイルスは、表面にヘマグルチニン(HA)とノイラミニダーゼ(NA)がスパイク状に配列した構造であり、H1N1型~H16N9型からなる144種類の亜型に分類される。
特には、家禽に感染した際に、高い病原性を示す高病原性鳥インフルエンザウイルスを対象とする。

【0021】
〔点眼投与〕
本発明では、前記不活化ワクチンを、家禽に対して「点眼投与」することを必須とする。
本発明では、目の粘膜から不活化ウイルスを接種した場合に、強い免疫を付与することができる。
ここで点眼投与とは、眼窩に前記不活化ワクチンを投与し、目の粘膜を介して不活化ウイルスを導入する投与方法である。
なお、従来、家禽において、粘膜から投与できる不活化ワクチンはほとんど存在しない。一般的に、不活化ワクチンを粘膜から投与した場合、ほとんど免疫応答を起こさない、または、弱い免疫応答を起こすだけだからである。
鳥インフルエンザに対する不活化ワクチンについても、アジュバントなしで、点眼投与によって強い免疫を付与できることは全く想定されていなかった

【0022】
点眼投与の具体的な態様としては、点眼器等を用いて、通常の目薬をさすように、不活化ワクチンの雫を上方から落下させる方法をとることができる。
例えば、片方の目(好ましくは両方の目)に一滴ずつ投与する方法で行うことができる。
また、シリンジ、水鉄砲状の容器等を用いて、前記液体を目に噴射する方法をとることもできる。
また、本発明において好ましくは、不活化ワクチンを噴霧させる「スプレー散布」の態様をとることによって一度に多頭羽の家禽に対して点眼投与することが可能となる。
ここで、スプレー散布としては、スプレー、噴霧器、霧吹き器等を用いて行うことができる。

【0023】
ワクチンの投与量としては、不活化ウイルス量に換算して103 HAU以上、好ましくは103~105 HAU、さらに好ましくは104 HAU程度の量を、1度の点眼で投与することが望ましい。なお、HAUとは、赤血球凝集価(hemagglutination unit)を示す単位である。
また、本発明では、十分な免疫を付与するために、間隔を空けて2回以上の投与を行うことが望ましい。投与間隔としては、3週間~2ヶ月が好ましい。

【0024】
〔ワクチンの形態〕
本発明におけるワクチンは、点眼に適した形態(使用時に液体の状態)であれば如何なる形態のものも含む。例えば、目薬様の液体アンプル、濃縮液等の形状とすることができる。
また、粉末、顆粒、カプセル状であっても、使用の際に液体であれば問題なく用いることができる。また、必要に応じて、pH調製剤、抗生物質等を混合したものでも良い。
また、本発明のワクチンとしては、他の病原菌やウイルスの抗原を混合した混合ワクチンの形態とすることもできる。

【0025】
〔アジュバント〕
本発明においては、アジュバント(免疫増強剤)の併用を全く必要とすることなく、十分な免疫を付与することができる。
ここで、アジュバントの併用とは、(i)原則的にはワクチンにアジュバントを含有させて投与する態様を指すものであるが、(ii)ワクチンとアジュバントをそれぞれ別途に投与する態様も含むものである。

【0026】
これにより、本発明では、従来、鳥インフルエンザの不活化ワクチンを皮下又は筋肉内に注射する際には必須であったオイルアジュバント、を全く使用しなくても、鳥インフルエンザに対する免疫を付与することが可能となる。
なお、オイルアジュバントは、皮下や筋肉注射には適しているものの、粘性が高いことから粘膜投与全般(経口、総排泄腔、経鼻、点眼)には適さない。さらに、オイルアジュバントは体内に長期間残留するため、食品安全性の点から、接種家禽は一定期間出荷できなくなる。

【0027】
なお、本発明においては、ワクチン投与においてアジュバントの使用を全く排除するものではなく、安全性が高く粘性が低いなど、点眼に適した性質を持つものであれば、その使用は可能である。

【0028】
〔対象となる家禽〕
本発明は、鳥類全般に対して適用が可能な技術であるが、具体的に対象となるのは家禽である。
ここで、家禽としては、鶏、あひる、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥などを挙げることができる。特には、養鶏産業への応用の観点から、鶏に対して有効に用いることができる。

【0029】
また、本発明の点眼による不活化ワクチン投与は、鳥インフルエンザウイルスが感染する前の個体であれば、成鳥であっても雛に対しても免疫を付与することができる。
但し、ウイルスに感染した後の個体については、ワクチンの効果を得ることができない。

【実施例】
【0030】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
〔調製例1〕 不活化ウイルスの調製
10日齢の発育鶏卵に、高病原性鳥インフルエンザウイルス(A/chichen/Yamaguchi/07/2004, H5N1型)を接種し、2日後に尿漿膜腔液を回収した。
尿漿膜腔液にβ-プロピオラクトンを最終濃度0.1%となるように添加し、室温で4時間放置し、ウイルスを不活化させ、30,000rpm 2hrの遠心分離を行って沈査を回収した。
【実施例】
【0032】
得られた沈査から、ショ糖密度勾配遠心法により不活化全粒子ウイルスを精製した。
70%及び25%ショ糖溶液とともに、27,000rpm 2hrの遠心を行い、両ショ糖溶液の間に濃縮される不活化ウイルスを回収した。
得られた不活化全粒子ウイルスは、鶏赤血球を用いて、赤血球凝集価(HAU)を測定し、ワクチン抗原とした。

【実施例】
【0033】
〔実施例1〕 不活化ウイルスの鶏への点眼投与
・「ワクチン投与」
成鳥である鶏群に、上記調製した不活化ウイルス(104 HAU)を眼窩に点眼投与した。なお、投与は4週間隔で2回行った。
その後、2回目の投与から4週間後に血清を採取し、抗体価(赤血球凝集阻止価:HIU)を測定した(試験群1)。
また、陽性対象として、前記不活化ウイルスの点眼投与に加えて、アジュバント(CpG ODNまたはコレラトキシン)を同時に点眼投与した鶏群の抗体価を測定した(試験群2,3)。
なお、陰性対照として、ワクチンを投与しない鶏群の抗体価も測定した(試験群4)。測定結果を、表1および図1に示す。
【実施例】
【0034】
なお、以下の表中において、抗体価の値が「N.D.」と記載されている箇所は、検出限界である10 HIU以下であったことを示す。また、以下の図中において、測定値が検出限界の10 HIU以下(N.D.)の鶏個体は、便宜的に1 HIUにプロットして示した。
【実施例】
【0035】
この結果、不活化鳥インフルエンザウイルス全粒子を単独で点眼投与(試験群1:本発明)することによって、当該ウイルスに対する抗体の産生を誘導できることが示された。
また、その抗体価は、アジュバントを併用した場合(試験群2,3:陽性対照)と比べて、同程度であることが示された。
【実施例】
【0036】
・「防御効果の検証」
上記各試験群1~4の各鶏について、致死量の高病原性鳥インフルエンザウイルス(A/chichen/Yamaguchi/07/2004, H5N1型)の攻撃に晒し(感染させて)、2週間経過を観察した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0037】
この結果、ワクチンを投与していない群(陰性対照)では、2日後に全ての鶏が死亡した。
それに対して、不活化ウイルスのみを点眼投与した群(試験群1)では、2週間が経過した後においても、ほとんどの鶏で発病が起こらなかった。また、発病した1例についても、感染から6日後と、発病が大きく遅延した。
また、その防御効果は、アジュバントを併用した群(試験群2,3)と比べて、同程度であることが示された。
【実施例】
【0038】
【表1】
JP2013001686A_000003t.gif
【実施例】
【0039】
〔実施例2〕 点眼投与と経鼻投与との対比
・「ワクチン投与」
実施例1と同様にして、成鳥である鶏群に、上記調製した不活化ウイルス(103 HAU)を眼窩に点眼投与した。投与は4週間隔で2回行い、2回目の投与から4週間後に、血清を採取し、抗体価を測定した(試験群5)。
一方、比較対象として、成鳥である鶏群に、上記調製した不活化ウイルス(103 HAU)を、鶏の鼻腔に投与(経鼻投与:粘膜投与の一種)した。投与は4週間隔で2回行い、2回目の投与から4週間後に、血清を採取し、抗体価を測定した(試験群6)。
結果を表2および図2に示す。
【実施例】
【0040】
その結果、当該不活化ウイルスを単独で経鼻投与(試験群6:比較対照)した場合では、当該ウイルスに対する抗体の産生を誘導できないことが示唆された。
【実施例】
【0041】
【表2】
JP2013001686A_000004t.gif
【実施例】
【0042】
〔考察〕
以上の結果から、「鳥インフルエンザウイルスの不活化ウイルス」を抗原として用い、投与方法として「点眼投与」にて行うことによって、従来は必須であるアジュバント(免疫増強剤)を併用することなく、強い免疫を鶏に付与できることが明らかになった。
なお、粘膜投与の一種である経鼻投与では抗体の産生を誘導することはできないことから、当該免疫は、眼の粘膜からの投与によって効率よく付与されることが示唆された。

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、家禽における鳥インフルエンザに対して、極めて有効な防疫技術となることが期待される。
これにより、本発明を家禽産業において使用することにより、鳥インフルエンザ発生時の大規模な殺処分を回避することが可能となり、家禽産業における経済的被害の軽減に大きく寄与することが期待される。
また、本発明に基づいて、家禽に対する鳥インフルエンザの予防及び緊急接種ワクチンとして、商品化が期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1