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明細書 :固体撮像装置、及び画素

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5846554号 (P5846554)
公開番号 特開2013-031116 (P2013-031116A)
登録日 平成27年12月4日(2015.12.4)
発行日 平成28年1月20日(2016.1.20)
公開日 平成25年2月7日(2013.2.7)
発明の名称または考案の名称 固体撮像装置、及び画素
国際特許分類 H04N   5/3745      (2011.01)
FI H04N 5/335 745
請求項の数または発明の数 9
全頁数 17
出願番号 特願2011-167420 (P2011-167420)
出願日 平成23年7月29日(2011.7.29)
審査請求日 平成26年5月22日(2014.5.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
発明者または考案者 【氏名】川人 祥二
【氏名】高井 勇
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100108257、【弁理士】、【氏名又は名称】近藤 伊知良
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100128381、【弁理士】、【氏名又は名称】清水 義憲
審査官 【審査官】鈴木 肇
参考文献・文献 国際公開第2007/119626(WO,A1)
国際公開第2007/083704(WO,A1)
特開2004-056048(JP,A)
国際公開第2010/032842(WO,A1)
国際公開第2010/007594(WO,A1)
特開2006-041866(JP,A)
特開2006-050544(JP,A)
調査した分野 H04N 5/30 - 5/378
H01L 21/339
H01L 27/14 -27/148
H01L 29/762
H04B 10/00 -10/90
H04J 14/00 -14/08
特許請求の範囲 【請求項1】
第1電位障壁を形成する第1障壁領域、及び第2電位障壁を形成する第2障壁領域の間に設けられた光電変換領域と、
前記第1障壁領域に並設され、前記光電変換領域において生成された第1電荷が転送される第1浮遊拡散領域と、
前記第2障壁領域に並設され、前記光電変換領域において生成された第2電荷が流入し、流入した前記第2電荷の一部を蓄積する第2浮遊拡散領域と、
を備え、
前記第2電位障壁は、前記第1電位障壁より低いことを特徴とする画素。
【請求項2】
前記第1浮遊拡散領域に接続され、前記第1浮遊拡散領域の電位に応じた画像信号を提供する第1出力回路と、
前記第2浮遊拡散領域に接続され、前記第2浮遊拡散領域の電位に応じた通信信号を提供する第2出力回路と、を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の画素。
【請求項3】
前記第2浮遊拡散領域に並設され、第3電位障壁を形成する第3障壁領域と、
前記第3障壁領域に並設され、前記第3電位障壁を越えて前記第2浮遊拡散領域から溢れ出た前記第2電荷が排出される電荷排出領域と、を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の画素。
【請求項4】
前記第3電位障壁は、前記第2電位障壁より低いことを特徴とする請求項3に記載の画素。
【請求項5】
一端が前記電荷排出領域に接続され、他端が前記第1出力回路に接続された第3出力回路、を更に備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の画素。
【請求項6】
前記第3出力回路の前記一端と前記他端との間には、スイッチが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の画素。
【請求項7】
前記第1電位障壁は、前記第1電荷の転送時に前記第1障壁領域に印加される転送信号により制御され、
前記第2電位障壁は、所望の固定値に設定されており、
前記第1浮遊拡散領域に転送された前記第1電荷に対応し、前記第1浮遊拡散領域の電位に応じた画像信号が出力され、
前記第2浮遊拡散領域に流入した前記第2電荷に対応し、前記第2浮遊拡散領域の電位に応じた通信信号が出力されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の画素。
【請求項8】
二次元状に配置された複数の画素を有する画素アレイと、
前記画素アレイからの画像信号を読み出す読出回路と、
前記画素アレイからの通信信号を受信する受信回路と、
各画素を制御するための制御信号を生成する制御回路と、
を備え、
前記画素は、
第1電位障壁を形成する第1障壁領域、及び第2電位障壁を形成する第2障壁領域の間に設けられた光電変換領域と、
前記第1障壁領域に並設され前記光電変換領域において生成された第1電荷が転送される第1浮遊拡散領域と、
前記第2障壁領域に並設され前記光電変換領域において生成された第2電荷が流入し、流入した前記第2電荷の一部を蓄積する第2浮遊拡散領域と、
前記第1浮遊拡散領域に接続され前記第1浮遊拡散領域の電位に応じた前記画像信号を提供する第1出力回路と、
前記第2浮遊拡散領域に接続され前記第2浮遊拡散領域の電位に応じた前記通信信号を提供する第2出力回路と、
を含み、
前記第2電位障壁は、前記第1電位障壁より低くなるように設定され、
前記画像信号は、前記第1浮遊拡散領域に転送された前記第1電荷に対応し、
前記通信信号は、前記第2浮遊拡散領域に転送された前記第2電荷に対応する、
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項9】
前記画素アレイからの判別信号を読み出し、前記判別信号に基づいて信号が重畳された光が入射された前記画素を探索する探索回路を更に備え、
前記画素は、第3電位障壁を形成する第3障壁領域と、前記第3障壁領域に並設され前記第3電位障壁を越えて前記第2浮遊拡散領域から溢れ出た前記第2電荷が排出される電荷排出領域と、一端が前記電荷排出領域に接続され、他端が前記第1出力回路に接続された第3出力回路を含み、
前記探索回路は、前記第3出力回路及び前記第1出力回路を経由して、前記電荷排出領域に排出された前記第2電荷に対応する前記判別信号を読み出す、
ことを特徴とする請求項8に記載の固体撮像装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、及び固体撮像装置のための画素に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドライト又はテールライト等の光源としてLEDの採用が進んでいる。LEDは高速に点滅させることができるので、LEDの点滅に所望の信号情報を重畳して通信を行うシステムが研究されている。例えば、車車間通信及び路車間通信にLEDを使用するシステムが検討されている。
【0003】
このようなシステムに関して、特許文献1には光通信装置が記載されている。光通信装置は信号が重畳された光を用いて通信を行う。この光通信装置は、画像信号を取得する画素と、通信信号を取得する画素とを含む固体撮像装置を備えている。また、非特許文献1、2には、固体撮像装置が記載されている。これらの固体撮像装置は、通信信号及び画像信号を検出可能に構成されている。さらに、非特許文献3には、CMOS固体撮像装置が記載されている。この固体撮像装置では信号が重畳された光に対する応答特性が改善されている。この固体撮像装置は、フォトダイオードを不完全蓄積動作させる構造、及び極めて微小な静電容量を有する電荷の検出構造を備える。これらの構造を備える固体撮像装置によれば、屋外環境において10Mbpsの伝送速度が実現される。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2009—27480号公報
【0005】

【非特許文献1】Y.Oike, et. al., “A smartimage sensor with high-speed feeble ID-beacon detection for augmented realitysystem”,J. Inst. Image Inf. TV Eng., vol. 58, no. 6, pp. 835-841, 2004.
【非特許文献2】山本 他,“部分領域高速読み出し機能を持つ低消費電力ID受信CMOS固体撮像装置を用いた情報家電マルチリモコン「オプトナビ」システムの提案”,映情学誌, 59, 12, pp.1830-1840, 2005.
【非特許文献3】S. Itoh, et. al.,“A CMOS Image Sensor for 10Mb/s 70m Range LED-Based Spatial OpticalCommunication”,Dig. Tech. Papers, IEEE Int. Solid-State Circuits Conf., pp.402-403, 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の光通信装置では、画像信号を取得する画素と通信信号を取得する画素とが互いに異なる別の画素である。そのため、装置に入射された光のうち、一部が画像信号を取得する画素に入射され、残りが通信信号を取得する画素に入射される。画像信号を取得する画素で生成された電荷は光通信信号の取得に用いることができない。また、通信信号を取得する画素で生成された電荷は画像信号の取得に用いることができない。このため、画像信号及び通信信号の取得に用いることができる電荷が減少する。従って、光通信装置の感度が低下するおそれがある。
【0007】
上記問題点に鑑みて、本発明は、感度を低下させることなく、画像信号の取得及び通信信号の取得が可能な固体撮像装置、及び該固体撮像装置のための画素を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、固体撮像装置のための画素である。この画素は、第1電位障壁を形成する第1障壁領域、及び第2電位障壁を形成する第2障壁領域の間に設けられた光電変換領域と、第1障壁領域に並設され、光電変換領域において生成された第1電荷が転送される第1浮遊拡散領域と、第2障壁領域に並設され、光電変換領域において生成された第2電荷が流入し、流入した第2電荷の一部を蓄積する第2浮遊拡散領域と、を備え、第2電位障壁は、第1電位障壁より低い。
【0009】
この画素によれば、物体からの反射光のように光強度の比較的弱い光が画素に照射されたとき、光電変換領域では電荷が生成される。光電変換領域が第1障壁領域と第2障壁領域との間に設けられているので、電荷は光電変換領域に蓄積される。蓄積された電荷は、蓄積量が少ないために第2浮遊拡散領域に溢れることなく第1浮遊拡散領域に転送されるので、光強度の比較的弱い光に基づく信号を第1浮遊拡散領域から取得できる。一方、光源から照射された直接光のように光強度の比較的強い光が画素に照射されたとき、光電変換領域では多量の電荷が生成される。第2電位障壁が第1電位障壁よりも低く設定されているので、第2電位障壁を上回る電荷が光電変換領域に蓄積されると、第2電位障壁を越えて第2浮遊拡散領域に電荷が流出する。このため、光強度の強い光の照射に第2浮遊拡散領域の電位が応答するので、光強度の強い光に基づく信号を第2浮遊拡散領域から取得できる。すなわち、1つの光電変換領域から、光強度の比較的弱い光に基づく信号と、光強度の比較的強い光に基づく信号とを取得できる。従って、画像検出用及び通信用の二種類の信号の取得に電荷を空間的に効率良く用いることができるので感度の低下が抑制される。
【0010】
また、本発明の画素は、第1浮遊拡散領域に接続され、第1浮遊拡散領域の電位に応じた画像信号を提供する第1出力回路と、第2浮遊拡散領域に接続され、第2浮遊拡散領域の電位に応じた通信信号を提供する第2出力回路と、を更に備えてもよい。電荷が第1浮遊拡散領域に転送されると、第1浮遊拡散領域の電位が変化する。この電位の変化は、第1浮遊拡散領域に接続された第1出力回路により提供される。これにより、画素から画像信号を取得できる。また、電荷が第2浮遊拡散領域に流出されると、第2浮遊拡散領域の電位が変化する。この電位の変化は、第2浮遊拡散領域に接続された第2出力回路により提供される。これにより、画素から通信信号を取得できる。
【0011】
また、本発明の画素は、第2浮遊拡散領域に並設され、第3電位障壁を形成する第3障壁領域と、第3障壁領域に並設され、第3電位障壁を越えて第2浮遊拡散領域から溢れ出た第2電荷が排出される電荷排出領域と、を更に備えてもよい。光強度の比較的強い光が光電変換領域に照射されなくなったとき、光電変換領域からの電荷の流出が停止し、且つ第2浮遊拡散領域から電荷排出領域に第2電荷が排出されるので、第2浮遊拡散領域の第2電荷の量が減少する。第2浮遊拡散領域の第2電荷の量が減少すると、第2浮遊拡散領域の電位が変化する。従って、第2浮遊拡散領域の電位を光強度の強い光の点滅に応答させることができ、その点滅に対応した通信信号を得ることができる。
【0012】
また、本発明の画素は、第3電位障壁が、第2電位障壁より低くてもよい。このような構成によれば、第2浮遊拡散領域から電荷排出領域に第2電荷を好適に排出させることができる。
【0013】
また、本発明の画素は、一端が電荷排出領域に接続され、他端が第1出力回路に接続された第3出力回路、を更に備えてもよい。光強度が比較的強い光が画素に照射されると、生成された電位が第2浮遊拡散領域を介して電荷排出領域に排出される。電荷排出領域に第2電荷が排出されると、電荷排出領域の電位が変化する。この電位の変化は、第3出力回路から第1出力回路に出力させることができる。これにより、通信信号の取得に用いる画素を適切に検出させることができる。
【0014】
また、本発明の画素では、第3出力回路の一端と他端との間に、スイッチが設けられていてもよい。この構成によれば、第1出力回路と、第2出力回路との電気的な接続を切断することができる。これにより、第1出力回路に寄生容量が付加されることを防止できる。
【0015】
また、本発明の画素は、第1電位障壁は、第1電荷の転送時に第1障壁領域に印加される転送信号により制御され、第2電位障壁は、所望の固定値に設定されており、第1浮遊拡散領域に転送された第1電荷に対応する画像信号が出力され、第2浮遊拡散領域に流入した第2電荷に対応する通信信号が出力されてもよい。この構成によれば、第1電位障壁を転送信号により制御できるので、光電変換領域において生成された電荷を所望の時間間隔をおいて第1浮遊拡散領域に転送できる。これにより、画素から画像信号を取得できる。また、第2電位障壁は第1電位障壁よりも低い所望の固定値に設定されているので、多量に生成された電荷を第2浮遊拡散領域に流出させることができる。これにより、画素から通信信号を取得できる。
【0016】
本発明の別の側面は、固体撮像装置である。この固体撮像装置は、二次元状に配置された複数の画素を有する画素アレイと、画素アレイからの画像信号を読み出す読出回路と、画素アレイからの通信信号を受信する受信回路と、各画素を制御するための制御信号を生成する制御回路と、を備え、画素は、第1電位障壁を形成する第1障壁領域、及び第2電位障壁を形成する第2障壁領域の間に設けられた光電変換領域と、第1障壁領域に並設され光電変換領域において生成された第1電荷が転送される第1浮遊拡散領域と、第2障壁領域に並設され光電変換領域において生成された第2電荷が流入し、流入した第2電荷の一部を蓄積する第2浮遊拡散領域と、第1浮遊拡散領域に接続され第1浮遊拡散領域の電位に応じた画像信号を提供する第1出力回路と、第2浮遊拡散領域に接続され第2浮遊拡散領域の電位に応じた通信信号を提供する第2出力回路と、を含み、第2電位障壁は、第1電位障壁より低くなるように設定され、画像信号は、第1浮遊拡散領域に転送された第1電荷に対応し、通信信号は、第2浮遊拡散領域に転送された第2電荷に対応する。
【0017】
この固体撮像装置によれば、物体からの反射光のように光強度の比較的弱い光が画素に照射されたとき、光電変換領域では電荷が生成される。光電変換領域が第1障壁領域と第2障壁領域の間に設けられているので、電荷が光電変換領域に蓄積される。蓄積された電荷は第1浮遊拡散領域に転送されるので、第1出力回路を介して光強度の比較的弱い光に基づく画像信号を取得できる。一方、光源から照射された直接光のように光強度の比較的強い光が画素に照射されたとき、光電変換領域では多量の電荷が生成される。第2電位障壁は第1電位障壁よりも低く設定されている。このために、第2電位障壁を上回る電荷が光電変換領域に蓄積されると、第2電位障壁を越えて第2浮遊拡散領域に電荷が流出する。このため、光強度の比較的強い光の照射に第2浮遊拡散領域の電位が応答するので、第2出力回路を介して光強度の比較的強い光に基づく通信信号を取得できる。これにより、1つの光電変換領域から画像信号及び通信信号の二種類の信号を取得できる。従って、光電変換領域において生成された電荷を空間的に効率良く信号の取得に用いることができるので感度の低下が抑制される。
【0018】
また、本発明の固体撮像装置は、画素アレイからの判別信号を読み出し、判別信号に基づいて信号が重畳された光が入射された画素を探索する探索回路を更に備え、画素は、第3電位障壁を形成する第3障壁領域と、第3障壁領域に並設され第3電位障壁を越えて第2浮遊拡散領域から溢れ出た第2電荷が排出される電荷排出領域と、一端が電荷排出領域に接続され、他端が第1出力回路に接続された第3出力回路を含み、探索回路は、第3出力回路及び第1出力回路を経由して、電荷排出領域に排出された第2電荷に対応する判別信号を読み出してもよい。この構成によれば、光強度の比較的強い光が固体撮像装置に照射されたとき、光電変換領域において生成された電荷が第2浮遊拡散領域を介して電荷排出領域に排出される。電荷排出領域に電荷が排出されると、電荷排出領域の電位が変化する。この電位の変化は第3出力回路により判別信号として読み出される。判別信号は探索回路に入力される。この判別信号に基づいて通信信号が重畳された光であるか否かを探索回路により判定する。これにより、通信信号が重畳された光を受光した画素の位置を特定できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の固体撮像装置及び固体撮像装置のための画素によれば、感度を低下させることなく、画像信号及び通信信号を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】2次元イメージセンサである固体撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】固体撮像装置のための画素の構造の一例を示す図面である。
【図3】画素の断面におけるポテンシャル図である。
【図4】画素における通信信号読出部の周波数応答特性を示す図面である。
【図5】固体撮像装置を半導体集積素子として実現した半導体チップを示す図面である。
【図6】固体撮像装置から出力される通信信号の一例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明による固体撮像装置及びそれに内蔵される画素の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。

【0022】
図1は、2次元イメージセンサである固体撮像装置1の構成を示すブロック図である。固体撮像装置1は、画素アレイ2、制御回路3、画像信号処理回路4、信号処理回路6、通信信号処理回路7、探索回路8、及びタイミング生成回路9を含む。

【0023】
画素アレイ2は、二次元状に配置された複数の画素10を備える。画素10には、画像信号線GL、通信信号線CL、及び駆動線DLが接続されている。なお、図1では画素アレイ2に9つの画素10が配置されている構成が示されているが、画素アレイ2に配置される画素10の数は9つに限定されることはない。画素アレイ2に配置される画素10の数は、9つ以上であってもよいし9つ以下であってもよい。

【0024】
図2は、固体撮像装置1に内蔵される画素10の構造の一例を示す図面である。画素10は、光電変換領域11、画像信号読出部12、通信信号読出部13、第1出力回路14、第2出力回路16、及び第3出力回路18を含む。画素10は、例えばp型半導体からなる半導体基板17を含む。半導体基板17の主面17s上には、絶縁層19が設けられている。

【0025】
光電変換領域11は、画像信号読出部12及び通信信号読出部13の間に設けられている。光電変換領域11は、画像信号光LGを受光して電荷を生成する。画像信号光LGは、例えば物体から反射される物体の像を現す画像光である。また、光電変換領域11は、通信信号光LCを受光して電荷を生成する。通信信号光LCは、所定の通信信号が重畳された光である。通信信号光LCは、例えば、LEDを点滅させることにより生成されて画素10に直接入射する直接光である。

【0026】
光電変換領域11は、埋め込み型フォトダイオードPDを含む。埋め込み型フォトダイオードPDは、半導体基板17の主面17sに埋め込まれて設けられている。フォトダイオードPDは、半導体基板17の主面17sに設けられた比較的浅いp+型半導体領域ANと、p+型半導体領域ANの直下に設けられた比較的深いn型半導体領域KDとを含む。p+型半導体領域ANとn型半導体領域KDとはpn接合Jを形成する。このpn接合Jは半導体基板17内に位置し埋め込まれているので、フォトダイオードPDの暗電流が非常に小さい。p+型半導体領域ANは、半導体基板17を介して接地線に接続される。n型半導体領域KDはトランジスタM1のソース部と共用されており、これによりフォトダイオードPDはトランジスタM1に接続されている。

【0027】
画像信号読出部12は、光電変換領域11に隣接して並設されている。画像信号読出部12は、第1出力回路14を介して画像信号G1を画像信号線GLに出力する。画像信号G1は、光電変換領域11から第1浮遊拡散領域F1に転送された電荷に対応する。

【0028】
画像信号読出部12は、第1障壁領域21、第1浮遊拡散領域F1、第4障壁領域22、及び第1排出領域D1を含む。第1障壁領域21はフォトダイオードPDに隣接して並設され、第1浮遊拡散領域F1は第1障壁領域21に隣接して並設されている。この第1障壁領域21は、p型半導体によって形成され、第1電位障壁を形成し、その表面には絶縁層19を介してゲート電極24が接続されている。このような構成により、第1電位障壁は、電荷の転送時に第1障壁領域に印加される転送信号TXにより制御される。第1浮遊拡散領域F1は、n+型半導体によって形成され、その表面には第1出力回路14の入力端14aが接続されている。このような構成により、フォトダイオードPDのn型半導体領域KDをソース部、第1浮遊拡散領域F1をドレイン部、ゲート電極24をゲート部としたトランジスタM1が形成される。さらに、ゲート電極24は駆動線DLに接続されることにより、トランジスタM1が光電変換領域11から電荷を転送するための転送スイッチとして動作する。すなわち、ゲート電極24を介して第1障壁領域21に印加される転送信号TXにより、第1電位障壁が制御される。これにより、フォトダイオードPDにおいて生成された電荷が第1浮遊拡散領域F1に第1電荷として転送される。

【0029】
第4障壁領域22は第1浮遊拡散領域F1に隣接して並設され、第1排出領域D1は第4障壁領域22に隣接して並設されている。この第4障壁領域22は、p型半導体によって形成され、第4電位障壁を形成し、絶縁層19を介してゲート電極26が接続されている。第1排出領域D1は、n+型半導体によって形成され、その表面には高位電源VDDが接続されている。このような構成により、第1浮遊拡散領域F1をソース部、第1排出領域D1をドレイン部、ゲート電極26をゲート部としたトランジスタM2が形成される。さらに、ゲート電極26が駆動線DLに接続されることにより、トランジスタM2が画像信号読出部12に転送された電荷をリセットするためのリセットスイッチとして動作する。すなわち、ゲート電極26を介して第4障壁領域22に印加されるリセット信号TRにより、第4電位障壁が制御される。これにより、第1浮遊拡散領域F1に転送された第1電荷が第1排出領域D1に排出されるので、第1浮遊拡散領域F1の第1電荷がリセットされる。

【0030】
第1出力回路14は、第1浮遊拡散領域F1の電位に応じた画像信号G1を提供する。第1出力回路14は、第1浮遊拡散領域F1に転送された第1電荷に応答した画像信号G1を提供する。この第1出力回路14は、トランジスタM3、M4を含み、いわゆるソースフォロワアンプの回路構成を有する。トランジスタM3は、いわゆる読出スイッチである。トランジスタM3において、ゲート部は第1浮遊拡散領域F1に接続され、ドレイン部は高位電源VDDに接続され、ソース部はトランジスタM4のドレイン部に接続されている。トランジスタM4は、いわゆる選択スイッチである。トランジスタM4において、ゲート部は駆動線DLに接続され、ドレイン部はトランジスタM3のソース部に接続され、ソース部は画像信号線GLに接続されている。

【0031】
通信信号読出部13は、画像信号読出部12が設けられた領域の反対側の領域に、光電変換領域11に隣接して並設されている。通信信号読出部13は、第3出力回路16を介して通信信号C1を通信信号線CLに出力する。通信信号C1は、光電変換領域11から第2浮遊拡散領域F2に流出した電荷に対応する。

【0032】
通信信号読出部13は、第2障壁領域27、第2浮遊拡散領域F2、第3障壁領域28、及び第2排出領域(電荷排出領域)D2を含む。通信信号読出部13は、半導体基板17の主面17sに埋設されたn型半導体によって形成された半導体領域29の内部にp型或いはn型の半導体領域を含んで構成されている。この半導体領域29は、p型半導体によって形成された半導体基板17の一部を挟んで、フォトダイオードPDのn型半導体領域KDから所定の距離Lだけ離間している。この半導体領域29とn型半導体領域KDとの間に第2電位障壁が設定された第2障壁領域27が形成される。一例では、所定の距離Lは0.9μmである。ここで、第2電位障壁の光電変換領域11との電位差は、転送スイッチが閉じた状態のときにおける第1電位障壁の光電変換領域11との電位差よりも低く設定される。なお、転送スイッチが閉じた状態とは、例えばゲート電極24に0Vの電圧が印加された状態、すなわち第1電位障壁の光電変換領域11との電位差が最も大きい状態である。また、半導体領域29は、フォトダイオードPDのp型半導体領域ANと互いに接する。

【0033】
第2障壁領域27は、フォトダイオードPDに隣接して並設され、n+型半導体によって形成された第2浮遊拡散領域F2は、p型半導体によって形成された第2障壁領域27に近接して設けられている。この第2障壁領域27は第2電位障壁を形成し、第2浮遊拡散領域F2には第2出力回路16の入力端16aが接続されている。p型半導体によって形成された第3障壁領域28は、第2浮遊拡散領域F2に近接して設けられ、n+型半導体によって形成された第2排出領域D2は第3障壁領域28に近接して設けられている。この第3障壁領域28は、第2電位障壁より低い第3電位障壁を形成する。すなわち、第3電位障壁の光電変換領域11との電位差は、第2電位障壁の光電変換領域11との電位差より小さい。そして、第2排出領域D2には、第3出力回路18の入力端18aが接続されると共に、高位電源VDDが接続されている。

【0034】
第2出力回路16は、トランジスタM5、M6を有し、いわゆるソースフォロワアンプの回路構成を含む。第2出力回路16は、第2浮遊拡散領域F2の電位に応じた通信信号C1を提供する。第2出力回路16は、第2浮遊拡散領域F2に流出した第2電荷に応答した通信信号C1を提供する。この第2出力回路16は、トランジスタM5、M6を含み、いわゆるソースフォロワアンプの回路構成を有する。トランジスタM5は、いわゆる読出しスイッチである。トランジスタM5において、ゲート部は第2浮遊拡散領域F2に接続され、ドレイン部は高位電源VDDに接続され、ソース部はトランジスタM6のドレイン部に接続されている。トランジスタM6は、いわゆる選択スイッチである。トランジスタM6において、ゲート部は駆動線DLに接続され、ドレイン部はトランジスタM5のソース部に接続され、ソース部は通信信号線CLに接続されている。

【0035】
第3出力回路18は、一端が第2排出領域D2に接続され、他端が第1出力回路14に接続されている。この第3出力回路18はトランジスタM7を含む。トランジスタM7のゲート部は駆動線DLに接続されている。ドレイン部は第2排出領域D2に接続され、ソース部は第1出力回路14のトランジスタM3のゲート部に接続されている。画素10の動作時には、所定の制御信号がトランジスタM7のゲート部に印加され、トランジスタM7のソース部とドレイン部との導通が確保されている。これにより、第2排出領域D2に排出された第2電荷に対応した判別信号H1が第1出力回路14から提供される。

【0036】
ウェル15は、光電変換領域11、画像信号読出部12及び通信信号読出部13を囲うように設けられている。ウェル15は、半導体基板17の主面17sに垂直な方向から見たとき、環状の形状を有する。ウェル15は高い電位障壁を形成することにより、同一基板上に形成された隣り合う画素10同士の間の電気的な絶縁性を確保する。

【0037】
前述したように、半導体基板17の主面17s上には、絶縁層19が設けられている。この絶縁層19には、第1浮遊拡散領域F1に対応する位置に開口19a、第1排出領域D1に対応する位置に開口19b、第2浮遊拡散領域F2に対応する位置に開口19c、及び第2排出領域D2に対応する位置に開口19dが設けられている。この絶縁層19は、例えば、酸化シリコン膜(SiO)を用いることができるが、これに限定されることはなく、種々の絶縁性を有する材料からなる膜を用いてよい。

【0038】
図3は、図2に示した画素10の断面に沿ったポテンシャル図であり、黒丸は電荷(電子)を示す。図3(a)及び図3(b)において、範囲A1はフォトダイオードPDが形成された領域に対応し、範囲A2は第1障壁領域21が形成された領域に対応し、範囲A3は第1浮遊拡散領域F1が形成された領域に対応し、範囲A4は第4障壁領域22が形成された領域に対応し、範囲A5は第1排出領域D1が形成された領域に対応する。さらに、範囲A6は第2障壁領域27が形成された領域に対応し、範囲A7は第2浮遊拡散領域F2が形成された領域に対応し、範囲A8は第3障壁領域28が形成された領域に対応し、範囲A9は第2排出領域D2が形成された領域に対応する。

【0039】
範囲A1にはフォトダイオードPDのポテンシャル井戸W1が形成されている。範囲A3には第1浮遊拡散領域F1のポテンシャル井戸W2が形成されている。ポテンシャル井戸W1は、第1電位障壁B1と第2電位障壁B2とに挟まれている。すなわち、光電変換領域11は、第1障壁領域21及び第2障壁領域27の間に設けられている。この第1電位障壁B1は、ゲート電極24に印加される転送信号TXにより制御される。範囲A5には第1排出領域D1のドレインDR1が形成されている。ポテンシャル井戸W2とドレインDR1との間には第4電位障壁B4が形成されている。この第4電位障壁B4は、ゲート電極26に印加されるリセット信号TRにより制御される。また、第2電位障壁B2は、例えば第2障壁領域27を形成する半導体の不純物濃度により設定することができる。さらに、第3電位障壁B3は、例えば完全空乏化電位に基づいて設定することができる。また、第2浮遊拡散領域F2及び第2排出領域D2におけるポテンシャルの底の位置は、例えば第2浮遊拡散領域F2及び第2排出領域D2を形成する半導体の不純物濃度により設定することができる。

【0040】
再び図1を参照すると、制御回路3は、画素10を制御するための制御信号を生成する。制御回路3は、画像行選択回路3a、及び通信行選択回路3bを含む。この画像行選択回路3aは画像信号G1を出力する行を選択する制御信号を生成し、通信行選択回路3bは通信信号C1を出力する行を選択する制御信号を生成する。駆動線DLは、例えば、一又は複数の転送スイッチ駆動線、リセットスイッチ駆動線、及び行選択スイッチ駆動線を含んでいる。行選択スイッチ駆動線は、画像行選択スイッチ駆動線及び信号行選択スイッチ駆動線を含んでいる。この制御回路3は、複数のブロックに分けられて画素アレイ2の周辺に配置される。

【0041】
画像信号処理回路4は、画素アレイ2中の各画素10からの画像信号G1を行ごとに読み出す読出回路4aを含む。この画像信号処理回路4は、サンプルホールド回路及び/又はノイズキャンセル回路等を含む。サンプルホールド回路はリセットレベルに対応した信号及び信号レベルに対応した信号を保持し、ノイズキャンセル回路はリセットレベルと信号レベルとの差を生成する。このような構成を有する画像信号処理回路4では、画素10のリセットノイズをキャンセルすることができる。画像信号処理回路4には画像信号線GLが接続され、画像信号線GLを介して画像信号G1が画像信号処理回路4に入力される。そして、画像信号処理回路4の読出回路4aから信号処理回路6へ信号S(img)が出力される。画像信号G1は、画素10の第1浮遊拡散領域に転送された第1電荷に対応する。

【0042】
信号処理回路6は、読出回路4aからの信号S(img)を受ける。この信号処理回路6は、信号S(img)の増幅等のための信号処理回路を含む。信号処理回路6は信号S(img)を読み出すための読出信号S(OUT)を生成する。好適な実施例では、画像信号処理回路4の信号S(img)は、所定のデジタル形式のデジタル信号である。

【0043】
通信信号処理回路7は、画素アレイ2中の各画素10からの通信信号C1を受信する受信回路7aを含む。受信回路7aには、通信信号線CLが接続されている。通信信号C1は、画素10の第2浮遊拡散領域に流入された第2電荷に対応する。受信回路7aは、入力された通信信号C1に対して所定の信号処理を実施して信号S(com)を出力する。所定の信号処理には、例えば同期検波処理がある。

【0044】
探索回路8は、第3出力回路及び第1出力回路を経由して、第2排出領域に排出された第2電荷に対応する判別信号H1に基づいて通信信号光LCが入射された画素10の位置を探索する。探索回路8は、画素アレイ2中の各画素10からの判別信号H1を受信する受信回路8aを含む。受信回路8aは、入力された判別信号H1に基づいて、判別信号H1が通信信号C1が重畳された光(以下通信信号光LCという)により生成された信号であるか否かを判定する。そして、判別信号H1が通信信号光LCにより生成された信号であるときには、その判別信号H1に対応する画素10を特定することにより、通信信号光LCが入射された画素10の位置を特定する情報を取得する。画素の位置情報は、通信行選択回路3bに出力される。

【0045】
なお、通信信号光LCが照射された画素10の探索は、所定の時間間隔をおいて繰り返し実行される。これにより、画素アレイ2において通信信号光LCが照射される画素を追跡することができる。また、通信信号光LCが照射される画素の探索では、通信信号光LCが照射された画素として過去に特定された画素の周囲を優先的に探索してもよい。これにより、通信信号光LCが照射される画素を効率良く探索できるので、探索処理を高速化することができる。さらに、通信信号光LCが照射される画素を追跡した結果から、次に通信信号光LCが照射される画素の移動方向を予測し、該方向の領域を優先的に探索してもよい。これにより、さらに通信信号光LCが照射される画素を効率良く探索できる。

【0046】
タイミング生成回路9は固体撮像装置1に含まれる回路の動作タイミングを制御するための制御信号、クロック信号等を生成する。

【0047】
以上説明した固体撮像装置1における画像信号G1及び通信信号C1の読み出し動作について説明する。まず、図3(a)を参照しながら、画像信号G1を読み出す工程を説明する。はじめに、転送スイッチ駆動線を介して制御回路3からゲート電極24に、例えば0Vといった低い電圧である転送信号TXが印加される。このとき、第1障壁領域21では実線B1aで示される第1電位障壁B1が形成される。さらに、リセットスイッチ駆動線を介して制御回路3からゲート電極26に、例えばプラス5Vといった正の電圧であるリセット信号TRが印加される。このとき、第4障壁領域22では破線B4bで示されるように、第4電位障壁B4の高さが低下する。これにより、第1浮遊拡散領域F1に存在する電荷が第1排出領域D1に転送され、第1浮遊拡散領域F1がリセットされる。

【0048】
次に、物体からの反射光が画素10に入射するとフォトダイオードPDにおいて電荷が生成される。電荷はフォトダイオードPDのポテンシャル井戸W1に蓄積される。続いて、転送スイッチ駆動線を介して制御回路3からゲート電極24に所定の正の電圧である転送信号TXが印加される。このとき、第1障壁領域21では破線B1bで示されるように第1電位障壁B1の高さが低下するので、フォトダイオードPDのポテンシャル井戸W1から第1浮遊拡散領域F1のポテンシャル井戸W2に第1電荷が転送される。ここで、ポテンシャル井戸W2の深さはポテンシャル井戸W1の深さよりも深く形成されているので、ポテンシャル井戸W1に蓄積された電荷は全てポテンシャル井戸W2に転送される。これにより第1電荷の完全転送が実現される。第1浮遊拡散領域F1に第1電荷が転送されると、第1浮遊拡散領域F1の電位が変化する。そして、画像行選択スイッチ駆動線を介して制御回路3の画像行選択回路3aからトランジスタM4のゲート部に制御信号が印加される。これにより、第1出力回路14のトランジスタM3、M4を介して第1浮遊拡散領域F1の電位が画像信号G1として画像信号線GLに出力される。画像信号G1は、画像信号線GLを介して、画像信号処理回路4の読出回路4aに入力される。画像信号処理回路4において、画像信号G1には所定の処理がなされることにより信号S(img)が生成され、信号S(img)は信号処理回路6に出力される。画像信号処理回路4では、例えば、画像信号G1に含まれたノイズをキャンセルする処理がなされる。信号処理回路6では、信号処理回路により信号S(img)が増幅された信号S(out)が生成され、信号S(out)が外部回路に出力される。

【0049】
次に、図3(b)を参照しながら、通信信号C1を読み出す工程を説明する。まず、通信信号光LCが入射された画素10の位置を探索回路8により探索して、通信信号C1を読み出す画素10を設定する工程について説明する。画素10に通信信号光LCが入射されたとき、第2浮遊拡散領域F2へ第2電荷が溢れ出し、第2浮遊拡散領域F2に蓄積されて溢れた第2電荷が第2排出領域D2へ排出される。第2排出領域D2に第2電荷が排出されると、第2排出領域D2の電位が変化する。第2排出領域D2の電位の変化は、行ごとに画像信号線GLを介して探索回路8に判別信号H1として出力される。通信信号光LCに基づく第2排出領域D2の電位の変化は、画像信号光LGに基づく第1浮遊拡散領域F1の電位の変化よりも大きい。このために、探索回路8では、各画素10から出力された判別信号H1と、所定の電圧閾値とを、各画素10ごとに比較する。そして、所定の電圧閾値を超えた電圧値を有する判別信号H1を通信信号光LCに基づく信号であると判定する。このような工程により、通信信号光LCが入射されている画素10を探索することができる。通信信号光LCが入射されている画素10であると判定された画素10の位置情報は、通信行選択回路3bに出力される。通信行選択回路3bは入力された位置情報に基づいて、通信信号光LCが入射されている画素10の第2出力回路16のトランジスタM6に制御信号を印加して、トランジスタM6のソース部とドレイン部との導通を確保する。

【0050】
次に、画素10から通信信号C1を読み出す工程を説明する。フォトダイオードPDへの通信信号光LCの入射が開始されると、フォトダイオードPDにおいて電荷が生成される。この通信信号光LCは例えばLEDといった光源から照射された直接光であるので、画像信号G1を生成する物体からの反射光の光強度より強い光強度を有する。そのため、通信信号光LCがフォトダイオードPDに入射すると、ポテンシャル井戸W1に多量の電荷が蓄積される。第2障壁領域27の第2電位障壁B2は、第1障壁領域22の第1電位障壁B1よりも所定の電位差DP1だけ低く設定されている。そのため、ポテンシャル井戸W1に多量の電荷が蓄積されたとき、第2障壁領域27の第2電位障壁B2を越えて、ポテンシャル井戸W1から第2浮遊拡散領域F2に第2電荷が溢れる。溢れた第2電荷は、第2浮遊拡散領域F2に流入して蓄積される。さらに、第2浮遊拡散領域F2から溢れた第2電荷は第2排出領域D2に排出され、不完全蓄積状態を形成する。このとき、第2浮遊拡散領域F2における電位は下降する。

【0051】
そして、フォトダイオードPDから溢れ出る第2電荷の量と、第2浮遊拡散領域F2から第2排出領域D2に排出される第2電荷の量が釣り合ったところで、第2浮遊拡散領域F2の電位の変化が止まる。そして、フォトダイオードPDへの通信信号光LCの入射が停止されると、フォトダイオードPDにおける電荷の生成が止まる。さらに、第2浮遊拡散領域F2から第2排出領域D2への第2電荷の排出が進むにしたがって、第2浮遊拡散領域F2の電位が上昇する。

【0052】
第2浮遊拡散領域F2の電位は、第2出力回路16のトランジスタM5、M6を介して通信信号線CLに通信信号C1として出力される。通信信号C1は、通信信号線CLを介して通信信号処理回路7の受信回路7aに入力される。受信回路7aに入力された通信信号C1は、通信信号処理回路7において復調処理及びアナログ-デジタル変換処理され、信号S(com)が生成される。

【0053】
このように、第2浮遊拡散領域F2の電位の変化は通信信号光LCの点滅に応答して下降或いは上昇する。この通信信号C1を読み出す工程は、画像信号G1を読み出す工程と異なる。すなわち、通信信号光LCの入射によりフォトダイオードPDにおいて多量の電荷が生成されると、第2浮遊拡散領域F2への第2電荷の溢れ出しが発生して、第2浮遊拡散領域F2の電位が変化する。そして、フォトダイオードPDにおける電荷の生成が止まると、第2浮遊拡散領域F2の第2電荷が第2排出領域D2へ排出され、第2浮遊拡散領域F2の電位が変化する。このような動作により、第2浮遊拡散領域F2の電位は、通信信号光LCの点滅に対応して、変化することができる。従って、通信信号光LCに重畳された信号の受信手段として画素10を用いることができる。

【0054】
ここで、通信信号読出部13の周波数応答特性をシミュレーションにより確認した。通信信号読出部13の周波数応答特性は、フォトダイオードPDから第2浮遊拡散領域F2への応答特性、及び第2浮遊拡散領域F2から第2排出領域D2への応答特性に基づく。画素10では、フォトダイオードPDの静電容量が比較的大きいので、フォトダイオードPDから第2浮遊拡散領域F2への応答特性が通信信号読出部13の周波数応答特性に関して支配的である。そのため、通信信号光LCのオンオフに対する通信信号C1の周波数応答特性は、フォトダイオードPDの静電容量及び光電流量により決定される。

【0055】
図4は、画素10における通信信号読出部13の周波数応答特性を示す図面である。図4には、光強度0.1W/cm、波長870nmの光パルスを画素10に照射したときの周波数応答特性が示される。図4を確認すると、光パルスの周波数の対数に反比例して、通信信号C1の振幅が減少している。例えば、光パルスの周波数が1MHzのとき、通信信号C1の振幅は20mVであった。このような周波数応答特性を有する画素10は、低いビットレートによる通信に用いることができ、1MHz程度での通信動作が可能であることがわかった。

【0056】
図5は、二次元画像センサである固体撮像装置1を半導体集積素子として実現した半導体チップ30を示す図面であり、半導体チップ30のブロック配置が示される。半導体チップ30は、埋め込み型フォトダイオードについて0.18μmのCMOS画像センサの技術を用いて実現された。この半導体チップ30は、水平方向に400個、垂直方向に480個が配置された画素アレイ31を有している。画素アレイ31の左半分には、通信信号C1及び画像信号G1を出力する2つの出力ポートを備える画素が配置されている。個々の画素のサイズは15μm×7.5μmである。画像アレイ31の右半分にはLPRセル及び画像取得のための画素が配置されている。

【0057】
画素アレイ31の周囲には、垂直走査回路部32、水平走査及びカラムCDS回路部33、コンパレータ及びラッチ回路部34、通信行選択回路部35、マルチプレクサスイッチ回路部36、ADコンバータ部37及び増幅回路部38が設けられている。垂直走査回路部32は画像行選択回路3aに対応し、水平走査及びカラムCDS回路部33は画像信号処理回路4に対応する。そして、コンパレータ及びラッチ回路部34は探索回路8に対応し、通信行選択回路部35は通信行選択回路3bに対応する。さらに、マルチプレクサスイッチ回路部36は通信信号処理回路7に対応し、ADコンバータ部37及び増幅回路部38は信号処理回路6に対応する。画像信号は、図5において画素アレイ2の下側に配置された水平走査及びカラムCDS回路部33から読み出される。通信信号C1は、図5において画素アレイ2の上側に配置されたマルチプレクサスイッチ回路部36から読み出される。

【0058】
図6は、固体撮像装置から出力される通信信号C1の一例を示す図面である。図6(a)には、画素10から出力された通信信号C1のアナログ波形G1が示されている。アナログ波形G1の振幅v1は、約100mVである。この通信信号C1はランダムシーケンスを用いた基底帯域信号であり、2Mbpsの差動マンチェスタ符号化方式を用いて、外部回路により復調される。通信信号光LCを出射するLED光源は、変調信号により点滅駆動されている。そして、アナログ波形の通信信号C1は、高速アナログデジタル変換器を用いてデジタル信号に変換される。図6(b)には、デジタル化された通信信号C1が示されている。空間光通信に用いられるイメージセンサ通信装置(ISC)である固体撮像装置1により、2Mpbsの通信速度が実現できることがわかった。

【0059】
以上説明した固体撮像装置1、或いは固体撮像装置1のための画素10によれば、物体からの反射光のように光強度の比較的弱い光がフォトダイオードPDに照射されたとき、フォトダイオードPDでは電荷が生成され蓄積される。蓄積された電荷は第2浮遊拡散領域に溢れることなく第1浮遊拡散領域F1に転送されるので、第1浮遊拡散領域F1の電位が変化する。従って、第1出力回路14から第1浮遊拡散領域F1の電位の変化に基づく画像信号G1を取得できる。一方、LEDから照射された直接光のように光強度の比較的強い通信信号光LCがフォトダイオードPDに照射されたとき、フォトダイオードPDにおいて多量の電荷が生成される。第2障壁領域27の第2電位障壁B2は、第1障壁領域21の第1電位障壁B1よりも低く設定されているので、電荷は、第2電位障壁B2を越えて、第2浮遊拡散領域F2に蓄積される。このとき、第2浮遊拡散領域F2の電位は下降する。そして、フォトダイオードPDへの通信信号光LCの入射が停止されると、電荷の生成が止まる。第3電位障壁は第2電位障壁よりも低いので、第2浮遊拡散領域F2から溢れた第2電荷が第2排出領域D2へ排出される。第2浮遊拡散領域F2から第2排出領域D2への第2電荷の排出されるに従って、第2浮遊拡散領域F2の電位が上昇する。従って、第3出力回路16から第2浮遊拡散領域F2の電位の変化に基づく通信信号C1を取得できる。このように、固体撮像装置1、或いは固体撮像装置のための画素10によれば、1つのフォトダイオードPDにおいて生成された電荷が、第1浮遊拡散領域F1を介して画像信号G1、又は第2浮遊拡散領域F2を介して通信信号C1として取得される。従って、画像信号G1又は通信信号C1の二種類の信号の取得に、フォトダイオードPDにおいて生成された電荷を空間的に効率良く用いることができるので感度の低下が抑制される。

【0060】
また、画素10において、第1障壁領域21の第1電位障壁B1は転送信号TXにより制御されることができるので、所望の時間間隔でフォトダイオードPDにより生成された電荷を第1浮遊拡散領域F1に転送することができる。これにより、第1浮遊拡散領域F1の電位の変化に基づく画像信号G1を取得できる。また、第2障壁領域27の第2電位障壁B2は第1障壁領域21の第1電位障壁B1よりも低い所望の固定値に設定されているので、通信信号光LCにより生成された電荷を第2浮遊拡散領域F2に流出させることができる。これにより、第2浮遊拡散領域F2の電位の変化に基づく通信信号C1を取得でき、通信信号光LCの点滅に対応した通信信号を得ることができる。

【0061】
また、画素10において、通信信号光LCを受光して、フォトダイオードPDにおいて生成された電荷が第2浮遊拡散領域F2を介して第2排出領域D2に流入される。第2排出領域D2に流入した電荷に基づいて、第2排出領域D2における電位が変化する。この電位の変化を第2出力回路18及び第1出力回路14を介して出力させることにより、通信信号C1の取得に用いる画素10を適切に検出させることができる。

【0062】
また、画素10において、第2出力回路18にスイッチであるトランジスタM7が設けられている。この構成によれば、トランジスタM7のゲート部に印加される制御信号により第1出力回路14と第2出力回路18とを電気的に接続、或いは切断することができる。これにより、第1出力回路14に寄生容量が付加されることを防止できる。

【0063】
また、固体撮像装置1では、通信信号光LCを受光して、フォトダイオードPDにおいて生成された電荷が第2浮遊拡散領域F2を介して第2排出領域D2に流入される。第2排出領域D2に第2電荷が排出されると、第2排出領域D2における電位が変化する。この電位の変化に基づいて通信信号C1が重畳された光であるか否かを探索回路8により判定する。これにより、通信信号が重畳された光を受光した画素の位置を特定できる。
【符号の説明】
【0064】
10…画素、11…光電変換領域、21…第1障壁領域、27…第2障壁領域、B1…第1電位障壁、B2…第2電位障壁、F1…第1浮遊拡散領域、F2…第2浮遊拡散領域、PD…フォトダイオード。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図6】
4
【図5】
5