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明細書 :網膜用3次元画像生成装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5624040号 (P5624040)
登録日 平成26年10月3日(2014.10.3)
発行日 平成26年11月12日(2014.11.12)
発明の名称または考案の名称 網膜用3次元画像生成装置
国際特許分類 A61B   3/10        (2006.01)
A61B   3/12        (2006.01)
FI A61B 3/10 R
A61B 3/12 E
請求項の数または発明の数 6
全頁数 20
出願番号 特願2011-525887 (P2011-525887)
出願日 平成22年8月3日(2010.8.3)
国際出願番号 PCT/JP2010/063057
国際公開番号 WO2011/016437
国際公開日 平成23年2月10日(2011.2.10)
優先権出願番号 2009181893
優先日 平成21年8月4日(2009.8.4)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年8月2日(2013.8.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】谷田貝 豊彦
【氏名】アブラハム・ジェイ・センズ
個別代理人の代理人 【識別番号】100117226、【弁理士】、【氏名又は名称】吉村 俊一
審査官 【審査官】島田 保
参考文献・文献 特表2009-504294(JP,A)
特表2007-521866(JP,A)
特表2005-501587(JP,A)
特開2007-014569(JP,A)
米国特許出願公開第2008/0049232(US,A1)
特開2006-250826(JP,A)
特表2009-524066(JP,A)
調査した分野 A61B 3/00-3/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
同一光源から出射された出射光ビームを分割して眼球の網膜である被測定物と参照鏡とにそれぞれ照射し、前記被測定物で反射した物体光ビームと前記参照鏡で反射した参照光ビームとを重ね合わせて得られた干渉縞のデータから被測定物の3次元画像を生成する網膜用3次元画像生成装置であって、
前記光源を有する光源ユニットと、
前記光源から出射された出射光ビームを前記参照光ビームと前記物体光ビームに分割する光分割器と、
前記参照鏡を有し、前記参照光ビームを反射させる参照光ビームユニットと、
前記網膜に物体光ビームを照射し、前記眼球の構造に起因して生ずる収差を補償しつつ、当該網膜にて散乱された光を物体反射光ビームとして反射させる補償光学測定ユニットと、
前記反射された参照光ビームと前記物体反射光ビームとを干渉させるとともに干渉された波長毎に干渉強度を検出する検出手段と、
検出された各波長毎の干渉強度をフーリエ変換することによって前記網膜の前記物体光ビームの入射方向と略平行な奥行き方向における反射強度データを算出する算出手段と、
前記算出された反射強度データに基づいて前記網膜の3次元画像を生成する生成手段と、
を備え、
前記補償光学測定ユニットが、
前記物体反射光ビームの波面を検出する波面センサと、
単一の収差補正機構であるミラーであって前記波面センサにて検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて焦点補正を含む低次の波面収差のみを補正する可変形ミラーを有し、前記物体光ビームにおける結像位置を調整する結像位置調整手段と、
前記物体光ビームによって前記網膜上の結像位置を走査させるために当該物体光ビームの前記結像位置に対する角度を調整するためのビーム角度調整手段と、
を有し、
前記光源ユニットが、焦点深度が300μm以上であって、出射光ビームの進行方向に垂直な面方向の分解能が6μm×6μmより高分解能となる出射光ビームを照射することを特徴とする網膜用3次元画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の網膜用3次元画像生成装置において、
前記ビーム角度調整手段が、
前記網膜が形成さている網膜形成面に対して略平行である第1方向と前記網膜形成面に対して略平行であるとともに前記第1方向に略垂直な第2方向とに前記物体光ビームを走査するために2方向に可動可能な単一の走査用鏡と、
前記走査用鏡が各可動方向毎に当該可動を制御するガルバノメータと、
を備えることを特徴とする網膜用3次元画像生成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の網膜用3次元画像生成装置において、
前記結像位置調整手段が、前記可変形ミラーと、前記可変形ミラーにて反射された物体光ビームを前記網膜に結像させる凹面鏡と、のみによって構成されていることを特徴とする網膜用3次元画像生成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の網膜用3次元画像生成装置において、
前記可変形ミラーの鏡面が、前記波面センサによって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて鏡面が変形するとともに、
前記結像位置調整手段が、前記可変形ミラーにて反射された物体光ビームを前記網膜に結像させる凸レンズを更に有することを特徴とする網膜用3次元画像生成装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の網膜用3次元画像生成装置において、
前記可変形ミラーの鏡面を可動して物体反射光ビームの波面のかく乱を行うことを特徴とする網膜用3次元画像生成装置。
【請求項6】
同一光源から出射された出射光ビームを分割して眼球の網膜である被測定物と参照鏡とにそれぞれ照射し、前記被測定物で反射した物体光ビームと前記参照鏡で反射した参照光ビームとを重ね合わせて得られた干渉縞のデータから被測定物の3次元画像を生成する網膜用3次元画像生成装置であって、
前記光源を有する光源ユニットと、
前記光源から出射された出射光ビームを前記参照光ビームと前記物体光ビームに分割する光分割器と、
前記参照鏡を有し、前記参照光ビームを反射させる参照光ビームユニットと、
前記網膜に物体光ビームを照射し、前記眼球の構造に起因して生ずる収差を補償しつつ、当該網膜にて散乱された光を物体反射光ビームとして反射させる補償光学測定ユニットと、
前記反射された参照光ビームと前記物体反射光ビームとを干渉させるとともに干渉された波長毎に干渉強度を検出する検出手段と、
検出された各波長毎の干渉強度をフーリエ変換することによって前記網膜の前記物体光ビームの入射方向と略平行な奥行き方向における反射強度データを算出する算出手段と、
前記算出された反射強度データに基づいて前記網膜の3次元画像を生成する生成手段と、
を備え、
前記補償光学測定ユニットが、
前記物体反射光ビームの波面を検出する波面センサと、
前記波面センサにて検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて前記物体光ビームにおける結像位置を調整する一対の凸レンズであって、前記波面センサによって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて当該凸レンズ間の距離が変化する凸レンズと、前記一対の凸レンズから出射された物体光ビームを前記網膜に結像させるためのレンズと、を有する結像位置調整手段と、
前記物体光ビームによって前記網膜上の結像位置を走査させるために当該物体光ビームの前記結像位置に対する角度を調整するためのビーム角度調整手段と、
を有し、
前記光源ユニットが、焦点深度が300μm以上であって、出射光ビームの進行方向に垂直な面方向の分解能が6μm×6μmより高分解能となる出射光ビームを照射することを特徴とする網膜用3次元画像生成装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、網膜における光学測定用の画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光の干渉効果を利用して生体内部の奥行き構造を可視化する光断層画像生成装置(OCT:Optical Coherence Tomograph)の研究が進んでいる。
【0003】
特に、最近では、網膜内部の三次元画像の観察することが可能な眼底用光断層画像生成装置も登場し、失明の危険のある疾患の診断にその威力を発揮している。
【0004】
従来、このような眼底用光断層画像生成装置の一つに、低コヒーレンス干渉計を用いている。そして、このような眼底用光断層画像生成装置は、参照光路長を機械的に操作することによって得られた物体の奥行き方向の干渉信号に基づいて生体内部の奥行き構造を可視化する時間領域眼底用光断層画像生成装置(Time-Domain OCT(以下、「TD-OCT」という。))が知られている。
【0005】
このTD-OCTは、波長幅の広い低コヒーレンスの光源を有し、当該光源からの光ビームを2つのビームに分割して一のビームを物体(すなわち、眼球)に照射するようになっている。
【0006】
そして、このTD-OCTは、物体に照射されて走査するためのビーム(以下、「物体走査光ビーム」または「プローブ光ビーム」という。)を、奥行き方向に走査させつつ、分割された他のビームであって参照用としてのビーム(以下、「参照光ビーム」という。)と干渉させる。そして、TD-OCTは、当該干渉により生じた干渉縞に基づいて物体における散乱位置を検出するようになっている。
【0007】
また、このTD-OCTは、物体に照射した物体走査光ビームを光路に対して横方向に走査させ、または、物体を当該光路に対して横方向に移動させて物体断面の画像を取得するようになっている(例えば、非特許文献1)。
【0008】
一方、このような機械的な奥行き方向の走査を用いることなく、光波の干渉を実空間(時間領域)で実行する代わりに、フーリエ空間(スペクトル領域)にて実行するスペクトル領域OCT(Fourier Domain OCT(以下、「FD-OCT」という。))が知られている。FD-OCTは、TD-OCTに比べて数十倍の計測速度を有している。
【0009】
このFD-OCTは、TD-OCTと同様に、分割された2つの光ビームを用いて、かつ、低コヒーレンス干渉原理を用いて物体の奥行き方向の分解能を算出するようになっている。しかしながら、FD-OCTは、参照光ビームおよび物体を走査する物体走査光ビームを平行に分光器に入射させ、当該分光器にて同時に分光させてスペクトル領域で干渉させるようになっている。
【0010】
また、このFD-OCTは、この干渉により発生したスペクトル干渉縞をCCDによって計測するとともに、当該スペクトル干渉縞に対してフーリエ変換を行うことによって物体の奥行き方向の反射分布を取得するようになっている。
【0011】
特に、このFD-OCTは、ガルバノミラーを駆動することによって計測点を網膜形成面に対して走査することによって3次元断層画像を取得するようになっており、2次元の機械的走査のみで3次元断層画像を取得することができるので、高速な断層計測を行うことができるようになっている(例えば、非特許文献1)。
【0012】
なお、上述のOCTの他には、光源の発振波長を掃引して光源の波長を走査して分光器を不要とした波長走査型OCT(Swept Source OCD(以下、「SS-OCT」)という。)というものも知られている(例えば、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0013】

【非特許文献1】安野嘉晃、「フーリエドメイン光コヒーレンストモグラフィー」、応用物理、第75巻、第6号、P.707-712(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述の各方式におけるOCTであっては、画像分解能が十分でないため、加齢黄斑変性や緑内障と言った疾患の初期診断が難しいことがあるとともに、検査時間についても更なる短縮化が求められている。
【0015】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、高分解能を有するとともに、操作性の高く、かつ、小型化および低価格化を図ることができる網膜用3次元画像生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)上記課題を解決するため、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、同一光源から出射された出射光ビームを分割して眼球の網膜である被測定物と参照鏡とにそれぞれ照射し、前記被測定物で反射した物体光ビームと前記参照鏡で反射した参照光ビームとを重ね合わせて得られた干渉縞のデータから被測定物の3次元画像を生成する網膜用3次元画像生成装置であって、前記光源を有する光源ユニットと、前記光源から出射された出射光ビームを前記参照光ビームと前記物体走査光ビームに分割する光分割器と、前記参照鏡を有し、前記参照光ビームを反射させる参照光ビームユニットと、前記網膜に物体光ビームを照射し、前記眼球の構造に起因して生ずる収差を補償しつつ、当該網膜にて散乱された光を物体反射光ビームとして反射させる補償光学測定ユニットと、前記反射された参照光ビームと前記物体反射光ビームとを干渉させるとともに干渉された波長毎に干渉強度を検出する検出手段と、検出された各波長毎の干渉強度をフーリエ変換することによって前記網膜の前記物体光ビームの入射方向と略平行な奥行き方向における反射強度データを算出する算出手段と、前記算出された反射強度データに基づいて前記網膜の3次元画像を生成する生成手段と、を備え、前記補償光学測定ユニットが、前記物体反射光ビームの波面を検出する波面センサと、前記波面センサにて検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて前記物体光ビームにおける結像位置を調整する結像位置調整手段と、前記物体光ビームによって前記網膜上の結像位置を走査させるために当該物体光ビームの前記結像位置に対する角度を調整するためのビーム角度調整手段と、を有し、前記光源ユニットが、焦点深度が300μm以上であって、光ビームの進行方向に垂直な面方向の分解能が6μm×6μmより高分解能となる光ビームを照射する構成を有している。
【0017】
例えば、網膜の診断に必要な深度が300μm以上でかつ物体光ビームの進行方向に垂直な面方向の分解能(方位分解能)が6μm×6μmより高分解能となる光ビームを照射すると、眼球の角膜や水晶体などにおける複雑な収差が含まれず、非点収差などの簡単な収差のみ含まれる反射光ビームとなる。言い換えれば、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な反射光ビームとなるので、当該収差を簡単に補正することが可能となる。
【0018】
本発明の網膜用3次元画像生成装置は、上記構成により、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみとなる物体光ビームを用いることができるので、高次の収差を補正するための部品が不要となり、部品点数を少なくすることができるとともに、照射された物体光ビームによって網膜における画像について高分解能および装置の高い操作性を維持することができる。
【0019】
したがって、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、的確な波長毎の干渉強度を算出することができるので、この算出された干渉強度データに基づいて的確な網膜の3次元画像を生成することができるとともに、光量損失の低下の抑制並びに小型化および低価格化を図ることができる。
【0020】
(2)また、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、前記ビーム角度調整手段が、前記網膜が形成さている網膜形成面に対して略平行である第1方向と前記網膜形成面に対して略平行であるとともに前記第1方向に略垂直な第2方向とに前記物体光ビームを走査するために2方向に可動可能な単一の走査用鏡と、前記走査用鏡が各可動方向毎に当該可動を制御するガルバノメータと、を備える構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、単一の鏡を用いることによって網膜上にて物体光ビームを走査することができるので、部品点数を少なくすることができるとともに、光量損失の低下の抑制並びに小型化および低価格化を図ることができる。
【0022】
(3)また、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、前記結像位置調整手段が、前記波面センサによって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて鏡面が変形する可変形鏡と、前記可変鏡にて反射された物体光ビームを前記網膜に結像させる凹面鏡と、から構成される。
【0023】
この構成により、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームを用いることができるので、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみによって、かつ、可変形鏡のみによって波面収差を補正することができる物体反射光ビームを用いることができる。
【0024】
したがって、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、部品点数を少なくすることができるとともに、光量損失の低下の抑制並びに小型化および低価格化を図ることができる。
【0025】
(4)また、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、前記結像位置調整手段が、前記波面センサによって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて鏡面が変形する可変形鏡と、前記可変鏡にて反射された物体光ビームを前記網膜に結像させる凸レンズと、から構成される。
【0026】
この構成により、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームを用いることができるので、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみによって、かつ、可変形鏡のみによって物体反射光ビームにおける波面収差を補正することができる。
【0027】
したがって、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、部品点数を少なくすることができるとともに、光量損失の低下の抑制並びに小型化および低価格化を図ることができる。
【0028】
(5)また、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、前記可変鏡の鏡面を可動して物体反射光ビームの波面のかく乱を行う構成を有している。
【0029】
この構成により、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、可変鏡を稼働して体反射光ビームの波面のかく乱を行うことによってスペックル雑音のコントラストを低減させることができる。
【0030】
(6)また、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、前記結像位置調整手段が、一対の凸レンズであって、前記波面センサによって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて当該凸レンズ間の距離が変化する凸レンズと、前記一対の凸レンズから出射された物体光ビームを前記網膜に結像させるためのレンズと、から構成される。
【0031】
この構成により、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームを用いることができるので、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみによって、かつ、対の凸レンズ間における距離を変化させるのみによって物体反射光ビームにおける波面収差を補正することができる。
【0032】
したがって、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、部品点数を少なくすることができるとともに、光量損失の低下の抑制並びに小型化および低価格化を図ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の網膜用3次元画像生成装置は、上記構成により、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみとなる物体光ビームを用いることができるので、高次の収差を補正するための部品が不要となり、部品点数を少なくすることができるとともに、照射された物体光ビームによって網膜における画像について高分解能および装置の高い操作性を維持することができる。
【0034】
したがって、本発明の網膜用3次元画像生成装置は、的確な波長毎の干渉強度を算出することができるので、この算出された干渉強度データに基づいて的確な網膜の3次元画像を生成することができるとともに、光量損失の低下の抑制並びに小型化および低価格化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る眼底用光断層画像生成装置の第1実施形態における構成を示すブロック図である。
【図2】健康体における眼球の収差量とゲルニケ多項式表示による収差次数に関するグラフである。
【図3】第1実施形態における2軸ガルバノメータの側面図(a)と正面図(b)である。
【図4】参照反射光ビームと物体反射光ビームとにおける干渉強度の算出方法を説明するための図である。
【図5】本発明に係る眼底用光断層画像生成装置の第2実施形態における構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る眼底用光断層画像生成装置の第3実施形態における構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に説明する実施形態は、適応制御光学システム(AO)を用いた眼底用光断層画像生成装置について本発明の網膜用3次元画像生成装置を適用したものである。

【0037】
特に、眼底用光断層画像生成装置(100)は、同一光源(111)から出射された出射光ビームを分割して眼球の網膜(R)である被測定物と参照鏡(RM)とにそれぞれ照射し、前記被測定物で反射した物体光ビームと前記参照鏡(RM)で反射した参照光ビームとを重ね合わせて得られた干渉縞のデータから被測定物の3次元画像を生成する眼底用光断層画像生成装置(100)であって、前記光源(111)を有する光源ユニット(110)と、前記光源から出射された出射光ビームを前記参照光ビームと前記物体走査光ビームに分割する光分割器(120)と、前記参照鏡(RM)を有し、前記参照光ビームを反射させる参照光ビームユニット(130)と、前記網膜(R)に物体光ビームを照射し、前記眼球の構造に起因して生ずる収差を補償しつつ、当該網膜にて散乱された光を物体反射光ビームとして反射させる補償光学測定ユニット(140)と、前記反射された参照光ビームと前記物体反射光ビームとを干渉させるとともに干渉された波長毎に干渉強度を検出する検出手段(154)と、検出された各波長毎の干渉強度をフーリエ変換することによって前記網膜(R)の前記物体光ビームの入射方向と略平行な奥行き方向における反射強度データを算出する算出手段(155)と、前記算出された反射強度データに基づいて前記網膜の3次元画像を生成する生成手段(155)と、を備え、前記補償光学測定ユニット(140)が、前記物体反射光ビームの波面を検出する波面センサ(143)と、前記波面センサ(143)にて検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて前記物体光ビームにおける結像位置を調整する結像位置調整手段(145、147(147a、147b)、241、341、342)と、前記物体光ビームによって前記網膜(R)上の結像位置を走査させるために当該物体光ビームの前記結像位置に対する角度を調整するためのビーム角度調整手段(146(146a、146b、146c))と、を有し、前記光源ユニット(110)が、焦点深度が300μm以上であって、光ビームの進行方向に垂直な面方向の分解能が6μm×6μmより高分解能となる光ビームを照射する構成を有している。

【0038】
また、眼底用光断層画像生成装置(100)は、前記ビーム角度調整手段(146(146a、146b、146c))が、前記網膜(R)が形成さている網膜形成面に対して略平行である第1方向と前記網膜形成面に対して略平行であるとともに前記第1方向に略垂直な第2方向とに前記物体光ビームを走査するために2方向に可動可能な単一の走査用鏡(146a)と、前記走査用鏡(146a)が各可動方向毎に当該可動を制御するガルバノメータ(146b、146c)と、を備える構成を有している。

【0039】
また、眼底用光断層画像生成装置は、前記結像位置調整手段(145、147(147a、147b))が、前記波面センサ(143)によって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて鏡面が変形する可変形鏡(145)と、前記可変鏡(145)にて反射された物体光ビームを前記網膜(R)に結像させる凹面鏡と(147(147a、147b))、から構成される。

【0040】
また、眼底用光断層画像生成装置(100)は、前記結像位置調整手段(145、241)が、前記波面センサ(143)によって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて鏡面が変形する可変形鏡(145)と、前記可変鏡(145)にて反射された物体光ビームを前記網膜(R)に結像させる凸レンズと(241)、から構成される。

【0041】
また、眼底用光断層画像生成装置(100)は、前記可変鏡(145)の鏡面を可動して物体反射光ビームの波面のかく乱を行う構成を有している。

【0042】
また、眼底用光断層画像生成装置(100)は、前記結像位置調整手段(341、342)が、一対の凸レンズであって、前記波面センサ(143)によって検出された前記物体反射光ビームの波面に基づいて当該凸レンズ間の距離が変化する凸レンズ(341)と、前記一対の凸レンズ(341)から出射された物体光ビームを前記網膜(R)に結像させるためのレンズ(342)と、から構成される。

【0043】
以下、本発明の実施形態の詳細について、図面を参照しながら説明する。

【0044】
[第1実施形態]
はじめに、図1~図4の各図を用いて本発明に係る眼底用光断層画像生成装置の第1実施形態について説明する。

【0045】
まず、図1~図4の各図を用いて本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100の構成について説明する。

【0046】
なお、図1は、本実施形態における眼底用光断層画像生成装置100の構成を示すブロック図であり、図2は、健康体における眼球の収差量とゲルニケ多項式表示による収差次数に関するグラフである。また、図3は、第1実施形態における2軸ガルバノメータ146の側面図(a)と正面図(b)である。

【0047】
本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、適応制御光学システム(AO)技術を用いるとともに、光の干渉効果を利用して検査対象の物体(本実施形態においては眼球EYであり、具体的には、網膜R)の断層画像を取得するOCT測定装置である。

【0048】
この眼底用光断層画像生成装置100は、光ソースビーム(以下、「出射光ビーム」ともいう。)を検査対象に照射する物体走査光ビーム(以下、「物体光ビーム」ともいう。)と、干渉計測を行う際にその基準となる参照光ビームと、に分割するようになっている。そして、眼底用光断層画像生成装置100は、当該物体走査光ビームが物体に照射されて反射された物体反射光ビームと、参照光ビームが所定の反射鏡RMにて反射された参照反射光ビームと、を干渉させるようになっている。

【0049】
また、眼底用光断層画像生成装置100は、物体走査光ビームを、網膜Rが形成さている網膜形成面に対して略平行である第1方向(横方向)に走査するとともに、網膜形成面に対して略平行で、かつ、第1方向に略垂直な第2方向(縦方向)に走査するようになっている。そして、眼底用光断層画像生成装置100は、各ポイント(以下、「走査点」ともいう。)毎に干渉された物体反射光ビームと参照反射光ビームに基づいて物体走査光ビームの進行方向(光軸方向)と平行な網膜Rの奥行き方向を含めた網膜Rの断層画像を生成するようになっている。

【0050】
具体的には、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、図1に示すように、光ソースビームを照射する光源ユニット110と、照射された光ソースビームを参照光ビームと物体走査光ビームとに分配するとともに、参照反射光ビームと物体反射光ビームを干渉させる光分配結合器120と、を有している。なお、例えば、本実施形態の光源ユニット110は、本発明の光源ユニットを構成し、光分配結合器120は、光分割器を構成する。

【0051】
また、この眼底用光断層画像生成装置100は、参照光ビームを反射させ、当該反射された参照光ビームである参照反射光ビームを光分配結合器120に入射させる参照光ユニット130と、物体走査光ビームを物体に照射させて物体反射光ビームを光分配結合器120に入射させる検査ユニット140と、物体反射光ビームと参照反射光ビームを干渉させた光ビーム(以下、「干渉光ビーム」という。)に基づいて物体の断層画像を取得する画像検出ユニット150と、から構成される。なお、例えば、本実施形態の参照光ユニット130は、本発明の参照光ビームユニットを構成し、検査ユニット140は、本発明の補償光学測定ユニットを構成する。また、例えば、本実施形態の画像検出ユニット150は、本発明の検出手段、算出手段及び生成手段を構成する。

【0052】
光源ユニット110は、時間的にインコヒーレントであり、かつ、空間的にもインコヒーレントである光を出射するようになっている。

【0053】
例えば、本実施形態の光源ユニット110は、光ソースビームを照射する照射光源111と、光アイソレータBIを有し、照射光源111から照射された光ソースビームに対してガラスを用いて所定のキャリブレーションを行うキャリブレーション部112と、を備えている。

【0054】
照射光源111は、スーパールミネセンスダイオードにて構成され、波長幅が広い(例えば、150nm程度の幅を有する波長)光ビームを光ソースビームとして照射するようになっており、300μm以上の焦点深度を有し、かつ、物体走査光ビームの進行方向に垂直な面方向の分解能(方位分解能)が6μm×6μmより高分解能となる光ソースビームを照射するようになっている。

【0055】
なお、光ソースビームの波長幅は、焦点深度には無関係で、幅が広いほど3次元画像の奥行き方向の分解能が向上するが、種々の影響を鑑みて上記程度の波長幅を使うようになっている。また、焦点深度の上限値は、特に限定されないが、現実的な範囲としては400μmとなる。400μmの焦点深度があれば適正な診断を行うことができるからである。また、方位分解能の範囲は、特に限定されてないが、現実的な最高分解能は、瞳孔の最大径で制限され、3μm×3μmである。

【0056】
例えば、本実施形態の照射光源111は、目に優しく、眩しくなく、かつ、近赤外線の光源として、3.0mmの入射口径を有する光ソースビームを出射するようになっている。照射光源111が、このような3.0mmの入射口径を有する光ソースビームを出射した場合には、網膜R上において6μm×6μmより高分解能の方位分解能を得ることができるとともに、390μm程度の焦点深度を得ることができるようになっている。

【0057】
なお、本実施形態の照射光源111から出力される光ソースビームの入射口径は、3.0mmに限らず、概ね3mmであればよい。このビーム径を規定する入射口径は、光源の波長、分解能、焦点深度等に依存し、例えば、ビーム径が大きくなれば分解能は良好になるが焦点深度は小さくなり、一方、ビーム径が小さくなれば分解能は低下するが焦点深度は深くなり、これらのバランスをとって設定される。本発明では被測定物が眼球の網膜であり、この場合は概ね3mmであることが好ましく、例えば、2.5mm~3.5mmであればよい。

【0058】
なお、図2に示すように、健康な人間(健康体)の眼球EYの収差を測定結果においても、画質における許容収差限界を判断基準とすれば、概ね3mmの口径によって光ソースビームが照射された場合には、3次以下の低次の収差を補正すれば良いことがわかる。

【0059】
このように、本実施形態においては、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームによって方位分解能および焦点深度が十分なビームを網膜に照射することができるので、後述するように、検査ユニット140において収差補正を簡単にしても、十分な干渉強度のデータを得ることができるようになっている。

【0060】
キャリブレーション部112は、光源ユニット110から照射された光分配結合器120にのみ光ビームを伝送し、その逆の光ビームを伝送しない光アイソレータBIを有し、光ソースビームに対して所定のキャリブレーションを行うようになっている。

【0061】
光分配結合器120は、光ファイバーやビーム分割プリズムなどによって入射された光ソースビームを物体走査光ビームと参照光ビームに分割し、それぞれ、検査ユニット140および参照光ユニット130に出力するようになっている。

【0062】
例えば、本実施形態の光分配結合器120は、所定の分配比(例えば50:50~80:20程度の分配比)を有しており、入射した光ソースビームを当該分配比に基づいて分割してそれぞれに出力するようになっている。

【0063】
また、この光分配結合器120には、検査ユニット140の物体にて反射された物体反射光ビームと、参照光ユニット130で反射された参照反射光ビームとが入射されるようになっている。

【0064】
そして、この光分配結合器120は、入射された物体反射光ビームおよび参照反射光ビームを干渉させ、当該干渉させた干渉光ビームを画像検出ユニット150に出力するようになっている。

【0065】
例えば、本実施形態の光分配結合器120は、所定の結合比(例えば50:50~80:20程度の分配比)、入射された物体反射光ビームと参照反射光ビームを当該結合比に基づいて結合して干渉させ、当該結合されて干渉された干渉光ビームを画像検出ユニット150に出力するようになっている。

【0066】
参照光ユニット130は、基本的には、物体走査光(反射光)ビームの光路と同一の長さを有する光路にて基準となる参照反射光ビームを生成するためのユニットである。ただし、実際には、参照光ユニットにおける光路は、物体走査光(反射光)ビームの光路と光ソースビームにおける診断に必要な深度に基づいて若干の光路差(後述する光路差τ)を有している。

【0067】
具体的には、本実施形態の参照光ユニット130は、分割された参照光ビームおよび反射された参照反射光ビームの偏光を制御する第1偏光制御部131と、参照光ビームを平行光に変換するとともに平行光である参照反射光ビームを集光させる第1変換レンズ132と、色収差補正を行う色収差補正レンズ133と、を有している。

【0068】
また、この参照光ユニット130は、色分散を調整するためのウォーターバイアル134と、参照光ビームを反射させる反射鏡RMと、平行光である参照光ビームを集光させるとともに、集光されている参照反射光ビームを平行光に変換する第2変換レンズ135と、を有している。

【0069】
特に、色収差補正レンズ133およびウォーターバイアル134は、検査ユニット140における物体走査光ビーム(具体的には、物体反射光ビーム)と眼球を通過したことと擬似的に同一の環境下を作り出すために設けられている。

【0070】
通常、これらの色差補正レンズおよびウォーターバイアル134は、眼球EYに光ビームが照射された際に生じる色収差または色分散を補正するためのものであり、参照光ユニット130においては、擬似的に検査ユニット140における色収差または色分散を行った光ビームを生成するためのものである。

【0071】
なお、第1偏光制御部131は、反射された参照反射光ビームと参照光ビームとを干渉させないためにそれぞれ偏光させるものである。

【0072】
検査ユニット140は、物体反射光ビームに基づいて眼球EYが元来有している角膜の歪みや検査中の眼球EYの動きなどの光ビームの波面収差を測定しつつ、当該測定によって検出された収差に基づいて可変形ミラー145の鏡面を調整して当該検出結果をフィードバックするようになっている。

【0073】
具体的には、本実施形態の検査ユニット140は、分割された物体走査光ビームおよび反射された物体反射光ビームの偏光を制御する第2偏光制御部141と、分割された物体走査光ビームを平行光にするとともに物体反射光ビームを集光する検査ユニット用変換レンズ142と、を有している。

【0074】
また、この検査ユニット140は、物体反射光ビームの波面収差を検出する波面センサ143と、物体反射光ビームを分割してその一部を波面センサ143に入射させるセンサ用プリズム144と、可変形ミラー145と、2軸ガルバノメータ146と、一対の凹面鏡147と、から構成される。なお、例えば、本実施形態の波面センサ143は、本発明の波面センサを構成し、可変形ミラー145は、本発明の結像位置調整手段及び可変形鏡を構成する。また、例えば、本実施形態の凹面鏡147は、本発明の結像位置調整手段及び凹面鏡を構成し、2軸ガルバノメータ146は、本発明のビーム角度調整手段を構成する。

【0075】
第2偏光制御部141は、第1偏光制御部131と同様に、反射された物体反射光ビームと物体走査光ビームとを干渉させないためにそれぞれ偏光させるものである。

【0076】
本実施形態の波面センサ143は、シャック・ハルトマンセンサーにて構成されており、網膜Rにて反射された物体反射光ビームの戻り経路の途中の光ビームに基づいて波面収差を検出するようになっている。

【0077】
可変形ミラー145は、波面センサ143にて鏡面の形状が制御されるようになっており、検査ユニット用変換レンズ142にて平行光になった物体走査光ビームおよび網膜Rで反射された物体反射光ビームをそれぞれの方向に反射するようになっている。

【0078】
また、この可変形ミラー145は、所定の制御の下に、物体走査光ビームをかく乱させるための所定のミラー動作(物体走査光ビームに微振動を与える鏡面の動作)を行うようになっている。

【0079】
なお、本実施形態においては、当該物体走査光ビームをかく乱させたとしても、後述するように干渉強度を算出する際に、走査カメラ154のCCDなどの検出工程において物体走査光ビームにおける微振動(すなわち、物体反射光ビームにおける微振動)を補正することが可能である。その一方、この微振動を物体走査光ビーム(物体反射光ビーム)に与えることによってスペックル雑音のコントラストを低減させることができるようになっている。

【0080】
2軸ガルバノメータ146は、図示しない制御部の制御の下、物体走査光ビームを反射させつつ、網膜Rが形成さている網膜形成面に対して略平行である第1方向(横方向)に物体走査光ビームを走査(可動)し、かつ、網膜形成面に対して略平行であるとともに第1方向に略垂直な第2方向(縦方向)に物体走査光ビームを走査(可動)するように形成されている。

【0081】
例えば、本実施形態の2軸ガルバノメータ146は、図3(a)および(b)に示すように、物体走査光ビームを走査するために網膜形成面の横方向および縦方向に物体走査光ビームの非光軸を中心に可動可能な単一の走査用ミラー146aと、走査用ミラーが網膜形成面の横方向に対応する第1方向への可動を制御する第1ガルバノメータ146bと、走査用ミラー146aが網膜形成面の縦方向に対応する第2方向への可動を制御する第2ガルバノメータ146cと、有している。なお、例えば、本実施形態の走査用ミラー146aは、本発明の走査用鏡を構成し、第1ガルバノメータ146b及び第2ガルバノメータ146cは、本発明のガルバノメータを構成する。

【0082】
特に、第2ガルバノメータ146cは、第1ガルバノメータ146bをブランケット146dによって保持し、走査用ミラー146aを回転させるときには、第1ガルバノメータ146b全体を回転させるようになっている。

【0083】
一対の凹面鏡147は、2軸ガルバノメータ146によって走査された物体走査光ビームを眼球EYに入射させて網膜Rにて結像されるように照射するようになっている。

【0084】
なお、網膜Rにて反射された物体反射光ビームは、上述の逆の経路(すなわち、戻り経路)を通って光分配結合器120に入射されるようになっている。

【0085】
画像検出ユニット150は、走査点(網膜形成面の横方向および縦方向に走査される各点)毎に、干渉光ビームから各波長を抽出して各波長における干渉強度を算出するとともに、当該算出された各波長の干渉強度に基づいて奥行き方向の光強度データ(奥行き方向における反射分布率を示すデータ)を演算して表示するようになっている。

【0086】
通常、網膜内部にて物体走査光ビームが反射した点によって参照反射光ビームとの光路の距離差が変化して波長毎に干渉強度が変化する。

【0087】
したがって、本実施形態の画像検出ユニット150は、当該変化した干渉強度を検出するとともに、この波長領域のデータである干渉強度をフーリエ変換して空間領域データに変換し、網膜における奥行き方向の光強度データを演算することができるようになっている。

【0088】
具体的には、本実施形態の画像検出ユニット150には、検査ユニット140から伝送された物体反射光ビームと参照光ユニット130から伝送された参照反射光ビームと結合させて干渉された干渉光ビームが入力されるようになっている。

【0089】
また、この画像検出ユニット150は、干渉光ビームの偏光を制御する第3偏光制御部151と、偏光された干渉光ビームを平行光に変換する画像検出ユニット用変換レンズ152と、平行光の干渉光ビームを各波長毎に分光するグレーティング部153と、を備えている。

【0090】
そして、この画像検出ユニット150は、各波長毎の干渉強度を検出する走査カメラ154と、検出された各波長毎の干渉強度に基づいて光強度データを算出して網膜Rの3次元画像化を行う画像生成部155と、3次元画像化された画像データを表示する表示部156と、を備えている。なお、例えば、本実施形態の走査カメラ154は、本発明の検出手段を構成し、画像生成部155は、本発明の算出手段及び生成手段を構成する。

【0091】
次に、図4を用いて各波長の干渉強度データから網膜Rの深さ方向の光強度データを算出する方法について説明する。

【0092】
なお、図4は、参照反射光ビームと物体反射光ビームとにおける干渉強度の算出方法を説明するための図である。

【0093】
光物体走査光ビームEp(t)は、物体の奥行き方向、すなわち、光ビームの光軸方向をz軸として網膜Rの構造による反射散乱特性をs(Z)および光源ユニット110から照射された光ビーム(E(t))とすると、(式1)で表すことができる。

【0094】
【数1】
JP0005624040B2_000002t.gif

【0095】
なお、この「○」の中に「×」のがある記号は、コンボリューションを示す。また、(式1)が時間の関数によって表されているのは、z軸と光ビームの伝播方向が同じであり、伝播距離が時間に換算されるためs(z)が時間の関数s(t)で表されるからである。

【0096】
また、参照光ユニット130と検査ユニット140には、予め光路差(τ)が与えられており、光分割結合器に入る参照反射光ビームと物体反射光ビームの光振幅信号は図4(a)のようになる。

【0097】
そして、グレーティング部153によって分光されてフーリエ変換された参照反射光ビームおよび物体反射光ビームの光干渉強度、すなわち、スペクトル干渉縞(E(ω)=F[Ep(t)])が走査カメラ154にて検出されることになる(図4(b)参照)。

【0098】
このとき、干渉信号Iがフーリエ変換されたフーリエ干渉信号F[I]とスペクトル干渉縞の関係は、(式2)に示される。ただし、Eは、複素共役を示す。

【0099】
【数2】
JP0005624040B2_000003t.gif

【0100】
また、この(式2)は、相関演算(*)に基づいて(式3)にて表すことができる。

【0101】
【数3】
JP0005624040B2_000004t.gif

【0102】
ここで、右辺の第1項と第2項は参照反射光ビームおよび物体反射光ビームの自己相関信号を示し、図4(c)の中央のピークである。また、右辺第3項と第4項は、参照反射光ビームおよび物体反射光ビームの相互相関を示し、自己相関信号に対して離間した位置に左右対称に現れる。

【0103】
また、右辺第3項(I3項)は、(式1)の関係から(式4)となるが、参照光ビームが平面鏡にて反射して参照反射光ビームとなり、{Er(t)=E(t)}となるので、光源(光ソースビーム)の自己相関関数と光軸方向(いわゆる奥行き方向)の構造のコンボリューションとなる。

【0104】
【数4】
JP0005624040B2_000005t.gif

【0105】
すなわち、光ソースビームのパルス幅が十分に短いか、または、スペクトル分布が十分に広い場合に、E(t)はデルタ関数と見なすことができるので、この相互相関信号の強度は、物体の奥行き方向の反射散乱特性となっているため、スペクトル領域においては奥行き方向への走査を必要とせずに、干渉強度のデータによって奥行き方向のデータを得ることができるようになっている。

【0106】
なお、深さ方向の分解能(Δz)は、光ソースビームの中心波長λと波長幅Δλを用いて(式5)のように表すことができる。ただし、「σ」は、ガウス分布をしている波長広がり幅を示す。

【0107】
【数5】
JP0005624040B2_000006t.gif

【0108】
以上のように、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、眼球EYの角膜や水晶体などにおける複雑な収差が含まれず、非点収差などの簡単な収差のみ含まれる物体反射光ビームを用いることができる。すなわち、眼底用光断層画像生成装置100は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームを用いることができるので、当該収差を簡単に補正することが可能となる。

【0109】
したがって、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、的確な波長毎の干渉強度を算出することができるとともに、この算出された反射強度データに基づいて的確な網膜Rの3次元画像を生成することができるので、網膜Rにおける画像について高分解能および装置の高い操作性を維持すること、及び、部品点数を少なくすることができるとともに、小型化および低価格化を図ることができる。

【0110】
また、いずれの光学部品におきましても、光量の100%の透過率または反射率は難しく、光学部品を経由すればそれだけ光量が減少することとなるので、部品点数が少なくなれば、光量損失の低下についても抑制することができる。

【0111】
特に、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、2軸ガルバノメータ146において単一の鏡を用いることによって網膜R上にて物体走査光ビームを走査することができるので、部品点数を少なくすることができるとともに、小型化および低価格化を図ることができる。

【0112】
また、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームを用いることができるので、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみとなり、可変形ミラー145のみによって物体反射光ビームにおける波面収差を補正することができる。

【0113】
また、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、可変形ミラー145を可動して体反射光ビームの波面のかく乱を行うことによってスペックル雑音のコントラストを低減させることができる。

【0114】
[第2実施形態]
次に、図5を用いて本発明に係る眼底用光断層画像生成装置100の第2実施形態について説明する。

【0115】
なお、図5は、本実施形態における眼底用光断層画像生成装置の構成を示すブロック図である。

【0116】
本実施形態の眼底用光断層画像生成装置は、第1実施形態において、検出ユニットの2軸ガルバノメータによって走査された物体走査光ビームを眼球EYに入射させて網膜Rにて結像させるための一対の凹面鏡に代えて、一対の変換レンズを用いる点に特徴があり、その他の点は、第1実施形態と同一である。

【0117】
なお、第1実施形態と同一の部材については、同一の番号を付してその説明を省略する。

【0118】
本実施形態の検査ユニット240は、図4に示すように、分割された物体走査光ビームおよび反射された物体反射光ビームの偏光を制御する第2偏光制御部141と、検査ユニット用変換レンズ142と、波面センサ143と、センサ用プリズム144と、可変形ミラー145と、2軸ガルバノメータ146と、一対の結像用変換レンズ241と、から構成される。なお、例えば、本実施形態の結像用変換レンズ241は、本発明の物体光ビームを網膜に結像させるための凸レンズを構成する。

【0119】
一対の結像用変換レンズ241は、一対の凸レンズであって、2軸ガルバノメータ146によって走査された物体走査光ビームを眼球EYに入射させて網膜Rにて結像されるように照射するようになっている。

【0120】
以上のように、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、第1実施形態と同様に、眼球EYの角膜や水晶体などにおける複雑な収差が含まれず、非点収差などの簡単な収差のみ含まれる物体反射光ビームを用いることができる。すなわち、眼底用光断層画像生成装置100は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームを用いることができるので、当該収差を簡単に補正することが可能となる。

【0121】
したがって、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、的確な波長毎の干渉強度を算出することができるとともに、この算出された反射強度データに基づいて的確な網膜Rの3次元画像を生成することができるので、網膜Rにおける画像について高分解能および装置の高い操作性を維持すること、及び、部品点数を少なくすることができるとともに、小型化および低価格化を図ることができる。

【0122】
また、いずれの光学部品におきましても、光量の100%の透過率または反射率は難しく、光学部品を経由すればそれだけ光量が減少することとなるので、部品点数が少なくなれば、光量損失の低下についても抑制することができる。

【0123】
特に、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、2軸ガルバノメータ146において単一の鏡を用いることによって網膜R上にて物体走査光ビームを走査することができるので、部品点数を少なくすることができるとともに、小型化および低価格化を図ることができる。

【0124】
また、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームとなるので、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみであるので、可変形鏡のみによって物体反射光ビームにおける波面収差を補正することができる。

【0125】
また、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、可変形ミラー145を稼働して体反射光ビームの波面のかく乱を行うことによってスペックル雑音のコントラストを低減させることができる。

【0126】
[第3実施形態]
次に、図6を用いて本発明に係る眼底用光断層画像生成装置の第3実施形態について説明する。

【0127】
なお、図6は、本実施形態における眼底用光断層画像生成装置の構成を示すブロック図である。

【0128】
本実施形態の眼底用光断層画像生成装置は、第1実施形態において、可変形ミラーおよび一対の凹面鏡に代えて、一対のレンズであって、当該レンズ間の距離が変化する変換レンズを用いる点に特徴があり、その他の点は、第1実施形態と同一である。

【0129】
なお、第1実施形態と同一の部材については、同一の番号を付してその説明を省略する。

【0130】
本実施形態の検査ユニット340は、図5に示すように、分割された物体走査光ビームおよび反射された物体反射光ビームの偏光を制御する第2偏光制御部141と、検査ユニット用変換レンズ142と、波面センサ143と、センサ用プリズム144と、2軸ガルバノメータ146と、一対の移動レンズ341と、結像調整用のレンズ342と、から構成される。なお、例えば、本実施形態の一対の移動レンズ341は、本発明の一対の凸レンズを構成し、結像調整用のレンズ342は、本発明において、物体光ビームを網膜に結像させるためのレンズを構成する。

【0131】
一対の移動レンズ341は、シリンドリカルレンズであって、波面センサ143の制御に基づいて一のシリンドリカルレンズ、例えば、眼球EY側のシリンドリカルレンズが奥行き方向移動するとともに、物体走査光ビームにおける光軸を中心に回転するになっている。

【0132】
なお、この移動レンズ341は、非点収差における収差補正を行うようにあっており、例えば、非点収差の波面となる楕円面の当該楕円軸の方向に基づいてレンズの距離を調整するようになっている。

【0133】
なお、結像調整用のレンズ342は、例えば、凹面レンズと片面(眼球EY側)が平らな平凸レンズとを用いるようになっており、2軸ガルバノメータ146によって走査された物体走査光ビームを眼球EYに入射させて網膜Rにて結像されるように調整を行うようになっている。

【0134】
以上のように、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、第1実施形態と同様に、眼球EYの角膜や水晶体などにおける複雑な収差が含まれず、非点収差などの簡単な収差のみ含まれる物体反射光ビームを用いることができる。すなわち、眼底用光断層画像生成装置100は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームを用いることができるので、当該収差を簡単に補正することが可能となる。

【0135】
したがって、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、的確な波長毎の干渉強度を算出することができるとともに、この算出された反射強度データに基づいて的確な網膜Rの3次元画像を生成することができるので、網膜Rにおける画像について高分解能および装置の高い操作性を維持すること、及び、部品点数を少なくすることができるとともに、小型化および低価格化を図ることができる。

【0136】
また、いずれの光学部品におきましても、光量の100%の透過率または反射率は難しく、光学部品を経由すればそれだけ光量が減少することとなるので、部品点数が少なくなれば、光量損失の低下についても抑制することができる。

【0137】
特に、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、2軸ガルバノメータ146において単一の鏡を用いることによって網膜R上にて物体走査光ビームを走査することができるので、部品点数を少なくすることができるとともに、小型化および低価格化を図ることができる。

【0138】
また、本実施形態の眼底用光断層画像生成装置100は、波面収差をゼルニケ近似多項式における3次以下の式にて表すことが可能な物体反射光ビームとなるので、ゼルニケ近似多項式における高次の収差が存在せず、低次の収差のみであるので、可変形鏡のみによって物体反射光ビームにおける波面収差を補正することができる。
【符号の説明】
【0139】
100 眼底用光断層画像生成装置
110 光源ユニット
111 照射光源
112 キャリブレーション部
BI 光アイソレータ
120 光分配結合器(光分割器)
130 参照光ユニット(参照光ビームユニット)
131 第1偏光制御部
132 第1変換レンズ
133 色収差補正レンズ
134 ウォーターバイアル
135 第2変換レンズ
RM 反射鏡
140、240、340 検査ユニット(補償光学測定ユニット)
141 第2偏光制御部
142 検査ユニット用変換レンズ
143 波面センサ
144 センサ用プリズム
145 可変形ミラー(結像位置調整手段)
146 2軸ガルバノメータ(ビーム角度調整手段)
146a 走査用鏡
146b 第1ガルバノメータ
146c 第2ガルバノメータ
146d ブランケット
147(147a,147b) 凹面鏡(結像位置調整手段)
EY 眼球
R 網膜
150 画像検出ユニット
151 第3偏光制御部
152画像検出ユニット用変換レンズ
153 グレーティング部
154 走査カメラ(検出手段)
155 画像生成部(算出手段、生成手段)
156 表示部
241 結像用変換レンズ(結像位置調整手段)
341 一対の移動レンズ(結像位置調整手段)
342 結像調整用のレンズ(結像位置調整手段)
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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